JP7506152B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、ポリイミド前駆体/ポリイミド含有樹脂組成物及びポリイミドフィルムに関する。本発明はさらに、ポリイミド前駆体/ポリイミド含有樹脂組成物の製造方法、並びにポリイミドフィルム、ディスプレイ、積層体及びフレキシブルデバイスの製造方法にも関する。
ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超耐熱性樹脂であり、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐低温性、耐薬品性等に優れた特性を有している。このため、ポリイミド樹脂は、電子材料を含む広範囲な分野で用いられている。電子材料分野におけるポリイミド樹脂の適用例としては、例えば絶縁コーティング材、絶縁膜、半導体、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の電極保護膜等を挙げることができる。最近は、ポリイミドフィルムの軽さ、柔軟性などを利用して、ディスプレイ材料の分野において従来使用されていたガラス基板に代わり、フレキシブル基板としても採用が検討されている。
特許文献1には、モノマーとして、3,5-ジアミノベンズアミド(以下、DABAともいう)と、下記構造式:
Figure 0007506152000001
の化合物(以下、CpODAともいう)と、その他の化合物とを用いて、ポリイミドを合成し、得られたポリイミドワニスに架橋剤を添加し、塗布、乾燥して得られるポリイミドフィルムが記載されている。また、特許文献1には、このフィルムは、ガス分離性能が優れることも記載されている。特許文献2には、ジアミンとしてDABA、TFMB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)などを、酸二無水物としてCpODAを用いたポリイミドワニスを塗布、乾燥して得られる透明ポリイミドフィルムが記載されている。
特許第6551640号公報 国際公開第2019/211972号
特許文献1に記載のポリイミドフィルムは、その用途がガス分離膜であり、光学材料として検討が為されていない。
また、本発明者らは、DABA、TFMBとCpODA、ケイ素含有化合物などをモノマーとして用いて、上記特許文献2に記載されたものと同様にポリイミドワニスを合成したところ、ワニス製造プロセスで求められるワニスのろ過性が不十分であり、そのポリイミドワニスを塗布、加熱して得られるポリイミドフィルムは、ディスプレイ用途に求められる特性(引張伸度等)が不十分であることを見出した。他方、本発明者らは、DABA、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)等のジアミンと、CpODA、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)等の酸二無水物と、その他のケイ素含有化合物などをモノマーとして用いて得られたポリイミドは、ディスプレイ用途に求められる特性が優れることを見出した。
したがって、本発明は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、ポリイミド前駆体及び/又はポリイミド含有樹脂組成物の製造プロセスに求められる特性、及びディスプレイ用途に求められるその他の特性の双方に優れるポリイミドフィルム、及びこれを形成するための樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の技術的手段により解決されることができる。
〔第一の態様〕
<1>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000002
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000003
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000004
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記樹脂の総質量を基準に前記ケイ素含有化合物を25質量%以下含む、
樹脂組成物。
<2>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000005
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000006
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000007
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記樹脂のイミド化率が50%以上である、
樹脂組成物。
<3>
前記樹脂のイミド化率が50%以上である、項目1に記載の樹脂組成物。
<4>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000008
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000009
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000010
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
下記(ア)又は(イ):
(ア)前記P及び/又はPは、下記一般式(8):
Figure 0007506152000011
で表される化合物に由来する構成単位を含む;又は
(イ)前記P及び/又はPは、下記一般式(9):
Figure 0007506152000012
で表される化合物に由来する構成単位を含む;
のいずれかを満たす、樹脂組成物。
<5>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000013
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000014
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000015
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P及び/又はPが、それぞれ独立に、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、又は
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、樹脂組成物。
<6>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000016
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000017
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000018
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P及び/又はPが、それぞれ独立に、
2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)
に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、樹脂組成物。
<7>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000019
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000020
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000021
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
A(質量%):一般式(7)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合
B(質量%):一般式(6)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合
としたとき、B-Aが、0より大きく、60未満である、
樹脂組成物。
<8>
前記ジアミンが、
下記一般式(8):
Figure 0007506152000022
で表される化合物、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、及び
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
から選択される少なくとも一つの化合物である、項目7に記載の樹脂組成物。
<9>
前記一般式(6)及び/又は前記一般式(7)において、P及び/又はPが、それぞれ独立に、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、又は9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<10>
前記一般式(10)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である、項目1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<11>
前記Pが、前記一般式(10)で表される化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記一般式(10)において前記L及びLが、それぞれ独立に、アミノ基である、
項目1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<12>
前記一般式(8)で表される化合物が、全ジアミン(前記一般式(10)で表される化合物を除く)を100mol%としたとき、50mol%より多い、項目4及び9~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<13>
前記P又はPが、それぞれ独立に、下記式:
Figure 0007506152000023
で表される化合物(BisAM)に由来する構成単位を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<14>
前記P又はPが、それぞれ独立に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、下記式:
Figure 0007506152000024
で表される化合物(BzDA)、又は下記式:
Figure 0007506152000025
で表される化合物(BNBDA)に由来する構成単位を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<15>
前記樹脂を加熱して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブル基板に用いられる、項目1~14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<16>
前記樹脂を硬化して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブルディスプレイに用いられる、項目1~15のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<17>
ジアミン又は酸二無水物と下記一般式(10):
Figure 0007506152000026
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂を含む樹脂組成物を提供することを含み、
前記樹脂の総質量を基準に前記ケイ素含有化合物を25質量%以下含む、
樹脂組成物の製造方法。
<18>
ジアミン又は酸二無水物と下記一般式(10):
Figure 0007506152000027
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂を含む樹脂組成物を提供することを含み、
前記樹脂のイミド化率が50%以上である、
樹脂組成物の製造方法。
<19>
下記一般式(8):
Figure 0007506152000028
で表される化合物、又は下記一般式(9):
Figure 0007506152000029
で表される化合物と、下記一般式(10):
Figure 0007506152000030
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<20>
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、及び
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
から選択される少なくとも一つの化合物と、
下記一般式(10):
Figure 0007506152000031
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<21>
4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及び9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)から選択される少なくとも一つの化合物と、下記一般式(10):
Figure 0007506152000032
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<22>
支持体の表面上に、項目1~16のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目17~21のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
を含む、ポリイミド樹脂膜の製造方法。
<23>
前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記樹脂組成物にレーザーを照射する照射工程を含む、項目22に記載のポリイミド樹脂膜の製造方法。
<24>
支持体の表面上に、項目1~16のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目17~21のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
該素子が形成された該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
を含む、ディスプレイの製造方法。
<25>
支持体の表面上に、項目1~16のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目17~21のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
を含む、積層体の製造方法。
<26>
前記素子が形成された前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含む、項目25に記載の積層体の製造方法。
<27>
項目25又は26に記載の方法により積層体を製造することを含む、フレキシブルデバイスの製造方法。
〔第二の態様〕
<28>
下記一般式(1)又は(2):
Figure 0007506152000033
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000034
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、pは、かつ正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記Pは、下記一般式(3):
Figure 0007506152000035
で表される化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P又Pは、下記一般式(5):
Figure 0007506152000036
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50であり、かつ官能基当量が800以上である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含む、
樹脂組成物。
<29>
前記Pが、下記一般式(4):
Figure 0007506152000037
で表される化合物に由来する構成単位を含む、項目28に記載の樹脂組成物。
<30>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000038
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
Figure 0007506152000039
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000040
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含む、
樹脂組成物。
<31>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000041
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
Figure 0007506152000042
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000043
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
下記(ア)又は(イ):
(ア)前記P及び/又はPは、下記一般式(8):
Figure 0007506152000044
で表される化合物に由来する構成単位を含む;又は
(イ)前記P及び/又はPは、下記一般式(9):
Figure 0007506152000045
で表される化合物に由来する構成単位を含む;
のいずれかを満たす、樹脂組成物。
<32>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000046
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
Figure 0007506152000047
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000048
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P及び/又はPは、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、又は
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、樹脂組成物。
<33>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000049
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
Figure 0007506152000050
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000051
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P及び/又はPは、
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、又は
下記一般式:
Figure 0007506152000052
の化合物(BisAM)
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、樹脂組成物。
<34>
下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000053
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
Figure 0007506152000054
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない。}
で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
前記P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000055
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記P及び/又はPは、
4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、
