JP5386566B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は冷凍,空調用の冷媒圧縮機等に好適なスクロール圧縮機に関し、特に、旋回スクロールと固定スクロールとの押付け力を調整するスクロール圧縮機に関する。
スクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールの冷媒圧縮作用により、両スクロールを引離そうとする力が働く。その一方で、両スクロール内で圧縮された高圧冷媒が圧縮容器内に吐出され、吐出圧の冷媒によるスクロール同士を押付けようとする力も働く。スクロールが離れると冷媒の圧縮効率が悪くなるため、引離す力よりも押付ける力を大きくしている。
旋回スクロール部材の背面側を構成する空間は、シール材によって主軸付近であるスクロール中央部の吐出圧力空間と、スクロール外周部の中間圧力(吸入圧力と吐出圧力の中間)空間に分離されている。このシールリングの内径寸法によって旋回スクロールの背面中央部の吐出圧力空間による押付け力が決まり、スクロールラップによって圧縮室側で生じる引離し力が決まるが、引離し力に対して押付け力の方が大きくなることがある。その場合、固定スクロールと旋回スクロールとの間の鏡板面での摩擦摺動ロスが増え、圧縮機動力が増加してしまう。更に、押付け荷重過大によりスクロール鏡板面のかじり及び焼付き等の問題が発生する可能性がある。
特許文献1に記載のスクロール圧縮機では、旋回スクロールの背部に設けられた背圧室と圧縮室とを連通する連通路と、その連通路を開閉する背圧制御弁を設け、背圧室の圧力と吸入圧力との差に応じて連通路を開閉している。これにより、旋回スクロールの押付け力を大きく変動させることなく圧縮機を運転できる。
特開2005−307989号公報
しかし、近年では、圧縮機の運転は広い運転範囲において高い効率が必要となっており、吸入圧力と吐出圧力の差が大きい圧力条件、いわゆる高圧力比条件となる寒冷地向けの空気調和機等のように、外気温度が非常に低い場合の暖房運転も必要となる。従って、高圧力比条件における運転範囲拡大と性能向上が求められているが、上記特許文献1のものでは、高圧力比条件での運転について十分に考慮されていない。
本発明の目的は、高圧力比条件でも固定スクロールと旋回スクロールとをバランスよく押付けることが可能なスクロール圧縮機を得ることにある。
上記課題を解決するため、本発明では、渦巻き状のラップを有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合わされ、前記旋回スクロールが旋回することにより冷媒を圧縮する固定スクロールと、を備え、該固定スクロールは圧縮した冷媒を吐出する吐出口を有しており、該吐出口から冷媒が吐出される吐出圧力空間が形成され、該吐出圧力空間の圧力により前記旋回スクロールは背面から前記固定スクロールに押し付けられ、前記旋回スクロール及び前記固定スクロールはそれぞれの鏡板面が互いに接触して摺動するように形成されたスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの鏡板に面する前記固定スクロールの鏡板面には、該鏡板面に油を流すための給油溝が設けられると共に、溝状の加圧ポケット空間が前記給油溝と連通しないように設けられ、さらに前記固定スクロールには、前記吐出圧力空間と前記加圧ポケット空間とを連通する通路が設けられると共に、該通路を塞ぐ圧力調整弁が設けられ、前記吐出圧力空間の圧力が前記加圧ポケット空間の圧力より大きい場合であって、前記吐出圧力空間の圧力と前記加圧ポケット空間の圧力との差圧が所定値以上となった場合に前記圧力調整弁が開き、前記吐出圧力空間から前記加圧ポケット空間に冷媒を流入させることにより、前記固定スクロールに対し前記旋回スクロールが離れる方向の荷重を加えることを特徴とする。
