図1は、本発明の一実施形態としての光学系100を示す断面図である。
光学系100は、光を照射する光源101と、入射光を透過または反射する光学素子102と、入射光を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に出射する光変調素子103と、入射光を投射対象に投射する投射光学系の一例としての投射部104とを備える。
光源101は、LD(レーザダイオード)を含み、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3つの色と1対1に対応する3つの色光源と、反射する光の波長および透過する波長の光が予め定められているダイクロイックミラーを含む。
光学素子102は、2面以上を有するプリズムで構成されることが好ましく、本実施形態では、全反射三角プリズムユニット(所謂、TIRプリズムユニット)で構成される。
光変調素子103は、複数のマイクロミラーからなる略矩形のミラー面を有するDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)により構成される。
以上の構成において、光学素子102は、光源101から照射される照射光250を境界面(界面)Bで反射し、入射光250として光変調素子103に向けて入射させる。光源101と光学素子102の間には、光源101から照射される照射光250を光学素子102に導光するリレー光学系を設けても良い。
光変調素子103は、各マイクロミラーを時分割駆動することにより、入射光250を第1の方向に反射して第1の出射光200を出射する場合と、入射光250を第2の方向に反射して第2の出射光201を出射する場合と、を切り替える。光変調素子103は、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、第1、第2の出射光200、201を出射する。
光学素子102は、光変調素子103から第1の方向に出射された第1の出射光200を境界面Cおよび境界面Bで透過し、光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201を境界面Bで反射する。
光学素子102を透過した第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射され、光学素子102に反射された第2の出射光201は、不要光として処理され、例えば機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止される。
以上の構成により、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図2は、図1に示した光学素子102および光変調素子103の光路を示す断面図である。
まず、光源101から照射された照射光250(実線)は、屈折率n1の外部環境と屈折率n2の光学素子102の境界面(界面)Aに入射角θ1で入射され、θ2で屈折される。θ1とθ2の関係はSnellの法則に則る(n2/n1=sinθ1/sinθ2)。なお、屈折率n1とn2の関係はn1<n2である。
境界面Aに入射したθ2の角度成分を持つ光線は、光学素子102の境界面Bに対してθ3の角度成分で到達する。この時に、境界面Bでは全反射条件の臨界角θcに対して、θ3は以下の関係を取り、光は全反射される(θ3≧θc:θc[=arcsin(n1/n2){n1<n2}])。
境界面Bで全反射された光線は、光学素子102の境界面(界面)Cに角度θ4で到達し、屈折角θ5で外部環境に出射される。
そして、光変調素子103の表面に対して角度θ6で到達され、入射光250として光変調素子103に入射し、光変調素子103にて反射、変調される。
光変調素子103により変調された出射光は、α方向(第1の方向)に出射される第1の出射光200とβ方向(第2の方向)に出射される第2の出射光201に最低限分けられる。第1の出射光200は、必要光として投射部104に導光され、第2の出射光201は、不要光として投射部104とは異なる位置に逃がして処理される。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α5で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
これに対して第2の出射光201(一点鎖線)は、光変調素子103表面の法線となす角β1に向けて、光変調素子103で反射される。ここで、第2の出射光201の光線は、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置している。
第2の出射光201は、境界面Cに入射角β2で入射し、屈折角β3で光学素子102内を進み、境界面Bに角度β4≧θcで到達して、その境界面Bで全反射し、境界面Aに向かう。
そして、第2の出射光201は、境界面Aでは屈折角β6で外部環境に出射される。第2の出射光201は、例えば、機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
θ1=0
θ2=0
θ3=46.2{≧θc}
θ4=2.4
θ5=3.8
θ6=3.8
α1=27.8
α2=27.8
α3=17.0
α4=26.8{<θc}
α5=45.8
β1=20.2
β2=20.2
β3=12.5
β4=56.4{≧θc}
β5=10.2
β6=16.3
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての第2の出射光201を明確に分離して第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図3は、図1に示した光変調素子103の詳細な構成を示す図である。図3(a)は光変調素子103の上面図を示し、図3(b)は光変調素子103の断面図を示す。
光変調素子103は、入射光250を第1または第2の方向に変調して出射する可変領域103Aと、可変領域103Aを囲むように配置され、入射光250を変調せずに第2の方向に固定して出射する固定領域103Bを含む。
図1、図2で説明したように、光変調素子103から第1の方向に出射された第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射され、光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201は、不要光として処理される。
本実施形態では、固定領域103Bから出射される光は、第2の出射光201と平行な光のみであり、第1の出射光200と平行な光は含まれないので、投射部104に導光されることはない。
これにより、可変領域103Aから不要光として第2の出射光201を出射しているときに、固定領域103Bから出射される光が投射対象に投射されることがなく、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
図4は、図1に示した光学系100の変形例の一部構成を示す断面図である。
図4に示す光学系100は、図1に示したLD(レーザダイオード)を含む光源101に代えて、LED光源光学系を含む光源101Eを備える。
光源101Eは、光を発散照射するLED110と、LED110から照射される照射光を緩やかに集光するカップリングレンズ111で構成される。このとき、カップリングレンズ111から出射される主光線120に対して、カップリングレンズ111から出射される上光線121と下光線122は各々10度の角度がついている。
本変形例では、主光線120に対して上光線121と下光線122は10度の傾きを持って光学素子102に入射されるが、上光線121と下光線122においても図1、図2における照射光250と同様の内容が成立する。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件とすると、主光線120における各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
θ1=0
θ2=0
θ3=46.2{≧θc}
θ4=2.4
θ5=3.8
θ6=3.8
α1=27.8
α2=27.8
α3=17.0
α4=26.8{<θc}
α5=45.8
β1=20.2
β2=20.2
β3=12.5
β4=56.4{≧θc}
β5=10.2
β6=16.3
上光線121は光学素子102に対する入射角θ1が10度傾いているのと同義であるので、上光線121における各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θ1=10.0
