JP2016205283A - ターボ過給機付きエンジンの制御装置 - Google Patents

ターボ過給機付きエンジンの制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸入空気量の検出値と算出値との切替を適切に実行する。
【解決手段】制御部7は、エンジン2の運転状態に基づいて吸入空気量を算出する吸入空気量算出部71と、エアフロセンサ51により検出された吸入空気量の検出値L及び吸入空気量算出部71により算出された吸入空気量の算出値Dのいずれか一方を吸入空気量として設定する吸入空気量設定部72とを備えている。吸入空気量設定部72は、吸入空気量を算出値Dから検出値Lへ切り替える切替速度を吸入空気量を検出値Lから算出値Dへ切り替える切替速度よりも遅くする。
【選択図】図8

Description

ここに開示された技術は、ターボ過給機付きエンジンの制御装置に関するものである。
ターボ過給機付きエンジンにおいては、タービンが排気通路に配置され、コンプレッサが吸気通路に配置されている。タービンがエンジンの燃焼室から排出された排気によって回転駆動されることで、タービンに直結されたコンプレッサが回転駆動されて、燃焼室への吸入空気量が増大される。この種のターボ過給機においては、減速時にサージングが生じることが知られている。
サージングは、減速時においてスロットルバルブが閉じられた場合に、吸入空気量が減少する一方で、暫時回り続けるタービンのために、コンプレッサとスロットルバルブとの間の吸気の圧力(過給圧)が維持されることに起因して生じる。従来より、サージングを抑制するために、コンプレッサの上下流をバイパスするバイパス通路と該バイパス通路を開閉するバイパスバルブとを設け、減速時にバイパスバルブを開弁させることで、バイパス通路を介して、コンプレッサの上流側に過給圧を逃がすことが知られている。
その場合に、減速時にバイパス通路を介してコンプレッサ上流側へ吸気が還流されることになるため、コンプレッサの上流側に配置されたエアフロセンサによる吸入空気量の検出精度が悪化してしまう。そこで、例えば特許文献1には、エアフロセンサへの吸気の還流が生じると判定される場合、エアフロセンサによる検出値に替えて、エンジン回転数とスロットルバルブの開度とに基づいた、吸入空気量の算出値を採用する制御装置が開示されている。
特開2009−97490号公報
ところで、バイパスバルブを閉じている場合であっても、吸入空気量を演算により求めることはできる。しかしながら、通常時、即ち、コンプレッサ上流側への吸気の還流が生じていない状況においては、エアフロセンサによる吸入空気量の検出精度の方が、スロットルバルブの開度に基づく吸入空気量の算出精度よりも高い。
つまり、吸入空気量の検出値と算出値とを状況に応じて適切に使い分ける必要がある。しかしながら、吸入空気量の検出値と算出値とは一致しない場合があり、その場合には検出値と算出値との切り替え時に吸入空気量がステップ状に変化する。吸入空気量は燃料噴射量の制御に用いられるため、吸入空気量がステップ状に変化すると、トルク変動により振動が発生したり、エミッション性能が一時的に悪化したりする虞がある。 ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸入空気量の検出値と算出値との切替を適切に実行することにある。
ここに開示された技術は、吸気通路に配設されたコンプレッサを有するターボ過給機と、前記吸気通路に設けられて前記コンプレッサをバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられて前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブとを備えたターボ過給機付きエンジンの制御装置を対象とする。この制御装置は、前記吸気通路のうち前記コンプレッサの上流側に設けられて吸入空気量を検出する吸入空気量センサと、前記エンジンの運転状態に基づいて吸入空気量を算出する吸入空気量算出部と、前記吸入空気量センサにより検出された吸入空気量の検出値、及び、前記吸入空気量算出部により算出された吸入空気量の算出値のいずれか一方を吸入空気量として設定する吸入空気量設定部とを備え、前記吸入空気量設定部は、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える切替速度を吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える切替速度よりも遅くする。
この構成によれば、吸入空気量設定部は、吸入空気量センサによる検出値と吸入空気量算出部による算出値とを吸入空気量として使い分けている。基本的には、検出値の方が算出値よりも精度が高いが、コンプレッサを通過した吸気がバイパス通路を通って還流される際などには検出値の精度の方が悪化する場合がある。例えば、吸入空気量設定部は、通常は検出値を吸入空気量として設定し、検出値の精度が悪化する場合には算出値を吸入空気量として設定する。
ここで、検出値と算出値は一致しない場合があり、そのような場合に吸入空気量として設定する値を検出値と算出値との間で切り替えると、設定された吸入空気量に変動が生じ得る。
そこで、吸入空気量設定部は、吸入空気量を算出値から検出値へ切り替える切替速度を吸入空気量を検出値から算出値へ切り替える切替速度よりも遅くする。こうすることで、吸入空気量を算出値から検出値へ切り替えるときには、吸入空気量が算出値から検出値へ漸次変化していく。そのため、算出値と検出値とが相違する場合であっても、吸入空気量の急激な変動が抑制される。吸入空気量の急激な変動が抑制されることによって、吸入空気量を用いたエンジンの制御が安定する。その結果、トルク変動による振動が低減され、且つ、エミッション性能の一時的な悪化が低減される。
