JP7373162B2 - コネクタ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタ及びその製造方法に関する。
電線同士、又は電線と電気機器とを接続するコネクタは、近年、小型化及び大電流化が進んでいる。このため、コネクタには、高い電流密度でもトラブルなく電流を流す高い信頼性が求められるようになっている。
コネクタにおける電気接点の表面(接触面)は、通常、酸化等による導電性の低下や腐食を抑制するために、金属でメッキされている。しかし、金以外の金属は、程度の差こそあれ、コネクタの使用環境下で酸化してしまうため、これを表面にメッキしても、使用環境や条件によっては酸化等による劣化が始まり、またいったん劣化が始まると、これが加速度的に進行することが知られている。
こうした電気接点の劣化、特に導電性の低下は、コネクタの電力損失の増大や導通不良といった信頼性の低下につながるため、問題とされていた。
他方、電気接点の接触面を金でメッキした場合、酸化に起因する劣化の可能性はほとんどないものの、高価な材質であるため製造コストが高くなることが問題であった。
そこで、電気接点表面の酸化又はこれによる導電性の低下を低コストで抑制するために、種々の対策が検討されてきた。
例えば、特許文献1では、銅箔ないし銅基板上にグラフェンからなる層を積層して電気接点材料としている。特許文献1によれば、「上記電気接点材料においては、基材上に炭素材料層が設けられていることにより、該電気接点材料を用いて電気接点を作製した場合に、基材上での金属酸化物膜の生成が抑制できる。このため、本発明の電気接点においては、導通が阻害されることもなく、優れた接触信頼性を実現できる。」(段落[0020])とされている。
また、特許文献2、3では、銅又はその合金からなる母材上に、カーボンナノチューブ(CNT)等のナノカーボン材料を含む金属めっき膜を、当該カーボンナノ材料の少なくとも一部がめっき膜の表面に露出すると同時に、めっき膜を構成する金属の酸化されていない部分にも接触するように形成して電気接点材料としている。特許文献2によれば、「電気導電性の低い金属酸化皮膜4cよりも電気導電性の高いCNT4bを介して他の導電部材と金属めっき膜4aの内部(深部)の金属とが電気的に直結し、その結果、安定的に低い接触抵抗が得られる。」(段落[0025])とされており、また特許文献3によれば、「電気導電性の低い金属酸化皮膜よりも電気導電性の高いカーボンナノ材料6を介して他の導電部材と非晶質めっき層4の内部(深部)の金属とが電気的に直結し、その結果、安定的に低い接触抵抗が得られる。」(段落[0028])とされている。
特開2018-56119号公報 特開2012-49107号公報 特開2013-11016号公報
しかし、特許文献1のように、金属表面にグラフェン層を積層した電気接点材料では、使用中にグラフェン層の一部が欠損ないし剥離して下層の金属が露出すると、当該露出部分の金属が酸化される。この酸化は、金属とグラフェン層との界面及び金属中を酸素が拡散することで進行し、金属とグラフェン層との界面に金属酸化物膜を形成して電気接点材料の導電性を低下させてしまう。
また、特許文献2、3のように、ナノカーボン材料を含む金属めっき膜を、当該ナノカーボン材料が当該めっき膜表面の酸化皮膜を貫通する形態で金属母材上に形成した電気接点材料では、同様の構造を有する他の電気接点材料と接続した場合に、相手方の電気接点材料表面に露出したナノカーボン材料と接触するナノカーボン材料のみが低抵抗の導電経路として作用する。このため、導電性の向上効果は大きくない。
このような背景から、コネクタないしこれを構成する電気接点材料には、製造からの時間の経過による表面の酸化、又は繰り返しの使用による皮膜の欠損ないし剥離等に起因する導電性の低下の抑制が求められている。そこで本発明は、前述の問題点を解決し、長期にわたって導電性が保持されるコネクタを提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために種々の検討を行ったところ、金属基材の表面に設ける導電性の被覆層を、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備えるものとすることで、前述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の実施形態は、金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタであって、前記被覆層が、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備えることを特徴とするコネクタである。
