JP7484681B2 - 操舵方法及び操舵装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ステアバイワイヤ式の操舵装置において、運転者が期待する車両のヨーレイトの変化速度と、車両の実際のヨーレイトの変化速度とが異なることによる運転者の違和感を緩和することを目的とする。
(構成)
図1は、車両に搭載される実施形態の操舵装置の一例の概略構成図である。
実施形態の操舵装置は、運転者の操舵入力を受け付ける操舵部31と、操向輪である左右前輪34FL、34FRを転舵する転舵部32と、バックアップクラッチ33と、コントローラ11を備える。
この操舵装置は、バックアップクラッチ33が解放状態になると、操舵部31と転舵部32とが機械的に分離されるステアバイワイヤ(SBW)システムを採用している。以下の説明において左右前輪34FL、34FRを「操向輪34」と表記することがある。
一方で転舵部32は、ピニオンシャフト32aと、ステアリングギア32bと、ラックギア32cと、ステアリングラック32dと、転舵アクチュエータ32eと、転舵角センサ32gと、電流センサ32hを備える。
コラムシャフト31bは、ステアリングホイール31aと一体に回転する。
操舵角センサ31eは、コラムシャフト回転角、すなわち、ステアリングホイール31aの操舵角θs(ハンドル角度)を検出する。
電流センサ31fは、反力アクチュエータ31cの駆動電流である反力電流を検出し、検出反力電流Isdとしてコントローラ11に入力する。
バックアップクラッチ33は、コラムシャフト31bとピニオンシャフト32aとの間に設けられる。そして、バックアップクラッチ33は、解放状態になると操舵部31と転舵部32とを機械的に切り離し、締結状態になると操舵部31と転舵部32とを機械的に接続する。
以下、転舵アクチュエータ32eが電動モータである場合の例について説明するが、転舵アクチュエータ32eは電動モータに限定されない。転舵アクチュエータ32eは、コントローラ11が出力する信号を物理的運動に変換する様々な形式のアクチュエータを採用できる。
転舵アクチュエータ32eは、減速機を介してラックギア32cと接続される出力軸を有する。
電流センサ32hは、転舵アクチュエータ32eの駆動電流である転舵電流を検出し、検出転舵電流Itdとしてコントローラ11に入力する。
車速センサ16は、実施形態の操舵装置が搭載された車両の車輪速を検出し、車輪速に基づいて車両の車速Vvを算出する。車速センサ16は、車速Vvをコントローラ11に入力する。
加速度センサ18は、実施形態の操舵装置が搭載された車両に加わる横加速度Gyを検出して、コントローラ11に入力する。
コントローラ11は、プロセッサ20と、記憶装置21と、駆動回路22等の周辺部品とを含む。プロセッサ20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
コントローラ11により実行される以下に説明する情報処理は、例えば、コントローラ11の記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することによって実現されてよい。
駆動回路22は、例えば、反力電流Ism及び転舵電流Itmを制御するためのスイッチング素子を備えてもよい。
コントローラ11は、転舵力指令値ftrに応じた転舵トルクを発生させる転舵電流Itmを転舵アクチュエータ32eに出力し、操向輪34を転舵する。
また、実転舵角θtに応じた操舵反力をステアリングホイール31aに付与する。
上記のように実転舵角θtを目標転舵角θtrに一致させるように操向輪34を転舵しつつ、実転舵角θtに応じた操舵反力をステアリングホイール31aに付与すると、操舵反力の変化速度に応じて運転者が期待する車両のヨーレイトの変化速度と、実ヨーレイトγaの変化速度とが異なり、運転者が違和感を覚えることがあった。
例えば、操舵反力の変化速度に対して、実ヨーレイトγaの変化速度が速すぎるために運転者が違和感を覚えることがあった。その理由を以下に説明する。
時刻t1から時刻t2までに運転者が操舵力を増加させると、それに応じて操舵角θsが増加する。
