以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための画像検査装置及び画像形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の形状、その相対的配置、パラメータの値等は特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
実施形態に係る画像検査装置は、見本に対応する良品画像と、検査対象物を撮像した検査画像を比較して、検査対象物の欠陥を検出する装置である。
実施形態では、検査対象物の検査画像を撮像し、検査画像を複数の領域に分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第1処理画像、或いは位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第1処理画像とは異なる複数の領域に検査画像を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第2処理画像、の少なくとも一方を用いて、第1分割画像を生成する。そして第1分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第1欠陥候補領域を抽出する。これにより人間が無意識に正常状態との違いを認識するメカニズムを利用して、検査画像における第1欠陥候補領域を高速且つ高感度に抽出する。
また実施形態では、検査画像の比較対象となる良品画像を複数の領域に分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第3処理画像、或いは位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第3処理画像とは異なる複数の領域に良品画像を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第4処理画像、の少なくとも一方を用いて、第2分割画像を生成する。そして第2分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における輝度値を比較し、第2欠陥候補領域を抽出する。これにより人間が無意識に正常状態との違いを認識するメカニズムを利用して、良品画像における第2欠陥候補領域を高速且つ高感度に抽出する。
さらに実施形態では、第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域を比較し、欠陥領域を検出する。例えば、第1欠陥候補領域にあって第2欠陥候補領域にない第1欠陥領域、又は第2欠陥候補領域にあって第1欠陥候補領域にない第2欠陥領域の少なくとも一方を検出する。
これにより、良品画像に無いはずのものが検査画像にある「ポジティブ欠陥」を第1欠陥領域として検出し、また良品画像にあるはずのものが欠けている「ネガティブ欠陥」を第2欠陥領域として検出し、あるべき良品の特徴が検査対象物にないという欠陥についても検出可能にする。
以下では、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)等の画像形成装置に、実施形態に係る画像検査装置を適用し、用紙等の記録媒体に印刷される印刷画像の欠陥を検出する場合を一例として説明する。
なお、実施形態の用語における画像形成と印刷は同義であるとする。また実施形態では、画像形成装置が記録媒体に形成した印刷画像を検査対象物の一例とし、印刷画像の比較対象となる良品画像を良品の一例として説明する。
実施形態の用語において、印刷画像は、記録媒体上に形成(印刷)されたトナー画像を意味する。一方、検査画像は、撮像部が撮像した電子データの画像を意味し、良品画像も電子データの画像を意味する。
[実施形態]
<画像形成装置1の全体構成>
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成部100と、画像検査部200と、スタッカ300とを有する。
画像形成部100は、オペレーションパネル101と、タンデム式の電子写真方式の作像部103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対102と、定着ローラ104と、反転パス106とを有する。
オペレーションパネル101は、画像形成部100や画像検査部200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
作像部103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。本実施形態では、作像部103Y上にイエロートナー像が形成され、作像部103M上にマゼンダトナー像が形成され、作像部103C上にシアントナー像が形成され、作像部103K上にブラックトナー像が形成される。但し、これに限定されるものではなく、作像部103Y、103M、103C、103Kの配置の順番は適宜変更されても良い。また、画像形成部100は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック以外の色のトナー像を形成する作像部を有しても良い。イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック以外の色は白色等である。
転写ベルト105は、作像部103Y、103M、103C、及び103Kにより重ね合わせて転写されたフルカラーのトナー像を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。本実施形態では、転写ベルト105には、先ず、イエロートナー像が転写(一次転写)され、続いて、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重ね合わされて転写される。但し、これに限定されるものではなく、各色のトナー像が転写ベルト105に転写される順番は適宜変更されても良い。また、以下では、色を特に区別しない場合は、作像部103Y、103M、103C、103Kを、作像部103と称する。
給紙部109は、複数の記録媒体が重ね合わせて収容されており、記録媒体を給紙する。記録媒体としては、記録紙(転写紙)等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、画像を形成(記録)可能な媒体であれば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、及び銅箔等であっても良い。
搬送ローラ対102は、給紙部109から給紙された記録媒体を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー像を、搬送ローラ対102により搬送された記録媒体上に二次転写位置で一括転写(二次転写)する。
定着ローラ104は、フルカラーのトナー像が転写された記録媒体を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー像を記録媒体に定着させる。
画像形成部100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー像が定着された記録媒体を画像検査部200へ送る。一方、画像形成部100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー像が定着された記録媒体を反転パス106へ送る。
反転パス106は、送られた記録媒体をスイッチバックすることにより記録媒体の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス106により搬送された記録媒体は、搬送ローラ対102により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー像が転写され、定着ローラ104により定着される。その後、画像検査部200及びスタッカ300へ送られる。