θ2=6.3
θ3=39.9{≧θc}
θ4=6.3
θ5=10.0
θ6=10.0
α1=17.8
α2=17.8
α3=11.1
α4=32.7{<θc}
α5=59.4
β1=30.2
β2=30.2
β3=18.4
β4=62.2{≧θc}
β5=16.0
β6=26.1
下光線122も上光線121と同様に、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θ1=10.0
θ2=6.3
θ3=52.5{≧θc}
θ4=8.6
θ5=13.8
θ6=13.8
α1=37.8
α2=37.8
α3=22.7
α4=21.1{<θc}
α5=35.0
β1=10.2
β2=10.2
β3=6.4
β4=50.2{≧θc}
β5=4.0
β6=6.4
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての第2の出射光201を明確に分離して第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103への入射光250(主光線120)の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図5は、図1に示した光学系100の第2の変形例であって、光学素子102および光変調素子103Mの光路を示す断面図である。
図5に示す光学系100は、図1に示したDMD(レーザダイオード)により構成される光変調素子103に代えて、MEMSにより構成される光変調素子103Mを備える。
光変調素子103Mにより変調された出射光は、α方向(第1の方向)とβ方向(第2の方向)の間で走査される。すなわち、光変調素子103Mにより変調された出射光は、図2と同様に、α方向(第1の方向)に出射される第1の出射光200と、β方向(第2の方向)に出射される第2の出射光201を含むとともに、γ方向(第3の方向)に出射される第3の出射光202を含む。
第1の出射光200および第2の出射光201の光路は、図2と同じであり、説明は省略する。
第3の出射光202は光変調素子103Mの走査範囲内、すなわち第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間の光線であり、光学素子102の境界面Bにおける入射角が臨界角に等しい光路である。
第3の出射光202は、光変調素子103M表面の法線となす角γ1に向けて、光変調素子103Mで反射されて、光学素子102の境界面Cに入射角γ2で入射し、屈折角γ3で光学素子102内を進む。
その後、第3の出射光202は、境界面Bに角度γ4=θcで到達しては境界面Bで全反射するので、外部環境に出射されず、光学素子102の境界面Aに向かう。
第3の出射光202は、境界面Aに対して角度γ5で到達し、屈折角γ6で外部環境に出射される。この第3の出射光202による境界面Bへの入射角度γ4を境に、第1の出射光200と同様に境界面Bを透過する必要光と、第2の出射光201と同様に境界面Bにより反射される不要光が切り替わる。
光変調素子103Mの走査範囲が24度(±12度)で、外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件下において、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
θ1=0
θ2=0
θ3=46.2{≧θc}
θ4=2.4
θ5=3.8
θ6=3.8
α1=27.8
α2=27.8
α3=17.0
α4=26.8{<θc}
α5=45.8
β1=20.2
β2=20.2
β3=12.5
β4=56.4{>θc}
β5=10.2
β6=16.3
γ1=7.8
γ2=7.8
γ3=4.9
γ4=38.9{=θc}
γ5=7.3
γ6=11.6
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての第2の出射光201を明確に分離して第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103Mへの入射光250の光線は、光変調素子103Mからの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103Mへの入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図6は、図1に示した光学系100の第3の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図1に示した構成に加えて、三角プリズムにより構成される光学素子102Bを備える。光学素子102Bは、光学素子102を透過した第1の出射光200を透過し、光学素子102Bを透過した第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射される。これにより、収差の補正や出射方向の調整が容易となる。
図7は、図6に示した光学素子102、光学素子102Bおよび光変調素子103の光路を示す断面図である。図中、左下の丸で囲ってある部分は、右上の丸で囲ってある部分の拡大図である。
入射光(照射光)250および第2の出射光201の光路は、図2と同じであるため、説明を省略する。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、光学素子102の境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α4’で外部環境に射出され、その次に、光学素子102Bの境界面(界面)Dに屈折角α4’で入射される。光学素子102Bは、屈折率n2であり、境界面Dと境界面(界面)Eのなす角度はφである。
光学素子102と光学素子102Bの間は屈折率n1の空気層となっており、光学素子102の境界面Bと光学素子102Bの境界面Dが平行になるように光学素子102と光学素子102Bは配置されているので、境界面Bへの入射角α4と境界面Dにおける屈折角α5は等しくなる。光学素子102と光学素子102Bの間の空気層は広くなるほど投射画像に影響が出る為、空気層の距離Lは10μm以下が望ましい。
第1の出射光200は、屈折角α5で光学素子102B内を進み、光学素子102Bの境界面Eに角度α6<θcで到達し、屈折角α7で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
φ=40.0
θ1=0
θ2=0
θ3=46.2{≧θc}
θ4=2.4
θ5=3.8
θ6=3.8
α1=27.8
α2=27.8
α3=17.0
α4=26.8{<θc}
α4’=45.8
α5=26.8
α6=13.2{<θc}
α7=21.3
β1=20.2
β2=20.2
β3=12.5
β4=56.4{≧θc}
β5=10.2
β6=16.3
図8は、図1に示した光学系100の第4の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図6に示した光学素子102Bに代えて、三角プリズムにより構成される光学素子102Cを備える。光学素子102Cは、光学素子102を透過した第1の出射光200を反射し、光学素子102Bにより反射された第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射される
以上の構成により、第2の出射光201を第1の出射光200からさらに遠ざけることができるため、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を確実に大きくすることができる。
図9は、図8に示した光学素子102、光学素子102Cおよび光変調素子103の光路を示す断面図である。図中、左下の丸で囲ってある部分は、右上の丸で囲ってある部分の拡大図である。
入射光(照射光)250および第2の出射光201の光路は、図2と同じであるため、説明を省略する。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、光学素子102の境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α4’で外部環境に射出され、その次に、光学素子102Cの境界面Dに屈折角α4’で入射される。光学素子102Cは、屈折率n2であり、境界面Dと境界面Eのなす角度はφである。
