本開示の第1態様によれば、スクリーン印刷で使用するステンシルシートを保持するシートホルダに前記ステンシルシートを着脱する着脱位置とマガジンとの間を、前記ステンシルシートを搬送する搬送装置であって、搬送方向に交差する前記ステンシルシートを保持する保持部を有し、前記ステンシルシートを搬送方向に搬送する移動体と、前記ステンシルシートの搬送方向に沿って配置され、前記移動体によって搬送されるステンシルシートを下方から支持する一対のガイドレールと、を備える、搬送装置を提供する。
本開示の第2の態様によれば、前記保持部は、前記ステンシルシートを吸着する吸着部を有する、第1態様に記載の搬送装置を提供する。
本開示の第3の態様によれば、前記保持部は、前記ステンシルシートにおける前記一対のガイドレールの間から露出する部分を下方から保持し、前記移動体は前記保持部を上下方向に移動させる上下方向駆動部を有する、第2態様に記載の搬送装置を提供する。
本開示の第4の態様によれば、前記保持部は、前記ステンシルシートの下面に接触する上面と、前記上面から上方へ突出したピンと、を有し、前記吸着部は、前記上面に開口してステンシルシートの下面を吸引保持する、第3態様に記載の搬送装置を提供する。
本開示の第5の態様によれば、前記保持部において、前記吸着部は搬送方向に間隔を空けて少なくとも2つ設けるとともに前記ピンを前記2つの吸着部の間に配置した、第4態様に記載の搬送装置を提供する。
本開示の第6の態様によれば、前記一対のガイドレールの前記着脱位置側のそれぞれの先端部を接続する支持板を備え、前記着脱位置において、前記ステンシルシートの前側の縁は前記支持板上に支持される、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の搬送装置を提供する。
本開示の第7の態様によれば、前記ガイドレールは、前記シートホルダのから下方へ突出した突起との干渉を回避するための逃げ部を有する、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の搬送装置を提供する。
以下、本開示に係る搬送装置の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本開示に含まれる。
(実施形態)
以下、図1から図4を参照して本開示の一実施形態について説明する。図1は、スクリーン印刷機1の要部の平面図である。図2は、スクリーン印刷機1の要部の斜視図である。図3は、スクリーン印刷機1の要部の側面図である。図4は、ステンシルシート15の平面図である。スクリーン印刷機1は、マガジン81に収納されたステンシルシート15をシートホルダ14の着脱位置Paまで搬送し、着脱位置Paにおいてステンシルシート15をシートホルダ14に取り付ける。スクリーン印刷機1は、さらに、ステンシルシート15を基板2に接触させて、基板2上に設けられた多数の電極3のそれぞれにはんだ等のペーストをスクリーン印刷する。
以下、ステンシルシート15の搬送方向をX軸方向(前後方向)とし、基板2の移動方向をY軸方向(左右方向)とし、上下方向をZ軸方向とする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向とは互いにそれぞれ直交する。スクリーン印刷機1の操作を行うオペレータは通常、ステンシルシート15がマガジン81から引き出される方向(X軸方向)側に位置しており、ここではオペレータが位置する側をスクリーン印刷機1の前方、その反対側にマガジン81が配置されている方をスクリーン印刷機1の後方とする。
スクリーン印刷機1は、基台10と、ユニット移動機構12Aと、基板保持ユニット12と、マガジン81と、シートホルダ14と、搬送装置51と、印刷ヘッド16と、制御部19と、を備える。マガジン81は、シート状のステンシルシート15を複数枚収納する。シートホルダ14は、基板保持ユニット12の上方に配置されている。搬送装置51は、マガジン81から着脱位置Paまでの区間でステンシルシート15を搬送する。印刷ヘッド16は、シートホルダ14の上方に設けられている。制御部19は、スクリーン印刷機1の各部の作動制御を行う。また、スクリーン印刷機1は、基台10上に設けられた基板搬入コンベア11、基板保持ユニット12及び基板搬出コンベア13を備える。スクリーン印刷機1は基台10の上方を覆うカバー10aを備えており、ユニット移動機構12A、基板保持ユニット12、シートホルダ14、搬送装置51、印刷ヘッド16等の主要な構成要素はカバー10aで囲われた空間内に配置されている。制御部19は基台10の内部に収納されている。
基板搬入コンベア11はスクリーン印刷機1の外部から投入された基板2をカバー10aの搬入口8を通して搬入し(図1及び図2、図3に示す矢印R1)、基板保持ユニット12に受け渡す。基板搬出コンベア13は基板保持ユニット12から受け取った基板2をカバー10aの搬出口9を通ってスクリーン印刷機1の外部に搬出する(図1及び図2、図3に示す矢印R2)。基板2は基板搬入コンベア11、基板保持ユニット12、基板搬出コンベア13の順で搬送される。
基板保持ユニット12は、ユニットベース21と、一対のコンベア22と、下受け部24と、一対の基板ホルダ25とを備えている。ユニットベース21は、ユニット移動機構12Aに支持されている。ユニット移動機構12AはXYZθテーブルであり、基板保持ユニット12を水平面内(XY面内)やZ軸方向へ移動させ、θ方向(Z軸回り)へ回転させる。一対のコンベア22は、ユニットベース21に取り付けられている。下受け部24は、ユニットベース21に設けられた昇降シリンダ23によって昇降され、コンベア22によって所定の作業位置(図2に示す位置)に搬送及び位置決めされた基板2の両端がコンベア22から上方に離間するように基板2を下方から持ち上げ支持する。一対の基板ホルダ25は、X軸方向に開閉自在に設けられ、図示しないアクチュエータによって開閉動作を行う。一対の基板ホルダ25は下受け部24により持ち上げ支持された基板2の両側部をX軸方向から挟んで(クランプして)保持する。下受け部24は、基板2の上面が基板ホルダ25の上面と同じ高さになるように基板2を持ち上げる。昇降シリンダ23、コンベア22、基板ホルダ25は制御部19からの指令に従って作動する。
