JPH0243847Y2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0243847Y2
JPH0243847Y2 JP9399686U JP9399686U JPH0243847Y2 JP H0243847 Y2 JPH0243847 Y2 JP H0243847Y2 JP 9399686 U JP9399686 U JP 9399686U JP 9399686 U JP9399686 U JP 9399686U JP H0243847 Y2 JPH0243847 Y2 JP H0243847Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating layer
fluorine
vinyl ether
weld
fluoropolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP9399686U
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63110540U (ja
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority to JP9399686U priority Critical patent/JPH0243847Y2/ja
Publication of JPS63110540U publication Critical patent/JPS63110540U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JPH0243847Y2 publication Critical patent/JPH0243847Y2/ja
Expired legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、金属の溶接部構造に係り、特に溶接
部をフツ素系重合体からなる被覆層で覆つた溶接
部構造に関する。
〔従来の技術〕
従来より屋根材としてトタン板、銅板、ステン
レス板等が使用されているが、これらは一定の大
きさのものを複数溶接して使用される。
トタン板は亜鉛メツキを施してあるため、施工
後一定期間はペンキを塗らなくとも良いものとさ
れている。
また、銅板は表面に酸化皮膜が形成されて保護
されるので、何の塗装も施さずそのまま使用する
ことが多い。
ステンレス鋼は、その種類によりマルテンサイ
ト系、フエライト系、オーステナイト系に大別さ
れ、その表面が水分や液状媒質に触れて腐食され
ると、表面に薄いがしかし強固でち密な酸化皮膜
ができ、それが鋼を保護してそれ以上の腐食の進
行を防止するので、一般に耐食性に優れているも
のとされている。このようなことから、実開昭60
−15466号公報の記載中にもあるように、最近ス
テンレス鋼板が屋根材として多く用いられるよう
になり、耐食性に優れていることを理由に特に塗
装を施す必要がないものとして用いられている。
〔考案が解決しようとする問題点〕
しかし、銅板やステンレス鋼を保護する酸化皮
膜は、酸化皮膜であるがゆえに硝酸のような酸化
性の酸には強いが、非酸化性の酸には弱く、この
点、ステンレス鋼といえども腐食防止手段を講じ
る必要がある。
また、金属の溶接部分では溶接熱の影響で金属
の組織変化が生じ、ぜい化や耐食性の悪化が生じ
るようになる。その例をステンレス鋼についてみ
ると、オーステナイト系Cr−Niステンレス鋼を、
溶着金属(溶接棒)を用いて溶接した場合、第3
図に示すように、溶着金属aに隣接して粗粒化さ
れてはいるが固溶化熱処理温度以上に加熱された
領域bが形成され、さらに、その外側に480〜680
℃に加熱されてある程度炭化物の粒界析出を起こ
した部分cが生じる。この粒界析出部cが腐食性
雰囲気中で使用されると粒界腐食を生じ、いわゆ
る溶接部腐食(Weld decay)を起こす。従つ
て、このような粒界析出部cを腐食性雰囲気から
保護する必要がある。
また、溶接棒を用いて溶接した場合、溶着金属
は化学成分と顕微鏡組織の異なる材質が集まつて
いるので、母材に比べて耐食性が低下し、溶接部
に選択的腐食が起こることが多い。
さらに、ステンレス鋼は高価なので、高級なオ
ーステナイト系Cr−Ni鋼の使用はなるべく局限
して、その他をより安価なステンレス鋼で代用す
ることが多く、このような異種金属の溶接では溶
着金属は母材のためにその化学成分が希釈され、
耐食性に問題を生ずる場合がある。
本考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、金属の溶接部を耐食性に優れたものにするこ
とを技術的課題とする。
〔問題点を解決するための手段〕
