JP7338678B2 - バリア材及びそれを備える製品 - Google Patents

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Description

本発明は、バリア材及びそれを備える製品に関する。
従来から、電子部品に形成された空隙部に湿気が混入することを避けるため、バリアフィルム等によって電子部品を封止することが検討されている。例えば、特許文献1には、無機酸化物層を備えるバリアフィルムを積層させた、バリアフィルム積層体が記載されている。
特開2011-093195号公報
本発明は、基材上に配置されるバリア材であって、当該基材の吸湿を高水準で抑制することが可能な、バリア材を提供することを目的とする。また、本発明は、当該バリア材を備える製品を提供することを目的とする。
本発明は、基材上に配置されたバリア材を提供する。このバリア材において、上記基材と反対側から上記基材側への水蒸気透過度Aは、上記バリア材の上記基材側から上記基材と反対側への水蒸気透過度Aより小さい。
このようなバリア材によれば、基材側に水分が侵入した場合でも当該水分を基材と反対側に放出することができるため、基材への吸湿を顕著に抑制することができる。また、このようなバリア材によれば、バリア材を配置した状態で加熱乾燥等を行うことで、基材中の水分が外部に放出し、基材を効率よく乾燥させることができる。
一態様において、上記水蒸気透過度Aに対する上記水蒸気透過度Aの比(A/A)は、1.3以上であってよい。
一態様に係るバリア材は、金属原子がドープされたポリシロキサン化合物を含むものであってよい。
一態様において、上記ポリシロキサン化合物は、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有していてよい。
一態様において、上記ポリシロキサン化合物中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合は、30%以上であってよい。
一態様において、上記ポリシロキサン化合物中の酸素原子のうち、90%以上がケイ素原子と結合していてよい。
一態様に係るバリア材は、上記基材上に塗布されたバリア材形成用組成物の硬化物からなるものであってよい。このとき、上記バリア材形成用組成物は、少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーを含んでいてよい。
一態様において、上記シランオリゴマーは、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有していてよい。
一態様において、上記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合は、50%以上であってよい。
一態様において、上記バリア材形成用組成物はシランモノマーを更に含んでいてよい。
本発明はまた、基材と、上記基材上に配置された上記バリア材と、を備える、製品を提供する。
本発明は、基材上に配置されるバリア材であって、当該基材の吸湿を高水準で抑制することが可能な、バリア材を提供することができる。また、本発明は、当該バリア材を備える製品を提供することができる。
バリア材の好適な一態様を示す模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのいずれか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。本実施形態で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<バリア材>
本実施形態に係るバリア材は、基材上に配置されており、当該基材と反対側から基材側への水蒸気透過度Aが、基材側から基材と反対側への水蒸気透過度Aより小さい。図1は、バリア材の好適な一態様を示す模式断面図である。図1のバリア材10は、基材20上に配置されており、基材20と反対側の面11から基材20側の面12への水蒸気透過度Aが、基材20側の面12から基材20と反対側の面11への水蒸気透過度Aより小さい。図1に示すとおり、基材20には、複数のバリア材10が形成されていてよく、その全てにおいて、水蒸気透過度Aが水蒸気透過度Aより小さいことが好ましい。
本実施形態に係るバリア材によれば、基材側に水分が侵入した場合でも当該水分を基材と反対側に放出することができるため、基材への吸湿を顕著に抑制することができる。また、本実施形態に係るバリア材によれば、バリア材を配置した状態で加熱乾燥等を行うことで、基材中の水分が外部に放出し、基材を効率よく乾燥させることができる。
水蒸気透過度Aに対する水蒸気透過度Aの比(A/A)は、例えば1.1以上であってよく、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上である。これにより上述の効果がより顕著に奏される。
水蒸気透過度Aに対する水蒸気透過度Aの比(A/A)の上限は特に限定されない。比(A/A)は、例えば30以下であってよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
水蒸気透過度Aは、例えば5000g/m・day以下であってよく、基材側への水分の侵入がより抑制される観点からは、好ましくは4000g/m・day以下、より好ましくは3000g/m・day以下である。水蒸気透過度Aの下限は特に限定されない。水蒸気透過度Aは、例えば100g/m・day以上であってよい。なお、上述の水蒸気透過度Aは、厚さ20μm当たりの、40℃、95%RHにおける値を示す。
水蒸気透過度Aは、例えば500g/m・day以上であってよく、基材側に侵入した水分の放出による上述の効果がより顕著に得られる観点から、好ましくは2000g/m・day以上、より好ましくは4000g/m・day以上である。水蒸気透過度Aの上限は特に限定されない。水蒸気透過度Aは、例えば10000g/m・day以下であってよい。なお、上述の水蒸気透過度Aは、厚さ20μm当たりの、40℃、95%RHにおける値を示す。
