JP7469629B2 - イオンクロマトグラフ装置 - Google Patents

イオンクロマトグラフ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7469629B2
JP7469629B2 JP2020079235A JP2020079235A JP7469629B2 JP 7469629 B2 JP7469629 B2 JP 7469629B2 JP 2020079235 A JP2020079235 A JP 2020079235A JP 2020079235 A JP2020079235 A JP 2020079235A JP 7469629 B2 JP7469629 B2 JP 7469629B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peak
ion
gluconate
sludge water
line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020079235A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021173686A (ja
Inventor
由季 後藤
哲也 里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKK TOA Corp
Original Assignee
DKK TOA Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DKK TOA Corp filed Critical DKK TOA Corp
Priority to JP2020079235A priority Critical patent/JP7469629B2/ja
Publication of JP2021173686A publication Critical patent/JP2021173686A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7469629B2 publication Critical patent/JP7469629B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

本発明は、レディーミクストコンクリートのスラッジ水に含まれるグルコン酸イオン濃度と硫酸イオン濃度を同時分析するイオンクロマトグラフ装置に関する。
レディーミクストコンクリート(以下「生コン」という。)の工場においては、廃棄物としてスラッジ水が発生する。スラッジ水は、コンクリートの洗浄排水から粗骨材及び細骨材を取り除いて回収した懸濁水である。
スラッジ水中にはすでに水和反応したセメントだけでなく、未水和のセメントも含まれているため、未水和のセメントの水和反応を抑制しておくことで、新しい生コンを製造する際のセメント分の一部として再利用することができる。
そこで、JIS A 5308 2019「レディーミクストコンクリート」では、一定の条件の下で、スラッジ水を練混ぜ水として使用することを認めている。
スラッジ水の再利用を促進することは、低炭素型社会を構築する上で極めて重要である。日本全体のCO排出量の約40%が建設産業に由来しており、このうちコンクリートの比率は20~30%である。コンクリートのCO原単位の大部分はセメントに由来するので、スラッジ水の再利用が促進されれば、コンクリート産業におけるCO排出量を大幅に削減できることになる。
スラッジ水の再利用にあたっては、スラッジ水に含まれる未水和のセメント量(セメントの活性度)を評価することが求められる。特許文献1では、硫酸イオン濃度を指標として、セメントの活性度を求めることが提案されている。
また、未水和のセメントの水和反応を抑制するために、安定剤(凝結遅延剤)としてグルコン酸ナトリウムをコンクリートに添加することが提案されている(非特許文献1)。
そのためスラッジ水を再利用するにあたっては、グルコン酸イオン濃度を測定することも求められている。
しかし、現時点において、硫酸イオン濃度及びグルコン酸イオン濃度を、生コン工場の現場において簡便に測定する方法は存在していない。
特許文献1によれば、近赤外分光分析計を使用すれば、硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の双方を測定可能であるとされている。
しかしながら、近赤外領域においては、グルコン酸イオンとピークが重なる夾雑物が多数存在するため、低濃度のグルコン酸イオンを近赤外分光分析計で定量することは困難であった。
特許第5462499号公報
セメント・コンクリート論文集(Cement Science and Concrete Technology)、Vol.66,2012、2013年2月25日、p22-27
本発明者らは、イオンクロマトグラフィーにより、硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の双方を生コン工場の現場において簡便に測定できる分析装置を提供できるのではないかと考えた。
しかし、スラッジ水に含まれるグルコン酸イオンは、硫酸イオンと比較して圧倒的に量が少ない。そのため、スラッジ水を硫酸イオン濃度が測定可能な希釈率で希釈してイオンクロマトグラフィーを行おうとするとグルコン酸イオン濃度を測定することが困難となった。一方、スラッジ水をグルコン酸イオン濃度が測定可能な希釈率で希釈してイオンクロマトグラフィーを行おうとすると硫酸イオン濃度を測定することが困難となることがわかった。
そこで、スラッジ水を、硫酸イオン測定に適した希釈率で希釈してクロマトグラフィーにより測定する機能と、グルコン酸イオン測定に適した希釈率で希釈してクロマトグラフィーにより測定する機能との双方を備えたイオンクロマトグラフ装置により、硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の双方を分析することを検討した。
しかし、その場合、少なくとも計量器等を、異なる希釈率に対応して複数設けなければならず、装置が大型化する。
また、複数のクロマトグラムを得るためには、1つの分離カラム等を、時間をずらして使用するか、複数の分離カラム等を使用することが必要となる。
