JP7398642B2

JP7398642B2 - インジェクション機構付き圧縮機

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Publication number: JP7398642B2
Application number: JP2021575603A
Authority: JP
Inventors: 健司渡邊; 昭徳福田; 哲広林; 秀人岡; 圭佑野場
Original assignee: Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Current assignee: Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date: 2020-02-03
Filing date: 2020-09-23
Publication date: 2023-12-15
Anticipated expiration: 2040-09-23
Also published as: WO2021157121A1; JPWO2021157121A1; US20230066647A1; EP4102073A1; CN115053068A; EP4102073A4

Description

本発明は、インジェクションサイクルに用いるインジェクション機構付き圧縮機に関するものである。

特許文献１は、従来のインジェクションサイクルに用いるスクロール型のインジェクション機構付き圧縮機を示す。この圧縮機のインジェクション機構は、固定スクロール外面側から圧縮室まで壁厚方向に貫通するインジェクション通路を備え、このインジェクション通路の外面側に逆止弁室を形成し、前記逆止弁室の外面側に、逆止弁となるバルブシートを挟んでインジェクションパイプ付きブロックを組み付けている。インジェクション機構部分のデッドボリュームを小さくして、圧縮流体再膨張等による効率低下を抑制し高効率化を図っている。

特開平１１－１０７９５０号公報

本開示は、上記インジェクション機構の構造を合理化して、固定スクロールを大型化させることなく、高効率で信頼性が高くかつ低コストなインジェクション機構付き圧縮機を提供する。

本開示のインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールの羽根のインボリュート伸開角延長側部分に固定スクロールの外周面から径方向に圧縮室へと繋がるインジェクション通路と前記インジェクション通路の途中に位置する逆止弁室を形成し、前記逆止弁室には前記インジェクション通路を開閉するシート状の逆止弁を配置するともに、前記インジェクション通路の前記圧縮室へと繋がるインジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記固定スクロールの外面に面して開口する形状とし、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室の開口には前記逆止弁を挟持させて蓋体を取り付け、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記蓋体で密閉することにより前記固定スクロール内に前記インジェクション通路を形成した構成としてある。

本開示のインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールの羽根のデッドスペースとなっている羽根のインボリュート伸開角延長側部分に、インジェクション通路及び逆止弁室を形成し逆止弁を設けてインジェクション機構部を構成している。よって、固定スクロールを大きくすることなくインジェクション機構部の逆止弁となるバルブシートの全長を長くし、その開閉ストロークを大きくしてインジェクション流体の流れを円滑化できる。そして、インジェクション効率を高め、バルブシートの信頼性を向上させることができる。また、先行文献技術のようなインジェクションパイプ付きブロック等の別部品を後付けすることなく、固定スクロール単体でインジェクション機構部を組み立てることができるので、組み立て性が向上し、且つ、固定スクロール外面に装着固定するマフラー形成用蓋等の部品の共用化も進めて低コスト化を図ることができる。したがって、信頼性が高く高効率かつ低コストなインジェクション機構付きの圧縮機とすることができる。

実施の形態１におけるインジェクション機構付き圧縮機の縦断面図同インジェクション機構付き圧縮機の圧縮機構部分を示す拡大断面図同インジェクション機構付き圧縮機の固定スクロールを上から見た平面図同インジェクション機構付き圧縮機の固定スクロールの要部を示す拡大平面図図４のＡ－Ａ線断面図実施の形態１におけるインジェクション機構付き圧縮機の蓋体を示す斜視図

（本開示の基礎となった知見等）
発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献１に記載されたインジェクション機構付きスクロール圧縮機があった。このインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールの外面側から圧縮室まで壁厚方向にインジェクション通路を貫通させて形成する。このインジェクション通路が開口する固定スクロールの外面にリードバルブ等のシート状の逆止弁を挟持するように、インジェクションパイプ付きブロックを組み付けている。しかしながら、ブロック組付けのためのネジ穴を固定スクロールの羽根対向部の薄い鏡板部に形成しなければならないので、当該羽根対向部分の鏡板の鏡板厚を大きくする必要があり、大型化するという課題があった。又、インジェクションパイプ付きブロックを、固定スクロール外面の平面上にリードバルブを挟持するように組み付ける必要があり、固定スクロールの外面にインジェクションパイプ付きブロックが存在してしまう。よって、ブロックと固定スクロールの外面に装着固定するマフラー形成用蓋等の部品との位置合せが必要となり組立性が悪化するとともに、マフラー形成用蓋等の部品はインジェクション機構なしタイプの圧縮機のものと共用することができず、専用のマフラー形成用蓋等の部品を必要としてコスト高になるという課題もあった。

