JPS624056Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ハンドトラツク用制動装置に係
り、さらに詳しくは手荷物等を運搬するハンドト
ラツクに付設される制動装置に関する。

従来のハンドトラツクには、通常ブレーキが付
設されておらず、簡単なストツパを設けたものが
知られている。このようなストツパは、キヤスタ
の車軸に、例えば断面コ字型の制止部材を回動自
在に取り付け、該制止部材を手動により車輪に当
接させてキヤスタの前後の移動を制止するように
している。

しかしながら、このようなストツパは一旦停止
したハンドトラツクの移動を防止するものであ
り、移動中のハンドトラツクに制動を掛け、停止
させ得るようにはなつていない。

また、ストツパを作動させた場合でも、前後い
ずれかの方向への移動は避けられず、停止位置の
正確性または停止時の安定性を確保することは困
難であつた。

ところで、この種ハンドトラツクでは、作業員
がハンドトラツクを停止させ、荷物を上げ下ろし
する際、その作業性をよくし、かつ安定性を確保
するうえで、ブレーキハンドルを放した時に、車
輪に自動的に制動が掛かつてハンドトラツクが確
実に停止し、またブレーキハンドルを制動解除方
向に操作した時に、車輪の制動が解除されてハン
ドトラツクが移動可能になるようにすれば、合理
的である。

この考案の目的は、作業員が荷物の上げ下ろし
をする際、ブレーキハンドルを放すと、車輪がそ
の前後方向に移動しないように、自動的に確実に
制動が掛かつてハンドトラツクを停止させるるこ
とができ、かつハンドトラツクの停止中に、車輪
に前方または後方に移動させる方向に回転力が作
用しても、車輪に強力に制動を掛けることがで
き、しかも車輪の前、後部に配置された第１，第
２のブレーキシユーを、車輪に制動を掛ける方向
と、解除する方向とに同期的に、確実に作動する
ハンドトラツク用制動装置を提供することにあ
る。

この考案は、前記目的を達成するため、ブラケ
ツトに回転可能に支持されたキヤスタの車輪の
前、後部に、横断面がコ字型に形成された第１，
第２のブレーキシユーを配置し、前記第１，第２
のブレーキシユーに、第１，第２のアームの一端
部を取り付け、前記第１，第２のアームの他端部
を前記ブラケツトに共通のピンにより結合し、前
記第１，第２のアームの長さ方向の途中に、第
３，第４のアームの一端部を連結し、前記第３，
第４のアームの他端部を操作杆に共通のピンによ
り連結し、前記操作杆と第３，第４のアームと第
１，第２のアームとを通じて第１，第２のブレー
キシユーを、常に車輪に制動を掛ける方向に押す
弾性体を設け、前記操作杆に、前記弾性体に抗し
て第１，第２のブレーキシユーを、制動を解除す
る方向に操作するブレーキハンドルを連結した構
成としたところに特徴を有する。

以下、この考案の実施例を図面により説明す
る。

第１図はこの考案の制動装置を適用したハンド
トラツクの側面図、第２図は前記ハンドトラツク
のリヤキヤスタに配置されたこの考案の一実施例
の詳細を示す一部破断拡大側面図、第３図は第２
図の−矢視図、第４図は車輪と第１，第２の
ブレーキシユーとこれに付属の部材との関係を示
す斜視図である。

第１図に示すハンドトラツクは、荷台１と、該
荷台１の前方下部に取り付けられた一対のスイベ
ルキヤスタ２と、荷台１の後方下部に取り付けら
れた一対の固定式のリヤキヤスタ３と、該リヤキ
ヤスタ３が位置する荷台の上部に立設されたハン
ドトラツク用のハンドル４と、該ハンドル４に沿
つて設けられた制動装置とを備えている。

前記リヤキヤスタ３は、第３図に示すように正
面から見て型のブラケツト５と、これの内部に
配置されかつ軸１９に回転可能に支持された車輪
６とを有している。

前記制動装置は、この実施例では前記リヤキヤ
スタ３に対して配置されている。そして、この制
動装置は第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄ
と、第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂと第３，第４
のアーム８Ａ，８Ｂと、操作杆を構成している連
杆１０およびロツド９と、ばね押え１７内に設け
られた弾性体としての圧縮ばね１１と、前記ハン
ドトラツク用のハンドル４に設けられたブレーキ
ハンドル２０とを備えて構成されている。