すなわち、本考案の要旨は、第1図や第2図に
示すように、金属3の溶接部1を特定のフツ素系
重合体を主成分とする被覆層2で覆つたところに
あり、この特定のフツ素系重合体とは、 (a) フルオロオレフイン、 (b) ビニルエーテル、 (c) オレフイン性不飽和結合及び加水分解可能な
基を持つ有機珪素化合物とから 実質的に構成される共重合体であつて、その少
なくとも一部が架橋されてなるものである。
〔作用〕
金属の溶接部は耐久性を本質的に備えているフ
ツ素系重合体を主成分とする被覆層で覆われるの
で、種々の外的な破壊要因から保護される。
ここで、前記フツ素重合体で被覆すべき溶接部
とは、少なくとも溶接熱の影響が及ぶ溶接熱影響
部をいう。この溶接部の構造は溶接方法により異
なり、ステンレス鋼同士を直接溶着した構造の場
合と、溶接棒を用い、この溶接棒を介在させてス
テンレス鋼同士を接合せしめた構造の場合とがあ
る。
溶接すべき金属はどのような種類の金属でもよ
い。その例として、鉄板に亜鉛メツキしたいわゆ
るトタン板、銅板、ステンレス鋼板等があげられ
る。ステンレス鋼としてはマルテンサイト系、フ
エライト系、オーステナイト系のものがあるが、
とりわけ溶接熱影響部に粒界析出が生じて粒界腐
食の起こりやすいオーステナイト系のステンレス
鋼について、本考案に係るフツ素系重合体を主成
分とする被覆層で覆うことは効果的である。
また、溶接すべき金属は、一方をマルテンサイ
ト系ステンレス鋼、他方をオーステナイト系ステ
ンレス鋼といつたような異種金属としても良い。
溶接に溶接棒を用いる場合、溶接棒の材質はそ
の化学成分がなるべく溶接すべき金属母材に近い
ものが好ましい。異なる化学成分のものを使用す
ると金属母材から溶着金属へと、あるいは溶着金
属から金属母材へと化学成分の移行が起こり、化
学成分の希釈された部分での耐食性が悪化するか
らである。但し、本考案ではフツ素系重合体を主
成分として被覆層で溶接部を覆つてしまうので、
溶接棒の材質にこだわる必要は必ずしもない。
また、溶接方法は特に限定せず、被覆アーク溶
接、イナートガスアーク溶接、サブマージアーク
溶接等の種々の溶接手段による。
ところで、本考案で用いられるフツ素重合体は
少なくとも前述したa,b及びc3種類のモノマー
成分単位よりなるランダム共重合体であるが、本
考案の目的を損なわない範囲で、少量の他の共重
合可能なモノマー成分、たとえばα−オレフイン
類、シクロオレフイン類、不飽和カルボン酸類な
どを共重合させていてもかまわない。
フツ素系重合体を構成するモノマー成分である
フルオロオレフインaは、分子中に少なくとも1
個のフツ素原子をもつており、好ましくはオレフ
インの水素原子が全てフツ素原子及び他のハロゲ
ン原子とに置換されているペルハロオレフインが
よく、とくにペルフルオロオレフインが好適であ
る。更に重合性及び製造された重合体の性質の観
点からは、炭素原子数2または3のフルオロオレ
フインとくにベルフルオロオレフインが好まし
い。
かかるフルオロオレフインの例としては、 CF2=CF2、CHF=CF2、CH2=CF2、CH2
CHF、CClF=CF2、CHCl=CF2、CCl2=CF2
CClF=CClF、CHF=CCl2、CH2=CClF、CCl2
=CClF等のフルオロエチレン系、CF3CF=CF2
CF3CF=CHF、CF3CH=CF2、CF3CF=CH2
CF3CF=CHF、CHF2CF=CHF、CF3CH=
CH2、CH3CF=CF2、CH3CH=CF2、CH3CF=
CH2、CF2ClCF=CF2、CF3CCl=CF2、CF3CF
=CFCl、CF2ClCCl=CF2、CF2ClCF=CFCl、
CFCl2CF=CF2、CF3CCl=CClF、CF3CCl=
CCl2、CClF2CF=CCl2、CCl3CF=CF2
CF2ClCCl=CCl2、CFCl2CCl=CCl2、CF3CF=
CHCl、CClF2CF=CHCl、CF3CCl=CHCl、
CHF2CCl=CCl2、CF2ClCH=CCl2、CF2ClCCl
=CHCl、CCl3CF=CHCl、CF21CF=CF2
CF2BrCH=CF2、CF3CBr=CHBr、CF2ClCBr
=CH2C2BrCF=CCl2、CF3CBr=CH2、CF2CH
=CHBr、CF2BrCH=CHF、CF2BrCF=CF2
のフルオロプロペン系、CF3CF2CF=CF2
CF3CF=CFCF3、CF3CH=CFCF3、CF2
CFCF2CHF2、CF3CF2CF=CH2、CF3CH=
CHCF3、CF2=CFCF2CH3、CF2=CFCH2CH3
CF3CH2CH=CH2、CF3CH=CHCH3、CF2
CHCH2CH3、CH3CF2CH=CH2、CFH2CH=
CHCFH2、CH3CF2CH=CH3、CH2
CFCH2CH3、CF3(CF22CF=CF2、CF3
