JPH0238040Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は気化器の絞り弁制御装置に係り、特
に、吸気通路負圧で制御され減速時の排気有害成
分たる炭化水素（HC）の低減を図る装置にあつ
て、制御動作させる負圧を弱く設定しても絞り弁
のアイドル開度位置への復帰が阻害されることな
く機能を充分に果し得る気化器の絞り弁制御装置
に関する。

［従来の技術］ 高速回転している内燃機関においては、絞り弁
を急閉するとシリンダ内の充填比が低下し、混合
気が過濃化するとともに燃焼効率が低下し、炭化
水素（HC）の排出量が増大する不都合がある。
そこで、従来は弁下流側の吸気通路負圧で制御さ
れ、絞り弁をアイドル開度位置から少許開動させ
た所定の開度位置（ポジシヨナ開度位置）に一旦
止め、暫くしてアイドル開度位置に戻すことによ
り未燃焼ガスの発生を少なくする、いわゆるスロ
ツトルポジシヨナが採用されている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、スロツトルポジシヨナを広範な運転
状態において充分機能させるべく制御動作させる
負圧を弱く設定すると、ある運転状態によつて生
ずる弱い吸気通路負圧により絞り弁がアイドル開
度位置に復帰し得ない不都合を生じることがあ
る。例えば、無負荷時の変速機中立位置における
高速運転操作（いわゆるレーシング操作）や負荷
の減少する変速操作等に関連し、このような運転
状態では絞り弁が一時的に閉動され負圧がやや強
まる。このため、スロツトルポジシヨナを制御動
作させる負圧を弱く設定すると、絞り弁がアイド
ル開度位置に復帰し得ず、機関の回転が上昇する
不都合を生じた。

［考案の目的］ そこでこの考案の目的は、吸気通路負圧で制御
され減速時の排気有害成分たる炭化水素（HC）
の低減を図る装置にあつて絞り弁のアイドル開度
位置への復帰を阻害することなく制御動作させる
負圧を弱く設定し得て広範な運転状態において排
出される炭化水素（HC）を減少させ充分に機能
を果し得る気化器の絞り弁制御装置を実現するこ
とにある。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するためにこの考案は、気化器
を絞り弁閉成動作を制御するアクチユエータを設
けるとともにこのアクチユエータのダイヤフラム
室に連通するアクチユエータ通路を分岐点で分岐
して第１通路と第２通路とに形成し、前記第１通
路には前記分岐点に近い側から順次に第１遅延機
構とこの第１通路を大気に連通遮断する制御弁と
を設けるとともに吸気管負圧が所定圧よりも弱化
することにより前記第１通路を大気に連通すべく
前記制御弁を制御する負圧通路を前記絞り弁下流
側の吸気通路に開口させ、前記第２通路には第２
遅延機構を設け、前記アクチユエータ通路の分岐
点には変速機中立位置とクラツチ離脱との少くと
も一の運転状態により前記アクチユエータ通路と
前記第１通路との連通を遮断し前記アクチユエー
タ通路と前記第２通路とを連通させるべく切換動
作する切換弁を設けたことを特徴としている。

［作用］ この考案によれば、絞り弁の急閉する運転状態
である減速時には、切換弁によりアクチユエータ
通路と第１通路とを連通するとともに絞り弁下流
側の吸気通路とを連通するとともに絞り弁下流側
の吸気通負圧を制御動作させる負圧とする制御弁
に、強い負圧が作用することにより第１通路と大
気との連通を遮断し、次いで負圧が所定圧よりも
弱化すると第１通路を大気に連通する。これによ
り、アクチユエータをスロツトルポジシヨナとし
て機能させる。

また、例えば無負荷時の変速機中立位置におけ
るいわゆるレーシング操作や負荷の減少する変速
操作等の運転操作に関連し、このような運転状態
では切換弁によりアクチユエータ通路と大気に連
通する第２通路とを連通し、アクチユエータをダ
ツシユポツトとして機能させる。

［実施例］ 次にこの考案の実施例を図に基づいて詳細に説
明する。図はこの考案の実施例を示し、２は吸気
通路、４は絞り弁、６はアクチユエータである。
アクチユエータ６は、ダイヤフラム８によりダイ
ヤフラム室１０を区画形成している。前記ダイヤ
フラム８には、ロツド１２を設け、このロツド１
２は絞り弁４を所定開度位置（ポジシヨナ開度位
置）に保持すべく絞り弁開閉動用のレバー１４に
当接させる。また、前記ダイヤフラム室１０に
は、ダイヤフラム８を弾圧するばね１６を内装す
る。このばね１６の弾圧力は、絞り弁４を閉動さ
せる戻りばね１８の弾圧力よりも弱く設定する。