光学素子102と光学素子102Cの間は屈折率n1の空気層となっており、光学素子102の境界面Bと光学素子102Cの境界面Dは平行になるように光学素子102と光学素子102Cは配置されているので、境界面Bへの入射角α4と面Dにおける屈折角α5は等しくなる。光学素子102と光学素子102Cの間空気層は広くなるほど投射画像に影響が出る為、空気層の距離Lは10μm以下が望ましい。
第1の出射光200は、屈折角α5で光学素子102C内を進み、光学素子102Cの境界面Eに角度α6≧θcで到達する。その後、第1の出射光200は、境界面Eで全反射された後、境界面(界面)Fに角度α6’で到達し、屈折角α’で外部環境に出射され‘、投射部104に入射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
φ=100.0
θ1=0
θ2=0
θ3=46.2{≧θc}
θ4=2.4
θ5=3.8
θ6=3.8
α1=27.8
α2=27.8
α3=17.0
α4=26.8{<θc}
α4’=45.8
α5=26.8
α6=73.2{≧θc}
α6’=23.2
α7=38.9
β1=20.2
β2=20.2
β3=12.5
β4=56.4{≧θc}
β5=10.2
β6=16.3
以上の構成により、第2の出射光201を第1の出射光200からさらに遠ざけることができる。
図10は、図1に示した光学系100の第5の変形例を示す断面図である。光学系100は、図1に示した光学素子102に代えて、三角プリズムにより構成される光学素子102Rを備える。
光学素子102Rは、光変調素子103から第1の方向に出射された第1の出射光200を境界面Aで反射し、光源101から照射される照射光250および光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201を境界面Aおよび境界面Bで透過する。
光学素子102Rにより反射された第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射され、光学素子102Rを透過した第2の出射光201は、不要光として処理され、例えば機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止してもよい。
また、光変調素子103は、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、第1、第2の出射光200、201を出射する。
さらに、光学素子102Rは、光源101から照射される照射光250を、入射光250として光変調素子103に向けて透過する。
以上の構成により、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102Rをコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102Rを用いることにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
図11は、図10に示した光学素子102Rおよび光変調素子103の光路を示す断面図である。
まず、光源から照射された照射光250(実線)は、屈折率n1の外部環境と屈折率n2の光学素子102Rの境界面Aに入射角θ1で入射され、θ2で屈折される。この入射面の境界面Aでは、Snellの法則に則る。なお、屈折率n1とn2の関係はn1<n2である。
境界面Aに入射したθ2の角度成分を持つ光線は、光学素子102Rの境界面Bに対してθ3の角度成分で到達する。この時に、境界面Bでは全反射条件の臨界角θcに対して、θ3は以下の関係を取り、光は透過する(θ3<θc:θc[=arcsin(n1/n2){n1<n2}])。
境界面Bで透過された光線は、屈折角θ4で外部環境に出射される。そして、光変調素子103の表面に対して角度θ5で到達され、入射光250として光変調素子103に入射し、光変調素子103にて反射、変調される。
光変調素子103により変調された出射光は、α方向(第1の方向)に出射される第1の出射光201とβ方向(第2の方向)に出射される第2の出射光201に最低限分けられる。第1の出射光200は、必要光として投射部104に導光され、第2の出射光201は、不要光として投射部104とは異なる位置に逃がして処理される。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1として、光変調素子103で反射されて、境界面Bに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102R内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Aに角度α4≧θcで到達して全反射され、境界面Cに向かう。
そして、第1の出射光200は、境界面Cでは屈折角α6で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
これに対して第2の出射光201は、光変調素子103表面の法線となす角β1として、光変調素子103で反射され、境界面Bに入射角β2で入射し、屈折角β3で光学素子102R内を進む。
その後、第2の出射光201は境界面Aに角度β4<θcで到達し、屈折角β5で外部環境に出射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
θ1=46.0
θ2=26.9
θ3=3.1{<θc}
θ4=5.0
θ5=5.0
α1=29.0
α2=29.0
α3=17.7
α4=47.7{≧θc}
α5=12.3
α6=19.8
β1=19.0
β2=19.0
β3=11.8
β4=18.2{<θc}
β5=29.8
以上の構成により、光学素子102Rの境界面Aを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての第2の出射光201を明確に分離して第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102Rをコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102Rを用いることにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、光学素子102Rの境界面Aは、第1の出射光200を反射し、第2の出射光201および照射光250を透過するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102Rおよび光学系100をコンパクトにすることができる。
以上説明した本実施形態に係る光学系100は、境界面に特徴を有しない形態の場合、光源101から照射される照射光を、光学素子102、102Rを介することなく、光変調素子103に入射してもよい。その場合、光変調素子103は、入射光を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に透過して出射する透過型により構成しても良い。また、本実施形態における光源101は、LD、LEDに限らず、有機EL素子等の他の発光素子を用いても良い。
図12は、本発明の一実施形態としての画像投射装置300を示す断面図である。
画像投射装置300は、フロント投射型プロジェクタであり、スクリーン400に画像を投射する。画像投射装置300は、自動車に搭載されることを想定しているが、これに限られるものではなく、様々な用途に用いることが可能であり、バイクや航空機などに搭載することもできる。
図12に示す画像投射装置300は、光源101と、リレー光学系301と、光学素子102と、光変調素子103と、投射光学系104とを備える。
光源101、光学素子102、光変調素子103および投射光学系104は、図1~12にて説明した光学系100における光源101、光学素子102、102R、光変調素子103および投射光学系104と同様に構成される。
光源101は、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3つの色と1対1に対応する3つの色光源11R、11B、11Gと、反射する光の波長および透過する波長の光が予め定められているダイクロイックミラー12、13とを含む。
リレー光学系301は、フライアイレンズ14、コンデンサレンズ15、折り返しミラー16を含み、光源101から照射される照射光250を光学素子102に導光する