画像形成部100の下流に配置された画像検査部200は、読取デバイス210、背景部220等を備え、画像形成部100から送られた記録媒体に形成された印刷画像の欠陥を検査する画像検査装置の一例である。画像検査部200は、検査画像と良品画像を比較して印刷画像の欠陥を検出する。良品画像は、印刷画像の見本となる画像である。
実施形態では、印刷画像を形成するための元データとなる画像データを加工処理して良品画像を作成する。例えば実験又はシミュレーションにより画像形成部100による印刷特性の情報を予め取得しておき、この印刷特性情報を用いて画像データを変換することで画像データを加工処理する。作成した良品画像はデジタル処理で作成された良品画像であるため、デジタル良品画像又はデジタルマスター画像と称することもできる。
なお、画像データを加工処理する方法の他、見本となる画像を読取デバイス210で読み取って良品画像を作成することもできる。但しこの方法では、印刷画像が頻繁に変更される場合には、印刷画像が変更されるたびに見本となる画像を読取デバイス210で読み取る必要があるため、検査の効率が低下する場合がある。これに対し、画像データを加工処理する方法では、見本となる画像を読取デバイス210で読み取る手間が省略できるため、検査の効率がより高くなる点で好適である。
印刷画像の欠陥は、印刷画像で視認されるスジ画像、ポチ画像、汚れ又はキズ等を含む。スジとは、印刷画像において周辺の領域と比較して濃度が異なる線状に伸びる画像領域をいう。ポチ画像とは、印刷画像において周辺の領域と比較して濃度が異なる小さい点状の画像領域をいう。例えばポチ画像は、記録媒体の白地の領域に付着した小さい点状の画像である。このようなスジやポチ画像等は印刷画像にあるべきでないポジティブ欠陥に対応する。ポジティブ欠陥に対応する画像領域は、欠陥領域の一例であり、また第1欠陥領域の一例である。
また印刷画像の欠陥は、印刷画像の白抜け又は印刷ミス等を含む。白抜けとは記録媒体上にトナー像が形成されるべき領域にも関わらずトナー像が形成されていない画像領域をいう。トナー像が形成されるべき領域はあるべき良品の特徴に対応し、白抜けはあるべき良品の特徴が検査対象物にないというネガティブ欠陥に対応する。ネガティブ欠陥に対応する画像領域は、欠陥領域の一例であり、また第2欠陥領域の一例である。
読取デバイス210は、検査対象物の検査画像を撮像する撮像部の一例である。検査画像は、検査対象物である印刷画像を読取デバイス210が読み取って撮像した画像である。なお、画像検査部200の構成の詳細については、図2を用いて次述する。
画像検査部200は、印刷画像の検査が完了した記録媒体をスタッカ300へ排紙する。スタッカ300は、トレイ301を有する。スタッカ300は、画像検査部200から排紙された記録媒体をトレイ301にスタックする。
<画像検査部200の構成>
次に図2を参照して、画像検査部200の構成を説明する。図2は、画像検査部200の構成の一例を示す図である。図2に示すように、画像検査部200は、読取デバイス210と、背景部220と、コンタクトガラス230と、照明ユニット240と、搬送ローラ対250及び251とを有する。
搬送ローラ対250及び251は、画像形成部100から送られてきた記録媒体Pを図2のY方向に搬送する。搬送ローラ対250及び251の何れか一方を、モータ等の駆動部により回転駆動される駆動ローラ対とし、他方を搬送される記録媒体Pに従って回転する従動ローラ対とすることができる。
コンタクトガラス230は、透明なガラスで構成され、搬送される記録媒体Pに接触し、読取デバイス210による読取時(撮像時)における記録媒体Pのばたつき等を抑制する機能を有する。図2に示すように、記録媒体Pは、コンタクトガラス230と背景部220との間をY方向に搬送される。
照明ユニット240は、搬送ローラ対250等の軸方向(図2のX方向で、以下では幅方向という)に複数のLED(Light Emitting Diode)が配列されたLEDアレイ等により構成され、搬送される記録媒体Pにライン状の光を照明する。
但し、照明ユニット240はこの構成に限定されず、赤、緑、及び青色の各色のLEDを同時に点灯させ、各色の光を混合させて、白色光に近い広範囲な波長帯域を有する光を照射しても良い。また、蛍光管のように幅方向に長いライン状の光を照射する素子を1つ有する構成であっても良い。蛍光管によれば、幅方向に明るさが均一な白色光を照射することができる。
さらに、幅方向を長手方向とする導光部材を用い、導光部材の両端に配置した白色、又は赤色、緑色、及び青色の各色のLEDを点灯させて、導光部材を通過させることでライン状の光を照射しても良い。導光部材により幅方向に明るさが均一な光を照射することができる。また、LEDアレイからの光を、搬送される記録媒体Pの幅方向のエッジが通過する領域に、効率的に導くための導光レンズを設けた構成としても良い。
読取デバイス210は、記録媒体の一方の面側(図2の正のZ方向側)に設けられ、CIS(Contact Image Sensor;密着型イメージセンサ)等により実現される。より具体的には、読取デバイス210は、ミラー211~213と、レンズ214と、画素アレイ215とを有する。照明ユニット240から照射された光の記録媒体Pからの反射光は、図2に破線で示すように、ミラー211~213でそれぞれ反射され、レンズ214により画素アレイ215の受光面上に結像させられる。
画素アレイ215は、光信号を電気信号に変換する光電変換素子であるPD(Photo Diode)が幅方向にアレイ状に配列された素子である。1つの光電変換素子は、1つの画素に該当し、光の受光量に応じた電気信号を出力する。画素アレイ215は、幅方向の1ライン分の画素の電気信号(画像信号)を出力する。また、この際に、画素アレイ215は、搬送ローラ対250及び251によりY方向に搬送される記録媒体Pからの反射光を所定のタイミング毎に受光し、1ライン分の画像信号を出力する。このように出力された1ライン分の画像信号を、画素アレイ215における画素の配列方向と直交する方向に繋ぎ合せることで2次元画像データが取得される。
また、画素アレイ215は、赤色の光を受光する画素アレイ215Rと、緑色の光を受光する画素アレイ215Gと、青色の光を受光する画素アレイ215Bとを含み、それぞれは、幅方向と画素の配列方向が略平行になる状態で配置されている。
赤色の光を受光する画素アレイ215Rは、受光面の前に赤色のカラーフィルタを備え、カラーフィルタを通過した赤色の光を受光する。赤色のカラーフィルタは、赤色の波長帯の光を通過し、他の波長帯の光を吸収、又は反射する。同様に、画素アレイ215Gは、緑色のカラーフィルタを備え、緑色の波長帯の光を受光し、画素アレイ215Bは、青色のカラーフィルタを備え、青色の波長帯の光を受光する。
なお、画素アレイには、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等を用いてもよい。また、二次元の画素アレイを有するCCDやCMOSのエリアセンサを用いて、画素アレイ215を構成してもよい。さらに、画素アレイ215の集光効率を上げるために、記録媒体Pによって反射された光を画素アレイ215に導くためのロッドレンズアレイ等を設けることもできる。
読取デバイス210は、読取対象である記録媒体Pからの反射光を受光して、記録媒体Pに形成された検査画像を含む画像信号を出力することができる。
背景部220は、記録媒体Pの他方の面側(図2の負のZ方向側)に接触し、読取デバイス210により記録媒体Pのエッジを読み取る際に記録媒体Pの背景となる背景部材を有する。なお、「他方の面」とは、読取デバイス210が配置されている側の記録媒体Pの面とは反対側の面である。