ステンシルシート15は、ペーストを基板2の電極上にスクリーン印刷するためのマスクである。ステンシルシート15は、例えば金属製であり、実施形態1においてSUS製であるが、樹脂製であってもよい。ステンシルシート15は、例えば、長方形または正方形の矩形形状であり、枠に保持されることなくマガジン81に収納されている。図2、図4において、ステンシルシート15の中央領域には基板2上の電極3の配置パターンに対応した多数の開口15aが設けられている。ステンシルシート15の縁には四辺のそれぞれに沿って厚さ方向に貫通した複数の孔15bが設けられている。各孔15bは、近傍の辺と平行な方向に延びた長孔に形成されている。また、ステンシルシート15には、位置合わせ用のマーク15m形成されている。
印刷ヘッド16は、ステンシルシート15上に載置されたペーストを移動させることで、基板2の電極上にペーストを印刷する。図1及び図2において、印刷ヘッド16は、X方向へ移動するベース部材41と、2つのスキージ昇降部42と、スキージ保持具43と、2つのスキージ44とを備える。ベース部材41は、シートホルダ14に保持されたステンシルシート15の上方領域をX軸方向に移動自在に設けられている。スキージ昇降部42は、ベース部材41に取り付けられてその出力軸42aをベース部材41の下方に突出させている。スキージ保持具43は、各スキージ昇降部42の出力軸42aの下端に取り付けられてY軸方向に延びている。スキージ44は、各スキージ保持具43に上端部が保持されて斜め下方に延びた薄板部材である。ベース部材41は印刷ヘッド移動機構41aに連結されている。印刷ヘッド移動機構41aはベース部材41をX方向へ移動させるものであり、制御部19からの指令に基づいて作動する。これにより印刷ヘッド16はステンシルシート15に対して移動する。
基板保持ユニット12のコンベア22による基板2の搬送及び作業位置への位置決め動作、作業位置に位置した基板2に対する下受け部24による下受け動作及び一対の基板ホルダ25によるクランプ動作、並びに、基板保持ユニット12の水平面内方向及び上下方向の移動動作は制御部19からの指令に従って実行される。すなわち制御部19はこれらを制御して各種動作を実行させる。
制御部19は、画像認識部19a、機構制御部19b、テンション制御部19c、記憶部19dを備える。制御部19は、例えば、プロセッサ、FPGA等を含む。画像認識部19a、機構制御部19b、及び、テンション制御部19cはそれぞれ、複数のプロセッサ等により構成されてもよいし、1つのプロセッサにより構成されてもよい。
記憶部19dは、基板2にはんだ等のペーストをスクリーン印刷するために必要な各種の生産データを記憶する。記憶部19dは、メモリ、ハードディスク、SSD等の少なくとも1つから構成される記憶装置であり、画像認識部19a、機構制御部19b、テンション制御部19cのそれぞれの処理プログラムが記憶されている。
機構制御部19bは、基板保持ユニット12、ユニット移動機構12A、印刷ヘッド16、搬送装置51、マガジン昇降機91、印刷ヘッド移動機構41a、シートホルダ駆動部36(詳細は後述)等を作動させることにより、基板の搬送や位置決め動作、印刷動作、ステンシルシートの交換動作等を実行させる。
図1において、印刷ヘッド16のX軸方向への往復移動は機構制御部19bが印刷ヘッド移動機構41aの作動制御を行うことによってなされる。各スキージ44のベース部材41に対する昇降動作は、機構制御部19bがそのスキージ44に対応するスキージ昇降部42の作動制御を行ってスキージ保持具43を上下させることによってなされる。
次に、図1、図3及び図5を参照して、ステンシルシート15を搬送する搬送装置51について説明する。搬送装置51は、ステンシルシート15をシートホルダ14に着脱する着脱位置Paとマガジン81との間を、ステンシルシート15を搬送する。搬送装置51は、ステンシルシート15の搬送方向に略直交する縁に形成された孔15bに保持してステンシルシート15を搬送方向(X軸方向)に搬送する保持部53と、ステンシルシート15の搬送方向に沿って配置された一対のガイドレール55と、保持部53が装着されたY軸ビーム59(移動体)と、Y軸ビーム59を搬送方向に駆動するY軸ビーム移動部59aと、を備える。搬送装置51は、ステンシルシート15の搬送方向に平行な両辺をガイドレール55上に滑らせて、ステンシルシート15を搬送する。Y軸ビーム移動部59aは、図示しないモータや送りねじ等の機構部品を含み、Y軸ビーム移動部59aをX軸方向に移動させる。これにより、保持部53は一対のガイドレール55の間を搬送方向(X軸方向)に移動される。
ガイドレール55は、ステンシルシート15をマガジン81と着脱位置Paとの間を案内する案内部材である。ガイドレール55は、例えば、縦断面形状がL字形状を有しており、ステンシルシート15を下から支持する水平部55aと、水平部55aから上方に延びる壁部55bとを備える。ガイドレール55のシートホルダ14側のそれぞれの先端部は、支持板56により互いに接続されている。支持板56は、着脱位置Paに搬送されたステンシルシート15の前部の縁を支持する。
保持部53は、ステンシルシート15を保持してマガジン81とシートホルダ14の直下の着脱位置Paとの間を搬送する。保持部53は、例えば、平面視で矩形形状を有する。保持部53は、ステンシルシート15の下面に接触する上面53sを有している。この上面53sにはステンシルシート15に係合するピン58とステンシルシート15を吸着する吸着部としての凹部57とを備える。
