JPH0219530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、基本的には第２図及び第３図に示す
ように飛沫潤滑式頭上弁エンジンＥのクランク室
１とヘツドカバー２内のロツカアーム室３とをガ
ス導出路４とオイル戻し路５とで並列状に連通す
るとともに、ロツカアーム室３に連通するブレザ
ー装置６を備えた飛沫潤滑式頭上弁エンジンに関
する。

〈従来技術〉 一般に上記エンジンにおいては、クランクケー
ス１５からロツカアーム室３へのガス導出路４
は、導出ガスに含まれるオイルを冷却する意味か
ら、エンジン冷却風の風上側で、かつ吸気弁１０
の存在する側においてシリンダブロツク１６及び
シリンダヘツド１７に亘つて貫通形成されてい
る。そして、従来より、このガス導出路４の上端
出口はロツカアーム室３の吸気弁軸支承部の近く
に開口されていた（実開昭58−146016号公報）。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところが、上記のように吸気弁軸支承部近くの
出口からブローバイガスがロツカアーム室３に流
入するために、ガスに含まれるオイルが吸気弁軸
支承部に多量に付着しやすく、この付着したオイ
ルが弁軸の摺動に伴つて燃焼室内の吸引流入し
て、エンジン不調を招くことがあつた。

この考案は、ブローバイガスのロツカアーム室
への流入部位に改良を加えることで、吸気弁軸支
承部から燃焼室へのオイルの吸引を防止するとと
もに、排気弁軸支承部の冷却をも併せて行えるよ
うにすることを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 上記目的を達成するために、本考案において
は、本考案で後述するように、ロツカアーム室３
の吸気弁１０側の一端部にガス導出路４の上昇径
路上端を配設するとともに、この上昇径路上端か
らロツカアーム室３の吸・排気弁１０，１１側の
横側周壁２９に沿つて排気弁側に向かう横向き径
路２８を形成し、この横向き径路２８の終端に形
成したガス出口３１を、ロツカアーム室３の排気
弁１１側の横側周壁３０に略沿う方向に開口し、
この横側周壁３０を上記吸・排気弁１０，１１側
の横側周壁２９からプツシユロツド８，８側の横
側周壁４２に向けて広がる傾斜状に形成した構造
とした。

〈作用〉 上記構造によれば、狭いガス導出路４を上昇し
た後に横向き径路２８で横向きに方向変換された
ブローバイガスは、横向き径路２８のガス出口３
１がロツカアーム室３の排気弁１１側の横側周壁
３０に沿う方向に開口するとともに、この横側周
壁３０が吸・排気弁１０，１１側の横側周壁２９
からプツシユロツド８，８側の横側周壁４２に向
けて広がる傾斜状に形成されていることから、ガ
ス出口３１での流通抵抗が少なくてスムーズに、
狭いガス導出路４、横向き径路２８内での流速を
維持した状態で、勢いよくロツカアーム室３内に
流入する。

そして、上記ロツカアーム室３内に流入したブ
ローバイガスは、排気弁１１側の横側周壁３０の
傾斜面に沿つて案内されて、ロツカアーム室３の
各周壁を流れて吸気弁１０側にまで達し、吸気弁
軸支承部を適度に潤滑する。また、ブローバイガ
スはロツカアーム室３内を渦巻状に流動し、流動
する間に、ブローバイガス中のオイルがロツカア
ーム室３の各周壁面、ロツカアーム及びその駆動
部品に付着・分離される。

特に、横向き径路２８のガス出口３１からロツ
カアーム室３に流入した際に、ブローバイガスは
狭い通路から急に広い室内に流入することから、
よくオイル分離され、この分離されたオイルは最
初に触れる排気弁１１側の横側周壁３０で最も多
く付着・分離し、ロツカアーム室３の排気弁箇所
の冷却が効率的に行われる。