また、前記吸入空気量設定部は、前記バイパスバルブの閉弁時には前記検出値を吸入空気量として設定しており、前記バイパスバルブが開弁されるときに吸入空気量を前記検出値から前記算出値に切り替えてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブの閉弁時には、検出値が吸入空気量として設定される。バイパスバルブの閉弁時には吸気の還流が無く、吸気の還流が無ければ、検出値の方が算出値よりも精度が高いためである。それに対し、バイパスバルブが開弁されるときには、吸気がバイパス通路を介してコンプレッサの上流側へ還流し、吸入空気量センサの検出精度が悪化し得る。そのため、バイパスバルブが開弁されるときには、吸入空気量が検出値から算出値に切り替えられる。これにより、吸入空気量の精度の低下が抑制される。
この構成によれば、吸入空気量を検出値から算出値へ切り替えるときは、吸入空気量センサの検出精度が悪化する状況となったときである。このときの検出値から算出値への切替速度は、算出値から検出値への切替速度に比べて速くなる。これにより、吸入空気量をより精度が高い算出値に速く切り替えることができる。つまり、吸入空気量の変動よりも、吸入空気量の精度を優先している。
さらに、前記吸入空気量設定部は、前記検出値の反映度合と前記算出値の反映度合とを調整することによって、前記検出値と前記算出値との切替を行っており、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える際の反映度合の変化速度を吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える際の反映度合の変化速度よりも遅くしてもよい。
この構成によれば、検出値の反映度合の変化速度と算出値の反映度合の変化速度とを調整することによって、算出値から検出値への切替速度及び検出値から算出値への切替速度が変更させる。
具体的には、前記吸入空気量設定部は、吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える際には、前記算出値を前記検出値へ即座に切り替える一方、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える際には、前記算出値の反映度合を漸次小さくしつつ、前記検出値の反映度合を漸次大きくしてもよい。
この構成によれば、検出値から算出値への切替は即座に行われ、吸入空気量の精度の低下が即座に抑制される。一方、算出値から検出値への切替は次第に行われ、吸入空気量の変動が抑制される。
さらに、前記吸入空気量設定部は、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える切替速度を、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブの前後の圧力差又は圧力比が小さくなるほど遅くしてもよい。
スロットルバルブの前後の圧力差又は圧力比が大きい場合には、吸入空気量は少ない。検出値と算出値とにズレがあったとしても、吸入空気量自体が少ないのでそのズレ量も小さい。つまり、検出値と算出値とが一致せず、切替時に吸入空気量に変動が生じたとしても、その変動量は小さい。一方、スロットルバルブの前後の圧力差又は圧力比が小さく、吸入空気量が多い場合には、検出値と算出値とのズレ量も大きくなる。そこで、算出値から検出値への切替速度を、スロットルバルブの前後の圧力差又は圧力比が小さくなるほど遅くする。これにより、切替時の吸入空気量の変動の影響が大きいときほど、算出値から検出値への切替速度が遅くなり、吸入空気量の変動が効果的に抑制される。
前記ターボ過給機付きエンジンの制御装置によれば、吸入空気量の検出値と算出値との切替を適切に実行することができる。
ターボ過給機付きエンジンのエンジンシステムの概略構成を示すブロック図である。 制御部のブロック図である。 コンプレッサ性能マップである。 図4(A)は、バイパスバルブの開閉のタイミングチャートであり、図4(B)は、吸入空気量の検出値及び算出値のタイミングチャートである。 検出値が吸入空気量に設定されている場合の、吸入空気量設定部の処理のフローチャートであるである。 算出値が吸入空気量に設定されている場合の、吸入空気量設定部の処理のフローチャートである。 吸入空気量設定部のブロック図である。 第1反映係数の変更態様を示すグラフである。 図9(A)は、吸入空気量のタイミングチャートであり、図9(B)は、燃料噴射量のタイミングチャートであり、図9(C)は、Oセンサ56により検出される空燃比のタイミングチャートであり、図9(D)は、燃料噴射量のフィードバック補正量のタイミングチャートである。
〈エンジンシステムの構成〉
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、エンジンシステム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、エンジンシステム100は、エンジン2と、吸気システム10と、排気システム30と、ターボ過給機4と、アクセルペダル装置6と、制御部7とを備えている。