また、本発明の第2の実施形態は、前記第1の実施形態に係るコネクタの製造方法であって、前記被覆層を、前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相中に前記第二相がデンドライト状に成長したメッキ層を得ることを経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法である。
また、本発明の第3の実施形態は、前記第1の実施形態に係るコネクタの製造方法であって、前記被覆層を、メッキ浴を準備すること、前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相の組成を有する微粒子の集合体で構成される多孔質メッキ層を得ること、及び前記第二相を構成する材料又はその前駆体で、前記多孔質メッキ層の開気孔を充填すると共に、当該多孔質メッキ層表面の少なくとも一部を被覆することを経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法である。
また、本発明の第4の実施形態は、前記第1の実施形態に係るコネクタの製造方法であって、前記被覆層を、前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相の組成を有する微粒子と当該微粒子間を充填する第二相の構成材料又はその前駆体とで構成されるメッキ層を得ることを経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法である。
また、本発明の第5の実施形態は、前記第1の実施形態に係るコネクタの製造方法であって、前記被覆層を、前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して、当該メッキ浴中に発泡ないし対流が生じる条件にて電気メッキ処理を行って、前記母相中に、泡ないし筋が連結した形状の第二相を備えるメッキ層を得ることを経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法である。
さらに、本発明の第6の実施形態は、前記第1の実施形態に係るコネクタの製造方法であって、前記被覆層を、前記母相を構成する金属の粉末を準備すること、当該粉末を構成する粒子の表面を、前記第二相を構成する材料又はその前駆体で被覆すること、並びに前記被覆した粉末を前記金属基材上に載せ、加圧及び加熱して成形することを経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法である。
本発明によれば、長期にわたって導電性が保持されるコネクタを提供することができる。
本発明に係るコネクタの微細構造の一例を示す説明図 本発明に係るコネクタの微細構造の他の例を示す説明図((a)製造直後の状態、(b)表面の酸化(腐食)が進行した状態) 本発明に係るコネクタの微細構造のさらに他の例を示す説明図((a)製造直後の状態、(b)表面の酸化(腐食)が進行した状態) 金属基材へのメッキ処理で得られる、金属微粒子で構成される母相と当該微粒子間を充填する第二相とを備える被覆層の微細構造を示す説明図 金属基材へのメッキ処理で得られる、母相中に、泡が連結した形状の第二相を備える被覆層の微細構造を示す説明図 実施例1に係る試験片における被覆層表面の観察・分析結果((a)走査型電子顕微鏡(SEM)像、(b)エネルギー分散型X線分光分析装置(EDX)像) 実施例2で金属基材上に形成された多孔質メッキ層の表面の光学顕微鏡像((a)金属微粒子成長直後の状態、(b)金属微粒子同士が結合してスポンジ状となった状態) 実施例2に係る試験片における被覆層表面の光学顕微鏡像((a)多孔質メッキ層形成直後の金属微粒子間をグラフェンにて充填した状態、(d)スポンジ状金属間をグラフェンにて充填した状態) 実施例3に係る試験片における被覆層表面の観察・分析結果((a)光学顕微鏡像、(b)エネルギー分散型X線分光分析装置(EDX)像) 実施例4に係る試験片における被覆層表面の光学顕微鏡像
以下、本発明を、一実施形態に基づいて詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
[コネクタ]
本発明の第1の実施形態(以下、単に「第1実施形態」と記載する。)に係るコネクタは、図1に示すように、金属基材2の表面に導電性の被覆層3を設けた電気接点材料1を備える。そして、前記被覆層3は、母相31と第二相32とを備える。
金属基材2は、導電性を有するものであればよく、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、若しくはスズ、又はこれらを含む合金等が使用できる。また、ステンレス鋼を使用してもよい。
金属基材2の形状や寸法は、要求される性能や規格等に応じて適宜決定すればよい。
