JPH0244759B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、過負荷状態における捲上げ方向へ
の回転を自動的に防止するレバー式捲上機に関す
る。

（従来の技術） 従来の捲上機として、特開昭60−202093号公報
に開示されたものを提案している。この公報に開
示された装置は、ロードシーブを保持する一対の
側板の一方から突出する駆動軸のねじ部に被駆動
部材と押圧駆動部材とが螺合され、他方の側板か
ら突出する駆動軸には、減速歯車系列を介してロ
ードシーブを回転する駆動用ピニオンが設けられ
ている。押圧駆動部材側に突出される、被駆動部
材のボス部には、両側面を摩擦板によつて挟着さ
れた爪車がこれに係合する逆転防止爪により捲上
げ方向にのみ回転可能に保持されている。

押圧駆動部材には、回転駆動部材（手鎖車）が
円錐状摩擦リングで一定押圧力により押圧挟持さ
れている。

回転駆動部材には手鎖が巻き掛けられており、
この手鎖を操作することにより、回転駆動部材を
介して駆動軸を捲上げまたは捲下げ方向に回転す
ることが行なわれていた。

（発明が解決しようとする問題点） 前記従来例の装置では、過負荷の状態で荷物の
捲上げを行なおうとすると、操作レバーの往復回
動により駆動部材、摩擦板を介して爪車に加えら
れる回転トルクよりも過負荷により駆動軸を介し
て被駆動部材を駆動部材に押圧する押圧力が大き
くなり、回転駆動部材が円錐状摩擦リング上を空
転するから、定格荷重以上の過負荷の捲上げは、
自動的に防止される。

そして、この構成では、過負荷以下での捲上げ
あるいは捲下げを行う限りにおいては問題がな
い。また過負荷以上の捲上げを行うと回転駆動部
材が円錐状摩擦リングの上をスリツプすることに
より安全性が保たれる。

しかしながら、過負荷以下の荷重で捲上げて使
用している後に使用途中の事情により、駆動軸に
過負荷以上の荷重が掛かる場合がある。

例えば、トラツクの荷物に掛けられたロープの
捲締めなどにこの捲上機が使用された場合におい
て、トラツクの振動や荷物の移動などによりロー
ドシーブに過負荷が作用したり、吊り下げられた
荷物に不測の外力が作用して過負荷状態になつた
りすると、ロードシーブが駆動軸を回転しようと
する力により、駆動部材は摩擦板に強く押圧され
る。

このため、回転駆動部材の捲下げ方向の回転に
よりロードシーブを捲下げ（捲締め）方向に回転
しようとしても、回転駆動部材に加えられる回転
トルクよりも、摩擦板が回転駆動部材の回転を阻
止する回転トルクの方が大きくなり、回転駆動部
材が円錐状摩擦リングの上をスリツプしてロード
シーブを捲下げ（巻緩め）方向に回転することが
できない。

それ故、一旦このような状態になつたときは、
ロープを緩めることができず、やむを得ず荷物に
掛けているロープを切断しなければならないた
め、危険であつた。

（問題点を解決するための手段） この発明は前記問題点を解決すべくなされたも
ので、 ロードシーブに連結される駆動軸に受圧部材が
固定され、 一方向にのみ回転可能とされた逆転防止輪が駆
動軸に回転自在に嵌挿され、 駆動軸に押圧部材が螺合され、 押圧部材は、捲上げ方向に回転したとき逆転防
止輪を受圧部材に対し強固に押圧制動可能とさ
れ、 押圧部材に向い合つて摩擦リングが配され、 摩擦リングは、押圧部材に対して、軸方向には
移動可能で、かつ、周方向には回転不可能とさ
れ、 押圧部材と摩擦リングとの間に駆動輪が回転可
能に配され、 摩擦リングは、押圧部材との間に駆動輪を一定
圧で押圧するように付勢され、 駆動軸に対して回転自在に、操作輪が設けら
れ、 操作輪に、操作輪係合部が形成され、 摩擦リングに、該操作輪係合部と係合可能なリ
ング係合部が形成され、 駆動輪に、操作輪係合部と係合可能な駆動輪係
合部が形成され、 駆動輪を捲上げ方向に回転するときは、操作輪
係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部の双方
もしくは一方と係合不能とされて、駆動輪と摩擦
リングとは相対的に回転可能とされ、 駆動輪を捲下げ方向に回転するときは、操作輪
係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部に係合
し、駆動輪と摩擦リングとが操作輪を介して一体
に回転することを特徴とする 捲上機 である。