〈実施例〉 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図はエンジンのシリンダヘツド部の平面
図、第２図は同エンジンの縦断正面図、第３図は
同エンジンの縦断側面図であつて、エンジンＥ
は、クランクケース１５とシリンダブロツク１６
とを一体に形成し、シリンダブロツク１６の上側
にシリンダヘツド１７を固定し、シリンダヘツド
１７に配置した吸・排気弁１０，１１は各々シリ
ンダ１８の軸心に対して傾斜状に配置するととも
に、ロツカアーム１４は、その入力端部１９とク
ランクケース１５内のクランク室１に配置した動
弁用カム２０とをプツシユロツド８を介して連結
してある。

ロツカアーム室３は、ロツカアーム１４を上側
から覆う状態でシリンダヘツド１７に固定したヘ
ツドカバー２とシリンダヘツド上面とで形成さ
れ、その下面をプツシユロツド８側へ行くほど低
くなる傾斜状に形成する。

また、シリンダブロツク１６の中央にはシリン
ダ１８を形成し、連接棒２２を介してクランク軸
２３と連動したピストン２４を上下摺動自在に内
嵌する。

上記連接棒２２の大端部２５には油掻きスプー
ン２６を連設し、クランクケース１５の下方に設
けたオイルパン２７に貯留する潤滑油を当該スプ
ーンで撹拌して、その飛沫潤滑式頭上弁エンジン
Ｅを潤滑可能に構成する。

クランク軸２６の前端には冷却フアン７を一体
化したフライオイール９を連結し、この冷却フア
ン７で外部から吸入した冷却風をスパイラルケー
シング１２及び導風カバー１３を介してシリンダ
ブロツク１６及びシリンダヘツド１７の外周に導
いてエンジンＥを冷却可能に構成する。

シリンダブロツク１６及びシリンダヘツド１７
の前面側箇所、つまり冷却風の風上側で、吸気弁
１０に近い肉厚部にはガス導出路４を穿設し、プ
ツシユロツド８の嵌挿部分をオイル戻し路５とし
て、ロツカアーム室３を介して上記ガス導出路４
とオイル戻し路５を並列状に連通する。

そして、ロツカアーム室３の傾斜上部に当る吸
気弁１０側に偏つた部位にガス導出路４の上昇径
路上端を位置させるとともに、これから、排気弁
１１側に向かう横向き径路２８をロツカアーム室
３の吸・排気弁１０，１１側の横側周壁２９内に
形成し、かつ、この横向き径路２８の終端に、ロ
ツカアーム室３の排気弁１１側の横側周壁３０に
略沿うように開口するガス出口３１を設ける。前
記横向き径路２８は、ロツカアーム室３の横側周
壁２９の上面にガス導出路４の上端と連通する凹
溝３２を形成し、この凹溝３２をヘツドカバー２
の下端面で閉塞して構成したものである。

ロツカアーム室３の側方にはブレザー装置６を
設ける。このブレザー装置６は、シリンダヘツド
１７の上部一側を函状に形成して流入室３３と
し、同じくヘツドカバーの一側を函状に形成して
ブレザー室３４とし、この流入室３３とブレザー
室３４をブレザー板３５で区画し、ブレザー板３
５のブレザー室３４側にリード弁３６を設けて構
成する。

又、シリンダヘツド１７の周壁内には、オイル
戻し路５と上記流入室３３とを連通する連通孔３
７を設けるとともに、ブレザー板３５の中央にブ
レザー孔３８を設け、ブレザー孔３８を閉塞する
状態にリード弁３６を付設してブレザー室３４に
臨ませ、かつ、ブレザー室３４からガス流出管３
９を導出してエヤクリーナ４０に連通する。

このように構成した飛沫潤滑式頭上弁エンジン
Ｅのブローバイガス処理について説明すると、燃
焼室４１からクランク室１に吹き抜けたブローバ
イガスは、ガス導出路４及び横向き径路２８で導
かれてガス出口３１からロツカアーム室３に流入
し、ロツカアーム室３周壁で案内され渦流状に流
動する間に吸・排気弁１０，１１の弁軸部及びロ
ツカアーム１４等にオルを一部付着しながら一旦
オイル戻し路５に下降し、次いで連通路３７に入
る。

