本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1、図5、図6に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
また、以下の説明においては、特に断りがない限り、図2、図3、図9~図13に示す矢印Nの方向を「北」、矢印Sの方向を「南」、矢印Eの方向を「東」、矢印Wの方向を「西」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「農作業機」に相当)は、機体10、刈取部H(本発明に係る「収穫装置」及び「作業装置」に相当)、脱穀装置13、穀粒タンク14(本発明に係る「収穫物タンク」に相当)、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80を備えている。また、機体10は、クローラ式の走行装置11、運転部12、エンジンEGを有している。
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジンEGからの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
刈取部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送部16は、刈取部Hの後側に設けられている。また、刈取部Hは、刈刃15及びリール17を含んでいる。
刈刃15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。刈刃15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送部16へ送られる。
この構成により、刈取部Hは、圃場の穀物(本発明に係る「農作物」、「収穫物」に相当)を収穫する。そして、コンバイン1は、刈刃15によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
即ち、コンバイン1は、圃場の穀物を収穫する刈取部Hを備えている。
また、圃場の穀物を収穫することは、本発明に係る「作業」に相当する。即ち、コンバイン1は、圃場において作業を行う刈取部Hを備えている。
刈取部Hにより収穫された刈取穀稈は、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、刈取穀稈は脱穀装置13へ搬送される。
脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒(本発明に係る「収穫物」に相当)は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
即ち、コンバイン1は、刈取部Hによって収穫された穀物を貯留する穀粒タンク14を備えている。
また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
ここで、コンバイン1は、図2に示すように圃場における外周側の領域で穀物を収穫しながら圃場の境界OBに沿って周回走行を行った後、図3に示すように圃場における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場の穀物を収穫するように構成されている。
本実施形態においては、図2に示す周回走行は、手動操舵走行及び自動操舵走行により行われる。また、図3に示す内側の領域での刈取走行は、自動走行により行われる。即ち、コンバイン1は、自動走行が可能である。
尚、本発明はこれに限定されず、図2に示す周回走行は自動走行により行われても良い。また、本明細書において、自動操舵走行とは、αターンやUターン等の大きな方向転換のない前進走行を自動で行うことを意味する。また、本明細書において、自動走行とは、αターンやUターン等の大きな方向転換を含む走行を自動で行うことを意味する。
また、図1に示すように、運転部12には、主変速レバー19(本発明に係る「主変速操作具」に相当)が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータが主変速レバー19を操作すると、コンバイン1の車速が変化する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行または自動操舵走行を行っているとき、オペレータは、主変速レバー19を操作することにより、コンバイン1の車速を変更することができる。
また、図1に示すように、運転部12には、操舵操作具41が設けられている。コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータが操舵操作具41を操作すると、走行装置11における左右のクローラの間に速度差が生じるように構成されている。これにより、コンバイン1が旋回する。即ち、コンバイン1が手動操舵走行を行っているとき、オペレータは、操舵操作具41を操作することにより、コンバイン1の操舵を行うことができる。
即ち、コンバイン1は、操舵のための操舵操作具41を備えている。
尚、コンバイン1は、操舵操作具41への操作力が走行装置11へ伝達されないように構成されている。即ち、操舵操作具41は、走行装置11に機械的に連動するものではない。オペレータが操舵操作具41を操作すると、操舵操作具41の動きが電気的に検知され、この検知に基づいて、走行装置11における左右のクローラが制御される。これにより、左右のクローラの間に速度差が生じると、コンバイン1は旋回する。また、左右のクローラの間に速度差がない状態では、コンバイン1は直進する。
〔動力伝達に関する構成〕
図4に示すように、コンバイン1は、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2を備えている。エンジンEGから出力された動力は、走行装置11及び脱穀クラッチC1に分配される。
走行装置11は、主変速装置11a及び副変速装置11bを有している。本実施形態において、主変速装置11aは、静油圧式無段変速装置により構成されている。また、副変速装置11bは、ギヤ切替式の変速装置により構成されており、高速状態と低速状態との間で切替可能に構成されている。尚、高速状態は移動用(非作業用)の変速状態であり、低速状態は作業用の変速状態である。
エンジンEGから走行装置11に入力された動力は、主変速装置11a及び副変速装置11bにより変速される。そして、変速された動力によって、走行装置11のクローラが駆動することにより、コンバイン1が走行する。
図5に示すように、主変速レバー19は、前後方向に揺動操作可能に構成されている。主変速レバー19の可動域は、前進用操作位置FP、中立位置NP、後進用操作位置RPの3つに区画されている。そして、主変速レバー19が操作されることにより、主変速装置11aの変速状態が変化する。
主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置しているとき、主変速装置11aは、前進用の変速状態である。このとき、主変速レバー19を前側に倒すほど、主変速装置11aから出力される動力は高速となる。
主変速レバー19が中立位置NPに位置しているとき、主変速装置11aは、中立状態である。このとき、主変速装置11aは、動力を出力しない。
主変速レバー19が後進用操作位置RPに位置しているとき、主変速装置11aは、後進用の変速状態である。このとき、主変速レバー19を後側に倒すほど、主変速装置11aから出力される動力は高速となる。
また、図5に示すように、主変速レバー19に、副変速スイッチ42が設けられている。副変速スイッチ42が押し操作されるたびに、副変速装置11bの変速状態は、高速状態と低速状態との間で切り替わる。
図4に示す脱穀クラッチC1は、動力を伝達する入状態と、動力を伝達しない切状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
脱穀クラッチC1が入状態であるとき、エンジンEGからの動力は、脱穀装置13及び刈取クラッチC2へ伝達される。これにより、脱穀装置13は駆動する。
また、脱穀クラッチC1が切状態であるとき、エンジンEGからの動力は、脱穀装置13及び刈取クラッチC2の何れにも伝達されない。このとき、脱穀装置13は駆動しない。
また、刈取クラッチC2は、動力を伝達する入状態と、動力を伝達しない切状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
脱穀クラッチC1と刈取クラッチC2との両方が入状態であるとき、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達される。これにより、刈取部Hは駆動する。
また、刈取クラッチC2が切状態であるとき、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達されない。このとき、刈取部Hは駆動しない。
また、脱穀クラッチC1が切状態であるときも、エンジンEGからの動力は、刈取部Hへ伝達されない。このとき、刈取部Hは駆動しない。