(CF23CF=CF2、等の炭素原子数4以上のフル
オロオレフイン系を挙げることができる。
これらの中では、前述の如くフルオロエチレン
系及びフルオロプロペン系が好ましく、とくにテ
トラフルオロエチレン(CF2=CF2)及びヘキサ
フルオロプロペン(CF2=CFCF3)、クロロトリ
フルオロエチレン(ClFC=CF2)が好適であり、
更には安全性、取扱い性の面からヘキサフルオロ
プロペン、クロロトリフルオロエチレンが好適で
ある。
また本考案においてフルオロオレフインは、単
独で用いるほかに複数を混合して用いる態様も含
むことは勿論である。
ビニルエーテルbは、ビニル基とアルキル(シ
クロアルキルを含む)基、アリール(aryl)基、
アラルキル(aralkyl)基等がエーテル結合した
化合物であり、中でもアルキルビニルエーテル、
とくに炭素原子数が8以下、好ましくは2〜4の
アルキル基と結合したアルキルビニルエーテルが
好適である。更にはアルキル基が鎖状のアルキル
ビニルエーテルが最も好適である。
かかるビニルエーテルの例としては、エチルビ
ニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプ
ロピルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−
ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテ
ル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニ
ルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−メチ
ル−1−ペンチルビニルエーテル等の鎖状アルキ
ルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエー
テル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロ
アルキルビニルエーテル類、フエニルビニルエー
テル、o−,m−,p−クロロフエニルビニルエ
ーテル、アリールビニルエーテル類、ベンジルビ
ニアラルキルビニルエーテル、フエネチルビニル
エーテル等のアラルキルビニルエーテル類を挙げ
ることができる。
これらの中ではとくに鎖状アルキルビニルエー
テル及びシクロアルキルビニルエーテルが好まし
く、更にはエチルビニルエーテル、プロピルビニ
ルエーテル、ブチルビニルエーテルが好適であ
る。
また本考案においてビニルエーテルは、単独で
用いるほかに複数混合して用いる態様も含むこと
は勿論である。
有機珪素化合物cは、分子中にオレフイン性不
飽和結合及び加水分解可能な基をもつものであれ
ばよく、具体的には下記一般式(1)〜(3)に示される
ものを例示することができる。
R1R2SiY1Y2 (1) R1XSiY1Y2 (2) R1SiY1Y2Y3 (3) (式中R1、R2はオレフイン性不飽和結合を有
し、炭素、水素及び任意に酸素からなり、各同一
または相異なる基である。Xはオレフイン性不飽
和結合を有しない有機基であり、Y1,Y2,Y3
各同一または相異なる加水分解可能な基である。) R1、R2のより具体的な例としては、ビニルア
ルリル(allyl)、ブテニル、シクロヘキセニル、
シクロペンタジエニルがあり、とくに末端オレフ
イン性不飽和基が好ましい。その他の好ましい例
には、CH2=CH−O−(CH23−の他末端不飽和
酸のエステル結合を有する CH2=C(CH3)COO(CH23−、CH2=C(CH3
COO(CH22−O−(CH23−、 などの基を挙げることができる。これらの中では
ビニル基が最適である。Xの具体的な例として
は、たとえば1価の炭化水素基であるメチル、エ
チル、プロピル、テトラデシル、オクタデシル、
フエニル、ベンジル、トリルなどの基があり、ま
たこれらの基は、ハロゲン置換炭化水素基でもよ
い。
Y1,Y2,Y3の具体例としては、たとえばメト
キシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシの
ような、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ
基、ホルミロキシ、アセトキシ、プロピオノキシ
のようなアシロキシ基、オキシムたとえば、−
ON=C(CH32、−ON=CHCH2C2H5および、−
ON=C(C6H52、または置換アミノ基およびア
リールアミノ基たとえば、−NHCH3、−NHC2H5
及び−NH(C6H5)などがあり、その他任意の加
水分解し得る有機基がある。
好ましく使用される有機珪素化合物は一般式(3)
で表される化合物であり、とくに基Y1、Y2、Y3