被覆層3は、金属基材2の表面に設けられた導電性の層であり、金属基材2の酸化を抑制しつつ、これと接続対象機器(電線、電気機器等)との電気的な導通を確保するように作用する。
被覆層3における母相31は、金以外の金属で構成される。母相31を金以外の金属で構成することで、材料コストを低減しつつ、金属基材2の酸化の抑制と被覆層3の内部における電気的な導通の確保とが可能となる。母相31の材質としては、ニッケル、コバルト、銅、銀、クロム、亜鉛若しくはスズ、又はこれらの合金等が例示される。また、母相31は、結晶質であっても非晶質であってもよい。
被覆層3における第二相32は、図1に示すように、母相31の表面から深さ方向に伸びる延伸部321、及び当該母相31の表面において、前記延伸部321から当該表面に沿って広がる拡径部322を備える。ここで、「深さ方向に延びる」とは、母相31の表面から離れる方向に向かう部分を有していればよい意味であり、したがって部分的に表面に平行となっているものも本実施形態における延伸部321に含まれる。そして、この第二相32は、前記母相31を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成される。第二相32が母相31よりも酸化しにくい延伸部321を備えることで、母材31が酸化してその導電性が低下した場合でも、被覆層3の表面と金属基材2との間の導電性を保持できる。また、第二相32が母相31よりも酸化しにくい拡径部322を備えることで、同様の構造を有する他の電気接点材料と接続した場合でも、相手方の電気接点材料中の第二相との間で電気的接点を確保して、導電経路として作用する第二相(延伸部321)の割合を高めることができる。
第二相32の構造としては、図1に示すような、被覆層3の内部に植物の根のように形成された延伸部321、及び被覆層3の表面に広がる拡径部322を備えるものの他、図2又は図3に(a)として示すような、被覆層3の内部に植物の葉ないし花又は三次元網目状に形成された延伸部321、及び被覆層3の表面全体を覆う拡径部322を備えるものを採用してもよい。拡径部322が被覆層3の表面全体を覆うものであると、これに接する全ての延伸部321が導電経路として作用する点で好ましい。また、延伸部321が植物の葉ないし花又は三次元網目構造であると、図2又は図3に(b)として示すように、被覆層3の表面近傍において母相31が酸化に伴い劣化して崩壊した場合でも、表面に露出した延伸部321が新たな拡径部322を形成し、電気的接点が確保される点で好ましい。
第二相32は、前述したとおり、母相31を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成される。母相31を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)のような炭素材料や、有機導電材料等が例示される。これらのうち、炭素材料は安価で高い導電性を有する点で好ましい。中でも、グラフェン又はCNTは、安価で化学的安定性が高く、導電性に優れる点でより好ましい。また、上述したとおり金は高価な材質であるが、第二相32として使用する場合には、被覆層3全体を金で構成する場合に比べて少量で済み、コストの上昇を抑えることができるため、材質として許容される。
以上説明したとおり、第1実施形態に係るコネクタは、母相及び第二相で構成される被覆層を備えるものであるが、当該被覆層は、所期の導電性及び耐酸化性が得られる範囲内で、これら以外の成分を含んでもよいことは言うまでもない。
[コネクタの製造方法]
本発明の第2の実施形態(以下、単に「第2実施形態」と記載する。)に係るコネクタの製造方法は、前述の第1実施形態に係るコネクタを製造するものであって、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備える被覆層を、前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相中に前記第二相がデンドライト状に成長したメッキ層を得ることを経て形成することを特徴とする。
第2実施形態で使用するメッキ浴は、第二相の成分元素を含む。第二相の成分元素の形態としては、炭素材料の微粉末や金コロイドを始めとする第二相の組成を有する微粉末、及び第二相の成分元素を含むイオン等が例示される。メッキ浴には、母相を構成する金属がイオンとして含まれていてもよい。メッキ浴のその他の成分の種類及びその含有量については、メッキ処理の方法に応じて適宜決定すればよい。