前者の場合は、1つのスラッジ水の測定に長時間を要し、後者の場合は、装置が大型化する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生コンのスラッジ水を扱う現場で、簡易な装置で、スラッジ水に含まれる硫酸イオンとグルコン酸イオンを迅速に測定可能なイオンクロマトグラフ装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]レディーミクストコンクリートのスラッジ水に含まれるグルコン酸イオン濃度と硫酸イオン濃度を分析するイオンクロマトグラフ装置であって、
陰イオン交換樹脂が充填された分離カラムと、前記分離カラムに溶離液を通過させる溶離液ポンプと、スラッジ水を所定の希釈率で希釈して前記分離カラムに送られる溶離液中に供給する試料供給部と、前記分離カラムから流出した溶離液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出器と、演算制御装置を有し、
前記演算制御装置は、前記電気伝導率検出器の出力の経時変化を記憶してクロマトグラムを生成するクロマトグラム生成部と、得られた単一のクロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を含むデータ処理条件が記憶された記憶部と、少なくとも、前記記憶部に記憶されたグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件の更新情報を入力可能な条件更新手段と、
前記記憶部に記憶された、又は前記更新情報に従い更新された前記各算出条件に従い、前記クロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の双方を算出する演算部とを有することを特徴とする、イオンクロマトグラフ装置。
[2]前記算出条件が、少なくともベースラインの設定方法を含む、[1]に記載のイオンクロマトグラフ装置。
[3]前記演算制御装置は、更新の権限を付与された操作者にのみ、前記更新情報の入力を許可する、[1]又は[2]に記載のイオンクロマトグラフ装置。
本発明のイオンクロマトグラフ装置によれば、生コンのスラッジ水を扱う現場で、簡易な装置で、スラッジ水に含まれる硫酸イオンとグルコン酸イオンを迅速に測定することができる。
本発明の一実施形態に係るイオンクロマトグラフ装置とサンプリング装置の概略構成図である。 図1における希釈水計量器の構成図である。 図1における演算制御装置の概略構成図である。 実施例1で得られたクロマトグラムの全体図である。 実施例1で得られたクロマトグラムの部分拡大図である。 実施例2で得られたクロマトグラムの全体図である。 実施例2で得られたクロマトグラムの部分拡大図である。 実施例3で得られたクロマトグラムの全体図である。 実施例3で得られたクロマトグラムから濃度換算する際に用いた、標準液のクロマトグラムである。
[装置構成]
図1の分析装置100は、本発明の一実施形態に係るイオンクロマトグラフ装置である。本実施形態の分析装置100は、前処理部20と分析部60と演算制御装置90とで構成されている。取り扱いの便宜上、前処理部20と分析部60と演算制御装置90とは、1つの筐体に収容されていることが好ましい。
図1には、分析装置100と共に、分析装置100が分析するスラッジ水をサンプリングするサンプリング装置10も示している。
(サンプリング装置)
サンプリング装置10はサンプリング槽11とサンプリング槽11にスラッジ水を供給するスラッジ水採取ライン12と、サンプリング槽11の上流側においてスラッジ水採取ライン12に設けられた濾過装置13と、濾過装置13の上流側においてスラッジ水採取ライン12に設けられたサンプリングポンプ14とを有している。
また、サンプリング槽11に貯留されたスラッジ水や洗浄水をサンプリング槽11から排液するためのサンプリング槽排液ライン15を有しており、サンプリング槽排液ライン15には、サンプリング槽排液弁16が設けられている。また、サンプリング槽11に洗浄水を導入するための、図示を省略する洗浄機構が設けられている。
また、サンプリング槽11内のスラッジ水を測定するための濁度検出器17が設けられている。
濾過装置13の種類に限定はないが、固着性のあるスラッジ水を繰り返し濾過することができる、固液分離性の高い濾過装置が好ましい。例えば、クロスフロー式の濾過装置が好ましい。
濁度検出器17の種類に限定はないが、例えば、透過光式濁度計や、散乱光式濁度計等の公知の濁度計を使用できる。
(前処理部)
前処理部20は、受液槽21と、受液槽21の上流側に配置された第1フィルタ24及び第2フィルタ25と、受液槽21に収容されたスラッジ水の一定量を計量するスラッジ水計量器30と、希釈水を計量する希釈水計量器41と、希釈槽51とを有している。
希釈槽51には、スラッジ水計量器30で計量されたスラッジ水と希釈水計量器41で計量された希釈水とが導入されるようになっている。
サンプリング槽11と受液槽21との間には、スラッジ水導入ライン22が設けられている。また、スラッジ水導入ライン22には、上流側から順に、スラッジ水導入ポンプ23、第1フィルタ24、第2フィルタ25及びフィルタ洗浄用三方弁26が設けられている。なお、スラッジ水導入ライン22の上流側はフィルタ洗浄用三方弁26の共通ポートに、スラッジ水導入ライン22の下流側はフィルタ洗浄用三方弁26の常開ポートに接続している。
また、受液槽21に導入されたスラッジ水を受液槽21からオーバーフローさせるためのオーバーフローライン27が設けられていると共に、受液槽21に貯留されたスラッジ水や洗浄水を受液槽21から排液するための受液槽排液ライン28が設けられている。受液槽排液ライン28には、受液槽排液弁29が設けられている。
オーバーフローライン27と受液槽排液ライン28の下流端はドレン80に接続されている。
また、受液槽21には、スラッジ水計量用上流側ライン34の上流端が挿入されている。受液槽21には、濾過されたスラッジ水が導入されるが、濾過後にも沈殿物や表面析出物が生じる恐れがあるため、スラッジ水計量用上流側ライン34の上流端は、受液槽21の中央付近に挿入されている。
第1フィルタ24と第2フィルタ25とは、上流側の第1フィルタ24の方が目が粗く(分画特性が大きく)、下流側の第2フィルタ25の方が目が細かい(分画特性が小さい)ものが使用される。
例えば第1フィルタ24には、分画特性が70μm程度のものが好適に使用される。第2フィルタ25には、分画特性が0.1μm程度のものが好適に使用される。第1フィルタ24としては、保守管理が容易となることから、カートリッジタイプのものを使用することが好ましい。また、第2フィルタ25としては、例えば、中空糸膜型フィルタを使用することができる。