なお、本明細書中、水蒸気透過度A及び水蒸気透過度Aは、JIS K 7129の方法で測定される値を示す。
本実施形態に係るバリア材を構成する材質は特に限定されない。
好適な一態様において、バリア材は、ポリシロキサン化合物を含むことが好ましく、金属原子がドープされたポリシロキサン化合物を含むことがより好ましい。このようなバリア材は、ポリシロキサン化合物中のケイ素原子の構造制御によってバリア材中の空隙をコントロールしやすく、上述の水蒸気透過度A及び水蒸気透過度Aの関係を容易に満たすことができる。
ポリシロキサン化合物は、シロキサン骨格を有している。また、ポリシロキサン化合物中、金属原子は、酸素原子を介してポリシロキサン骨格を構成するケイ素原子と結合している。
ポリシロキサン化合物に含まれるケイ素原子は、1個の酸素原子と結合したケイ素原子(M単位)、2個の酸素原子と結合したケイ素原子(D単位)、3個の酸素原子と結合したケイ素原子(T単位)及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子(Q単位)に区別することができる。M単位、D単位、T単位及びQ単位としては、それぞれ後述の式(M)、(D)、(T)及び(Q)が例示できる。
ポリシロキサン化合物において、ケイ素原子の総数に対するT単位及びQ単位の合計数の割合は、例えば30%以上であってよく、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなポリシロキサン化合物によれば、バリア材の防湿性が一層向上する。
好適な一態様において、ポリシロキサン化合物はT単位を含有していることが好ましい。ポリシロキサン化合物におけるT単位の含有量は、ケイ素原子の総数に対して、例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上又は50%以上であってよく、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなポリシロキサン化合物によれば、柔軟性及び脱湿性が一層向上する傾向がある。
ポリシロキサン化合物において、ケイ素原子(Si)の総数に対する金属原子Mのモル比(M/Si)は、例えば0.0001以上であってよく、0.001以上であることが好ましい。これにより、硬化性がより良好になる傾向がある。また、上記モル比(M/Si)は、例えば0.5以下であってよく、0.2以下であることが好ましい。これにより、透明性が一層良好になる傾向がある。
ポリシロキサン化合物は、酸素原子の大部分が少なくとも1つのケイ素原子と結合していることが好ましい。ポリシロキサン化合物中に、アルコール性水酸基(C-OH)、エーテル結合(C-O-C)等が少ないことで、防湿性及び脱湿性が一層向上する傾向がある。例えば、ポリシロキサン化合物中の酸素原子のうち、例えば90%以上がケイ素原子と結合していることが好ましく、95%以上がケイ素原子と結合していることが好ましく、99%以上がケイ素原子と結合していることが更に好ましい。
バリア材は透明性を有していてもよい。このようなバリア材は、透明性が要求される用途、例えばイメージセンサパッケージにおけるイメージセンサ上を被覆する被覆材として、好適に用いることができる。なお、ここで透明性を有するとは、厚さ1mm当たりの可視光透過率(550nmの光透過率)が80%以上であることを示す。
バリア材は、厚さ1mm当たりの可視光透過率(550nmの光透過率)が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。バリア材の可視光透過率は、分光光度計により測定される。
バリア材の形状は特に限定されない。バリア材は、例えば、フィルム状に成形されていてよく、このようなバリア材は防湿バリアフィルムとして用いることができる。また、バリア材は、基材を被覆するように形成されていてよく、この場合、基材の湿気との接触を防止することができる。
バリア材は、例えば、後述のバリア材形成用組成物の硬化物から構成されていてよい。以下、バリア材形成用組成物の好適な一態様について説明する。
<バリア材形成用組成物>
本態様のバリア材形成用組成物は、シランオリゴマーを含み、当該シランオリゴマーの少なくとも一部は金属アルコキシドで修飾されている。
このような組成物は、シランオリゴマーにおけるケイ素原子の構成(M単位、D単位、T単位及びQ単位の割合)を適宜調整することで、上述の水蒸気透過度A及び水蒸気透過度Aの関係を満たすバリア材を、基材上に容易に形成することができる。
バリア材形成用組成物は、例えば液状であってもペースト状であってもよい。基材への塗布が容易となる観点からは、バリア材形成用組成物は、液状組成物であることが好ましい。
シランオリゴマーはシランモノマーの重合体であり、複数のケイ素原子が酸素原子を介して連結された構造を有する。本明細書中、シランオリゴマーは、分子量が100000以下の重合体を示す。
本明細書中、金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーとは、シランオリゴマーと金属アルコキシドの反応により形成される化合物であり、シランオリゴマー由来のケイ素原子と金属アルコキシド由来の金属原子とが酸素原子を介して結合した構造を有する化合物ということもできる。
金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマー(以下、場合により「修飾シランオリゴマー」と称する)は、シランオリゴマーと金属アルコキシドとの反応物であってよく、シランモノマーと金属アルコキシドとの反応物であってもよい。後者の場合、金属アルコキシドと反応したシランモノマーが更に他のシランモノマーと反応してシランオリゴマー構造を形成したものであってよく、シランモノマー同士の反応により形成されたシランオリゴマーが金属アルコキシドと反応したものであってもよい。