光変調素子103は、入射光250を画像データに基づいて変調する。光変調素子103は、DMDで構成され、入力された画像データに基づいて各マイクロミラーを時分割駆動することにより、画像データに基づく画像へと光を加工して反射する。
以上の構成において、光学素子102は、リレー光学系301から導光される照射光250を境界面Bで反射し、入射光250として光変調素子103に向けて入射させる。
光変調素子103は、各マイクロミラーを時分割駆動することにより、入射光250を第1の方向に反射して第1の出射光200を出射する場合と、入射光250を第2の方向に反射して第2の出射光201を出射する場合と、を切り替える。光変調素子103は、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、第1、第2の出射光200、201を出射する。光学素子102は、光変調素子103から第1の方向に出射された第1の出射光200を透過し、光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201を境界面Bで反射する。
光学素子102を透過した第1の出射光200は、画像データに基づく画像を形成するON光として投射部104へ導光され、第2の方向に出射された第2の出射光201は、画像を形成しないOFF光として処理され、例えば機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止してもよい。
投射部104は、第1の出射光200をスクリーン400に投射して画像(入力された画像データに基づく画像)を形成する。スクリーン400は、マルチレイヤーアレイ(MLA)でもよい。
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して画像を形成するON光としての第1の出射光200と、画像を形成しないOFF光としての第2の出射光201を明確に分離して第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合のスクリーン400における輝度と、第2の出射光201を出射する場合のスクリーン400における輝度との、輝度差を大きくすることができる。よって、スクリーン400に投射される画像の品質を向上させることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図13は、図1に示した光学系100の第6の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図1に示した構成に加えて、光学素子102と光変調素子103との間に配置される第2の光学素子105を備える。第2の光学素子105は、光変調素子103の表面(基板)に平行に配置されたカバーガラスにより構成されており、光学素子102により反射された照射光205を入射して光変調素子103に向けて出射するとともに、第1の出射光200および第2の出射光201を入射して光学素子102に向けて出射する。
以上の構成において、光学素子102は、光源101から照射される照射光250を境界面Bで反射し、第2の光学素子105に向けて入射させる。第2の光学素子102は、光学素子102の境界面Bで反射された照射光250を透過して、入射光250として光変調素子103に向けて入射させる。光学素子102の境界面Bで反射された照射光250の一部は、第2の光学素子105で透過されずに第2の光学素子105の表面で反射された反射光251となる。
光変調素子103は、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線および反射光251を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、第1、第2の出射光200、201を出射する。第2の光学素子105は、光変調素子103から出射された第1の出射光200および第2の出射光201を透過して、光学素子102に向けて出射する。
光学素子102は、第1の出射光200を境界面Cおよび境界面Bで透過し、反射光251及び第2の出射光201を境界面Bで反射する。
光学素子102を透過した第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射され、光学素子102に反射された反射光251及び第2の出射光201は、不要光として処理され、例えば機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止される。
以上の構成により、不要光としての反射光251及び第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、反射光251及び第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
よって、投射部104を光学素子102に近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102と投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250、第2の出射光201及び反射光251を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、照射光250、第2の出射光201および反射光251を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、照射光250、第2の出射光201および反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図14は、図13に示した光学素子102、第2の光学素子105および光変調素子103の光路を示す断面図である。
まず、光源101から照射された照射光250(実線)は、屈折率n1の外部環境と屈折率n2の光学素子102の境界面Aに入射角θ1で入射され、θ2で屈折される。θ1とθ2の関係はSnellの法則に則る(n2/n1=sinθ1/sinθ2)。なお、屈折率n1とn2の関係はn1<n2である。
境界面Aに入射したθ2の角度成分を持つ光線は、光学素子102の境界面Bに対してθ3の角度成分で到達する。この時に、境界面Bでは全反射条件の臨界角θcに設定しているので、光線は全反射される(θ3≧θc:θc[=arcsin(n1/n2){n1<n2}])。
境界面Bで全反射された光線は、光学素子102の境界面Cに角度θ4で到達し、屈折角θ5で外部環境に出射される。
そして、第2の光学素子105を透過し、光変調素子103の表面に対して角度θ6で到達され、入射光250として光変調素子103に入射し、光変調素子103にて反射、変調される。
光変調素子103により変調された出射光は、α方向(第1の方向)に出射される第1の出射光200とβ方向(第2の方向)に出射される第2の出射光201に最低限分けられる。
また、このとき、γ方向(第3の方向)には第2の光学素子105で透過されずに第2の光学素子105の表面で反射された反射光251が出射される。第1の出射光200は、必要光として投射部104に導光され、第2の出射光201及び反射光251は、不要光として投射部104とは異なる位置に逃がして処理される。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α5で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
これに対して第2の出射光201(一点鎖線)は、光変調素子103表面の法線となす角β1に向けて、光変調素子103で反射される。ここで、第2の出射光201の光線は、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置している。
第2の出射光201は、境界面Cに入射角β2で入射し、屈折角β3で光学素子102内を進み、境界面Bに角度β4≧θcで到達して、その境界面Bで全反射し、境界面Aに向かう。
そして、第2の出射光201は、境界面Aでは屈折角β6で外部環境に出射される。第2の出射光201は、例えば、機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止される。
反射光251は、第2の光学素子105の表面において反射角γ1で反射される。その後、反射光251は、境界面Cに入射角γ2で入射し、屈折角γ3で光学素子102内を進み、境界面Bに角度γ4≧θcで到達して、境界面Bで全反射し、境界面Aに向かう。