より詳しくは、背景部220は、リボルバ221と、白色小径ローラ222と、黒色小径ローラ223と、白色大径ローラ224と、黒色大径ローラ225とを有する。白色小径ローラ222、白色大径ローラ224、黒色小径ローラ223、及び黒色大径ローラ225は、図2に示すように、リボルバ221に含まれる円柱状部材の円柱軸の周りに配置されるように、リボルバ221に装着されている。
リボルバ221に含まれる円柱状部材には、円柱軸方向に貫通する複数の円形状の貫通孔が形成されている。また、各貫通孔は、リボルバ221の円柱軸の周りに配置されるようにして形成されている。この貫通孔に各ローラを通すことで、各ローラをリボルバ221に装着させることができる。
なお、円形状の貫通孔は、必ずしも断面形状が円形でなくても良く、断面形状が円形の一部であっても良い。また、ローラに代えて角柱部材等を装着する場合は、矩形状の貫通孔が形成されていても良い。
また、リボルバ221は、その円柱軸回り(図2の矢印uの方向)に回転可能である。一例として、リボルバ221に取り付けられたモータを、制御信号により回転駆動させることで、リボルバ221を矢印uの方向に回転させ、リボルバ221に装着された複数のローラのうちの所定のローラを、記録媒体Pの他方の面に接触させることができる。但し、制御信号に応じてリボルバ221を回転することに限定されるものではなく、画像形成装置1の操作者等がリボルバ221を手動で回転させて、装着された複数のローラのうちの所定のローラを、記録媒体Pの他方の面に接触させてもよい。
このように、白色小径ローラ222、白色大径ローラ224、黒色小径ローラ223、及び黒色大径ローラ225は、リボルバ221の回転により、記録媒体Pの他方の面に接触可能に設けられている。
白色小径ローラ222と黒色小径ローラ223は、ローラの直径は同じであるが、ローラの色が異なっている。一例として記録媒体Pの下地の色が白色の場合、黒色小径ローラ223を記録媒体Pの他方の面に接触させることで、記録媒体Pと背景部材としての黒色小径ローラ223との色のコントラストが高くなるため、記録媒体Pのエッジ位置をより検出しやすくなる。以上では、白色小径ローラ222と黒色小径ローラ223を例に述べたが、白色大径ローラ224と黒色大径ローラ225においても同様である。また、白色と黒色のローラを一例としたが、これに限定されるものではなく、記録媒体Pの色に応じてこれ以外の色のローラを用いても良い。
一方、黒色小径ローラ223と黒色大径ローラ225は、ローラの色は同じであるが、ローラの直径が異なっている。そのため、黒色大径ローラ225を記録媒体Pの他方の面に接触させた場合、黒色大径ローラ225が記録媒体Pを図2の正のZ方向に押すため、黒色小径ローラ223を記録媒体Pの他方の面に接触させた場合に対して、記録媒体Pの面に交差する方向(図2のZ方向)における高さを異ならせることができる。つまり、黒色小径ローラ223を記録媒体Pの他方の面に接触させた場合に対して、黒色大径ローラ225を接触させた場合は、記録媒体Pの一方の面を読取デバイス210に、より近づけることができる。
記録媒体Pは、種類に応じて厚みが異なる場合があり、薄い記録媒体Pと厚い記録媒体Pでは、記録媒体Pの一方の面から読取デバイス210までの距離(高さ)が異なる。このような高さの相違に起因して、読取デバイス210で読み取った画像に焦点ずれが含まれる場合がある。
特に、読取デバイス210は薄型化して構成されているため、被写界深度が浅い。従って、記録媒体Pの厚みの違いに伴う記録媒体Pの一方の面から読取デバイス210までの高さのわずかな相違により、読み取った画像が焦点ずれしやすい。焦点ずれした画像を用いると、記録媒体Pのエッジ位置、及び記録媒体Pに形成された画像のエッジ位置を正確に検出することが困難になる。
これに対し、実施形態では、例えば、薄い記録媒体Pの場合は、黒色大径ローラ225を記録媒体Pの他方の面に接触させることで、記録媒体Pの一方の面を読取デバイス210に近づけることができる。逆に、厚い記録媒体Pの場合は、黒色小径ローラ223を記録媒体Pの他方の面に接触させることで、記録媒体Pの一方の面を読取デバイス210に近づけないようにすることができる。
このようにして、記録媒体Pの厚みによらず、記録媒体Pの一方の面から読取デバイス210までの高さを一定にすることができ、読み取った画像における焦点ずれを防ぐことができる。以上では、黒色小径ローラ223と黒色大径ローラ225を例に述べたが、白色小径ローラ222と白色大径ローラ224においても同様である。
なお、上述した例では、背景部材としてローラを用い、ローラの直径を変えることで、「高さ」を異ならせるものを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、背景部材として角柱を用い、角柱の断面形状における高さ(厚さ)寸法を変えること等でも、「高さ」を異ならせることができる。
<実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成>
次に図3を参照して、画像形成装置1のハードウェア構成を説明する。図3は、実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置1は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950とを有する。
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901と、システムメモリ(MEM-P)902と、ノースブリッジ(NB)903と、サウスブリッジ(SB)904と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906と、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907と、HDDコントローラ908と、記憶部であるHD909とを有する。また、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
これらのうち、CPU901は、画像形成装置1の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。
なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。
なお、ASIC906には、USBのインタフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続するようにしても良い。
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。
AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
また、近距離通信回路920には、通信回路920aが備わっている。通信回路920aは、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931と、プリンタ部932とを有している。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作部940bを有している。
コントローラ910は、画像形成装置1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、画像形成装置1は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。
ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
また、ネットワークI/F950は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
ここで、画像形成装置1は、さらに照明ユニット駆動回路960と、リボルバ駆動回路970と、画素アレイ駆動回路980とを有する。