スラッジ水計量器30は、第1三方弁31及び第2三方弁32と、両端が、これら第1三方弁31及び第2三方弁32の各々の共通ポートに接続したスラッジ水計量管33とで構成されている。
スラッジ水計量器30の第1三方弁31の常開ポートには、スラッジ水計量用上流側ライン34の下流端が接続されている。スラッジ水計量器30の第2三方弁32の常開ポートには、スラッジ水計量用下流側ライン35の上流端が接続されている。
また、スラッジ水計量用下流側ライン35には、スラッジ水計量用ポンプ36が設けられている。
希釈水計量器41は、図2に示すように、計量容器46とこの計量容器46に接続された第1から第4の常閉弁とで構成されている。第1の常閉弁47aと第4の常閉弁47dは、計量容器46の下方に接続されている。第2の常閉弁47bと第3の常閉弁47cは、計量容器46の上方に接続されている。
希釈水計量器41の第1の常閉弁47aには、純水槽40から希釈水として純水を導入するための希釈水計量用上流側ライン42が接続されている。また、希釈水計量器41の第2の常閉弁47bには、希釈水計量用下流側ライン43が接続されている。希釈水計量用下流側ライン43はドレン80に接続されている。
なお、図1では、希釈水計量用上流側ライン42を希釈水計量器41の上側に、希釈水計量用下流側ライン43を希釈水計量器41の下側に接続する位置に示したが図示の便宜上のものである。
希釈水計量用上流側ライン42には、純水用ポンプ44と希釈水用常開弁45が設けられている。
また、希釈水計量器41の第3の常閉弁47cには計装エアを導入するための加圧ライン54が接続されている。加圧ライン54には、空気量を調整するためのニードル弁55が設けられている。
また、希釈水計量器41の第4の常閉弁47dには、希釈用上流側ライン52の上流端が接続されている。希釈用上流側ライン52の下流端は、スラッジ水計量器30の第2三方弁32の常閉ポートに接続している。また、スラッジ水計量器30の第1三方弁31の常閉ポートには、希釈槽51に至る希釈用下流側ライン53が接続している。
希釈槽51には、攪拌装置58が設けられている。また、攪拌装置58で攪拌して得られた希釈試料を、分析部60に移送するための試料注入用上流側ライン71の上流端が挿入されている。
試料注入用上流側ライン71の上流端は、沈殿物や表面析出物を避けるため、希釈槽51の底部よりも、やや上方にまで挿入されている。
希釈槽51内には、ドレン80に接続する希釈槽排液ライン56が挿入されている。希釈槽排液ライン56には希釈槽排液ポンプ57が設けられており、希釈槽排液ポンプ57を動作させることにより、希釈槽51内の液を吸い上げて排液できるようになっている。
また、オーバーフローライン59が設けられている。
また、希釈水計量用上流側ライン42の純水用ポンプ44より下流側には、受液槽洗浄ライン81と希釈槽洗浄ライン83とフィルタ洗浄ライン85とが分岐して接続されている。
受液槽洗浄ライン81の終端は受液槽21に挿入されている。受液槽洗浄ライン81には受液槽洗浄用常閉弁82が設けられている。
また、希釈槽洗浄ライン83の終端は希釈槽51に挿入されている。希釈槽洗浄ライン83には希釈槽洗浄用弁84が設けられている。
また、フィルタ洗浄ライン85の終端はフィルタ洗浄用三方弁26の常閉ポートに接続されている。フィルタ洗浄ライン85には、フィルタ洗浄用常閉弁86と洗浄用フィルタ87が設けられている。洗浄用フィルタ87としては、第2フィルタ25と同等の分画特性の物を使用することが好ましい。
(分析部)
分析部60には、分析用ライン63と試料注入用上流側ライン71と試料注入用下流側ライン72が設けられている。
分析用ライン63は、溶離液タンク61から廃液タンク62に至るラインで、溶離液タンク61側から順に、脱気装置64、溶離液ポンプ65。六方バルブ66、ガードカラム67、分離カラム68、及び電気伝導率検出器69が設けられている。
また、分析用ライン63に設けられたガードカラム67、分析用ライン63、及び電気伝導率検出器69は、恒温槽70に収容されている。
なお、電気伝導率検出器69には特に安定した温度制御が求められるため、電気伝導率検出器69の検出セルに、追加的な温度調節機能を持たせてもよい。
分離カラム68は、陰イオン交換樹脂が充填されたカラムである。陰イオン交換樹脂が有するイオン交換基としては第4級アンモニウム基が好ましい。第4級アンモニウム基としては、ジエチルアミノプロピル基、ジエチルアミノエチル基等が挙げられる。
なお、ガードカラム67は、予期せずに混入した固形分や不純物等から、分離カラム68をガードする役割を担っている。
六方バルブ66の6つのポートの内2つには、分析用ライン63の上流側と下流側が各々接続されている。
六方バルブ66の他の2つのポートには、試料注入用上流側ライン71と試料注入用下流側ライン72が各々接続されている。試料注入用上流側ライン71は、希釈槽51から六方バルブ66に至るラインであり、試料注入用下流側ライン72は六方バルブ66から廃液タンク62に至るラインである。試料注入用下流側ライン72には、試料注入用ポンプ74が設けられている。
また、六方バルブ66の残りの2つのポートには、試料計量管73の上流端と下流端が各々接続している。
本実施形態では、六方バルブ66、試料注入用上流側ライン71、試料注入用下流側ライン72及び試料注入用ポンプ74で試料注入部が構成されている。
また、この試料注入部と前処理部20とで、本発明における試料供給部が構成されている。
電気伝導率検出器69で検出された電気伝導率は、演算制御装置90に出力されるようになっている。なお、分離カラム68と電気伝導率検出器69との間に、サプレッサーカラムを設けてもよい。
(演算制御装置)
演算制御装置90は、電気伝導率検出器69によって得られる単一のクロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積と、硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の双方を求めるようになっている。さらに、本実施形態の分析装置100では、演算制御装置90が、求めた各面積から、各イオンの濃度を算出するようになっている。
演算制御装置90は、また、前処理部20と分析部60の動作を制御するようになっている。さらに、サンプリング装置10に信号を出力することにより、サンプリング装置10の動作を制御するようになっている。
図3に、演算制御装置90のデータ処理に関与する構成のみを示す。図3に示す様に、演算制御装置90は、クロマトグラム生成部91と記憶部92と条件更新手段93と演算部94を有している。