あるいは、渦巻き状のラップを有する旋回スクロールと、該旋回スクロールと噛み合わされ、前記旋回スクロールが旋回することにより冷媒を圧縮する固定スクロールと、を備え、該固定スクロールは圧縮した冷媒を吐出する吐出口を有しており、該吐出口から冷媒が吐出される吐出圧力空間が形成され、該吐出圧力空間の圧力により前記旋回スクロールは背面から前記固定スクロールに押し付けられ、前記旋回スクロール及び前記固定スクロールはそれぞれの鏡板面が互いに接触して摺動するように形成されたスクロール圧縮機において、前記旋回スクロールの鏡板に面する前記固定スクロールの鏡板面には、該鏡板面に油を流すための給油溝が設けられ、前記固定スクロールの鏡板に面する前記旋回スクロールの鏡板面には、溝状の加圧ポケット空間が設けられ、さらに前記固定スクロールは、前記吐出圧力空間と前記加圧ポケット空間とを連通する通路が設けられると共に、該通路を塞ぐ圧力調整弁が設けられ、前記吐出圧力空間の圧力が前記加圧ポケット空間の圧力より大きい場合であって、前記吐出圧力空間の圧力と前記加圧ポケット空間の圧力との差圧が所定値以上となった場合に前記圧力調整弁が開き、前記吐出圧力空間から前記加圧ポケット空間に冷媒を流入させることにより、前記固定スクロールに対し前記旋回スクロールが離れる方向の荷重を加えるようにしてもよい。
また、上記において、前記旋回スクロール及び前記固定スクロールが噛み合わさることにより、圧縮室が形成され、前記加圧ポケット空間は前記圧縮よりも外周側に設けるとよい。
また、上記において、圧縮される冷媒の吸入圧力と前記吐出圧力空間の冷媒圧力との中間の圧力に保たれる中間圧力空間が形成され、前記加圧ポケット空間の圧力は、前記吸込圧力と中間の圧力との間の圧力であるとよい。
また、上記において、前記加圧ポケット空間は、前記固定スクロールの渦巻き状のラップの最外周から径方向に均等な距離に設けられるとよい。
本発明によれば、固定スクロールと旋回スクロールとを引離す力に、吐出圧力を付勢力として用いることができるので、高圧力比条件でも固定スクロールと旋回スクロールとをバランスよく押付けることができる効果がある。
本発明の実施例1を示すスクロール圧縮機縦断面図。 図1に示す固定スクロールを示す図で、(a)図はラップ側から見た平面図、(b)図は圧力調整弁を取付けた部分の拡大断面図。 本発明の実施例1における固定スクロールと旋回スクロールの組合せた状態の断面図で、旋回スクロールに加わる押上げ力を説明するための模式図。 本発明の実施例2における旋回スクロールをラップ側から見た平面図。 本発明の実施例2における固定スクロールをラップ側から見た平面図。 本発明の実施例2を示す固定スクロールと旋回スクロールの組合せた状態の断面図。 本発明の実施例3を示す固定スクロールと旋回スクロールの組合せた状態の断面図。 本発明の実施例4を示す固定スクロールと旋回スクロールの組合せた状態の断面図。 本発明の実施例5における固定スクロールをラップ側から見た状態の平面図。 本発明の実施例6を示すスクロール圧縮機断面図。
以下、本発明のスクロール圧縮機の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例1におけるスクロール圧縮機の断面図を示す。密閉容器700内には、上方に圧縮機構部1,中央に電動機2,下方に油溜まり3が配設されており、回転軸300を介して圧縮機構部1と電動機2が連結されている。圧縮機構部1は、固定スクロール100と旋回スクロール200とフレーム400を基本要素として構成している。フレーム400は密閉容器700に固定され、転がり軸受401を配設する部材を構成している。固定スクロール100は渦巻き状のラップ101と鏡板102と吐出口103とを基本構成部分として構成され、フレーム400にボルト402を介して固定されている。ラップ101は鏡板102の片側に垂直に立設されている。旋回スクロール200は渦巻き状のラップ201と鏡板202と軸支持部203と軸支持部端面204とを基本構成部品として構成されている。ラップ201は鏡板202の片側に垂直に立設されている。軸支持部203は鏡板202の他側(反ラップ側)に垂直に突出して形成されている。