逆転防止輪は、駆動輪に直接嵌挿されてもよい
が、駆動輪に固定された受圧部材に嵌挿されても
よい。摩擦リングは平板状でもよいが、円錐状で
あるのが好ましい。

駆動輪は、周面に歯車あるいはチエーン歯車が
形成される。

「駆動輪を捲上げ方向に回転するときは、操作
輪係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部の双
方もしくは一方と係合不能とされて、駆動輪と摩
擦リングとは相対的に回転可能とされ」というの
は、リング係合部及び駆動輪係合部のいずれか、
あるいは両方が、駆動輪を捲上げ方向に回転する
とき操作輪係合部と係合し得ず容易に外れるよう
にしておくことである。

（作用） 駆動輪がロードシーブに連結されていることに
より、駆動輪が回転されるとロードシーブが回転
される。

駆動軸に固定された受圧部材に逆転防止輪が押
圧部材によつて押圧制動可能とされ、しかも押圧
部材は駆動輪に螺合されているので、押圧部材が
回転されることによつて、逆転防止輪が押圧制動
され、駆動軸の逆転が防止される。

押圧部材に対して、摩擦リングが周方向には回
転不可能とされていることにより、摩擦リングは
押圧部材と共に回転する。

摩擦リングと押圧部材との間に駆動輪が回転可
能に配され、しかも摩擦リングが押圧部材との間
に駆動輪を一定圧で押圧するように付勢されてい
ることにより、駆動軸にかかる負荷が一定値まで
は、駆動輪は空転しないが、駆動軸にかかる負荷
が一定値を越えると駆動輪は、押圧部材と摩擦リ
ングとの間において空転し、これによつて過負荷
での捲上げを防止する。

操作輪に形成された操作輪係合部が、摩擦リン
グに形成されたリング係合部、及び、駆動輪に形
成された駆動輪係合部の両方と係合可能とされ、
しかも、駆動輪を捲下げ方向に回転するときは駆
動輪と摩擦リングとが操作輪の係合部を介して一
体に回転するようになされていることにより、駆
動軸に過負荷がかかつた場合にも、操作輪係合部
が、リング係合部及び駆動輪係合部に係合するこ
とにより駆動輪の回転が摩擦リングに伝わり、さ
らに押圧部材に伝わつて、押圧部材を捲下げ方向
に回転させ、これによつて駆動軸を捲下げ方向に
回転させることができる。

逆に、駆動輪を捲上げ方向に回転するときは、
操作輪係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部
の双方もしくは一方と係合不能とされて、駆動輪
と摩擦リングとは相対的に回転可能とされている
から、駆動輪を捲上げ方向に回転しているときに
駆動軸に過負荷が作用し、押圧部材および摩擦リ
ングが回転を停止したときには、駆動輪は摩擦リ
ング上をスリツプして空転することができ、過負
荷による捲上げは防止される。

（実施例） 第１図において、一定の間隔で平行に保持され
た側板１，２の中央部には、ロードシーブ３が軸
受４，４を介して回転自在に枢支されている。

ロードシーブ３は、その中心部に軸孔３ａが設
けられていて、この軸孔３ａには、駆動軸５が挿
通されている。駆動軸５の両端はロードシーブ３
より外方に突出しており、その一端側突出部外周
には、側板２に近い方から順に大きさが小さくな
るねじ部５ａ、スプライン部５ｂ、小径ねじ部５
ｃが形成されている。ねじ部５ａは大ピツチに形
成されている。

また、駆動軸５の図示しない他端側突出部に
は、ピニオン歯車が連設され、ロードシーブ３
は、このピニオン歯車と噛合う減速歯車系列を介
して回転される。

駆動軸５のねじ部５ａには、側板２に近い方か
ら受圧部材６と押圧部材７とが螺合されている。
受圧部材６はねじ部５ａの一番奥まで螺合されて
いる。受圧部材６には、外側の押圧部材７側に突
出するボス部６ａと、ボス部６ａの周囲のデイス
ク部が形成されている。このボス部６ａに、一対
の摩擦部材８，９とその間に挟着された爪車１０
とを保持している。