が等しい有機珪素化合物が適している。これらの
中でもR1がビニロキシアルキル基(CH2=CH−
O−(CH2)n−)またはビニル基であり、Y1
Y3がアルコキシ基またはアルコキシアルコキシ
基のものが好ましく、たとえばビニロキシプロビ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(メトキシエトキシ)シランなどが例示できる。
しかしビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフ
エニルジメトキシシランなども同様に用いること
ができる。
フツ素系重合体における(a)〜(c)のモノマー成分
の含有割合は、(a)〜(c)の合計モル数を基準として
(a):30〜70モル%、(b):20〜60モル%、(c):1〜
80モル%((a)+(b)+(c)=100である)、好ましくは
(a):40〜60モル%、(b):20〜50モル%、(c):1〜
25モル%の範囲にある。
ここで(a)を30〜70モル%としたのは、30モル%
以下であると耐久性が悪く、70モル%以上である
と金属への接着性が悪くなるからで(c)を1〜80モ
ル%としたのは1モル%以下であると硬化しにく
くなり、膜の形成が困難で80モル%以上であると
安定性が悪くなるからである。
本考案で使用するフツ素重合体は、前記(a)〜(c)
の各モノマーを周知のラジカル開始剤の存在下
(あるいは、不存在のときには加熱して)共重合
することによつて製造される。ここで(a)〜(c)の各
成分はいずれも重要であり、たとえば(a)成分と(c)
成分のみでは共重合が生じないが、(b)成分を加え
ることによつて(a)、(b)、(c)の各成分が共重合す
る。
共重合に用いるラジカル開始剤としては公知の
種々のものが使用できる。具体的には有機ペルオ
キシド、有機ペルエステルたとえばベンゾイルペ
ルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオ
キシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオ
キシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス
(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペル
アセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオ
キシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエー
ト、tert−ブチルペルフエニルアセテート、tert
−ブチルペルイソプチレート、tert−ブチルベル
−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレ
ート、クミルペルピバレート、tert−ブチルペル
ジエチルアセテートなど、その他アゾ化合物たと
えばアゾビス−イソブチルニトリル、ジメチルア
ゾイソブチレートなどがある。これらの中ではジ
クミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキ
シド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキ
シドが好ましい。
共重合は有機溶媒からなる反応媒体中で行われ
る。ここで使用する溶媒としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの脂
肪族炭化水素、クロロベンゼン、ブロモベンゼ
ン、ヨードベンゼン、o−ブロモトルエンなどの
ハロゲン化芳香族炭化水素、テトラクロロメタ
ン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロ
ロエチレン、1−クロロブタンなどのハロゲン化
脂肪族炭化水素等を挙げることができる。
共重合は、上記溶媒中ラジカル開始剤をモノマ
ーの合計モル数に対してモル比で102〜2×103
範囲で添加して行う。また重合温度は−30〜200
℃、好ましくは20〜100℃、重合圧力は0〜100
Kg/cm2・G、好ましくは0〜50Kg/cm2・Gであ
る。
このようにして得られたフツ素系重合体の分子
量は、テトラヒドロフランを溶媒にし、分子量既
知の単分散ポリスチレンを標準物質として用い
て、ゲル・パミエーシヨンクロマトグラフ法
(GPC)により測定して求めた数平均分子量
(Mn)が通常3000〜200000であることが望まし
く、好ましくは5000〜100000の範囲にある。分子
量が300未満では、一般に被覆層の形成が困難で
あり、200000を越えると溶剤可溶剤性に乏しい場