照明ユニット駆動回路960は、照明ユニット240に電気的に接続され、照明ユニット240を駆動する電気回路である。CPU901等からの制御信号に応じて照明ユニット駆動回路960が照明ユニット240に対して駆動信号を出力することで、照明ユニット240が記録媒体Pに照射する光の強度やタイミングが制御される。
リボルバ駆動回路970は、リボルバ221に取り付けられたリボルバモータ221aに電気的に接続され、リボルバモータ221aを駆動する電気回路である。CPU901等からの制御信号に応じてリボルバ駆動回路970がリボルバモータ221aに対して駆動信号を出力することで、リボルバ221が回転駆動され、白色小径ローラ222、白色大径ローラ224、黒色小径ローラ223、及び黒色大径ローラ225のうちの所定のローラを、記録媒体Pの他方の面に接触させることができる。
画素アレイ駆動回路980は、画素アレイ215に電気的に接続され、画素アレイ215を駆動する電気回路である。画素アレイ215による画像信号は画素アレイ駆動回路980を介して入力され、所定の処理が実行されたり、HD909等に格納されたりすることができる。
[第1実施形態]
<画像検査部200が有する処理部260の機能構成例>
次に図4を参照して、画像検査部200が有する処理部260の機能構成を説明する。
処理部260は、画像形成部100から送られた記録媒体に形成された印刷画像を撮像した検査画像と良品画像を比較して、印刷画像の欠陥を検出する処理を実行する。実施形態では、良品画像は予め作成され、図3のHD909等に格納されている。処理部260はHD909等を参照して良品画像を取得し、検査画像との比較処理を行う。
図4は、処理部260の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、処理部260は、第1分割画像生成部261と、第1欠陥候補抽出部262と、第2分割画像生成部263と、第2欠陥候補抽出部264と、欠陥検出部265と、出力部266とを有する。
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM902aからRAM902b上に展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。なお図4は、処理部260の有する主な構成を示すが、処理部260はこれら以外の構成を有してもよい。
第1分割画像生成部261は、読取デバイス210が撮像した検査画像を含む画像信号を入力し、検査画像を複数の領域に分割した各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第1処理画像を生成する。ここで、複数の領域に分割した各領域とは、行列の格子で検査画像を複数の領域に分割した際の1つ1つの格子に対応する領域をいう。第1処理画像は、1つの領域に含まれる全ての画素の輝度値が、1つの領域に含まれる全画素の輝度値の平均値に置換された複数の領域からなるモザイク状の低解像度画像である。
また第1分割画像生成部261は、位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第1処理画像とは異なる複数の領域に検査画像を分割した各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第2処理画像を生成する。
ここで、領域の位相とは、検査画像等の画像を複数の領域に分割する格子の位置をいう。また領域の方向とは、領域の位相をずらす方向をいう。領域の方向は、基本的には縦(格子の列方向)又は横(格子の行方向)であるが、格子の中心点を中心に回転させた角度で規定される斜め方向を含んでもよい。
領域のサイズとは領域の面積をいう。例えば10×10画素等のように画素数で表現される領域の面積である。
位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第1処理画像とは異なる複数の領域で、1つの領域に含まれる全ての画素の輝度値が、1つの領域に含まれる全画素の輝度値の平均値に置換される。第2処理画像は、このような複数の領域からなるモザイク状の低解像度画像である。
第1分割画像生成部261は、第1処理画像又は第2処理画像の少なくとも一方を用いて第1分割画像を生成する。例えば第1分割画像生成部261は、第1処理画像と第2処理画像の何れか一方を選択することで、第1分割画像を生成する。第1処理画像が第1分割画像になったり、第2処理画像が第1分割画像になったりするため、第1分割画像は、第1処理画像と第2処理画像の総称表記ということもできる。
第1欠陥候補抽出部262は、第1分割画像生成部261により生成された第1分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第1欠陥候補領域を抽出する。
例えば、ある領域と該ある領域の周囲の領域との間で画素の輝度値の差分を演算し、差分値が所定の閾値以上の場合に、該ある領域を欠陥候補領域として抽出する。ある領域を変化させながら、上記の処理を第1分割画像内の複数の領域の全てに対して行うことで、検査画像における欠陥候補領域を第1欠陥候補領域として抽出する。第1分割画像内で、第1欠陥候補領域を有効領域とし、第1欠陥候補領域以外の領域を無効領域とすることで、抽出した第1欠陥候補領域を表示できる。
第2分割画像生成部263は、HD909等を参照して取得した良品画像を複数の領域に分割した各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第3処理画像を生成する。第3処理画像は、1つの領域に含まれる全ての画素の輝度値が、1つの領域に含まれる全画素の輝度値の平均値に置換された複数の領域からなるモザイク状の低解像度画像である。
また第2分割画像生成部263は、位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第3処理画像とは異なる複数の領域に良品画像を分割した各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第4処理画像を生成する。
位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第3処理画像とは異なる複数の領域で、1つの領域に含まれる全ての画素の輝度値が、1つの領域に含まれる全画素の輝度値の平均値に置換される。第4処理画像は、このような複数の領域からなるモザイク状の低解像度画像である。
第2分割画像生成部263は、第3処理画像と第4処理画像の少なくとも一方を用いて第2分割画像を生成する。例えば第2分割画像生成部263は、第3処理画像と第4処理画像の何れか一方を選択することで、第2分割画像を生成する。第3処理画像が第2分割画像になったり、第4処理画像が第2分割画像になったりするため、第2分割画像は、第3処理画像と第4処理画像の総称表記ということもできる。
第2欠陥候補抽出部264は、第2分割画像生成部263により生成された第2分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第2欠陥候補領域を抽出する。
例えば、ある領域と該ある領域の周囲の領域との間で画素の輝度値の差分を演算し、差分値が所定の閾値以上の場合に、該ある領域を欠陥候補領域として抽出する。ある領域を変化させながら、上記の処理を第2分割画像内の複数の領域の全てに対して行うことで、良品画像における欠陥候補領域を第2欠陥候補領域として抽出する。第2分割画像内で、第2欠陥候補領域を有効領域とし、第2欠陥候補領域以外の領域を無効領域とすることで、抽出した第2欠陥候補領域を表示できる。
欠陥検出部265は、第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域を比較し、欠陥領域を検出する。具体的には、欠陥検出部265は、第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域の両者に共通する欠陥候補領域を良品の特徴であるとして除去する(非抽出にする)。そして、第1欠陥候補領域のみで抽出された領域を、検査画像にあって良品画像にないポジティブ欠陥領域として検出する。また第2欠陥候補領域のみで抽出された領域を、良品画像にあって検査画像にないネガティブ欠陥領域として検出する。