爪車１０は、一方向にのみ回転可能とされた逆
転防止輪を構成する。爪車１０とその両側に位置
する摩擦部材８，９は、受圧部材６と対向する押
圧部材７により受圧部材６のデイスク部６ｂに押
圧される。１１は側板２に枢支されたラチエツト
爪で、このラチエツト爪１１は爪車１０と係合し
て爪車１０をロードシーブ３の捲上げ方向にのみ
回転可能に係止する。

押圧部材７は、受圧部材６と反対側に径の大き
な第１ボス部７ａと径の小さな第２ボス部７ｂと
が設けられている。第１ボス部７ａは、円周方向
に等間隔で複数個の凹部７ｃが軸方向に形成さ
れ、第２ボス部７ｂには、ねじ７ｄが形成されて
いる。押圧部材７の各凹部７ｃには、円錐状摩擦
リング１２の貫通孔１２ａから中心方向に突出さ
れた凸部１２ｂが係合され、両者は軸方向にのみ
移動可能で周方向には係合するようになつている
（第４図、第５図）。円錐条摩擦リング１２は本発
明の摩擦リングの一例である。

円錐状摩擦リング１２は、押圧部材７から離れ
る方向に外径が大きくなる円錐形であつて、径の
大きい端面側に凹孔１２ｃが設けられている。凹
孔１２ｃ内に第２ボス部７ｂが位置する。

第２ボス部７ｂには、外周端を凹孔１２ｃの底
面に接触する皿形ばね１３が挿通され、該皿形ば
ね１３は、その内周端に接触する座金１４を介し
て、第２ボス部７ｂに形成されたねじ７ｄに螺合
されるナツト１５により止められる。円錐状摩擦
リング１２の先端側には、貫通孔１６ｃの内面が
円錐面とされた駆動歯車１６が介在されている。
駆動歯車１６が本発明の駆動輪を構成する。

円錐状摩擦リング１２は、駆動歯車１６の円錐
面を押圧部材７の方に皿ばね１３によつて設定さ
れた力で押圧する。皿ばね１３による押圧力の調
整は、ナツト１５により行う。調整を行つたのち
は、座金１４の外周に形成された突部をナツト１
５の切り欠き状係止位置に折り曲げ、固定する。
座金１４は、押圧部材７の第２ボス部７ｂの側面
に形成された凹孔７ｅによつて回転しないよう保
持されている。

円錐状摩擦リング１２は、大径側端面に、リン
グ係合部１２ｄが１乃至数カ所形成されている。
リング係合部１２ｄは、周方向両端が端面とほぼ
直角をなし、外周円錐面を駆動歯車１６の内周円
錐面に嵌合したとき、駆動歯車１６の端面（第１
図で右側の端面）より内側（第１図で左）に入り
込むように設けられている。

これに対し、駆動歯車１６には、円錐状摩擦リ
ング１２の各リング係合部１２ｄと対応する位置
に、駆動輪係合部１６ａが形成されている。この
駆動輪係合部１６ａは、台形状であつて、捲上げ
方向先端側が端面とほぼ直角に形成され、捲上げ
方向後端側が端面と鋭角となる傾斜面１６ｂに形
成されている。

円錐状摩擦リング１２と駆動歯車１６に対向し
て、操作輪１７が配置されている。

操作輪１７には、リング係合部１２ｄ、駆動輪
係合部１６ａに緩やかに嵌まり込む操作輪係合部
１７ａを突設している。操作輪１７は、中央部に
円形の凹穴１７ｂとそれより小径の貫通孔１７ｃ
とが設けられている。この貫通孔１７ｃには、駆
動軸５のスプライン部５ｂに係合されたばね押え
部材１８が挿通される。そして、操作輪１７は、
このばね押え部材１８の外径上を回転自在とされ
る。

１９は駆動軸５の小径ねじ部５ｃに螺合された
ナツトで、このナツト１９は、ばね押え部材１８
が駆動軸５から脱落するのを防止する。ばね押え
部材１８は、外端寄りの外径が大きくなつていて
操作輪１７の凹穴１７ｂの内周面内に回転自在に
嵌合されたとき、操作輪１７の内周面との間に閉
鎖された環状空間部２０を形成している。ばね押
え部材１８に嵌合された操作輪１７は、環状空間
部２０に装着されたばね２１により駆動歯車１６
の方に押圧されている。