前記アクチユエータ６のダイヤフラム室１０に
連通するアクチユエータ通路２０を分岐点２２で
分岐して第１通路２４と第２通路２６とに形成す
る。第１通路２４には、分岐点２２に近い側から
順次に第１遅延機構たる第１絞り２８と、第１通
路２４を大気に連通遮断する制御弁３０とを設け
る。制御弁３０は、一側を第１通路２４に連通す
るとともに他側を大気に開放させた大気室３２
と、この大気室３２とダイヤフラム３４で区画形
成された負圧室３６とを備えている。ダイヤフラ
ム３４には、大気室３２と第１通路２４とを連通
遮断する弁体３８を設けるとともに、この弁体３
８を開動方向に偏倚させるべくばね４０を弾圧し
て設ける。前記負圧室３６に連通する負圧通路４
２は、絞り弁下流側の吸気通路２に開口させる。
これにより、前記ばね４０の弾圧力により設定さ
れる負圧よりも強い負圧が負圧室３６に作用する
第１通路２４は大気との連通を遮断し、弱い負圧
が負圧室３６に作用するとばね４０により第１通
路２４は大気に連通する。

前記アクチユエータ通路２０を分岐点２２で分
岐して形成した第２通路２６には、第２遅延機構
たる第２絞り４４を設け大気に開放させる。

前記アクチユエータ通路２０の分岐点２２に
は、電気的な切換弁４６を設け、前記アクチユエ
ータ通路２０、第１および第２通路２４，２６を
弁室４８に連通させる。この弁室４８には弁体５
０を内装し、ばね５２とソレノイド５４とにより
作動させてアクチユエータ通路２０を第１通路２
４と第２通路２６とに選択的に連通させる。

前記切換弁４６は、変速機（図示せず）が中立
位置にあるときとクラツチ（図示せず）が離脱さ
れたときとの少くとも一の運転状態により、アク
チユエータ通路２０と第１通路２４との連通を遮
断し、アクチユエータ通路２０と第２通路２６と
を連通させるように切換動作する。そこで、バツ
テリ５６の電源を給断するメインスイツチ５８
に、クラツチ離脱を検知するクラツチスイツチ６
０と変速機中立位置を検知する中立位置スイツチ
６２とを順次に接続し、この中立位置スイツチ６
２を切換弁４６に接続する。これにより、クラツ
チ離脱あるいは変速機中立位置の運転状態によ
り、アクチユエータ通路２０を第２通路２６に連
通すべく切換弁４６は切換動作する。

次に作用を説明する。

クラツチが接続されるとともに変速機が中立位
置以外の係合位置にあるときは切換弁４６は、ア
クチユエータ通路２０と第１通路２４とを連通し
ている。このとき、減速操作すると、絞り弁４は
ばね１６に抗して戻りばね１８によりロツド１２
を押戻しつつ急閉する。これにより、ダイヤフラ
ム室１０の空気はアクチユエータ通路２０、弁室
４８、第１通路２４、第１絞り２８を経て大気室
３２から大気中に流出せんとする。しかし、絞り
弁４の急閉による吸気通路負圧が制御弁２０のば
ね４０で設定した制御動作させる負圧よりも強い
と、弁体３８は大気室３２と第１通路２４との間
を閉鎖する。このため、ダイヤフラム室１０から
空気は流出し得ず、絞り弁４はレバー１４がロツ
ド１２に当接して所定の開度位置（ポジシヨナ開
度位置）に保持される。これにより、吸気通路負
圧が異常に強まる不都合を回避し得る。次いで、
減速による吸気通路負圧が制御弁３０を制御動作
させる負圧よりも弱くなると、弁体３８は大気室
３２と第１通路２４との間を連通する。これによ
り、アクチユエータ６のダイヤフラム室１０の空
気は大気に流出されるが、第１絞り２８により流
出を規制される。このため、絞り弁４は戻りばね
１８によりロツド１２を押戻しつつ徐々にアイド
ル開度位置に復帰する。このように、クラツチが
接続するとともに変速機が中立位置以外の係合位
置にあるときは、アクチユエータ通路２０と第１
通路２４とを連通してアクチユエータ６をスロツ
トルポジシヨナとして機能させ、減速時の絞り弁
急閉による炭化水素（HC）の増加を抑制し得
る。