第2実施形態で採用される電気メッキ処理の方法及び条件は、母相中に第二相がデンドライト状に成長した被覆層が、所期の厚さで形成されるものであればよい。電気メッキの方法としては、例えば、金属基材及び母相の材料である金属(メッキ金属)をそれぞれメッキ浴中に浸漬して、両者の間に電圧を印加する方法や、母相を構成する金属のイオンを含むメッキ浴中に、メッキ条件下で安定な(溶出しない)導体及び金属基材を浸漬して、これらの間に電圧をかける方法が採用できる。前者における処理条件の例としては、第二相の成分元素としてのカーボンブラック、及びポリオキシルアルキレンアルキルエーテル等の界面活性剤を含む、濃度が数%程度の塩酸をメッキ浴として使用し、当該メッキ浴に、メッキを施す金属基材及びメッキ層の材料である金属(メッキ金属)をそれぞれ浸漬して、当該金属基材とメッキ金属との間に数ボルト未満の電圧をかけるものが挙げられる。
本発明の第3の実施形態(以下、単に「第3実施形態」と記載する。)に係るコネクタの製造方法は、前述の第1実施形態に係るコネクタを製造するものであって、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備える被覆層を、メッキ浴を準備すること、金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相の組成を有する微粒子の集合体で構成される多孔質メッキ層を得ること、及び前記第二相を構成する材料又はその前駆体で前記多孔質メッキ層の開気孔を充填すると共に、当該多孔質メッキ層表面の少なくとも一部を被覆することを経て形成することを特徴とする。
第3実施形態においては、メッキ処理方法として前述の第2実施形態と同様のものが採用できる。ただし、第3実施形態においては、メッキ浴中に第二相の成分元素を含むことは必須ではない。母相の組成を有する微粒子の集合体で構成される多孔質メッキ層を形成するためのメッキ処理条件としては、メッキ浴として、濃度が数%程度の塩酸を使用し、当該メッキ浴に、メッキを施す金属基材及びメッキ層の材料である金属(メッキ金属)をそれぞれ浸漬して、当該金属基材とメッキ金属との間に数ボルト未満の電圧をかけるものが例示される。その際、メッキ浴中に、金属微粒子を析出させるための最初の核となる微量のナノメートルオーダーの炭素微粒子などの微粒子とポリオキシルアルキレンアルキルエーテル等の界面活性剤とを含有させてもよい。
第3実施形態では、金属基材上に形成された多孔質メッキ層に対して第二相を構成する材料又はその前駆体を供給し、当該多孔質メッキ層の開気孔を充填すると共に、当該多孔質メッキ層表面の少なくとも一部を被覆する。第二相を構成する材料又はその前駆体の供給方法は特に限定されず、溶液ないしスラリーの塗布若しくは散布、当該溶液ないしスラリーへの浸漬、又は蒸着若しくはスパッタリング等を採用できる。
第3実施形態では、第二相を構成する材料又はその前駆体で開気孔の充填及び表面の被覆を行ったメッキ層を加圧及び加熱してもよい。これにより緻密な被覆層を得ることができる。加圧及び加熱の方法は、当該メッキ層を緻密化できるものであれば特に限定されない。一例として、ヒーターを備えた一軸加圧成形機を使用する方法や、ホットプレス等が挙げられる。成形条件も、メッキ層の構成材料及び構造等によって適宜設定すればよい。
第3実施形態では、金属基材上に形成されたメッキ層に対し、必要に応じて酸化雰囲気中での加熱による酸化処理、還元雰囲気中での加熱による還元処理、又は光や電圧の印加による酸化若しくは還元処理等の後処理を行って、第二相の前駆体から第二相を生成させる。
本発明の第4の実施形態(以下、単に「第4実施形態」と記載する。)に係るコネクタの製造方法は、前述した第3実施形態と共通の技術的思想に基づく他の実施形態であり、第3実施形態における前記被覆層を形成するためのメッキ浴を、前記第二相の成分元素を含むものとすることで、金属基材のメッキ処理によって、前記母相の組成を有する微粒子と当該微粒子間を充填する第二相の構成材料又はその前駆体とで構成されるメッキ層を得ることを特徴とする。
第4実施形態においては、メッキ方法として前述の第2実施形態と同様のものが採用できる。母相の組成を有する金属微粒子を析出・成長させると共に、当該微粒子間を充填する第二相を形成するためのメッキ処理条件としては、メッキ浴として、第二相の成分元素及びポリオキシルアルキレンアルキルエーテル等の界面活性剤を含む、濃度が数%程度の塩酸を使用し、当該メッキ浴に、メッキを施す金属基材及びメッキ層の材料である金属(メッキ金属)をそれぞれ浸漬して、当該金属基材とメッキ金属との間に数ボルト未満の電圧をかけるものが例示される。前記メッキ浴中に含まれる第二相の成分元素の形態としては、第2実施形態で例示したものを採用できる。第二相の成分元素が微粒子状である場合には、当該微粒子が金属微粒子を析出させるための最初の核としても作用する点で好ましい。なお、メッキ浴のpH、又は微粒子のサイズ若しくは濃度等を変えることにより、第二相又は母相となる金属のいずれかが優先的に結晶化するようにコントロールできる。メッキ処理が完了した後、メッキ層を緻密化すると共に第二相を形成するために、第3実施形態と同様の方法で当該メッキ層を加圧及び加熱してもよい。また、金属基材上に形成されたメッキ層に対し、必要に応じて酸化処理、還元処理等の後処理を行うことも、第3実施形態と同様である。