図2(c)は、図2(b)の操舵角に基づく目標転舵角に一致させるように制御した場合の実転舵角θtの時間変化の模式図である。
操舵開始の直後(すなわち実転舵角θtの変化の開始直後)では、操向輪34の向きと操向輪34の進行方向との角度差であるスリップ角が大きくなる。これに伴って、タイヤで発生する横力が過渡的に増加する。その後、横力は実転舵角θtに応じた大きさに収束する。
転舵力は、横力と同様に変化し、操舵開始の直後に過渡的に大きくなってから実転舵角θtに応じた大きさに収束する。このため、操舵開始の直後の転舵力の変化は、実転舵角θtの変化よりも速くなる。
セルフアライニングトルクと実ヨーレイトγaも、転舵力と同様に操舵開始の直後に過渡的に大きくなる。したがって、操舵開始の直後のセルフアライニングトルクと実ヨーレイトγの変化も、実転舵角θtの変化より速くなる。
このため、実転舵角θtに応じた操舵反力を付与すると、運転者は、操舵反力の変化速度に対して実ヨーレイトγaの変化速度が速すぎると感じ、違和感を覚えることがあった。
このように、目標ヨーレイトγrと実ヨーレイトγaの速度偏差ΔVに応じた補正値を操舵反力に加算することで、運転者が期待する車両のヨーレイトの変化速度と実ヨーレイトγaの変化速度との間の差を低減できる。このため、これらのヨーレイトの変化速度の違いにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
コントローラ11は、目標転舵角算出部40と、減算器41及び47と、転舵角サーボ制御部42と、転舵モータ駆動部43と、反力指令値算出部44と、目標ヨー角加速度算出部45と、微分器46と、ゲイン乗算部48と、加算器49と、反力モータ駆動部50を備える。
目標転舵角算出部40は、角度比Raを動的に変化させてもよい。例えば、目標転舵角算出部40は、少なくとも車速Vvに応じて角度比Raを変更してもよい。
転舵角サーボ制御部42は、転舵角偏差Δθを減少させるサーボ制御によって転舵力指令値ftrを算出する。
検出転舵電流Itdと、転舵力指令値ftrに相当する駆動電流とを一致させる電流フィードバック制御によって、転舵アクチュエータ32eへ出力する転舵電流Itmを生成してもよい。
図4(a)は、目標転舵角θtrの時間変化の一例の模式図であり、図4(b)は、図4(a)の目標転舵角θtrに応じて転舵されたときの操向輪34の実転舵角θtの時間変化の一例の模式図である。
実転舵角θtに代えて、操舵角θsや目標転舵角θtrに基づいて基本操舵反力指令値frr1を算出してもよい。
図4(c)の実線は、図4(b)の実転舵角θtに応じて反力指令値算出部44が算出した基本操舵反力指令値frr1の時間変化の一例の模式図である。
官能評価では、ヨーレイトの周波数応答のカットオフ周波数が1~2[Hz]程度であることが好ましいという結果が得られており、このような周波数応答が得られる目標ヨー角加速度(dγr/dt)を算出することが好ましい。
図4(e)の破線は、図4(c)の基本操舵反力指令値frr1の時間変化に応じて算出した目標ヨー角加速度(dγr/dt)の模式図である。
横力決定部45aは、基本操舵反力指令値frr1に基づいて、基本操舵反力指令値frr1が示す大きさの操舵反力を生じる前輪のタイヤ横力Fyを決定する。
図5(b)は、操舵反力とタイヤ横力Fyとの関係を定めたマップの一例を示す。図示するように、基本操舵反力指令値frr1の増加に伴いタイヤ横力Fyは単調増加する特性を有する。
横力決定部45aは、演算式によって基本操舵反力指令値frr1から前輪のタイヤ横力Fyを算出してもよい。
例えば目標ヨーレイト算出部45bは、特定の車両モデルにおいてタイヤ横力Fyが発生した場合の理想的なヨーレイトを、目標ヨーレイトγrとして算出してよい。例えば、目標ヨーレイト算出部45bは、車両モデルとして用いる次式の伝達関数をタイヤ横力Fyに乗算することにより、目標ヨーレイトγrを算出してよい。
目標ヨーレイト算出部45bは、上式のパラメータ2mVlf、mVI、2KrlrmVを、車速Vvに応じた可変パラメータとして、車速センサ16が検出した車速Vvに応じて動的に設定してもよい。
荷重センサの検知結果やサスペンションの沈み込み量等に基づいて車両の質量mを検出し、上式のパラメータ2mVlf、mVI、2Kr(mlr2+1)、2KrlrmVを、質量mに応じて動的に設定してもよい。