図4及び図6に示すように、コンバイン1は、刈取脱穀レバー43を備えている。刈取脱穀レバー43は、運転部12に設けられている。図6に示すように、刈取脱穀レバー43は、前後方向に揺動操作可能に構成されている。そして、刈取脱穀レバー43は、第1操作位置M1、第2操作位置M2、第3操作位置M3の間で、操作位置を択一的に切り替えることができるように構成されている。刈取脱穀レバー43が操作されることにより、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2の入切状態が変化する。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1であるとき、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2は、何れも入状態である。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2であるとき、脱穀クラッチC1は入状態であり、刈取クラッチC2は切状態である。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第3操作位置M3であるとき、脱穀クラッチC1及び刈取クラッチC2は、何れも切状態である。
〔制御部に関する構成〕
図4に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。制御部20は、自車位置算出部21、領域算出部22、第1経路算出部23、走行制御部24を有している。
ここで、本実施形態においては、RTK-GPS(Real Time Kinematic GPS)が採用されている。図1に示す衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データと、を受信する。そして、図4に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づく測位データと、基準局から受け取った測位データと、を自車位置算出部21へ送る。
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80から受け取った測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、領域算出部22及び走行制御部24へ送られる。
一般に、RTK-GPS測位においては、GPS衛星とGPS受信機との距離をN×λ+φ×λ+c×dT+c×dtとして、整数値バイアスと呼ばれるNを求める。これにより、高精度な測位が可能となる。尚、λは搬送波の波長である。また、φはGPS衛星とGPS受信機との間の波数の小数部である。また、cは電波伝搬速度、dTはGPS衛星の時計誤差、dtはGPS受信機の時計誤差である。
そして、このNが整数解として定まった状態は、FIXと呼ばれる。また、このときの測位結果は、FIX解と呼ばれる。
また、Nが整数解として定まっていない状態は、FLOATと呼ばれる。このときの測位結果は、FLOAT解と呼ばれる。FIX解はセンチメータ精度であるのに対して、FLOAT解は数十センチから数メータの精度となる。
そして、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位において、FIX解が得られている状態は、本発明に係る「高精度状態」に相当する。
尚、本発明はこれに限定されない。衛星測位モジュール80は、GPSを利用するものでなくても良い。例えば、衛星測位モジュール80は、GPS以外のGNSS(GLONASS、Galileo、みちびき、BeiDou等)を利用するものであっても良い。
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示すように、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。
より具体的には、領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
例えば、図2においては、圃場の外周側における周回走行のためのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。図2に示す例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行う。そして、この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場は、図3に示す状態となる。
図3に示すように、領域算出部22は、コンバイン1が穀物を収穫しながら周回走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を、作業対象領域CAとして算出する。
そして、図4に示すように、領域算出部22による算出結果は、第1経路算出部23へ送られる。
第1経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、作業対象領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LIを算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。また、複数のメッシュ線は直線でなくても良く、湾曲していても良い。
図4に示すように、第1経路算出部23により算出された刈取走行経路LIは、走行制御部24へ送られる。
また、図4に示すように、コンバイン1は、慣性計測装置81を備えている。また、制御部20は、自車方位算出部25(本発明に係る「機体方位算出部」に相当)を有している。
慣性計測装置81は、機体10のヨー角度の角速度、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を経時的に検知する。慣性計測装置81による検知結果は、自車方位算出部25へ送られる。
自車方位算出部25は、自車位置算出部21から、コンバイン1の位置座標を受け取る。そして、自車方位算出部25は、慣性計測装置81による検知結果と、コンバイン1の位置座標と、に基づいて、コンバイン1の姿勢方位(本発明に係る「機体方位」に相当)を算出する。
即ち、コンバイン1は、コンバイン1の姿勢方位を算出する自車方位算出部25を備えている。
より具体的には、まず、コンバイン1の走行中に、現在のコンバイン1の位置座標、及び、直前に走行していた地点におけるコンバイン1の位置座標に基づいて、自車方位算出部25は、初期姿勢方位を算出する。次に、初期姿勢方位が算出されてからコンバイン1が一定時間走行すると、自車方位算出部25は、その一定時間の走行の間に慣性計測装置81により検知された角速度を積分処理することにより、姿勢方位の変化量を算出する。
そして、このように算出された姿勢方位の変化量を初期姿勢方位に足し合わせることによって、自車方位算出部25は、姿勢方位の算出結果を更新する。その後、一定時間毎に、姿勢方位の変化量が同様に算出されると共に、順次、姿勢方位の算出結果が更新されていく。
ところで、慣性計測装置81により検知される角速度には、計測誤差(ドリフト)が含まれている。この計測誤差は時間経過と共に増大していくため、姿勢方位の変化量を算出する度に、算出された姿勢方位の変化量に含まれる誤差が大きくなっていく。
そこで、自車方位算出部25は、慣性計測装置81による検知結果に基づいて算出された姿勢方位を、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報によって補正するように構成されている。尚、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報は、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した場合に、高精度となる。そのため、自車方位算出部25は、コンバイン1の位置座標の変化に基づき算出される方位情報による補正を、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した場合にのみ行う。
尚、本明細書において、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られており、且つ、コンバイン1が数メートル以上に亘って直進した状態、及び、コンバイン1の位置座標の変化に基づいて高精度な方位情報が算出される状態を、高精度方位算出状態と呼称する。
以上で説明した構成により、自車方位算出部25は、コンバイン1の姿勢方位を高精度に算出することができる。自車方位算出部25により算出されたコンバイン1の姿勢方位は、走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、自車方位算出部25から受け取ったコンバイン1の姿勢方位と、第1経路算出部23から受け取った刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。
即ち、コンバイン1は、走行装置11を有する機体10の走行を制御する走行制御部24を備えている。