なお、欠陥検出部265が比較に用いる第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域では、その元となる第1分割画像と第2分割画像を生成する際に適用した領域(格子)の位相、方向又はサイズは同じにする方が好ましい。
欠陥検出部265は、検出結果を印刷画像の欠陥検出結果とし、出力部266を介してPC(Personal Computer)等の外部装置に出力する。
<画像検査部200の動作例>
次に図5を参照して、画像検査部200の動作を説明する。図5は、画像検査部200の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、印刷画像が形成された記録媒体Pが画像形成部100から画像検査部200に送られたタイミングをトリガーにした画像検査部200の動作を示している。但し、画像検査部200が検査を行うトリガーは、これに限定されるものではなく、ユーザがオペレーションパネル101を用いて行った検査の開始操作をトリガーにしてもよい。
まず、ステップS51において、読取デバイス210は、記録媒体Pに形成された印刷画像を検査画像として撮像する。
続いて、ステップS52において、第1分割画像生成部261は、読取デバイス210が撮像した検査画像を含む画像信号を入力し、検査画像を行列の格子である複数の領域に分割する。
続いて、ステップS53において、第1分割画像生成部261は、分割した複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均して第1処理画像を生成する。
続いて、ステップS54において、第1分割画像生成部261は、分割した複数の領域における各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第1処理画像に対して変化させる。
続いて、ステップS55において、第1分割画像生成部261は、各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第1処理画像に対して変化させた複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均して第2処理画像を生成する。
続いて、ステップS56において、第1分割画像生成部261は、第1処理画像又は第2処理画像の少なくとも一方を用いて第1分割画像を生成する。
続いて、ステップS57において、第1欠陥候補抽出部262は、第1分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較して第1欠陥候補領域を抽出する。ある領域を変化させながら、複数の領域の全てで上記の比較処理を行い、第1分割画像の全体で第1欠陥候補領域を抽出する。
続いて、ステップS58において、第2分割画像生成部263は、HD909等を参照して良品画像を取得する。
続いて、ステップS59において、第2分割画像生成部263は、良品画像を行列の格子である複数の領域に分割する。
続いて、ステップS60において、第2分割画像生成部263は、分割した複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第3処理画像を生成する。
続いて、ステップS61において、第2分割画像生成部263は、分割した複数の領域における各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第3処理画像に対して変化させる。
続いて、ステップS62において、第2分割画像生成部263は、各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第3処理画像に対して変化させた複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第4処理画像を生成する。
続いて、ステップS63において、第2分割画像生成部263は、第3処理画像又は第4処理画像の少なくとも一方を用いて第2分割画像を生成する。
続いて、ステップS64において、第2欠陥候補抽出部264は、第2分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較して第2欠陥候補領域を抽出する。ある領域を変化させながら、複数の領域の全てで上記の比較処理を行い、第2分割画像の全体で第2欠陥候補領域を抽出する。
なお、ステップS51乃至S57の動作と、ステップS58乃至S64の動作は、順番を入れ替えてもよいし、両者が並行に実行されてもよい。
続いて、ステップS65において、欠陥検出部265は、第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域を比較する。
続いて、ステップS66において、欠陥検出部265は、比較の結果で得られた欠陥領域を印刷画像の欠陥検出結果とする。
続いて、ステップS67において、欠陥検出部265は、印刷画像の欠陥検出結果を、出力部266を介してPC等の外部装置に出力する。
このようにして画像検査部200は、印刷画像の欠陥を検出することができる。
<処理部260による処理結果例>
次に、図6乃至図9を参照して、各機能構成部による処理結果について説明する。まず、図6は、第1分割画像生成部261による処理結果の一例を示す図である。図6(a)は、第1分割画像生成部261が入力した検査画像の一例を示す図、図6(b)は、第1処理画像の一例を示す図、図6(c)は第2処理画像の一例を示す図である。
図6(a)に示すように、検査画像60は、欠陥70と、良品特徴80とを含んでいる。
図6(b)に示すように、第1処理画像61は、検査画像60が複数の格子の領域に分割され、モザイク状の画像となっている。第1処理画像61は、欠陥70に対応する欠陥領域71と、良品特徴80に対応する良品特徴領域81とを含んでいる。
図6(c)に示すように、第2処理画像62は、検査画像60を格子に分割した複数の領域の各領域の位相及びサイズが第1処理画像61に対して異なることで、第1処理画像61と比較して粗いモザイク状の画像になっている。第2処理画像62は、欠陥70に対応する欠陥領域72と、良品特徴80に対応する良品特徴領域82とを含んでいる。
次に図7は、第1欠陥候補抽出部262による処理結果の一例を示す図である。図7(a)は、図6(b)の第1処理画像61から抽出された第1欠陥候補領域の一例を示す図、図7(b)は、図6(c)の第2処理画像62から抽出された第1欠陥候補領域の一例を示す図である。
図7では、第1欠陥候補領域以外の領域は無効領域として黒く表示されている。図7(a)に示すように、第1欠陥候補領域63は、欠陥70に対応する第1欠陥候補領域73と、良品特徴80に対応する第1欠陥候補領域83とを含んでいる。また図7(b)に示すように、第1欠陥候補領域64は、欠陥70に対応する第1欠陥候補領域74と、良品特徴80に対応する第1欠陥候補領域84とを含んでいる。
第1欠陥候補領域63は、第1欠陥候補領域64と比較して格子の領域のサイズが小さく解像度が高いため、検査画像60に含まれる素地のパターン等の多くの第1欠陥候補領域を含んでいる。素地のパターンは、印刷画像が形成された記録媒体の地模様等である。
次に図8は、第2分割画像生成部263による処理結果の一例を示す図である。図8(a)は、第2分割画像生成部263が入力した良品画像の一例を示す図、図8(b)は、第3処理画像の一例を示す図、図8(c)は第4処理画像の一例を示す図である。
図8(a)に示すように、良品画像160は、欠陥170と、良品特徴180とを含んでいる。欠陥170は、検査画像60(図6参照)には含まれないものであり、あるべき良品の特徴が検査対象物にないというネガティブ欠陥に対応する。