更に、インジェクション効率を上げるべく前記シート状の逆止弁の全長を長くして開閉ストロークを大きくし、インジェクション流体の流れを円滑なものにしようとすれば、インジェクション通路の固定スクロール外面側に開口する如く凹設してある逆止弁室を、逆止弁全長を長くした分だけある程度の容積のあるものとする必要がある。そのため、圧縮室に繋がるインジェクション通路総容積を増加させてしまい、圧縮流体の体積が大きく膨張して、圧縮機の効率を低下させてしまうという課題もあった。

発明者らはこのような課題を見出し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。

そこで本開示は、上記インジェクション機構の構成を合理化して、固定スクロールを大型化等させることなく高効率で信頼性が高くかつ低コストなインジェクション機構付き圧縮機を提供する。

以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。

なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。

（実施の形態１）
以下、図１～図６を用いて、実施の形態１を説明する。

［１－１．構成］
図１は本開示の実施の形態に係るスクロール型のインジェクション機構付き圧縮機の縦断面図、図２は図１の圧縮機構部の要部拡大断面図である。以下、本実施の形態に係るインジェクション機構付き圧縮機について、その構成、作用を説明する。

図１に示すように、本実施の形態に係るインジェクション機構付き圧縮機は、密閉容器１と、密閉容器１の内部一端側に内蔵したスクロール式の圧縮機構２と、圧縮機構２を駆動するモータ部３と、密閉容器１の内部他端側底部に設けられたオイルポンプ４とを備える。オイルポンプ４はオイル溜め５内のオイル６を潤滑対象部へ送り出している。

圧縮機構２は、図２に示すように、固定スクロール１１の鏡板１１ｂから立ち上がった羽根１１ａと、旋回スクロール１２の鏡板１２ｃから立ち上がった羽根１２ａ同士を従来同様に噛み合わせて構成する。旋回スクロール１２を自転させず円軌道運動させるように旋回駆動することによって、固定スクロール１１と旋回スクロール１２との間に形成する一対の圧縮室１３を、固定スクロール１１の鏡板１１ｂに設けられた吸込口１４に通じる外周側から、固定スクロール１１の鏡板１１ｂに設けられた吐出口１５に通じる中心側に移動させながら、密閉容積を縮小して、冷媒を圧縮して吐出する。

これら固定スクロール１１の支持および旋回スクロール１２の駆動と、吸込み圧縮して吐出する圧縮流体の密閉容器１内での経路構造は、どのように構成されてもよい。また、オイルポンプ４もどのようなタイプのものでもよい。本実施の形態１では、圧縮機構２は密閉容器１の一端側に固定した主軸受部材７ａに固定スクロール１１をボルト止めして一体化し、これら主軸受部材７ａと固定スクロール１１との間に、固定スクロール１１とかみ合わせた旋回スクロール１２を挟み込んで構成している。また、モータ部３は、図１に示すように、密閉容器１に溶接などして固設した環状の固定子３ａと、これの内側に配した回転子３ｂとで構成し、回転子３ｂに圧縮機構２の旋回スクロール１２を旋回駆動するクランク軸８を固定してある。

クランク軸８の主軸８ｂは密閉容器１に溶接などして固定した副軸受部材７ｂと主軸受部材７ａによって軸受されている。主軸８ｂの端部偏心位置には偏心軸８ｃが設けられ、旋回スクロール１２と嵌合する。主軸８ｂが回転されると、主軸受部材７ａと旋回スクロール１２との間に設けたオルダムリング１６との協働により、旋回スクロール１２を固定スクロール１１に対し自転させずに円軌道運動するように旋回させ、圧縮室１３内の作動流体を圧縮するようになっている。