前記制御弁３０を制御動作させる負圧を弱く設
定すると、制御弁３０の弁体３８が閉動し絞り弁
４をアイドル開度位置に復帰し得ない等の不都合
を生ずる。このような負圧を生ずる運転状態とし
ては、無負荷時の変速機中立位置における高速運
転操作（いわゆるレーシング操作）や負荷の減少
する変速操作における運転状態が挙げられ、この
操作に関連しこのような運転状態では一時的に絞
り弁が閉られ、負圧がやや強まる。そこで、この
ような運転状態の負圧により、絞り弁４の復帰が
阻害されることのないように、切換弁４６を切換
動作させアクチユエータ６のアクチユエータ通路
２０と第２通路２６とを連通させる。即ち、変速
機が中立位置にあるか変速操作に関連しクラツチ
が離脱しているときは、クラツチスイツチ６０あ
るいは中立位置スイツチ６２の動作で切換弁４６
は切換動作される。これにより、切換弁４６の弁
体５０はアクチユエータ通路２０と第１通路２４
との連通を遮断し、大気に連通する第２通路２６
に連通させる。このため、ダイヤフラム室１０の
空気は第２絞り４４により流出を規制され、絞り
弁４はロツド１２を押戻しつつ徐々にアイドル開
度位置に復帰する。従つて、制御弁３０を制御動
作させる負圧を弱く設定しても無負荷時のレーシ
ング操作や負荷の減少する変速操作等の運転操作
時には、アクチユエータ６を第２絞り４４により
ダツシユポツトとして機能させ、絞り弁４のアイ
ドル開度位置への復帰を阻害することなく徐々に
復帰させ得て炭化水素（HC）を低減させ、機関
の回転が上昇する不都合を回避し得る。

なお、この実施例では遅延機構として絞りを例
示したが、絞りと逆止め弁からなる遅延弁とする
こともできる。

［考案の効果］ このようにこの考案によれば、絞り弁の急閉す
る運転状態である減速時には、切換弁によりアク
チユエータ通路と第１通路とを連通するとともに
絞り弁下流側の吸気通路負圧を制御動作させる負
圧とする制御弁により第１通路と大気との連通を
遮断し、次いで負圧が所定圧よりも弱化すると第
１通路を大気に連通させる。これにより、アクチ
ユエータをスロツトルポジシヨナとして機能さ
せ、減速時の炭化水素（HC）を低減することが
できる。また、制御弁を制御動作させる負圧を弱
く設定しても、このような負圧を生ずる例えば無
負荷時の変速機中立位置におけるいわゆるレーシ
ング操作や負荷の減少するクラツチを離脱させる
変速操作等の運転操作に関連し、このような運転
状態では切換弁によりアクチユエータ通路と第２
通路とを連通してアクチユエータをダツシユポツ
トとして機能させる。これにより、絞り弁のアイ
ドル開度位置への復帰を阻害することなく徐々に
復帰させ得て炭化水素（HC）を低減し、機関の
回転が上昇する不都合を回避し得る。

このように、制御弁を制御動作させる負圧を弱
く設定しても、広範な運転状態において機能を充
分に果し得て、炭化水素（HC）の低減を果すこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図は、この考案の装置の実施例を示す概略説明
図である。 図において、４は絞り弁、６はアクチユエー
タ、２０はアクチユエータ通路、２４は第１通
路、２６は第２通路、２８は第１絞り、３０は制
御弁、４２は負圧通路、４４は第２絞り、４６は
切換弁、６０はクラツチスイツチ、６２は中立位
置スイツチである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気化器の絞り弁閉成動作を制御するアクチユエ
   ータを設けるとともにこのアクチユエータのダイ
   ヤフラム室に連通するアクチユエータ通路を分岐
   点で分岐して第１通路と第２通路とに形成し、前
   記第１通路には前記分岐点に近い側から順次に第
   １遅延機構とこの第１通路を大気に連通遮断する
   制御弁とを設けるとともに吸気管負圧が所定圧よ
   りも弱化することにより前記第１通路を大気に連
   通すべく前記制御弁を制御する負圧通路を前記絞
   り弁下流側の吸気通路に開口させ、前記第２通路
   には第２遅延機構を設け、前記アクチユエータ通
   路の分岐点には変速機中立位置とクラツチ離脱と
   の少くとも一の運転状態により前記アクチユエー
   タ通路と前記第１通路との連通を遮断し前記アク
   チユエータ通路と前記第２通路とを連通させるべ
   く切換動作する切換弁を設けたことを特徴とする
   気化器の絞り弁制御装置。