JPS6210421Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、縦型頭上弁エンジンのクランク室の
ブレザ装置に関し、簡単な構造でありながらオイ
ル分離性能を向上させるとともに、分離したオイ
ルを利用した吸排気弁軸の潤滑性能を高めること
を目的とする。

一般に縦型頭上弁エンジンに付設されるクラン
ク室のブレザ装置は、クランク室から弁腕室に流
入したブレザガスをヘツドカバーの上面上に設け
たオイル分離装置で油切りした後、吸気系路に吸
入させるようになつている。

ところが、こうしたものでは、油切室に吸い込
まれるブローバイガスがブローバイガス吹き上げ
孔及び弁腕室を通る時に多量の潤滑油分を含んで
しまい、ブレザ装置で十分に油分離されないまま
吸気系路中に吸入される。

そこで、ブレザ装置の油分離性能を良くするた
めに、オイル分離装置を大形にすることが考えら
れるが、高価につくうえ、エンジンの外形も大形
になる。

本考案は、上気欠点を解消するために提案され
たもので、弁腕室に飛散する多量の潤滑油ミスト
がブレザ装置の油切室に直接流入するのを区画板
で防止してブレザ装置の油分離性能を向上させる
とともに、ブレザ装置で分離した潤滑油を吸・排
気弁の弁軸端部に供給して吸排気弁軸の潤滑性能
を向上させるようにするものである。

そのための構造として、縦型頭上弁エンジンの
ヘツドカバー内の弁腕室の一側部の下面にクラン
ク室からのブレザガス吹き上げ孔を明けるととも
に、その他側部に弁軸の端部を上向きに突入さ
せ、弁腕室内の上部空間の少なくとも他側寄部に
区画板を他側がわが下る傾斜状に配置して、区画
板上に緩衝空間を形成し、緩衝空間と弁腕室との
連通路を区画板の他側縁の近傍部に設け、ヘツド
カバーの上部にブレザ装置の油切室を設け、この
油切室の入口を緩衝空間の一側がわ部分に開口
し、区画板の傾斜下り端部を弁軸端部の上側に位
置させ、弁軸端部の上側で区画板の傾斜下り端部
に油戻し孔を明けるようにしたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は縦型水冷頭上弁デイーゼルエンジンの
縦断正面図を示し、このエンジン１はクランクケ
ース２の上方にピストン３を上下摺動自在に内装
したシリンダブロツク４を一体に形成し、シリン
ダブロツク４の上方にシリンダヘツド５とヘツド
カバー６を順に載置固定してある。

シリンダブロツク５のピストン３はクランクケ
ース２に回転自在に枢支したクランク軸７にコネ
クテイングロツド８で連結してあり、ピストン３
の上方には主撚焼室９が形成される。

この主撚焼室９はシリンダヘツド５に形成した
副燃焼室１０に直接連通し、吸・排気ポート１１
に吸・排気弁１２を介して連通する。

吸・排気弁１２は、シリンダブロツク５の側方
に形成した動弁カム室１３に枢支された動弁カム
軸１４でタペツト１５を押し上げ、プツシユロツ
ド１６を介して弁腕室１７内のロツカアーム１８
を揺動させ、バルブスプリング１９に抗して弁軸
２０の軸端部２０ａを押込むことにより、吸・排
気ポート１１と主撚焼室９とを連通するようにな
つている。

そして、動弁カム室１４の底部には、クランク
ケース２内のクランク室２１に連通する連通孔２
２が明けてあり、この連通孔２２は、主撚焼室９
からクランク室２１に洩れ出たブローバイガスを
動弁カム室１３に導くものである。

動弁カム室１３に流入したブローバイガスはタ
ペツト孔２３及びプツシユロツド挿通孔（ブレザ
ガス吹き上げ孔）２４からヘツドカバー６内の弁
腕室１７に流入しここから後述するブレザ装置Ｂ
で油分離した後エアクリーナ２５と吸気ポート１
１との間の吸気筒２６内に戻される。

ブレザ装置Ｂは、第２図に示すように、ヘツド
カバー６のブローバイガス出口孔２７の上方にス
チールウール等からなる気液分離材２８を内装し
たブレザケーシング２９を取付けてブレザケーシ
ング２９の内方に油切室３０を形相してある。

ヘツドカバー６のブローバイガス出口孔２７の
下方には区画板３１が取付けられ区画板３１とヘ
ツドカバー６との間に緩衝空間Ｓが形成される。

この区画板３１は、第２図に示すように、周囲
の端部に取付鍔３２を形成するとともに、この取
付鍔３２を弁腕室１７の上壁及び一側壁に取付け
ると区画板３１は傾斜状になる。