エンジン2は、ガソリンエンジンである。エンジン2の燃焼室21に、吸気ポート22を介して吸気システム10が接続されており、排気ポート23を介して排気システム30が接続されている。エンジン2は、吸気ポート22の開閉を行う吸気バルブ24と、燃焼室21に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁25と、燃焼室21内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ26と、燃焼室21内での混合気の燃焼により往復運動するピストン27と、排気ポート23の開閉を行う排気バルブ28とを有する。
吸気システム10は、吸気通路11と、エアクリーナ16と、ターボ過給機4のコンプレッサ41と、インタークーラ15と、スロットルバルブ14と、吸気マニホールド13とを有している。エアクリーナ16、コンプレッサ41、インタークーラ15、スロットルバルブ14及び吸気マニホールド13は、この順で吸気通路11に配置されている。エアクリーナ16は、空気取り入れ口16aから外部の空気を取り込む。エアクリーナ16に取り込まれた空気は、フィルタ16bを通過し、コンプレッサ41へ流れていく。この空気は、コンプレッサ41により過給されて、インタークーラ15により冷却され、スロットルバルブ14により流量が調整され、吸気マニホールド13を介して各気筒の燃焼室21へ供給される。
スロットルバルブ14は、電子制御式のバルブであり、吸気通路11内の吸気流路面積を変化させて燃焼室21への空気の供給量を調整する。スロットルバルブ14は、運転者によるアクセルペダル装置6に対するペダル踏込操作に応じて、制御部7からの制御信号により開閉させられる。
さらに、吸気通路11には、コンプレッサ41によって過給された吸気の一部を、コンプレッサ41の上流側に還流する吸気還流装置17が設けられている。吸気還流装置17は、バイパス通路17aとバイパスバルブ17bとを有している。
バイパス通路17aの一端は、吸気通路11のうちエアフロセンサ51とコンプレッサ41との間の部分に接続され、バイパス通路17aの他端は、吸気通路11のうちコンプレッサ41とインタークーラ15との間の部分に接続されている。バイパスバルブ17bは、バイパス通路17aに設けられており、制御部7からの制御信号により開閉される電子制御式のバルブである。
排気システム30は、排気通路31と、排気マニホールド32と、ターボ過給機4のタービン42と、排気浄化触媒33とを有している。排気マニホールド32、タービン42、及び排気浄化触媒33は、この順で排気通路31に配置されている。
ターボ過給機4は、コンプレッサ41と、タービン42と、ウェイストゲートバルブ43とを有している。エンジン2から排出された排気によってタービン42が回転駆動されることにより、タービン42とシャフトで連結されたコンプレッサ41が回転駆動され、吸気が過給される。
ウェイストゲートバルブ43は、タービン42の上下流を連通する排気バイパス通路44を介して、エンジン2から排出された排気の一部を、タービン42を迂回させて下流側に逃がすようになっている。
また、図1に示すエンジンシステム100には、各種のセンサが設けられている。具体的には、吸気システム10においては、吸気通路11のうちエアクリーナ16とコンプレッサ41との間の部分にエアフロセンサ51が設けられている。エアフロセンサ51は、エアクリーナ16を介して吸気通路11へ取り込まれた吸入空気量を検出する。エアフロセンサ51としては、例えば、熱線式又はカルマン渦式のエアフロセンサを採用できる。エアフロセンサ51は、吸入空気量検出センサの一例である。
吸気通路11のうちインタークーラ15とスロットルバルブ14との間の部分には、圧力センサ52が設けられている。圧力センサ52はインタークーラ15とスロットルバルブ14との間の吸気通路11内の圧力、即ち、過給圧を検出する。スロットルバルブ14には、スロットルバルブ14の開度を検出するスロットルバルブ開度センサ53が配置されている。さらに、吸気マニホールド13には、圧力センサ54と温度センサ55が配置されている。圧力センサ54は、吸気マニホールド13内の圧力、即ち、インマニ圧力を検出する。温度センサ55は吸気マニホールド13内の温度を検出する。
排気システム30においては、タービン42の下流側の排気通路31(詳しくはタービン42と排気浄化触媒33との間の排気通路31)に、排気中の酸素濃度を検出するO2センサ56が設けられている。
エアフロセンサ51は、検出した吸入空気量に対応する検出信号を制御部7に供給する。圧力センサ52は、検出した過給圧に対応する検出信号を制御部7に供給する。スロットルバルブ開度センサ53は、検出したスロットルバルブ14の開度に対応する検出信号を制御部7に供給する。圧力センサ54は、検出したインマニ圧力に対応する検出信号を制御部7に供給する。温度センサ55は、検出した温度に対応する検出信号を制御部7に供給する。O2センサ56は、検出した酸素濃度に対応する検出信号を制御部7に供給する。また、制御部7には、アクセルペダル装置6のアクセルペダル開度センサ57からの検出信号が供給される。
制御部7は、CPUと、CPU上で実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)や各種のデータを格納するためのROMやRAMの如き内部メモリとを備えるコンピュータにより構成される。制御部7は、上述した各種センサから供給された検出信号に基づいて、種々の制御や処理を行う。例えば、制御部7は、スロットルバルブ14、バイパスバルブ17b及びウェイストゲートバルブ43を開閉させると共に、エアフロセンサ51への吸気の還流が生じるか否かを判定して、該判定結果に基づいてエアフロセンサ51による検出空気量及び吸入空気量算出手段で算出された算出空気量の一方を吸入空気量として設定する。