圧縮室１３の吸込口１４にはガス吸込み管１７が接続される。圧縮室１３で圧縮された冷媒ガスは吐出口１５から吐出され、固定スクロール１１の上部外面にマフラー形成用蓋１８を覆着して形成したマフラー室１９、これに連通した密閉容器１の上部空間１ａを介して、ガス吐出管２０から外部に吐出される。

オイルポンプ４はクランク軸８によって圧縮機構２とともに駆動される。オイル溜め５内のオイル６は、クランク軸８に縦通形成したオイル通路８ａに送り出され、各部隙間や所定の通路を通って、圧縮機構２内に供給されるとともに、残りは下部のオイル溜め５内に戻される。

前記ガス吐出管２０からガス吸込み管１７までの間には、図示しない凝縮器、膨張弁、気液分離器、キャピラリーチューブ、および蒸発器などの冷凍機構用の機器が順次接続され、密閉容器１内の圧縮機構２を含めて全体が環状に接続されたヒートポンプタイプの冷凍サイクルを構成する。このような冷凍サイクルによって、低負荷な冷房と高負荷な暖房とが行え、そのために図示しない切り換え構造を有している。

次にインジェクション機構の構成について説明する。図３は固定スクロール１１を上から見た平面図、図４は固定スクロール１１の要部、つまりインジェクション機構部分を示す拡大平面図、図５は図４のＡ－Ａ線断面図、図６は蓋体を示す斜視図である。

固定スクロール１１の鏡板１１ｂには、図３、図４に示すようにその外周面から径方向に圧縮室１３へと繋がりガスインジェクションを行うインジェクション通路２１を形成する。また、その固定スクロール１１内のインジェクション通路２１途中には、固定スクロールの羽根１１ａのインボリュート伸開角延長側部分に逆止弁室２２を形成し、前記逆止弁室２２にリードバルブからなるシート状の逆止弁２３を組み込んでいる。

上記インジェクション通路２１には逆止弁２３を介して図１、図２に示すインジェクション管２４が接続され、このインジェクション管２４には前記気液分離器から分岐するガス冷媒供給管（図示せず）が接続されている。これによって圧縮室１３には気液分離器で気液分離された気相部分のガス冷媒が、ガス冷媒供給管、インジェクション管２４、インジェクション通路２１を通じてインジェクションされ、一旦インジェクションされた冷媒の逆流がリードバルブからなる逆止弁２３によって阻止される。このようなガスインジェクションは圧縮機構２での圧縮機の効率を増大させる。

前記ガスインジェクションは冷凍装置の運転状態に応じて適時になされればよく、これの遮断、遮断解除を制御するため、冷媒供給管の途中には二方電磁弁（図示せず）が設けられ、冷凍装置の運転とともに適宜開閉制御されるようになっている。この制御は例えば冷凍装置の動作制御と共にマイクロコンピュータによって行えるが、特にこれに限られることはない。また、運転の多様化のために、本実施の形態では、冷暖房の兼用できるヒートポンプタイプのものであるのに加え、モータ部３を例えばインバータ制御して旋回スクロール１２を可変速に旋回駆動できる。

前記インジェクション機構は前記の如き構成とすればよいが、特に、本実施の形態では、以下のように構成している。すなわち、図４、図５に拡大して示すように、固定スクロール１１には、外周面から径方向に圧縮室１３へと繋がるインジェクション入口通路２１ａを形成し、上記インジェクション入口通路２１ａには、当該インジェクション入口通路２１ａを圧縮室１３へと繋ぐインジェクション吐出通路２１ｂを一体に有する逆止弁室２２を掘り込み形成することにより、インジェクション通路２１としている。

上記インジェクション通路２１及び逆止弁室２２は、固定スクロール１１の羽根１１ａのインボリュート伸開角延長側部分に形成してあり、逆止弁室２２は、固定スクロール１１の壁厚方向に形成したインジェクション連絡通路２１ｃを介して前記インジェクション入口通路２１ａと連通している。そして、上記逆止弁室２２は、前記インジェクション連絡通路２１ｃ部分側を一端として、前記インジェクション入口通路２１ａと鋭角に交差するように形成し、前記インジェクション連絡通路２１ｃ、インジェクション吐出通路２１ｂの上面とともに固定スクロール１１の外面に面して開口している。