固定スクロール100と旋回スクロール200の各々のラップを互いに噛み合わせて構成した圧縮室4は、旋回スクロール200が旋回運動することによりその容積が減少する圧縮動作が行われる。回転軸300は、電動機2の上部に備えた転がり軸受401及び電動機2の下部に備えた副軸受500に支持されている。副軸受500はハウジング503及び下フレーム501を介して密閉容器700に固定されている。回転軸300の先端にはクランクピン301を備え、該クランクピン301が旋回スクロール200の鏡板202の下方に突設した軸支持部203に挿入されている。軸支持部203内には旋回軸受205が設けられており、クランクピン301と摺動する構造となっている。旋回スクロール200の鏡板202の背面にはオルダム継手502が配設されている。該オルダム継手502は、電動機2に連結した回転軸300の回転によりクランクピン301が偏心回転したとき、旋回スクロール200が固定スクロール100に対し自転せずに旋回運動させる自転防止機構としての継手である。
上記旋回運動により、作動流体が吸入管702,吸入室104を経由して圧縮室4へ吸込まれ、中央部へ移動しながら容積を減少してガスを圧縮し、圧縮ガスを吐出口103より吐出圧力空間5に吐出する。吐出圧力空間5に吐出されたガスは、圧縮機構部1及び電動機2の周囲を循環したのち密閉容器700に取付けた吐出管701から圧縮機外へ放出される。従って密閉容器700内の空間は吐出圧力に保たれる。なお、旋回スクロール200の鏡板202には、各ラップ101,201を組合せて形成した圧縮室4と旋回スクロール200の鏡板202背面の背圧室6を連通させる背圧穴206が設けられており、背圧室206の圧力を吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力(中間圧力)に保っている。この中間圧力とシールリング403の内側に作用する吐出圧力の合力で、旋回スクロール200は背面から固定スクロール100に押付けられている。
フレーム400に設けられたシールリング403は、旋回スクロール200の背面の中間圧力が働く部分とシールリング403の内側に作用する吐出圧力が働く部分とをシールする役割があり、背圧室6への吐出ガス流入を防いでいる。
次に給油経路について説明する。ハウジング503の下端にポンプ部504が設けられており、回転軸300下端のポンプ継手302を介して駆動する。回転軸300が回転するとポンプ部504により油溜まり3の油が回転軸内の油通路303に送られる。一部は横穴304を通って副軸受500に流れた後、油溜まり3に戻る。油通路303を通ってクランクピン301の上部に到達した油は旋回軸受205を通り転がり軸受401へ流れる。転がり軸受401を潤滑した油は排油パイプ404を通り、油溜まり3に戻る。
また、旋回スクロールの軸支持部端面204には給油ポケット207が設けられており、旋回スクロール200が旋回運動することにより、給油ポケット207がシールリング403の外側と内側を往復し、旋回軸受205と転がり軸受401の間にある油の一部を背圧室6に搬送する。搬送された油はオルダム継手502に給油された後、固定スクロール100の鏡板102と旋回スクロール200の鏡板202の摺動面にも給油される。油は背圧穴206を通って、又は鏡板摺動面の微小隙間を通って圧縮室に流入する。
ここで本実施例の圧力調整弁600について図2(a)(b)を用いて説明する。圧力調整弁600は固定スクロール100に取付けられ、弁板602,ばね603,弁押さえ604にて構成される。弁押さえ604は、弁板602とばね603が挿入された固定スクロール100に吐出圧力空間5側から圧入して固定されている。この弁押さえ604には穴通路605が貫通していて、弁押さえ604側から弁板602に向かって吐出圧力空間5からの圧力がかかる構造となっている。弁板602の下部にばね603を備え、弁板602を持ち上げる荷重を与えている。弁板602は、上部の吐出圧力空間5の圧力と、加圧通路606及び加圧ポケット空間601の圧力を仕切る。加圧ポケット空間601は加圧通路606に連通しており、固定スクロール100の鏡板面に円弧状に設けている。