前記第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄ
は、第４図に示すように、横断面（水平方向の断
面）がコ字型に形成されている。また、第１，第
２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄは、車輪６の前、
後に配置されていて、車輪６の前、後部方向の両
側から制動を掛け得るようになつている。

前記第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂの一端部
は、第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄに一
体に取り付けられている。前記第１，第２のアー
ム７Ａ，７Ｂの他端部は、互いに重ね合わされ、
共通のピン１２により前記リヤキヤスタ３のブラ
ケツト５に結合されており、前記第１，第２のア
ーム７Ａ，７Ｂはピン１２を支点として揺動可能
に結合されている。前記第１，第２のアーム７
Ａ，７Ｂには、長さ方向の第１，第２のブレーキ
シユー７Ｃ，７Ｄ側寄りの位置に、連結部材１３
Ａ，１３Ｂが一体に取り付けられている。

前記第３，第４のアーム８Ａ，８Ｂの一端部
は、ピン１４Ａ，１４Ｂにより前記連結部材１３
Ａ，１３Ｂに結合されている。また、第３，第４
のアーム８Ａ，８Ｂの他端部は、互いに重ね合わ
され、共通のピン１５により連杆１０の一端部に
結合されている。

前記連杆１０の他端部には、ナツト１６が設け
られており、このナツト１６を介して連杆１０に
ロツド９の一端部が連結されている。このロツド
９は、第１図および第２図に示すように、ハンド
トラツク用のハンドル４の垂直部分に沿つて上方
に真つ直ぐに伸びている。また、前記ロツド９の
他端部には、ロツド９よりも大径のストツパ１８
が一体に設けられている。

前記ばね押え１７は、第２図から分かるよう
に、前記操作杆よりも大径でかつ縦断面が型に
形成されている。このばね押え１７は、操作杆の
連杆１０とロツド９の連結部分を囲むように配置
され、かつリヤキヤスタ３のブラケツト５の天井
板に固定されている。

前記圧縮ばね１１は、ロツド９の一端部側の周
りに装着され、ばね押え１７の天井板とナツト１
６間に介装されている。そして、圧縮ばね１１の
ばね力は、ナツト１６→連杆１０→第３，第４の
アーム８Ａ，８Ｂ→連結部材１３Ａ，１３Ｂ→第
１，第２のアーム７Ａ，７Ｂを通じて第１，第２
のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄに伝達され、第１，
第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄは前記圧縮ばね
１１のばね力により常に車輪６に制動を掛ける方
向に押されている。

前記ブレーキハンドル２０は、ピン２２により
ハンドトラツク用のハンドル４に結合されてい
る。このブレーキハンドル２０の一端部は、前記
ロツド９に設けられたストツパ１８に掛け止めら
れている。また、このブレーキハンドル２０の他
端部は、ハンドトラツク用のハンドル４の握り部
分と一緒に握つて操作杆を操作しやすいはさみ角
に開いた状態に取り付けられている。

前記実施例のハンドトラツク用制動装置は、次
のように操作され、作用する。

すなわち、作業員がブレーキハンドル２０を放
している状態では、第２図から理解されるよう
に、弾性体としての圧縮ばね１１のばね力により
ナツト１６を介して連杆１０が矢印ａ方向に押さ
れている。

前記連杆１０が矢印ａ方向に押されると、第
３，第４のアーム８Ａ，８Ｂおよび連結部材１３
Ａ，１３Ｂを通じて第１，第２のアーム７Ａ，７
Ｂがピン１２を支点として互いに寄り合う方向に
押し込まれる。

前記第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂが互いに寄
り合う方向に押されると、第１，第２のブレーキ
シユー７Ｃ，７Ｄが車輪６の前，後部に圧着する
方向に押され、車輪６に制動が掛けられハンドト
ラツクは停止している。

この状態で、車輪６に例えば第２図に矢印ｂで
示す時計方向の回転力が作用した場合には、車輪
６と第１のブレーキシユー７Ｃ間の摩擦力により
第１のブレーキシユー７Ｃが車輪６の前記回転力
の作用方向、つまり第２図において時計方向に引
き込まれる。この時、第１のアーム７Ａがピン１
２を支点として矢印ｄ方向に揺動する。そして、
第１のブレーキシユー７Ｃは横断面がコ字型に形
成されているため、前記第１のアーム７Ａが矢印
ｄ方向に揺動するに伴い、車輪６の外側から内側
に向かつて食い込む。その結果、車輪６に強力に
制動が掛けられる。