取付鍔３２を形成していない傾斜下り端部３１
ａには開口３５が形成されこの開口３５はブロー
バイガス吹き上げ孔２４とは反対側に向けてあ
る。

そして、区画板３１の傾斜下り端部３１ａの開
口３５が弁腕室１７との間に緩衝空間Ｓと弁腕室
１７内とを連通する連通部３５として作用する。

また、ロツカアーム１８と吸・排気弁１２の弁
軸端部２０ａとの接合部の上方に位置する区画板
３１には一条の堰３３と油戻し孔３４が設けてあ
る。

上記のように構成したブレザ装置の作用を次に
説明する。

燃焼室９からクランクケース２内に洩れ出たブ
ローバイガスは連通孔２２、動弁カム室１３、タ
ペツト孔２３、プツシユロツド挿通孔（ブローバ
イガス吹き上げ孔）２４を順に通つて弁腕室１７
に入り、ロツカアーム１８等を潤滑して弁腕室１
７に飛散する多量の潤滑油とともに、ブローバイ
ガス出口孔（油切室の入口）２７から油切室３０
に直接流入しようとするのを区画板３１の開口部
に迂回させ、その間に潤滑油分を粗分離し、緩衝
空間Ｓを通りブローバイガス出口孔２７から油切
室３０に入りここでこまかく油分離した後、吸気
管２６に吸入される。

そして、油切室３０でブローバイガス中から分
離された潤滑油はブローバイガス出口２７から流
出し区画板３１を伝つて流下し、途中に設けた堰
３３で留められた油が油戻し孔３４から吸・排気
弁１２の弁軸端部２０ａにふりかかり、弁軸２０
を潤滑する。

尚、上記実施例の区画板３１は第３図に示すよ
うに、区画板３１の堰３３に変えて、油戻し孔３
４から開口端部にかけての区画板部分３１ｂを上
り傾斜面にしてその底部に油留りと油戻し孔を形
成するようにしてもよい。

本考案は、以上に述べたように、ブローバイガ
ス中に含まれた多量の潤滑油分を弁腕室から区画
板の緩衝空間を流れる時にあらかた油分離され、
ブレザ装置のオイル分離装置でさらに細かく油分
離されるので、オイル分離装置を大形化すること
なくオイル分離性能を向上させることができる。

しかも、ブレザ装置の油切室でブローバイガス
から分離された潤滑油分を区画板の油戻し孔から
弁軸の端部に注ぎ吸排気弁軸の潤滑性能を高め
る。

また、本考案は、区画板を弁腕室に傾斜状に配
置し、弁軸端部の上方に位置する部分の区画板に
油戻し孔を設けるだけの簡単な構造で済み、安価
に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は水冷縦
型頭上弁エンジンの縦断正面図、第２図は要部の
拡大断面図、第３図は区画板の別実施例を示す縦
断面図である。 Ｂ……ブレザ装置、Ｓ……緩衝空間、１……エ
ンジン、６……ヘツドカバー、１７……弁腕室、
２０ａ……弁軸端部、２１……クランク室、２４
……ブローバイガス吹き上げ孔（プツシユロツド
挿通孔）、２７……入口（ブローバイガス出口）、
３０……油切室、３１……区画板、３１ａ……３
１の傾斜下り端部、３４……油戻し孔、３５……
連通部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 縦型頭上弁エンジン１のヘツドカバー６内の弁
   腕室１７の一側部の下面にクランク室２１からの
   ブローバイガス吹き上げ孔２４を明けるととも
   に、その他側部に弁軸２０の端部を上向きに突入
   させ、弁腕室１７内の上部空間の少なくとも他側
   寄部に区画板３１を他側がわが下る傾斜状に配置
   して、区画板３１上に緩衝空間Ｓを形成し、緩衝
   空間Ｓと弁腕室１７との連通部３５を区画板３１
   の他側縁の近傍部に設け、ヘツドカバー６の上部
   にオイル分離装置３０を設け、このオイル分離装
   置３０の入口２７を緩衝空間Ｓの一側がわ部分に
   開口し、区画板３１の傾斜下り端部３１ａを弁軸
   端部２０ａの上側に位置させ、弁軸端部２０ａの
   上側で区画板３１の傾斜下り端部３１ａに油戻し
   孔３４を明けた事を特徴とする縦型頭上弁エンジ
   ンのクランク室のブレザ装置。