4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、
9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、
下記一般式:
Figure 0007506152000056
の化合物(BzDA);又は
下記一般式:
Figure 0007506152000057
の化合物(BNBDA);
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、樹脂組成物。
<35>
前記Pが、前記一般式(10)で表される化合物に由来する構成単位を含み、
前記一般式(10)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である、項目30~34のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<36>
前記Pが、前記一般式(10)で表される化合物に由来する構成単位を含み、かつ
前記一般式(10)において前記L及びLが、それぞれ独立に、アミノ基である、
項目30~35のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<37>
前記一般式(3)又は(8)で表される化合物が、全ジアミン(前記一般式(5)又は(10)で表される化合物を除く)を100mol%としたとき、50mol%より多い、項目28、29及び31のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<38>
前記樹脂を加熱して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブル基板に用いられる、項目28~37のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<39>
前記樹脂を硬化して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブルディスプレイに用いられる、項目28~38のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<40> 下記一般式(3):
Figure 0007506152000058
で表される化合物、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、及び
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、
から選択される少なくとも一つのジアミンと、
酸二無水物と、
下記一般式(5):
Figure 0007506152000059
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<41>
ジアミン(ただし、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない)と酸二無水物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
下記一般式(5):
Figure 0007506152000060
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<42>
下記一般式(3):
Figure 0007506152000061
で表される化合物、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33AS)、及び
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、
から選択される少なくとも一つのジアミンと、
酸二無水物と、
その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
下記一般式(5):
Figure 0007506152000062
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10sの二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
<43>
支持体の表面上に、項目28~39のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目40~42のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
を含む、ポリイミド樹脂膜の製造方法。
<44>
前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記樹脂組成物にレーザーを照射する照射工程を含む、項目43に記載のポリイミド樹脂膜の製造方法。
<45>
支持体の表面上に、項目28~39のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目40~42のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
該素子が形成された該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
を含む、ディスプレイの製造方法。
<46>
支持体の表面上に、項目28~39のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は項目40~42のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
を含む、積層体の製造方法。
<47>
前記素子が形成された前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含む、項目46に記載の積層体の製造方法。
<48>
項目46又は47に記載の方法により積層体を製造することを含む、フレキシブルデバイスの製造方法。
本発明によれば、第一に、DABAとCpODAと他のケイ素含有化合物等とをモノマーとして用いて、ディスプレイ用途に求められる特性に優れるポリイミド前駆体又はポリイミド樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、第二に、DABAとケイ素含有化合物とその他の化合物等をモノマーとして用いて、または、DABAとケイ素含有化合物とその他の化合物等をモノマーとして用いて、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)及び/又は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)とケイ素含有化合物とその他の化合物等をモノマーとして用いて、ディスプレイ用途に求められる特性に優れるポリイミド前駆体又はポリイミド樹脂組成物を提供することができる。
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施形態及び本発明に関する全ての利点を開示したものと見なしてはならない。本発明の更なる実施形態及びその利点は、以下の記載を参照することにより明らかとなる。
図1は、本実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイの、ポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。
以下、本発明の例示の実施の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本願明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
〔第一の態様〕
《樹脂組成物》
〈樹脂/ポリイミド前駆体/ポリイミド〉
本実施形態の樹脂組成物は、下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000063
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000064
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含み、一部がイミド化されたポリイミド前駆体を含むこともでき、P又はPは、下記一般式(10):
Figure 0007506152000065
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含む。このような一部がイミド化されたポリイミド前駆体の場合、全ポリイミド前駆体と比較して、組成物の粘度安定性に優れ、全ポリイミドと比較すると、ポリイミド(ポリイミド前駆体)の合成のし易さの観点で優れる。
前記ケイ素基含有化合物の割合は、前記樹脂の総質量を基準に25質量%以下である。全樹脂中のケイ素含有化合物の割合は、ワニスの粘度保存安定性、ろ過性の観点から20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。このように、樹脂中のケイ素含有化合物の割合が小さいほどワニスの粘度保存安定性、ろ過性が良好であるメカニズムは定かではないが、解離したケイ素基含有化合物の凝集が相関していると考えられる。
一方、前記ケイ素基含有化合物の割合は、得られるポリイミドフィルムの残留応力の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。
全樹脂中のケイ素含有化合物の適切な割合は、使用するジアミンモノマー・酸二無水物モノマーの種類・割合によっても異なり、ポリイミドフィルムの残留応力、ワニスの粘度保存安定性、ろ過性等を相互勘案して、決める必要がある。
前記樹脂のイミド化率は、50%以上である。前記樹脂のイミド化率は、ワニスの粘度保存安定性の観点から60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。このように、イミド化率が大きいほどワニスの粘度保存安定性が良好であるメカニズムは定かではないが、ワニス保存時に、アミド部分解重合がおこることと相関があると考えられる。
一方、前記樹脂のイミド化率は、ワニスの吸湿白濁の観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。このように、イミド化率が小さいほどワニスの吸湿白濁が起こりくいメカニズムは定かではないが、ポリイミド/ポリアミドの溶媒溶解性と相関があると考えられる。
前記樹脂の適切なイミド化率は、使用するジアミンモノマー・酸二無水物モノマーの種類・割合によっても異なり、ワニスの粘度保存安定性、ワニスの吸湿白濁等を相互勘案して、決める必要がある。
前記樹脂のジアミンモノマー中のケイ素含有化合物割合の、イミドユニットとアミドユニットの差は、0より大きく、60以下である。この前記樹脂のジアミンモノマー中のケイ素含有化合物割合の、イミドユニットとアミドユニットの差は、下記式より求められる。
A:イミドユニットのジアミン中のケイ素含有化合物割合(質量%)=イミド化工程で用いたケイ素含有化合物/イミド化工程で用いたジアミンモノマー(ケイ素含有化合物含む)の質量の総量*100
B:アミドユニットのジアミン中のケイ素含有化合物割合(質量%)=イミド化工程で用いたケイ素含有化合物/アミド化工程で用いたジアミンモノマー(ケイ素含有化合物含む)の質量の総量*100
ここで、Aは、“一般式(7)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合(質量%)”とも言い換えることができる。また、Bは、“一般式(6)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合(質量%)”とも言い換えることができる。
そして、ジアミン中のケイ素含有化合物割合のイミドユニットとアミドユニットの差は、上記A,Bを用いて、B-Aとなる。
ジアミンモノマー中のケイ素含有化合物割合のイミドユニットとアミドユニットの差は、ケイ素含有化合物に由来する構造を有する一部にイミド化されたポリイミド前駆体(ポリアミドイミド)樹脂において、イミドユニットとアミドユニットのケイ素含有化合物割合の多寡をしめし、値が大きいほど、イミドユニットにケイ素含有化合物に由来する構造を有するといえる。この値が大きいほど、ポリイミドフィルムの残留応力が良好になり、この値が小さいとワニスの泡立ち性・ろ過性・ポリイミドフィルムのHaze(濁り度)が良好になる。そして、この値が上記範囲の場合、ワニスの泡立ち性・ろ過性・ポリイミドフィルムの残留応力・Haze(濁り度)等の各特性を両立できるため好ましい。
また、その中でも前記樹脂に用いるジアミンが、
下記一般式(8):
Figure 0007506152000066
の化合物;
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS);
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS);及び
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
から選択される少なくとも一つの化合物である場合は、ワニス・ポリイミドの特性がさらによくなるため好ましい。
また、本発明の別の実施形態に係る樹脂組成物は、下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000067
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000068
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
で表される構造単位を含む、一部がイミド化されたポリイミド前駆体を含むこともでき、
又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000069
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含むことができ、そして
下記(ア)又は(イ)のいずれかを満たすことができる:
(ア)前記P及び/又はPは、下記一般式(8):
Figure 0007506152000070
で表される化合物に由来する構成単位を含む;又は
(イ)前記P及び/又はPは、下記一般式(9):
Figure 0007506152000071
で表される化合物に由来する構成単位を含む。
ジアミン
樹脂組成物は、下記一般式(8):
Figure 0007506152000072
の化合物;
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS);
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS);
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL);又は
2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)
の各ジアミン化合物から選択される少なくとも一つの構成単位を含む。一般式(8)で表されるジアミン化合物の中でも、ポリイミドフィルムの透明性、YIの観点から、3,5-ジアミノ安息香酸(DABA)が好ましい。ジアミン化合物として、DABA,33DAS,44DAS,BAFL,及び6FODAから選択される少なくとも一つを用いることにより、ポリイミドフィルムの機械特性向上し(特に引張伸度)、耐熱性を向上することができるため好ましい。
全ジアミン(上記一般式の(10)においてL及びLがアミノ基の化合物を含む)中のDABAの含有量は、50モル%超、55モル%超、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。DABAの量が多いほど、ポリイミドフィルムの引張伸度が大きくなるため好ましい。
一般式(8)以外のジアミンとしては、p-フェニレンジアミン(PDA)、m-フェニレンジアミン、2,2’-ジメチルベンジジン(mTB)、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン,1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BiSAM)等が挙げられる。
一般式(8)以外のジアミンは、1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BisAM)、及び1,4-シクロヘキサンジアミン(CHDA)から成る群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
酸二無水物
樹脂組成物は、下記一般式(9):
Figure 0007506152000073
で表される化合物(CpODAともいう)、
4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、又は
9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)
の各酸二無水物化合物から選択される少なくとも一つの構成単位を含む。これらの構造単位を有すると、得られるポリイミドフィルムの透明性、YI、耐熱性の機械特性を向上することができるため好ましい。
全酸二無水物(上記一般式(10)においてL及びLが酸無水物基の化合物を含む)中のCpODA、ODPA、及びBPAFの含有量は、50モル%以上、60モル%以上、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。CpODA、ODPA、及びBPAFの量が多いほど、ポリイミドフィルムの透明性が向上するため好ましい。
一般式(9)以外の酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、下記構造:
Figure 0007506152000074
の化合物(BzDA);下記構造:
Figure 0007506152000075
の化合物(BNBDA)等が挙げられる。
上記一般式(9)以外の酸二無水物は、BzDA、BNBDA、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)から成る群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。酸二無水物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
〈ケイ素含有化合物〉
本実施形態におけるポリイミド前駆体は、上記式(6)で表される構造とともに、上記式(7)で表される構造を有していてもよい。ポリイミド前駆体中の、ケイ素含有化合物に由来する構造の含有割合は、ポリイミド前駆体の質量を基準として、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。ポリイミド前駆体がケイ素含有化合物に由来する構造をこの数値範囲内で含むと、得られるポリイミドフィルムにおいて、低い残留応力と、高度の透明性及び耐熱性とを両立することができるため好ましい。ケイ素含有化合物に由来する構造の含有割合は、ポリイミド前駆体の質量を基準として、6質量%以上、又は7質量%以上であってもよく、また30質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。
本実施形態におけるポリイミド/ポリイミド前駆体は、ケイ素含有化合物に由来する構造を有する。したがって、本実施形態におけるポリイミド前駆体の合成に用いられるケイ素含有化合物は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンのうちの少なくとも一方と共縮合し得る反応性基とを有する化合物であってよい。
このようなケイ素含有化合物は、例えば、下記式(10):
Figure 0007506152000076
{式中、
は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の2価の有機基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数6~10の1価の芳香族基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基を含む有機基であり、
及びLは、それぞれ独立に、酸無水物構造を含む1価の有機基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、
i及びjは、それぞれ独立に、1~200の整数であり、
kは、0~200の整数であり、そして、
0.05≦j/(i+j+k)≦0.50の関係を満たす。}で表される化合物が挙げられる。
式(10)中のRは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の2価の有機基である。炭素数1~10の2価の有機基は、直鎖状、環状、及び分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、n-ペンチレン基、ネオペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、n-プロピレン基、及びi-プロピレン基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(10)中のR及びRそれぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基である。
炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。
炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、及びn-プロピル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(10)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数6~10の1価の芳香族基である。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数6~10の1価の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基、又はキシリル基であることが好ましい。
式(10)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基である。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数1~10の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、及び基フェニルから成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基は、炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基であってよく、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、及び3-ブテニル基から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(10)中のR~Rの水素原子の一部又は全部は、F、Cl、Br等のハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。
式(10)中のL及びLは、それぞれ独立に、酸無水物構造を含む1価の有機基(酸無水物基ともいう)、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基である。
酸無水物構造を含む1価の有機基としては、例えば、下記式:
Figure 0007506152000077
{上記式中、「*」は、結合手を表す。}で表される、2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル基が挙げられる。これらの中でもアミノ基、酸無水物基が好ましく、樹脂組成物の粘度安定性の観点から、アミノ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシル基は、炭素数1~6のアルコキシル基であってよく、例えば、メトキシル基、エトキシル基、n-プロポキシル基、i-プロポキシル基、n-ブトキシル基、i-ブトキシル基、t-ブトキシル基等であってよい。
ハロゲン化カルボニル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子以外のハロゲン原子が好ましく、より好ましくは、塩素原子又はヨウ素原子である。
式(10)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量は、樹脂組成物のろ過性の観点から800以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。他方、官能基当量が500以下の場合は、ろ過性が悪くなることがある。ここで官能基当量とは、官能基1mol当たりのケイ素含有化合物の分子量である(単位:g/mol)。官能基当量は、公知の方法によって測定できる。また、ケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である場合は、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下の残留応力が小さいため好ましい。この理由としては、官能基当量が特定の値以上の場合、シリコーンドメインが増え、応力緩和されるためと考えられる。
なお、官能基当量は、既存の規格等に従って、測定することができる。
式(10)中のiは、1~200の整数であり、好ましくは2~100の整数、より好ましくは4~80の整数、更に好ましくは8~40の整数である。j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、好ましくは0~50の整数、より好ましくは0~20の整数、更に好ましくは0~50の整数である。
樹脂組成物中のポリイミドは、式(10)に由来する構造を有していると、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下で測定した残留応力が良好(小さい)であるため、好ましい。窒素雰囲気下で測定する理由としては、ディスプレイのプロセスにおいて、ポリイミドフィルム上にSiO,SiN等の無機膜を形成する際、窒素雰囲気下に曝される場合があり、窒素雰囲気下の残留応力が小さいことが求められるからである。
〔第二の態様〕
《樹脂組成物》
〈樹脂/ポリイミド前駆体/ポリイミド〉
本実施形態の樹脂組成物は、
下記一般式(1)又は(2):
Figure 0007506152000078
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
Figure 0007506152000079
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
で表される構造単位の樹脂を含み、ポリイミド前駆体(以下、全ポリイミド前駆体ともいう)又はポリイミド(以下、全ポリイミドともいう)を含むこともでき、Pは、下記一般式(3):
Figure 0007506152000080
で表される化合物に由来する構成単位を含み、そして所望により、Pは、下記一般式(4):
Figure 0007506152000081
で表される化合物に由来する構成単位を含むことができる。
また、P又Pは、下記一般式(5):
Figure 0007506152000082
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50であり、かつ官能基当量が8000以上である}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含む。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を熱イミド化することで得られ、化学イミド化することもできる。得られるポリイミドフィルムの透明性の観点から、熱イミド化が好ましい。
また、ポリイミド樹脂組成物は、組成物の粘度安定性の観点から、ポリイミド前駆体樹脂組成物と比較して好ましい。
また、本発明の別の実施形態に係る樹脂組成物は、下記一般式(6)及び(7):
Figure 0007506152000083
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示し、Pは、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)又はそれに由来の構造単位を含まない。}
Figure 0007506152000084
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示し、Pは、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)又はそれに由来の構造単位を含まない。}
で表される構造単位を含む、一部がイミド化されたポリイミド前駆体を含むこともでき、P及び/又はPは、下記一般式(8):
Figure 0007506152000085
で表される化合物に由来する構成単位を含むこともできる。
また、P及び/又はPは、
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS);又は
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含むことができる。
また、P及び/又はPは、
9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL);又は
下記一般式:
Figure 0007506152000086
の化合物(BisAM)
の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含むことができる。
これらの中でも、ポリイミドフィルムの伸度、機械特性の観点で、前記下記一般式(8)の化合物、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)及び/または、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)が好ましい。一方、前記P及び/又は、Pに6FODAを用いることは、ワニスの粘度安定性、ろ過性の観点、イミド化する際に発生する異物の観点から、好ましくない。
及び/又はPは、下記一般式(9):
Figure 0007506152000087
で表される化合物に由来する構成単位を含むこともできる。
また、P及び/又はPは、
4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA);
4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA);
9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF);下記一般式:
Figure 0007506152000088
の化合物(BzDA);及び
下記一般式:
Figure 0007506152000089
の化合物(BNBDA);
の化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含むことができる。
これらの中でも、ワニスの粘度安定性、ろ過性の観点、ポリイミドフィルムの透明性の観点から、一般式(9)の化合物、ODPAが好ましい。
また、一実施形態では、P又はPが、下記一般式(10):
Figure 0007506152000090
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50であり、かつ官能基当量が8000以上である}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含む。
このような一部がイミド化されたポリイミド前駆体の場合、前述の全ポリイミド前駆体と比較して、組成物の粘度安定性に優れ、前述の全ポリイミドと比較すると、ポリイミド(ポリイミド前駆体)の合成のし易さの観点で優れる。
また、一般式(10)において、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、それらの中でも、樹脂特性又はフィルム特性の観点からアミノ基が好ましい。
ジアミン
樹脂組成物は、下記一般式(3):
Figure 0007506152000091
で表されるジアミン化合物に由来する構成単位を含む。一般式(3)で表されるジアミン化合物の中でも、ポリイミドフィルムの透明性、YIの観点から、3,5-ジアミノ安息香酸(DABA)が好ましい。この構造単位を有すると、得られるポリイミドフィルムの機械特性向上し(特に引張伸度)、耐熱性を向上することができるため好ましい。このような特性が向上する理由は明確ではないが、カルボキシル基の作用によって、分子間相互作用が働いているためと考えられる。
全ジアミン(上記一般式の(5)、(10)においてL及びLがアミノ基の化合物を含む)中のDABAの含有量は、50モル%超、55モル%超、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。DABAの量が多いほど、ポリイミドフィルムの引張伸度が大きくなるため好ましい。
また、樹脂組成物は、33DAS及び/又は44DASに由来する構成単位を含む。33DAS,44DASは、ポリイミドフィルムの厚さ方向Rth(リタデーション)と機械特性を両立する観点から、33DAS及び44DASの混合物を用いることが好ましい。
全ジアミン(上記一般式の(5)、(10)においてL及びLがアミノ基の化合物を含む)中の33DAS及び/又は44DASの総含有量は、50モル%超、55モル%超、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。33DAS及び/又は44DASの量が多いほど、ポリイミドフィルムの機械強度が向上するため好ましい。
一般式(3)以外のジアミンとしては、p-フェニレンジアミン(PDA)、m-フェニレンジアミン、2,2’-ジメチルベンジジン(mTB)、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン,9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BiSAM)等が挙げられる。
これらの中でも、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BiSAM)、及び1,4-シクロヘキサンジアミン(CHDA)から成る群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
得られるポリイミド樹脂膜の耐熱性と機械強度の観点から、一般式(3)33DAS及び/又は44DAS以外のジアミンは、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BiSAM)から成る群から選択される少なくとも一以上であることがより好ましい。
酸二無水物
樹脂組成物は、下記一般式(4):
Figure 0007506152000092
で表される化合物(CpODAともいう)に由来する構成単位を含む。この構造単位を有すると、得られるポリイミドフィルムの透明性、YI、耐熱性の機械特性を向上することができるため好ましい。
全酸二無水物(上記一般式の(5)、(10)においてL及びLが酸無水物基の化合物を含む)中のCpODAの含有量は、50モル%以上、60モル%以上、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。CpODAの量が多いほど、ポリイミドフィルムの透明性が向上するため好ましい。
また。樹脂組成物は、ODPAに由来する構成単位を含む。この構造単位を有すると、ワニスの粘度安定性、ろ過性の観点、得られるポリイミドフィルムの透明性を向上することができるため好ましい。
全酸二無水物(上記一般式の(5)、(10)においてL及びLが酸無水物基の化合物を含む)中のODPAの含有量は、50モル%以上、60モル%以上、又は70モル%以上、又は90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。ODPAの量が多いほど、ポリイミドフィルムの透明性が向上するため好ましい。
一般式(4)以外の酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、下記構造:
Figure 0007506152000093
の化合物(BzDA);下記構造:
Figure 0007506152000094
の化合物(BNBDA)等が挙げられる。
上記一般式(4)以外の酸二無水物は、6FDA、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、BzDA、BNBDA、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)から成る群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。酸二無水物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
〈ケイ素含有化合物〉
本実施形態におけるポリイミド前駆体は、上記式(1)で表される構造とともに、上記式(2)で表される構造を有していてもよい。ポリイミド前駆体中の、ケイ素含有化合物に由来する構造の含有割合は、ポリイミド前駆体の質量を基準として、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。ポリイミド前駆体がケイ素含有化合物に由来する構造をこの数値範囲内で含むと、得られるポリイミドフィルムにおいて、低い残留応力と、高度の透明性及び耐熱性とを両立することができるため好ましい。ケイ素含有化合物に由来する構造の含有割合は、ポリイミド前駆体の質量を基準として、6質量%以上、又は7質量%以上であってもよく、また30質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。
本実施形態におけるポリイミド/ポリイミド前駆体は、ケイ素含有化合物に由来する構造を有する。したがって、本実施形態におけるポリイミド前駆体の合成に用いられるケイ素含有化合物は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンのうちの少なくとも一方と共縮合し得る反応性基とを有する化合物であってよい。
このようなケイ素含有化合物は、例えば、下記式(5):
Figure 0007506152000095
{式中、
は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の2価の有機基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数6~10の1価の芳香族基であり、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であって、R及びRのうちの少なくとも1つは、炭素数2~10の不飽和脂肪族炭化水素基を含む有機基であり、
及びLは、それぞれ独立に、酸無水物構造を含む1価の有機基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、
i及びjは、それぞれ独立に、1~200の整数であり、
kは、0~200の整数であり、そして、
0.05≦j/(i+j+k)≦0.50の関係を満たす。}で表される化合物が挙げられる。
式(5)中のRは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の2価の有機基である。炭素数1~10の2価の有機基は、直鎖状、環状、及び分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、n-ペンチレン基、ネオペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、n-プロピレン基、及びi-プロピレン基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(5)中のR及びRそれぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基である。
炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。
炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、及びn-プロピル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(5)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数6~10の1価の芳香族基である。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数6~10の1価の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基、又はキシリル基であることが好ましい。
式(5)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基である。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数1~10の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、及び基フェニルから成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基は、炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基であってよく、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、及び3-ブテニル基から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(5)中のR~Rの水素原子の一部又は全部は、F、Cl、Br等のハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。