具体的には、図5に示すように、保持部53の上面53sには、吸着部として搬送方向に間隔を空けて並べて配置された一組の凹部57が形成されている。搬送方向に並べて配置されたそれぞれの凹部57の間の上面53sには、ピン58が配置されている。したがって、ピン58の前方及び後方にそれぞれ凹部57が形成されている。凹部57はピン58を挟む位置に少なくとも二つあればよいが、複数の凹部57を保持部53に搬送方向と直交する方向に並べて配置してもよい。例えば、保持部53のマガジン81側の辺に沿って、2つの凹部57が配置されている。それぞれの凹部57の底面には吸引孔57aが形成されている。それぞれの吸引孔57aは吸引装置61に接続されており、吸引装置61が作動すると、凹部57はその上方に位置するステンシルシート15を吸着する。吸引装置61は、例えば、真空ポンプや真空エジェクタである。保持部53は、一対のガイドレール55の間から下方に露出した部分を下方から保持する。
保持部53は、保持部昇降機構54aにより上下方向に移動可能である。保持部昇降機構54aは、例えば、シリンダである。保持部昇降機構54aは、例えば、ガイドレール55の壁部55bに沿って移動可能なY軸ビーム59に取り付けられている。Y軸ビーム59はガイドレール55と基板保持ユニット12の挟まれた空間を移動する。保持部昇降機構54aは、Y軸ビーム59の後方側に装着されている。Y軸ビーム59は、Y軸ビーム移動部59aに連結されており、Y軸ビーム移動部59aによって搬送方向(X軸方向)へ移動する。これにより、保持部53は保持部昇降機構54aと共にX軸方向に移動可能である。
Y軸ビーム59の前方側には、撮像視野を下方に向けた下方撮像カメラ17aと撮像視野を上方に向けた上方撮像カメラ17bが取り付けられている。下方撮像カメラ17aと上方撮像カメラ17bは、Y軸ビーム59に内蔵されたカメラ移動機構(図示せず)によってY方向へ移動する。下方撮像カメラ17aは、基板2上の位置合わせ用のマーク2mを撮像する。上方撮像カメラ17bは、ステンシルシート15の位置合わせ用のマーク15mを撮像する。
図3において、下方撮像カメラ17a及び上方撮像カメラ17bの水平面内での移動動作は、機構制御部19bがY軸ビーム移動部59aとカメラ移動機構の作動制御を行うことによってなされる。下方撮像カメラ17aによる撮像動作の制御と上方撮像カメラ17bによる撮像動作の制御はそれぞれ制御部19によってなされ、下方撮像カメラ17aの撮像動作によって得られた画像データと上方撮像カメラ17bの撮像動作によって得られた画像データはそれぞれ制御部19に送信されて制御部19の画像認識部19aにおいて画像認識処理される。これにより、シートホルダ14に保持されたステンシルシート15の位置が認識され、基板保持ユニット12に保持された基板2の位置が認識される。
シートホルダ14は、搬送されたステンシルシート15と連結しステンシルシート15を保持する。シートホルダ14は、中央部が矩形形状に開口したホルダ枠14aと、ホルダ枠14a内にステンシルシート15の外周縁に連結される連結部材30と、を備える。
連結部材30は、X軸方向に延びてステンシルシート15のY軸方向に対向する両縁(ステンシルシート15の縦辺)それぞれに連結される2つの第1連結部材31と、X軸方向に延びてステンシルシート15のY軸方向に対向する両縁(ステンシルシート15の横辺)それぞれに連結される2つの第2連結部材32を備える。2つの第1連結部材31は、これら2つの第1連結部材31と直交する方向(X軸方向)にシートホルダ14内で移動可能であり、2つの第2連結部材32は、これら2つの第2連結部材32と直交する方向(Y軸方向)にシートホルダ14内で移動可能である。
連結部材30(2つの第1連結部材31および2つの第2連結部材32)それぞれの下面から、ステンシルシート15の四辺に沿って設けられた各孔15bよりも孔15bの延びる方向(ステンシルシート15の辺に沿った方向)の寸法が小さい連結用の突起30aが突出している。ホルダ枠14aには、突起30aがホルダ枠14aの内部から外部に向かって突出するための孔14bが形成されている。
シートホルダ14は、上方の待機位置Pwと下方のクランプ位置Pcとの2つの位置に移動可能である。シートホルダ14の2つの位置への移動は、スクリーン印刷機1に設けたリフト71によって行われる。リフト71は、一対のガイドレール55の壁部55bにそれぞれ取り付けられている。リフト71は、シートホルダ14のホルダ枠14aの上面に接続されている。リフト71は、例えば、エアシリンダである。クランプ位置Pcにおいて、ステンシルシート15の縁に設けられた各孔15bにシートホルダ14の各突起30aが挿入され、さらに、各突起30aがステンシルシート15の面方向外方に移動することでステンシルシート15をシートホルダ14に取り付ける。クランプ位置Pcにおいて、ガイドレール55の水平部55aには孔55cが形成されている(図12Cも参照)。この孔55cは、クランプ位置Pcへ移動してきたシートホルダ14の突起30aと水平部55aとの干渉を回避する目的と、ステンシルシート15の孔15bを貫通した突起30aの下端がステンシルシート15の下面よりも下方に確実の突出させる目的で形成されている。すなわち、孔55cは、ガイドレール55とシートホルダ14から下方へ突出した突起30aとが干渉するのを回避するための逃げ部となっている。なお、同様な逃げ部は、支持板56にも形成されている。