さらに、上記逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂの上面開口には、シート状の逆止弁２３を挟み込むように蓋体２５が装着してある。逆止弁２３は、前記逆止弁室２２のインジェクション連絡通路２１ｃを開閉するリードバルブからなる。

蓋体２５によって挟持される逆止弁２３は前記逆止弁室２２に沿うように長細く形成され、一端を固定スクロール１１にビス２６にて共締め固定され、他端部側は前記インジェクション連絡通路２１ｃを開閉する弁部２３ａとなっている。

又、蓋体２５は、前記逆止弁室２２周縁の浅い掘り込み凹部２７にシール部材２８を介して嵌め込み、前記逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂの上面開口を外部から遮蔽して密閉する如く、固定スクロール１１の外面に固定してある。そして、本実施の形態の蓋体２５は、前記一端のビス止め部から逆止弁室２２内に嵌まり込んでデッドボリュームとなるスペースを低減するとともに、逆止弁２３の最大開き角度を規制する弁止め部２９ａを有した弁押さえ部２９が一体形成してある。上記弁止め部２９ａは、逆止弁２３が当たる面側が円弧状に薄肉化されている。なお、上記弁押さえ部２９は蓋体２５に一体形成することなく別体物としてもよい。また、シール部材２８は図４に示す如く、センター線Ｚを中心にして左右対称な形状としてある。

［１－２．動作］
以上のように構成されたインジェクション機構付き圧縮機ついて、以下その動作、作用について説明する。

本実施の形態のインジェクション機構付き圧縮機において、インジェクションが行なわれると、逆止弁２３はインジェクション圧によって押し開かれてインジェクションが達成される。インジェクションが行なわれないとき、逆止弁２３は自身の復元力によって閉じ、あるいはこれに圧縮室１３での圧縮による流体圧力が加わって閉じ力を増すため、圧縮室１３での圧縮流体が逆止弁２３を越えてインジェクション管２４の側に逃げるのを阻止して逆止弁機能を発揮し前記圧縮が達成される。

ここで、このインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールの羽根１１ａのデッドスペースとなっている羽根のインボリュート伸開角延長側部分に、インジェクション連絡通路２１ｃ及び逆止弁室２２を形成して逆止弁２３を設けている。よって、逆止弁２３は図３に例示したように、固定スクロール１１の外径を現状維持のまま、つまり大きくすることなくその全長を長くして、開閉ストロークを大きくすることができる。したがって、圧縮機を大型化させることなく、逆止弁２３の弁座部となるインジェクション連絡通路２１ｃを流れる冷媒等のインジェクション流体の流れを円滑にすることができ、インジェクション効率を上げて圧縮機の効率を向上させることができる。特に本実施の形態では、逆止弁２３の最大開き位置を規制する弁押さえ部２９の弁止め部２９ａを円弧状にしているので、逆止弁２３の先端側は弁止め部２９ａを直線状の傾斜面として形成した場合に比べ、その先端部分の開き角度を大きくすることができる。したがって、インジェクション流体の流れ抵抗を減少させてインジェクション効率をより向上させることができる。

また、逆止弁２３の全長を長くすることによって、逆止弁２３のシート開閉時における屈曲度合を穏やかにすることができる。よって、全長が短い逆止弁シートを用いて同程度のインジェクション流量を確保しようとした場合に懸念されるシートの鋭角な屈曲開閉による折れや、屈曲癖による開閉動作の不安定化を防止でき、開閉動作を安定化して信頼性の高いものとすることができる。特に本実施の形態では上記した如く、逆止弁２３の最大開き位置を規制する弁押さえ部２９の弁止め部２９ａを円弧状にしているので、弁止め部２９ａを直線状の傾斜面とした場合に比べ、逆止弁２３の屈曲変形開始点に掛かる応力を低減することができ、シート折れや屈曲癖の発生等を効果的に低減して信頼性をより高いものとすることができる。