この連通孔３７に流入したブローバイガスは流
入室３３に入り、ブレザー孔３８を通つてリード
弁３６でオイル分離されたのち、ブレザー室３４
からガス流出管３９を介してエヤクリーナ４０に
循環される。このとき、ブローバイガス中に含ま
れるオイル分は、その重量によつてガスがオイル
戻し路５に下がつたときにガス分から分離され、
戻し路５の側壁を伝つてオイルパン２７まで下降
する。

〈別実施例〉 第４図に示すように、ブローバイガスをブレザ
ー装置６の流入室３３に導く連通路３７をロツカ
アーム室３と流入室３３との隔壁部に直接形成し
てもよい。

〈考案の効果〉 以上説明したように、本考案によれば、ロツカ
アーム室の吸気弁側の一端部にガス導出路の上昇
径路上端を配設するとともに、この上昇径路上端
から、ロツカアーム室の吸・排気弁側の横側周壁
に沿つて排気弁側に向かう横向き径路を形成し、
この横向き径路の終端に形成したガス出口を、ロ
ツカアーム室の排気弁側の横側周壁に略沿う方向
に開口し、この横側周壁を上記吸・排気弁側の横
側周壁からプツシユロツド側の横側周壁に向けて
広がる傾斜状に形成したので、ブローバイガスは
横向き径路ガス出口から勢いよくロツカアーム室
に流入し、排気弁側の横側周壁の傾斜面に沿つて
ロツカアーム室内を案内されて吸気弁側にまで達
する。これにより、ブローバイガス中のオイルを
吸気弁軸支承部に適度に付着・分離させることが
でき、吸気弁軸支承部に多量のオイルが付着して
燃焼室に吸引されるという不具合が無くなる。

特に、横向き径路のガス出口からロツカアーム
室に流入した際に、ブローバイガスはよくオイル
分離され、この分離されたオイルは最初に触れる
排気弁側の横側周壁で最も多く付着・分離し、排
気弁箇所の冷却が効率的に行える。

又、冷却作用を充分受ける吸気弁側のガス導出
路を通して導かれることによつて冷却されたブロ
ーバイガスを排気弁側からロツカアーム室に流入
させるので、この排気弁側部位の冷却が効果的に
行える。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は飛沫潤
滑式頭上弁エンジンのシリンダヘツド部を示す平
面図、第２図は同エンジンの縦断正面図、第３図
は同縦断側面図、第４図は別実施例の要部縦断側
面図である。 Ｅ……エンジン、１……クランク室、２……ヘ
ツドカバー、３……ロツカアーム室、４……ガス
導出路、５……オイル戻し路、６……ブレザー装
置、１０……吸気弁、１１……排気弁、２８……
横向き径路、２９，３０……周壁、３１……ガス
出口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 飛沫潤滑式頭上弁エンジンＥのクランク室１
   とヘツドカバー２内のロツカアーム室３とをガ
   ス導出路４とオイル戻し路５とで並列状に連通
   し、ロツカアーム室３に連通するブレザー装置
   ６を備えた飛沫潤滑式頭上弁エンジンにおい
   て、 ロツカアーム室３の吸気弁１０側の一端部に
   ガス導出路４の上昇径路上端を配設するととも
   に、この上昇径路上端から、ロツカアーム室３
   の吸・排気弁１０，１１側の横側周壁２９に沿
   つて排気弁１１側に向かう横向き径路２８を形
   成し、この横向き径路２８の終端に形成したガ
   ス出口３１を、ロツカアーム室３の排気弁１１
   側の横側周壁３０に略沿う方向に開口し、この
   横側周壁３０を上記吸・排気弁１０，１１側の
   横側周壁２９からプツシユロツド８，８側の横
   側周壁４２に向けて広がる傾斜状に形成してあ
   ることを特徴とする飛沫潤滑式頭上弁エンジ
   ン。 ２ 前記横向き径路２８がロツカアーム室３の
   吸・排気弁１０，１１側の横側周壁３１とヘツ
   ドカバー２との接合面に形成したものである実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載した飛沫潤
   滑式頭上弁エンジン。