図2は、制御部7のブロック図である。制御部7は、機能的には、吸入空気量算出部71と、吸入空気量設定部72と、燃料噴射量制御部73と、バイパスバルブ制御部74と、記憶部75とを有している。
吸入空気量算出部71は、スロットルバルブ開度センサ53により検出されたスロットルバルブ14の開度と、圧力センサ54により検出されたインマニ圧力と、温度センサ55により検出された、吸気マニホールド13内の温度とに基づいて燃焼室21へ供給される吸入空気量を算出する。つまり、吸入空気量算出部71は、所謂、Dジェトロニック方式で吸入空気量を求める。吸入空気量算出部71が求めた吸入空気量を、以下、「算出値」と称する。
一方、エアフロセンサ51は、実際に吸気通路11を流通する吸入空気量を検出しており、所謂、Lジェトロニック方式で吸入空気量を求めている。エアフロセンサ51の検出結果に基づいて求められた吸入空気量を、以下、「検出値」と称する。
吸入空気量設定部72は、算出値及び検出値の何れかをエンジン2の制御に用いる吸入空気量として設定する。この設定方法については、後述する。吸入空気量は、エンジン2の種々の制御に用いられる。例えば、吸入空気量は、以下の燃料噴射量の制御に用いられる。
燃料噴射量制御部73は、吸入空気量設定部72により設定された吸入空気量を用いて、燃料噴射弁25から噴射する燃料噴射量を制御する。具体的には、燃料噴射量制御部73は、燃焼室21内の空燃比が所望の空燃比となるように、吸入空気量に対する燃料噴射量を決定する。さらに、燃料噴射量制御部73は、O2センサ56により検出された排気中の酸素濃度に基づいて、空燃比が所望の空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する。
バイパスバルブ制御部74は、エンジン2の運転状態に応じてバイパスバルブ17bの開度を制御する。例えば、制御部7は、アクセルペダル開度センサ57に検出されたアクセル開度に基づいてスロットルバルブ14の開度を調整して吸入空気量を制御している。
〈バイパスバルブの制御〉
以下に、バイパスバルブ制御部74によるバイパスバルブ17bの制御について詳細に説明する。
ターボ過給機4は、図3に示すようなコンプレッサ性能マップを有している。コンプレッサ性能マップは、コンプレッサ41を通過する吸気の流量であるコンプレッサ通過流量と、コンプレッサ41の上流側と下流側との吸気圧力の比であるコンプレッサ圧力比(過給圧/大気圧)と、コンプレッサ41の回転数であるコンプレッサ回転数との関係を規定している。このようなコンプレッサ性能マップは、記憶部75に記憶されている。
コンプレッサ性能マップには、図3の破線(以下、「サージラインL」と称する)よりもコンプレッサ通過流量が少ない領域に、所謂、サージ領域を有している。サージ領域は、コンプレッサ圧力比が大きいほどコンプレッサ通過流量が多い側に拡大されている。このサージ領域では、コンプレッサ通過流量に対して、コンプレッサ圧力比が高すぎるため、コンプレッサ41で過給された吸気がコンプレッサ41に逆流し得る運転領域である。
そこで、バイパスバルブ制御部74は、アクセルペダル開度センサ57に検出されたアクセル開度に基づいて推定されるコンプレッサ41の運転状態がサージラインLよりもコンプレッサ通過流量が多い側の通常領域に含まれている場合には、バイパスバルブ17bを全閉としている。一方、バイパスバルブ制御部74は、アクセルペダル開度センサ57に検出されたアクセル開度に基づいて推定されるコンプレッサ41の運転状態がサージラインLよりもコンプレッサ通過流量が少ない側のサージ領域に含まれる場合(図の破線の矢印で示す場合)には、バイパスバルブ17bを開弁する。バイパスバルブ17bが開弁されることによって、コンプレッサ41に過給された吸気がバイパス通路17aを介してコンプレッサ41の下流側に還流される。これにより、コンプレッサ圧力比が急速に低減され、コンプレッサ41の運転状態はサージ領域に入ることなく、コンプレッサ通過流量が減少する。こうして、コンプレッサ41が保護される。
コンプレッサ41の運転状態がサージ領域に入る傾向にあるのは、例えば、エンジン2の減速時である。特に、吸気を過給している状態から減速する場合には、コンプレッサ圧力比が高いので、コンプレッサ41の運転状態がサージ領域に入り易い。コンプレッサ41は、慣性でしばらく回り続けるため、吸気の過給はしばらく続く一方、スロットルバルブ14の開度が絞られる。その結果、コンプレッサ圧力比が高いまま、吸入空気量が絞られるため、サージングが生じ得る。それに対し、バイパスバルブ17bが開かれることによって、過給された吸気は、コンプレッサ41に逆流するのではなく、バイパス通路17aを通ってコンプレッサ41の上流側へ還流される。
〈吸入空気量の切替〉
続いて、吸入空気量の検出値と算出値との切替について詳細に説明する。
吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ17bの閉弁時には、検出値を吸入空気量として設定する一方、バイパスバルブ17bの開弁時には、算出値を吸入空気量として設定する。
図4(A)に、バイパスバルブ17bの開閉のタイミングチャートを示し、図4(B)に吸入空気量の検出値及び算出値のタイミングチャートを示す。
図4(A)は、エンジン2が減速され、バイパスバルブ17bが閉状態から開状態に切り替わり、その後、バイパスバルブ17bが開状態から閉状態に戻る動作を示している。このとき、図4(B)に示すように、吸入空気量の検出値及び算出値は、エンジン2の減速に伴って減少し、バイパスバルブ17bが開弁されるときには微小な値となっている。バイパスバルブ17bが開弁されている間、さらには、バイパスバルブ17bが閉弁された後も、検出値及び算出値は微小な値で推移する。