押圧部材７と操作輪１７の外周には、駆動歯車
１６を取り囲み、駆動軸５のまわりに回転自在な
操作レバー２２が設けられている。２３は操作レ
バー２２内に収納された切換え爪で、この切換え
爪２３は、操作レバー２２から外側に突出する軸
２４に固着された把手２５により、駆動歯車１６
との捲上げおよび捲下げ方向の係合、および係合
解除が行われる。第１図および第２図は、切換え
爪２３の係合解除の状態を示しており、把手２５
を第２図の実線で示す位置より二点鎖線で示す位
置まで時計方向に回転すると、切換え爪２３は、
駆動歯車１６を捲上げ方向に回転するよう駆動歯
車１６と係合される（第３図）。把手２５を第２
図の実線で示す位置より反時計方向に二点鎖線で
示す位置まで回転すると、切換え爪２３は、駆動
歯車１６を捲下げ方向に回転するよう係合され
る。２６は操作レバー２２内に装着された付勢部
材で、該付勢部材２６は、ばね２７によつて切換
え爪２３に常時押圧され、把手２５により所定の
位置に回転された切換え爪２３をその状態に保持
する。

次に実施例の動作と作用効果について説明す
る。

駆動歯車１６が捲上げ方向に回転されるよう切
換え爪２３を係合させて操作レバー２２を往復回
動させると、設定された定格荷重内では、駆動歯
車１６と摩擦係合された円錐状摩擦リング１２は
一体的に回転し、円錐状摩擦リング１２と凹凸部
によりスプライン結合された押圧部材７を介して
駆動軸５を捲上げ方向（第１図を右からみて時計
方向）に回転し、図示していない歯車系列によつ
てロードシーブ３を駆動軸５と同方向に回転し、
定格荷重内の荷重を捲上げる。

ロードシーブ３に作用する負荷が過負荷の場
合、操作レバー２２の往復回動によつて荷重を捲
上げようとしても、駆動歯車１６の回転に要する
回転力が、円錐状摩擦リング１２と駆動歯車１６
との間に作用する摩擦力よりも大きくなり両者の
間に滑りを生ずる。

しかも、この状態で駆動歯車１６が操作レバー
２２により捲上げ方向に回転されると、操作輪係
合部１７ａによりリング係合部１２ｄと駆動輪係
合部１６ａとに係合している操作輪１７は、操作
輪係合部１７ａが駆動輪係合部１６ａの傾斜面１
６ｂにより、ばね２１の付勢力に抗して駆動歯車
１６と端面と接触する位置まで押し出され、駆動
歯車１６との係合だけが解除される（第７図）。

これによつて、過負荷が作用している状態で操
作レバー２２を往復回動しても、操作輪１７との
係合を解除された駆動歯車１６は、円錐状摩擦リ
ング１２に対して空回りし、過負荷の捲上げに伴
う装置の損傷は、自動的に防止される。

これに対し、切換え爪２３を捲下げ方向に切換
えて操作レバー２２を往復回動させると、切換え
爪２３と係合する駆動歯車１６は捲下げ方向（反
時計方向）に回転される。

このとき、操作輪係合部１７ａを介して駆動歯
車１６と係合させている操作輪１７は、駆動輪係
合部１６ａの捲上げ方向先端側の面（駆動歯車の
端面と直角な面）に操作輪係合部１７ａが係合す
ることにより駆動歯車１６と同一方向に強制的に
回転される（第６図）。

なお、操作輪係合部１７ａと駆動輪係合部１６
ａとが向かい合う位置になく、係合状態にない場
合（第７図）、駆動歯車１６の回転により駆動輪
係合部１６ａが操作輪係合部１７ａと対向する位
置にくるまでスリツプして回転し、両係合部が対
向する位置に駆動歯車が回転すると、ばね２１に
より押圧されている操作輪１７が駆動歯車１６側
に押され、操作輪係合部１７ａが駆動輪係合部１
６ａと係合する（第６図）。係合した後は、操作
輪１７は駆動歯車１６の回転に従つて同一方向に
回転される。

操作輪１７と円錐状摩擦リング１２とは、操作
輪係合部１７ａとリング係合部１２ｄとによつて
係合しているから、操作輪１７が駆動歯車１６と
一体に回転されると、円錐状摩擦リング１２も同
じ捲下げ方向に回転する。

そして、円錐状摩擦リング１２とスプライン結
合されている押圧部材７も同じ捲下げ方向に強制
的に回転されることとなり、押圧部材７は、摩擦
部材９から離れる方向に移動されて摩擦部材９を
押圧しなくなる。