式(5)中のL及びLは、それぞれ独立に、酸無水物構造を含む1価の有機基(酸無水物基ともいう)、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基である。それらの中でも、L及びLとしては、樹脂特性又はフィルム特性の観点からアミノ基が好ましい。
酸無水物構造を含む1価の有機基としては、例えば、下記式:
Figure 0007506152000096
{上記式中、「*」は、結合手を表す。}で表される、2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル基が挙げられる。これらの中でもアミノ基、酸無水物基が好ましく、樹脂組成物の粘度安定性の観点から、アミノ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシル基は、炭素数1~6のアルコキシル基であってよく、例えば、メトキシル基、エトキシル基、n-プロポキシル基、i-プロポキシル基、n-ブトキシル基、i-ブトキシル基、t-ブトキシル基等であってよい。
ハロゲン化カルボニル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子以外のハロゲン原子が好ましく、より好ましくは、塩素原子又はヨウ素原子である。
式(5)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量は、樹脂組成物のろ過性の観点から800以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。他方、官能基当量が500以下の場合は、ろ過性が悪くなることがある。ここで官能基当量とは、官能基1mol当たりのケイ素含有化合物の分子量である(単位:g/mol)。官能基当量は、公知の方法によって測定できる。また、ケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である場合は、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下の残留応力が小さいため好ましい。この理由としては、官能基当量が特定の値以上の場合、シリコーンドメインが増え、応力緩和されるためと考えられる。
なお、官能基当量は、既存の規格等に従って、測定することができる。
式(5)中のiは、1~200の整数であり、好ましくは2~100の整数、より好ましくは4~80の整数、更に好ましくは8~40の整数である。j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、好ましくは0~50の整数、より好ましくは0~20の整数、更に好ましくは0~50の整数である。
樹脂組成物中のポリイミドは、式(5)に由来する構造を有していると、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下で測定した残留応力が良好(小さい)であるため、好ましい。窒素雰囲気下で測定する理由としては、ディスプレイのプロセスにおいて、ポリイミドフィルム上にSiO,SiN等の無機膜を形成する際、窒素雰囲気下に曝される場合があり、窒素雰囲気下の残留応力が小さいことが求められるからである。
〔第一の態様と第二の態様に共通する構成要素及び好ましい実施形態〕
本発明の第一の態様と第二の態様に共通する構成要素、及び本発明の好ましい実施形態について以下に説明する。なお、第一の態様と第二の態様の構成要素は、互換したり、組み合わせたりしてよい。
〈ケイ素含有ジアミン〉
モノマーの種類、コストの観点、および得られるポリイミド前駆体の分子量の観点から、上記で説明された一般式(5)又は(10)のケイ素含有化合物は、ケイ素含有ジアミンであることが好ましい。ケイ素含有ジアミンとしては、例えば、下記式(11):
Figure 0007506152000097
{式中、Pは、それぞれ独立に、二価の炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、P及びPは、一般式(5)又は(10)において定義したR、Rと同様であり、lは、1~200の整数を表す。}
で表されるジアミノ(ポリ)シロキサンが好ましい。
上記一般式(11)中のP及びPの好ましい構造としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びフェニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、メチル基である。
上記一般式(11)中のlは、1~200の整数であり、式(11)で表されるケイ素含有ジアミンを用いて得られるポリイミドの耐熱性の観点から、3~200の整数であることが好ましい。
一般式(11)で表される化合物の官能基当量の好ましい範囲は、前述した一般式(10)で表されるケイ素含有化合物と同様である。
ケイ素含有ジアミンの共重合割合は、ポリイミド前駆体/ポリイミドの全質量に対して、好ましくは0.5~30質量%、より好ましくは1.0質量%~25質量%、更に好ましくは1.5質量%~20質量%である。ケイ素含有ジアミンが0.5質量%以上である場合、支持体との間に発生する残留応力を効果的に低下することができる。ケイ素含有ジアミンが30質量%以下である場合、得られるポリイミドフィルムの透明性(特に低HAZE)が良好であり、高い全光線透過率の実現、及び高いガラス転移温度の観点から好ましい。
ポリイミド前駆体/ポリイミドに用いる単量体としてのケイ素含有化合物は、上述のとおり、出願時の技術常識を用いて合成してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-1660B-3(官能基当量2200)、X22-9409(官能基当量670))、両末端酸無水物変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-168-P5-B(官能基当量2100))、両末端エポキシ変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-2000(官能基当量620))、両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:PAM-E(官能基当量130)、X22-161A(官能基当量800)、X22-161B(官能基当量1500)、KF8012(官能基当量2200)、東レダウコーニング製:BY16-853U(官能基当量450)、JNC社製:サイラプレーンFM3311(数平均分子量1000))、両末端エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-163A(官能基当量1750)、両末端脂環式エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-169B(官能基当量1700))、両末端ヒドキシ基変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:KF-6000)、両末端メルカプト変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-167B(官能基当量1700))、両末端酸無水物変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-168A(官能基当量1000))等が挙げられる。これらの中でも、価格、耐薬品性向上、及びTgの向上の観点から、両末端アミン変性ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
〈溶媒〉
樹脂組成物は典型的に溶媒を含む。溶媒としては、ポリイミド/ポリイミド前駆体の溶解性が良好で、かつ樹脂組成物の溶液粘度を適切に制御できるものが好ましく、ポリイミド前駆体の反応溶媒を、組成物の溶媒として用いることができる。その中でも、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、第一の態様に係る上記一般式(9)で表される化合物、第二の態様に係る上記一般式(4)で表される化合物等が好ましい。溶媒組成の具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)単独、又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)とγ-ブチロラクトン(GBL)との混合溶媒等が挙げられる。NMPとGBLとの質量比は、例えば、NMP:GBL(質量比)=10:90~90:10であってよい。
〈追加の成分〉
本実施形態の樹脂組成物は、ポリイミド/ポリイミド前駆体、低分子環状シロキサン、及び溶媒に加えて、追加の成分を更に含んでもよい。追加の成分としては、例えば、界面活性剤、及びアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
界面活性剤
本実施形態の樹脂組成物に界面活性剤を添加することによって、樹脂組成物の塗布性を向上することができる。具体的には、塗工膜におけるスジの発生を防ぐことができる。
このような界面活性剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、これら以外の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKF-640、642、643、KP341、X-70-092、X-70-093(商品名、信越化学工業社製);SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、DC-190(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製);SILWET L-77,L-7001,FZ-2105,FZ-2120,FZ-2154,FZ-2164,FZ-2166,L-7604(商品名、日本ユニカー社製);DBE-814、DBE-224、DBE-621、CMS-626、CMS-222、KF-352A、KF-354L、KF-355A、KF-6020、DBE-821、DBE-712(Gelest)、BYK-307、BYK-310、BYK-378、BYK-333(商品名、ビックケミー・ジャパン製);グラノール(商品名、共栄社化学社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、F173、R-08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名);フロラードFC4430、FC4432(住友スリーエム株式会社、商品名)等が挙げられる。これら以外の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、樹脂組成物の塗工性(スジ抑制)の観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好ましく、キュア工程時の酸素濃度によるYI値及び全光線透過率への影響を低減する観点から、シリコーン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部である。
アルコキシシラン化合物
本実施形態の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムをフレキシブル基板等に用いる場合、製造プロセスにおける支持体とポリイミドフィルムとの良好な密着性を得る観点から、樹脂組成物は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、アルコキシシラン化合物を0.01~20質量部含有することができる。ポリイミド前駆体100質量部に対するアルコキシシラン化合物の含有量が0.01質量部以上であることにより、支持体とポリイミドフィルムとの間に良好な密着性を得ることができる。またアルコキシシラン化合物の含有量が20質量部以下であることが、樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。アルコキシシラン化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.02~15質量部、より好ましくは0.05~10質量部、更に好ましくは0.1~8質量部である。アルコキシシラン化合物を用いることにより、上記の密着性の向上に加えて、樹脂組成物の塗工性が向上し(スジムラ抑制)、及びキュア時の酸素濃度によるポリイミドフィルムのYI値への影響を低減することもできる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ-アミノプロピルトリブトキシシラン、γ-アミノエチルトリエトキシシラン、γ-アミノエチルトリプロポキシシラン、γ-アミノエチルトリブトキシシラン、γ-アミノブチルトリエトキシシラン、γ-アミノブチルトリメトキシシラン、γ-アミノブチルトリプロポキシシラン、γ-アミノブチルトリブトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造:
Figure 0007506152000098
のそれぞれで表されるアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。アルコキシシラン化合物は、一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
《樹脂組成物の製造方法》
本実施形態における樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法によることができる。
〈ケイ素含有化合物の精製〉
本実施形態の樹脂組成物は、酸二無水物、ジアミン、及びケイ素含有化合物を含む重縮合成分を重縮合反応させることにより製造することができる。本実施形態の樹脂組成物中に含まれる、環状のケイ素含有化合物の総量を低減する方法としては、例えば、重縮合反応の前に、ケイ素含有化合物を精製して、環状のケイ素含有化合物の総量を低減することが挙げられる。あるいは、重縮合反応の後に、樹脂組成物を精製して、環状のケイ素含有化合物の総量を低減してもよい。
ケイ素含有化合物を精製する方法としては、例えば、任意の容器内でケイ素含有化合物に不活性ガス、例えば窒素ガスを吹き込みながらストリッピングを行うことが挙げられる。ストリッピングの温度としては、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上300℃以下、更に好ましくは240℃以上300℃以下である。ストリッピングの蒸気圧としては、低いほど好ましく、1000Pa以下、より好ましくは300Pa以下、更に好ましくは200Pa以下、より更に好ましくは133.32Pa(1mmHg)以下である。ストリッピングの時間としては、好ましくは4時間以上12時間以下、より好ましくは6時間以上10時間以下である。上記の条件に調整することにより、一環状のケイ素含有化合物を効率的に除去することができ、また、環状のケイ素含有化合物の総量を好ましい範囲に制御することができる。
〈ポリイミド/ポリイミド前駆体の合成〉
本実施形態のポリイミド前駆体は、酸二無水物、ジアミン、及びケイ素含有化合物を含む重縮合成分を重縮合反応させることにより合成することができる。
第一の態様に係るポリイミド/ポリイミド前駆体の合成と関連して、例えば、次のいずれかの工程:
・上記で説明された一般式(8)で表される化合物又は一般式(9)で表される化合物と、一般式(10)で表されるケイ素含有化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供する工程;
・上記で説明されたジアミン又は酸二無水物と、一般式(10)で表されるケイ素含有化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供する工程
を含む樹脂組成物の製造方法が提供される。
第二の態様に係るポリイミド/ポリイミド前駆体の合成と関連して、例えば、次のいずれかの工程:
・上記で説明された一般式(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物と、一般式(5)で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体又はポリイミドを含む樹脂組成物を提供する工程;
・上記で説明された一般式(3)で表される化合物とその他の化合物と、一般式(4)で表される化合物とその他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、上記で説明された一般式(5)で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供する工程;又は
・上記で説明されたジアミンと酸二無水物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、一般式(5)で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供する工程;
を含む樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、ケイ素含有化合物は、上記の精製したものを用いることが好ましい。好ましい態様において、重縮合成分は、酸二無水物と、ジアミンと、ケイ素含有化合物とからなる。重縮合反応は、適当な溶媒中で行うことが好ましい。具体的には、例えば、溶媒に所定量のジアミン成分及びケイ素含有化合物を溶解させた後、得られたジアミン溶液に、酸二無水物を所定量添加し、撹拌する方法が挙げられる。
ポリイミド/ポリイミド前駆体を合成する際の酸二無水物とジアミンとのモル比は、ポリイミド前駆体樹脂の高分子量化、樹脂組成物のスリットコーティング特性の観点から、酸二無水物:ジアミン=100:90~100:110(酸二無水物1モル部に対してジアミン0.90~1.10モル部)の範囲が好ましく、100:95~100:105(酸二無水物1モル部に対してジアミン0.95~1.05モル部)の範囲が更に好ましい。
ポリイミド/ポリイミド前駆体の分子量は、酸二無水物、ジアミン及びケイ素含有化合物の種類、酸二無水物とジアミンとのモル比の調整、末端封止剤の添加、反応条件の調整等によってコントロールすることが可能である。酸二無水物成分とジアミン成分とのモル比が1:1に近いほど、及び末端封止剤の使用量が少ないほど、ポリイミド前駆体を高分子量化することができる。
酸二無水物成分及びジアミン成分として、高純度品を使用することが推奨される。その純度としては、それぞれ、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上である。酸二無水物成分及びジアミン成分における水分含量を低減することによって高純度化することもできる。複数種類の酸二無水物成分、及び/又は複数種類のジアミン成分を使用する場合には、酸二無水物成分全体として、及びジアミン成分全体として上記の純度を有することが好ましく、使用する全種類の酸二無水物成分及びジアミン成分が、それぞれ上記の純度を有していることがより好ましい。
反応の溶媒としては、酸二無水物成分及びジアミン成分、並びに生じるポリイミド/ポリイミド前駆体を溶解することができ、高分子量の重合体が得られる溶媒であれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、非プロトン性溶媒、フェノール系溶媒、エーテル及びグリコール系溶媒等が挙げられる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、及び下記一般式のアミド系溶媒:
Figure 0007506152000099
{式中、R12=メチル基で表されるエクアミドM100(商品名:出光興産社製)、及び、R12=n-ブチル基で表されるエクアミドB100(商品名:出光興産社製)};γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ピコリン、ピリジン等の3級アミン系溶媒;酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶媒等が挙げられる。
フェノ-ル系溶媒としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
エーテル及びグリコール系溶媒としては、例えば、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
ポリイミド/ポリイミド前駆体の合成に用いられる溶媒の常圧における沸点は、好ましくは60~300℃、より好ましくは140~280℃、更に好ましくは170~270℃である。溶媒の沸点が300℃より低いことにより、乾燥工程が短時間になる。溶媒の沸点が60℃以上であると、乾燥工程中に、樹脂膜の表面における荒れの発生、樹脂膜中への気泡の混入等が起こり難く、より均一なフィルムを得ることができる。特に、沸点が170~270℃であり、及び/又は20℃における蒸気圧が250Pa以下である溶媒を使用することが、溶解性及び塗工時のエッジ異常の低減の観点から好ましい。より具体的には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及び第一及び第二の態様に係る一般式(6)で表される化合物から成る群より選択される1種以上が好ましい。