なお、本態様に係る組成物は、組成物に含まれるシランオリゴマーの全てが金属アルコキシドで修飾されている必要はなく、シランオリゴマーの少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されていればよい。
シランオリゴマーに含まれるケイ素原子は、1個の酸素原子と結合したケイ素原子(M単位)、2個の酸素原子と結合したケイ素原子(D単位)、3個の酸素原子と結合したケイ素原子(T単位)及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子(Q単位)に区別することができる。M単位、D単位、T単位及びQ単位としては、それぞれ以下の式(M)、(D)、(T)及び(Q)が例示できる。
Figure 0007338678000001
上記式中、Rはケイ素に結合する酸素原子以外の原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。これらの単位の含有量に関する情報は、Si-NMRにより得ることができる。
シランオリゴマーにおいて、ケイ素原子の総数に対するT単位及びQ単位の合計数の割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーによれば、防湿性に一層優れたバリア材が得られる。
好適な一形態として、シランオリゴマーはT単位を含有していることが好ましい。シランオリゴマーにおけるT単位の含有量は、ケイ素原子の総数に対して、例えば10%以上であり、好ましくは20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、70%以上、80%以上又は90%以上であり、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーは、柔軟性及び脱湿性がより向上する傾向がある。
他の形態として、シランオリゴマーはQ単位を主に含有するものであってもよい。このとき、シランオリゴマーにおけるQ単位の含有量は、ケイ素原子の総数に対して、例えば50%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であってもよい。このようなシランオリゴマーは、防湿性及び透明性がより向上する傾向がある。
シランオリゴマーは、上述の式(M)、(D)、(T)及び(Q)中のRとして、アルキル基又はアリール基を有していることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エトキシ基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば400以上であってよく、好ましくは600以上、より好ましくは1000以上である。また、シランオリゴマーの重量平均分子量は、例えば30000以下であってよく、好ましくは10000以下、より好ましくは6000以下である。シランオリゴマーの重量平均分子量が大きいと柔軟性及び脱湿性がより向上する傾向があり、小さいと防湿性及び透明性がより向上する傾向がある。なお、本明細書中、シランオリゴマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算で表される重量平均分子量の値を示す。
金属アルコキシドは、例えば、M(ORで表すことができる。Mはn価の金属原子を示し、Rはアルキル基を示す。nは1以上の正数を示す。
nは好ましくは2~5であり、より好ましくは3~4である。
Mとしては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ等が挙げられ、これらのうちアルミニウム、チタン、ジルコニウムが好ましく、アルミニウムがより好ましい。すなわち、金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、ニオブアルコキシド等が挙げられ、これらのうちアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドが好ましく、アルミニウムアルコキシドがより好ましい。
としては、炭素数1~6アルキル基が好ましく、炭素数2~4のアルキル基がより好ましい。Rのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちエチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、プロピル基、ブチル基がより好ましい。
本態様に係る組成物は、シランオリゴマーを、当該シランオリゴマー100質量部に対して0.1~50質量部の金属アルコキシドで修飾した修飾シランオリゴマーを含むものであってよい。金属アルコキシドの量は、シランオリゴマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。金属アルコキシドの量が多いと硬化性がより良好になる傾向があり、金属アルコキシドの量を少なくすることで透明性がより向上する傾向がある。
本態様に係る組成物は、シランモノマーを更に含んでいてよい。シランモノマーを配合することで、例えば、バリア材におけるT単位及びQ単位の含有量を調整することができ、用途に応じてバリア材に透明性、柔軟性等の効果を付与することができる。また、シランモノマーを配合することで、防湿性に一層優れるバリア材が得られる傾向がある。