ここで、走行制御部24は、オペレータが自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことに応じて、刈取走行経路LIに沿った自動走行を開始するように構成されている。
作業対象領域CAにおける自動走行が開始されると、図3に示すように、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、方向転換と、を繰り返すことにより、作業対象領域CAの全体を網羅するように刈取走行を行う。
尚、本実施形態においては、図3に示すように、圃場外に運搬車CVが駐車している。そして、外周領域SAにおいて、運搬車CVの近傍位置には、停車位置PPが設定されている。
運搬車CVは、コンバイン1が穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバイン1は停車位置PPに停車し、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
図4に示すように、通信端末4は、排出ボタン4a(本発明に係る「排出操作具」に相当)を有している。コンバイン1が自動走行を行っているとき、オペレータが排出ボタン4aを操作すると、所定の信号が走行制御部24へ送られる。
走行制御部24は、この信号を受け取ると、排出作業を実行する。排出作業とは、穀粒タンク14から穀粒を排出する作業である。排出作業において、走行制御部24は、コンバイン1が作業対象領域CAにおける刈取走行を中断して停車位置PPへ向かうように、コンバイン1の走行を制御する。
即ち、コンバイン1は、操作されることにより穀粒タンク14から穀粒を排出する作業である排出作業が実行される排出ボタン4aを備えている。
尚、コンバイン1が停車位置PPへ向かって走行することは、本発明における「排出作業」の具体例である。
コンバイン1が停車位置PPで停車した状態で、オペレータが排出用リモコンを操作することにより、穀粒タンク14から、穀粒排出装置18によって穀粒が運搬車CVへ排出される。
尚、本発明はこれに限定されず、コンバイン1が停車位置PPで停車した状態で、運搬車CVへの穀粒の排出が自動的に行われても良い。
尚、制御部20、及び、制御部20に含まれる自車位置算出部21等の各要素は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。
〔刈取部の昇降操作に関する構成〕
図1に示すように、コンバイン1は、刈取シリンダ15Aを備えている。また、図4に示すように、コンバイン1は、刈取昇降操作具44を備えている。
刈取昇降操作具44は、運転部12に設けられている。制御部20は、オペレータによる刈取昇降操作具44の操作に応じて、刈取シリンダ15Aの伸縮を制御するように構成されている。
刈取シリンダ15Aが伸びると、搬送部16及び刈取部Hは、一体的に、刈取部Hが上昇する方向に揺動する。これにより、刈取部Hは、機体10に対して上昇する。
また、刈取シリンダ15Aが縮むと、搬送部16及び刈取部Hは、一体的に、刈取部Hが下降する方向に揺動する。これにより、刈取部Hは、機体10に対して下降する。
この構成により、オペレータは、刈取昇降操作具44を操作することによって、刈取部Hの昇降操作を行うことができる。
〔自動操舵走行に関する構成〕
図4に示すように、制御部20は、自動操舵制御部30を有している。コンバイン1が自動走行を行っていないとき、自動操舵制御部30は、走行制御部24の制御モードを、第1モードと第2モードとの間で切り替えることができるように構成されている。
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、コンバイン1が自動操舵走行を行うように、走行装置11を制御する。
また、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、走行制御部24に、操舵操作具41の操作に応じた信号が入力される。そして、走行制御部24は、この信号に応じて、機体10の走行を制御する。
即ち、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、走行制御部24は、操舵操作具41の操作に応じて機体10の走行を制御する。
この構成により、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10は、操舵操作具41の操作に応じて走行する。これにより、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、手動操舵走行を行う。
以下では、自動操舵走行に関する構成について詳述する。
図4に示すように、自動操舵制御部30は、方位決定部31、第2経路算出部32、モード切替部33、直進判定部34を備えている。
直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かを判定する。
詳述すると、操舵操作具41の操作状態を示す信号が、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ送られる。直進判定部34は、この信号に基づいて、操舵操作具41が操作されているか否かを経時的に判定する。
そして、直進判定部34は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作されていない間のコンバイン1の移動距離を算出する。算出された移動距離が所定距離D1に達した場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定する。また、算出された移動距離が所定距離D1に達しない場合、直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進していないと判定する。
そして、方位決定部31は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定された場合、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TA(図9参照)を決定する。
より具体的には、方位決定部31は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標に基づいて、操舵操作具41が操作されていない間のコンバイン1の位置座標の推移を記憶する。そして、直進判定部34により、機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定されたとき、方位決定部31は、記憶している位置座標のうちの2地点を、第1登録地点Q1及び第2登録地点Q2として決定する。
このとき、方位決定部31は、直進判定部34によって機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定された時点でのコンバイン1の位置座標を、第2登録地点Q2として決定する。また、所定距離D1に亘って行われた直進の開始時点でのコンバイン1の位置座標を、第1登録地点Q1として決定する。
言い換えれば、所定距離D1に亘って行われた直進の始点及び終点が、それぞれ、第1登録地点Q1及び第2登録地点Q2として決定される。
そして、方位決定部31は、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とに基づいて、自動操舵のための基準方位TAを決定する。より具体的には、方位決定部31は、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を算出する。
ここで、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向は、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に等しい。即ち、方位決定部31は、所定距離D1に亘って行われた直進の方向を算出する。そして、方位決定部31は、算出された方向を、基準方位TAとして決定する。
基準方位TAの形式は、特に限定されないが、例えば、東西南北を基準とした形式(例えば、「北」や「北27度東」等)であっても良いし、座標系における単位ベクトルであっても良い。
また、基準方位TAは、一方から他方への向きを有するものでなくても良い。例えば、基準方位TAは、座標系における直線の傾き(例えば、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とを通る直線の傾き)を示すものであっても良いし、座標系における直線そのもの(例えば、第1登録地点Q1と第2登録地点Q2とを通る直線そのもの)を示すものであっても良いし、東西南北を基準として方向を示すもの(例えば、「南北方向」や「東西方向」等)であっても良い。
以上で説明した方法により、方位決定部31は、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定する。