シートホルダ14には駆動シリンダ35が設けられている。駆動シリンダ35は、2個の第1のエアシリンダ35aと2個の第2のエアシリンダ35bを備える。図12Cに示すように、第1のエアシリンダ35aはY軸方向に延びたピストンロッド35eを第1連結部材31に連結させており、ピストンロッドを進退させることで一対の第1連結部材31をY軸方向に互いに反対方向に移動させる。第2のエアシリンダ35bも同様にY軸方向に延びたピストンロッドを第2連結部材32に連結させており、ピストンロッドを進退させることで一対の第2連結部材32をX軸方向に互いに反対方向に移動させる。シートホルダ駆動部36は第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bを作動させてステンシルシート15に張力を付与する。
スクリーン印刷機1は、シートホルダ駆動部36を備えている。図8において、シートホルダ駆動部36は外部の圧力源40に接続された配管39に接続されている。配管39はシートホルダ駆動部36内で3系統に分岐している。第1系統の配管37は二つの第1のエアシリンダ35aに接続されている。シートホルダ駆動部36は第1系統の配管37に直列に接続されたバルブ37aと第1の圧力調整部37bを有する。第2系統の配管38は二つの第2のエアシリンダ35bに接続されている。シートホルダ駆動部36は第2系統の配管38に直列に接続されたバルブ38aと第2の圧力調整部38bを有する。第3系統の配管72は二つのリフト71に接続されている。シートホルダ駆動部36は第3系統の配管72に直列に接続されたバルブ72aと第3の圧力調整部72bを有する。バルブ37a、バルブ38a、バルブ72aは、制御部19の機構制御部19bによって制御され、第1のエアシリンダ35a、第2のエアシリンダ35b、リフト71への空圧の供給と遮断を行う。バルブ37aとバルブ38aが開いて第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bに空圧が供給されると、ステンシルシート15の縁に4つの連結部材30を連結させた状態で4つのエアシリンダ35a、35bを作動させ、対向する連結部材30同士を互いに離間する方向に移動させてステンシルシート15全体を水平面方向に引っ張ることにより、ステンシルシート15に張力を付与することができる。また、バルブ72aが作動してリフト71を下向きに作動させるとシートホルダ14を待機位置Pwからクランプ位置Pcに移動させることができる。またバルブ72aが逆方向に作動するとシートホルダ14を待機位置Pwに移動させることができる。
第1の圧力調整部37bと第2の圧力調整部38bは、第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bに供給する空圧を個別に調整する。すなわち、シートホルダ駆動部36は第1のエアシリンダへ供給する空圧と前記第2のエアシリンダに供給する空圧を別々に調節することができる。これにより、空圧を適切に調整することによりステンシルシート15の張力を管理することができる。また本実施の形態ではX方向とY方向の2系統に分けて空圧を調整できるので、ステンシルシートの張力をX方向とY方向別々に調整することができる。第1の圧力調整部37bと第2の圧力調整部38bには、電空レギュレータを使用することができる。電空レギュレータを使用した場合、圧力の調整は制御部19のテンション制御部19c(図3参照)からの入力によって行われる。これにより、マガジン81にストックされているステンシルシートの最適な空圧に関する情報を記憶部19dに予め記憶させておき、ステンシルシートが交換されたらテンション制御部19cが記憶部19dから該当するデータを読み出して第1の圧力調整部37bと第2の圧力調整部38bに自動で設定する。すなわち、ステンシルシート15の交換に伴うテンションの調整も自動化できる。なお、本実施の形態では、第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bを別系統の空圧回路で駆動しているが、1つの系統でこれらを駆動するようにしてもよい。
次に、図9A-図9C及び図10A-図10Gを参照して、スクリーン印刷機1の概略動作について説明する。図9A-図9Cは、スクリーン印刷機1のステンシルシート15がマガジン81から搬送されてシートホルダ14に取り付けるまでを説明する概略説明図である。図9Aに示すように、マガジン81から搬出されたステンシルシート15は、図9Bに示すように、シートホルダ14の下方の着脱位置Paへ搬送される。機構制御部19bがリフト71を駆動制御することで、図9Cに示すように、シートホルダ14を着脱位置Paに位置するステンシルシート15に向けて下方に移動させて、ステンシルシート15をクランプさせる。まず、搬送装置51が、マガジン81に収容されたステンシルシート15をシートホルダ14の下方の着脱位置Paまで搬送する動作について説明する。
図9Aに示すように、スクリーン印刷機1はマガジン81の高さを調整するマガジン昇降機91を備える。マガジン昇降機91は、制御部19からの指示により、ガイドレール55の水平部55aの上面の高さに、使用されるステンシルシート15の収納高さが合うようにマガジン81を移動させる。
図10Aに示すように、Y軸ビーム移動部59aは、保持部53を、マガジン81内に収容されているステンシルシート15間で搬送対象となるステンシルシート15の下方にマガジン81の奥側に向けて駆動して、ステンシルシート15の前部の縁に沿って形成された孔15bの直下に保持部53のピン58が位置するように保持部53を移動させる。
次に、図10Bに示すように、保持部昇降機構54aが保持部53を回避位置から搬送位置へ上方向に移動させる。これにより、ステンシルシート15の前部の縁に沿って形成された孔15bに保持部53のピン58が挿入される。これと同時に、吸引装置61を作動させてピン58よりも後方(紙面右方向)の凹部57に負圧を導入してステンシルシート15を吸引保持する。