シランモノマーの含有量は特に限定されないが、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば10質量部以上であってよく、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。これにより上述の効果がより顕著に奏される。また、シランモノマーの含有量は、例えば100質量部以下であってよく、60質量部以下であってよく、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。このような範囲とすることで、硬化性が良好になる傾向がある。なお、本明細書中、「シランオリゴマー100質量部」は、シランオリゴマーを修飾する金属アルコキシドの質量は含まず、修飾シランオリゴマーのシランオリゴマー部分と未修飾シランオリゴマーの合計量を100質量部とすることを意味する。
シランモノマーとしては、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を含有する3官能モノマー、及び、4個の酸素原子と結合したケイ素原子を含有する4官能モノマーを好適に用いることができる。
3官能モノマーとしては、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン等が挙げられる。アルキルトリアルコキシシランは、ケイ素原子に1つのアルキル基と3つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。また、アリールトリアルコキシシランは、ケイ素原子に1つのアリール基と3つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。
アルキルトリアルコキシシランのアルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、これらのうちメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。また、アルキルトリアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
アリールトリアルコキシシランのアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基が好ましい。また、アリールトリアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
3官能モノマーの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
4官能モノマーとしては、テトラアルコキシシラン等が挙げられる。テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合したシラン化合物である。
テトラアルコキシシランのアルコキシ基としては、炭素数6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数4以下のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらのうちメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
4官能モノマーの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
また、シランモノマーとしては、ビニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より選択される反応性官能基を有するシランモノマー(以下、反応性シランモノマーともいう。)を用いることもできる。上記組成物がこのようなシランモノマーを含むと、基材への追従性及び密着性に一層優れたバリア材が形成される。
反応性シランモノマーによって上記効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、バリア材の形成時に、反応性官能基同士の反応、反応性官能基とシラノール基との反応等によってシロキサン結合以外の架橋構造が形成され、これにより、優れた防湿性及び柔軟性が実現されると考えられる。また、バリア材の形成時に、反応性シランモノマーの反応性官能基が対象物表面に存在する官能基と結合することにより、より優れた防湿性及び柔軟性が実現されるとも考えられる。
反応性シランモノマーが有する反応性官能基としては、バリア材の柔軟性及び部材への密着性がより向上する観点からは、ビニル基、エポキシ基(より好ましくはグリシジル基)、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基及びメルカプト基からなる群より選択されることが好ましく、アミノ基がより好ましい。
反応性シランモノマーは、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有していることが好ましい。
反応性シランモノマーとしては、例えば、下記式(A-1)で表されるシランモノマーを好適に用いることができる。
Figure 0007338678000002
式中、RA1は反応性官能基を示し、Lはアルカンジイル基又はオキシアルカンジイル基(-OL-で表される基、Lはアルカンジイル基を示す。)を示し、pは0以上の整数(好ましくは0~3の整数)を示し、RA2はアルキル基又はアリール基を示す。
A1がビニル基であるとき、pは0~3であることが好ましく、0であることがより好ましい。
A1がエポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基又はメルカプト基であるとき、pは1以上の整数であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
A1がビニル基、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基であるとき、Lはオキシアルカンジイル基であることが好ましい。
