JPH0249129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の三角窓等の回転窓のシール
構造に関するものである。

（従来技術） 従来より、第１図に示すように、自動車ドア１
の窓枠２の三角形状部分に、三角窓と俗称される
回転窓３を組付けたものはよく知られている。

この回転窓３は、通常、略四角形状のドアガラ
ス４との間を仕切る上下方向の仕切部材５と２つ
のサツシユ６，７とで形成した三角形状の窓枠８
に、三角形状のガラス９を上下２つの回転軸部材
１０，１１によつて決まる回転軸の廻りで回転自
在に支持したものである。

そして、かかる回転窓３では、窓枠８の内周に
沿つて、シールラバー１２が支持され、このシー
ルラバー１２と、内外のウエザーストリツプ（第
１図には図示せず）とによつて、シールが図られ
ている。

しかしながら、上記窓枠８の下辺を形成するサ
ツシユ７は、自動車ドア１の窓枠２を画成するド
アアウターパネルとドアインナーパネルとの間の
間隙に単に嵌入されているに過ぎず、サツシユ７
と、窓枠２との間の僅かな間隙を通してドア本体
内部のダストが室内側に侵入するといつた不具合
があつた。

これを解消するため、特公昭56−45804号公報
には、ドアインナーパネルを上記サツシユ７の下
側に廻り込ませ、ドアインナーパネルの端縁をド
アアウターパネルの端縁に接合し、これによつ
て、上記サツシユ７をその下側から包囲して、ド
ア本体内から侵入しようとするダストを遮蔽する
ようにしたものが開示されている。

しかしながら、このものでは、ドアインナーパ
ネルの加工が困難で、しかもドアアウターパネル
と窓枠部で接合しなければならないため、接合作
業が困難になるといつた不具合がある。

また、上記の構造では、ドアインナーパネルに
表装するトリムの上端縁部の処理が困難となる。

（考案の目的） 本考案の目的は、回転窓の窓枠とドアインナー
パネルとの間にドア本体内部と連通する間隙が存
在する場合でも、ドア本体内部から車室内に侵入
しようとするダストを確実にシールすることがで
き、しかもトリムの上端縁部の処理が容易に行え
る回転窓のシール構造を提供することにある。

（考案の構成） このため本考案は、アウターパネルとインナー
パネルとによつて形成されるドア本体の上部に窓
枠が設けられ、この窓枠には回転軸を介して回転
するガラスが設けられ、該窓枠の全周部にシール
ラバーを設けた自動車の回転窓のシール構造であ
つて、上記インナーパネルの上端部には、下方向
に折曲した下向き折曲部が形成され、このインナ
ーパネルの表面側には、該インナーパネルを覆う
トリムが配設されており、このトリムには、上記
インナーパネルの下向き折曲部に沿つて設けられ
る折曲部が形成され、上記シールラバーのインナ
ーパネル側の側面は、インナーパネルの下向き折
曲部との間にトリムの下向き折曲部を挿入可能な
間隙を有するように形成されていて、該側面に
は、インナーパネルに向かつて伸び、自然状態で
は上向きに反つた第１リツプと自然状態では下向
きに反つた第２リツプとが上下方向に間隔をあけ
て設けられており、下方に設けられる第１リツプ
はインナーパネルの下向き折曲部の縦面部の下部
に上向きに反つた状態で弾性的に当接され、上方
に設けられる第２リツプの先端部は、上記トリム
の下向き折曲部が上記間隙から挿入された状態
で、下向きに反つた状態で弾性的に上記トリムの
下向き折曲部の縦面部に当接されていることを特
徴とする自動車の回転窓のシール構造を提供する
ものである。

（考案の効果） 本考案によれば、第１、第２リツプによつて回
転窓の窓枠部とドアインナーパネルとの間が２重
にシールされるため、ドア本体内部からのダスト
を確実にシールすることができるので、シール性
が向上する。

そのうえ、シール性の向上により、ドアインナ
ーパネルで回転窓のシール構造の下側を囲う必要
がなくなり、ドアインナーパネルの加工が簡単に
行え、ドアアウターパネルとの接合も不要とな
る。

また、シールラバーのインナーパネル側の側面
とインナーパネルの下向き折曲部との間にトリム
の下向き折曲部を挿入可能な間隙を設けたので、
回転窓の組付後にトリムを装着することができ、
回転窓とドアガラスとの折り合いの調整が支障な
く行える。

さらに、第１リツプを上向きに反つた形状とす
る事により、ドアインナーパネルに第１リツプを
干渉させることなしに回転窓をスムーズに装着す
ることができる一方、第２リツプを下向きに反つ
た形状とすることにより、トリムの下向き折曲部
の挿入もスムーズに行え、全体として、回転窓の
組付け、トリムの組付けをスムーズに行える。

さらに、また、左右方向に延びる第１、第２リ
ツプを上下方向に間隔をあけて設けたので、サツ
シユとシールラバーとの間やドアパネルとの間で
組付けのバラツキが生じたとしても、これを容易
に吸収してシール性を確保することができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を具体的に説明する。