図3を参照する。微分器46は、ヨーレイトセンサ17が検出した実ヨーレイトγaを微分することにより実ヨーレイトγaの変化速度(dγa/dt)を算出する。実ヨーレイトγaの変化速度を「実ヨー角加速度」と表記することがある。
図4(d)は、実ヨーレイトγaの模式図であり、図4(e)の実線は、実ヨー角加速度(dγa/dt)の模式図である。
図3を参照する。ゲイン乗算部48は、速度偏差ΔVに第1ゲインG1を乗算した乗算結果を、反力補正値Crとして算出する。
図4(c)の破線は、操舵反力指令値frrの時間変化の一例の模式図である。反力補正値Crを加えることにより、操舵反力指令値frrは、基本操舵反力指令値frr1に比べて図中の矢印で示す長さ分だけより速く立ち上がっている。
反力モータ駆動部50は、電流センサ31fが検出した検出反力電流Isdから推定される実際の操舵反力トルクと、加算器49が出力する操舵反力指令値frrとを一致させるトルクフィードバック制御により、反力アクチュエータ31cへ出力する反力電流Ismを生成し、反力電流Ismを反力アクチュエータ31cに出力する。検出反力電流Isdと、操舵反力指令値frrに相当する駆動電流とを一致させる電流フィードバック制御によって、反力アクチュエータ31cへ出力する反力電流Ismを生成してもよい。
この結果、操舵反力の変化速度に応じて運転者が期待するヨー角加速度が大きくなり、実ヨー角加速度(dγa/dt)との差が減少する。これにより、操舵反力の変化速度に対して実ヨー角加速度(dγa/dt)が速すぎることにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
図6は、第1実施形態の操舵方法の一例のフローチャートである。
ステップS1において操舵角センサ31eは、ステアリングホイール31aの操舵角θsを検出する。
ステップS2においてコントローラ11の目標転舵角算出部40は、操舵角θsに応じて目標転舵角θtrを算出する。
ステップS4において反力指令値算出部44は、少なくとも実転舵角θtに基づいて基本操舵反力指令値frr1を算出する。操舵角θsや目標転舵角θtrに基づいて基本操舵反力指令値frr1を算出してもよい。
ステップS6において目標ヨー角加速度算出部45は、基本操舵反力指令値frr1の時間変化に応じた、目標ヨーレイトの変化速度(dγr/dt)を算出する。
ステップS7において微分器46は、実ヨーレイトγaを微分することにより実ヨーレイトγaの変化速度(dγa/dt)を算出する。減算器47は、目標ヨーレイトの変化速度(dγr/dt)と実ヨーレイトγaの変化速度(dγa/dt)との速度偏差ΔV=(dγa/dt)-(dγr/dt)を算出する。
ステップS9において転舵角サーボ制御部42は、目標転舵角θtrと実転舵角θtとの転舵角偏差Δθに基づいて転舵力指令値ftrを算出する。
ステップS11において反力モータ駆動部50は、操舵反力指令値frrに基づいて反力アクチュエータ31cを駆動して、操舵反力トルクをステアリングホイール31aに付与する。
その後に処理は終了する。
操舵角センサ31eは、ステアリングホイール31aの操舵角θsを検出する。目標転舵角算出部40は、検出された操舵角θsに応じて操向輪34の目標転舵角θtrを算出する。転舵角センサ32gは、操向輪34の実際の転舵角である実転舵角θtを検出する。転舵角サーボ制御部42、転舵モータ駆動部43は、実転舵角θtと目標転舵角θtrとが一致するように操向輪を転舵する。反力指令値算出部44は、実転舵角θt、目標転舵角θtr又は操舵角θsに基づいて、ステアリングホイール31aに付与する操舵反力の指令値である基本操舵反力指令値frr1を算出する。
この結果、操舵反力の変化速度に応じて運転者が期待するヨー角加速度が大きくなり、実ヨー角加速度(dγa/dt)との差が減少する。これにより、操舵反力の変化速度に対して実ヨー角加速度(dγa/dt)が速すぎることにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
(構成)