したがつて、車輪６に第２図において時計方向
の回転力が作用した場合には、第１のブレーキシ
ユー７Ｃにより、強力な制動が掛けられるので、
車輪６が回転せず、ハンドトラツクを定位置に確
実に停止させることができる。

また、車輪６に第２図に矢印ｃで示す反時計方
向の回転力が作用した場合には、車輪６と第２の
ブレーキシユー７Ｄ間の摩擦力により第２のブレ
ーキシユー７Ｄが前記回転力の作用方向に引き込
まれる。この時、第２のアーム７Ｂがピン１２を
支点として第２図において矢印ｅ方向に揺動す
る。而して、第２のブレーキシユー７Ｄの横断面
がコ字型に形成されているため、前記第２のアー
ム７Ｂが矢印ｅ方向に揺動するに伴い、車輪６の
外側から内側に向かつて食い込む。その結果、車
輪６に強力に制動が掛けられる。

したがつて、車輪６に第２図において反時計方
向の回転力が作用した場合には、第２のブレーキ
シユー７Ｄにより、強力な制動が掛けられるの
で、この場合にも車輪６が回転せず、ハンドトラ
ツクを確実に停止させることができる。

しかも、作業員が荷台１上に荷物を上げ下ろし
する際、ブレーキハンドル２０を放すと、前記圧
縮ばね１１のばね力がナツト１６→連杆１０→第
３，第４のアーム８Ａ，８Ｂ→連結部材１３Ａ，
１３Ｂ→第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂを通じて
第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄに伝達さ
れ、第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄが車
輪６に制動を掛ける方向に作動するので、車輪６
に自動的に制動を掛けることができ、さらに制動
を掛けている状態では、前述のごとく車輪６に作
用する回転力の方向に応じて、第１，第２のブレ
ーキシユー７Ｃ，７Ｄのいずれかが必ず車輪６の
外側から内側に向かつて食い込んで強力に制動を
与えるので、荷物の上げ下ろし作業を安全に行う
ことができる。

次に、ハンドトラツクを移動させる時は、ハン
ドトラツク用のハンドル４と一緒にブレーキハン
ドル２０を握り締め、ロツド９を圧縮ばね１１の
ばね力に抗して、第２図の矢印ａ方向の反対方向
に引き上げる。

前記ロツド９を矢印ａの反対方向に引くと、連
杆１０が引き上げられ、これに伴い第３，第４の
アーム８Ａ，８Ｂおよび連結部材１３Ａ，１３Ｂ
を通じて第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂがピン１
２を支点として互いに遠ざかる方向に回動する。
その結果、第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７
Ｄが車輪６から離れて制動が解除される。したが
つて、車輪６が自由に回転することができるの
で、ハンドトラツクを目的の場所へ自由に移動さ
せることが可能となる。

さらに、この実施例では第１，第２のブレーキ
シユー７Ｃ，７Ｄを支持している第１，第２のア
ーム７Ａ，７Ｂの他端部を共通のピン１２により
結合し、前記第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂに取
り付けられた連結部材１３Ａ，１３Ｂに第３，第
４のアーム８Ａ，８Ｂの一端部をピン１４Ａ，１
４Ｂにより結合し、第３，第４のアーム８Ａ，８
Ｂの他端部を共通のピン１５により連杆１０の一
端部に結合し、第１，第２のアーム７Ａ，７Ｂお
よび第３，第４のアーム８Ａ，８Ｂが前記各ピン
の個所でスムーズに連動するように結合されてい
る。

したがつて、作業員がブレーキハンドル２０を
放して車輪６に制動を掛ける場合、およびブレー
キハンドル２０を握つて制動を解除する場合のい
ずれにおいても、操作杆を通じて第３，第４のア
ーム８Ａ，８Ｂおよび第１，第２のアーム７Ａ，
７Ｂをスムーズに動作させることができるので、
第１，第２のブレーキシユー７Ｃ，７Ｄを車輪６
に制動を掛ける方向と、制動を解除する方向とに
同期的に、確実に作動させることができる。

なお、この考案では前記圧縮ばね１１に代え
て、ゴム弾性を有するものを用いてもよい。

また、図面に示すごとく、制動装置はリヤキヤ
スタに対して配置するものに限らず、他のキヤス
タに配置してもよい。

さらに、ブレーキハンドル２０や操作杆の形状
や取り付け構造は、図面に示す実施例に限らず、
所期の機能を有するものであればよい。

以上説明したこの考案によれば、次のような効
果がある。

（） ブレーキハンドルを放すと、弾性体の作
用により操作杆が押され、この操作杆により第
３，第４のアームが押され、この第３，第４の
アームにより第１，第２のアームが押し込ま
れ、この第１，第２のアームにより第１，第２
のブレーキシユーが車輪の前、後部に圧着さ
れ、車輪に自動的に制動が掛かるように構成し
ている。したがつて、荷物の上げ下ろしに際し
て、作業員がブレーキハンドルを放すだけで、
ハンドトラツクを停止させ得る効果がある。