溶媒中の水分含量は、重縮合反応を良好に進行させるために、例えば3,000質量ppm以下であることが好ましい。本実施形体における樹脂組成物中、分子量1,000未満の分子の含有量が5質量%未満であることが好ましい。樹脂組成物中に分子量1,000未満の分子が存在するのは、合成時に使用する溶媒や原料(酸二無水物、ジアミン)の水分量が関与しているためと考えられる。すなわち、一部の酸二無水物モノマーの酸無水物基が水分によって加水分解してカルボキシル基になり、高分子量化することなく低分子の状態で残存することによると考えられる。従って、上記の重縮合反応に使用する溶媒の水分量は少ないほど好ましい。溶媒の水分量は、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。同様に、原料に含まれる水分量についても、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。
溶媒の水分量は、使用する溶媒のグレード(脱水グレード、汎用グレード等)、溶媒容器(ビン、18L缶、キャニスター缶等)、溶媒の保管状態(希ガス封入の有無等)、開封から使用までの時間(開封後すぐ使用するか、開封後経時した後に使用するか等)等が関与すると考えられる。合成前の反応器の希ガス置換、合成中の希ガス流通の有無等も関与すると考えられる。従って、ポリイミド前駆体の合成時には、原料として高純度品を用い、水分量の少ない溶媒を用いるとともに、反応前および反応中に系内に環境からの水分が混入しないような措置を講ずることが推奨される。
溶媒中に各重縮合成分を溶解させるときには、必要に応じて加熱してもよい。重合度の高いポリイミド前駆体を得る観点から、ポリイミド前駆体合成時の反応温度としては、好ましくは0℃~120℃、40℃~100℃、又は60~100℃であってよく、重合時間としては、好ましくは1~100時間、又は2~10時間であってよい。重合時間を1時間以上とすることによって均一な重合度のポリイミド前駆体となり、100時間以下とすることによって重合度の高いポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態におけるポリイミド/ポリイミド前駆体以外に、他の追加のポリイミド前駆体を含んでもよい。しかしながら、追加のポリイミド/ポリイミド前駆体の質量割合は、ポリイミドフィルムのYI値及び全光線透過率の酸素依存性を低減する観点から、樹脂組成物中のポリイミド/ポリイミド前駆体の総量に対して、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
本実施形態におけるポリイミド前駆体は、その一部がイミド化されていてもよい(部分イミド化)。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性を向上できる。この場合のイミド化率は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と溶液の保存安定性とのバランスをとる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。この部分イミド化は、ポリイミド前駆体を加熱して脱水閉環することにより得られる。この加熱は、好ましくは120~200℃、より好ましくは150~185℃、さらに好ましくは150~180℃の温度において、好ましくは15分~20時間、より好ましくは30分~10時間行うことができる。
上述の反応によって得られたポリイミド/ポリイミド前駆体に、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加えて加熱することでカルボン酸の一部又は全部をエステル化したものを、本実施形態のポリイミド前駆体として用いてもよい。エステル化によって、保存時の粘度安定性を向上することができる。これらエステル変性ポリアミド酸は、上述の酸二無水物成分を、酸無水物基に対して1当量の1価のアルコール、及び塩化チオニル、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤と順次に反応させた後、ジアミン成分と縮合反応させる方法によっても得ることができる。
〈ポリイミドの合成〉
より好ましい様態としては、ポリイミドワニスは、酸二無水物成分及びジアミン成分を、溶媒、例えば有機溶媒に溶解し、トルエンなどの共沸溶媒を加え、イミド化の際に発生する水を系外に除去することでポリイミド及び溶媒を含有するポリイミド溶液(ポリイミドワニスとも言う)として製造することが出来る。ここで、反応時の条件は特に限定されないが、例えば、反応温度は0℃~180℃、反応時間は3~72時間である。スルホン基含有ジアミン類との反応を充分に進めるために、180℃で12時間程度加熱反応させることが好ましい。また、反応時、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気であることが好ましい。
〈樹脂組成物の調製〉
ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが同一の場合には、合成したポリイミド/ポリイミド前駆体溶液をそのまま樹脂組成物として使用することができる。必要に応じて、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、ポリイミド前駆体に更なる溶媒及び追加の成分の1種以上を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してもよい。この攪拌混合は、撹拌翼を備えたスリーワンモータ(新東化学株式会社製)、自転公転ミキサー等の適宜の装置を用いて行うことができる。必要に応じて樹脂組成物を40℃~100℃に加熱してもよい。
他方、ポリイミド/ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが異なる場合には、合成したポリイミド前駆体溶液中の溶媒を、例えば再沈殿、溶媒留去等の適宜の方法により除去してポリイミド/ポリイミド前駆体を単離してもよい。次いで、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、単離したポリイミド前駆体に、所望の溶媒及び必要に応じて追加の成分を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してもよい。
上述のように樹脂組成物を調製した後、樹脂組成物を、例えば130~200℃で、例えば5分~2時間加熱することにより、ポリマーが析出を起こさない程度にポリイミド前駆体の一部を脱水イミド化してもよい(部分イミド化)。加熱温度及び加熱時間をコントロールすることにより、イミド化率を制御することができる。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性を向上することができる。
樹脂組成物の溶液粘度は、スリットコート性能の観点においては、好ましくは500~100,000mPa・s、より好ましくは1,000~50,000mPa・s、更に好ましくは3,000~20,000mPa・sである。具体的には、スリットノズルから液漏れし難い点で、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは3,000mPa・s以上である。スリットノズルが目詰まりし難い点で、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは50,000mPa・s以下、更に好ましくは20,000mPa・s以下である。
ポリイミド/ポリイミド前駆体合成時における樹脂組成物の溶液粘度については、200,000mPa・sより高いと、合成時の撹拌が困難になるという問題が生じるおそれがある。ただし、合成する際に溶液が高粘度になったとしても、反応終了後に溶媒を添加して撹拌することにより、取扱い性のよい粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。本実施形態における樹脂組成物の溶液粘度は、E型粘度計(例えばVISCONICEHD、東機産業製)を用い、23℃で測定される値である。
本実施形態の樹脂組成物の水分量は、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性の観点から、好ましくは3,000質量ppm以下、より好ましくは2,500質量ppm以下、更に好ましくは2,000質量ppm以下、より更に好ましくは1,500質量ppm以下、特に好ましくは1,000質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下、特に好ましくは300質量ppm以下、特に好ましくは100質量ppm以下である。
《ポリイミドフィルム及びその製造方法》
本実施形態の樹脂組成物を用いて、ポリイミドフィルム(以下、ポリイミド樹脂膜ともいう)を提供することができる。本実施形態のポリイミドフィルムの製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態の樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜を上記支持体から剥離する剥離工程とを含む。
〈塗布工程〉
塗布工程では、支持体の表面上に本実施形態の樹脂組成物を塗布する。支持体は、その後の膜形成工程(加熱工程)における加熱温度に対する耐熱性を有し、かつ剥離工程における剥離性が良好であれば特に限定されない。支持体としては、例えば、ガラス基板、例えば無アルカリガラス基板;シリコンウェハー;PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂基板;ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等の金属基板等が挙げられる。
薄膜状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えば、ガラス基板、シリコンウェハー等が好ましく、厚膜状のフィルム状又はシート状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、OPP(延伸ポリプロピレン)等からなる支持体が好ましい。
塗布方法としては、一般には、ドクターブレードナイフコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、バーコーター等の塗布方法、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等の塗布方法;スクリーン印刷及びグラビア印刷等に代表される印刷技術等が挙げられる。本実施形態の樹脂組成物には、スリットコートによる塗布が好ましい。塗布厚は、所望の樹脂フィルムの厚さと樹脂組成物中のポリイミド前駆体の含有量に応じて適宜調整するべきであるが、好ましくは1~1,000μm程度である。塗布工程における温度は室温でもよく、粘度を下げて作業性をよくするために、樹脂組成物を例えば40~80℃に加温してもよい。
〈任意の乾燥工程〉
塗布工程に続いて乾燥工程を行ってもよく、又は乾燥工程を省略して直接次の膜形成工程(加熱工程)に進んでもよい。乾燥工程は、樹脂組成物中の有機溶剤除去の目的で行われる。乾燥工程を行う場合、例えば、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の適宜の装置を使用することができる。乾燥工程の温度は、好ましくは80~200℃、より好ましくは100~150℃である。乾燥工程の実施時間は、好ましくは1分~10時間、より好ましくは3分~1時間である。上記のようにして、支持体上にポリイミド前駆体を含有する塗膜が形成される。
〈膜形成工程〉
続いて、膜形成工程(加熱工程)を行う。加熱工程は、上記の塗膜中に含まれる有機溶剤の除去を行うとともに、塗膜中のポリイミド前駆体のイミド化反応を進行させ、ポリイミド樹脂膜を得る工程である。この加熱工程は、例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の装置を用いて行うことができる。この工程は乾燥工程と同時に行っても、両工程を逐次的に行なってもよい。
加熱工程は、空気雰囲気下で行なってもよいが、安全性と、得られるポリイミドフィルムの良好な透明性、低い厚み方向レタデーション(Rth)及び低いYI値を得る観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。加熱温度は、ポリイミド前駆体の種類、及び樹脂組成物中の溶媒の種類に応じて適宜に設定されてよいが、好ましくは250℃~550℃、より好ましくは300~450℃である。250℃以上であればイミド化が良好に進行し、550℃以下であれば得られるポリイミドフィルムの透明性の低下、耐熱性の悪化等の不都合を回避できる。加熱時間は、好ましくは0.1~10時間程度である。
本実施形態では、上記の加熱工程における周囲雰囲気の酸素濃度は、得られるポリイミドフィルムの透明性及びYI値の観点から、好ましくは2,000質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下である。酸素濃度が2,000質量ppm以下の雰囲気中で加熱を行うことにより、得られるポリイミドフィルムのYI値を30以下にすることができる。
〈剥離工程〉
剥離工程では、支持体上のポリイミド樹脂膜を、例えば室温(25℃)~50℃程度まで冷却した後に剥離する。この剥離工程としては、例えば下記の(1)~(4)の態様が挙げられる。
(1)上記の方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を作製した後、構造体の支持体側からレーザーを照射して、支持体とポリイミド樹脂膜との界面をアブレーション加工することにより、ポリイミド樹脂を剥離する方法。レーザーの種類としては、固体(YAG)レーザー、ガス(UVエキシマー)レーザー等が挙げられる。波長308nm等のスペクトルを用いることが好ましい(特表2007-512568号公報、特表2012-511173号公報等を参照)。
(2)支持体に樹脂組成物を塗工する前に、支持体に剥離層を形成し、その後ポリイミド樹脂膜/剥離層/支持体を含む構成体を得て、ポリイミド樹脂膜を剥離する方法。剥離層としては、パリレン(登録商標、日本パリレン合同会社製)、酸化タングステンが挙げられ;植物油系、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系等の離型剤を用いてもよい(特開2010-067957号公報、特開2013-179306号公報等を参照)。
この方法(2)と方法(1)のレーザー照射とを併用してもよい。
(3)支持体としてエッチング可能な金属基板を用いて、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、エッチャントで金属をエッチングすることにより、ポリイミド樹脂フィルムを得る方法。金属としては、例えば、銅(具体例としては、三井金属鉱業株式会社製の電解銅箔「DFF」)、アルミニウム等を使用することができる。エッチャントとしては、銅に対しては塩化第二鉄等を、アルミニウムに対しては希塩酸等を使用することができる。
(4)上記方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、ポリイミド樹脂膜表面に粘着フィルムを貼り付けて、支持体から粘着フィルム/ポリイミド樹脂膜を分離し、その後粘着フィルムからポリイミド樹脂膜を分離する方法。
これらの剥離方法の中でも、得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差、YI値及び伸度の観点から、方法(1)又は(2)が好ましい。得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差の観点から方法(1)、すなわち、剥離工程に先立って、支持体側からレ-ザ-を照射する照射工程を行うことがより好ましい。なお、方法(3)において、支持体として銅を用いた場合は、得られるポリイミド樹脂フィルムのYI値が大きくなり、伸度が小さくなる傾向が見られる。これは、銅イオンの影響であると考えられる。
得られるポリイミドフィルムの厚さは、限定されないが、好ましくは1~200μm、より好ましくは5~100μmである。
《ポリイミドフィルムの用途》
本実施形態の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムは、例えば、半導体絶縁膜、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)絶縁膜、電極保護膜として、また、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の透明基板等として適用できる。特に、本実施形態の樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムは、フレキシブルデバイスの製造において、薄膜トランジスタ(TFT)基板、カラーフィルタ基板、タッチパネル基板、透明導電膜(ITO、Indium Thin Oxide)の基板として好適に使用することができる。本実施形態におけるポリイミドフィルムを適用可能なフレキシブルデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイ用TFTデバイス、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル、フレキシブル照明、フレキシブルバッテリー、フレキシブルプリント基板、フレキシブルカラーフィルター、スマートフォン向け表面カバーレンズ等を挙げることができる。
ポリイミドフィルムを使ったフレキシブル基板上にTFTを形成する工程は、典型的には、150~650℃の広い範囲の温度で実施される。具体的にはアモルファスシリコンを使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に250℃~350℃のプロセス温度が必要となり、本実施形態のポリイミドフィルムはその温度に耐えうる必要があるため、具体的にはプロセス温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
金属酸化物半導体(IGZO等)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に320℃~400℃のプロセス温度が必要となり、本実施形態のポリイミドフィルムはその温度に耐えうる必要があるため、TFT作製プロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
低温ポリシリコン(LTPS)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に380℃~520℃のプロセス温度が必要となり、本実施形態のポリイミドフィルムはその温度に耐えうる必要があるため、TFT作製プロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を適宜選択有する必要がある。他方で、これら熱履歴により、ポリイミドフィルムの光学特性(特に、光線透過率、レタデーション特性及びYI値)は高温プロセスにさらされるほどに低下する傾向にある。しかし、本実施形態のポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、熱履歴を経ても良好な光学特性を有する。
以下に、本実施形態のポリイミドフィルムの用途例として、ディスプレイ及び積層体の製造方法について説明する。
〈ディスプレイの製造方法〉
本実施形態のディスプレイの製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態の樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と;上記素子が形成された上記ポリイミド樹脂膜を上記支持体から剥離する剥離工程とを含む。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造例