弁押さえ604の中央部に穴通路605を設けており、弁板602には上部から吐出圧力による荷重が加わる。下部からはばね603の弾性力及び加圧通路606の圧力による合計荷重が加わり、上下からの荷重の合力で弁板602の開閉が行われる。ばね603の弾性力は組付け状態のばねのたわみ量で決まり一定量となるため、吐出圧力空間5と加圧通路606(又は加圧ポケット空間601)との圧力差(差圧)により弁板602の開閉が決まる。吐出圧力の方が大きい場合、弁板602を押下げる荷重の方が押上げる荷重より大きくなるため、弁板602が下方に移動する。弁板602は固定スクロール100の貫通路をぴったり塞ぐ円盤状のものではなく、上から見たときに穴通路605と接する部分以外の一部が欠けた構造とする。これにより、弁板602が押下がって開くと、弁板602によって塞がれていた穴通路605が開放され、弁板602と固定スクロール100の壁との隙間から吐出圧力のガス及び油が流れ込み、加圧通路606を通過し、固定スクロール加圧ポケット空間601内に流入する。吐出圧力の方が小さい場合は弁板602を押下げる荷重より押上げる荷重の方が大きくなるため、弁は閉じたままである。加圧ポケット空間601は、固定スクロール100の鏡板面に設けている。また固定スクロール100の鏡板面には、鏡板面の摺動を良好とするため背圧室6から来る油を鏡板面に運ぶ給油溝105を設けると良い。給油溝105は加圧ポケット空間601と連通しない位置に、円弧状に溝を設ける。加圧ポケット空間601は、固定スクロール鏡板面内で閉鎖溝となっている。本実施例では加圧ポケット空間601を円弧状としているが、環状としてもよい。どちらの場合でも、圧縮室4を形成する固定スクロール100の渦巻きの最外周から径方向に均等な距離に加圧ポケット空間601を設けると、旋回スクロール200の鏡板面に対し均一に荷重を加えることが可能となる。
次に図3を用いて旋回スクロール200に加わる軸方向荷重について説明する。図3は旋回スクロール200と固定スクロール100を組合せた断面図であり、旋回スクロール200の反ラップ側に加わる荷重を矢印にて示したものである。ここで旋回スクロール200の軸方向に働く荷重を、以下のように定義する。固定スクロール100に対し旋回スクロール200が離れる方向の荷重を押下げ力とし、旋回スクロール200が固定スクロール100に押付けられる方向の荷重を押上げ力とする。押下げ力と押上げ力の合力が旋回スクロール押付け力となる。通常運転時、旋回スクロール200は鏡板202背面からの押上げ力により固定スクロール100に押付けられ鏡板面が密着している。旋回スクロール200が固定スクロール100に対し離れる荷重が大きい場合、旋回スクロール200の離脱現象及び圧縮室内漏れによる大きな性能効率低下を招くため、圧縮機の全運転圧力条件において押上げ力の方が押下げ力に対して大きくする必要がある。
スクロールラップの噛み合わせできる複数の圧縮室のうち、内側の圧縮室ほど高圧になっており、内側の圧縮室から外側の圧縮室に向かって径方向に圧力がかかる。従って押下げ力は、軸方向荷重だけでなく径方向に働く圧力によるモーメント荷重も働くことになる。押上げ力は、旋回スクロール200背面の軸支持部端面204及び旋回軸受205内(シールリング403内径部)に働く吐出圧力(図3の白抜き矢印)と、シールリング403内径よりも大きい径の部分に背圧室6による中間圧力(図3の矢印)との合力となる。いずれの荷重も圧縮機の圧力条件である吸入圧力と吐出圧力により荷重が決まる。シールリング403内径が比較的大きい場合は、シールリング403内径部に加わる吐出圧力による荷重が押上げ力の支配的荷重となる。従って、外気温が−20〜−30度にもなるような吸入圧力と吐出圧力の差が大きくなる高圧力比条件においては、圧縮室4の内圧力による押下げ荷重に対し、シールリング403内径部に働く吐出圧力による押上げ荷重が過大となる傾向にある。
本実施例の加圧ポケット空間601は旋回スクロール200の鏡板202に面しているため加圧ポケット空間601の圧力と面積の積が旋回スクロール200の鏡板面に押下げ荷重として加わる。旋回スクロール200は圧縮動作する際の圧縮室内の圧力変化によって同一面上を旋回できずに揺動することや、押上げ荷重の大小により固定スクロール100の鏡板面への押上げ力が変化するため、押上げ力が大きくても加圧ポケット空間601が閉塞空間とならず、両鏡板の間には微小な隙間ができることがある。また、押上げ力が過大でない場合や押下げ力の方が大きい場合は弁体602が閉じており、このような場合も微小な隙間が生じ得る。このとき中間圧力空間7から隙間を通って中間圧力の冷媒が加圧ポケット空間601に流入するため、加圧ポケット空間601の圧力は加圧ポケット空間601の両側に位置する吸入圧力空間8と中間圧力空間7の間の圧力となる。押上げ力が大きすぎると弁体602が開き、上述の通り吐出圧力のガス及び油が加圧ポケット空間601に流入するため、吐出圧力に近い圧力となり、旋回スクロール200の押下げ力を増やすことが可能となる。吐出圧力の冷媒が流入する際、穴通路605や弁体602により圧力損失が生じるため、加圧ポケット空間601の圧力は吐出圧力までは上がりにくい。