反射光251は、境界面Aに対して角度γ5で到達し、屈折角γ6で外部環境に出射される。反射光251は、第2の出射光201と同様、例えば、機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.64、光変調素子103の変調角が片側12度の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=37.6{=arcsin(1.00/1.6)}
θ1=0
θ2=0
θ3=45.0{≧θc}
θ4=0
θ5=0
θ6=0
α1=24.0
α2=24.0
α3=14.3
α4=30.7{<θc}
α5=56.9
β1=24.0
β2=24.0
β3=14.3
β4=59.3{≧θc}
β5=14.3
β6=24.0
γ1=0
γ2=0
γ3=0
γ4=45.0{≧θc}
γ5=0
γ6=0
以上について、境界面Bへの入射角が一致していたり、境界面B上での透過、全反射の条件が成立していたりすれば、第2の光学素子105以外での表面反射・散乱光といった他の不要光も取り除くことができる。
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての反射光251及び第2の出射光201を明確に分離して反射光251及び第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、反射光251及び第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
よって、投射部104を光学素子102に近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102と投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201及び反射光251を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、照射光250、第2の出射光201および反射光251を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、照射光250、第2の出射光201および反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
続いて、図13および図14に示した光学系100において、LD(レーザダイオード)を含む光源101に代えて、図4に示したようなLED光源光学系を含む光源101Eを備えた場合について、以下に説明する。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.641.59光変調素子103の変調角が片側12度の条件とすると、主光線120における各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=37.6{=arcsin(1.00/1.64)}
θ1=0
θ2=0
θ3=45.0{≧θc}
θ4=0
θ5=0
θ6=0
α1=24.0
α2=24.0
α3=14.3
α4=30.7{<θc}
α5=56.9
β1=24.0
β2=24.0
β3=14.3
β4=59.3{≧θc}
β5=14.3
β6=24.0
γ1=0
γ2=0
γ3=0
γ4=45.0{≧θc}
γ5=0
γ6=0
上光線121は光学素子102に対する入射角θ1が10度傾いているのと同義であるので、上光線121における各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θ1=10.0
θ2=6.1
θ3=38.9{≧θc}
θ4=6.1
θ5=10.0
θ6=10.0
α1=14.0
α2=14.0
α3=8.5
α4=36.5{<θc}
α5=80.0
β1=34.0
β2=34.0
β3=19.9
β4=64.9{≧θc}
β5=19.9
β6=34.0
γ1=10.0
γ2=10.0
γ3=6.1
γ4=51.1{≧θc}
γ5=6.1
γ6=10.0
下光線122も上光線121と同様に、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θ1=10.0
θ2=6.1
θ3=51.1{≧θc}
θ4=6.1
θ5=10.0
θ6=10.0
α1=34.0
α2=34.0
α3=19.9
α4=25.1{<θc}
α5=44.2
β1=14.0
β2=14.0
β3=8.5
β4=53.5{≧θc}
β5=8.5
β6=14.0
γ1=10.0
γ2=10.0
γ3=6.1
γ4=38.9{≧θc}
γ5=6.1
γ6=10.0
以上について、境界面Bへの入射角が一致していたり、境界面B上での透過、全反射の条件が成立していたりすれば、第2の光学素子105以外での表面反射・散乱光といった他の不要光も取り除くことができる。
本実施形態では光変調素子103の変調角が片側12度であるため、第1の出射光200の主光線120の延長線と反射光251の主光線120の延長線の成す角度は24度(半分の角度は12度)である。これに対して、各光の主光線120と上光線121または下光線122の成す角度は10度である。
第1の出射光200と反射光251の各光における主光線120と上光線121または下光線122がなす角度が、第1の出射光200の主光線120の延長線と表面反射光251の主光線120の延長線の成す角度の半分以下であれば、上記以外の角度であってもよい。
これにより、必要光である第1の出射光200と不要光である反射光251は第1の光学素子102の境界面Bを境に混ざることなく分離でき、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
図15は、図1に示した光学系100の第7の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図1に示した光学系100の第6の変形例である図13に示した構成に加えて、図6と同様に三角プリズムにより構成される光学素子102Bを備える。光学素子102Bは、光学素子102を透過した第1の出射光200を透過し、光学素子102Bを透過した第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射される。これにより、収差の補正や出射方向の調整が容易となる。
図16は、図15に示した光学素子102、光学素子102B、第2の光学素子105および光変調素子103の光路を示す断面図である。図中、左下の丸で囲ってある部分は、右上の丸で囲ってある部分の拡大図である。
入射光(照射光)250、第2の出射光201、反射光251の光路は、図14と同じであるため、説明を省略する。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、光学素子102の境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α4’で外部環境に射出され、その次に、光学素子102Bの境界面Dに屈折角α4’で入射される。光学素子102Bは、屈折率n2であり、境界面Dと境界面Eのなす角度はφである
。
光学素子102と光学素子102Bの間は屈折率n1の空気層となっており、光学素子102の境界面Bと光学素子102Bの境界面Dが平行になるように光学素子102と光学素子102Bは配置されているので、境界面Bへの入射角α4と境界面Dにおける屈折角α5は等しくなる。光学素子102と光学素子102Bの間の空気層は広くなるほど投射画像に影響が出る為、空気層の距離Lは10μm以下が望ましい。
第1の出射光200は、屈折角α5で光学素子102B内を進み、光学素子102Bの境界面Eに角度α6<θcで到達し、屈折角α7で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.64、光変調素子103の変調角が片側12度の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=37.6{=arcsin(1.00/1.64)}
φ=30.7
θ1=0
θ2=0
θ3=45.0{≧θc}
θ4=0
θ5=0
θ6=0
α1=24.0
α2=24.0
α3=14.3
α4=30.7{<θc}
α4’=56.9
α5=30.7
α6=0{<θc}
α7=0
β1=24.0
β2=24.0
β3=14.3
β4=59.3{≧θc}
β5=14.3
β6=24.0
γ1=0
γ2=0
γ3=0
