JPH021358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は、比較的重い品物を吊上げて運ぶ吊上
運搬車に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 一般に、倉庫、工場などの作業場において、重
量物を運搬、積上げなどの作業をフオークリフト
車で行うことが多い。しかし、例えば道路工事の
作業場において、コンクリート製の側溝やその蓋
を運搬、配置するのに、フオークリフト車のよう
な設備費が高くつくものよりも、もつと手軽に使
える吊上運搬車が用いられる。普通、この種の吊
上運搬車は、車体にリフト部を設け、荷物をリフ
トで吊上げて車体全体を動かして運ぶよう構成さ
れている。

しかし、従来の吊上運搬車は、リフトが固定さ
れて首振回転ができないため、荷物を吊上げたの
ち車体全体を動かさなければならなかつたので作
業性が悪かつた。さらに吊上運搬車による吊上作
業の場合、吊上運搬車全体の総重量に対し、荷物
の重量が小さいときは問題にならないが、荷物の
重量が大きく車体重量のそれに近いものになつて
くると、車体側のバランスが崩れ、不安定になつ
たり、また逆に車体側の後部がせり上がり、転倒
したりするなどの危険があつた。

［考案の目的］ 本考案の目的は、荷物を軽く確実に吊上げるこ
とができ、予定の位置に運ぶ作業性がよく、併せ
て荷物の軽重に対応して車体側の重量のバランス
を調整できる吊上運搬車を提供することにある。

［考案の概要］ 本考案による吊上運搬車は、リフト部を４点の
支点を有するカム機構を利用した倍力機構で構成
するとともに、そのリフト部軸をを回転可能と
し、さらに車体の床にバランスウエイトになる引
出状足掛板を設けたことを特徴とするものであ
る。

［考案の実施例］ 以下、本考案を第１図、第２図および第３図に
示す実施例について説明する。各図面において、
車輪１を有する車体２に任意の高さの支持枠３を
設けている。この支持枠３の中央部にリフト部４
の回動軸５の支承する軸受筒６を設けている。リ
フト部４は回動軸５がその途中に設けたカラー７
を軸受筒６の上面で受けることによつて回転可能
になつている。

この回動軸５の上部に設けたリフト部４は、荷
物を吊上げ吊下げる吊フツク部８と吊作用力を加
える倍力機構部９との組み合せからなつている。

吊フツク部８は、第１図に示すように荷物１０
をつかむ一対のフツク１１を有する一対のアーム
１２を軸１３の支点で回動可能に連結し、さらに
この一対のアーム１２の端部を一対の短アーム１
４と軸１５の支点で連結し、この一対の短アーム
１４の端部を軸１６の支点で吊金具１７に取りつ
けて構成されている。

倍力機構部９は、第１図および第２図に示すよ
うに一端が吊フツク部８の吊金具１７に連結し、
その他端を車体２の上方に沿つて延長してその途
中を支点軸１８で回動軸５の途中に回動可能に取
りつけた作作用アーム１９を有し、回動軸５の上
端を直角に折り曲げた折曲端部２０に支点軸２１
を介してカム板２２を取りつけ、このカム板２２
に支点軸２３で取りつけた連結アーム２４の端部
を支点軸２５で前記の作用アーム１９の自由端付
近に回動可能に連結して構成されている。そして
カム板２２に操作アーム２６を図示のように固定
している。

さらに本考案においては、第１図および第２図
に詳細を示すように車体２の床にバランスウエイ
トになる引出状足掛板２７を引出自在に設けてい
る。この足掛板２７は、車体２の床に形成したガ
イド２８を進退するように組込まれており、その
端部には地面に乗る足部２９を設けている。した
がつてこの足掛板２７は、車体２の床に引き出し
押し入れが自由で、引き出したときは、これが作
業の足場になるとともに、引き出した大きさによ
つて車体２に対するバランスウエイトの重さを調
整することができる。

次にこのように構成した本考案の吊上運搬車の
作動について説明する。本考案の吊上運搬車は、
例えば道路工事の作業場においてコンクリート製
の側溝やその蓋の運搬に使用される。今、荷物で
あるコンクリート製蓋１０の近くに吊上運搬車を
運び、足掛板２７を適当量だけ引き出して作業者
が足を掛ければ車体２が安定する。