次に、図10Cに示すように、Y軸ビーム移動部59aが保持部53をシートホルダ14の下方の着脱位置Paに向けて移動させる。これにより、保持部53のピン58がステンシルシート15の孔15bの内縁に当たって、マガジン81からステンシルシート15を搬出する。ステンシルシート15の搬送方向に平行な対向する縁がガイドレール55の水平部55aに支持されながら、ステンシルシート15は水平部55a上を滑って搬送される。また、保持部53の凹部57がステンシルシート15の下面を吸着するので、保持部53がステンシルシート15を安定して把持することができる。
なお、保持部53の搬送ストロークが短い場合、保持部53は、2段階の移動でマガジン81からシートホルダ14の下方の着脱位置Paに移動する。マガジン81と着脱位置Paとの間の中間位置Pmにおいて、保持部53はステンシルシート15の前部の孔15bから後部の孔15bにピン58を挿入し直す。
図10Dに示すように、Y軸ビーム移動部59aは、保持部53を中間位置Pmに移動させる。中間位置Pmにおいて、機構制御部19bの指示により保持部昇降機構54aが保持部53を搬送位置から回避位置へ下方向に移動させる。これにより、ステンシルシート15の前部の縁に沿って形成された孔15bから保持部53のピン58が引き出される。
図10Eに示すように、機構制御部19bの指示によりY軸ビーム移動部59aは、保持部53をマガジン81側に向けて移動させて、ステンシルシート15の後部の縁に沿って形成された孔15bの直下に保持部53のピン58が位置するように保持部53を移動させる。
次に、図10Fに示すように、機構制御部19bの指示により保持部昇降機構54aが保持部53を回避位置から搬送位置へ上方向に移動させる。これにより、ステンシルシート15の後部の縁に沿って形成された孔15bに保持部53のピン58が挿入される。
次に、図10G及び図11に示すように、機構制御部19bの指示によりY軸ビーム移動部59aが保持部53をシートホルダ14の下方の着脱位置Paに向けて移動させる。これにより、保持部53のピン58がステンシルシート15の後部の縁に沿って形成された孔15bの内縁に当たって、中間位置Pmから着脱位置Paに向けてステンシルシート15を搬送する。
ステンシルシート15は、中間位置Pmからさらに前方に搬送されると、やがてステンシルシート15の前部が支持板56の上に乗り上げて、ステンシルシート15の前部が支持板56に支持される。その後、機構制御部19bの指示により吸引装置61による吸引を停止するとともに保持部昇降機構54aが保持部53を搬送位置から回避位置へ下方向に移動させて、保持部53によるステンシルシート15の保持を解除する。そしてY軸ビーム移動部59aを移動させてY軸ビーム59を、この後着脱位置Paに上昇してくる基板保持ユニット12と干渉しない位置へ退避させる。
以上のようにして、ステンシルシート15は、マガジン81からシートホルダ14の下方の着脱位置Paに向けて移動される。なお、着脱位置Paからマガジン81へ搬送して収納する収納工程については上述した搬送工程と逆の工程を実施する。搬送工程と収納工程とでは、ステンシルシート15と保持部53との係合箇所は同じであるが搬送方向が逆方向となる。
次に、図12A-図12Dを参照して、着脱位置Paに位置するステンシルシート15をシートホルダ14に取り付ける概略動作について説明する。
図12Aは、ステンシルシート15が着脱位置Paに到着した状態を図示している。この状態から機構制御部19bは、ユニット移動機構12Aを作動させて基板保持ユニット12を上昇させ、基板ホルダ25が上昇する(図12Bの矢印Z2参照)。図12Bに示すように、基板ホルダ25は、ステンシルシート15の一部を持ち上げてステンシルシート15の着脱高さにおいて停止する。これにより、一対のガイドレール55間で下方に撓んでいるステンシルシート15を水平に支持することができる。
次に、機構制御部19bは、リフト71に駆動指示を送る。リフト71は、シートホルダ14を上方の待機位置Pwから下方のクランプ位置Pcに移動させる(図12Bの矢印Z3)。シートホルダ14は、底面から突出する突起30aをステンシルシート15の孔15bにそれぞれ挿入する。これにより、図12Bに示すように、シートホルダ14の突起30aがステンシルシート15の孔15bに挿入される。
次に、機構制御部19bは、シートホルダ駆動部36にバルブ37aとバルブ38aを開くよう指令を送る。これにより第1の圧力調整部37bで調節された圧力のエアが第1系統の配管37を通じて第1のエアシリンダ35aへ供給され、第2の圧力調整部38bで調節された圧力のエアが第2系統の配管38を通じて第2のエアシリンダ35bへ供給され、第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bが4つの連結部材30をシートホルダ14の外方へ移動するように駆動する。連結部材30が外方へ移動するのに伴って、連結部材30の各突起30aがステンシルシート15の孔15bを外方へ押す(図12Cの矢印G1も参照)。これにより、ステンシルシート15に張力が付与され、ステンシルシート15が水平に保持される。図12Cには、移動する前の第1連結部材31と突起30aを破線で、移動後を実線で示している。
次に、機構制御部19bは、ユニット移動機構12Aを作動させて基板保持ユニット12を下降させる(図12Dの矢印Z4)。以上で、ステンシルシート15をシートホルダ14への取り付けが終了する。なお、シートホルダ14からステンシルシート15の取り外しは、上述した工程の逆の工程を実施することで達成できる。ステンシルシート15のシートホルダ14への装着が完了すると、図12Dに示すように上方撮像カメラ17bをステンシルシート15の下方へ移動させ、ステンシルシート15に設けられた位置合わせ用のマーク15m(図2)を撮像する。そして、その画像は画像認識部19aで認識処理されてステンシルシート15の位置が認識される(ステンシル認識)。ステンシル認識によって認識されたステンシルシート15の位置は、基板2を位置決めする際に利用される情報として記憶部19dに記憶される。