γ4=45.0{≧θc}
γ5=0
γ6=0
図17は、図1に示した光学系100の第8の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図1に示した光学系100の第7の変形例である図15に示した構成において、光学素子102Bに代えて、図8と同様に三角プリズムにより構成される光学素子102Cを備える。光学素子102Cは、光学素子102を透過した第1の出射光200を反射し、光学素子102Bにより反射された第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射される
以上の構成により、第2の出射光201および反射光251を第1の出射光200からさらに遠ざけることができるため、第2の出射光201および反射光251が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を確実に大きくすることができる。
図18は、図17に示した光学素子102、光学素子102C、第2の光学素子105および光変調素子103の光路を示す断面図である。図中、左下の丸で囲ってある部分は、右上の丸で囲ってある部分の拡大図である。
入射光(照射光)250、第2の出射光201、反射光251の光路は、図14と同じであるため、説明を省略する。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1に向けて、光変調素子103で反射されて、光学素子102の境界面Cに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Bに角度α4<θcで到達し、屈折角α4’で外部環境に射出され、その次に、光学素子102Cの境界面Dに屈折角α4’で入射される。光学素子102Cは、屈折率n2であり、境界面Dと境界面Eのなす角度はφである
。
光学素子102と光学素子102Cの間は屈折率n1の空気層となっており、光学素子102の境界面Bと光学素子102Cの境界面Dは平行になるように光学素子102と光学素子102Cは配置されているので、境界面Bへの入射角α4と境界面Dにおける屈折角α5は等しくなる。光学素子102と光学素子102Cの間空気層は広くなるほど投射画像に影響が出る為、空気層の距離Lは10μm以下が望ましい。
第1の出射光200は、屈折角α5で光学素子102C内を進み、光学素子102Cの境界面Eに角度α6≧θcで到達する。その後、第1の出射光200は、境界面Eで全反射された後、境界面Fに角度α6’で到達し、屈折角α’で外部環境に出射され‘、投射部104に入射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.64、光変調素子103の変調角が片側12度の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=37.6{=arcsin(1.00/1.64)}
φ=90.0
θ1=0
θ2=0
θ3=45.0{≧θc}
θ4=0
θ5=0
θ6=0
α1=24.0
α2=24.0
α3=14.3
α4=30.7{<θc}
α4’=56.9
α5=30.7
α6=59.3{≧θc}
α6’=9.3
α7=15.5
β1=24.0
β2=24.0
β3=14.3
β4=59.3{≧θc}
β5=14.3
β6=24.0
γ1=0
γ2=0
γ3=0
γ4=45.0{≧θc}
γ5=0
γ6=0
以上の構成により、第2の出射光201および反射光251を第1の出射光200からさらに遠ざけることができる。
図19は、図1に示した光学系100の第9の変形例を示す断面図である。
光学系100は、図1に示した光学系100の第6の変形例である図13に示した構成において、光学素子102に代えて、図10と同様に三角プリズムにより構成される光学素子102Rを備える。
光学素子102Rは、第1の出射光200を境界面Aで反射し、光源101から照射される照射光250、反射光251及び第2の出射光201を境界面Aおよび境界面Bで透過する。
光学素子102Rにより反射された第1の出射光200は、投射部104に導光されて入射して投射対象に投射され、光学素子102Rを透過した反射光251及び第2の出射光201は、不要光として処理され、例えば機構的なシボや光吸収帯に入射することにより再反射を防止してもよい。
また、光変調素子103は、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、第1、第2の出射光200、201を出射する。
さらに、光学素子102Rは、光源101から照射される照射光250を、入射光250として光変調素子103に向けて透過する。
以上の構成により、不要光としての反射光251及び第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、反射光251及び第2の出射光201が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
よって、投射部104を光学素子102に近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102と投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102Rをコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102Rを用いることにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
図20は、図19に示した光学素子102R、第2の光学素子105および光変調素子103の光路を示す断面図である。
まず、光源から照射された照射光250(実線)は、屈折率n1の外部環境と屈折率n2の光学素子102Rの境界面Aに入射角θ1で入射され、θ2で屈折される。この入射面の境界面Aでは、Snellの法則に則る。なお、屈折率n1とn2の関係はn1<n2である。
境界面Aに入射したθ2の角度成分を持つ光線は、光学素子102Rの境界面Bに対してθ3の角度成分で到達する。この時に、境界面Bでは全反射条件の臨界角θcに対して、θ3は以下の関係を取り、光は透過する(θ3<θc:θc[=arcsin(n1/n2){n1<n2}])。
境界面Bで透過された光線は、屈折角θ4で外部環境に出射される。そして、第2の光学素子105を透過し、光変調素子103の表面に対して角度θ5で到達され、入射光250として光変調素子103に入射し、光変調素子103にて反射、変調される。
光変調素子103により変調された出射光は、α方向(第1の方向)に出射される第1の出射光200とβ方向(第2の方向)に出射される第2の出射光201に最低限分けられる。
また、このとき、γ方向(第3の方向)には第2の光学素子105で透過されずに第2の光学素子105の表面で反射された反射光251が出射される。第1の出射光200は、必要光として投射部104に導光され、第2の出射光201及び反射光251は、不要光として投射部104とは異なる位置に逃がして処理される。
第1の出射光200(破線)は、光変調素子103表面の法線となす角α1として、光変調素子103で反射されて、境界面Bに入射角α2で入射し、屈折角α3で光学素子102R内を進む。
その後、第1の出射光200は、境界面Aに角度α4≧θcで到達して全反射され、境界面Cに向かう。
そして、第1の出射光200は、境界面Cでは屈折角α6で外部環境に出射され、投射部104に入射される。
これに対して第2の出射光201は、光変調素子103表面の法線となす角β1として、光変調素子103で反射され、境界面Bに入射角β2で入射し、屈折角β3で光学素子102R内を進む。
その後、第2の出射光201は境界面Aに角度β4<θcで到達し、屈折角β5で外部環境に出射される。
反射光251は、第2の光学素子105の表面において反射角γ1で反射される。その後、反射光251は、境界面Bに入射角γ2で入射し、屈折角γ3で光学素子102R内を進み、境界面Aに角度γ4<θcで到達し、屈折角γ5で外部環境に出射される。
外部環境の屈折率n1=1.00、光学素子の屈折率n2=1.59、光変調素子103の変調角が片側12度の条件とすると、各種パラメータの具体例は下記の通りになる。
θc=38.9{=arcsin(1.00/1.59)}
θ1=46.0
θ2=26.9
θ3=3.1{<θc}
θ4=5.0
θ5=5.0
α1=29.0
α2=29.0
α3=17.7
α4=47.7{≧θc}
