JP7329190B2 - ターボ過給機付エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、コンプレッサの上流側と下流側とを連通するバイパス通路と、このバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブ(以下、ABVと表す。)を設け、減速時、ABVを開操作して過給された吸入空気をコンプレッサの上流側に還流させている。
特に、燃焼室からスロットルバルブまでの吸気通路容積が、スロットルバルブからコンプレッサまでの吸気通路容積よりも大きい程、応答遅れ、所謂ターボラグが大きくなり、加速レスポンスの低下を招いている。
しかし、特許文献1の技術では、ABVの開弁期間が長期化した場合、コンプレッサの回転数が過剰に上昇することが懸念される。
そして、エンジンの加速時、例えば、過給圧が高い状態で減速した後、再度加速した場合には、ABVの減速用開弁作動と加速用開弁作動が連続するため、ABVの開弁期間が長期化する。
即ち、エンジンの加速レスポンスを向上しつつコンプレッサの過回転を回避することは容易ではない。
コンプレッサの回転数が上限回転数に関連付けた回転閾値を超えたとき、前記バイパスバルブを閉弁又は前記バイパスバルブの開度を減少させるため、バイパス通路を介したコンプレッサ上流側への吸気還流を抑制してコンプレッサの負荷を増加することができ、バイパスバルブの閉弁動作時間を考慮してターボ過給機の上限回転数を超えるコンプレッサの過回転を回避することができる。
この構成によれば、エンジンの加速時、コンプレッサの負荷が低下する状況を確実に判別することができ、不必要なバイパスバルブの開操作を回避することができる。
この構成によれば、コンプレッサの負荷を確実に増加することができる。
この構成によれば、コンプレッサの負荷を早期に増加することができる。
この構成によれば、コンプレッサによる上限回転数の超過可能性をコンプレッサの回転数を用いて確実に判定することができる。
この構成によれば、専用のコンプレッサ回転数検出手段を設けることなくコンプレッサの回転数を推定することができる。
本実施例1に係るターボ過給機付エンジンの過給システムは、吸気通路にコンプレッサをバイパスするバイパス通路と、このバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブとを備え、減速時、スロットルバルブの閉操作に伴う吸気通路内のサージングをエアバイパスバルブの開操作により抑制している。
制御部5は、ABV29及びウエストゲートバルブ33を開閉制御可能に構成されている。図2に示すように、制御部5は、ABV29と、ウエストゲートバルブ33と、アクセル開度センサ61と、第1吸気圧センサ62(吸気圧力検出手段)と、エアフローセンサ63と、外気温センサ64に電気的に接続されている。
図3に示すように、コンプレッサマップMは、横軸が吸気体積流量Qa(m3/sec)、縦軸が圧力比p/poで表され、両者の関係が、各コンプレッサ回転数について曲線で示されている。圧力比は、コンプレッサ41の下流側圧力に相当する第1吸気通路26の第1吸気通路圧力pをコンプレッサ41の上流側圧力に相当する上流吸気通路25の上流吸気通路圧力poで除算した値である。上流吸気通路圧力poは、エアフローセンサ63の検出値と外気温センサ64の検出値を用いて求めている。また、破線で示す曲線は、コンプレッサ41の信頼性を確保可能な上限回転数(例えば、170000rpm)のQa-p/po特性である。回転数推定部52は、コンプレッサマップMと各センサの検出値を用いてコンプレッサ41の回転数Ncを求めている。
ABV制御部53は、加速制御用フラグf1と、減速制御用フラグf2と、各々の制御に対応したタイマ(何れも図示略)を有している。これらフラグf1,f2は、通常0が代入されており、各々の実行条件が成立したときのみ、1が代入される。
各タイマは、1が代入されている間、カウントを継続し、0が代入されたとき、リセットされる。
図4に示すように、ABV制御部53は、アクセルペダルの踏込操作が実行された加速時で且つ第1吸気通路圧力pが大気圧力よりも低いとき、具体的には、停止状態や低車速状態からの加速時、ABV29を所定時間(例えば、0.5sec)開操作して、コンプレッサ41の上流側の吸気をコンプレッサ41の下流側に導入する。
そこで、ABV29を閉弁するまでの動作時間を考慮して上限回転数よりも低い設定回転数Nd(例えば、30000rpm)を設定し、コンプレッサ41の回転数Ncが設定回転数Ndを超えた場合には、加速制御中であっても、ABV29を強制的に閉操作している。これにより、コンプレッサ41に掛かる負荷を直ちに増加することができ、エンジン回転数の増加に拘らず、コンプレッサ41の回転数Ncが上限回転数を超えないようにしている。
次に、アクセル開度センサ61の出力に基づきエンジン1が加速状態か否か判定する(S2)。S2の判定の結果、エンジン1が加速状態の場合、S3に移行し、エンジン1が加速状態ではない場合、S13に移行する。
S3の判定の結果、第1吸気通路圧力pが大気圧よりも低い場合、停止状態や低車速状態からの加速時であるため、S4に移行する。S3の判定の結果、第1吸気通路圧力pが大気圧以上の場合、中高車速状態からの加速時であるため、S9に移行する。
S4では、フラグf1が0か否か判定する。S4の判定の結果、フラグf1が0の場合、現在加速制御をしていない走行状態から加速制御実行条件が成立したため、ABV29を全開状態になるように開操作する(S5)。S4の判定の結果、フラグf1が1の場合、既に加速制御を開始しているため、S7に移行する。
S8では、加速制御用タイマのカウント(0.5sec)が終了したか否か判定する。
S8の判定の結果、加速制御用タイマのカウントが終了した場合、吸気圧損のリスクが解消されているため、過給効率を高めるためにABV29を全閉状態になるように閉操作する(S9)。S8の判定の結果、加速制御用タイマのカウントが終了していない場合、S11に移行する。S9の後、フラグf1,f2に夫々0を代入して(S10)、リターンする。