A1がアミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基又はメルカプト基であるとき、Lはアルカンジイル基であることが好ましい。
及びLおけるアルカンジイル基としては、炭素数2~10のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2~8のアルカンジイル基がより好ましい。
A2におけるアルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基)等が挙げられる。
A2におけるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
A2はアルキル基であることが好ましい。
反応性シランモノマーの含有量は、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であってよく、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。これにより、追従性及び密着性がより向上する傾向がある。また、反応性シランモノマーの含有量は、例えば5質量部以下であってよく、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。これにより、硬化物の熱安定性がより向上する傾向がある。
本態様に係る組成物は、液状媒体を更に含んでいてよい。液状媒体としては、水及び有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。また、これらの他に、アセトニトリル、アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等も用いることができる。
組成物は、液状媒体として水及びアルコ-ル類を含んでいてよい。このような液状媒体を用いることで、透明性に優れるバリア材が得られやすくなる。
アルコール類としては、バリア材形成時の加熱によって気化させることができるものが好ましい。アルコール類としては、例えば、炭素数6以下のアルコール類が好ましく、炭素数1~4のアルコール類がより好ましい。
アルコール類としては、例えば、金属アルコキシドのアルコキシ基に対応するアルコール類を用いてもよい。すなわち、例えば金属アルコキシドがtert-ブトキシ基を有するとき、アルコール類としてtert-ブチルアルコールを用いてよい。これにより、透明性が一層向上する傾向がある。
液状媒体の含有量は特に限定されず、例えば、組成物の塗布に好適な粘度となる含有量としてよい。組成物の粘度は特に限定されず、作製するバリア材の厚さ、塗布方法、対象物の形状等に応じて適宜調整してよい。
組成物の25℃における粘度は、例えば1~6000mPa・sであってよく、5~3000mPa・sであることが好ましい。このような組成物によれば、対象物への塗布及び対象物上へのバリア材の形成が一層容易となる。
本態様に係る組成物において、シランオリゴマー及びシランモノマーに由来するケイ素原子の総数に対する、金属アルコキシドに由来する金属原子Mのモル比(M/Si)は、例えば0.0001以上であってよく、0.001以上であることが好ましい。これにより、硬化性がより良好になる傾向がある。また、上記モル比(M/Si)は、例えば0.5以下であってよく、0.2以下であることが好ましい。これにより、透明性がより向上する傾向がある。
本態様に係る組成物は、硬化触媒を更に含有していてよい。硬化触媒は、シランオリゴマー及びシランモノマーの重合反応を促進するものであればよく、特に限定されない。
硬化触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸等を含む酸触媒、スズ、チタン、アルミ、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン等を含む金属触媒、脂肪族アミン、水酸化アンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含む塩基触媒等が挙げられる。
硬化触媒の含有量は、例えば、シランオリゴマー100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、1質量部以上が好ましく、20質量部以下であってよく、10質量部以下が好ましい。
本態様に係る組成物は、上記以外の他の成分を更に含有していてよい。他の成分としては、例えば、分子構造中に水酸基を有する樹脂、金属酸化物粒子、金属酸化物ファイバー等が挙げられる。分子構造中に水酸基を有する樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子等が挙げられ、これらの粒子はナノサイズ(例えば粒径が1nm以上1000nm未満)であることが好ましい(すなわち、ナノシリカ粒子、ナノアルミナ粒子が好ましい。)。金属酸化物ファイバーとしては、例えば、アルミナファイバー等が挙げられ、これら金属酸化物ファイバーの繊維径はナノサイズ(例えば繊維径が1nm以上1000nm未満)であることが好ましい(すなわち、アルミナナノファイバーが好ましい。)。
上記の他の成分の含有量は、上述の効果が得られる範囲であれば特に限定されず、例えば、シランオリゴマー100質量部に対して50質量部以下であってよく、好ましくは40質量部以下である。また、上記他の成分の含有量は、シランオリゴマー100質量部に対して、例えば10質量部以上であってよく、20質量部以上であってもよい。
本態様に係る組成物の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
<組成物の製造方法1>
本製造方法は、シランオリゴマーと金属アルコキシドとを反応させて、シランオリゴマーの少なくとも一部を金属アルコキシドで修飾する修飾工程を備える。この修飾工程では、金属アルコキシドがシランオリゴマーと反応して、金属原子-酸素原子-ケイ素原子の結合が形成される。