尚、本発明はこれに限定されない。直進判定部34は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定時間に亘って直進したか否かを判定するように構成されていても良い。そして、この場合、方位決定部31は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定時間に亘って直進したと判定された場合、所定時間に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定するように構成されていても良い。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したか否かを判定する直進判定部34を備えている。また、方位決定部31は、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、所定距離D1または所定時間に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定する。
尚、所定距離D1は、特に限定されないが、例えば1メートルであっても良い。また、所定時間は、特に限定されないが、例えば1秒であっても良い。
方位決定部31が基準方位TAを決定した後、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。即ち、この走行ラインは、基準方位TAに基づいて算出される。そして、オペレータが自動操舵開始終了ボタン(図示せず)を操作すると、モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第2モードから第1モードに切り替える。
走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わると、第2経路算出部32は、制御モードが第2モードから第1モードに切り替わった時点で算出されていた走行ラインを固定する。固定された走行ラインは、自動操舵目標ラインGL(本発明に係る「走行経路」に相当)(図9参照)となり、自動操舵制御部30から走行制御部24へ送られる。即ち、第2経路算出部32は、制御モードが第2モードから第1モードに切り替わったタイミングで、そのときに算出していた走行ラインを自動操舵目標ラインGLとして決定する。
走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、自車方位算出部25から受け取ったコンバイン1の姿勢方位と、自動操舵制御部30から受け取った自動操舵目標ラインGLと、に基づいて、コンバイン1の走行を制御する。より具体的には、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行によって刈取走行が行われるように、機体10の走行を制御する。
尚、このように、基準方位TAは、自動操舵のためのものである。即ち、コンバイン1は、自動操舵のための基準方位TAを決定する方位決定部31を備えている。
また、本発明は、以上で説明した構成に限定されない。走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、自動操舵目標ラインGLに代えて、基準方位TAに基づいて機体10の走行を制御しても良い。この場合、走行制御部24は、コンバイン1の姿勢方位が基準方位TAに合うように、または、基準方位TAに対して平行となるように、機体方位を制御しても良い。
即ち、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、走行制御部24は、基準方位TA、または、基準方位TAに基づいて算出された自動操舵目標ラインGLに基づいて機体10の走行を制御する。
尚、本実施形態において、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、オペレータが自動操舵開始終了ボタンを操作すると、モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第1モードから第2モードに切り替える。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替えるモード切替部33を備えている。
ところで、図4に示すように、コンバイン1は、報知部53を備えている。走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったとき、自動操舵制御部30は、所定の信号を報知部53へ送る。この信号に応じて、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。
即ち、コンバイン1は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わった場合に報知を行う報知部53を備える。
また、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったとき、自動操舵制御部30は、所定の信号を報知部53へ送る。この信号に応じて、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。
本実施形態において、報知部53は、音声を出力するスピーカーである。ただし、本発明はこれに限定されず、報知部53は、ランプや表示装置等であっても良い。
以上で説明した通り、モード切替部33は、オペレータが自動操舵開始終了ボタンを操作することに応じて、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える。
ここで、モード切替部33は、自動操舵開始終了ボタンが操作されなくとも、状況に応じて、走行制御部24の制御モードを第1モードと第2モードとの間で自動的に切り替えるように構成されている。以下では、制御モードの自動的な切り替えについて詳述する。
〔第2モードから第1モードへの切り替えについて〕
モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されている。また、モード切替部33は、開始条件が満たされていない場合には走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えないように構成されている。
尚、本発明はこれに限定されない。モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定時間に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されていても良い。
即ち、モード切替部33は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されていると共に、開始条件が満たされていない場合には走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えないように構成されている。
そして、図7に示す第1判定ルーチンによって、この開始条件が満たされているか否かが判定される。この第1判定ルーチンは、自動操舵制御部30に格納されている。自動操舵制御部30は、この第1判定ルーチンを、走行制御部24の制御モードが第2モードであるときに、一定時間毎に繰り返し実行する。
以下では、図4及び図7を参照し、第1判定ルーチンについて説明する。
第1判定ルーチンが開始されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、主変速レバー19の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置しているか否かが判定される。
主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置していない場合、ステップS01でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置している場合、ステップS01でYesと判定され、処理はステップS02へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、副変速スイッチ42の操作信号を受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、副変速装置11bの変速状態を判定可能に構成されている。
ステップS02では、副変速装置11bが作業用の変速状態であるか否かが判定される。より具体的には、副変速装置11bが低速状態であるか否かが判定される。
副変速装置11bが低速状態でない場合、ステップS02でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、副変速装置11bが低速状態である場合、ステップS02でYesと判定され、処理はステップS03へ移行する。
ステップS03では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、自車位置算出部21から、上述のFIX解が得られているか否かを示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、機***置の測位状態が所定の高精度状態であるか否かが判定される。より具体的には、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られているか否かが判定される。
衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られていない場合、ステップS03でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られている場合、ステップS03でYesと判定され、処理はステップS04へ移行する。
ステップS04では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、刈取脱穀レバー43の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、刈取クラッチC2が入状態であるか否かが判定される。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2または第3操作位置M3である場合、ステップS04でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1である場合、ステップS04でYesと判定され、処理はステップS05へ移行する。
ここで、図4に示すように、コンバイン1は、昇降検知部54を備えている。昇降検知部54は、刈取シリンダ15Aの伸縮状態を検知する。昇降検知部54による検知結果は、自動操舵制御部30へ送られる。そして、自動操舵制御部30は、昇降検知部54による検知結果に基づいて、刈取部Hが作業位置に位置しているか否かを判定可能に構成されている。
尚、本実施形態においては、刈取部Hの最上昇位置からの下降量が所定値以上であることが、刈取部Hが作業位置に位置していることに相当する。
ステップS05では、刈取部Hが作業位置に位置しているか否かが判定される。刈取部Hが作業位置に位置していない場合、ステップS05でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、刈取部Hが作業位置に位置している場合、ステップS05でYesと判定され、処理はステップS06へ移行する。
ステップS06では、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かが判定される。この判定は、上述のように、直進判定部34により行われる。
機体10が所定距離D1に亘って直進していない場合、ステップS06でNoと判定され、処理は一旦終了する。また、機体10が所定距離D1に亘って直進した場合、ステップS06でYesと判定され、処理はステップS07へ移行する。
ステップS07では、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に基づいて、基準方位TAが決定される。この決定は、上述のように、方位決定部31により行われる。そして、処理はステップS08へ移行する。
ステップS08では、モード切替部33によって、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられる。そして、処理はステップS09へ移行する。
ステップS09では、報知部53は、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知を行う。その後、処理は一旦終了する。
以上の説明から理解されるように、本実施形態において、上述の開始条件には、ステップS01からステップS05の全てにおいてYesと判定されることが含まれている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ステップS01からステップS05のうちの一部が設けられていなくても良い。
即ち、開始条件には、主変速レバー19が前進用操作位置FPに位置していること、副変速装置11bが作業用の変速状態であること、機***置の測位状態が所定の高精度状態であること、刈取部Hへの動力伝達のためのクラッチが入状態となっていること、刈取部Hが作業位置に位置していること、のうちの少なくとも一つが含まれている。
尚、図7に示すように、本実施形態において、方位決定部31は、所定の開始条件が満たされており、且つ、直進判定部34により機体10が所定距離D1に亘って直進したと判定された場合、所定距離D1に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定する。また、方位決定部31は、開始条件が満たされていない場合には基準方位TAを決定しない。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、方位決定部31は、所定の開始条件が満たされているか否かとは無関係に、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、所定距離D1または所定時間に亘って行われた直進の方向に基づいて基準方位TAを決定するように構成されていても良い。
〔第1モードから第2モードへの切り替えについて〕
モード切替部33は、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、所定の解除条件が満たされた場合に、走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されている。
そして、図8に示す第2判定ルーチンによって、この解除条件が満たされているか否かが判定される。この第2判定ルーチンは、自動操舵制御部30に格納されている。自動操舵制御部30は、この第2判定ルーチンを、走行制御部24の制御モードが第1モードであるときに、一定時間毎に繰り返し実行する。
以下では、図4及び図8を参照し、第2判定ルーチンについて説明する。
第2判定ルーチンが開始されると、まず、ステップS11の処理が実行される。ステップS11では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、主変速レバー19の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、主変速レバー19が前進用操作位置FP以外の操作位置に操作されたか否かが判定される。より具体的には、主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置しているか否かが判定される。
主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置している場合、ステップS11でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、主変速レバー19が中立位置NPまたは後進用操作位置RPに位置していない場合、ステップS11でNoと判定され、処理はステップS12へ移行する。
ステップS12では、副変速装置11bが作業用の変速状態でなくなったか否かが判定される。より具体的には、副変速装置11bが高速状態であるか否かが判定される。
副変速装置11bが高速状態である場合、ステップS12でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、副変速装置11bが高速状態でない場合、ステップS12でNoと判定され、処理はステップS13へ移行する。
ステップS13では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、自車位置算出部21から、上述のFIX解が得られているか否かを示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、機***置の測位状態が所定の高精度状態でなくなったか否かが判定される。より具体的には、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られない状態であるか否かが判定される。言い換えれば、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位の状態がFLOATであるか否かが判定される。
衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られていない場合、ステップS13でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、衛星測位モジュール80及び自車位置算出部21によるRTK-GPS測位においてFIX解が得られている場合、ステップS13でNoと判定され、処理はステップS14へ移行する。
ステップS14では、図4に示すように、自動操舵制御部30が、刈取脱穀レバー43の操作位置を示す情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて、刈取クラッチC2が切状態になったか否かが判定される。
刈取脱穀レバー43の操作位置が第2操作位置M2または第3操作位置M3である場合、ステップS14でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取脱穀レバー43の操作位置が第1操作位置M1である場合、ステップS14でNoと判定され、処理はステップS15へ移行する。