クロマトグラム生成部91は、電気伝導率検出器69の出力を時々刻々取得し、その経時変化を記憶してクロマトグラムを生成する機能を有する。
演算部94は、記憶部92に記憶されたデータ処理条件に従い、クロマトグラム生成部91によって生成されたクロマトグラムをデータ処理するようになっている。
記憶部92に記憶されるデータ処理条件には、少なくとも、クロマトグラム生成部91によって生成された単一のクロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件が含まれる。
条件更新手段93は、記憶部92に記憶されたデータ処理条件の更新情報を入力可能な手段である。
更新情報には、記憶部92に記憶されたデータ処理条件の内、少なくともグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件に関する更新情報が含まれる。
更新情報には、記憶部92に記憶されたデータ処理条件の内、硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件に関する更新情報が含まれていても差し支えないが、含まれない方が好ましい。硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を更新不可として固定することにより、データ処理のプログラムを簡略化できる。
条件更新手段93としては、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力手段が挙げられる。
記憶部が記憶する各イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
・保持時間許容幅
・ベースラインの設定方法
・半値幅係数
・極性反転の要否
記憶部が記憶するその他のデータ処理条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
・解析時間
・検出微分値
・移動平均回数
・検量線情報
保持時間許容幅とは、検出したピークを該当イオンのピークであると同定することができる標準保持時間(標準液のリテンションタイム)を中心とする許容範囲の幅である。
なお、保持時間許容幅内に複数のピークが存在する場合は、標準保持時間に最も近いピークを該当イオンのピークであると同定することができる。
ベースラインの設定方法とは、近接ピークを考慮した該当ピークのベースラインの設定方法である。代表的なベースラインの設定方法としては、谷渡り法と垂直分割法とがある。
谷渡り法は、該当ピークの開始/終了位置を結んでベースラインとする方法である。該当ピークの開始/終了位置は、後述の検出微分値によって決まるが、該当ピークが隣接するピークと重なっている場合、該当ピークの開始/終了位置は、該当ピークと隣接するピークとに挟まれた谷の位置又はその谷に近接した位置となる。その結果、谷と谷とを結ぶようにベースラインを引くことになるため、谷渡り法と呼ばれている。
垂直分割法は、該当ピークの開始位置と該当ピークの右側において重なるピークの終了位置とを結んだ線、又は、該当ピークの左側において重なるピークの開始位置と該当ピークの終了位置とを結んだ線を仮のベースラインとし、その後、後述の半値幅係数にしたがって、ベースラインを決定する方法である。
該当ピークとこの該当ピークと重なるピークとは、これらに挟まれた谷の部分を通る垂線によって分割される。
半値幅係数とは、垂直分割法において、ベースラインを決定するための係数である。すなわち、該当ピークの開始/終了位置は、真のベースラインのやや上側となることが多いため、半値幅の半値幅係数倍の位置における電気伝導率検出器69の出力をベースラインとする。
ここで半値幅は、前記仮のベースラインに対するピーク高さの1/2の高さにおけるピークの幅である。
2つの重なるピークの内、左側のピークの半値幅t1は、そのピークトップから仮のベースラインに下ろした垂線の左側における半値幅である。右側のピークの半値幅t2は、そのピークトップから仮のベースラインに下ろした垂線の右側における半値幅である。
左側のピークのピークトップの位置から半値幅t1の半値幅係数倍左側の電気伝導率検出器69の出力と、右側のピークのピークトップの位置から半値幅t2の半値幅係数倍右側の電気伝導率検出器69の出力とを結んだ線を、真のベースラインとする。
なお、独立したピークのベースラインは、該当ピークの開始位置と終了位置とを結んだ線を仮のベースラインとし、仮のベースラインに対して、該当ピークのピークトップから下ろした垂線の左側の半値幅をt1、右側の半値幅をt2とする。
該当ピークのピークトップの位置から半値幅t1の半値幅係数倍左側の電気伝導率検出器69の出力と、該当ピークのピークトップの位置から半値幅t2の半値幅係数倍右側の電気伝導率検出器69の出力とを結んだ線を、真のベースラインとする。
極性反転とは、溶離液の条件等によって、マイナス側に現れるピークの極性を反転させることを意味する。すなわち、溶離液の電気伝導率よりグルコン酸イオンや硫酸イオンの電気伝導率が小さい場合にはピークがマイナス側に現れる。グルコン酸イオン及び硫酸イオンの何れか、あるいは両方のピークがマイナス側に現れた場合、極性を反転させる始まりと終わりの時間を設定することで面積を求めることができる機能をいう。
解析時間とは、測定成分の検出を開始、終了する時間である。本実施形態の分析装置100では、分離カラム68から、まずグルコン酸イオンが流出し、次いで硫酸イオンが流出するので、測定成分の検出を開始する時間は、グルコン酸イオンの流出が開始される前に設定される。また、測定成分の検出を終了する時間は、硫酸イオンの流出が実質的に終了する後に設定される。
検出微分値とは、ピークの開始/終了位置とするスロープの傾きである。標準液の検出微分値とサンプルの検出微分値のそれぞれを設定することができる。標準液の検出微分値は、条件が緩和された値(大きい値)の方が、確実に検知できる。標準液は不純物を含まないため、確実に測定対象の成分を検知できるためである。
移動平均回数は、ベースラインの揺らぎを平滑化するために取得するデータの数nで、n回(移動平均回数)分のデータの移動平均を、その時点の値とする。
検量線情報は、ピーク面積を該当イオンの濃度に変換するための情報で、標準液濃度、標準液を分析した際のピーク面積等が含まれる。
[分析動作]
本実施形態の分析装置100では、スラッジ水を前処理部20に導入する前に、サンプリング装置10で粗い濾過を行う。