第２図に第１図のＡ−Ａ線方向の拡大断面図を
示すように、ドア本体１３を形成するドアアウタ
ーパネル１４とドアインナーパネル１５の各下向
き折曲部１４ａ，１５ａ間に形成された間隙１６
には、回転窓３の窓枠８を形成するサツシユ７
（第１図参照）が遊嵌されており、このサツシユ
(7)の内周部には、三角ガラス９が回転自在に軸支
されるとともに本考案にかかるシールラバー１７
が取付けられている。なお、第２図において、シ
ールラバー１７は本来の形状が理解しやすいよう
に、自然状態のまま表示している。

このシールラバー１７は、その外周部（下部）
がサツシユ７に噛み込まれた状態で取付けられて
おり、内周部には三角ガラス９の周辺部にその内
外から弾性的に圧接する外、内のシール縁１７
ａ，１７ｂが形成されている。また、シールラバ
ー１７の外側は、ドアアウターパネル１４にクリ
ツプ１８によつて止着されたモール１９に一体的
に取付けられたウエザーストリツプアウター２０
のシール片２０ａ，２０ｂによつてシールされ
る。一方、シールラバー１７の内側面１７ｓは、
シールラバー１７の取付け状態において、ドアイ
ンナーパネル１５の下向き折曲部１５ａとの間
に、ドアトリム２１の上端縁部を下向きに折曲げ
た状態で挿入するための間隙１６ａを有するよう
に形成されていて、ドアインナーパネル１５の下
向き折曲部１５ａに沿つて上記間隙１６ａに挿入
されたドアトリム２１の下向き折曲部に一体的に
取付けられたウエザーストリツプインナー２２の
シール片２２ａによつてシールされる。そして、
シールラバー１７の内側面７ｓの下部には、自然
状態では上向きに反つており、サツシユ７の装着
に際しては、さらに上向きに反つて、ドアインナ
ーパネル１５の下向き折曲部１５ａの下部に弾性
的に当接する第１リツプ２３と、自然状態では下
向きに反つており、ドアトリム２１の装着に際し
ては、さらに下向きに反つて、ドアトリム２１の
下向き折曲部に取付けたウエザーストリツプイン
ナー２２の下部に弾性的に圧接する第２リツプ２
４とを一体に形成し、ドアインナーパネル１５の
折曲部１５ａとシールラバー１７の内側面１７ｓ
との間の間隙１６ａを、これら第１、第２リツプ
２３，２４によつて２重にシールする。

このため、三角ガラス９の内側の空間即ち車室
Ａは、ドア本体１３の内部空間Ｂに対して完全に
シールされ、内部空間Ｂからのダストの侵入が完
全に防止される。

なお、シールラバー１７の外側の側面にも、ウ
エザーストリツプアウター２０の内壁面に当接す
るリツプ２５を設ければ、雨水等のドア本体１３
内への侵入を防止するうえで有効であり、また内
側の側面上部には、ウエザーストリツプインナー
２２の上側のシール片２２ａと協働するいま一つ
のシール部１７ｃを設けることが好ましい。

また、ドアガラス４に対しては、第２図に仮想
線で形状を示すように、ドアガラス４を両側から
挟みつけるように長く延びたシール片２０′ａ，
２０′ｂ，２２′ａ，２２′ｂを設け、上下方向に
昇降されるドアガラス４の内外から圧接して、ド
アガラス４に付着した雨水等に対して、ドア本体
１３内部をシールするようにしている。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転窓を示す自動車のドアの要部説明
図、第２図は本考案の実施例を示す第１図のＡ−
Ａ線方向の拡大断面図である。 ３……回転窓、８……窓枠、１０，１１……回
転軸部材、１３……ドア本体、１４……ドアアウ
ターパネル、１５……ドアインナーパネル、１７
……シールラバー、２１……ドアトリム、２３…
…第１リツプ、２４……第２リツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アウターパネルとインナーパネルとによつて形
   成されるドア本体の上部に窓枠が設けられ、この
   窓枠には回転軸を介して回転するガラスが設けら
   れ、該窓枠の全周部にシールラバーを設けた自動
   車の回転窓のシール構造であつて、上記インナー
   パネルの上端部には、下方向に折曲した下向き折
   曲部が形成され、このインナーパネルの表面側に
   は、該インナーパネルを覆うトリムが配設されて
   おり、このトリムには、上記インナーパネルの下
   向き折曲部に沿つて設けられる折曲部が形成さ
   れ、上記シールラバーのインナーパネル側の側面
   は、インナーパネルの下向き折曲部との間にトリ
   ムの下向き折曲部を挿入可能な間隙を有するよう
   に形成されていて、該側面には、インナーパネル
   に向かつて伸び、自然状態では上向きに反つた第
   １リツプと自然状態では下向きに反つた第２リツ
   プとが上下方向に間隔をあけて設けられており、
   下方に設けられる第１リツプはインナーパネルの
   下向き折曲部の縦面部の下部に上向きに反つた状
   態で弾性的に当接され、上方に設けられる第２リ
   ツプの先端部は、上記トリムの下向き折曲部が上
   記間隙から挿入された状態で、下向きに反つた状
   態で弾性的に上記トリムの下向き折曲部の縦面部
   に当接されていることを特徴とする自動車の回転
   窓のシール構造。