第3実施形態及び第4実施形態は、金属基材上に析出・成長した、母相の組成を有する金属微粒子をテンプレートとし、これを第二相の構成材料で覆うことで、当該金属微粒子間に充填された延伸部及びこれと当該金属微粒子とを覆う拡径部を形成して第二相を得るものであり、これにより図4に示すような微細構造を有する被覆層が得られる。
本発明の第5の実施形態(以下、単に「第5実施形態」と記載する。)に係るコネクタの製造方法は、前述の第1実施形態に係るコネクタを製造するものであって、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備える被覆層を、前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して、当該メッキ浴中に発泡ないし対流が生じる条件にて電気メッキ処理を行って、前記母相中に、泡ないし筋が連結した形状の第二相を備えるメッキ層を得ることを経て形成することを特徴とする。
第5実施形態においては、メッキ方法として前述の第2実施形態と同様のものが採用できる。メッキ浴中で発泡ないし対流が生じるメッキ処理条件としては、メッキ浴として、第二相の構成材料又はその前駆体の微粒子を含む酸性溶液を使用し、当該メッキ浴に、メッキを施す金属基材及びメッキ層の材料である金属(メッキ金属)をそれぞれ浸漬して、当該金属基材とメッキ金属との間に数ボルト未満の電位をかけるものが例示される。この方法・条件では、メッキ浴の電気分解に伴って金属基材の表面で発生した水素気泡が、前記微粒子の作用により、メッキ浴中あるいは大気中に放出されることなく金属基材表面に一定時間留まることになる。その際に、当該水素気泡がひな型となり、その形状に前記微粒子が堆積することで、当該水素気泡の形状の第二相が形成されることとなる。また、当該水素気泡が金属基材表面からメッキ浴中に放出される際には、これによって発生する対流の形状の第二相が形成されることとなる。
第5実施形態は、メッキ浴中に生じる発泡ないしこれに伴う溶液攪拌により発生する対流を利用して、第二相の構成材料を泡状ないし筋状に析出させ、これを連結させることで延伸部及び拡径部を形成して第二相を得るものであり、これにより図5に示すような微細構造を有する被覆層が得られる。
本発明の第6の実施形態(以下、単に「第6実施形態」と記載する。)に係るコネクタの製造方法は、前述の第1実施形態に係るコネクタを製造するものであって、金以外の金属で構成される母相、並びに前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化しにくい非金属導電材料又は金で構成された第二相を備える被覆層を、前記母相を構成する金属の粉末を準備すること、当該粉末を構成する粒子表面を、前記第二相を構成する材料又はその前駆体で被覆すること、並びに前記被覆した粉末を前記金属基材上に載せ、加圧及び加熱して成形することを経て形成することを特徴とする。
第6実施形態で使用される金属粉末は、母相を構成する金属製のものであれば、その粒子形状や粒子径は限定されない。一例として、当該金属のアトマイズ粉、共沈粉、粉砕粉等が挙げられる。
金属粉末を構成する粒子表面を、第二相を構成する材料又はその前駆体で被覆する方法も特に限定されず、溶液ないしスラリーへの浸漬、又は蒸着若しくはスパッタリング等を採用できる。また、第二相を構成する材料又はその前駆体で予め被覆された金属粒子からなる金属粉末が入手できる場合には、これを使用してもよい。
第二相を構成する材料又はその前駆体で被覆した金属粒子で構成される金属粉末の成形方法としては、当該粉末及びこれを載せた金属基材を加熱しながら加圧して一体化できるものであれば特に限定されない。一例として、ヒーターを備えた一軸加圧成形機を使用する方法や、ホットプレス等が挙げられる。成形条件も、使用する金属基材や金属粉末の種類によって適宜設定すればよい。
金属粒子を被覆している材料が、第二相を構成する材料そのものではなくその前駆体である場合には、成形後に後処理を行って第二相を得る。後処理の例としては、酸化雰囲気中での加熱による酸化処理、還元雰囲気中での加熱による還元処理、又は光や電圧の印加による酸化若しくは還元処理等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明の各実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