具体的には、分析装置100の演算制御装置90が、サンプリング装置10のサンプリングポンプ14に動作開始の信号を送る。これにより、レディーミクストコンクリート(生コン)のスラッジ水が濾過装置13で濾過された後にサンプリング槽11に貯留される。
濾過装置13で濾過されたスラッジ水がサンプリング槽11に貯留されると、演算制御装置90は、スラッジ水導入ポンプ23を動作させることにより、受液槽21へのスラッジ水の導入を開始する。
なお、受液槽21に必要量のスラッジ水を導入した後に、サンプリング槽11に残ったスラッジ水はサンプリング槽排液弁16を開として排液し、その後、サンプリング槽11内の洗浄を行う。
フィルタ洗浄用三方弁26をOFFの状態(常開ポートが開)としてスラッジ水導入ポンプ23を動作させることにより、サンプリング槽11から導入されたスラッジ水が、第1フィルタ24及び第2フィルタ25により順次濾過された後に、受液槽21に導入される。
受液槽21には、オーバーフローライン27から、スラッジ水が流出して表面析出物を排出できるように、充分な量のスラッジ水を導入する。
次いで、スラッジ水計量用ポンプ36を動作させることにより、受液槽21内のスラッジ水を、スラッジ水計量器30を通過するように吸引し、余剰分をスラッジ水計量用下流側ライン35から排液する。これにより、スラッジ水計量管33に、スラッジ水を充填する。
スラッジ水計量管33にスラッジ水を充填した後に、受液槽21に残ったスラッジ水は受液槽排液弁29を開として排液し、その後、受液槽21内の洗浄を行う。
受液槽21への洗浄水の導入は、希釈水用常開弁45を閉とし、受液槽洗浄用常閉弁82を開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。
また、必要に応じて、第1フィルタ24と第2フィルタ25の洗浄を行う。第1フィルタ24と第2フィルタ25の洗浄は、希釈水用常開弁45を閉とし、希釈槽洗浄用弁84を開とし、フィルタ洗浄用三方弁26の常閉ポートを開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。これにより、第1フィルタ24と第2フィルタ25とを、洗浄用フィルタ87で濾過した純水で逆洗浄できる。
また、スラッジ水計量管33にスラッジ水を充填するのと同時に、又は充填するのと前後して、希釈水を希釈水計量器41の計量容器46に充填する。
計量容器46への希釈水の充填は、希釈水用常開弁45をOFF(開状態)のまま第1の常閉弁47a及び第2の常閉弁47bを開として純水用ポンプ44を動作させることで、純水槽40内の純水を、希釈水計量器41を下方から上方に通過させることにより行う。
なお、余剰の純水は希釈水計量用下流側ライン43から排液する。
スラッジ水計量管33へのスラッジ水の充填と計量容器46への希釈水の充填が終わった後、希釈水計量器41の第3の常閉弁と第4の常閉弁を開として、かつ、第1三方弁31と第2三方弁32の常閉ポートを開として、加圧ライン54から計装エアを導入する。
これにより、希釈水計量器41の計量容器内の希釈水と、スラッジ水計量器30のスラッジ水計量管33内のスラッジ水が押し出され、希釈槽51に導入される。
希釈槽51に導入したスラッジ水と希釈水とは、攪拌装置58で充分に混合することによって希釈試料となる。
なお、スラッジ水の希釈試料を得るための希釈率に特に限定はないが、スラッジ水の組成や、分析部60におる分析条件を踏まえ、硫酸イオンに対応するピークが振り切れない範囲で、できるだけ、低倍率で希釈することが好ましい。
例えば、スラッジ水計量器30において、スラッジ水5mLを計量し、希釈水計量器41において希釈水20mLを計量すれば、5倍希釈した希釈試料が得られる。
希釈試料の溶離液中への注入は、以下に説明する手順で行う。
まず、六方バルブ66を、試料注入用上流側ライン71と試料計量管73と試料注入用下流側ライン72とが連通するように切り替えて、試料注入用ポンプ74を動作させる。
これにより、試料計量管73に一定量の希釈試料が充填される。
試料計量管73に一定量の希釈試料が充填された後は、試料注入用ポンプ74を停止し、希釈槽51内に残った希釈試料は、希釈槽排液ポンプ57により排液し、その後、希釈槽51内の洗浄を行う。
希釈槽51への洗浄水の導入は、希釈水用常開弁45を閉とし、希釈槽洗浄用弁84を開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。
次に、六方バルブ66を切り替えて、試料計量管73が分析用ライン63の上流側と下流側の間に挟まれるようにすると、溶離液ポンプ65により分析用ライン63を流れる溶離液の中に、計量された希釈試料が注入される。
注入された希釈試料は、分析用ライン63の溶離液の流れに乗って、ガードカラム67、次いで分離カラム68を通過する。
そして、分離カラム68を通過する間に成分が分離され、まずグルコン酸イオンが流出し、次いで硫酸イオンが流出する。流出した成分は、電気伝導率の変化として電気伝導率検出器69で検知される。
[データ処理]
演算部94は、クロマトグラム生成部91で生成されたクロマトグラムを、記憶部92に記憶されたデータ処理条件に従い処理し、単一のクロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の双方を算出する。
条件更新手段93により、更新情報が入力され、記憶部92に記憶された各算出条件のいずれか又は両方が更新された場合には、更新された各算出条件に従い、クロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の双方を算出する。
本実施形態では、演算制御装置90は、更新の権限を付与された操作者にのみ、更新情報の入力を許可する。許可は、例えば、予め設定されたパスワードその他の認証情報により行われる。
本実施形態の演算制御装置90の演算部94は、また、求めたピーク面積と検量線情報に基づき、該当イオンの濃度を算出する。
演算部94は、求めた各イオンに対応するピークのピーク面積、及び各ピーク面積から換算した各イオン濃度の一方又は両方を、外部の制御装置等に出力する。
[作用機序]
本発明者らは、グルコン酸イオンに対応するピークに、他の共存成分のピークが重なりやすいこと、一方、重なり状況は、各生コン工場の現場毎に異なるものの、同じ現場では、原料調達方法等を大きく変更したなどの事情がなければ、それほど大きく変動しない状況が継続することを確認した。
一方、硫酸イオンは、濃度が高いため、そのピーク面積を算出するにあたり、他のピークとの重なり状況をあまり考慮する必要がないことを確認した。