図7は、第2実施形態のコントローラ11の機能構成例のブロック図である。第2実施形態のコントローラ11は、第1実施形態のコントローラ11と類似する機能を有する。このため、同様の構成要素については同じ参照符号を付する。
第2実施形態のコントローラ11は、速度偏差ΔVに応じた補正値によって目標転舵角θtrを減少させる。これにより、実ヨー角加速度(dγa/dt)が減少する。
この結果、操舵反力の変化速度に応じて運転者が期待する車両のヨーレイトの変化速度と実ヨーレイトγaの変化速度との間の差を低減できる。このため、これらのヨーレイトの変化速度の違いにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
また、第2実施形態の反力指令値算出部44は、少なくとも実転舵角θtに基づいて、操舵反力指令値frrを算出する。実転舵角θtに代えて、操舵角θsや基本目標転舵角θtr1に基づいて操舵反力指令値frrを算出してもよい。第2実施形態の操舵反力指令値frrは、第1実施形態の基本操舵反力指令値frr1と同様である。
ゲイン乗算部51は、速度偏差ΔVに第2ゲインG2を乗算した乗算結果を、転舵角補正値Ctとして算出する。
減算器52は、転舵角補正値Ctを減じることによって基本目標転舵角θtr1を補正して得られる目標転舵角θtrを算出する。すなわち、減算器52は、基本目標転舵角θtr1から転舵角補正値Ctを減じた差を、目標転舵角θtrとして算出する。
減算器41は、第1実施形態と同様に、転舵角偏差Δθ=θtr-θtを演算する。転舵角サーボ制御部42は、転舵角偏差Δθを減少させるサーボ制御によって転舵力指令値ftrを算出する。転舵モータ駆動部43は、転舵力指令値ftrに基づいて転舵アクチュエータ32eを駆動する。
この結果、実ヨーレイトγaが遅れるので、操舵反力の変化速度に応じて運転者が期待するヨー角加速度と実ヨー角加速度(dγa/dt)の差が減少する。これにより、操舵反力の変化速度に対して実ヨー角加速度(dγa/dt)が速すぎることにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
図9は、第2実施形態の操舵方法の一例のフローチャートである。
ステップS21の処理は、図6のステップS1と同様である。
ステップS22においてコントローラ11の目標転舵角算出部40は、操舵角θsに応じて基本目標転舵角θtr1を算出する。
ステップS24において反力指令値算出部44は、少なくとも実転舵角θtに基づいて操舵反力指令値frrを算出する。操舵角θsや基本目標転舵角θtr1に基づいて操舵反力指令値frrを算出してもよい。
ステップS25の処理は、図6のステップS5と同様である。
ステップS26において目標ヨー角加速度算出部45は、操舵反力指令値frrの時間変化に応じた、目標ヨーレイトの変化速度(dγr/dt)を算出する。
ステップS28においてゲイン乗算部51は、速度偏差ΔVに第2ゲインG2を乗算した乗算結果を、転舵角補正値Ctとして算出する。減算器52は、基本目標転舵角θtr1から転舵角補正値Ctを除算することによって、目標転舵角θtrを算出する。
ステップS29~S31の動作は図6のステップS9~S11の動作と同様である。
目標転舵角算出部40は、検出された操舵角θsに応じて基本目標転舵角θtr1を算出する。
減算器52は、速度偏差ΔVに応じた転舵角補正値Ctを基本目標転舵角θtr1から減算して得られる差を、目標転舵角θtrとして算出する。
この結果、実ヨーレイトγaが遅れるので舵反力の変化速度に応じて運転者が期待するヨー角加速度と実ヨー角加速度(dγa/dt)の差が減少する。これにより、操舵反力の変化速度に対して実ヨー角加速度(dγa/dt)が速すぎることにより生じる運転者の違和感を抑制できる。
図10は、第3実施形態のコントローラ11の機能構成例のブロック図である。
第3実施形態のコントローラ11は、第1実施形態のコントローラ11の構成と第2実施形態のコントローラ11の構成とを組み合わせた構成を有する。
すなわち、目標転舵角算出部40は、第2実施形態のように基本目標転舵角θtr1を算出する。また、反力指令値算出部44は、第1実施形態のように基本操舵反力指令値frr1を算出する。