エアフロセンサ51は吸入空気量を実際に測定しているので、通常であれば、検出値の方が算出値よりも吸入空気量の精度が高い。図4(B)に示すように、検出値と算出値とが多少ずれる場合があるが、バイパスバルブ17bが閉じられているときは、検出値の方が算出値よりも精度が高い。特に、吸入空気量が少ない場合には、スロットルバルブ14の前後の圧力差が大きいため、算出値は誤差の影響を受け易くなる。この点においても、検出値の方が算出値よりも精度が高い。
しかしながら、バイパスバルブ17bを開いて、吸気の一部がコンプレッサ41の上流側に還流している場合には、吸気の一部がエアフロセンサ51を逆流し得る。しかしながら、エアフロセンサ51は、通過する空気量を検出できるものの、その通過方向までは判別できないため、検出値の精度が低下してしまう。図4(B)に示すように、バイパスバルブ17bが開いているときには、検出値の変動量の方が算出値の変動量よりも大きくなっている。これは、エアフロセンサ51の検出精度が低下していることを表している。
そこで、バイパスバルブ17bの閉弁時には、検出値が吸入空気量として設定される一方、バイパスバルブ17bの開弁時には、算出値が吸入空気量として設定される。
具体的には、吸入空気量設定部72は、図5,6に示すフローチャートに従って吸入空気量を設定する。図5は、検出値が吸入空気量に設定されている場合の、吸入空気量設定部72の処理のフローチャートである。図6は、算出値が吸入空気量に設定されている場合の、吸入空気量設定部72の処理のフローチャートである。
吸入空気量設定部72は、検出値が吸入空気量として設定されている場合には、ステップS110において、バイパスバルブ17bが開弁されたか否か、即ち、閉状態から開状態に切り替わったか否かを判定する。検出値が吸入空気量に設定されている場合は、前述の如く、バイパスバルブ17bは、閉じられている。吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ制御部74によるバイパスバルブ17bの制御内容に基づいて、バイパスバルブ17bが開弁されたか否かを判定する。
バイパスバルブ17bが開弁されたときには、吸入空気量設定部72は、ステップS120において、吸入空気量を検出値から算出値に変更する。一方、バイパスバルブ17bが閉弁されたままのときには、吸入空気量設定部72は、検出値を吸入空気量として設定したまま維持する。
一方、吸入空気量設定部72は、算出値が吸入空気量として設定されている場合には、ステップS210において、バイパスバルブ17bが閉弁されたか否か、即ち、開状態から閉状態に切り替わったか否かを判定する。算出値が吸入空気量に設定されている場合は、前述の如く、バイパスバルブ17bは、開かれている。吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ制御部74によるバイパスバルブ17bの制御内容に基づいて、バイパスバルブ17bが閉弁されたか否かを判定する。
バイパスバルブ17bが閉弁されたときには、吸入空気量設定部72は、ステップS220において、吸入空気量を算出値から検出値に変更する。一方、バイパスバルブ17bが開弁されたままのときには、吸入空気量設定部72は、算出値を吸入空気量として設定したまま維持する。
ここで、吸入空気量設定部72は、吸入空気量を検出値から算出値へ切り替えるときの切替速度と、吸入空気量を算出値から検出値へと切り替えるときの切替速度とを変更している。
図7は、吸入空気量設定部72のブロック図である。吸入空気量設定部72は、反映係数設定部76と、吸入空気量切替部77とを有している。
反映係数設定部76は、検出値Lの反映係数である第1反映係数K1を設定する。第1反映係数K1は、0〜1の値である。一方、算出値Dの反映係数である第2反映係数K2は、K2=1−K1(K2=0〜1)であり、第1反映係数K1と第2反映係数K2の合計は1である。つまり、反映係数設定部76は、第1反映係数K1を設定すると同時に、第2反映係数K2も設定する。第1反映係数K1は、検出値Lの反映度合の一例であり、第2反映係数K2は、算出値Dの反映度合の一例である。
吸入空気量切替部77は、検出値Lに第1反映係数K1を乗算した値と、算出値Dに第2反映係数K2を乗算した値とを加算して、吸入空気量を算出する。
第1反映係数K1が1の場合には、第2反映係数K2は0となり、検出値Lが吸入空気量となる。一方、第1反映係数K1が0の場合には、第2反映係数K2は1となり、算出値Dが吸入空気量となる。また、第1反映係数K1が0と1の間の値である場合には、第2反映係数K2は、(1−K1)を満たす値であり、0と1の間の値となる。この場合、吸入空気量は、検出値Lを第1反映係数K1に応じた割合で反映させ且つ算出値Dを第2反映係数K2に応じた割合で反映させた値に設定される。
つまり、反映係数設定部76が第1反映係数K1及び第2反映係数K2の値を変更することによって、吸入空気量として設定される値が検出値Lと算出値Dとで切り替えられ、さらに、反映係数設定部76が第1反映係数K1及び第2反映係数K2の値を変更する速度を調整することによって、検出値Lと算出値Dとの間の切替速度が調整される。
詳しくは、図8に、第1反映係数K1の変更態様を示す。反映係数設定部76は、検出値Lから算出値Dに切り替えるとき、即ち、第1反映係数K1を1から0に変更するときには、第1反映係数K1を1から0に即座に変更する。一方、反映係数設定部76は、算出値Dから検出値Lに切り替えるとき、即ち、第1反映係数K1を0から1に変更するときには、第1反映係数K1を0から1に漸次、変更する。