前述した第2実施形態に対応する方法で、金属基材上に被覆層を形成した。
まず、金属基材として、10mm×10mm×1mmの銅板(ニラコ社製)を、メッキ金属として、1mmΦのスズ合金線(Sn:99.3%、Cu+Ni:0.7%)を、メッキ浴として、界面活性剤であるポリオキシルアルキレンアルキルエーテルを含む2%塩酸中にKuretakeカーボンブラックを分散させたものを、それぞれ準備した。次いで、前記銅板及びスズ合金線を前記メッキ浴に浸漬し、これらの間に0.7Vの電圧をかけて、0.01Aの電流値で15分間の条件でメッキ処理を行って被覆層を形成し、実施例1に係る試験片を得た。
得られた試験片における被覆層の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製、JCM-6000Plus NeoScopeTM)にて観察したところ、デンドライト状の第二相が、母相の表面に沿って植物の葉ないし花のように広がっていることが確認された。また、SEMに付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDX)にて、被覆層の組成を確認したところ、母相はスズを主成分とするものであり、第二相は炭素を主成分とするものであることが確認された。さらに、EDXにおいて、表面に第二相の存在が確認されなかった箇所においても、炭素のピークが確認される場合があったことから、前記第二相は、母相中を被覆層の厚さ方向に、植物の根のように伸長しているものといえる。得られたSEM像を図6に(a)として、EDXによる元素分析像を(b)として、それぞれ示す。
以上の結果から、実施例1に係る試験片を用いてコネクタを構成した場合には、母相であるスズが酸化した場合でも、炭素を主成分とするデンドライト状の第二相が導電経路として機能することで導電性の低下が抑制され、長期にわたって導電性が保持されることが予想される。
[実施例2]
前述した第3実施形態に対応する方法で、金属基材上に被覆層を形成した。
まず、金属基材及びメッキ金属として、実施例1で使用したものと同じ銅板及びスズ合金線を、メッキ浴として2%塩酸を、それぞれ準備した。次いで、前記銅板及びスズ合金線を前記メッキ浴に浸漬し、これらの間に0.7~1Vの電位をかけて、0.02~0.04Aの電流値で数分から1時間程度の条件で、目視によりメッキ層の生成が確認されるまでメッキ処理を行って、スズ微粒子で構成される多孔質被覆層を形成した。次いで、前記多孔質被覆層上に、0.5mLの酸化グラフェン分散水溶液を塗布して、これを開気孔中に浸透させると共に、表面に被覆を形成し、乾燥して第二相の構成材料とした。次いで、多孔質被覆層及び第二相の構成材料を積層した銅板を、プレス成形機(アズワン社製、HP-1型)にて室温、0.5MPaの条件で30秒間プレスし、最後に窒素雰囲気中で200℃、30分間の加熱を行って、実施例2に係る試験片を得た。
銅板上に形成された、酸化グラフェン塗布前の多孔質被覆層の表面を、光学顕微鏡(カールツアイス社製、AxioPlan2imaging)で観察したところ、針状微粒子が集合した構造(図7(a))や、金属微粒子同士が結合したスポンジ状の組織と当該組織間に形成された網目状の空隙とを備える構造(図7(b))が確認された。また、実施例2に係る試験片の表面を同様の方法で観察したところ、前述した針状微粒子間の空隙に第二相が充填された構造(図8(a))や、前述した網目状の空隙に第二相が充填された構造(図8(b))が確認された。
以上の結果から、実施例2に係る試験片を用いてコネクタを構成した場合には、母相であるスズが酸化した場合でも、炭素を主成分とする三次元網目状の第二相が導電経路として機能することで導電性の低下が抑制され、長期にわたって導電性が保持されることが予想される。また、実施例2に係る試験片では、第二相が三次元網目構造を有することにより、被覆層の表面近傍に位置する母相粒子が脱粒した場合でも、新たに露出した第二相による電気的接触が可能となり、導電性の低下が抑制されることも予想される。
[実施例3]
前述した第5実施形態に対応する方法で、金属基材上に被覆層を形成した。
まず、金属基材として実施例1で使用したものと同じ銅板を、メッキ金属として1mmΦのニッケル線(Ni:99.99%)を、メッキ浴として、界面活性剤であるポリオキシルアルキレンアルキルエーテルを含む1%塩酸中にKuretakeカーボンブラックを分散させたものを、それぞれ準備した。次いで、前記銅板及びニッケル線を前記メッキ浴に浸漬し、これらの間に1.2Vの電位をかけて、0.01Aの電流値で60分間の条件でメッキ処理を行って被覆層を形成し、実施例3に係る試験片を得た。なお、メッキ処理中に、メッキ浴内に泡の発生が確認された。