図8(b)に示すように、第3処理画像161は、良品画像160が複数の格子の領域に分割され、モザイク状の画像となっている。第3処理画像161は、欠陥170に対応する欠陥領域171と、良品特徴80に対応する良品特徴領域181とを含んでいる。
図8(c)に示すように、第4処理画像162は、良品画像160を格子に分割した複数の領域の各領域の位相及びサイズが第3処理画像161に対して異なることで、第3処理画像161と比較して粗いモザイク状の画像になっている。第4処理画像162は、欠陥170に対応する欠陥領域172と、良品特徴80に対応する良品特徴領域182とを含んでいる。
次に図9は、第2欠陥候補抽出部264による処理結果の一例を示す図である。図9(a)は、図8(b)の第3処理画像161から抽出された第2欠陥候補領域の一例を示す図、図9(b)は、図8(c)の第4処理画像162から抽出された第2欠陥候補領域の一例を示す図である。
図9では、第2欠陥候補領域以外の領域は無効領域として黒く表示されている。図9(a)に示すように、第2欠陥候補領域163は、欠陥170に対応する第2欠陥候補領域173と、良品特徴180に対応する第2欠陥候補領域183とを含んでいる。また図9(b)に示すように、第2欠陥候補領域164は、欠陥170に対応する第2欠陥候補領域174と、良品特徴180に対応する第2欠陥候補領域184とを含んでいる。
第2欠陥候補領域163は、第2欠陥候補領域164と比較して格子の領域のサイズが小さく解像度が高いため、良品画像160に含まれる素地のパターン等の多くの第2欠陥候補領域を含んでいる。
欠陥検出部265は、例えば図7(b)の第1欠陥候補領域64と、図9(b)の第2欠陥候補領域164を比較し、両者に共通する欠陥候補領域を良品の特徴であるとして除去する(非抽出にする)。そして、第1欠陥候補領域64のみで抽出された領域を、検査画像60にあって良品画像160にないポジティブ欠陥領域として検出する。第2欠陥候補領域164のみで抽出された領域を、良品画像160にあって検査画像60にないネガティブ欠陥領域として検出する。
このようにして、画像検査部200は、ポジティブ欠陥とネガティブ欠陥の両方を検出することができる。
<画像検査部200の作用効果例>
以上説明したように、本実施形態では、印刷画像の画像を検査画像60として撮像し、検査画像60を複数の領域に分割した各領域で画素の輝度値を平均した第1処理画像61、或いは位相、方向又はサイズの少なくとも1つが第1処理画像61とは異なる複数の領域に検査画像60を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第2処理画像62、の少なくとも一方を用いて第1分割画像を生成する。例えば第2処理画像62を用いて第1分割画像を生成する。
そして第1分割画像としての第2処理画像62に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第1欠陥候補領域64を抽出する。これにより人間が無意識に正常状態との違いを認識するメカニズムを利用し、検査画像60の第1欠陥候補領域64を高速且つ高感度に抽出できる。
また、良品画像160を複数の領域に分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第3処理画像161、或いは位相、方向又はサイズが第3処理画像161とは異なる複数の領域に良品画像160を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第4処理画像162、の少なくとも一方を用いて第2分割画像を生成する。例えば第4処理画像162を用いて第2分割画像を生成する。
そして第2分割画像としての第4処理画像162に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における輝度値を比較し、第2欠陥候補領域164を抽出する。これにより人間が無意識に正常状態との違いを認識するメカニズムを利用し、良品画像160の第2欠陥候補領域164を高速且つ高感度に抽出できる。
第1欠陥候補領域64と第2欠陥候補領域164を比較することで、第1欠陥候補領域64のみで抽出された領域を、検査画像60にあって良品画像160にないポジティブ欠陥領域(第1欠陥領域)として検出する。また第2欠陥候補領域164のみで抽出された領域を、良品画像160にあって検査画像60にないネガティブ欠陥領域(第2欠陥領域)として検出する。このようにして、あるべき良品の特徴が検査対象物にないという欠陥を含む欠陥検出結果を得ることができる。
また本実施形態では、印刷画像を形成するための元データとなる画像データを加工処理することで良品画像を作成する。例えば、見本となる画像を読取デバイス210で読み取って良品画像を作成する方法では、印刷画像が頻繁に変更される場合に、印刷画像が変更されるたびに見本となる画像を読取デバイス210で読み取る必要があるため、検査の効率が低下する場合がある。
これに対し、画像データを加工処理して良品画像を作成する方法では、見本となる画像を読取デバイス210で読み取る手間が省略できるため、検査の効率をより高くすることができる。
また、複数の良品画像を作成し、複数の良品画像に共通する特徴が抽出された場合にこれを欠陥ではなく「良品の特徴」と判定することで、欠陥の誤検出を抑制する方法が知られている。しかし、この方法では、画像データの変更で種類を容易に変更可能な印刷画像等を検査対象物とする場合に、複数の良品画像を作成することが困難になる場合がある。
本実施形態では、画像データを加工処理して作成したデジタルの良品画像の第2欠陥候補領域を抽出することで欠陥の誤検出を抑制する。これにより、頻繁に変更される印刷画像等を検査対象物とする場合にも、容易に対応することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成装置1aについて説明する。なお、第1実施形態で説明した構成部と同じものには、同じ部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。
<画像検査部200aが有する処理部260aの機能構成例>
画像形成装置1aは画像検査部200aを有する。また画像検査部200aは処理部260aを有する。図10は処理部260aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、処理部260aは、第1分割画像生成部261aと、第1欠陥候補抽出部262aと、第2分割画像生成部263aと、第2欠陥候補抽出部264aと、欠陥検出部265aと、投票部267とを有する。
これら各部は、図3に示されている各構成要素の何れかがROM902aからRAM902b上に展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。
第1分割画像生成部261aは、読取デバイス210が撮像した検査画像を含む画像信号を入力し、検査画像を複数の領域に分割した各領域で画素の輝度値を平均した第1分割画像を、該複数の領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを異ならせながらN個生成する。ここで、Nは2以上の整数を表す。第1分割画像生成部261aは、例えばモザイク状の画像におけるモザイクの粗さが異なるN個の第1分割画像を生成できる。
第1欠陥候補抽出部262aは、第1分割画像生成部261aが生成したN個の第1分割画像のそれぞれで、第1分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較する処理を行い、N個の第1欠陥候補領域を抽出する。