操作アーム２６を第１図および第２図に示す矢
示Y₁の方向に持ち上げれば、リフト部４の倍力
機構部９のカム板２２、連結アーム２４、作用ア
ーム１９の端部よび回動軸５の折曲部２０の４点
の支点軸２１，２３，２５，１８を利用して簡単
に軽く作用アーム１９を軸１８を中心に反時計方
向に揺動し、リフト部８を下方へ下ろす。

そしてフツク部８のフツク１１で蓋１０をつか
ませたのち、今度は操作アーム２６を第１図およ
び第２図の点線位置から矢示Y₂の下方向に押し
上げる。この操作アーム２６の押し下げの時は、
押下力がカム板２２および連結アーム２４を介し
その支点軸２１，２３および２５によつて作用ア
ーム１９を支点軸１８を中心に時計方向に揺動さ
せる。

この作用アーム１９の揺動は、吊金具１７を介
してフツク部８に吊上力として伝達される。フツ
ク部８では、吊金具１７の引上げが一対の短アー
ム１４および一対のアーム１２を介して一対のフ
ツク１１に蓋１０をつかむ力として作用し、荷物
１０を確実につかみ上げる。

そして第３図に示すようにリフト部４を回動軸
５を軸にして矢示Y₃の方向に回動させ、荷物１
０を決まつた位置に持つて行く。そして操作アー
ム２６を再び第１図および第２図の矢示Y₁の方
向に持ち上げれば、逆にフツク部８が下方へ降り
て荷物１０を静かに定位置に置くことができる。

以上の荷物１０の吊上げ、吊下しの作業におい
て、荷物１０の吊上時は倍力機構部９が作用アー
ム１９の端部、回動軸５の折曲部２０、カム板２
２および連結アーム２４と四つの支点軸１８，２
１，２４および２５とで作る倍力機構および作用
アーム１９の軸１８を支点とするテコ作用によ
り、小さな作用力によつて比較的に重いコンクリ
ート製の蓋１０を軽く吊り上げることができる。

またこの種の運搬車は、ややもすると荷物１０
に対応する重量を持たせることができず、吊上時
に不安定になるおそれがあるが、本考案において
は足掛板２７を引き出し、これに足をかけて体重
をかけてバランスをとることにより安定した吊上
作業を行うことができる。

さらに荷物１０を吊上げたのち、リフト部４の
全体を回動軸５を軸に、360度にわたつて回動す
ることができ、荷物１０を定位置に簡単に持ち運
ぶことが可能になつた。

［考案の効果］ 以上のように本考案によれば、荷物のリフト部
の作用点機構にカム板と三つのアームとの組合せ
による倍力機構を採用し、かつリフト部全体を回
動軸を軸として回動可能とし、さらに車体の床に
バランスウエイトによる引出状足掛板を設けたこ
とにより、荷物を小さな力で確実に持ち上げ、定
位置に簡単に運ぶことができ、さらに荷物に対応
してバランスウエイトを調整して安全に作業を行
うことができるなどの幾多の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による吊上運搬車の一実施例を
示す斜視図、第２図および第３図は本考案の吊上
運搬車を示す正面図および平面図である。 １……車輪、２……車体、３……支持枠、４…
…リフト部、５……回動軸、４……軸受筒、８…
…フツク部、９……倍力機構部、１０……荷物、
１１……フツク、１２，１４……アーム、１３，
１５，１６……軸、１７……吊金具、１８，２
１，２３，２５……支点軸、１９……作用アー
ム、２０……折曲部、２６……操作アーム、２７
……引出状足掛板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪を有する車体と、この車体の床に設けられ
   任意の高さを有しかつ中央部に軸受を有する支持
   枠と、この支持枠の軸受に回動自在に挿入した回
   動軸と、この回動軸に支点軸によつて揺動自在に
   取りつけた作用アームと、この作用アームの一端
   に設けた荷物をつかむフツクを有する吊フツク部
   と、作用アームの他端と前記回動軸の上端の折曲
   部との間にカム板および連結アームをそれぞれ四
   つの支点軸を介して連結しさらに操作アームを固
   着して構成した倍力機構部と、前記車体の床に自
   在に引出可能に納めたバランスウエイトとなる引
   出状足掛板とから構成したことを特徴とする吊上
   運搬車。