上記反応は、液状媒体中で行ってよい。液状媒体としては、上記と同じものが例示できる。液状媒体の量は特に限定されず、例えば、反応液中のシランオリゴマーの濃度が50~99質量%(好ましくは80~95質量%)となる量であってよい。
上記反応の反応条件は特に限定されない。例えば、上記反応の反応温度は、60~100℃であってよく、70~90℃であってもよい。また、上記反応の反応時間は、例えば0.5~5.0時間であってよく、1.0~3.0時間であってもよい。
本製造方法は、修飾工程後の反応液に、シランオリゴマーを添加する工程を更に備えていてもよい。これにより、金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーと、未修飾のシランオリゴマーとを含有する組成物が得られる。
本製造方法は、修飾工程後の反応液に、シランモノマーを添加する工程を更に備えていてもよい。すなわち、本製造方法は、少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーを準備する第一の工程と、修飾シランオリゴマーとシランモノマーとを混合して、バリア材形成用組成物を得る第二の工程と、を備える方法であってよく、第一の工程が、上記修飾工程であってよい。これにより、シランモノマーを含有する組成物が得られる。
本製造方法はまた、修飾工程後の反応液に、他の成分を添加する工程を更に備えていてもよい。本製造方法はまた、修飾工程後の反応液に液状媒体を添加する工程、又は、修飾工程後の反応液中の液状媒体を他の液状媒体に置換する工程を更に備えていてもよい。これらの工程によって、修飾工程後の反応液から、上述の組成物の様々な態様を調製することができる。
<組成物の製造方法2>
本製造方法は、シランモノマーと金属アルコキシドとを反応させて、少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーを形成する、修飾工程を備える。修飾工程では、シランモノマーの重合によってシランオリゴマーが形成され、形成されたシランオリゴマーが金属アルコキシドにより修飾されてよい。また、修飾工程では、シランモノマーが金属アルコキシドによって修飾された後、修飾されたシランモノマーと他のシランモノマーとの反応によってシランオリゴマー部分が形成されてもよい。
上記反応は、液状媒体中で行ってよい。液状媒体としては、上記と同じものが例示できる。液状媒体の量は特に限定されず、例えば、反応液中のシランモノマーの濃度が50~99質量%(好ましくは80~95質量%)となる量であってよい。
上記反応の反応条件は特に限定されない。例えば、上記反応の反応温度は、60~100℃であってよく、70~90℃であってもよい。また、上記反応の反応時間は、例えば0.5~5.0時間であってよく、1.0~3.0時間であってもよい。
本製造方法は、修飾工程後の反応液に、シランオリゴマーを添加する工程を更に備えていてもよい。これにより、金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーと、未修飾のシランオリゴマーとを含有する組成物が得られる。
本製造方法は、修飾工程後の反応液に、シランモノマーを添加する工程を更に備えていてもよい。すなわち、本製造方法は、少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーを準備する第一の工程と、修飾シランオリゴマーとシランモノマーとを混合して、バリア材形成用組成物を得る第二の工程と、を備える方法であってよく、第一の工程が、上記修飾工程であってよい。これにより、シランモノマーを含有する組成物が得られる。
本製造方法はまた、修飾工程後の反応液に、他の成分を添加する工程を更に備えていてもよい。本製造方法はまた、修飾工程後の反応液に液状媒体を添加する工程、又は、修飾工程後の反応液中の液状媒体を他の液状媒体に置換する工程を更に備えていてもよい。これらの工程によって、修飾工程後の反応液から、上述の組成物の様々な態様を調製することができる。
<バリア材の製造方法>
本実施形態に係るバリア材の製造方法は、上述の組成物を加熱して、バリア材を形成する加熱工程を備える。この製造方法では、加熱により組成物中のシランオリゴマー及びシランモノマーが重合してポリシロキサン化合物が形成される。このとき、上記組成物ではシランオリゴマーの少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されているため、ポリシロキサン化合物中には当該金属アルコキシド由来の金属原子がドープされる。
加熱工程では、加熱により組成物中の液体媒体が除去されてよい。すなわち、加熱工程は、組成物の加熱乾燥により、ポリシロキサン化合物を含むバリア材を形成する工程であってよい。
加熱工程における加熱温度は特に限定されず、シランオリゴマーが重合可能な温度であればよい。また、組成物が液状媒体を含む場合は、加熱温度は、液状媒体が揮発する温度であることが好ましい。加熱温度は、例えば70℃以上であってよく、好ましくは100℃以上である。また、加熱温度は、例えば200℃以下であってよく、好ましくは170℃以下である。
本製造方法は、組成物を塗布する塗布工程を更に備えていてよい。このとき、加熱工程は、塗布された組成物を加熱する工程ということができる。
組成物の塗布方法は特に限定されず、塗布する対象物の形状、バリア材の厚み等に応じて適宜変更してよい。
本製造方法では、防湿性を付与したい対象物に組成物を塗布して、当該対象物上にバリア材を形成してよい。また、本製造方法では、所定形状のバリア材を製造してから、製造されたバリア材を対象物上に適用してもよい。
<バリア材の用途>
本実施形態に係るバリア材の用途は特に限定されず、防湿性が要求される種々の用途に好適に適用できる。例えば、バリア材は、電子部品用の防湿バリア材として好適に用いることができる。