得られた試験片における被覆層の表面を、実施例2と同様の方法で観察したところ、母相中に、泡状の第二相が三次元的に連結して網目構造を形成していることが確認された。また、被覆層の組成を、実施例1と同様の方法で確認したところ、母相はニッケルを主成分とするものであり、第二相は炭素を主成分とするものであることが確認された。得られた光学顕微鏡像を図9に(a)として、EDXによる元素分析像を図9に(b)として、それぞれ示す。
以上の結果から、実施例3に係る試験片を用いてコネクタを構成した場合には、母相であるニッケルが酸化した場合でも、炭素を主成分とする三次元網目状の第二相が導電経路として機能することで導電性の低下が抑制され、長期にわたって導電性が保持されることが予想される。また、実施例3に係る試験片では、第二相が三次元網目構造を有することにより、被覆層の表面近傍に位置する母相粒子が脱粒した場合でも、新たに露出した第二相による電気的接触が可能となり、導電性の低下が抑制されることも予想される。
[実施例4]
前述した第6実施形態に対応する方法で、金属基材上に被覆層を形成した。
まず、金属基材として実施例1で使用したものと同じ銅板を、被覆層の母相を構成する金属粉末としてスズ粉末(キシダ化学社製、平均粒径75μm)を、それぞれ準備した。次いで、前記スズ粉末に対して、酸化グラフェン水溶液(アライアンスバイオシステムズ社製、単層酸化グラフェンGO-W-60)の塗布及び乾燥を4回繰り返すことで、これを構成するスズ粒子の表面に酸化グラフェンの被覆を形成した。次いで、酸化グラフェン被覆を形成したスズ粉末を前記銅板上に載せて卓上プレス機により圧縮成形し、銅板上にスズ及び酸化グラフェンで構成される層を有する積層体を形成した。最後に、この積層体を窒素雰囲気中、200℃で10分の条件で加熱還元処理して酸化グラフェンをグラフェンに還元し、実施例4に係る試験片を得た。
得られた試験片における被覆層の表面を、実施例2と同様の方法で観察したところ、圧縮変形した粒子が集合して構成された母相と、当該粒子の表面を被覆すると共に当該粒子間の空隙を充填し、三次元網目状に形成された第二相とが確認された。得られた光学顕微鏡像を図10に示す。
以上の結果から、実施例4に係る試験片を用いてコネクタを構成した場合には、母相であるスズが酸化した場合でも、炭素を主成分とする三次元網目状の第二相が導電経路として機能することで導電性の低下が抑制され、長期にわたって導電性が保持されることが予想される。また、実施例4に係る試験片では、第二相が三次元網目構造を有することにより、被覆層の表面近傍に位置する母相粒子が脱粒した場合でも、新たに露出した第二相による電気的接触が可能となり、導電性の低下が抑制されることも予想される。
[比較例1]
被覆層において第二相が三次元網目構造をとることによる、母相の保護効果を確認するため、第二相を含まない被覆層を作製し、酸に対する耐蝕性を比較した。
スズ粉末を構成するスズ粒子の表面に酸化グラフェンを被覆しなかったこと、及び積層体の還元処理を行わなかったこと以外は実施例4と同様の方法で、比較例1に係る試験片を得た。
比較例1に係る試験片と実施例4に係る試験片とを3%の塩酸水溶液中に16日間浸漬して、その腐食度合いを比較したところ、比較例1に係る試験片は質量が48%減となったのに対し、実施例4に係る試験片は35%減に留まった。この結果から、母相中に三次元網目状に形成された第二相は、被覆層の導電性に寄与するのみならず、その劣化抑制作用も有するものといえる。
本発明によれば、長期にわたって導電性が保持されるコネクタを提供することができる。また、第二相が被覆層中で三次元網目構造を形成する本発明の好ましい実施形態によれば、酸化や腐食等の劣化も抑制されたコネクタを提供することができる。このため、本発明は、コネクタを、耐久性が高く長寿命のものとすることができる点で、有用なものである。さらに、前述した第二相が三次元網目構造を形成する被覆層、又は表面全体が第二相で覆われた被覆層は、コネクタ以外のもの、例えば土木若しくは建築構造物、プラント、車両、又は人工骨若しくは歯等を基材として適用した場合にも、これらを劣化因子から保護する作用が期待できる。
1 電気接点材料
2 金属基材
3 被覆層
31 母相
32 第二相
321 延伸部
322 拡径部

Claims (9)

  1. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタであって、
    前記被覆層が、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、炭素材料で構成された第二相
    を備えることを特徴とする、コネクタ。