爪車１０との摩擦結合を解除された受圧部材６
は、ロードシーブ３に作用している荷重によつて
駆動軸５とともに捲下げ方向に回転される。

駆動軸５の回転は、切換え爪２３と係合してい
る駆動歯車１６を介して回転を阻止されている押
圧部材７が、摩擦部材９の方に移動し、摩擦部材
を強く押圧するまで継続され、荷重を捲下げ方向
に移動する。

実際は一回の捲下げ回動による捲下げ量はわず
かであるが、これを繰り返し行うことにより、過
負荷を解消することができる。

以上により、吊り下げられた定格内の荷重に不
測の力が作用して過負荷状態になつたり、トラツ
クその他の荷締めに使用されていてトラツクの横
振れにより捲上機に過負荷が作用した場合にも、
操作レバー２２により駆動歯車１６を捲下げ方向
に回転させて、ロードシーブ３に吊り下げられた
過負荷を下方に移動したり、ロードシーブ３に作
用している過負荷状態の荷締めを緩めることがで
きる。

（発明の効果） この発明は、 ロードシーブに連結される駆動軸に受圧部材が
固定され、 一方向にのみ回転可能とされた逆転防止輪が駆
動軸に回転自在に嵌挿され、 駆動軸に押圧部材が螺合され、 押圧部材は、捲上げ方向に回転したとき逆転防
止輪を受圧部材に対し強固に押圧制動可能とさ
れ、 押圧部材に向い合つて摩擦リングが配され、 摩擦リングは、押圧部材に対して、軸方向には
移動可能で、かつ、周方向には回転不可能とさ
れ、 押圧部材と摩擦リングとの間に駆動輪が回転可
能に配され、 摩擦リングは、押圧部材との間に駆動輪を一定
圧で押圧するように付勢され、 駆動軸に対して回転自在に、操作輪が設けら
れ、 操作輪に、操作輪係合部が形成され、 摩擦リングに、該操作輪係合部と係合可能なリ
ング係合部が形成され、 駆動輪に、操作輪係合部と係合可能な駆動輪係
合部が形成され、 駆動輪を捲上げ方向に回転するときは、操作輪
係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部の双方
もしくは一方と係合不能とされて、駆動輪と摩擦
リングとは相対的に回転可能とされ、 駆動輪を捲下げ方向に回転するときは、操作輪
係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部に係合
し、駆動輪と摩擦リングとが操作輪を介して一体
に回転することを特徴とする捲上機であるので、
定格荷重内にて使用中に、不測の衝撃荷重や荷崩
れによる負荷などによつて過負荷がかかつたまま
の状態となつた場合にも捲下げ操作を行つてロー
ドシーブを緩めることができ、しかも、部品数が
あまり増加しないので軽量化を妨げないと共に組
み立ても容易で量産化をも可能とするものであ
り、さらに過負荷での捲上げを防止する作用効果
を損なうことがない。

すなわち、駆動軸に螺合された押圧部材と、押
圧部材に対しスプライン結合された摩擦リングと
の間に駆動輪が回転可能に配されると共に駆動軸
に対して回転自在に操作輪が設けられ、駆動輪を
捲下げ方向に回転するときは、操作輪に形成され
た操作輪係合部が摩擦リングに形成されたリング
係合部及び駆動輪に形成された駆動輪係合部に係
合し、駆動輪と摩擦リングとが操作輪を介して一
体に回転するので、使用中にロードシーブに過負
荷がかかつて押圧部材が逆転防止輪を強固に押圧
制動し、駆動輪と摩擦リングとの間の摩擦力より
も大きなトルクが発生した場合にも、駆動輪の捲
下げ力を操作輪を介して摩擦リングに伝え、さら
に押圧部材に伝えることによつて押圧部材を緩め
ることができ、荷物を降ろしたり、あるいは荷物
の緊縛状態を緩めたりすることができる。

しかも、駆動輪を捲下げ方向に回転して緩める
のでロープを切断する必要がなく、安全である。

また駆動軸に操作輪を設けることにより実施で
きるので部品数の増加も少なく軽量化においても
支障がない。

さらに、駆動輪に駆動輪係合部を、摩擦リング
にリング係合部をそれぞれ形成すると共に、操作
輪係合部を形成した操作輪を駆動軸に設けること
によつて製造できるので、組み立ても容易で、工
程数もほとんど増加せず、量産化にも適するもの
である。