このように、高圧になりすぎた背圧室の圧力を単に逃がすことで押上げ力を小さくするのではなく、押上げ力の一部をスクロール同士を引離すための付勢力として用いることで、圧縮機運転範囲を拡大した高圧力比条件においても旋回スクロール押付け荷重をより低減することが可能となり、鏡板面のかじりや焼付きを防止することができる。また鏡板面での摺動摩擦損失も低減するため、圧縮機動力が小さくなり効率も向上する。
本実施例では、旋回スクロール200を固定スクロール100に押付ける構造としているが、上下方向に動くことが可能な固定スクロールであれば、固定スクロールを旋回スクロールに押付ける構造とすることもできる。
図4,図5,図6に本発明の実施例2を示す。本実施例は、旋回スクロール200に加圧ポケット空間601を設けている。図4が旋回スクロール200をラップ側から見た図であり、図5が固定スクロール100をラップ側から見た図である。図6はこれらの旋回スクロール200と固定スクロール100を組合せた断面図である。旋回スクロール200の鏡板面に加圧ポケット空間601を設けることにより、旋回スクロール200の旋回運動とともに加圧ポケット空間601も旋回運動することになる。加圧ポケット空間601は常時、加圧通路606と連通しても間欠的に連通しても構わない。旋回スクロール200の鏡板面に加圧ポケット空間601を設けることで、旋回スクロール200に対し常に同じ位置に押下げ力を働かせることが可能となり、旋回スクロール200の揺動を抑えやすくなる。
図7に本発明の実施例3を示す。本実施例は、旋回スクロール200に圧力調整弁600を設け、固定スクロール100に加圧ポケット空間601を設けている。旋回スクロール200に旋回軸受205内から鏡板面へ連通する連通路を設け、連通路部に圧力調整弁600を備える。圧力調整弁600は弁602,ばね603,弁押さえ604で構成する。本実施例では弁602を球形状としているが、上述の実施例のように板状の弁でも可能である。旋回軸受205内は、回転軸300内の油通路303を通過した油が流入してくるため、吐出圧力となっている。従って、本実施例のごとく旋回軸受205内から鏡板面に連通する通路内に圧力調整弁600を設けることが可能となり、圧力調整弁600は吐出圧力と加圧通路606(又は加圧ポケット空間601)との圧力差(差圧)により弁の開閉が行われる。弁押さえ604を貫通する穴通路605はなく、吐出圧力空間5と加圧通路606を通って加圧ポケット空間601に高圧冷媒が流入する。本構造におけるメリットは、旋回軸受205内の吐出圧力空間5は油で満たされているため、弁602が開いた場合、加圧通路606及び加圧ポケット空間601に油が流入することで、旋回スクロール200及び固定スクロール100の鏡板面の摺動が良好となる。
図8に本発明の実施例4を示す。本実施例は、旋回スクロール200に圧力調整弁600と加圧ポケット空間601を設けている。実施例3とは加圧ポケット空間601を設ける部分が異なる。本構造では、弁602が開いた場合、加圧通路606及び加圧ポケット空間601に油が流入することで、旋回スクロール200及び固定スクロール100の鏡板面の摺動が良好となる。更に、旋回スクロール200に対し常に同じ位置に押下げ力を働かせることが可能となり、旋回スクロール200の揺動を抑えやすくなる。