（） キヤスタのブラケツトにピンにより第
１，第２のアームを揺動可能に結合し、この第
１，第２のアームを介して第１，第２のブレー
キシユーを車輪の前、後部に配置しており、し
かも第１，第２のブレーキシユーを横断面にお
いてコ字型に形成している。その結果、ハンド
トラツクの停止状態で、車輪に前方または後方
に移動させる方向の回転力が作用すると、車輪
に第１，第２のブレーキシユーが密着している
ので、車輪の回転方向に応じて第１，第２のブ
レーキシユーのいずれか一方が摩擦力で車輪の
回転方向に引き込まれ、この時、当該第１，第
２のアームが車輪の内側に向かつて揺動し、こ
れにより当該第１，第２のブレーキシユーが車
輪の外側から内側に向かつて食い込む。したが
つて、車輪に前方または後方に移動させる方向
の回転力が作用した場合、そのいずれにおいて
も、第１，第２のブレーキシユーにより車輪に
強力に制動を掛けることができ、ハンドトラツ
クを確実に、かつ安全に停止させ得る効果があ
る。

（） 第１，第２のブレーキシユーに第１，第
２のアームの一端部を一体に取り付け、この第
１，第２のアームの他端部を共通のピンにより
キヤスタのブラケツトに結合し、第１，第２の
アームに第３，第４のアームの一端部を連結す
るとともに、第３，第４のアームの他端部を共
通のピンにより操作杆に結合している。したが
つて、ブレーキハンドルを操作し、操作杆を車
輪に制動を掛ける方向と、解除する方向とに操
作することにより、前記第３，第４のアーム、
および第１，第２のアームがスムーズに連動す
るので、第１，第２のブレーキシユーを車輪に
圧着させて制動を掛ける方向と、車輪から離れ
て制動を解除する方向とに同期的に、確実に作
動させ得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の制動装置を適用したハンド
トラツクの側面図、第２図は前記ハンドトラツク
のリヤキヤスタに配置されたこの考案の一実施例
の詳細を示す一部破断拡大側面図、第３図は第２
図の−矢視図、第４図は車輪と第１，第２の
ブレーキシユーとこれに付属の部材との関係を示
す斜視図である。 １……ハンドトラツクの荷台、２……同スイベ
ルキヤスタ、３……同リヤキヤスタ、４……同ハ
ンドル、５……リヤキヤスタのブラケツト、６…
…同車輪、７Ａ，７Ｂ……制動装置を構成してい
る第１，第２のアーム、７Ｃ，７Ｄ……同第１，
第２のブレーキシユー、８Ａ，８Ｂ……同第３，
第４のアーム、９……同操作杆を構成しているロ
ツド、１０……同連杆、１１……制動装置を構成
している弾性体としての圧縮ばね、１２……第
１，第２のアームを連結しているピン、１４Ａ，
１４Ｂ……第３，第４のアームを連結しているピ
ン、１７……ばね押え、２０……ブレーキハンド
ル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (i) ブラケツトに回転可能に支持されたキヤスタ
   の車輪の前、後部に、横断面がコ字型に形成さ
   れた第１，第２のブレーキシユーを配置し、 (ii) 前記第１，第２のブレーキシユーに、第１，
   第２のアームの一端部を取り付け、前記第１，
   第２のアームの他端部を前記ブラケツトに共通
   のピンにより結合し、 (iii) 前記第１，第２のアームの長さ方向の途中
   に、第３，第４のアームの一端部を連結し、前
   記第３，第４のアームの他端部を操作杆に共通
   のピンにより連結し、 (iv) 前記操作杆と第３，第４のアームと第１，第
   ２のアームとを通じて第１，第２のブレーキシ
   ユーを、常に車輪に制動を掛ける方向に押す弾
   性体を設け、 (v) 前記操作杆に、前記弾性体に抗して第１，第
   ２のブレーキシユーを、制動を解除する方向に
   操作するブレーキハンドルを連結した、 ことを特徴とするハンドトラツク用制動装置。