さらにまた、ロードシーブに連結される駆動軸
に受圧部材が固定され、一方向にのみ回転可能と
された逆転防止輪が駆動軸に回転自在に嵌挿さ
れ、駆動軸に押圧部材が螺合され、押圧部材は、
捲上げ方向に回転したとき逆転防止輪を受圧部材
に対し強固に押圧制動可能とされ、押圧部材に向
い合つて摩擦リングが配され、摩擦リングは、押
圧部材に対して、軸方向には移動可能で、かつ、
周方向には回転不可能とされ、押圧部材と摩擦リ
ングとの間に駆動輪が回転可能に配され、摩擦リ
ングは、押圧部材との間に駆動輪を一定圧で押圧
するように付勢されているため、駆動輪を捲上げ
方向に回転して過負荷状態のロードシーブを回転
しようとすると、駆動輪と摩擦リングとの間の摩
擦力によつて駆動軸を回転する回転トルクより
も、負荷が駆動軸を停止させようとするトルクの
方が大きくなり駆動輪は摩擦リング上をスリツプ
回転しようとするものであつて、しかも、駆動輪
を捲上げ方向に回転するときは、操作輪係合部
が、リング係合部及び駆動輪係合部の双方もしく
は一方と係合不能とされて、駆動輪と摩擦リング
とは相対的に回転可能とされているので、駆動輪
が摩擦リング上をスリツプ回転することは妨げら
れることがなく、これによつて過負荷状態におけ
る捲上げは防止され、捲上機の損傷あるいは間違
つて過負荷を捲上げることによる危険を予防でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の要部縦断面図、
第２図は操作輪側から見た操作レバーの正面図、
第３図は駆動歯車と切換え爪との係合関係を一部
断面で示した正面図、第４図は押圧部材をボス側
から見た平面図、第５図は円錐状摩擦リングを大
径側から見た平面図、第６図は円錐状摩擦リン
グ、駆動歯車および操作輪が一体に回転される場
合の係合状態を示す平面図、第７図は駆動歯車が
円錐状摩擦リングと操作輪に対して空回りする場
合の係合状態を示す平面図、第８図は分解斜視図
である。 １，２……側板、３……ロードシーブ、５……
駆動軸、５ａ……ねじ部、６……受圧部材、６ａ
……ボス部、７……押圧部材、７ａ……第１ボス
部、７ｂ……第２ボス部、８，９……摩擦部材、
１０……爪車（逆転防止輪）、１２……円錐状摩
擦リング（摩擦リング）、１２ｄ……リング係合
部、１３，２１……付勢部材、１５……ナツト、
１６……駆動歯車（駆動輪）１６ａ……駆動輪係
合部、１６ｃ……円錐状の貫通孔、１７……操作
輪、１７ａ……操作輪係合部、１８……ばね押え
部材、２２……操作レバー、２３……切換え爪。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ロードシーブに連結される駆動軸に受圧部材
   が固定され、 一方向にのみ回転可能とされた逆転防止輪が駆
   動軸に回転自在に嵌挿され、 駆動軸に押圧部材が螺合され、 押圧部材は、捲上げ方向に回転したとき逆転防
   止輪を受圧部材に対し強固に押圧制動可能とさ
   れ、 押圧部材に向い合つて摩擦リングが配され、 摩擦リングは、押圧部材に対して、軸方向には
   移動可能で、かつ、周方向には回転不可能とさ
   れ、 押圧部材と摩擦リングとの間に駆動輪が回転可
   能に配され、 摩擦リングは、押圧部材との間に駆動輪を一定
   圧で押圧するように付勢され、 駆動軸に対して回転自在に、操作輪が設けら
   れ、 操作輪に、操作輪係合部が形成され、 摩擦リングに、該操作輪係合部と係合可能なリ
   ング係合部が形成され、 駆動輪に、操作輪係合部と係合可能な駆動輪係
   合部が形成され、 駆動輪を捲上げ方向に回転するときは、操作輪
   係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部の双方
   もしくは一方と係合不能とされて、駆動輪と摩擦
   リングとは相対的に回転可能とされ、 駆動輪を捲下げ方向に回転するときは、操作輪
   係合部が、リング係合部及び駆動輪係合部に係合
   し、駆動輪と摩擦リングとが操作輪を介して一体
   に回転することを特徴とする 捲上機。