図9は本発明の実施例5を示す図で、固定スクロール100,圧力調整弁600,加圧ポケット空間601等の配置関係を示す。本実施例は、圧力調整弁600,加圧ポケット空間601及び加圧通路606を複数個設置したものである。図9では、圧力調整弁600及び加圧ポケット空間601を3ヶ所とし、固定スクロール100に設けているが、上記の実施例のように圧力調整弁600と加圧ポケット空間601を、固定スクロール100又は旋回スクロール200のどちらに設けてもよい。また、加圧ポケット空間601を円弧上の溝として配置しているが、環状としてもよく、どちらの場合もラップの最外周から径方向に均等な距離に加圧ポケット空間601を設けると、旋回スクロール200の押下げ力を均一にかけやすくなる。更に、複数の加圧ポケット空間601を周上に均等に割付けることができれば、同様に押下げ力を均一にかけやすくなるのでなおよい。
圧力調整弁600及び加圧ポケット空間601を複数個設けることで、それぞれの圧力調整弁600にて個々に弁が働くため、旋回スクロール200が旋回運動を行う際の揺動に対して効果的に弁が働くメリットがある。例えば、旋回スクロール200が揺動すると局所的に旋回スクロール200と固定スクロール100の鏡板面が離れる場所と押付けられる場所が発生する。その際、鏡板面同士が離れる場所においては、加圧ポケット空間601のガス及び油が、鏡板面の隙間を通り中間圧力空間7及び吸入圧力空間8へ漏れるため加圧ポケット空間601の圧力が下がる。逆に鏡板面が過剰に押付けられている場所については鏡板面の漏れが発生しにくくなり、圧力調整弁600が開き、加圧ポケット空間601の圧力を高く保つことができるので旋回スクロール鏡板面に適度な押下げ荷重を与えることができる。結果として旋回スクロール200の揺動を抑え、鏡板面のかじりや焼付き、過剰な摺動摩擦損失を低減する働きがある。
なお、一つの加圧ポケット空間601につき、圧力調整弁600は一つあればよい。圧力調整弁600が一つあれば、一瞬でポケット全体に吐出圧力空間5からの高圧力がかかるため、押下げ力に偏りは出ないからである。
図10は、本発明の実施例6を示すスクロール圧縮機の構造断面図である。本実施例は、圧縮室4に液冷媒又は気液冷媒を注入するインジェクション管703を設けている。本実施例の圧力調整弁600の取付けにより高圧力比条件での旋回スクロール200の押上げ力を低減できるが、高圧力比条件での運転において更に効果的な組合せとして、圧縮室内の温度を下げるためのインジェクション管703を組合せている。インジェクション管703は固定スクロール100の吐出圧力空間5側から固定スクロール100に差し込まれ、冷凍サイクル内の凝縮器(図示せず)と膨張弁(図示せず)との間から高圧の液冷媒又は湿り状態の冷媒を圧縮室内4にインジェクションする構成としている。
高圧力比条件では、吸入圧力と吐出圧力の差圧が大きくなるため、圧縮室内の圧縮前後の冷媒温度変化も大きく、吸入圧力空間と吐出圧力空間の温度差によりラップが変形する。従って、ラップ内での複数の圧縮室間の漏れが大きくなり体積効率の低下等が発生する。またラップの局所当たりが発生し、ラップのかじり及び焼付き等が発生しやすい。この場合、圧縮工程中間の圧縮室4内に冷凍サイクル内の高圧の液冷媒又は湿り状態の冷媒をインジェクションすることによりラップ内の温度を下げ、結果として吐出ガス温度の温度上昇を抑えることが可能となり、さらなる圧縮機の運転範囲の拡大が可能となる。ガス冷媒よりも液冷媒の方が冷たいため、インジェクションする冷媒には液体の割合が多いほど冷却効果がある。
1 圧縮機構部
2 電動機
3 油溜まり
4 圧縮室
5 吐出圧力空間
6 背圧室
7 中間圧力空間
8 吸入圧力空間
100 固定スクロール
101,201 ラップ
102,202 鏡板(鏡板面)
103 吐出口
104 吸入室
105 給油溝
200 旋回スクロール
203 軸支持部
204 軸支持部端面
205 旋回軸受
206 背圧穴
207 給油ポケット
300 回転軸
301 クランクピン
302 ポンプ継手
303 油通路
304 横穴
400 フレーム
401 転がり軸受
402 ボルト
403 シールリング
404 排油パイプ
500 副軸受
501 下フレーム
502 オルダム継手
503 ハウジング
504 ポンプ部
600 圧力調整弁
601 加圧ポケット空間
602 弁板(弁)
603 ばね
604 弁押さえ
605 穴通路
606 加圧通路
700 密閉容器
701 吐出管
702 吸入管