本実施形態の分析装置100によれば、硫酸イオンを同時に検出可能な希釈率であっても、単一のクロマトグラムに基づき、硫酸イオンと共に、濃度の低いグルコン酸イオンを、実用上問題のない精度で算出できる。
これは、共存成分の影響を受けやすいグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を可変として、その現場の状況に応じてグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積を算出するようにしたためである。
[その他の態様]
本実施形態では、分析装置100全体の動作制御とデータ処理の総てを分析装置100内の演算制御装置90が行う態様としたが、分析装置100内の演算制御装置90の機能の一部又は全部は、直接又は通信システムを利用して接続された外部コンピュータに担わせてもよい。
その場合、その機能を達成するためのプログラムは、予めコンピュータに記録されていてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませてもよい。
また、予めコンピュータに記録されているプログラムと、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませるプログラムとを組み合わせてもよい。
したがって、演算部94が、各イオンに対応するピークのピーク面積だけでなく、各イオンの濃度を算出することは必須ではない。
外部の制御装置は、演算部94からグルコン酸イオンや硫酸イオンの濃度を受領すれば、当該濃度が所定の範囲となるように、スラッジ水へのグルコン酸イオンの添加量等を制御できる。
また、演算部94からグルコン酸イオンや硫酸イオンに対応する面積を受領すれば、当該面積を自ら、濃度に換算し、スラッジ水へのグルコン酸イオンの添加量等を制御できる。
また、更新情報の入力の権限に制限を設けることは必須ではない。
また、前処理部20や分析部60の具体的な構成や動作手順に特に限定はなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更が可能である。
[装置構成]
各実施例には、以下の装置を用いた。
(分離カラム)
内径(I.D.):4.6mm
長さ(L):100mm
充填基材:第4級アンモニウム基を有するポリヒドロキシメタクリレート、粒径5μm
(ガードカラム)
内径(I.D.):4.6mm
長さ(L):10mm
充填基材:第4級アンモニウム基を有するポリヒドロキシメタクリレート、粒径5μm
(検出器)
電気伝導率検出器
[溶離液]
各実施例には、以下の溶離液を用いた。
クエン酸の4mMとβ-アラニンの16mMを含む、10vol%エタノール溶液
[分析条件]
溶離液流量:1.0mL/分
サンプル注入量:20μL
ガードカラム及び分離カラムの温度:37℃
検出器の温度:40℃
[実施例1]
下記のサンプルを、ガードカラムを介して分離カラムに注入して分析した。
(サンプル)
混和剤(BASF社製、マスターセット110LCN)を、セメント重量(固形分)に対して0.05質量%添加したセメントのスラッジ水(ただし、採取後24時間以上が経過し、混和剤に含有されていたグルコン酸は、総て消費されていると考えられるもの。)の1mLに、グルコン酸ナトリウムをグルコン酸イオン換算で10mg添加し、水を加えて1Lとしたもの。
得られたクロマトグラムの全体図を図4に部分拡大図を図5に示す。図4、図5において、GLAと記載されたピークが、グルコン酸イオンに対応するピーク、SO4と記載されたピークが硫酸イオンに対応するピークである。
図5に示す様に、本実施例におけるグルコン酸イオンに対応するピークの面積は、垂直分割法により求めた。
図5では、グルコン酸イオンに対応するピークと重なっている左側のピーク(unknown)の開始位置(検出微分値:10μV)とグルコン酸イオンに対応するピークの終了位置(検出微分値:10μV)とを結んだ線を仮のベースライン(図示を省略)としている。
なお、左側のピーク(unknown)は、混和剤に含まれていた、グルコン酸ナトリウム以外の成分に基づくピークであると考えられる。
Xは、この仮のベースラインに対して、グルコン酸イオンに対応するピークのピークトップから下ろした垂線である。
tは、この垂線Xの1/2高さにおける半値幅で、t2は、垂線Xの右側における半値幅である。また、Yは、半値幅係数を2としてグルコン酸イオンに対応するピークの終了位置を再設定し、左側のピーク(unknown)の開始位置は、そのさらに左側のピークとの間の谷部分とした際のベースラインである。
また、Zは、グルコン酸イオンに対応するピークとその左側のピーク(unknown)との谷の部分を通る垂線である。
図5におけるグルコン酸イオンに対応するピークの面積は、ベースラインYと、垂線Zとピークラインに囲まれた部分の面積として求められた。
なお、クロマトグラム解析にあたり、他の条件は、以下の通りとした。
・保持時間許容幅:グルコン酸イオン9%、硫酸イオン9%
・極性反転の要否:否
・解析時間:グルコン酸イオン1.5~3.0分、硫酸イオン11~17分
・移動平均回数:17回
[実施例2]
下記のサンプルを、ガードカラムを介して分離カラムに注入して分析した。
(サンプル)
混和剤(竹本油脂社製チューポールHP11R(高性能),BASF製グレニウム(高性能),BASF製マスターAE減水剤,フローリック社製フローリックRV AE剤 (フローリック),シーカ社製シーカメント1100NTR(高性能)の各々等量を混合したもの)を、セメント重量(固形分)に対して2.5質量%添加したセメントのスラッジ水(ただし、採取後24時間以上が経過し、混和剤に含有されていたグルコン酸は、総て消費されていると考えられるもの。)の100mLに、グルコン酸ナトリウムをグルコン酸イオン換算で10mg添加し、水を加えて1Lとしたもの。
得られたクロマトグラムの全体図を図6に部分拡大図を図7に示す。図6、図7において、GLAと記載されたピークが、グルコン酸イオンに対応するピーク、SO4と記載されたピークが硫酸イオンに対応するピークである。
図7に示す様に、本実施例におけるグルコン酸イオンに対応するピークの面積は、谷渡り法により求めた。
図7では、グルコン酸イオンに対応するピークとその左側で重なっているピーク(unknown)との谷の部分とグルコン酸イオンに対応するピークの終了位置(検出微分値:10μV)とを結んだ線をベースラインYとしている。
図7におけるグルコン酸イオンに対応するピークの面積は、ベースラインYと、ピークラインに囲まれた部分の面積として求められた。
なお、クロマトグラム解析にあたり、他の条件は、以下の通りとした。