α5=12.3
α6=19.8
β1=19.0
β2=19.0
β3=11.8
β4=18.2{<θc}
β5=29.8
γ1=5.0
γ2=5.0
γ3=3.1
γ4=33.1{<θc}
γ5=60.4
以上について、境界面Aへの入射角が一致していたり、境界面A上での透過、全反射の条件が成立していたりすれば、第2の光学素子105以外での表面反射・散乱光といった他の不要光も取り除くことができる。
以上の構成により、光学素子102Rの境界面Aを介して必要光としての第1の出射光200と、不要光としての反射光251及び第2の出射光201を明確に分離して反射光251及び第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。
よって、投射部104を光学素子102Rに近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102Rと投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102Rをコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102Rを用いることにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、光学素子102Rの境界面Aは、第1の出射光200を反射し、照射光250、第2の出射光201および反射光251を透過するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、照射光250、第2の出射光201および反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102Rおよび光学系100をコンパクトにすることができる。
以上説明した本実施形態に係る光学系100は、光源101から照射される照射光を、光学素子102、102Rを介することなく、光変調素子103に入射してもよい。その場合、光変調素子103は、入射光を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に透過して出射する透過型により構成しても良い。
また、本実施形態における光源101は、LD、LEDに限らず、有機EL素子等の他の発光素子を用いても良い。
図21は、図12に示した画像投射装置300の変形例を示す断面図である。
画像投射装置300は、図12に示した構成に加えて、第2の光学素子105を備える。第2の光学素子105は、図13~20にて説明した光学系100における第2の光学素子105と同様に構成される。
以上の構成により、光学素子102の境界面Bを介して画像を形成するON光としての第1の出射光200と、画像を形成しないOFF光としての第2の出射光201および反射光251を明確に分離して第2の出射光201および反射光251を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201および反射光251が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合のスクリーン400における輝度と、第2の出射光201を出射する場合のスクリーン400における輝度との、輝度差を大きくすることができる。よって、スクリーン400に投射される画像の品質を向上させることができる。
よって、投射部104を光学素子102に近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102と投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
さらに、光変調素子103への入射側と出射側で同じ光学素子102を用いること、および光源101からの照射光250と第2の出射光201及び反射光251を光学素子102の同一の境界面Bで反射することにより、光学系100をコンパクトにすることができる。
また、境界面Bは、第1の出射光200を透過し、照射光250、第2の出射光201および反射光251を反射するため、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、照射光250、第2の出射光201および反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる。
図22は、本発明の一実施形態としての画像投射装置300を搭載した移動体400を示す図である。
車両(移動体)400は、画像を投射する画像投射装置300と、画像投射装置300で形成された画像301を反射する光学部品401A、401B、401C(フロントガラス)を備え、車両400に乗車した乗車者501に、数m先に虚像600として認識させることができる。画像投射装置300は、図12および図21にて説明した画像投射装置300と同様に構成される。
以上の構成により、画像を形成するON光としての第1の出射光200と、画像を形成しないOFF光としての第2の出射光201および反射光251を明確に分離して、第2の出射光201および反射光251を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、第2の出射光201および反射光251が投射部104に入射することを抑制でき、第1の出射光200を出射する場合の虚像600における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の虚像600における輝度との、輝度差を大きくすることができる。よって、虚像600の画像品質を向上させることができる。
よって、投射部104を光学素子102に近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102と投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線及び反射光251の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成および光学素子102をコンパクトにすることができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る光学系100は、入射光250を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に出射する光変調素子103と、光源101から照射される照射光250を、入射光250として光変調素子103に向けて出射する光学素子102、102Rと、を備え、光学素子102、102Rは、光変調素子103から第1の方向に出射されて投射対象に導光される第1の出射光200と、光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201および照射光250と、のうち一方を透過し、他方を反射する境界面(界面)を有する。
すなわち、光学素子102は、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および照射光250を反射する境界面(界面)Bを有する。あるいは、光学素子102Rは、第1の出射光200を反射し、第2の出射光201および照射光250を透過する境界面(界面)Aを有する。
これにより、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、投射対象における第2の出射光201の影響を低減することができる。また、光学素子102、102Rの同一の境界面で反射・透過することにより、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と照射光250を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102、102Rおよび光学系100をコンパクトにすることができる。
よって、光学系100をコンパクトにしつつ、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
よって、投射対象を光学素子102、102Rに近づけた場合でも、不要光が投射対象へ入射することを抑制できるため、光学素子102、102Rと投射対象を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