703 インジェクション管

Claims (5)

  1. 渦巻き状のラップを有する旋回スクロールと、
    該旋回スクロールと噛み合わされ、前記旋回スクロールが旋回することにより冷媒を圧縮する固定スクロールと、を備え、
    該固定スクロールは圧縮した冷媒を吐出する吐出口を有しており、
    該吐出口から冷媒が吐出される吐出圧力空間が形成され、
    該吐出圧力空間の圧力により前記旋回スクロールは背面から前記固定スクロールに押し付けられ、
    前記旋回スクロール及び前記固定スクロールはそれぞれの鏡板面が互いに接触して摺動するように形成されたスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールの鏡板に面する前記固定スクロールの鏡板面には、該鏡板面に油を流すための給油溝が設けられると共に、溝状の加圧ポケット空間が前記給油溝と連通しないように設けられ、
    さらに前記固定スクロールには、
    前記吐出圧力空間と前記加圧ポケット空間とを連通する通路が設けられると共に、該通路を塞ぐ圧力調整弁が設けられ、
    前記吐出圧力空間の圧力が前記加圧ポケット空間の圧力より大きい場合であって、前記吐出圧力空間の圧力と前記加圧ポケット空間の圧力との差圧が所定値以上となった場合に前記圧力調整弁が開き、前記吐出圧力空間から前記加圧ポケット空間に冷媒を流入させることにより、前記固定スクロールに対し前記旋回スクロールが離れる方向の荷重を加えることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 渦巻き状のラップを有する旋回スクロールと、
    該旋回スクロールと噛み合わされ、前記旋回スクロールが旋回することにより冷媒を圧縮する固定スクロールと、を備え、
    該固定スクロールは圧縮した冷媒を吐出する吐出口を有しており、
    該吐出口から冷媒が吐出される吐出圧力空間が形成され、
    該吐出圧力空間の圧力により前記旋回スクロールは背面から前記固定スクロールに押し付けられ、
    前記旋回スクロール及び前記固定スクロールはそれぞれの鏡板面が互いに接触して摺動するように形成されたスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールの鏡板に面する前記固定スクロールの鏡板面には、該鏡板面に油を流すための給油溝が設けられ、
    前記固定スクロールの鏡板に面する前記旋回スクロールの鏡板面には、溝状の加圧ポケット空間が設けられ、
    さらに前記固定スクロールは、
    前記吐出圧力空間と前記加圧ポケット空間とを連通する通路が設けられると共に、該通路を塞ぐ圧力調整弁が設けられ、
    前記吐出圧力空間の圧力が前記加圧ポケット空間の圧力より大きい場合であって、前記吐出圧力空間の圧力と前記加圧ポケット空間の圧力との差圧が所定値以上となった場合に前記圧力調整弁が開き、前記吐出圧力空間から前記加圧ポケット空間に冷媒を流入させることにより、前記固定スクロールに対し前記旋回スクロールが離れる方向の荷重を加えることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロール及び前記固定スクロールが噛み合わさることにより、圧縮室が形成され、
    前記加圧ポケット空間は前記圧縮よりも外周側に設けられたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機において、
    圧縮される冷媒の吸入圧力と前記吐出圧力空間の冷媒圧力との中間の圧力に保たれる中間圧力空間が形成され、
    前記加圧ポケット空間の圧力は、前記吸込圧力と中間の圧力との間の圧力であることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のスクロール圧縮機において、
    前記加圧ポケット空間は、前記固定スクロールの渦巻き状のラップの最外周から径方向に均等な距離に設けられたことを特徴とするスクロール圧縮機。
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