ステップS15では、刈取部Hが非作業位置に移動したか否かが判定される。尚、本実施形態においては、刈取部Hの最上昇位置からの下降量が所定値以下であることが、刈取部Hが非作業位置に位置していることに相当する。刈取部Hが非作業位置に位置している場合、ステップS15でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取部Hが非作業位置に位置していない場合、ステップS15でNoと判定され、処理はステップS16へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、刈取昇降操作具44の操作信号を受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われたか否かを判定可能に構成されている。
ステップS16では、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われたか否かが判定される。より具体的には、刈取部Hが上昇操作されたか否かが判定される。
刈取部Hが上昇操作された場合、ステップS16でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、刈取部Hが上昇操作されていない場合、ステップS16でNoと判定され、処理はステップS17へ移行する。
ステップS17では、操舵操作具41から自動操舵制御部30へ送られる操舵操作具41の操作状態を示す信号に基づいて、操舵操作具41が操作されたか否かが判定される。操舵操作具41が操作された場合、ステップS17でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、操舵操作具41が操作されていない場合、ステップS17でNoと判定され、処理はステップS18へ移行する。
ここで、図4に示すように、自動操舵制御部30は、排出ボタン4aの操作信号を通信端末4から受け取るように構成されている。そして、自動操舵制御部30は、この操作信号に基づいて、排出ボタン4aが操作されたか否かを判定可能に構成されている。
ステップS18では、排出ボタン4aが操作されたか否かが判定される。排出ボタン4aが操作された場合、ステップS18でYesと判定され、処理はステップS19へ移行する。また、排出ボタン4aが操作されていない場合、ステップS18でNoと判定され、処理は一旦終了する。
ステップS19では、モード切替部33によって、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替えられる。その後、処理は一旦終了する。
尚、ステップS19において、制御モードが切り替わった後、報知部53により、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードへ切り替わったことをオペレータへ知らせるための報知が行われても良い。
以上の説明から理解されるように、本実施形態において、上述の解除条件は、ステップS11からステップS18の何れかにおいてYesと判定されることである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ステップS11からステップS17のうちの一部が設けられていなくても良い。
この場合、解除条件には、主変速レバー19が前進用操作位置FP以外の操作位置に操作されること、副変速装置11bが作業用の変速状態でなくなること、機***置の測位状態が所定の高精度状態でなくなること、刈取部Hへの動力伝達のためのクラッチが切状態になること、刈取部Hが非作業位置に移動すること、刈取部Hを非作業位置に移動させるための操作が行われること、操舵操作具41が操作されること、のうちの少なくとも一つが含まれている。また、解除条件には、排出ボタン4aが操作されることが含まれている。
また、本発明はこれに限定されず、ステップS18が設けられている場合、ステップS11からステップS17の全てが設けられていなくても良い。
また、以上で説明したように、モード切替部33は、解除条件に含まれる複数の条件のうち、少なくとも一つが満たされた場合に、走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。モード切替部33は、解除条件に含まれる複数の条件のうち、二つ以上の所定個数の条件が満たされた場合に走行制御部24の制御モードを第2モードに切り替えるように構成されていても良い。
ここで、第1判定ルーチンによって、基準方位TAが決定されると共に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる場合について、例を挙げて説明する。
図9及び図10に示す例では、コンバイン1は、図2に示した圃場において、圃場の外周側における周回走行を行っている。このとき、コンバイン1は、周回走行の1周目を走行している。
図9において、コンバイン1は、まず、圃場の北東部の第1地点P1から圃場に進入する。このとき、走行制御部24の制御モードは第2モードである。また、このとき、基準方位TAは、まだ決定されていないものとする。そして、コンバイン1は、圃場の北端において、西へ向かって走行する。
次に、コンバイン1は、第2地点P2を通過する。この時点で、オペレータが、操舵操作具41を直進状態に操作するものとする。これにより、コンバイン1は、第2地点P2から直進する。
この例では、コンバイン1が第2地点P2を通過してから第3地点P3に到達するまでの間、オペレータは、操舵操作具41を操作しないものとする。また、第2地点P2から第3地点P3までの距離が、所定距離D1であるとする。また、コンバイン1が第3地点P3に到達した時点で、図7に示した第1判定ルーチンのステップS01からステップS05でYesと判定される状態であるとする。
この場合、コンバイン1が第3地点P3に到達した時点で、第1判定ルーチンのステップS06においてYesと判定される。これにより、方位決定部31は、基準方位TAを決定する。
このとき、方位決定部31は、第2地点P2を第1登録地点Q1として決定する。また、方位決定部31は、第3地点P3を第2登録地点Q2として決定する。そして、方位決定部31は、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。図9において、基準方位TAは、西の方角に一致する。
その後、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。この例において、第2経路算出部32は、東西方向に延びる走行ラインを算出することとなる。
ただし、この例では、基準方位TAが算出された直後に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる。そのため、基準方位TAが算出された直後に、走行ラインが固定され、自動操舵目標ラインGLとなる。また、この自動操舵目標ラインGLは、第2地点P2と第3地点P3とを通ることとなる。また、この自動操舵目標ラインGLは、圃場の北端部において、東西方向に延びている。
そして、図9に示すように、コンバイン1は、第3地点P3から、自動操舵走行を開始する。これにより、コンバイン1は、圃場の北端において西へ向かって自動操舵走行を行う。
その後、コンバイン1が圃場の西端に到達すると、オペレータは、操舵操作具41等を操作して、コンバイン1の進行方向を南方へ変更する。これにより、図8に示した第2判定ルーチンのステップS17においてYesと判定され、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わる。
この時点で、第2経路算出部32により算出された走行ラインの固定は解除される。そして、この時点から、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。この例において、第2経路算出部32は、東西方向に延びる走行ラインを算出することとなる。
そして、図10に示すように、コンバイン1は、第4地点P4を通過する。この時点で、オペレータが、操舵操作具41を直進状態に操作するものとする。これにより、コンバイン1は、第4地点P4から直進する。
この例では、コンバイン1が第4地点P4を通過してから第5地点P5に到達するまでの間、オペレータは、操舵操作具41を操作しないものとする。また、第4地点P4から第5地点P5までの距離が、所定距離D1であるとする。また、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点で、図7に示した第1判定ルーチンのステップS01からステップS05でYesと判定される状態であるとする。
この場合、コンバイン1が第5地点P5に到達した時点で、第1判定ルーチンのステップS06においてYesと判定される。これにより、方位決定部31は、新たな基準方位TAを決定することにより、基準方位TAを更新する。
このとき、方位決定部31は、既に決定されていた基準方位TAを破棄する。即ち、図9に示した西向きの基準方位TAは、この時点で破棄される。そして、方位決定部31は、第4地点P4を第1登録地点Q1として決定する。また、方位決定部31は、第5地点P5を第2登録地点Q2として決定する。そして、方位決定部31は、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を算出し、この方向を基準方位TAとして決定する。図10において、基準方位TAは、南の方角に一致する。