また、本発明の一実施形態に係る光学系100は、入射光250を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に出射する光変調素子103と、第1の方向に出射された第1の出射光200、および第2の方向に出射された第2の出射光201の一方を透過し、他方を反射する光学素子102、102Rと、を備え、第2の出射光201の光線が、入射光250の光線を挟んで第1の出射光200の光線の反対側に位置するように、光変調素子103は第1、第2の出射光200、201を出射する。
具体的には、光学素子102の境界面Bまたは光学素子102Rの境界面Aにおいて、第2の出射光201は、入射光250を挟んで第1の出射光200の反対側に位置する。
この構成により、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、第2の出射光201の影響を低減することができる。よって、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成をコンパクトにすることができる。
また、本発明の一実施形態に係る光学系100は、入射光250を互いに異なる方向である第1の方向または第2の方向に出射する光変調素子103と、光源101から照射される照射光250を、入射光250として光変調素子103に向けて出射する光学素子102、102Rと、光学素子102、102Rと光変調素子103との間に配置され、光学素子102、102Rから出射された照射光205を入射する第2の光学素子105を備え、光学素子102、102Rは、光変調素子103から第1の方向に出射されて投射対象に導光される第1の出射光200と、第2の光学素子105で透過されずに反射された反射光251と、のうち一方を透過し、他方を反射する。
これにより、反射光251を第1の出射光200から確実に遠ざけることができるため、投射対象における反射光251の影響を低減することができる。
光学素子102、102Rは、第1の出射光200と、光変調素子103から第2の方向に出射された第2の出射光201および反射光251と、のうち一方を透過し、他方を反射する。これにより、第2の出射光201および反射光251を第1の出射光200から確実に遠ざけることができて、投射対象における第2の出射光201および反射光251の影響を低減することができる。
光学素子102は、第1の出射光200を透過し、第2の出射光201および反射光251を反射する境界面Bを有する。あるいは、光学素子102Rは、第1の出射光200を反射し、第2の出射光201および反射光251を透過する境界面Aを有する。
このように、光学素子102、102Rの同一の境界面で反射・透過することにより、第1の出射光200に対して、第2の出射光201と反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102および光学系100をコンパクトにすることができる
光学素子102、102Rは、第1の出射光200と、照射光25および反射光251と、のうち一方を透過し、他方を反射する。
光学素子102は、第1の出射光200を透過し、照射光250および反射光251を反射する境界面Bを有する。あるいは、光学素子102Rは、第1の出射光200を反射し、照射光250および反射光251を透過する境界面Aを有する。
このように、光学素子102、102Rの同一の境界面で反射・透過することにより、第1の出射光200に対して、照射光250と反射光251を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102、102Rおよび光学系100をコンパクトにすることができる
そして、光学素子102の境界面Bまたは光学素子102Rの境界面Aにおいて、第2の出射光201が、入射光250および反射光251を挟んで第1の出射光200の反対側に位置するように、光変調素子103は第1、第2の出射光200、201を出射する。
この構成により、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、第2の出射光201の影響を低減することができる。よって、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
また、第1の出射光200および反射光251は、主光線と、主光線とそれぞれ角度をなす上光線および下光線と、をそれぞれ含み、第1の出射光200における主光線と、上光線または下光線がなす角度、および反射光251における主光線と、上光線または下光線がなす角度は、第1の出射光200における主光線の延長線と反射光251における主光線の延長線のなす角度の半分以下である。
これにより、光学系100が最も条件が厳しい反射光251を含む場合でも、必要光と不要光を混ざらずに抽出することができる。
光変調素子103は、入射光250を反射して第1または前記第2の方向に出射する。これにより、入射光250、第1の出射光200、および第2の出射光201が、光変調素子103の表面側に配置されるため、光学系100をコンパクトにすることができる。
光変調素子103は、デジタル・マイクロミラー・デバイスである。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を容易に大きくすることができる。
光変調素子103は、入射光250を前記第1または前記第2の方向に出射する可変領域103Aと、入射光250を前記第2の方向に固定して出射する固定領域103Bを含む。
これにより、固定領域103Bから出射される光は、第2の出射光201と平行な光のみであり、第1の出射光200と平行な光は含まれないので、投射部104に導光されることはない。よって、可変領域103Aから不要光として第2の出射光201を出射しているときに、固定領域103Bから出射される光が投射対象に投射されることがなく、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
光学素子102、102Rはプリズムである。これにより、簡単な構成で、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
光学系100は、光学素子102、102Rを通過した第1の出射光200を入射し、投射対象に投射する投射光学系104を備える。
この構成により、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができるため、第2の出射光201(および反射光251)が投射部104に入射することを抑制できる。これにより、第1の出射光200を出射する場合の投射対象における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射対象における輝度との、輝度差を大きくすることができる。
よって、投射部104を光学素子102、102Rに近づけた場合でも、不要光が投射部104へ入射することを抑制できるため、光学素子102、102Rと投射部104を近づけることが可能になる。これにより、光学系100をコンパクトにするともに、倍率を上げて投射対象の広角化も容易に行うことも可能になる。
本発明の一実施形態に係る画像投射装置300は、以上の構成の光学系100を備え、本発明の一実施形態に係る移動体は、上記構成の画像投射装置300を備える。
この構成により、画像を形成するON光としての第1の出射光200と、画像を形成しないOFF光としての第2の出射光201(および反射光251)を明確に分離して、第2の出射光201を第1の出射光200から遠ざけることができる。これにより、投射対象における第2の出射光201(および反射光251)の影響を低減でき、第1の出射光200を出射する場合の投射画像における輝度と、第2の出射光201を出射する場合の投射画像における輝度との、輝度差を大きくすることができる。よって、投射画像の品質を向上させることができる。
そして、光変調素子103への入射光250の光線(および反射光251の光線)は、光変調素子103からの第1の出射光200の光線と第2の出射光201の光線の間に配置されているので、光路構成をコンパクトにすることができる。
また、光学素子102の境界面Bまたは光学素子102Rの境界面Aは、第1の出射光200と、照射光25および第2の出射光201(および反射光251)と、のうち一方を透過し、他方を反射する。これにより、同一の境界面で反射・透過することで、第1の出射光200に対して、照射光250および第2の出射光201(および反射光251)を同じ側に配置することが可能になり、光学素子102、102Rおよび光学系100をコンパクトにすることができる。