合が多い。そして、前記のような組成割合とここ
で記述した分子量を採ることにより溶剤可性とな
り、また、後述する方法で硬化させた後では耐溶
剤性、耐薬品性、耐熱性、耐候性、さらに機械的
性質の優れたものとなる。フツ素系重合体の別の
性質として、非晶性または低結晶性、多くは非晶
性であることが掲げられる。一般にはX線による
結晶度が0%、示差走査型熱量計(DSC)で融
点が観察されないものが多い。したがつて透明性
が良好である。
ガラス転移温度(Tg)は、試料を−120℃に冷
却したのち10℃/minの昇温速度でDSCにより測
定すると、通常−60〜+20℃、多くが−40〜+5
℃の範囲にある。
本考案で使用するフツ素系重合体には有機顔料
などとの親和性をより向上させるため、分子鎖中
にカルボキシル蓋を導入してもよい。その一例と
して、不飽和カルボン酸及びその誘導体をグラフ
ト重合する方法があり、このような目的で使用す
る不飽和カルボン酸類の例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン
酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ
フタル酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕
ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジ
ツク酸)、メチル−エンドシス−ビシクロ〔2,
2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸(メチルナジツク酸)などの不飽和カルボン
酸、該不飽和カルボン酸のハライド、アミド、イ
ミド、酸無水物、エステルすなわち塩化マレニ
ル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコ
ン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチ
ルなどがある。
以上のような、フツ素系重合体は、有機溶剤に
常温において可溶であり、たとえばベンゼン、ト
ルエン、キシレンのような芳香属炭化水素系類ア
セトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、
ジメチルエーテル、ジエチレエーテル、ジプロピ
ルエーテル、のようなエーテル類、メタール、エ
タノールのようなアルコール類、トククロロエタ
ン、ジクロロエタン、クロロベンゼンのようなハ
ロゲン化炭化水素類などに溶解する。
したがつて、フツ素系重合体の有機溶剤の溶液
を用いて、スプレー、ハケ塗り、ロールコーター
等の方法で、前述の金属溶接部の表面にフツ素重
合体を塗布して、乾燥させることにより、本考案
の溶接部構造が得られる。
ところで、フツ素系重合体は、有機珪素化合物
Cに由来する加水分解可能由有機基を有している
ので、水分に晒されることにより重合体の分子鎖
間に橋かけ反応が起こり硬化する。したがつて、
大気中の湿気によつても当然のことながら架橋が
起こり得る。フツ素系重合体単独でも架橋が進む
ことは明白であるが、溶接部に塗布されたフツ素
系重合体の皮膜が迅速に硬化するように、シラノ
ール縮合触媒を添加するのが好ましい。
この場合、フツ素系重合体を溶解した有機溶剤
溶液にシラノール縮合触媒を予め添加しておき、
これを溶接部に塗布すると有機溶剤が蒸散して空
気中の湿分と接触しだすと同時に硬化反応が起こ
り、被覆層の皮膜硬化が起こる。
シラール触媒は公知のものが適用できるが、た
とえばジブチル錫ジラウレート、酢酸第1錫、オ
クタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、2−エチルヘキ
サン酸鉄、ナフテン酸コバルトの如きカルボン酸
金属塩、有機塩基たとえばエチルアミン、ヘキシ
ルアミン、ジブチルアミン、ピペリジンなど、鉱
酸および有機脂肪酸の如き酸などである。適当な
る触媒はカルボン酸のアルキル錫塩であつて、た
とえばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオ
クトエート、ジプチル錫ジアセテートである。
橋かけ反応は、常温(0〜40℃)で十分進行す
るが、溶接部の温度がまだ高いうちに塗布して、
高温状態に被覆層を形成して架橋反応を促進させ
てもよい。また、被覆層の厚さは通常25μmない
し2mm程度が通常であり、とくに50〜500μm程
度が好ましい。なお、溶接部表面に対するフツ素
系重合体の密着性あるいは接着性向上のため、溶
接部表面にプライマーの塗布や脱脂処理等の表面
処理を施しておくのが好ましい。プライマーとし
てはユニストール−Q(三井石油化学工業株式会