図1は、本実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイのポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。図1の有機EL構造部25について説明する。例えば、赤色光を発光する有機EL素子250aと、緑色光を発光する有機EL素子250bと、青色光を発光する有機EL素子250cと1単位として、マトリクス状に配列されており、隔壁(バンク)251により、各有機EL素子の発光領域が画定されている。各有機EL素子は、下部電極(陽極)252、正孔輸送層253、発光層254、上部電極(陰極)255から構成されている。窒化ケイ素(SiN)や酸化ケイ素(SiO)からなるCVD複層膜(マルチバリヤーレイヤー)を示す下部層2a上には、有機EL素子を駆動するためのTFT256(低温ポリシリコン(LTPS)や金属酸化物半導体(IGZO等)から選択される)、コンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258、及び下部電極259が複数設けられている。有機EL素子は封止基板2bで封入されており、各有機EL素子と封止基板2bとの間に中空部261が形成されている。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造工程は、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部に図1に示される有機EL基板を製造する工程と、封止基板を製造する工程と、両基板を貼り合わせる組み立て工程と、ガラス基板支持体からポリイミドフィルム上に作製された有機ELディスプレイを剥離する剥離工程とを含む。有機EL基板製造工程、封止基板製造工程、及び組み立て工程は、周知の製造工程を適用することができる。以下ではその一例を挙げるが、これに限定されるものではない。剥離工程は、上述したポリイミドフィルムの剥離工程と同一である。
例えば、図1を参照すれば、まず、上記の方法によりガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部にCVD法やスパッタ法により窒化ケイ素(SiN)と酸化ケイ素(SiO)の複層構造からなるマルチバリアレイヤー(図1中の下部基板2a)を作製し、その上部にTFTを駆動するためのメタル配線層を、フォトレジスト等を使用して作製する。その上部にCVD法を用いてSiO等のアクティブバッファー層を作製し、その上部に金属酸化物半導体(IGZO)や低温ポリシリコン(LTPS)などのTFTデバイス(図1中のTFT256)を作製する。フレキシブルディスプレイ用TFT基板を作製後、感光性アクリル樹脂等でコンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258を形成する。スパッタ法等にてITO膜を成膜し、TFTと対をなすように下部電極259を形成する。
次に、感光性ポリイミド等で隔壁(バンク)251を形成した後、隔壁で区画された各空間内に、正孔輸送層253、発光層254を形成する。発光層254及び隔壁(バンク)251を覆うように上部電極(陰極)255を形成する。その後、ファインメタルマスク等をマスクにして、赤色光を発光する有機EL材料(図1中の、赤色光を発光する有機EL素子250aに対応)、緑色光を発光する有機EL材料(図1中の、緑色光を発光する有機EL素子250bに対応)及び青色光を発光する有機EL材料(図1中の、青色光を発光する有機EL素子250cに対応)を公知の方法にて蒸着することで、有機EL基板を作製する。有機EL基板を封止フィルム等(図1中の封止基板2b)で封止し、ガラス基板支持体からポリイミド基板より上部のデバイスをレーザー剥離等の公知の剥離方法で剥離することで、トップエミッション形フレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。本実施形態のポリイミドを使用する場合は、シースルー型のフレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。公知の方法でボトムエミッション形のフレキシブル有機ELディスプレイを作製してもよい。
フレキシブル液晶ディスプレイの製造例
本実施形態のポリイミドフィルムを使用してフレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。具体的な作製方法としては、上記の方法でガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、上記の方法を用いて、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物半導体(IGZO等)、及び低温ポリシリコンからなるTFT基板を作製する。別途、本実施形態の塗布工程及び膜形成工程に従って、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、公知の方法に従ってカラーレジスト等を使用して、ポリイミドフィルムを備えたカラーフィルターガラス基板(CF基板)を作製する。TFT基板およびCF基板の一方に、スクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂などからなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布し、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチックまたはシリカからなる球状のスペーサーを散布する。
次いで、TFT基板とCF基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させる。そして、TFT基板及びCF基板並びにシール材料で囲まれる空間に、減圧法により液晶材料を注入し、液晶注入口に熱硬化樹脂を塗布し、加熱によって液晶材料を封止することで液晶層を形成する。最後に、CF側のガラス基板とTFT側のガラス基板とをレーザー剥離法などでポリイミドフィルムとガラス基板の界面で剥離することで、フレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。
〈積層体の製造方法〉
本実施形態の積層体の製造方法は、支持体の表面上に、本実施形態の樹脂組成物を塗布する塗布工程と;上記樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と;上記ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程とを含む。
積層体における素子としては、上記のフレキシブルデバイスの製造に例示したものが挙げられる。支持体としては、例えばガラス基板を用いることができる。塗布工程及び膜形成工程の好ましい具体的手順は、上記のポリイミドフィルムの製造方法に関して記載したものと同様である。素子形成工程においては、支持体上に形成された、フレキシブル基板としてのポリイミド樹脂膜の上に、上記の素子を形成する。その後、任意に剥離工程においてポリイミド樹脂膜及び素子を支持体から剥離してもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
〔第一の態様〕
《測定及び評価方法》
〈重量平均分子量〉
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。
溶媒として、NMP(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用、測定直前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えて溶解したもの)を使用した。重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダ-ドポリスチレン(東ソ-社製)を用いて作製した。
カラム:Shodex KD-806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU-2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI-2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)及びUV-2075Plus(UV-VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
<組成物(ワニス)の粘度安定性の評価>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で24時間放置し、樹脂組成物の初期(0日)の粘度を、温調機付粘度計(東機産業械社製VISCOMATER TVE-35H)を用いて測定した。そして、樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で10日間放置し、初期と同様にして、10日後の粘度を測定した。続いて、下記式で表される粘度安定性を算出した。
粘度安定性(%/day)=|(初期の粘度(mPa・s))―(10日後の粘度(mPa・s))|/(初期粘度(mPa・s))*100/10(day)
粘度安定性は下記基準で評価を行った。
A:粘度安定性2%/day以下 「優良」
B:粘度安定性4%/day超7%/day以下 「良」
C:粘度安定性6%/day超10%/day以下 「可」
D:粘度安定性8%/day超 「可」
<組成物(ワニス)のろ過性の評価>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で、サイズ900mmφ、目付0.2μmのポリエチレン製のメンブレンフィルターを用いて、0.25MPaの圧力で加圧ろ過を行った。この時のろ過された樹脂組成物の質量を測定し、ろ過速度を計算した。ろ過性は下記基準で評価を行った。
A:ろ過速度1700g/hr以上 「優」
B:ろ過速度1700g/hr未満1500g/hr以上 「良」
C:ろ過速度1500g/hr未満500g/hr以上 「可」
D:ろ過速度500g/hr未満 「不可」
<ポリイミド樹脂膜の引張伸度の評価>
支持体として、表面にアルミニウム蒸着層を設けた6インチシリコンウェハー基板を用い、そのアルミニウム蒸着層の面上に、実施例及び比較例において調製した樹脂組成物を、ポリイミド樹脂膜の膜厚が10μmになるようにスピンコートして、塗膜を形成した。この塗膜を、100℃、6分間プリベークした後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下に調整された縦型キュア炉(光洋サーモシステム(株)製、型式名「VF-2000B」)を用いて、400℃にて1時間加熱し、ウェハー上にポリイミドフィルムを形成した。続いて、ダイシングソー((株)ディスコ製、品名「DAD 3350」)を用いて、得られたポリイミドフィルムに3mm幅の切れ目を入れた後、ポリイミドフィルム付きウェハーを、希塩酸水溶液に一晩浸して、ポリイミドフィルム片を剥離して、乾燥させて、幅3mmのポリイミド片を得た。これを長さ50mmにカットして、幅3mm、長さ50mmのポリイミド測定試料を得た。TENSILON((株)オリエンテック社製、型式名「UTM-II-20」)を用いて、試験速度40mm/分、初期加重0.5fsにて、ポリイミド樹脂膜の引張伸度を測定した。引張伸度は下記基準で評価を行った。
A:引張伸度が40%超 「優良」
B:引張伸度が30%超40%以下 「良」
C:引張伸度が20%超30%以下 「可」
D:引張伸度が20%未満 「不可」
<ポリイミド樹脂膜の残留応力の評価>
予め「反り量」を測定しておいた、厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハー上に、実施例及び比較例において調製した樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃において7分間プリベークした。その後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF-2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、400℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜のついたシリコンウェハーを作製した。
このウェハーの反り量を、残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX-2320)を用いて測定し、“窒素雰囲気下において”シリコンウェハーと樹脂膜との間に生じた残留応力を評価した。
A:残留応力が35MPa未満 「良」
B:残留応力が35MPa以上45MPa未満 「可」
C:残留応力が45MPa以上 「不可」
<全樹脂中のケイ素含有化合物割合>
実施例/比較例の樹脂組成物の全樹脂の総質量におけるケイ素基含有化合物の割合(質量%)を下記の通り算出した。
ケイ素基含有化合物の割合(質量%)=ケイ素基含有化合物の質量(g)/各モノマー(酸二無水物モノマー、ジアミンモノマー、ケイ素基含有化合物)の質量の総量(g)*100
また、ケイ素基含有化合物の割合は、ワニスを用いて下記方法により求めることができる。
ワニスに水を適当量加え、80℃で3日間加熱処理を行い、酸成分とアミン成分とに解重合成分とを解重合させ、酸モノマーとアミンモノマーとする。その後、溶媒留去により酸モノマーとアミンモノマーが混ざった粉体を得て、アセトニトリル溶液を調製し、高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)測定を行う。そして、各モノマーのピーク面積を求め、そのピーク面積比から算出することができる。
<イミド化率>
実施例/比較例の樹脂のイミド化率(%)を下記の通り算出した。
(一般式(10)のL及びLがアミノ基の場合)
イミド化率(%)=
イミド化工程のジアミンモノマー(一般式(10)のL及びLがアミノ基のケイ素含有化合物含む)の総モル数/{イミド化工程のジアミンモノマー(一般式(10)のL及びLがアミノ基のケイ素含有化合物含む)の総モル数+アミド化工程のジアミンモノマー(一般式(10)のL及びLがアミノ基のケイ素含有化合物含む)の総モル数}*100
例えば、実施例I-1の場合、
イミド化工程のジアミンモノマー(一般式(10)のL及びLがアミノ基のケイ素含有化合物含む)の総モル数:93.6mmol
アミド化工程のジアミンモノマー(一般式(10)のL及びLがアミノ基のケイ素含有化合物含む)の総モル数:111.9mmol
であり、イミド化率は83.7%になる。
(一般式(10)のL及びLが酸無水物基の場合)
イミド化率(%)=
イミド化工程の酸二無水物モノマー(一般式(10)のL及びLが酸無水物基のケイ素含有化合物含む)の総モル数/{イミド化工程の酸無水物モノマー(一般式(10)のL及びLが酸無水物基のケイ素含有化合物含む)の総モル数+アミド化工程の酸二無水物モノマー(一般式(10)のL及びLが酸無水物基のケイ素含有化合物含む)の総モル数}*100
また、イミド化率は、ワニスを用いて下記方法により求めることができる。
ワニスに水を適当量加え、80℃で3日間加熱処理を行い、酸成分とアミン成分とに解重合成分とを解重合させ、酸モノマーとアミンモノマーとする。その後、溶媒留去により酸モノマーとアミンモノマーが混ざった粉体を得て、アセトニトリル溶液を調製し、高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)測定を行う。そして、各モノマーのピーク面積を求め、そのピーク面積比から算出することができる。
また、イミド化率は、IR(赤外分光光度計)を用いて測定することも可能である。ワニスを水溶媒で再沈殿したのち、粉体を分離乾燥後、KBrを加えてペレットにしてサンプルとして用いた。そして、一回反射ATR法にて樹脂層の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1009cm-1のベンゼン環炭素水素結合を基準とし、1778cm-1のイミド基由来の吸光度から算出することができる。ここでは、ワニスを400℃で1時間熱処理後のポリイミドフィルムのイミド化率を100%とした。
<ジアミン中のケイ素含有化合物割合 イミドユニットとアミドユニットの差>
実施例/比較例の樹脂の、ジアミン中のケイ素含有化合物割合の、イミドユニットとアミドユニットの差は、下記式より求められる。
A:イミドユニットのジアミン中のケイ素含有化合物割合(質量%)=イミド化工程で用いたケイ素含有化合物/イミド化工程で用いたジアミンモノマー(ケイ素含有化合物含む)の質量の総量*100
B:アミドユニットのジアミン中のケイ素含有化合物割合(質量%)=イミド化工程で用いたケイ素含有化合物/アミド化工程で用いたジアミンモノマー(ケイ素含有化合物含む)の質量の総量*100
Aは、“一般式(7)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合(質量%)”とも言い換えることができる。
また、Bは、“一般式(6)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合(質量%)”とも言い換えることができる。
そして、ジアミン中のケイ素含有化合物割合 イミドユニットとアミドユニットの差は、“B-A”と表される。
実施例I-14,I-16,I-17、比較例I-4~I-6のB-Aの値と、それらのワニス、及びポリイミドフィルムの特性とを表5に示した。
《実施例I-1》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(189g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(73.0mmol,11.1g)、ケイ素含有化合物(2)(6.699mmol,10.72g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(18.3mmol,2.8g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
《実施例I-2》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(191g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(13.6g)、ケイ素含有化合物(1)(10.82g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(0.7g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-3》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(191g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(7.3g)、ケイ素含有化合物(3)(10.85g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(7.3g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-4》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(191g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(8.7g)、ケイ素含有化合物(4)(10.85g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(5.8g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-5》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(186g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(14.9g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(32.8g)、ケイ素含有化合物(5)(10.51g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、酸二無水物としてCpODA(3.6g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-6》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(184g)、トルエン(18g)、ジアミンとしてDABA(12.9g)、ケイ素含有化合物(1)(10.44g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(28.8g),ODPA(7.8g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(1.4g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-7》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(194g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(11.1g)、ケイ素含有化合物(2)(11.02g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(28.8g),6FDA(11.1g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(2.8g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-8》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(197g)、トルエン(20g)、ジアミンとしてDABA(8.6g)、ケイ素含有化合物(1)(11.19g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(28.8g),BPAF(11.5g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(5.7g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-9》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(193g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(7.2g)、ケイ素含有化合物(1)(10.92g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(28.8g),BzDA(10.1g)を室温で 