その後、第2経路算出部32は、刈取部Hの刈幅中心を通ると共に基準方位TAに沿う方向の走行ラインを常時算出する。この例において、第2経路算出部32は、南北方向に延びる走行ラインを算出することとなる。
ただし、この例では、基準方位TAが算出された直後に、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替わる。そのため、基準方位TAが算出された直後に、走行ラインが固定され、自動操舵目標ラインGLとなる。また、この自動操舵目標ラインGLは、第4地点P4と第5地点P5とを通ることとなる。また、この自動操舵目標ラインGLは、圃場の西端部において、南北方向に延びている。
そして、図10に示すように、コンバイン1は、第5地点P5から、自動操舵走行を開始する。これにより、コンバイン1は、圃場の西端において南へ向かって自動操舵走行を行う。
〔推奨走行経路について〕
図4に示すように、制御部20は、推奨経路算出部26を有している。推奨経路算出部26は、圃場における推奨走行経路RL(図11参照)を算出する。
即ち、コンバイン1は、圃場における推奨走行経路RLを算出する推奨経路算出部26を備えている。以下では、推奨走行経路RLについて詳述する。
圃場が矩形ではない場合に、上述の周回走行において、圃場の未刈領域AA(本発明に係る「未作業領域」に相当)が矩形に近づくように走行することにより、作業対象領域CAを矩形にすることができる。
例えば、図11には、矩形でない圃場が示されている。この圃場は、五角形であり、圃場の東部が東側へ突出した形状を有している。また、図11には、推奨経路算出部26により算出された推奨走行経路RLが示されている。コンバイン1が推奨走行経路RLに沿って周回走行を行うことにより、作業対象領域CAは矩形となる。
詳述すると、この周回走行の1周目では、第1領域A1の植立穀稈が刈り取られる。また、2周目では、第2領域A2の植立穀稈が刈り取られる。また、3周目では、第3領域A3の植立穀稈が刈り取られる。尚、植立穀稈が刈り取られた領域は、既刈領域BA(本発明に係る「既作業領域」に相当)となる。
また、図11には、2つの推奨走行経路RLが示されている。一方の推奨走行経路RLは、周回走行の2周目に対応する。他方の推奨走行経路RLは、周回走行の3周目に対応する。
そして、周回走行が完了すると、第4領域A4が未刈のままの状態で残る。この第4領域A4は、矩形である。そして、この第4領域A4が作業対象領域CAとなる。これにより、作業対象領域CAは矩形となる。
この周回走行では、圃場の未刈領域AAは、徐々に矩形に近づいていく。例えば、図11の右下部には、2周目の走行を行うコンバイン1が拡大図にて示されている。この拡大図において、コンバイン1は、第6地点P6から第7地点P7へ走行している。
コンバイン1が第6地点P6に位置しているとき、実刈幅は、刈取部Hの刈幅の半分よりも小さい。尚、本明細書において、実刈幅とは、刈取部Hのうち、植立穀稈を実際に刈り取っている部分の幅である。
また、コンバイン1が第7地点P7に位置しているとき、実刈幅は、刈取部Hの刈幅の半分よりも大きい。コンバイン1がこのように走行することにより、未刈領域AAの東端における外形線が、南北方向に延びる直線状に近づくこととなる。
このように、図11に示す圃場において、コンバイン1が推奨走行経路RLに沿って走行すると、コンバイン1が圃場の東部において北側へ向かって走行する際に、未刈領域AAの東端における外形線が、南北方向に延びる直線状に近づいていく。これにより、未刈領域AAは、徐々に矩形に近づいていくこととなる。
そして、推奨経路算出部26は、図11で示したような推奨走行経路RLを算出するように構成されている。即ち、推奨経路算出部26は、推奨走行経路RLに沿って機体10が走行することによって圃場の未刈領域AAが矩形に近づくように、推奨走行経路RLを算出する。
推奨走行経路RLの算出方法について詳述する。図4に示すように、推奨経路算出部26は、自車位置算出部21から、周回走行の1周目を行っているコンバイン1の経時的な位置座標を受け取る。推奨経路算出部26は、この経時的な位置座標に基づいて、周回走行の1周目におけるコンバイン1の走行軌跡を算出する。
そして、推奨経路算出部26は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、圃場の外形を算出する。そして、算出された圃場の外形に基づいて、推奨走行経路RLを算出する。
また、図4に示すように、算出された推奨走行経路RLを示す情報は、推奨経路算出部26から通信端末4へ送られる。通信端末4は、ディスプレイ4b(本発明に係る「表示部」、「方位表示部」に相当)を有している。通信端末4は、推奨経路算出部26から受け取った情報に基づいて、推奨走行経路RLをディスプレイ4bに表示する。
以下では、推奨走行経路RLの表示について、例を挙げて説明する。
図12に示す例では、コンバイン1は、図11に示した圃場において、圃場の外周側における周回走行を行っている。このとき、コンバイン1は、周回走行の2周目を走行している。また、このとき、走行制御部24の制御モードは、第1モードである。そのため、コンバイン1は、自動操舵目標ラインGLに沿って自動操舵走行を行っている。
そして、図12の下部には、このときのディスプレイ4bにおける表示内容が示されている。ディスプレイ4bは、コンバイン1の現在の機***置と、推奨走行経路RLと、自動操舵目標ラインGLと、を表示している。
即ち、コンバイン1は、機***置及び推奨走行経路RLを表示するディスプレイ4bを備えている。
尚、図12では、自動操舵目標ラインGLは、推奨走行経路RLに重ならないように、推奨走行経路RLから少しずらした位置に表示されている。しかしながら、オペレータが推奨走行経路RLに従ってコンバイン1を走行させている場合は、実際の自動操舵目標ラインGLと、実際の推奨走行経路RLと、は重なることとなる。この場合、自動操舵目標ラインGLと、推奨走行経路RLと、は重なった状態でディスプレイ4bに表示されても良い。
また、図12に示すように、ディスプレイ4bは、未刈領域AAと、既刈領域BAと、を互いに色分けして表示するように構成されていても良い。また、ディスプレイ4bは、コンバイン1の走行済みの領域を所定の色で塗りつぶすことにより、既刈領域BAを表示するように構成されていても良い。
また、図12では、コンバイン1が現在刈取作業を行っている部分は、未刈領域AAに含まれている。即ち、コンバイン1の現在の機***置は、未刈領域AAとして表示されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、コンバイン1の現在の機***置は、既刈領域BAとして表示されても良い。
以上で説明した構成であれば、オペレータが、手動操舵によって機体10を所定距離D1または所定時間に亘って直進させることにより、所定距離D1または所定時間に亘って行われた直進の方向に基づいて、基準方位TAが自動的に決定されることとなる。
即ち、以上で説明した構成であれば、オペレータは、基準方位TAを決定するために、専用のボタン等を操作する必要がない。
従って、以上で説明した構成であれば、基準方位TAの決定のために要する労力を軽減可能なコンバイン1を実現できる。
〔方位指標の表示について〕
以下では、ディスプレイ4bによる方位指標HS(図14参照)の表示について説明する。
図4に示すように、自車方位算出部25により算出されたコンバイン1の姿勢方位は、自車方位算出部25から通信端末4へ送られる。通信端末4は、受け取った姿勢方位に基づいて、図14に示すように、現在のコンバイン1の姿勢方位を示す方位指標HSをディスプレイ4bに表示する。これにより、ディスプレイ4bは、方位指標HSを表示可能である。
即ち、コンバイン1は、自車方位算出部25により算出されたコンバイン1の姿勢方位を示す方位指標HSを表示可能なディスプレイ4bを備えている。
図14から図17に示すように、方位指標HSは、機体前後方向に延びる直線である。また、方位指標HSは、コンバイン1の機体の左右方向中央位置を通るように表示される。また、本実施形態において、方位指標HSは、方位指標HSの両端がディスプレイ4bの端に届く状態で表示されている。
尚、本発明はこれに限定されない。例えば、方位指標HSは、方位指標HSの両端がディスプレイ4bの端に届かない程度の長さであっても良い。また、方位指標HSは、コンバイン1の機体の前方を指す矢印等であっても良い。
また、上述の通り、ディスプレイ4bは、既刈領域BAを表示可能である。既刈領域BAは、本発明に係る「圃場における作業済みの領域」に相当する。そして、図14から図17に示すように、ディスプレイ4bは、方位指標HSと、既刈領域BAと、を同時に表示可能である。
以下では、図14から図17を参照し、コンバイン1の刈取走行に伴う方位指標HSの表示の変化について説明する。図14から図17に示す例において、コンバイン1は、圃場における刈取走行を行っている。