社製)等が好適である。また、他の好適なプライ
マーとしては、チタンテトラブトキシド(例えば
松本製薬株式会社製オルガチツクスTA−25)な
どのチタン系プライマーや東芝シリコーン株式会
社製トスプライムAなどのシラン系プライマーが
ある。
そして、硬化後(塗布後14日放置後)のフツ素
系重合体からなる被覆層はJIS K 5400(1979)
6.16による鉛筆硬度が通常3H〜2B、多くはH〜
Bの範囲にあり、JIS K (1979)6.16による耐
屈曲性が通常3mmφ、多くが2mmφに合格する。
なお、溶接部にフツ素系重合体を塗布する場
合、顔料や染料といつたものを配合してもよく、
更に必要に応じて通常合成樹脂に配合される各種
添加剤を配合してもよい。
〔実施例〕
以下、本考案の内容を好適な例でもつて説明す
るが、とくに断りのない限り本考案はこれらの例
に制限されるものではなく、本考案の目的に損わ
ない範囲でいかなる態様も可能である。
〈実施例 1〉 内容積300c.c.のステンレス製撹拌機付オートク
レーブにベンゼン80g、ブチルビニルエーテル
(BVE)25.2g、トリメトキシビニルシラン
(TMVS)7.1g、過酸化ジラウロイル1gを仕
込み、アセトン、ドライアイスによる固化、脱気
を行い、系内の酸素を除去する。その後、ヘキサ
フルオロプロペン(HFP)45gをオートクレー
ブ中に導入し、昇温する。オートクレーブ内の温
度が65℃に達した時点での圧力は8.1Kg/cm2であ
つた。撹拌下に8時間反応を続け、圧力が4.6
Kg/cm2に達した時点でオートクレーブを水冷し反
応を停止した。冷却後、未反応モノマーを追い出
し、オートクレーブを開放し、反応液をとり出し
た。濃縮後、ベンゼンメタノール混合溶媒で洗浄
し、再び濃縮、乾燥を行つた。ポリマー収量は60
gであつた。
得られたポリマーのGPCによる数平均分子量
は1.0×104であり、ガラス転移点は−14℃であつ
た。
この共重合体の組成分析を元素分析及びNMR
を用いて行つたところHFP/BVE/TMVS=
48/40/12(モル比)であつた。
このようにして得た重合体5Kg及びテトラメチ
ルオルトシリケート0.25Kgをキシレン3.3Kgに溶
解し、さらに、ジブチル錫ジウラレート
(DBTDL)を7.9g加えたものを準備した。
一方、第1図に示すように、端部を起立させた
一対のステンレス鋼板3を、アルゴンガスを用い
たイナートガスアーク溶接で溶接し、この溶接部
にエポキシ系プライマーを塗布した後、上記のフ
ツ素系重合体のトルエン溶液を塗布し、常温下で
自然乾燥させることによつて、表面にフツ素重合
体からなる被覆層(厚さ55μm)を有する溶接部
構造を形成した。
この被覆層の光沢保持率をJIS−K−5400に基
づいて測定した。その結果3600時間後の光沢保持
率は96%と優れた性能を示した。
〈実施例 2〉 実施例1と同様にしてn−ブチルビニルエーテ
ル(BVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ト
リメトキシビニルシラン(TMVS)、クロロトリ
フルオロエチレン(CTFE)、過酸化ジラウロイ
ル(DLPO)を用いて重合し、重合体Bを得た。
この重合体BのGPC換算数平均分子量は0.85×
104でありガラス転移点は−8℃であつた。
また、重合体Bの組成はモル比でCTFE/
EVE/BVE/TMVS=48/38/7/7であつ
た。
重合体B5Kgをトルエン2.25Kgに溶解し、テト
ルメチルオルトシリケート〔コルコート(株)メ
チルシリケート39〕0.25Kg、ジラウリン酸ジブチ
ル錫8gを加えた液を調整した。
これを実施例1と同様にして溶接部に塗布し、
被覆層(20μm厚)を形成した。
この被覆層の光沢保持率を実施例1と同様に測
定した結果、3600時間後の光沢保持率は96%と優
れた性能を示した。
〔考案の効果〕 本考案によれば、溶接部をフツ素系重合体を主
成分とする被覆層で覆つたので、耐食性、耐薬品
性、耐水性、などの耐久性に優れた金属の溶接部
構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る溶接部構造の一例を示す
断面図、第2図は溶接部構造の他の例を示す断面
図、第3図はオーステナイト系ステンレス鋼の溶
接熱影響部の構造を示す断面図である。 1……溶接部、2……被覆層。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金属の溶接部を、 (a) フルオロオレフイン、 (b) ビニルエーテル、 (c) オレフイン性不飽和結合及び加水分解可能
    な基を持つ有機珪素化合物、 とから実質的に構成される共重合体であつ
    て、少なくとも一部が架橋されてなるフツ素