・保持時間許容幅:グルコン酸イオン9%,硫酸イオン9%
・解析時間:グルコン酸イオン2.0~3.0分,硫酸イオン12~16分
・移動平均回数:17回
[実施例3]
下記のサンプルと下記の標準液を、図1に示すサンプリング装置10と前処理部20により、濾過した後に10倍に希釈してから、ガードカラムに注入して分析した。
(サンプル)
グルコン酸イオンを含む混和剤(BASF社製、マスターポリヒード)を、グルコン酸イオン濃度が75mg/Lとなるような管理条件で添加されているスラッジ水。
(標準液)
グルコン酸ナトリウムをグルコン酸イオン換算で10mg/L、硫酸ナトリウムを硫酸イオン換算で180mg/L含む水溶液。
得られたクロマトグラムの全体図を図8に示す。また、標準液のクロマトグラムを図9に示す。
図8、図9において、GLAと記載されたピークが、グルコン酸イオンに対応するピーク、SO4と記載されたピークが硫酸イオンに対応するピークである。
図8、図9では、グルコン酸イオンに対応するピークの面積を谷渡り法により求めた。
具体的には、グルコン酸イオンに対応するピークとその左側で重なっているピークとの谷の部分とグルコン酸イオンに対応するピークの終了位置(検出微分値:10μV)とを結んだ線をベースラインとする谷渡り法により、ベースラインYと、ピークラインに囲まれた部分の面積として求められた。
また、硫酸イオンに対応する面積は、ピークの開始位置と終了位置(検出微分値:20μV)を結ぶ線をベースラインとして求めた。
なお、クロマトグラム解析にあたり、他の条件は、以下の通りとした。
・保持時間許容幅:グルコン酸イオン9%,硫酸イオン9%
・解析時間:グルコン酸イオン2.0~3.0分,硫酸イオン11~17分
・・移動平均回数:17回
図8、図9の各々において求めたグルコン酸イオンに対応するピークの面積は下記のとおりであった。
図8:20647
図9:31691
この結果から、サンプル中のグルコン酸イオン濃度は、65.15mg/L(=100×20647/31691)と求められた。
また、図8、図9の各々において求めた硫酸イオンに対応するピークの面積は下記のとおりであった。
図8:4260436
図9:12607910
この結果から、サンプル中の硫酸イオン濃度は、608.25mg/L(=180×4260436/12607910)と求められた。
なお、求めたサンプル中のグルコン酸イオン濃度が、65.15mg/Lと管理値の75mg/Lより若干低いのは、濾過や希釈等の前処理を行っている間に、スラッジ水中のグルコン酸イオンが消費されるためであると考えられる。
10 サンプリング装置
20 前処理部
21 受液槽
30 スラッジ水計量器
36 スラッジ水計量用ポンプ
41 希釈水計量器
44 純水用ポンプ
51 希釈槽
60 分析部
65 溶離液ポンプ
66 六方バルブ
68 分離カラム
69 電気伝導率検出器
74 試料注入用ポンプ
90 演算制御装置
91 クロマトグラム生成部
92 記憶部
93 条件更新手段
94 演算部
100 分析装置

Claims (3)

  1. レディーミクストコンクリートのスラッジ水に含まれるグルコン酸イオン濃度と硫酸イオン濃度を分析するイオンクロマトグラフ装置であって、
    陰イオン交換樹脂が充填された分離カラムと、前記分離カラムに溶離液を通過させる溶離液ポンプと、スラッジ水を所定の希釈率で希釈して前記分離カラムに送られる溶離液中に供給する試料供給部と、前記分離カラムから流出した溶離液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出器と、演算制御装置を有し、
    前記演算制御装置は、前記電気伝導率検出器の出力の経時変化を記憶してクロマトグラムを生成するクロマトグラム生成部と、得られた単一のクロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を含むデータ処理条件が記憶された記憶部と、少なくとも、記記憶部に記憶されたグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を含み、前記記憶部に記憶された硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の算出条件を含まない更新情報を入力可能な条件更新手段と、
    前記記憶部に記憶された、又は前記更新情報に従い更新された前記各算出条件に従い、前記クロマトグラム中のグルコン酸イオンに対応するピークのピーク面積、及び硫酸イオンに対応するピークのピーク面積の双方を算出する演算部とを有することを特徴とする、イオンクロマトグラフ装置。
  2. 前記算出条件が、少なくともベースラインの設定方法を含む、請求項1に記載のイオンクロマトグラフ装置。
  3. 前記演算制御装置は、更新の権限を付与された操作者にのみ、前記更新情報の入力を許可する、請求項1又は2に記載のイオンクロマトグラフ装置。
JP2020079235A 2020-04-28 2020-04-28 イオンクロマトグラフ装置 Active JP7469629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079235A JP7469629B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 イオンクロマトグラフ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079235A JP7469629B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 イオンクロマトグラフ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021173686A JP2021173686A (ja) 2021-11-01
JP7469629B2 true JP7469629B2 (ja) 2024-04-17

Family

ID=78281556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020079235A Active JP7469629B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 イオンクロマトグラフ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7469629B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003149222A (ja) 2001-11-09 2003-05-21 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 三酸化硫黄の定量方法