加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(7.2g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-10》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(170g)、トルエン(17g)、ジアミンとしてDABA(13.3g)、ケイ素含有化合物(2)(9.62g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(28.8g),BNBDF(4.1g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(0.7g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-11》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(204g)、トルエン(20g)、ジアミンとしてDABA(10.3g)、BAFL(5.9g)、ケイ素含有化合物(1)(11.57g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(1.1g)、BAFL(0.7g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-12》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(202g)、トルエン(20g)、ジアミンとしてDABA(5.5g)、BisAM(3.1g)、ケイ素含有化合物(2)(11.42g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(5.5g)、BisAM(3.1g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-13》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(218g)、トルエン(22g)、ジアミンとしてDABA(5.9g)、BAFL(9.4g)、ケイ素含有化合物(1)(12.35g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(2.5g)、BAFL(4.0g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《比較例I-1》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表1及び2に記載する様に、溶媒としてNMP(208g)、トルエン(21g)、ジアミンとしてDABA(10.22g)、TFMB(16.0g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(27.7g)、BPDA(5.3g)、ケイ素含有化合物(6)(9.95g)を室温で加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:100であった。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻し、ポリイミド樹脂(ケイ素含有化合物以外の官能基:イミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。得られたワニスを冷凍庫(設定-20℃、以下同様)で保管し、評価をする際は解凍して使用した。
《比較例I-2,I-3》
比較例I-1において、溶媒、酸二無水物、ジアミンの種類及び量を表1及び2に記載したものに変更したことを除いて、比較例I-1と同様に行った。
《実施例I-14》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(177g)、トルエン(18g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(2)(4.12g)、33DAS(8.5g)、44DAS(12.8g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてODPA(31.0g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとして33DAS(0.9g)、44DAS(1.4g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-15》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(170g)、トルエン(17g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(2)(1.70g)、33DAS(8.7g)、44DAS(13.0g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてODPA(31.0g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとして33DAS(1.0g)、44DAS(1.4g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-16》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(204g)、トルエン(20g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(2)(16.36g)、DABA(12.0g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(1.3g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-17》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(259g)、トルエン(26g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(1)(15.54g)、BAFL(29.1g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてBAFL(3.2g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-18》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(232g)、トルエン(23g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(1)(7.73g)、33DAS(8.5g)、44DAS(12.8g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてBPAF(45.8g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとして33DAS(0.9g)、44DAS(1.4g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《実施例I-19》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表3及び4に記載する様に、溶媒としてNMP(235g)、トルエン(24g)、ジアミンとしてケイ素含有化合物(1)(7.84g)、6FODA(28.9g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとして6FODA(3.2g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。
《比較例I-4》
表3及び4に記載する様に、BPADA200g(0.384mol)を1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン(トリグラム)1101gに分散し、80℃に保った。これにケイ素含有化合物X-22-9409(信越化学社製、両末端:アミノ基、官能基等量:670)を172g(0.115mol)投入し、30分間均一攪拌を行った。次いで、140℃に加熱して1時間攪拌を行い、反応を終了させた後、180℃に昇温させて3時間加熱還流を行った。反応終了後、室温まで冷却し水を27.7g(1.54mol)投入した。均一に30分間攪拌した後、80℃に加熱して3時間加熱還流を行った。このようにしてイミド化したテトラカルボン酸(末端テトラカルボン酸シロキサンイミドオリゴマー)を溶解した溶液を得た。
次いで溶液を、室温まで冷却してmBAPSを99.7g(0.230mol)投入して室温下で1時間均一攪拌を行い、樹脂組成物溶液を得た。
《比較例I-5》
表3及び4に記載する様に、三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。室温25℃で、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグラム)15g、γ-ブチロラクトン(GBL)35g、トルエン20.0g、ODPA10.86g(35.00mmol)を入れ、均一になるまで攪拌した。その後、80℃に昇温しケイ素含有化合物KF-8010(信越化学工業社製、両末端:アミノ基、官能基等量430)11.30g(13.78mmol)を加え、更に0.5時間攪拌した後、170℃まで昇温し、4時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きした。系を100℃まで冷却した後、無水マレイン酸0.14gを加え0.5時間攪拌した。
12時間室温25℃にて静置、冷却した後にAPB6.00g(20.52mmol)を添加し、樹脂組成物を得た。
《比較例I-6》
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーン・スターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、表3及び4に記載する様に、6FODAを27.0g(0.0802モル)、及びNMPを56.000g投入し、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、CpODA 19.2g(0.050モル)、及びNMP 14.000gを一括で添加した後、イミド化触媒としてTEAを0.253g投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して1時間還流した。その後、NMPを85.806g添加して、反応系内温度を50℃まで冷却し、イミド繰り返し構造単位を有するオリゴマーを含む溶液を得た。
得られた溶液に、BPDA 9.7g(0.033モル)、及びNMP 7.527gを一括で添加し50℃で5時間撹拌した。その後、NMPを100.000g添加し均一化した後、NMP 16.667gにX-22-1660B-3(変性シリコーンオイル、官能基等量2200、信越化学)を13.2g(0.003モル)溶解させた混合液を投入し、更に約1時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて、粘度安定性、ろ過性の各評価を、得られたポリイミド樹脂膜を用いて、引張伸度、残留応力の各評価を行った。評価結果を表1~4に示す。
実施例及び比較例における略号は以下のとおりである;
〈酸二無水物〉
CpODA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000100
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
BPAF:9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
BzDA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000101
BNBDA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000102
BPADA:2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物
〈ジアミン〉
DABA:3,5-ジアミノ安息香酸
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)
BAFL:9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
BisAM:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000103
TFMB:ジアミノビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
BAPP:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000104
mBAPS:ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
APB:1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
〈ケイ素含有化合物〉
ケイ素含有化合物(1):(一般式(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量1500の化合物)
ケイ素含有化合物(2):(一般式(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量800の化合物)
ケイ素含有化合物(3):(一般式(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量2200の化合物)
ケイ素含有化合物(4):一般式(10)において、L及びLがアミノ基、Rが-CHCHCH-であり、R、R、R、Rがメチル基、R、Rがフェニル基、j/(i+j+k)=0.15であり、官能基当量2200の化合物
ケイ素含有化合物(5):(一般式(10)において、L及びLが酸無水物基(―CH(C=O)O)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量1000の化合物)
ケイ素含有化合物(6):(一般式(10)において、L及びLが酸無水物基(―CH(C=O)O)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量500の化合物)
Figure 0007506152000105
Figure 0007506152000106
Figure 0007506152000107
Figure 0007506152000108
Figure 0007506152000109
〔第二の態様〕
《測定及び評価方法》
〈重量平均分子量〉
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。
溶媒として、NMP(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用、測定直前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えて溶解したもの)を使用した。重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダ-ドポリスチレン(東ソ-社製)を用いて作製した。
カラム:Shodex KD-806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU-2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI-2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)及びUV-2075Plus(UV-VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
<組成物(ワニス)の粘度安定性の評価>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で24時間放置し、樹脂組成物の初期(0日)の粘度を、温調機付粘度計(東機産業械社製VISCOMATER TVE-35H)を用いて測定した。そして、樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で7日間放置し、初期と同様にして、7日後の粘度を測定した。続いて、下記式で表される粘度安定性を算出した。
粘度安定性(%/day)=|(初期の粘度(mPa・s))―(7日後の粘度(mPa・s))|/(初期粘度(mPa・s))*100/7(day)
粘度安定性は下記基準で評価を行った。
A:粘度安定性1%/day以下 「優良」
B:粘度安定性1%/day超3%/day以下 「良」
C:粘度安定性3%/day超5%/day以下 「可」
D:粘度安定性5%/day超 「可」
<組成物(ワニス)のろ過性の評価>
実施例、及び比較例において調製した樹脂組成物を23℃、50%RHの雰囲気下で、サイズ900mmφ、目付0.2μmのポリエチレン製のメンブレンフィルターを用いて、0.25MPaの圧力で加圧ろ過を行った。この時のろ過された樹脂組成物の質量を測定し、ろ過速度を計算した。ろ過性は下記基準で評価を行った。
A:ろ過速度2000g/hr以上 「優」
B:ろ過速度2000g/hr未満1500g/hr以上 「良」
C:ろ過速度1500g/hr未満1000g/hr以上 「可」
D:ろ過速度1000g/hr未満 「不可」
<ポリイミド樹脂膜の引張伸度の評価>
支持体として、表面にアルミニウム蒸着層を設けた6インチシリコンウェハー基板を用い、そのアルミニウム蒸着層の面上に、実施例及び比較例において調製した樹脂組成物を、ポリイミド樹脂膜の膜厚が10μmになるようにスピンコートして、塗膜を形成した。この塗膜を、100℃、6分間プリベークした後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下に調整された縦型キュア炉(光洋サーモシステム(株)製、型式名「VF-2000B」)を用いて、400℃にて1時間加熱し、ウェハー上にポリイミドフィルムを形成した。続いて、ダイシングソー((株)ディスコ製、品名「DAD 3350」)を用いて、得られたポリイミドフィルムに3mm幅の切れ目を入れた後、ポリイミドフィルム付きウェハーを、希塩酸水溶液に一晩浸して、ポリイミドフィルム片を剥離して、乾燥させて、幅3mmのポリイミド片を得た。これを長さ50mmにカットして、幅3mm、長さ50mmのポリイミド測定試料を得た。TENSILON((株)オリエンテック社製、型式名「UTM-II-20」)を用いて、試験速度40mm/分、初期加重0.5fsにて、ポリイミド樹脂膜の引張伸度を測定した。引張伸度は下記基準で評価を行った。
A:引張伸度が50%超 「優良」
B:引張伸度が40%超50%以下 「良」
C:引張伸度が30%超40%以下 「可」
D:引張伸度が30%未満 「不可」
<ポリイミド樹脂膜の残留応力の評価>
予め「反り量」を測定しておいた、厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハー上に、実施例及び比較例において調製した樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃において7分間プリベークした。その後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF-2000B)を用いて、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、400℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜のついたシリコンウェハーを作製した。
