JPH026524B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、電磁誘導加熱調理器（以下単に電磁
調理器と称する）に用いて煮炊きすることが可能
な非磁性金属を主とする調理用又は飲食用容器の
製造法に関するものである。 〔従来の技術〕 近時、調理において電磁調理器が普及しつゝあ
り、これに用いる鍋、やかんなども出現している
が、その材質は磁性金属である鉄、ニツケル、コ
バルト、およびそれらの合金（例えばステンレ
ス）その他鉄ほうろうなどであり、その内実用に
供されているものは、鉄、ステンレス、鉄ほうろ
うにほぼ限定されている。 一方、かゝる鉄製品は重量が大きく、取扱いに
不便であり、さびの発生や、金気による調理食品
への移行の問題があつて、一般家庭では必ずしも
歓迎されておらず、アルミニウム製品や銅製品が
軽量且つ美麗な点で依然として主流を占めてお
り、前記電磁調理器に用いるため、止むを得ず鉄
系の調理容器を用いている家庭が多い。 〔発明が解決しようとする問題点〕 前記、アルミニウム製品が、銅製品は軽量でか
つ美しく、使い易さの点で優れており、又高い熱
伝導性を持つことから、その普及率は大きいが電
磁調理器に使用出来ないことが欠点である。 本発明者等は調理容器の底部外面に磁性金属で
ある鉄板を単なるスポツト溶接により接合して電
磁調理器に使用することを試み、電磁調理器への
使用は一応可能であることを認めたが、かゝる調
理容器は、電磁調理器は勿論のこと、ガスコンロ
や電熱コンロで使用する場合にも、異種金属の貼
り合せのため、加熱による底部の歪みが生じ、こ
れに起因して接合部のゆるみや、層間剥離の現象
が生じて熱効率の低下につながることを見出し、
かゝる問題解決のため引続く試験研究の結果、本
発明を完成するに至つた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は非磁性金属で作られた容器の底部外面
に磁性金属板を接合するものであるが、該容器底
部外面に、磁性金属板を係止するための係止用突
起を溶着し、又、磁性金属板には上記係止用突起
の挿入孔と、加熱時における歪を吸収するための
孔とを設けるか、又は係止用突起の挿入孔と歪吸
収用孔とを兼用せしめるかのいずれかにより、係
止用突起を挿入孔又は兼用孔に挿入した後、該突
起のカシメ、或はスポツト溶接等により突起を利
用して磁性金属板を容器底部に係止するものであ
る。 この場合、容器底部外面に、接合せんとする磁
性金属板を嵌合しうる凹陥部を形成し、この凹陥
部に前記した係止用突起を溶着して上記の通りの
方法で磁性金属板を係止することにより、一層安
定して係止することが出来る。 本発明において、容器を構成する非磁性金属と
は本来電磁調理器に使用出来ない銅、アルミニウ
ムなどよりなるものであり、又磁性金属板は、
鉄、ニツケル或はその合金（例えばステンレス）
を挙げることが出来る。容器底部外面に形成する
係止用突起は、一般に鉄系の材料で作られた長さ
10mm以下、直径５〜10mm程度の短杆が好ましく使
用され、これらの突起は容器底部外面に適宜の数
で分散してスポツト溶接により溶着される。 又磁性金属板に設けられる挿入孔又は兼用孔
は、係止用突起に合致して配設するものであり、
歪吸収用孔を別途に設けるときは、かゝる挿入孔
の間に適宜設けられる。 この様な磁性金属板は、その挿入孔又は兼用孔
を容器に設けた前記突起に挿通して係止するので
あるが、これらは突起のカシメ又は溶接により遂
行される。 既述の通り係止用突起の挿入孔と歪吸収孔とを
兼用させるときの兼用孔は、次に述べる形式が推
奨される。 即ち、第４図に示す如く磁性金属板７の穴８の
周囲を容器の底部９に向けてテーパー状に拡開す
る様に仕上げて突起１０の頂部をカシメ又は溶着
するもので、磁性金属板７の底部９との熱膨脹差
による歪の発生をこれにより吸収することが出来
る。又第５図に示す如く磁性金属板１１の穴１２
の周囲に放射状の切込み１３を形成し突起１４を
挿入した後、突起の頂部をカシメ又は溶着により