次に、図13-図15を参照して、スクリーン印刷機1がスクリーン印刷作業を行う動作を説明する。機構制御部19bはまず、上流工程側の他の装置から基板2が送られてきたことを検知したところで基板搬入コンベア11と基板保持ユニット12のコンベア22を作動させて基板保持ユニット12へ搬入する(図13参照)。次に、機構制御部19bは基板保持ユニット12を作動させて基板2を保持する。基板2の保持は、具体的には、昇降シリンダ23で下受け部24を押し上げて基板2の上面と基板ホルダ25の上面の高さを揃え、一対の基板ホルダ25を閉じる方向に駆動して基板2の両端を挟み込むことによって行う(図14参照)。
機構制御部19bは、基板2を保持したら、Y軸ビーム移動部59aとカメラ移動機構(図示せず)を作動させて、下方撮像カメラ17aを基板2に設けられた位置合わせ用のマーク2m(図2)に位置させて下方撮像カメラ17aにマーク2mの撮像を行わせる(図14の矢印H1参照)。そして、得られたマーク2mの画像データを画像認識部19aで処理を行って基板保持ユニット12におけるマーク2mの位置を求め、求めたマーク2mの位置から基板の位置を認識する(基板認識)。制御部19は、記憶部19dから読み出したステンシルシート15の位置と基板認識で求めた基板2の位置より、基板2をステンシルシート15に位置合わせを行うための水平方向移動距離と回転角度を計算する。この計算結果に基づいて機構制御部19bは、ユニット移動機構12Aを作動させて基板保持ユニット12を移動させて基板2とステンシルシート15の位置合わせを行う。
図15に示すように、制御部19は、ステンシルシート15と基板2の位置合わせが終わると、ユニット移動機構12Aの作動制御を行って基板保持ユニット12を上昇させ、基板2を保持した一対の基板ホルダ25がステンシルシート15の下面に相対的に下方から押し当てることにより、一対の基板ホルダ25及び基板2それぞれの上面をステンシルシート15の下面に接触させる(矢印Z1参照)。これにより基板2上の電極3とステンシルシート15のパターン開口15aとが合致した状態となる。
制御部19は基板2をステンシルシート15に接触させたら、スキージ44によるスキージングを行ってステンシルシート15上のペーストを基板2に転写させる。
このスキージングは、具体的には、印刷ヘッド16から2つのスキージ44のうちの一方を下降させ、ステンシルシート15の上面に当接させた状態を維持したままベース部材41をY軸方向に移動させることによって行う。これによりステンシルシート15上でスキージ44が摺動し、ステンシルシート15上のペーストはスキージ44によってステンシルシート15のパターン開口15a内に押し込まれ、基板2の電極3上に転写される。なお、制御部19は、印刷ヘッド16を前方から後方に移動させてスキージングを行うときには後側のスキージ44をステンシルシート15上に当接させ、印刷ヘッド16を後方から前方に移動させてスキージングを行うときには前側のスキージ44をステンシルシート15上に当接させるようにする。
制御部19は、スキージングを行って基板2にペーストを転写させたら、ユニット移動機構12Aを作動させて基板保持ユニット12を下降させ、ステンシルシート15から基板2及び一対の基板ホルダ25を離間させて版離れを行う。これにより基板2の電極3上にペーストが残留し、基板2にペーストが印刷された状態となる。
制御部19は版離れが終わったら、基板保持ユニット12による基板2の保持を解除する。この基板2の保持の解除は、具体的には、機構制御部19bが一対の基板ホルダ25を開かせたうえで、下受け部24を下降させ、基板2の両端を一対のコンベア22上に降ろすことによって行う。
機構制御部19bは基板2の保持を解除したら、ユニット移動機構12Aを作動させて基板保持ユニット12を水平面内で移動させ、コンベア22の向きを整えたうえでコンベア22及び基板搬出コンベア13を作動させ、基板2をスクリーン印刷機1の外部に搬出する。
次に、複数のステンシルシート15を収納するマガジン81について図16~図18を参照して説明する。図16はマガジンの正面図であり、図17は上壁を取り外した状態のマガジンの平面図である。図18(a)は、図16のXIV矢視における断面から見た、マガジン内部の要部の斜視図であり、図18(b)はマガジンの縦断面から見た側面図である。マガジン81は、ステンシルシート15の搬入出方向にガイドするガイド部82と、ガイド部82にステンシルシート15を固定する固定部83とを備える。また、マガジン81は、上壁81a、側壁81b、81c、下壁81d、及び奥壁81eと、ステンシルシートを搬入出させる搬入出口81fとを備える。奥壁81eは、ステンシルシート15の取り出し方向と直交する。
ガイド部82は、搬入出方向に直交する方向の一方側(左側)に配置され、ステンシルシート15の対向する縁の一方側の縁を直接支持する第1ガイド板82aを備える。また、ガイド部82は、搬入出方向に直交する方向の他方側(右側)に配置され、ステンシルシート15の対向する縁の他方側の縁を直接支持する第2ガイド板82bを備える。第1ガイド板82a及び第2ガイド板82bは、ステンシルシート15の搬入出方向に沿って延びる。第1ガイド板82aと第2ガイド板82bとで左右に一対のガイド板を構成するガイド部82は、ステンシルシート15の収納枚数に応じた数だけ上下方向に配置されている。第1ガイド板82a及び第2ガイド板82bはそれぞれ、側壁81b及び81cにそれぞれ固定される。ガイド部82には、マガジン81内に挿入されたステンシルシート15の取り出し方向に平行な縁が載置される。第1ガイド板82a及び第2ガイド板82bのそれぞれに、搬入出方向に延びる一対の棚板85が取り付けられている。棚板85は、ステンシルシート15の底面を支持する。