反映係数設定部76が第1反映係数K1の変更速度をこのように変える理由を図9のタイミングチャートを参照しながら説明する。図9(A)は、吸入空気量のタイミングチャートであり、図9(B)は、燃料噴射量のタイミングチャートであり、図9(C)は、Oセンサ56により検出される空燃比のタイミングチャートであり、図9(D)は、燃料噴射量のフィードバック補正量のタイミングチャートである。
ここでは、吸入空気量を算出値Dから検出値Lへ切り替える場合について説明する。図9(A)は、検出値L(一点鎖線)と算出値D(実線)とを示している。図9(A)の例では、検出値Lは、実際の吸入空気量よりも小さい値であり、算出値Dは、実際の吸入空気量よりも大きい値であるとする。また、図4(B)に示すような値の変動は省略している。そのため、本来であれば、算出値Dが吸入空気量として設定されている場合には、検出値Lの変動量が比較的大きいが、その様子は図示されていない。
ここで、説明の便宜上、時間t0において、燃料噴射量制御部73が燃料噴射量の制御を開始するものとする。このとき、算出値Dが吸入空気量として設定されている。燃料噴射量制御部73は、空燃比が目標空燃比(ここでは、目標空燃比が理論空燃比であるとする)となるように、算出値Dに対応する燃料噴射量を決定し、その燃料噴射量の燃料を燃料噴射弁25を介して供給する(図9(B))。
しかし、算出値Dは、図9(A)に示すように、実際の吸入空気量よりも大きい値であるため、燃料噴射量制御部73に決定された燃料噴射量は、理論空燃比となる値よりも多くなっている。そのため、図9(C)に示すように、Oセンサ56の検出信号は、実際の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側であることを示すようになる。
すると、燃料噴射量制御部73は、図9(D)に示すように、時間t1において、燃料噴射量に対するフィードバック補正量を、実際の空燃比を目標空燃比まで低下させるのに相当する値に設定する。つまり、負の値のフィードバック補正量が設定される。これにより、図9(B)に示すように、燃料噴射弁25から供給される燃料噴射量は減量され、その結果、図9(C)に示すように、Oセンサ56の検出信号は、実際の空燃比が理論空燃比に略一致していることを示すようになる。
その後、時間t2において、バイパスバルブ17bが閉弁されたことに伴い、吸入空気量が算出値Dから検出値Lへ切り替えられる。
このとき、仮に、図9(A)の太破線で示すように、吸入空気量が算出値Dから検出値Lに即座に切り替えられたとする。これにより、吸入空気量が算出値Dから検出値Lにステップ的に低下することになる。
すると、燃料噴射量制御部73は、図9(B)に示すように、吸入空気量の低下に応じて燃料噴射量を減量する。しかしながら、検出値Lは、実際の吸入空気量よりも少し小さいので、実際の空燃比は、理論空燃比よりもリーン側にずれることになる(図9(C))。
それに対し、燃料噴射量制御部73は、図9(D)に示すように、時間t3において、燃料噴射量に対するフィードバック補正量を、実際の空燃比が目標空燃比まで上昇するのに相当する値に設定する。これにより、図9(B)に示すように、燃料噴射弁25から供給される燃料噴射量は増量され、その結果、実際の空燃比は理論空燃比に略一致するようになる(図9(C))。
しかし、このような制御においては、図9(C)に示すように、算出値Dから検出値Lに切り替えたときに実際の空燃比がステップ的に変化している。これにより、トルク変動が生じ、振動が生じ得る。また、空燃比が一時的にリーン側にずれることにより、排気浄化触媒33の性能が低下し、エミッション性能が低下し得る。
それに対し、吸入空気量設定部72は、算出値Dから検出値Lへ即座に切り替えるのではなく、図9(A)の太実線で示すように、算出値Dから検出値Lへ漸次、切り替える。具体的には、吸入空気量設定部72は、図8に示すように、第1反映係数K1を0から1へ線形的に漸次変更していく。その結果、設定される吸入空気量は、算出値Dから検出値Lへ線形的に漸次、減少していく。
燃料噴射量制御部73により設定される燃料噴射量も、算出値Dに対応する量から検出値Lに対応する量へステップ的に減量されるのではなく、図9(B)に示すように、漸次減少していく吸入空気量に応じて少しずつ減量される。このような燃料噴射量の変化に対応して、Oセンサ56により検出される実際の空燃比も、図9(C)に示すように、少しずつリーン側に変化していく。そして、燃料噴射量制御部73により設定されるフィードバック補正量も、図9(D)に示すように、吸入空気量の少しの減少量に対応した分だけ増量される。
吸入空気量が算出値Dから検出値Lへ漸次切り替えられていく間に、このようなフィードバック制御が繰り返される。そのため、実際の空燃比は、ステップ的に減少した後に再び理論空燃比に戻るのではなく、図9(C)に示すように、一旦は少し減少するものの、緩やかに理論空燃比に戻っていく。これにより、実際の空燃比のステップ的な変化が抑制される。その結果、トルク変動が抑制され、振動が低減すると共に、空燃比の目標空燃比からのズレが低減され、エミッション性能の低下が抑制される。