磁性金属板の放射状切込み以外の部分に係止する
ことにより同様に歪の発生を防止することが出来
る。 〔作用〕 上記の通り、容器に突起を設け、この突起を利
用して磁性金属板を係止することで電磁誘導加熱
により充分効率的な加熱が可能であり、又歪吸収
の為の孔を磁性金属板に設けて容器に係止させる
ことにより、容器加熱時の異種金属の熱膨脹差
（容器本体に銅を用い底部に鉄板を係止したとき
は銅が鉄よりも熱膨脹が大きく容器底部の銅材の
熱膨脹に鉄板が追従し切れず銅材に歪が表われ
る。）により生ずる歪をこの歪吸収用孔が吸収し
て底部の非磁性金属に生ずる歪を防止するもので
ある。 〔実施例〕 以下に図面を引用して本発明を説明する。 第１図は本発明方法の容器製造例を示した容器
底部平面図、第２図は第１図のＡ−A′断面図で
ある。 これらにおいて底面径200mmφの銅鍋１の底部
外面に深さ１mmの凹陥部２を設け、この部分に
6.4mmφ高さ7.2mmの係止突起４の９ケをスポツト
溶接で取付けた。一方鉄板３には係止用突起より
もやゝ大きな径の孔４′を配設し、又5.0mmφの歪
吸収孔６を設けた。 そして鉄板３を凹陥部２に嵌入することで突起
４が挿入孔５に挿入され、次いで突起４の突出部
をプレスしてカシメることにより鉄板は銅鍋底部
に密着して係止された。 上記のようにして得た鍋の使用前の鍋底の形に
ついて第３図に示す通り、Ｘ方向とＹ方向との二
方向（矢視の方向）の表面凹凸形状を測定した。 測定機器は東京精密(株)製三次元座標測定機700
−3B型を用いた。 次いでこの鍋を用いて次の順序で試験を行なつ
た。 １） 電磁調理器による湯沸し試験。 鍋に水を２入れて電磁調理器により加熱
し、水が90℃に加熱されるまでの時間を測定
し、更に20分間加熱し、これを10回繰返した。 ２） ガスコンロによる湯沸し試験。 １）と同様の試験をガスコンロによつて実施
した。 ３） 空炊き試験 ガスコンロを用い内容物を入れずに約１分30
秒加熱し鍋測壁部の温度が200℃に達した後加
熱を中止した。 以上の試験を行ない、各試験時のＸ方向、Ｙ方
向の歪量（mm）を使用前の鍋を基準として比較し
た結果は下記第１表の通りであつた。

〔発明の効果〕

本発明方法によれば、容器の底部外面に設けた
突起を利用して非磁性金属の容器本体に磁性金属
板を係止することにより、本来軽量かつ美麗では
あるが電磁調理器には不向きであつた銅やアルミ
ニウムの容器を電磁調理器にも使用出来るように
した点で優れたものである。 又、磁性金属板に歪吸収のための孔を設けるこ
とにより非磁性金属の容器と磁性金属板との熱膨
脹差による歪の発生を吸収して電磁調理器は勿
論、ガスコンロ、電熱コンロなどの現在一般に使
用される調理用加熱器具のいずれにも充分な耐久
性を確保することが出来るものである。 更に容器底部が二重の層構造であることによ
り、容器の取扱いに際しての損傷にも充分に耐
え、又この部分からの熱放散が少く、これらの点
で本発明は優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明方法の容器製造例を示した容
器底部平面図、第２図は第１図Ａ−A′断面図で
ある。又第３図は、本発明方法で得た容器底部の
歪測定法の説明図である。又第４図は本発明方法
による磁性金属板の係止の態様を示した縦断面
図、第５図は同じく他の態様を示した平面図であ
る。 １…容器、２…凹陥部、３…磁性金属板、４，
１０，１４…係止用突起、５……挿入孔、６…歪
吸収孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 非磁性金属で作られた容器の底部外面に磁性
   金属板を接合することからなり、該容器の底部外
   面に係止用突起の複数を分散して溶着する一方、
   磁性金属板に上記係止用突起の挿入孔と歪吸収孔
   又は、それらの兼用孔を分散配設し、容器の係止
   用突起を磁性金属板の前記挿入孔又は兼用孔に挿
   入し、該突起を用いて磁性金属板を容器底部外面
   に係止することを特徴とする調理用又は飲食用容
   器の製造法。