第2分割画像生成部263は、HD909等を参照して良品画像を取得し、良品画像を複数の領域に分割した各領域で画素の輝度値を平均した第2分割画像を、該複数の領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを異ならせながらN個生成する。第2分割画像生成部263aは、例えばモザイク状の画像におけるモザイクの粗さが異なるN個の第2分割画像を生成できる。
第2欠陥候補抽出部264aは、第2分割画像生成部263aが生成したN個の第2分割画像のそれぞれで、第2分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較する処理を行い、N個の第2欠陥候補領域を抽出する。
欠陥検出部265aは、N個の第1欠陥候補領域と、第1欠陥候補領域に対応するN個の第2欠陥候補領域をそれぞれ比較し、N個の欠陥領域を検出する。欠陥検出部265aは、例えば第1欠陥候補領域と第2欠陥候補領域の両者に共通する欠陥候補領域を良品の特徴であるとして除去する(非抽出にする)。
そして、第1欠陥候補領域のみで抽出された領域を、検査画像にあって良品画像にないN個のポジティブ欠陥領域として検出する。また第2欠陥候補領域のみで抽出された領域を、良品画像にあって検査画像にないN個のネガティブ欠陥領域として検出する。
投票部267は、N個のポジティブ欠陥領域を投票処理した第1投票欠陥領域、又はN個のネガティブ欠陥領域を投票処理した第2投票欠陥領域の少なくとも一方を生成する。
具体的には、投票部267は、ポジティブ欠陥用の投票空間と、ネガティブ欠陥用の投票空間とを用意する。投票部267は、N個のポジティブ欠陥領域をポジティブ欠陥用の投票空間に投票処理して第1投票欠陥領域を生成する。また、N個のネガティブ欠陥領域をネガティブ欠陥用の投票空間に投票処理して第2投票欠陥領域を生成する。
ここで、投票処理とは、第1欠陥領域及び第2欠陥領域をそれぞれ投票元情報とし、検査画像に対応して設定された投票空間に投票(積算)を行う処理である。検査画像及び良品画像の元の解像度と等しい解像度で投票空間を構成し、投票空間の画素ごとに投票を行ってもよい。投票する際に予め定めた規則で領域に重みづけをする加重投票処理を行うこともできる。
投票部267は、第1投票欠陥領域又は第2投票欠陥領域の少なくとも一方を欠陥検出結果とし、出力部266を介してPC(Personal Computer)等の外部装置に出力することができる。
<画像検査部200aの動作例>
次に図11を参照して、画像検査部200aの動作を説明する。図11は、画像検査部200aの動作の一例を示すフローチャートである。
図11は、印刷画像が形成された記録媒体Pが画像形成部100から画像検査部200aに送られたタイミングをトリガーにした画像検査部200aの動作を示している。但し、画像検査部200が検査を行うトリガーは、これに限定されるものではなく、ユーザがオペレーションパネル101を用いて行った検査の開始操作をトリガーにしてもよい。
まず、ステップS111において、読取デバイス210は、記録媒体Pに形成された印刷画像を検査画像として撮像する。
続いて、ステップS112において、第1分割画像生成部261aは、カウンタnに1を代入する。
続いて、ステップS113において、第1分割画像生成部261aは、読取デバイス210が撮像した検査画像を含む画像信号を入力し、検査画像を行列の格子である複数の領域に分割する。
続いて、ステップS114において、第1分割画像生成部261aは、分割した複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均して第1分割画像Pnを生成する。
続いて、ステップS115において、第1欠陥候補抽出部262aは、第1分割画像Pnに含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較して第1欠陥候補領域Unを抽出する。ある領域を変化させながら、複数の領域の全てで上記の比較処理を行い、第1分割画像Pnの全体で第1欠陥候補領域Unを抽出する。
続いて、ステップS116において、第1分割画像生成部261aは、分割した複数の領域における各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第1分割画像Pnに対して変化させ、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第1分割画像Pn+1を生成する。
続いて、ステップS117において、第1分割画像生成部261aは、nがNと等しいか否かを判定する。
ステップS117で、nがNと等しくないと判定された場合には(ステップS117、No)、ステップS118において、第1分割画像生成部261aは、カウンタnに1を加算する。その後、ステップS114以降の処理が再度行われる。
一方、ステップS117で、nがNと等しいと判定された場合には(ステップS117、Yes)、ステップS119において、第2分割画像生成部263aは、HD909等を参照して良品画像を取得する。
続いて、ステップS120において、第2分割画像生成部263aは、カウンタnに1を代入する。
続いて、ステップS121において、第2分割画像生成部263aは、良品画像を行列の格子である複数の領域に分割する。
続いて、ステップS122において、第2分割画像生成部263aは、分割した複数の領域における各領域で、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第2分割画像Qnを生成する。
続いて、ステップS123において、第2欠陥候補抽出部264aは、第2分割画像Qnに含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較して第2欠陥候補領域Vnを抽出する。ある領域を変化させながら、複数の領域の全てで上記の比較処理を行い、第2分割画像Qnの全体で第2欠陥候補領域Vnを抽出する。
続いて、ステップS124において、第2分割画像生成部263aは、分割した複数の領域における各領域の位相、方向又はサイズの少なくとも1つを第2分割画像Qnに対して変化させ、各領域に含まれる画素の輝度値を平均した第2分割画像Qn+1を生成する。
続いて、ステップS125において、第2分割画像生成部263aは、nがNと等しいか否かを判定する。
ステップS125で、nがNと等しくないと判定された場合には(ステップS125、No)、ステップS126において、第2分割画像生成部263aは、カウンタnに1を加算する。その後、ステップS122以降の処理が再度行われる。
一方、ステップS125で、nがNと等しいと判定された場合には(ステップS125、Yes)、ステップS127において、欠陥検出部265aは、カウンタnに1を代入する。
なお、ステップS111乃至S118の検査画像に対する動作と、ステップS119乃至S126の良品画像に対する動作は、何れを先に行ってもよいし、両者を並行に行ってもよい。
続いて、ステップS128において、欠陥検出部265aは、第1欠陥候補領域Unと、第1欠陥候補領域Unに対応する第2欠陥候補領域Vnを比較する。
続いて、ステップS129において、欠陥検出部265aは、比較によりポジティブ欠陥領域Wnとネガティブ欠陥領域Xnを検出する。
続いて、ステップS130において、欠陥検出部265aは、nがNと等しいか否かを判定する。
ステップS130で、nがNと等しくないと判定された場合には(ステップS130、No)、ステップS131において、欠陥検出部265aは、カウンタnに1を加算する。その後、ステップS128以降の処理が再度行われる。
一方、ステップS130で、nがNと等しいと判定された場合には(ステップS130、Yes)、ステップS132において、投票部267は、N個のポジティブ欠陥領域Wnを投票処理した第1投票欠陥領域、又はN個のネガティブ欠陥領域Xnを投票処理した第2投票欠陥領域の少なくとも一方を欠陥検出結果として生成する。
続いて、ステップS133において、欠陥検出部265aは、印刷画像の欠陥検出結果を、出力部266を介してPC等の外部装置に出力する。