本実施形態に係るバリア材は、高温環境下(例えば100℃以上)において、内部に侵入した水分の膨張による破壊を十分に抑制できる。バリア材としては、例えば、高温環境下で使用される電子部品用の防湿バリア材、実装時に高温工程を経る電子部品用の防湿バリア材等の用途に好適に用いることができる。具体的には、例えば、パワー半導体用防湿バリア材、イメージセンサ用防湿バリア材、ディスプレイ用防湿バリア材等として好適に用いることができる。
以下に、バリア材の用途の好適な一形態について詳述するが、バリア材の用途は以下に限定されない。
<用途例1>
一形態に係る用途は、防湿処理された部材を有する製品に関する。このような製品は、部材(基材)と、部材上に形成されたバリア材とを備える。バリア材は、一つの部材上に形成されていてよく、複数の部材上に形成されていてもよい。バリア材は、例えば、一つ又は複数の部材を被覆するように形成されていてよい。
このような製品は、部材上に上記バリア材形成用組成物を塗布する第一の工程と、塗布された組成物を加熱して部材上にバリア材を形成する第二の工程と、を備える製造方法によって製造される。
このような用途の具体例として、例えば、以下の電子部品が挙げられる。
(電子部品A-1)
一形態に係る電子部品は、基板と、カバーガラスと、基板及びカバーガラスの間に配置されたイメージセンサと、カバーガラス及びイメージセンサを基板上に支持する支持部材と、カバーガラスと支持部材との接合部上に設けられた上記バリア材と、を備える。
上記バリア材は、防湿性に優れ、また、高温環境下で使用しても内部に侵入した水分の膨張による破壊を十分に抑制できるものである。このため、上記電子部品は、耐湿性に優れ、また、カバーガラス及び基板の間の空隙に湿気が侵入した場合でも、当該湿気の膨張によるカバーガラス、支持部材等の破損が十分に防止される。
このような電子部品は、例えば、支持部材とカバーガラスとの接合部にバリア材形成用組成物を塗布する塗布工程と、塗布された組成物を加熱して、接合部上にバリア材を形成するバリア材形成工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
(電子部品A-2)
一形態に係る電子部品は、基板と、基板上に配置されたイメージセンサと、イメージセンサ上に設けられた上記バリア材と、を備える。
上記バリア材は、防湿性及び透明性に優れたものとすることができる。このため、上記バリア材は、イメージセンサを封止する封止材としても好適に用いることができる。このような電子部品は、カバーガラスを用いずにイメージセンサパッケージを構成できるため、部品サイズの縮小化、取扱い性の向上等が期待できる。
この用途において、厚さ1mm当たりのバリア材の可視光透過率(550nm)は、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。
このような電子部品は、例えば、イメージセンサ上にバリア材形成用組成物を塗布する塗布工程と、塗布された組成物を加熱して、イメージセンサ上にバリア材を形成するバリア材形成工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
<用途例2>
一形態に係る用途は、防湿部材を備える製品に関する。このような製品は、バリア材及び基材を有する防湿部材を備え、例えば、当該防湿部材を含む複数の部材の組立品であってよい。
このような製品は、上記バリア材形成用組成物を基材上に塗布し、加熱して、バリア材及び基材を有する防湿部材を作製する第一の工程と、防湿部材を含む複数の部材を組み立てる第二の工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
このような用途の具体例として、例えば、以下の電子部品が挙げられる。
(電子部品B-1)
一形態に係る電子部品は、基板と、MEMSセンサー、ワイヤレスモジュール及びカメラモジュールからなる群より選択される少なくとも一種の部品と、バリア材及び基材を有する防湿部材と、を備える。
上記バリア材は、防湿性及び脱湿性に優れる。このため、上記電子部品は、耐湿性に優れ、吸湿によるセンシング特性の低下が十分に防止される。
このような電子部品は、例えば、バリア材形成用組成物を基材上に塗布し、加熱することでバリア材及び基材を有する防湿部材を作製する工程と、防湿部材を含む複数の部材を組み立てる工程と、を備える製造方法によって製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[バリア材形成用組成物の調製]
アルミニウムsec-ブトキシド(マツモトファインケミカル株式会社製、製品名:AL-3001、以下「AL-3001」と略記)を3.8質量部、tert-ブチルアルコール(和光純薬工業株式会社製)を7.6質量部、水を0.3質量部、酢酸を0.3質量部、シランオリゴマー(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、製品名:XC31-B2733)を64.9質量部混合した後、70℃で1時間反応させた。次いで、テトラエトキシシラン(富士フイルム和光純薬株式会社製、以下「TEOS」と略記)を23.4質量部混合した後、25℃で2時間反応させた。次いで、硬化触媒(モメンティブ社製、製品名:CR-15、以下「CR-15」と略記)を1.7質量部混合して、バリア材形成用組成物を得た。
[バリア材の作製]
・水蒸気透過度測定用サンプルの作製
水蒸気透過度を測定するサンプルは、基材にアセテートフィルム(ホルベイン画材社製、厚さ0.08mm)を用いた。このアセテートフィルムを、バリア材形成用組成物にティップすることで塗布を行った。この際、アセテートフィルムの片面にのみバリア形成用組成物がコートされるように行った。バリア形成用組成物の乾燥は、塗布後の基材を150℃で4時間乾燥することで行った。形成されたバリア材の厚さは20μmとした。なお、水蒸気透過度は、異なる厚さのバリア材を形成した複数のサンプルを準備して、横軸に厚さ、縦軸に水蒸気透過度をプロットして得られる近似直線から、厚さ20μmにおける水蒸気透過度を算出することで求めることもできる。