  2. 前記拡径部が、前記母相の表面全体を覆っている、請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記炭素材料が、グラフェン及び/又はカーボンナノチューブである、請求項1又は2に記載のコネクタ。
  4. 前記延伸部が、三次元網目構造を形成している、請求項1~のいずれか1項に記載のコネクタ。
  5. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタの製造方法で
    あって、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、炭素材料で構成された第二相
    を備える前記被覆層を、
    前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び
    前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相中に前記
    第二相がデンドライト状に成長したメッキ層を得ること
    を経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法。
  6. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタの製造方法で
    あって、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、炭素材料で構成された第二相
    を備える前記被覆層を、
    メッキ浴を準備すること、
    前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相の組成を
    有する微粒子の集合体で構成される多孔質メッキ層を得ること、及び
    前記第二相を構成する材料又はその前駆体で、前記多孔質メッキ層の開気孔を充填す
    ると共に、当該多孔質メッキ層表面の少なくとも一部を被覆すること
    を経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法。
  7. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタの製造方法で
    あって、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、炭素材料で構成された第二相
    を備える前記被覆層を、
    前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び
    前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して電気メッキ処理を行い、前記母相の組成を
    有する微粒子と当該微粒子間を充填する第二相の構成材料又はその前駆体とで構成され
    るメッキ層を得ること
    を経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法。
  8. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタの製造方法で
    あって、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、炭素材料で構成された第二相
    を備える前記被覆層を、
    前記第二相の成分元素を含むメッキ浴を準備すること、及び
    前記金属基材を前記メッキ浴中に浸漬して、当該メッキ浴中に発泡ないし対流が生じ
    る条件にて電気メッキ処理を行って、前記母相中に、泡ないし筋が連結した形状の第二
    相を備えるメッキ層を得ること
    を経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法。
  9. 金属基材の表面に導電性の被覆層を設けた電気接点材料を備えるコネクタの製造方法で
    あって、
    金以外の金属で構成される母相、並びに
    前記母相の表面から深さ方向に伸びる延伸部、及び前記母相の表面において、前記延
    伸部から当該表面に沿って広がる拡径部を備え、前記母相を構成する金属よりも酸化し
    にくい非金属導電材料又は金で構成された第二相
    を備える前記被覆層を、
    前記母相を構成する金属の粉末を準備すること、
    当該粉末を構成する粒子表面を、前記第二相を構成する材料又はその前駆体で被覆す
    ること、並びに
    前記被覆した粉末を前記金属基材上に載せ、加圧及び加熱して成形すること
    を経て形成することを特徴とする、コネクタの製造方法。
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