また、本実施の形態では、上記逆止弁２３の全長を長くするために必要となる長細い逆止弁室２２の逆止弁開閉ストローク用空間以外のデッドスペース部分に弁押さえ部２９が嵌まり込んでこのデッドスペースを無くしているので、逆止弁室２２を含むインジェクション通路容積、つまりデッドボリュームを必要最小限まで小さくすることができる。したがって、圧縮流体再膨張等による効率低下を効果的に抑制することができ、圧縮機を高効率にすることができる。すなわち、圧縮機運転の多様化で暖房時などの高負荷運転にて行なうガスインジェクションを、冷房時などの低負荷運転では行なわないようなときに、デッドボリューム内の冷媒や潤滑油が再膨張するようなことがあっても、その影響を少なくして、低負荷運転での圧縮機の効率、性能を向上することができる。さらに潤滑油がデッドボリュームに侵入しても、潤滑油量が少ないことにより、圧縮機構２の摺動部の潤滑性が低下するのを軽減して性能及び信頼性の低下を防止することができる。

また、本実施の形態では、上記逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂの上面開口を塞ぐ蓋体２５と固定スクロール１１との嵌合面には、シール部材２８を設けているので、逆止弁室２２、インジェクション連絡通路２１ｃ、インジェクション吐出通路２１ｂからなるインジェクション通路２１への高圧冷媒ガスの漏れ込みを防止できる。よって、更に高効率なインジェクション機構付き圧縮機とすることができる。

また、上記逆止弁機能を含むインジェクション機構部分は、固定スクロール１１の外面を掘り込んで逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂを形成して、その上面開口を蓋体２５で密閉することにより構成しているので、当該インジェクション機構部は固定スクロール１１のみで単独に構成されることになる。よって、先行技術のようにインジェクションパイプ付きブロック等を後付けすることなく固定スクロール単体でインジェクション機構部を組み立てることができ、組み立て性、つまり生産性を向上させることができる。また、蓋体２５に逆止弁開閉時の弁止めとなる弁止め部２９ａを一体形成しているので、蓋体２５と弁止め部２９ａを別々に組み付ける必要もなく、更に生産性を上げることができる。加えて逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂの上面開口を塞ぐ蓋体２５のシール部材２８はセンター線を中心に左右対称形状としているので、固定スクロール１１外面の掘り込み凹部２７への組み付け時に向きを合わせる煩わしい手間も不要となり、生産性を更に向上させることができる。

加えて、上記逆止弁室２２とインジェクション連絡通路２１ｃとインジェクション吐出通路２１ｂの上面開口にビス止めする蓋体２５をビス止めする部分は、インボリュート伸開角延長側部分の羽根構成のない部分としているので、蓋体２５をビス止めするためのネジ穴を付設するに際し、固定スクロール１１の鏡板を厚くする必要もなく、大型化することをも防止できる。

又、本実施の形態では、前記固定スクロール１１の外面はインジェクションパイプ付きブロックが存在しないので、固定スクロール外面に装着固定するマフラー形成用蓋１８を、インジェクション機構がないものと共用化することもでき、前記生産性向上によるコストダウンに加え更なるコストダウンを図ることができる。

［１－３．効果等］
以上のように、本開示のインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールの羽根のインボリュート伸開角延長側部分に固定スクロールの外周面から径方向に圧縮室へと繋がるインジェクション通路とインジェクション通路の途中に位置する逆止弁室を形成し、前記逆止弁室には前記インジェクション通路を開閉するシート状の逆止弁を配置するともに、前記インジェクション通路の圧縮室へと繋がるインジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記固定スクロールの外面に面して開口する形状とし、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室の開口には前記逆止弁を挟持させて蓋体を取り付け、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記蓋体で密閉することにより固定スクロール内にインジェクション通路を形成する。したがって、固定スクロールを大型化等させることなく、高効率で信頼性が高くかつ低コストなインジェクション機構付き圧縮機とすることができる。