    系重合体を主成分とする被覆層で覆つたこと
    を特徴とするフツ素系重合体の被覆層を有す
    る金属溶接部構造。 (2) 前記フツ素系重合体の架橋がシラノール触媒
    の存在下で行なわれることを特徴とする実用新
    案登録請求の範囲第1項記載のフツ素系重合体
    の被覆層を有する金属溶接部構造。
JP9399686U 1986-06-19 1986-06-19 Expired JPH0243847Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9399686U JPH0243847Y2 (ja) 1986-06-19 1986-06-19

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9399686U JPH0243847Y2 (ja) 1986-06-19 1986-06-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63110540U JPS63110540U (ja) 1988-07-15
JPH0243847Y2 true JPH0243847Y2 (ja) 1990-11-21

Family

ID=30957049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9399686U Expired JPH0243847Y2 (ja) 1986-06-19 1986-06-19

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0243847Y2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022050161A1 (ja) * 2020-09-01 2022-03-10

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63110540U (ja) 1988-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6423798B2 (en) Copolymers of maleic anhydride or acid and fluorinated oleffins
ZA200502922B (en) Fluoroelastomers having low temperature characteristics and solvent resistance.
EP0185526A2 (en) Solvent soluble fluorine-containing polymer, coating composition containing the same and coating process thereof
JPS61141713A (ja) 溶剤可溶性フツ素系重合体及びその用途
JPH0243847Y2 (ja)
CA2004271C (en) Process for producing fluorine-containing copolymer and fluorine-containg copolymer composition
JPS6332826B2 (ja)
US5179181A (en) Process for producing fluorine-containing copolymer and fluorine-containing copolymer composition
JP3131985B2 (ja) 含フッ素共重合体および該重合体を含む塗料用組成物
JPH0239948B2 (ja) Futsusokeitoryonotosohoho
JP2725726B2 (ja) 含フッ素共重合体の製造方法
JPS62187739A (ja) フツ素系重合体の被覆層を有する成形品
JPS63170478A (ja) 反射塗料
JPS62265605A (ja) フッ素重合体を主成分とするクラッド部を有する光ファイバ
JPH08157684A (ja) 樹脂組成物およびその製造方法
JPH04202484A (ja) 水分散型フッ素塗料
JPS6325029B2 (ja)
JP2725725B2 (ja) 含フッ素共重合体およびその用途
JP2685255B2 (ja) 含フッ素共重合体組成物
JPH07286126A (ja) 無機・有機複合被覆剤用バインダー
JPH0136869B2 (ja)
JPH04180934A (ja) 水分散型フッ素塗料用組成物
JPH04180974A (ja) 付着性に優れた塗料用組成物
JP3503342B2 (ja) 塗料用組成物
JPH03281610A (ja) 含フッ素共重合体およびその用途