・吸湿率測定用サンプルの作製
吸湿率を測定するサンプルは、基材に積層板(日立化成株式会社製)を用いた。この基材は両面に銅箔がついているため、片面のみエッチングすることで銅箔を除去した。このエッチングした面に対し、バーコータを用いてバリア材形成用組成物をコーティングすることで塗布を行った。その後、150℃4時間乾燥することで、厚さ20μmのバリア材を形成した。なお、基材に用いる積層板の種類は問わない。なお、吸湿率は、異なる厚さのバリア材を形成した複数のサンプルを準備して、横軸に厚さ、縦軸に吸湿率をプロットして得られる近似直線から、厚さ20μmにおける吸湿率を算出することで求めることもできる。
[評価方法]
(水蒸気透過度の測定)
水蒸気透過度の測定は、水蒸気透過度測定器(Systec Instruments社製、LASSY L80-5000)を用いた。測定条件は温度を40℃、湿度を90%RHであり、測定面積を19.6cmとした。測定されたサンプル全体の水蒸気透過度Jから、以下の式により、バリア材単独の水蒸気透過度Aを算出した。
A=J{[2a+b+(b+4aJ0.5]/[2(a+b-J)]}
水蒸気透過度Aを測定する際は、バリア材と基材で構成されているサンプルの基材を低湿側に、バリア材を高湿側にすることで行った。
水蒸気透過度Aを測定する際は、バリア材と基材で形成されているサンプルの基材を高湿側に、バリア材を低湿側にすることで行った。
(吸湿処理後の吸湿率)
サンプルの吸湿は、温度を85℃、湿度を85%RHに保った恒湿恒温槽に168時間保持することで行った。その後、サンプルの重量を測定し、吸湿処理を行う前の重量との変化率を測定することで、下記式の通りに吸湿率を算出した。
Figure 0007338678000003
(脱湿処理後の脱湿率)
脱湿処理は、吸湿処理を行ったサンプルを120℃に保った恒温槽で1時間保持することでおこなった。その後、サンプルの重量を測定し、吸湿処理を行う前の重量との変化率を測定することで、脱湿処理後の吸湿率を算出した。この値を用い、下記式により脱湿率を算出した。吸湿処理により吸湿した水分が、脱湿処理により完全に脱湿出来た場合、脱湿率は100%となる。
Figure 0007338678000004
(実施例2)
実施例1のシランオリゴマーをTSR165(モメンティブ社製)に、テトラエトキシシランをフェニルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製、製品名:KBM-103)に、硬化触媒をアミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会社製、製品名:KBE-903))にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バリア材を形成し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
比較例1として、オプトエースWP-140を用いた。水蒸気透過度測定用サンプル及び吸湿率測定用サンプルの作製は,実施例1と乾燥条件以外は同様に行った。乾燥条件は、室温で24時間保持することで行った。
(比較例2)
基材のみを用いて、実施例1と同様の方法で、吸湿処理後の吸湿率及び脱湿処理後の脱湿率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007338678000005
10…バリア材、20…基材。

Claims (6)

  1. 基材上に配置されたバリア材であって、
    前記基材上に塗布されたバリア材形成用組成物の硬化物からなり、
    前記バリア材形成用組成物が、少なくとも一部が金属アルコキシドで修飾されたシランオリゴマーと、シランモノマーと、を含み、
    前記シランオリゴマーが、3個の酸素原子と結合したケイ素原子を有し、
    前記シランモノマーが、アルキルトリアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランからなる群より選択され、
    前記シランモノマーの含有量が、前記シランオリゴマー100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下であり、
    前記バリア材の前記基材と反対側から前記基材側への水蒸気透過度Aが、前記バリア材の前記基材側から前記基材と反対側への水蒸気透過度Aより小さい、バリア材。
  2. 前記水蒸気透過度Aに対する前記水蒸気透過度Aの比(A/A)が、1.3以上である、請求項1に記載のバリア材。
  3. 金属原子がドープされたポリシロキサン化合物を含み、
    前記ポリシロキサン化合物中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合が、30%以上である、請求項1又は2に記載のバリア材。
  4. 前記ポリシロキサン化合物中の酸素原子のうち、90%以上がケイ素原子と結合している、請求項3に記載のバリア材。
  5. 前記シランオリゴマー中のケイ素原子の総数に対する、3個の酸素原子と結合したケイ素原子及び4個の酸素原子と結合したケイ素原子の合計数の割合が、50%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のバリア材。
  6. 基材と、
    前記基材上に配置された請求項1~5のいずれか一項に記載のバリア材と、
    を備える、製品。
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