すなわち、固定スクロールの羽根のデッドスペースとなっている羽根のインボリュート伸開角延長側部分に、インジェクション通路及び逆止弁室を形成しバルブシートを設けてインジェクション機構部を構成している。よって、固定スクロールを大型化することなくインジェクション機構部の逆止弁となるバルブシートの全長を長くしてその開閉ストロークを大きくすることができ、効率を高めると同時に信頼性を向上させることができる。また、インジェクションパイプ付きブロック等の別部品を取り付けすることなく、固定スクロール単体でインジェクション機構部を組み立てることができるので、組み立て性が向上し、且つ、固定スクロール外面に装着固定するマフラー形成用蓋等の部品を共用化して低コストを図ることもできる。したがって、信頼性が高く高効率かつ低コストなインジェクション機構付きの圧縮機とすることができる。

また、上記スクロール圧縮機において、前記蓋体にインジェクション通路開閉用の逆止弁の弁押さえ部を一体に設けた構成としておけば、インジェクション通路のデッドボリュームを必要最小限まで小さくして、圧縮流体再膨張等による効率低下を効果的に抑制することができる。したがって、圧縮機をより高効率化することができる。

更に、上記スクロール圧縮機において、前記固定スクロールと蓋体との嵌合面にシール部材を設けた構成としておけば、インジェクション通路への高圧冷媒ガスの漏れを防止しできる。したがって、更に高効率なインジェクション機構付き圧縮機とすることができる。

更にまた、上記スクロール圧縮機において、前記蓋体のシール部材を左右対称形状とした構成としておけば、シール部材の取り付けが容易となり、更に生産性を向上させることができる。

以上、本開示における技術の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。

本発明のインジェクション機構付き圧縮機は、固定スクロールを大型化等させることなく高効率で信頼性が高くかつ低コストなインジェクション機構付き圧縮機とすることができる。よって、冷暖房空調装置や冷蔵庫等の冷凍装置、あるいはヒートポンプ式の給湯装置等に有用である。

１密閉容器
１ａ上部空間
２圧縮機構
３モータ部
３ａ固定子
３ｂ回転子
４オイルポンプ
５オイル溜め
６オイル
７ａ主軸受部材
７ｂ副軸受部材
８クランク軸
８ａオイル通路
８ｂ主軸
８ｃ偏心軸
１１固定スクロール
１１ａ羽根
１１ｂ鏡板
１２旋回スクロール
１２ａ羽根
１２ｃ鏡板
１３圧縮室
１４吸込口
１５吐出口
１６オルダムリング
１７ガス吸込み管
１８マフラー形成用蓋
１９マフラー室
２０ガス吐出管
２１インジェクション通路
２１ａインジェクション入口通路
２１ｂインジェクション吐出通路
２１ｃインジェクション連絡通路
２２逆止弁室
２３逆止弁
２３ａ弁部
２４インジェクション管
２５蓋体
２６ビス
２７掘り込み凹部
２８シール部材
２９弁押さえ部
２９ａ弁止め部

Claims

圧縮室が吸入位置から吐出位置への変位によって密閉容積が縮小し、前記吸入位置で吸入した流体を圧縮して前記吐出位置で外部に吐出するのに、前記圧縮室に逆止弁を介し圧縮対象流体をインジェクションするインジェクション機構付き圧縮機であって、前記圧縮室を形成する固定スクロールの羽根のインボリュート伸開角延長側部分に前記固定スクロールの外周面から径方向に前記圧縮室へと繋がるインジェクション通路と前記インジェクション通路の途中に位置する逆止弁室を形成し、前記逆止弁室には前記インジェクション通路を開閉するシート状の逆止弁を配置するともに、前記インジェクション通路の前記圧縮室へと繋がるインジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記固定スクロールの外面に面して開口する形状とし、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室の開口には前記逆止弁を挟持させて蓋体を取り付け、前記インジェクション吐出通路と前記逆止弁室とを前記蓋体で密閉することにより前記インジェクション通路を前記固定スクロール内に形成したインジェクション機構付き圧縮機。
前記蓋体にインジェクション通路開閉用の逆止弁の弁押さえ部を一体に設けた請求項１記載のインジェクション機構付き圧縮機。
前記固定スクロールと前記蓋体との嵌合面にシール部材を設けた請求項１もしくは２記載のインジェクション機構付き圧縮機。
前記蓋体の前記シール部材は左右対称形状とした請求項３に記載のインジェクション機構付き圧縮機。