ここで、吸入空気量設定部72、詳しくは、反映係数設定部76は、算出値Dから検出値Lへ切り替える切替速度を、スロットルバルブ14の前後の圧力差(上流圧力−下流圧力)が小さくなるほど遅くしている。つまり、反映係数設定部76は、圧力センサ52により検出される過給圧と圧力センサ54により検出されるインマニ圧力との圧力差が小さくなるほど、図8の二点鎖線で示すように、第1反映係数K1の0から1への変更速度を小さくしている。スロットルバルブ14の前後の圧力差が大きい場合には、吸入空気量が少ないため、吸入空気量が算出値Dから検出値Lへ切り替わるときの変動量も小さい。そのため、吸入空気量の変動がエンジン2の振動やエミッション性能に与える影響が小さい。一方、スロットルバルブ14の前後の圧力差が小さい場合には、吸入空気量が多いため、吸入空気量が算出値Dから検出値Lへ切り替わるときの変動量も大きい。そのため、吸入空気量の変動がエンジン2の振動やエミッション性能に与える影響が大きい。そこで、前記切替速度を、スロットルバルブ14の前後の圧力差が小さくなるほど遅くすることによって、吸入空気量の変動をより低減し、エンジン2の振動やエミッション性能に与える影響を低減している。尚、切替速度は、スロットルバルブ14の前後の圧力差ではなく、圧力比(上流圧力/下流圧力)に基づいて調整されてもよい。すなわち、スロットルバルブ14の前後の圧力比が小さくなるほど、切替速度が遅く設定される。
一方、吸入空気量を検出値Lから算出値Dへ切り替えるときの切替速度は相対的に速くなる。そもそも、バイパスバルブ17bの開閉に応じて検出値L及び算出値Dを使い分ける理由は、バイパスバルブ17bの開弁時に検出値Lの精度が悪化するためである。つまり、検出値Lから算出値Dへ切り替える理由は、検出値Lを吸入空気量として使用し続けると、エンジン2の振動やエミッション性能に与える影響が大きいためである。そこで、検出値Lから算出値Dへ切り替える際には、吸入空気量設定部72は、切替速度を速くしている。これにより、吸入空気量の急な変動の抑制よりも吸入空気量の精度が優先して向上させられる。具体的には、検出値Lから算出値Dへ即座に切り替えられる。 以上のように、制御部7は、エンジン2の運転状態に基づいて吸入空気量を算出する吸入空気量算出部71と、エアフロセンサ51により検出された吸入空気量の検出値L、及び、吸入空気量算出部71により算出された吸入空気量の算出値Dのいずれか一方を吸入空気量として設定する吸入空気量設定部72とを備え、吸入空気量設定部72は、吸入空気量を算出値Dから検出値Lへ切り替える切替速度を吸入空気量を検出値Lから算出値Dへ切り替える切替速度よりも遅くする。
この構成によれば、算出値Dから検出値Lへ切り替える際の吸入空気量の急な変動を抑制することができ、ひいては、エンジン2の振動及びエミッション性能の低下を抑制することができる。算出値Dの精度は、通常時の検出値Lの精度よりは低いものの、それほど低いわけではない。そのため、検出値Lへ切り替えて吸入空気量の精度を少しでも高めることよりも、吸入空気量の急な変動の抑制を優先している。一方、検出値Lから算出値Dへ切り替えるときは、本来であれば、検出値Lよりも精度の低い算出値Dに切り替えなければならないほど検出値Lの精度が低下したときである。そのような場合には、吸入空気量の急な変動の抑制よりも、吸入空気量の精度の向上を優先し、検出値Lから算出値Dへ素早く切り替える。このように、検出値Lと算出値Dとが状況に応じて適切に切り替えられると共に、そのときの切替速度も、吸入空気量の急な変動の抑制を優先すべきか、吸入空気量の精度の向上を優先すべきかに応じて適切に設定される。
より具体的には、吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ17bの閉弁時には検出値Lを吸入空気量として設定しており、バイパスバルブ17bが開弁されるときに吸入空気量を検出値Lから算出値Dに切り替える。
つまり、バイパスバルブ17bが閉じられている通常時は、本来的に精度が高い検出値Lが吸入空気量として設定されている。そして、バイパスバルブ17bが開弁されるときには、吸気がコンプレッサ41の上流側に還流してエアフロセンサ51の検出精度が低下するので、吸入空気量が検出値Lから算出値Dに切り替えられる。これにより、吸入空気量の精度の低下が抑制される。
吸入空気量設定部72は、検出値Lの第1反映係数K1と算出値Dの第2反映係数K2とを調整することによって、検出値Lと算出値Dとの切替を行っており、吸入空気量を算出値Dから検出値Lへ切り替える際の第1反映係数K1及び第2反映係数K2の変化速度を吸入空気量を検出値Lから算出値Dへ切り替える際の第1反映係数K1及び第2反映係数K2の変化速度よりも遅くする。
この構成によれば、吸入空気量設定部72は、第1反映係数K1及び第2反映係数K2の変化速度を調整することによって、検出値Lと算出値Dとの切替速度を調整することができる。
また、吸入空気量設定部72は、吸入空気量を算出値Dから検出値Lへ切り替える切替速度を、吸気通路11に設けられたスロットルバルブ14の前後の圧力差又は圧力比が小さくなるほど遅くする。
この構成によれば、吸入空気量設定部72は、吸算出値Dから検出値Lへの切替速度を吸入空気量に応じて調整する。具体的には、スロットルバルブ14の前後の圧力差が小さく吸入空気量が多いときには、算出値Dから検出値Lへの切替速度をより遅く設定する。吸入空気量が多いほど、吸入空気量の急な変動がエンジン2の振動及びエミッション性能に与える影響が大きい。そのため、切替速度をこのように調整することによって、吸入空気量の急な変動がエンジン2の振動及びエミッション性能に与える影響をより効果的に低減することができる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
エンジンシステム100の構成は、一例であり、この構成に限られるものではない。