ゲイン乗算部51は、速度偏差ΔVに第2ゲインG2を乗算した乗算結果を転舵角補正値Ctとして算出し、減算器52は、基本目標転舵角θtr1から転舵角補正値Ctを減じた差を、目標転舵角θtrとして算出する。
転舵モータ駆動部43は、転舵力指令値ftに基づいて転舵アクチュエータ32eを駆動して、操向輪34を転舵する。
第3実施形態によれば、第1実施形態の作用効果と、第2実施形態の作用効果を奏することができる。
図11(a)は、車速Vvに応じた第1ゲインG1の一例の特性図である。例えば、第1ゲインG1は、車速Vvが高い場合には低い場合よりも大きくなるゲインであってよい。例えば図11(a)に示すように、車速Vvがより高いほど連続的に第1ゲインG1が増加してもよい。また、車速Vvが閾値より高い場合には閾値より低い場合に比べて段階的に第1ゲインG1が大きくなるように設定してもよい。
車速Vvが高い場合には低い場合よりも第1ゲインG1が大きくなることによって、車速Vvが高いほど、操舵反力指令値frrをより速く立ち上げることができる。これにより操舵に要する力が増加するため、高速走行時の走行安定性が高くなる。
操向輪34のタイヤゴムの特性上、車速Vvが高くなるほど、上述した操舵開始の直後における横力の変動が少なくなる。このため、転舵角補正値Ctによって目標転舵角θtrの立ち上がりを遅らせると、車速Vvが高い場合には、実ヨーレイトγaの立ち上がりが遅くなり、車両挙動が緩慢に感じられるおそれがある。
そこで、車速Vvが高い場合には低い場合よりも小さな第2ゲインG2を設定して転舵角補正値Ctを小さくすることにより、目標転舵角θtrの立ち上がりの遅延量を少なくしてもよい。
これにより、車速Vvが高い場合において車両挙動が緩慢に感じられるのを防止できる。
車速Vvが高い場合には低い場合よりも第2ゲインG2が小さくなることによって、車速Vvが高いほど、目標転舵角θtrの立ち上がりの遅延量が少なくなっている。
図12(a)は、横加速度Gyに応じた第1ゲインG1の一例の特性図である。例えば、第1ゲインG1は、横加速度Gyが大きい場合には小さい場合よりも大きくなるゲインであってよい。例えば図12(a)に示すように、横加速度Gyがより大きいほど連続的に第1ゲインG1が増加してもよい。また、横加速度Gyが閾値より大きい場合には閾値より小さい場合に比べて段階的に第1ゲインG1が大きくなるように設定してもよい。
破線及び実線は、それぞれ横加速度Gyが小さい場合と大きい場合の第1ゲインG1で算出した反力補正値Crで補正された操舵反力指令値frrを示す。
横加速度Gyが大きい場合には小さい場合よりも第1ゲインG1が大きくなることによって、横加速度Gyが高いほど、操舵反力指令値frrをより速く立ち上げることができる。これにより操舵に要する力が増加するため、大きな横加速度Gyが発生している状況での走行安定性が高くなる。
高い横加速度Gyが発生している状況では、転舵角補正値Ctによって目標転舵角θtrの立ち上がりが遅れることで車両挙動が遅れると、操舵フィーリングが悪化することがある。
そこで、横加速度Gyが大きい場合には小さい場合よりも小さな第2ゲインG2を設定して転舵角補正値Ctを小さくすることにより、目標転舵角θtrの立ち上がりの遅延量を少なくしてもよい。
これにより、高い横加速度Gyが発生している状況における操舵フィーリングの悪化を防止できる。
横加速度Gyが大きい場合には小さい場合よりも第2ゲインG2が小さくなることによって、横加速度Gyが高いほど、目標転舵角θtrの立ち上がりの遅延量が少なくなっている。
(1)ゲイン乗算部48は、車両の車速Vvが高い場合には低い場合よりも大きくなる第1ゲインG1を設定し、速度偏差ΔVに第1ゲインG1を乗算して反力補正値Crを算出してよい。
これにより、高速走行時の走行安定性が高くなる。
これにより、大きな横加速度Gyが発生している状況での走行安定性が高くなる。
操向輪34のタイヤゴムの特性上、車速Vvが高くなるほど、操舵開始の直後における横力の変動が少なくなる。
車速Vvが高い場合には低い場合よりも小さな第2ゲインG2を設定することによって、車速Vvが高い場合において車両挙動が緩慢に感じられるのを防止できる。
高い横加速度Gyが発生している状況では、転舵角補正値Ctによって目標転舵角θtrの立ち上がりが遅れることで車両挙動が遅れると、操舵フィーリングが悪化することがある。