このようにして画像検査部200aは印刷画像の欠陥を検出することができる。
<処理部260aによる処理結果例>
次に図12は、処理部260aによる処理の一例を示す図である。図12は、処理部260aが検査画像60及び良品画像160を入力し、処理を行ったステップごとの処理結果例を示している。
第1格子分割画像P'1乃至P'Nは、格子状の領域のサイズを変化させて検査画像60を分割したN個の画像を示している。第2格子分割画像Q'1乃至Q'Nは、格子状の領域のサイズを変化させて良品画像160を分割したN個の画像を示している。
第1分割画像P1乃至PNは、第1格子分割画像P'1乃至P'Nのそれぞれにおける格子状の領域の位相又は方向の少なくとも1つを変化させたN個の画像を示している。第2分割画像Q1乃至QNは、第2格子分割画像Q'1乃至Q'Nのそれぞれにおける格子状の領域の位相又は方向の少なくとも1つを変化させたN個の画像を示している。
第1欠陥候補領域U1乃至UNは、第1分割画像P1乃至PNのそれぞれから抽出した第1欠陥候補領域を示している。第2欠陥候補領域V1乃至VNは、第2分割画像Q1乃至QNのそれぞれから抽出した第2欠陥候補領域を示している。
第1欠陥候補領域U1乃至UNと、第1欠陥候補領域U1乃至UNに対応する第2欠陥候補領域V1乃至VNをそれぞれ比較することで、ポジティブ欠陥領域W1乃至WN又はネガティブ欠陥領域X1乃至XNの少なくとも一方を検出できる。
ここで、第1実施形態で示した画像検査部200は、画像検査部200aにおけるN=2の場合に対応する。具体的には、図6の第1処理画像61はn=1の第1分割画像P1に対応し、図6の第2処理画像62はn=2の場合の第1分割画像P2に対応する。また図7の第1欠陥候補領域63は、第1欠陥候補領域U1に対応し、第1欠陥候補領域64は、第1欠陥候補領域U2に対応する。
同様に、図8の第3処理画像161はn=1の第2分割画像Q1に対応し、図8の第4処理画像162はn=2の場合の第2分割画像Q2に対応する。また図9の第2欠陥候補領域163は、第2欠陥候補領域V1に対応し、第2欠陥候補領域164は、第2欠陥候補領域V2に対応する。
つまり、本実施形態では、図6の第1処理画像61又は第2処理画像62の例を含むN個の第1分割画像P1乃至PNを生成し、図7の第1欠陥候補領域63及び64の例を含むN個の第1欠陥候補領域U1乃至UNを抽出できる。
また図8の第3処理画像161又は第4処理画像162の例を含むN個の第2分割画像Q1乃至QNを生成し、図9の第2欠陥候補領域163及び164の例を含むN個の第2欠陥候補領域V1乃至VNを抽出できる。
これらに基づき、欠陥検出部265aは、ポジティブ欠陥領域W1乃至WN又はネガティブ欠陥領域X1乃至XNの少なくとも一方を検出できる。
次に、図13は画像検査部200aの欠陥検出結果の一例を示す図である。図13(a)は第1投票欠陥領域360を示す図、図13(b)は第2投票欠陥領域370の一例を示す図である。
図13(a)の第1投票欠陥領域360は、ポジティブ欠陥領域W1乃至WNを投票処理し、投票処理による画素の輝度の積算値を正規化して表示したものである。図13(a)に示すように、ポジティブ欠陥361が明確に検出されている。
図13(b)の第2投票欠陥領域370は、ネガティブ欠陥領域X1乃至XNを投票処理し、投票処理による画素の輝度の積算値を正規化して表示したものである。図13(b)に示すように、ネガティブ欠陥371が明確に検出されている。
<画像検査部200aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、N個のポジティブ欠陥領域W1乃至WNを投票処理した第1投票欠陥領域360、又はN個のネガティブ欠陥領域X1乃至XNを投票処理した第2投票欠陥領域370の少なくとも一方を生成する。
投票処理を行うことにより、N個のポジティブ欠陥領域W1乃至WN内で、共通して検出されたポジティブ欠陥は積算されて他の領域よりも画素の輝度が大きくなるため、より目立つようになる。同様にN個のネガティブ欠陥領域X1乃至XN内で、共通して検出されたネガティブ欠陥は積算されて他の領域よりも画素の輝度が大きくなるため、より目立つようになる。これにより、欠陥の誤検出を抑制し、高精度に欠陥を検出することができる。
なお、本実施形態では、N個のポジティブ欠陥領域W1乃至WNと、N個のネガティブ欠陥領域X1乃至XNをそれぞれ投票処理する例を示したが、これに限定されるものではない。N個のポジティブ欠陥領域W1乃至WNのうちの1つをポジティブ欠陥検出結果として選択したり、N個のネガティブ欠陥領域X1乃至XNのうちの1つをネガティブ欠陥検出結果として選択したりすることもできる。
例えば、複数の領域のサイズを異ならせて、N個のポジティブ欠陥領域W1乃至WNとN個のネガティブ欠陥領域X1乃至XNを検出した場合、領域のサイズが小さいほど、解像度が高くなる。この場合には、普通紙のように素地の表面粗さが大きい記録媒体では、素地が欠陥領域として誤検出されやすいため、領域のサイズが大きく解像度が低いポジティブ欠陥領域Wn又はネガティブ欠陥領域Xnを選択すると、誤検出を好適に抑制できる。
一方、光沢紙のように素地の表面粗さが小さい記録媒体では、素地が欠陥領域として誤検出されにくいため、領域のサイズが小さく解像度が高いポジティブ欠陥領域Wn又はネガティブ欠陥領域Xnを選択すると、解像度が上がり、より小さい欠陥を検出可能になる。
このように、ポジティブ欠陥領域Wn又はネガティブ欠陥領域Xnの何れかを選択することで、検査対象物の特性に応じて適切な欠陥検出を行うことができる。
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
なお、上述した実施形態では電子写真方式で形成した印刷画像を例示したが、インクジェット方式等の他方式で形成した印刷画像にも、実施形態に係る画像検査装置を適用可能である。
また、実施形態に係る画像検査装置は、検査対象物の画像(検査画像)に基づき検査を行う装置であり、検査対象物が印刷画像等の画像に限定されるものではない。例えば、部品等を検査対象物とすることもできる。
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
また、実施形態は、画像検査方法も含む。例えば、画像検査方法は、検査対象物の欠陥を検出する画像検査装置による画像検査方法であって、前記検査対象物の検査画像を撮像する工程と、前記検査画像を複数の領域に分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第1処理画像、或いは、位相、方向又はサイズの少なくとも1つが前記第1処理画像とは異なる複数の領域に前記検査画像を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第2処理画像、の少なくとも一方を用いて第1分割画像を生成する工程と、前記第1分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第1欠陥候補領域を抽出する工程と、前記検査画像の比較対象となる良品画像を複数の領域に分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第3処理画像、或いは、位相、方向又はサイズの少なくとも1つが前記第3処理画像とは異なる複数の領域に前記良品画像を分割した各領域で、画素の輝度値を平均した第4処理画像、の少なくとも一方を用いて第2分割画像を生成する工程と、前記第2分割画像に含まれる複数の領域のうち、ある領域における画素の輝度値と、該ある領域の周囲の領域における画素の輝度値を比較し、第2欠陥候補領域を抽出する工程と、前記第1欠陥候補領域と前記第2欠陥候補領域を比較し、欠陥領域を検出する工程と、を行う。このような画像検査方法により、上述した画像検査装置と同様の効果を得ることができる。