S14では、フラグf2が0か否か判定する。S14の判定の結果、フラグf2が0の場合、現在減速制御をしていない走行状態から減速制御実行条件が成立したため、ABV29を全開状態になるように開操作してサージングを解消する(S15)。S14の判定の結果、フラグf2が1の場合、既に減速制御が開始されているため、S17に移行する。
S15の後、加速制御用タイマのカウントを開始する(S16)。
作用、効果の説明に当り、CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション解析を行った。制御部5による加速制御を備えていないモデルAと、ABV29の開操作時間が0.3secの加速制御を備えたモデルBと、ABV29の開操作時間が0.5secの加速制御を備えたモデルCとを作成し、停止状態からの加速シーンについて、モデルA~Cの第1吸気通路圧力p及びエンジン1の駆動トルクについて夫々算出した。尚、減速制御を含めてその他の仕様は同一仕様に設定されており、ウエストゲートバルブ33は70%開操作されている。
図6に示すように、加速直後、モデルAは、第2吸気通路27の負圧によって第1吸気通路26の第1吸気通路圧力pが大きく減圧される。モデルBは、バイパス通路28を介して第1吸気通路26に供給される吸気により、モデルAよりも第1吸気通路26の第1吸気通路圧力pの低下を抑えている。モデルCは、第1吸気通路圧力pの低下が最も少ないことが確認された。
図7に示すように、加速直後、モデルAは、吸気圧損に伴うターボラグにより大きなトルクダウンを生じている。モデルBは、モデルAに比べて改善が見られるが、依然として、第1吸気通路圧力pの低下に起因したトルクダウンが生じる。モデルCは、トルクダウンの発生が見られなかった。
図8(a),図8(c)に示すように、モデルAは、減速制御から加速制御に亙り継続してABV29の全開が維持されているため、過給圧及びエンジン回転数共に低下している。また、図8(b)に示すように、モデルAは、短期間でターボ過給機4の上限回転数を超えるものの、モデルCは、モデルAに比べて上限回転数を超えるまでの期間が長い。
それ故、モデルCは、モデルAに比べて過給圧及びエンジン回転数共に立ち上がりが早くなっている。
1〕前記実施形態においては、エンジン1の加速時、コンプレッサ41の回転数Ncが設定回転数Ndを超えたとき、ABV29を全閉操作する例を説明したが、少なくとも、加速制御によりABV29が開操作された初期開度よりも最終開度の開度が小さければ良く、最終開度が初期開度の60%或いは80%であっても良い。また、ABV29を閉操作する際、指令信号的に一気に全閉操作する指令信号を発生する例を説明したが、最終開度に対して所定の減少率により徐々に開度を減少させても良く、段階的に開度を間欠減少させても良い。
2 吸気通路
3 排気通路
4 ターボ過給機
5 制御部
22 スロットルバルブ
28 バイパス通路
29 ABV
41 コンプレッサ
42 タービン
52 回転数推定部
53 ABV制御部
62 第1吸気圧センサ
S 過給システム
Claims (6)
- 吸気通路内に配設されたコンプレッサとこのコンプレッサに連結され且つ排気通路に配設されたタービンとを有するターボ過給機と、前記コンプレッサの下流側に配設されたスロットルバルブと、前記コンプレッサの上流側と下流側とを連通するバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉させるバイパスバルブと、前記バイパスバルブの開閉を制御する制御手段とを備えたターボ過給機付エンジンの制御装置において、
前記制御手段は、エンジンの加速時、前記バイパスバルブを開弁すると共に、前記コンプレッサの回転数が上限回転数に関連付けた回転閾値を超えたとき、前記バイパスバルブを閉弁又は前記バイパスバルブの開度を減少させることを特徴とするターボ過給機付エンジンの制御装置。 - 前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間の吸気圧力を検出する吸気圧力検出手段を有し、
前記制御手段は、前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間の吸気圧力が所定の圧力閾値よりも低いとき、前記バイパスバルブを開弁することを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機付エンジンの制御装置。 - 前記制御手段は、前記コンプレッサの回転数が上限回転数に関連付けた回転閾値を超えたとき、前記バイパスバルブの開度を減少させることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ過給機付エンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、前記バイパスバルブを閉弁することを特徴とする請求項3に記載のターボ過給機付エンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、前記コンプレッサの回転数が前記回転閾値である設定回転数を超えたとき、前記バイパスバルブを閉弁又は前記バイパスバルブの開度を減少させることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のターボ過給機付エンジンの制御装置。
- 前記制御手段は、前記コンプレッサ前後の圧力比とコンプレッサを通過する吸気流量に基づき前記コンプレッサの回転数を推定することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のターボ過給機付エンジンの制御装置。
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