また、吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ17bの開閉は、バイパスバルブ制御部74の制御内容に基づいて判定しているが、吸入空気量設定部72は、それ以外の方法でバイパスバルブ17bの開閉を判定してもよい。例えば、吸入空気量設定部72は、検出値L及び算出値Dの少なくとも一方の変化量の絶対値又は変化率の絶対値が所定の閾値を超えたときに、バイパスバルブ17bが開弁したと判定してもよい。つまり、バイパスバルブ17bが開弁したときには、吸入空気量が低下するため、検出値L及び算出値Dの変化が大きくなる。そのため、検出値L及び算出値Dの少なくとも一方の変化量の絶対値又は変化率の絶対値に基づいて、バイパスバルブ17bの開弁を判定することができる。
また、吸入空気量設定部72は、バイパスバルブ17bが閉弁されるときに、吸入空気量を算出値Dから検出値Lに切り替えているが、算出値Dから検出値Lへの切替タイミングはこれに限られるものではない。例えば、吸入空気量設定部72は、検出値Lの変動量が所定の閾値未満に収まったときに、吸入空気量を算出値Dから検出値Lに切り替えるようにしてもよい。つまり、算出値Dを用いるのは、吸気の還流により検出値Lの変動量が大きくなることが原因である。そのため、検出値Lの変動量が小さくなれば、算出値Dから検出値Lへ切り替えてもよい。あるいは、吸入空気量設定部72は、算出値Dを吸入空気量として設定してから所定時間経過後に検出値Lを吸入空気量として設定し直してもよい。ここで、所定時間は、検出値Lの変動が収まると推定される時間に設定され得る。
以上説明したように、ここに開示された技術は、ターボ過給機付きエンジンの制御装置について有用である。
100 エンジンシステム
11 吸気通路
17a バイパス通路
17b バイパスバルブ
2 エンジン
4 ターボ過給機
41 コンプレッサ
51 エアフロセンサ(吸入空気量センサ)
7 制御部(制御装置)
71 吸入空気量算出部
72 吸入空気量設定部

Claims (5)

  1. 吸気通路に配設されたコンプレッサを有するターボ過給機と、前記吸気通路に設けられて前記コンプレッサをバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられて前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブとを備えたターボ過給機付きエンジンの制御装置であって、
    前記吸気通路のうち前記コンプレッサの上流側に設けられて吸入空気量を検出する吸入空気量センサと、
    前記エンジンの運転状態に基づいて吸入空気量を算出する吸入空気量算出部と、
    前記吸入空気量センサにより検出された吸入空気量の検出値、及び、前記吸入空気量算出部により算出された吸入空気量の算出値のいずれか一方を吸入空気量として設定する吸入空気量設定部とを備え、
    前記吸入空気量設定部は、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える切替速度を吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える切替速度よりも遅くすることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置において、
    前記吸入空気量設定部は、前記バイパスバルブの閉弁時には前記検出値を吸入空気量として設定しており、前記バイパスバルブが開弁されるときに吸入空気量を前記検出値から前記算出値に切り替えることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置において、
    前記吸入空気量設定部は、
    前記検出値の反映度合と前記算出値の反映度合とを調整することによって、前記検出値と前記算出値との切替を行っており、
    吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える際の反映度合の変化速度を吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える際の反映度合の変化速度よりも遅くすることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  4. 請求項3に記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置において、
    前記吸入空気量設定部は、
    吸入空気量を前記検出値から前記算出値へ切り替える際には、前記算出値を前記検出値へ即座に切り替える一方、
    吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える際には、前記算出値の反映度合を漸次小さくしつつ、前記検出値の反映度合を漸次大きくしていくことを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つに記載のターボ過給機付きエンジンの制御装置において、
    前記吸入空気量設定部は、吸入空気量を前記算出値から前記検出値へ切り替える切替速度を、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブの前後の圧力差又は圧力比が小さくなるほど遅くすることを特徴とするターボ過給機付きエンジンの制御装置。
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