尚、上述の説明では、刈取部Hの刈幅中心を通る走行ラインが固定され、自動操舵目標ラインGLとなるとして説明したが、図14から図17に示す例においては、図7に示した第1判定ルーチンのステップS08にて走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられた時点で、コンバイン1の機体の左右方向中央位置を通る自動操舵目標ラインGLが算出されるものとする。
図14に示す状態において、走行制御部24の制御モードは、第1モードである。そのため、コンバイン1は、自動操舵目標ラインGLに沿って自動操舵走行を行っている。
このとき、方位指標HSは、第1表示状態で表示される。具体的には、方位指標HSは、実線で表示される。また、方位指標HSは、コンバイン1の姿勢方位を示すと同時に、自動操舵目標ラインGLをも示している。
このように、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、ディスプレイ4bは、方位指標HSを第1表示状態で表示する。また、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、方位指標HSは、自動操舵目標ラインGLと一致する。
図14に示す状態から、コンバイン1の刈取走行が進行し、図15に示す状態となったものとする。このとき、オペレータが操舵操作具41等を操作して、コンバイン1は左へ方向転換を行っている。その結果、図8に示した第2判定ルーチンのステップS17においてYesと判定され、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わる。そして、自動操舵目標ラインGLは破棄される。
即ち、図15に示す状態において、走行制御部24の制御モードは、第2モードである。そのため、コンバイン1は、手動操舵走行を行っている。このとき、方位指標HSは、第2表示状態で表示される。具体的には、方位指標HSは、破線で表示される。
このように、走行制御部24の制御モードが第2モードであるとき、ディスプレイ4bは、方位指標HSを第2表示状態で表示する。
即ち、ディスプレイ4bは、走行制御部24の制御モードが第1モードであるときは方位指標HSを第1表示状態で表示し、走行制御部24の制御モードが第2モードであるときは方位指標HSを第1表示状態とは異なる第2表示状態で表示する。
これにより、走行制御部24の制御モードが第1モードから第2モードに切り替わることに応じて、方位指標HSは、第1表示状態から第2表示状態に切り替わることとなる。
図15に示す状態から、コンバイン1の刈取走行が進行し、図16に示す状態となったものとする。図16に示す状態では、コンバイン1は、図14における走行方向に対して垂直な方向に走行している。
図16に示す状態において、走行制御部24の制御モードは、第2モードである。このとき、方位指標HSは、第2表示状態で表示される。具体的には、方位指標HSは、破線で表示される。
図16に示す状態から、コンバイン1が直進を続け、図17に示す状態となったものとする。このとき、図7に示した第1判定ルーチンのステップS06でYesと判定され、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードに切り替えられたものとする。
これにより、方位指標HSは、第2表示状態から第1表示状態に切り替わる。そして、図14に示す状態と同様に、図17に示す状態において、方位指標HSは、コンバイン1の姿勢方位を示すと同時に、自動操舵目標ラインGLをも示している。
尚、本発明は以上で説明した構成に限定されない。図14から図17に示す例において、自動操舵目標ラインGLが、刈取部Hの刈幅中心を通るように算出されても良い。また、方位指標HSが、刈取部Hの刈幅中心を通るように表示されても良い。また、走行制御部24の制御モードが第1モードであるとき、方位指標HSと自動操舵目標ラインGLとが一致していなくても良い。
また、第1表示状態及び第2表示状態は、実線及び破線に限定されず、互いに区別可能であれば、いかなる表示態様であっても良い。例えば、第1表示状態の方位指標HSが赤色の実線であり、第2表示状態の方位指標HSが黄色の実線であっても良い。
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
(2)上記実施形態においては、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線でなくても良い。例えば、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。また、刈取走行経路LIは、別の刈取走行経路LIと直交していなくても良い。また、第1経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であっても良い。
(3)自車位置算出部21、領域算出部22、第1経路算出部23、走行制御部24、自車方位算出部25、推奨経路算出部26、自動操舵制御部30、方位決定部31、第2経路算出部32、モード切替部33、直進判定部34のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理施設や管理サーバに備えられていても良い。
(4)コンバイン1は、自動操舵走行が可能である限りにおいて、自動走行ができないように構成されていても良い。
(5)操舵操作具41と刈取昇降操作具44とは同一の操作具であっても良く、例えば、操作レバーであっても良い。
(6)上述の開始条件に、機体方位の算出状態が所定の高精度状態であることが含まれていても良い。より具体的には、開始条件に、高精度方位算出状態であることが含まれていても良い。
(7)上述の開始条件に、「機体方位が基準方位TAに対して所定角度以内であるか、または、機体方位が基準方位TAに180°を加えた方位に対して所定角度以内であること」が含まれていても良い。
(8)直進判定部34は、機体10が所定距離D1に亘って直進したか否かを判定すると共に、機体10が所定時間に亘って直進したか否かを判定するように構成されていても良い。
(9)上記実施形態においては、手動操舵走行によってコンバイン1を所定距離D1に亘って直進させると、その直進の方向が維持されるように、自動操舵走行が行われることとなる。そのため、中割走行を行う場合、未刈領域AAを斜めに横断してしまいがちである。
ここで、第1登録地点Q1及び第2登録地点Q2が手動で決定可能であると共に、上記実施形態にて説明した処理による基準方位TAの決定の機能を、有効と無効との間で切り替え可能に構成されていても良い。
例えば、コンバイン1が第1登録ボタン(図示せず)及び第2登録ボタン(図示せず)を備えると共に、第1登録ボタンが操作された時点でのコンバイン1の位置座標が第1登録地点Q1として決定され、第2登録ボタンが操作された時点でのコンバイン1の位置座標が第2登録地点Q2として決定されても良い。この場合、方位決定部31は、上記実施形態と同様に、第1登録地点Q1から第2登録地点Q2へ向かう直線の方向を、基準方位TAとして決定しても良い。
この構成であれば、図13に示すように、中割走行を好適に行うことが可能となる。詳述すると、図13に示す例では、周回走行において、第1登録ボタン及び第2登録ボタンの操作により、南向きの基準方位TAが決定されている。
尚、周回走行では、コンバイン1は圃場の境界OBに沿って走行する。そのため、基準方位TAが圃場の境界OBに対して精度良く平行となるように、第1登録地点Q1及び第2登録地点Q2を決定しやすい。
そして、未刈領域AAを2つの領域に分割するようにコンバイン1を走行させる際、オペレータは、自動操舵開始終了ボタンを押す。
これにより、走行制御部24の制御モードが第2モードから第1モードへ切り替わると共に、自動操舵目標ラインGLに沿った自動操舵走行が開始される。この自動操舵目標ラインGLは、南北方向に沿うこととなるため、コンバイン1は、南北方向に沿って正確に走行する。そのため、上記実施形態において中割走行を行う場合に比べて、未刈領域AAを斜めに横断してしまう事態を回避しやすい。
(10)モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第2モードから第1モードに自動的に切り替えることができないように構成されていても良い。この場合、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合に基準方位TAが決定され、且つ、第2モードから第1モードへの切り替えは行われない構成であっても良い。
(11)モード切替部33は、走行制御部24の制御モードを第1モードから第2モードに自動的に切り替えることができないように構成されていても良い。
(12)モード切替部33は、直進判定部34により機体10が所定距離D1または所定時間に亘って直進したと判定された場合、開始条件が満たされているか否かとは無関係に、走行制御部24の制御モードを第1モードに切り替えるように構成されていても良い。
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。