固定部83は、ステンシルシート15の取り出し方向に延びる矩形状のプレート部83aと、プレート部83aの後端から下方に延びてさらに上方に折り曲げられたV字形状を有する折り曲げ部83bと、を有する。折り曲げ部83bは、弾性部材であり、例えば板バネである。固定部83のプレート部83aは、側壁81b又は81cに例えばボルトにより取り付けられる。
ステンシルシート15が、ガイド部82に沿ってマガジン81内に搬入され、ステンシルシート15の奥側の辺がマガジン81の奥壁81eに当接すると、ステンシルシート15の搬入出方向に沿ってステンシルシート15に形成された孔15bに固定部83の折り曲げ部83bが弾性力により挿入される。これにより、孔15bに挿入された折り曲げ部83bと奥壁81eとでステンシルシート15が挟持されて、ステンシルシート15がマガジン81内で位置決めされる。折り曲げ部83bは、弾性部材であれば、V字形状以外にも、プレート部83aの後端から下方に単に延びた形状でもよい。
次に、図19を参照する。図19はマガジン内部の前部における要部斜視図である。奥壁81eの反対側のガイド部82の先端部82cは、下方に傾斜する傾斜面を有する。また、奥壁81eの反対側の棚板85の先端部85aも下方に傾斜する傾斜面を有する。これにより、ステンシルシート15をマガジン81内へ搬入する際、及びマガジン81外へ搬出する際に、ステンシルシート15がガイド部82の先端及び棚板85の先端と引っ掛かるのを防止することができる。
マガジン81は、マガジン81の上壁81aの辺に沿って突起部86と、マガジン81の下壁81dの辺に沿って突起部86に対応する凹部87を備える。したがって、ユーザが、一方のマガジン81の突起部86を他方のマガジン81の凹部87に挿入することで、一方のマガジン81の上に他方のマガジンが固定される。このように、複数のマガジン81を組み合わせて互いに結合することが可能であるので、1個当たりのマガジン81を軽量化することができ、マガジン81の搬送の負担を軽減することができる。
本実施形態のスクリーン印刷機1によれば、基板2上の電極3に対応した開口15aを有する、複数のステンシルシート15を収納するマガジン81と、ステンシルシート15の縁を着脱自在に保持するシートホルダ14と、マガジン81とシートホルダ14との間を、ステンシルシート15を搬送する搬送装置51と、シートホルダ14に保持されたステンシルシート15上に載せられたはんだペーストを摺動する印刷ヘッド16と、を備える。この構成により、枠が取り付けられていない状態のステンシルシート15がマガジン81に収容されているので、マガジン81の収納数を増加させ、さらに、マガジン81のサイズを小型化することができる。従来のステンシル枠の厚みは30mm程度であり、ステンシルシート15の厚みが150μm程度なので、大幅に改良される。また、搬送装置51が枠無しのステンシルシート15をマガジン81から搬送し、シートホルダ14が枠無しのステンシルシート15を着脱自在に保持するので、ステンシルシート15の交換の労力を低減し省スペース化されたスクリーン印刷機1を提供することができる。
また、搬送装置51は、ステンシルシート15をシートホルダ14の下方に搬送し、シートホルダ14は、シートホルダ14の下部にステンシルシート15を着脱してもよい。従来は、シートホルダの印刷ヘッド側にステンシルシートを取り付けていたが、ステンシルシート15をシートホルダ14の下方に搬送し、シートホルダ14とステンシルシート15との着脱をシートホルダ14の下方で実施するので、シートホルダ14の上方の印刷ヘッドとの干渉を避けることができ、着脱の自動化に適している。
また、シートホルダ14は、ステンシルシート15を面方向に張力を付与してクランプしてもよい。この構成によれば、ステンシルシート15は面方向に張力が付与されるので、基板2の電極3とステンシルシート15の開口15aとの位置ズレを防止することができる。
また、ステンシルシート15をクランプする下方のクランプ位置Pcと上方の待機位置Pwとにシートホルダ14を移動させるリフト71を備えてもよい。シートホルダ14を、クランプ位置Pcと待機位置Pwとに移動できるので、ステンシルシート15を、シートホルダ14と干渉することなく、クランプ位置Pcにスムーズに搬送することができる。
また、ステンシルシート15は、外縁に沿って形成された複数の孔15bを有し、シートホルダ14は、下面から下方に突出する複数の突起30aを備え、リフト71によるシートホルダ14のクランプ位置Pcへの移動により、複数の突起30aがステンシルシート15の複数の孔15bに挿入されてもよい。これにより、シートホルダ14をステンシルシート15に適切に係合することができる。
また、シートホルダ14は、複数の突起30aを面方向に外方に向けて移動させることで、ステンシルシート15に張力を付与するアクチュエータを有してもよい。これにより、シートホルダ14は、ステンシルシートを適切にクランプすることができる。
また、アクチュエータは、空圧によって作動するエアシリンダでもよい。
アクチュエータは、ステンシルシート15の平行な一組の外縁に形成された孔15bに挿入される突起30aを面方向の外方に向けて移動させる第1のエアシリンダ35aと、他の一組の外縁に形成された孔15bに挿入される突起30aを第1のエアシリンダ35aによる移動方向に対して直交する面方向の外方に向けて移動させる第2のエアシリンダ35bと、を含んでもよい。
また、スクリーン印刷機1は、第1のエアシリンダ35aへ供給する空圧と第2のエアシリンダ35bに供給する空圧を別々に調節するシートホルダ駆動部36を備える。第1のエアシリンダ35aと第2のエアシリンダ35bとで空圧を別々に調整するので、シートホルダ14は、ステンシルシート15を適切にクランプすることができる。