このウェハーの反り量を、残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX-2320)を用いて測定し、“窒素雰囲気下において”シリコンウェハーと樹脂膜との間に生じた残留応力を評価した。
A:残留応力が30MPa未満 「良」
B:残留応力が30MPa以上40MPa未満 「可」
C:引張伸度が40MPa以上 「不可」
《実施例II-1》
撹拌棒付き3Lセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表6及び7に記載するように、溶媒としてNMP(191g)、ジアミンとしてDABA(14.4g)、及びケイ素含有化合物(1)(10.82g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。混合物を室温で48時間撹拌し、透明なポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたワニスを冷凍庫(設定-20℃、以下同様)で保管し、評価をする際は解凍して使用した。
《実施例II-2》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表6及び7に記載する様に、溶媒としてNMP(191g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(14.4g)、及びケイ素含有化合物(1)(10.82g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻し、ポリイミド樹脂(ケイ素含有化合物以外の官能基:イミド基、ケイ素含有化合物の官能基:イミド基)のNMP溶液を得た。得られたワニスを冷凍庫(設定-20℃、以下同様)で保管し、評価をする際は解凍して使用した。
《実施例II-3》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表6~9のいずれかに記載する様に、溶媒としてNMP(189g)、トルエン(19g)、ジアミンとしてDABA(13.9g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ケイ素含有化合物(2)(10.72g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
《実施例II-16》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表8及び9に記載する様に、溶媒としてNMP(177g)、トルエン(18g)、ジアミンとして33DAS(8.5g)及び44DAS(12.8g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてODPA(31.0g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとして33DAS(0.9g)及び44DAS(1.4g)と、ケイ素含有化合物(2)(4.12g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
《実施例II-17》
デ ィーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付きセパラブルフラスコに、窒素ガスを導入しながら、表8及び9に記載する様に、溶媒としてNMP(173g)、トルエン(17g)、ジアミンとしてDABA(13.0g)を撹拌しながら加え、続いて酸二無水物としてCpODA(38.4g)を室温で加えた。その後、内温160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱還流を行い、イミド化を行った。イミド化完了後、180℃まで昇温し、トルエンを抜き出しながら反応を続けた。12時間反応後、オイルバスを外して室温に戻した。次に、ジアミンとしてDABA(1.4g)と、ケイ素含有化合物(2)(4.80g)を撹拌しながら加えた。酸二無水物、ジアミンのモル比は、100:98であった。そして、混合物を室温で48時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
《比較例II-4》
ステンレス製半月型撹拌翼、窒素導入管、冷却管を取り付けたディーン・スターク、温度計、ガラス製エンドキャップを備えた500mLの5つ口丸底フラスコに、表8及び9に記載する様に、6FODAを27.0g(0.0802モル)、及びNMPを56.000g投入し、系内温度70℃、窒素雰囲気下、回転数200rpmで撹拌して溶液を得た。
この溶液に、CpODA 19.2g(0.050モル)、及びNMP 14.000gを一括で添加した後、イミド化触媒としてTEAを0.253g投入し、マントルヒーターで加熱し、約20分かけて反応系内温度を190℃まで上げた。留去される成分を捕集し、回転数を粘度上昇に合わせて調整しつつ、反応系内温度を190℃に保持して1時間還流した。その後、NMPを85.806g添加して、反応系内温度を50℃まで冷却し、イミド繰り返し構造単位を有するオリゴマーを含む溶液を得た。
得られた溶液に、BPDA 9.7g(0.033モル)、及びNMP 7.527gを一括で添加し50℃で5時間撹拌した。その後、NMPを100.000g添加し均一化した後、NMP 16.667gにX-22-1660B-3(変性シリコーンオイル、官能基等量2200、信越化学)を13.2g(0.003モル)溶解させた混合液を投入し、更に約1時間撹拌し、一部がイミド化されたポリイミド前駆体(ケイ素含有化合物以外の官能基:アミド基又はイミド基、ケイ素含有化合物の官能基:アミド基)のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。
《実施例II-4,II-5,II-7,II-9,II-10,II-12,II-14,II-15》
実施例II-3において、溶媒、酸二無水物、ジアミン、ケイ素含有化合物の種類及び量を表6及び7に記載したものに変更したことを除いて、実施例II-3と同様に行った。
《参考例II-6,実施例II-8,II-11,II-13、比較例II-1~II-3》
実施例II-2において、溶媒、酸二無水物、ジアミン、ケイ素含有化合物の種類及び量を表6及び7に記載したものに変更したことを除いて、実施例II-2と同様に行った。
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて、粘度安定性、ろ過性の各評価を、得られたポリイミド樹脂膜を用いて、引張伸度、残留応力の各評価を行った。評価結果を表6~表9に示す。
実施例及び比較例における略号は以下のとおりである;
〈酸二無水物〉
CpODA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000110
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
BPAF:9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
BzDA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000111
BNBDA:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000112
〈ジアミン〉
DABA:3,5-ジアミノ安息香酸
BAFL:9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
BisAM:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000113
TFMB:ジアミノビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
BAPP:下記一般式の化合物
Figure 0007506152000114
33DAS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン
44DAS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン
6FODA:2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
〈ケイ素含有化合物〉
ケイ素含有化合物(1):(一般式(5),(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量1500の化合物)
ケイ素含有化合物(2):(一般式(5),(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量800の化合物)
ケイ素含有化合物(3):(一般式(5),(10)において、L及びLがアミノ基(-NH)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量2200の化合物)
ケイ素含有化合物(4)::一般式(5),(10)において、L及びLがアミノ基、Rが-CHCHCH-であり、R、R、R、Rがメチル基、R、Rがフェニル基、j/(i+j+k)=0.15であり、官能基当量2200の化合物
ケイ素含有化合物(5):(一般式(5),(10)において、L及びLが酸無水物基(―CH(C=O)O)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量1000の化合物)
ケイ素含有化合物(6):(一般式(5),(10)において、L及びLが酸無水物基(―CH(C=O)O)、Rがトリメチレン基(-CHCHCH-)であり、R、Rがメチル基、j,kが0であり、官能基当量500の化合物)
Figure 0007506152000115
Figure 0007506152000116
Figure 0007506152000117
Figure 0007506152000118
2a 下部基板
2b 封止基板
25 有機EL構造部
250a 赤色光を発光する有機EL素子
250b 緑色光を発光する有機EL素子
250c 青色光を発光する有機EL素子
251 隔壁(バンク)
252 下部電極(陽極)
253 正孔輸送層
254 発光層
255 上部電極(陰極)
256 TFT
257 コンタクトホール
258 層間絶縁膜
259 下部電極
261 中空部

Claims (29)

  1. 下記一般式(6)及び(7):
    {式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
    {式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつqは、正の整数を示す。}
    で表される構造単位の樹脂を含む、樹脂組成物であって、
    前記P又はPが、下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含み、かつ
    A(質量%):一般式(6)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合
    B(質量%):一般式(7)におけるPを構成するジアミンのうち、一般式(10)の割合
    としたとき、B-Aが、0より大きく、60未満である、
    樹脂組成物。
  2. 前記ジアミンが、
    下記一般式(8):
    で表される化合物、
    3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、
    4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、及び
    9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
    から選択される少なくとも一つの化合物を含む、請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 前記一般式(6)及び/又は前記一般式(7)において、P及び/又はPが、それぞれ独立に、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、又は9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)の各化合物に由来する構成単位を少なくとも一つ含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記一般式(10)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記Pが、前記一般式(10)で表される化合物に由来する構成単位を含み、かつ
    前記一般式(10)において前記L及びLが、それぞれ独立に、アミノ基である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記一般式(8)で表される化合物が、全ジアミン(前記一般式(10)で表される化合物を除く)を100mol%としたとき、50mol%より多い、請求項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記P又はPが、それぞれ独立に、下記式:
    で表される化合物(BisAM)に由来する構成単位を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記P又はPが、それぞれ独立に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、下記式:
    で表される化合物(BzDA)、又は下記式:
    で表される化合物(BNBDA)に由来する構成単位を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂を加熱して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブル基板に用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記樹脂を加熱して得られるポリイミド樹脂膜が、フレキシブルディスプレイに用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. ジアミン又は酸二無水物と下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂を含む樹脂組成物を提供することを含み、
    前記樹脂の総質量を基準に前記ケイ素含有化合物を25質量%以下含む、
    樹脂組成物の製造方法。
  12. ジアミン又は酸二無水物と下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂を含む樹脂組成物を提供することを含み、
    前記樹脂のイミド化率が50%以上である、
    樹脂組成物の製造方法。
  13. 下記一般式(8):
    で表される化合物、又は下記一般式(9):
    で表される化合物と、下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
  14. 3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)、
    4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、及び
    9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)
    から選択される少なくとも一つの化合物と、
    下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
  15. 4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及び9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)から選択される少なくとも一つの化合物と、下記一般式(10):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
  16. 支持体の表面上に、請求項1~1のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は請求項1~1のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
    を含む、ポリイミド樹脂膜の製造方法。
  17. 前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記樹脂組成物にレーザーを照射する照射工程を含む、請求項1に記載のポリイミド樹脂膜の製造方法。
  18. 支持体の表面上に、請求項1~1のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は請求項1~1のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
    該素子が形成された該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
    を含む、ディスプレイの製造方法。
  19. 支持体の表面上に、請求項1~1のいずれか一項に記載の樹脂組成物、又は請求項1~1のいずれか一項に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
    を含む、積層体の製造方法。
  20. 前記素子が形成された前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含む、請求項19に記載の積層体の製造方法。
  21. 請求項19又は2に記載の方法により積層体を製造することを含む、フレキシブルデバイスの製造方法。
  22. ジアミン(ただし、2,2 ’-ビス (トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を含まない)と酸二無水物を重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    下記一般式(5):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
  23. 下記一般式(3):
    で表される化合物、
    3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33AS)、及び
    4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、
    から選択される少なくとも一つのジアミンと、
    酸二無水物と、
    その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミドを得た後、
    下記一般式(5):
    {式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10sの二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50である。}
    で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させて、ポリイミド前駆体及びポリイミドを含む樹脂組成物を提供することを含む、樹脂組成物の製造方法。
  24. 支持体の表面上に、請求項22又は23に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
    を含む、ポリイミド樹脂膜の製造方法。
  25. 前記剥離工程に先立って、前記支持体側から前記樹脂組成物にレーザーを照射する照射工程を含む、請求項24に記載のポリイミド樹脂膜の製造方法。
  26. 支持体の表面上に、請求項22又は23に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
    該素子が形成された該ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、
    を含む、ディスプレイの製造方法。
  27. 支持体の表面上に、請求項22又は23に記載の方法により得られた樹脂組成物を塗布する塗布工程と、
    該樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂膜上に素子を形成する素子形成工程と、
    を含む、積層体の製造方法。
  28. 前記素子が形成された前記ポリイミド樹脂膜を前記支持体から剥離する工程をさらに含む、請求項27に記載の積層体の製造方法。
  29. 請求項27又は28に記載の方法により積層体を製造することを含む、フレキシブルデバイスの製造方法。
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