JP2006125918A (ja) 2004-10-27 2006-05-18 Shimadzu Corp 分析機器管理装置
JP2009236739A (ja) 2008-03-27 2009-10-15 Nichiri Kogyo Kk 電気伝導度検出装置
JP2013195139A (ja) 2012-03-16 2013-09-30 Arkray Inc 分析装置、分析プログラム及び分析方法
JP2014134385A (ja) 2013-01-08 2014-07-24 Shimadzu Corp クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
WO2015049799A1 (ja) 2013-10-04 2015-04-09 株式会社島津製作所 波形データ処理装置及び波形データ処理用プログラム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003149222A (ja) 2001-11-09 2003-05-21 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 三酸化硫黄の定量方法
JP2006125918A (ja) 2004-10-27 2006-05-18 Shimadzu Corp 分析機器管理装置
JP2009236739A (ja) 2008-03-27 2009-10-15 Nichiri Kogyo Kk 電気伝導度検出装置
JP2013195139A (ja) 2012-03-16 2013-09-30 Arkray Inc 分析装置、分析プログラム及び分析方法
JP2014134385A (ja) 2013-01-08 2014-07-24 Shimadzu Corp クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
WO2015049799A1 (ja) 2013-10-04 2015-04-09 株式会社島津製作所 波形データ処理装置及び波形データ処理用プログラム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山口哲矢 他,安定化スラッジ水の自動管理に関する研究,月間コンクリートテクノ,32巻8号,セメント新聞社,2013年,36-41

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021173686A (ja) 2021-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3712795A (en) Method for sampling plant fluids
DE69734912T2 (de) System zur Probenabgabe zur Verwendung in Verfahren chemischer Analyse, welches unter Druck stehendes Gas zum Probentransport verwendet
CN108120790A (zh) 同时在线分析水样中微量硫离子和氯离子的低压阴离子交换色谱-光度比浊法
US20230093403A1 (en) Method and system for separating and analyzing multiphase immiscible fluid mixtures
US20230086247A1 (en) System and Method for Separating and In-Situ Analyzing A Multiphase Immiscible Fluid Mixture
CN105784883A (zh) 一种在线样品稀释试验装置
JP7469629B2 (ja) イオンクロマトグラフ装置
DE10228912C1 (de) Ionenmobilitätsspektrometer mit GC-Säule und internem geregeltem Gaskreislauf
CN203929784U (zh) 在线自动水质分析装置
US3109713A (en) Liquid analysis apparatus with closed flow cell
CN101000291B (zh) 一种光学连续水质分析***
JP7485923B2 (ja) スラッジ水分析装置
JP7469630B2 (ja) スラッジ水分析装置
JPH04138354A (ja) プロセス液体クロマトグラフ
DE10024947B4 (de) Verfahren und Vorrichtung zur Messung von SO2 in Wein
CN200989865Y (zh) 一种光学连续水质分析***
DE2952343A1 (de) Verfahren und vorrichtung zur bestimmung des sauerstoffverbrauchs in belebungsbecken
DE802104C (de) Verfahren zur Bestimmung von Bestandteilen in Gasgemischen mittels Strahlungsabsorption
JP2003202331A (ja) オンライン分析装置
CN205620363U (zh) 一种在线样品稀释试验装置
JP7481620B2 (ja) 溶離液およびスラッジ水の分析方法
JPH0231156A (ja) 金属成分分析システム
DE102019118171A1 (de) Verfahren zum Betreiben eines automatischen Analysegeräts und ein automatisches Analysegerät
JP7518367B2 (ja) 溶離液およびスラッジ水の分析方法
CN110208200A (zh) 一种四、六价铀的同时在线测量***

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7469629

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150