また、本実施形態の搬送装置51によれば、搬送方向に交差するステンシルシート15を保持する保持部53を有し、ステンシルシート15を搬送方向に搬送するY軸ビーム59と、ステンシルシート15の搬送方向に沿って配置され、Y軸ビーム59によって搬送されるステンシルシート15の下方から支持する一対のガイドレール55と、を備える。これにより、枠無しのステンシルシート15を自動交換することができる。
また、保持部53は、ステンシルシート15を吸着する凹部57を有する。これにより、保持部53はステンシルシート15をより確実に把持することができる。
また、保持部53は、ステンシルシート15における一対のガイドレール55の間から露出する部分を下方から保持し、Y軸ビーム59は保持部53を上下方向に移動させる保持部昇降機構54aを有する。
また、保持部53は、ステンシルシート15の下面に接触する上面53sと、上面から上方へ突出したピン58と、を有し、凹部57は、上面53sに開口してステンシルシート15の下面を吸引保持する。
また、保持部53において、凹部57は搬送方向に間隔を空けて少なくとも2つ設けるとともにピン58を2つの凹部57の間に配置されている。
また、一対のガイドレール55の着脱位置Pa側のそれぞれの先端部を接続する支持板56を備え、着脱位置Paにおいて、ステンシルシート15の前側の縁は支持板56上に支持される。ガイドレール55の先端部を互いに支持板56で接続することで、着脱位置Paに到着したステンシルシート15の前部を支持板56上に乗り上げて支持することができる。これにより、ステンシルシート15とシートホルダ14との着脱を安定して実施することができる。
また、ガイドレール55は、シートホルダ14の下方へ突出した突起30aとの干渉を回避するための孔55cを有してもよい。これにより、シートホルダ14の突起30aがステンシルシート15の孔15bを貫通してガイドレール55の孔55cまで到達することができるので、ステンシルシート15の孔15bからシートホルダ14の突起30aが抜けるのを防止することができる。
また、本実施形態のマガジン81によれば、複数のステンシルシート15を収納するマガジン81であって、ステンシルシート15の搬入出方向にガイドするガイド部82と、ガイド部82にステンシルシート15を固定する固定部83とを備える。これにより、枠の無いステンシルシート15であっても、固定部83がガイド部82にステンシルシート15を固定するので、マガジン81内でステンシルシート15が動くのを防止することができる。
また、固定部83は、第1ガイド板82a及び第2ガイド板82bにステンシルシート15を押し当てて固定してもよい。固定部83がガイド部82にステンシルシート15を押し当てるので、マガジン81内でステンシルシート15が動くのを防止することができる。
また、ステンシルシート15を搬入出させる搬入出口81fと、搬入出口81fの奥に配置された奥壁81eと、を備え、固定部83は、ステンシルシート15の搬入出方向に沿ってステンシルシート15に形成された孔15bに挿入される弾性部材である折り曲げ部83bを有し、孔15bに挿入された固定部83と奥壁81eと折り曲げ部83bとでステンシルシート15が固定される。これにより、マガジン81内に収容されるステンシルシート15が位置決めされるので、ステンシルシート15の自動交換用のマガジンとして適している。
また、奥壁81eと反対側のガイド部82の先端部82cが下方に傾斜する傾斜面を有してもよい。これにより、ステンシルシート15を出し入れする際に、ガイド部82の先端部82cにステンシルシート15が引っ掛かるのを防止することができる。
また、複数のマガジン81を連結可能であってもよい。これにより、1個当たりのマガジン81の重量を軽減することができ、オペレータがマガジン81を運ぶ労力を低減することができる。
また、マガジン81の上壁81aの辺に沿って突起部86を有し、マガジン81の下壁81dの辺に沿って突起部86に対応する凹部87を備え、一方のマガジン81の突起部86が他方のマガジン81の凹部87に挿入され、一方のマガジン81の上に他方のマガジン81が固定される。これにより、複数のマガジンを上下に安定して組み立てることができる。
なお、上述の実施形態において、4つの連結部材30のうち対向するもの同士が互いに離間する方向に相対移動するように4つの連結部材30を駆動してステンシルシート15にテンションを付与する駆動部としてシリンダ(駆動シリンダ35)を示したが、必ずしもシリンダでなくてもよい。
また、前述の実施形態では、ステンシルシート15の四辺に沿った縁と4つの連結部材30とを連結させる手段は、ステンシルシート15の縁に設けられた連結用の孔15bと各連結部材30に設けられて連結用の孔15bに嵌入する連結用の突起30aから構成されていたが、これに限定されない。ステンシルシート15の縁と4つの連結部材30とは他の手段によって連結されてもよい。例えば、ステンシルシート15は、その4辺が内側に折り曲げられた折り曲げ部を有し、シートホルダ14がステンシルシート15の折り曲げ部に脱着可能に係合する爪を有してもよい。なお、上述したように、各連結部材30に設けられた連結用の突起30aをステンシルシート15の縁に設けられた孔15bに嵌入させることにより、連結部材30とステンシルシート15との連結を行うことで、連結部材30とステンシルシート15との連結を極めて簡易な構成で行うことができ、スクリーン印刷機1のコストの低廉化を実現できる。
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
なお、前記様々な実施形態および変形例のうちの任意の実施形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。