そこで、横加速度Gyが大きい場合には小さい場合よりも小さな第2ゲインG2を設定することにより、高い横加速度Gyが発生している状況における操舵フィーリングの悪化を防止できる。
Claims (7)
- 車両の操舵方法であって、
ステアリングホイールの操舵角を検出し、
検出された前記操舵角に応じて操向輪の目標転舵角を算出し、
前記操向輪の実際の転舵角である実転舵角を検出し、
前記実転舵角と前記目標転舵角とが一致するように前記操向輪を転舵し、
前記実転舵角、前記目標転舵角又は前記操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力の指令値である第1反力指令値を算出し、
前記車両の実際のヨーレイトである実ヨーレイトを検出し、
前記第1反力指令値の変化に応じた、前記車両の目標ヨーレイトの変化速度を算出し、
前記実ヨーレイトの変化速度と前記目標ヨーレイトの変化速度との差である速度偏差を算出し、
前記速度偏差に応じた反力補正値を前記第1反力指令値に加算して第2反力指令値を算出し、
前記第2反力指令値に応じた操舵反力を前記ステアリングホイールに付与する、
ことを特徴とする操舵方法。 - 前記車両の車速が高い場合には低い場合よりも大きくなる第1ゲインを設定し、
前記速度偏差に前記第1ゲインを乗算して前記反力補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操舵方法。 - 前記車両の横加速度が大きい場合には小さな場合よりも大きくなる第1ゲインを設定し、
前記速度偏差に前記第1ゲインを乗算して前記反力補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操舵方法。 - 前記検出された操舵角に応じて第1目標転舵角を算出し、
前記速度偏差に応じた転舵角補正値を前記第1目標転舵角から減算して得られる第2目標転舵角を、前記目標転舵角として算出する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の操舵方法。 - 前記車両の車速が高い場合には低い場合よりも小さくなる第2ゲインを設定し、
前記速度偏差に前記第2ゲインを乗算して前記転舵角補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の操舵方法。 - 前記車両の横加速度が大きい場合には小さな場合よりも小さくなる第2ゲインを設定し、
前記速度偏差に前記第2ゲインを乗算して前記転舵角補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の操舵方法。 - 車両の操舵装置であって、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサと、
操向輪の実際の転舵角である実転舵角を検出する転舵角センサと、
前記車両の実際のヨーレイトである実ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサと、
前記操向輪を転舵する転舵力を発生させる転舵アクチュエータと、
前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を発生させる反力アクチュエータと、
検出された前記操舵角に応じて前記操向輪の目標転舵角を算出し、前記実転舵角と前記目標転舵角とが一致するように前記転舵アクチュエータを制御し、前記実転舵角、前記目標転舵角又は前記操舵角に基づいて、前記操舵反力の指令値である第1反力指令値を算出し、前記第1反力指令値の変化に応じた、前記車両の目標ヨーレイトの変化速度を算出し、前記実ヨーレイトの変化速度と前記目標ヨーレイトの変化速度との差である速度偏差を算出し、前記速度偏差に応じた反力補正値を前記第1反力指令値に加算して第2反力指令値を算出し、前記第2反力指令値に応じた操舵反力を前記ステアリングホイールに付与するように前記反力アクチュエータを制御するコントローラと、
を備えることを特徴とする操舵装置。
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