以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1に示すカラー画像形成装置1の中央には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Kが着脱可能に設けられた画像形成部2が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラを有する現像装置12等を備えている。
プロセスユニット9の下方には、露光部3が配置されている。露光部3は、画像データに基づいて、レーザ光を発するように構成されている。
画像形成部2の上方には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ14及び従動ローラ15に周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ13等で構成されている。各一次転写ローラ13はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
また、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ14に対向した位置には二次転写ローラ17が配設されている。二次転写ローラ17は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ17と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。駆動ローラ14、中間転写ベルト16、そして、二次転写ローラ17は、画像を用紙に転写する画像転写部として機能する。
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット18や、給紙カセット18から用紙Pを搬出する給紙ローラ19等からなっている。
搬送路7は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路であり、一対のレジストローラ30の他、後述する排紙部8に至るまで、搬送ローラ対が搬送路7の途中に適宜配置されている。
定着装置6は、加熱部材によって加熱される定着ベルト21、その定着ベルト21を加圧可能な加圧ローラ22等を有している。
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路7の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ31と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ32とが配設されている。
画像形成装置1の上部には、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色トナーが充填されたトナーボトル50Y,C,M,Kが着脱可能に設けられている。そして、このトナーボトル50Y,C,M,Kから各現像装置12との間に設けた補給路を介して、各色の現像装置12に各色トナーが補給される。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9C,9M,9Kの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部3によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置12に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラによって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
転写部4では、駆動ローラ14の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印Aの方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ13には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ19が回転駆動することによって、給紙カセット18に収容された用紙Pが搬送路7に送り出される。搬送路7に送り出された用紙Pは、レジストローラ30によってタイミングを計られて、二次転写ローラ17と駆動ローラ14との間の二次転写ニップに送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置6へと搬送され、定着ベルト21と加圧ローラ22とによって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト21から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ31によって排紙トレイ32へと排出される。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9C,9M,9Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、図2に基づき、上記定着装置6の基本構成について説明する。
図2に示すように、定着装置6は、回転可能なベルト部材(あるいは定着部材)としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向部材としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱部材としてのハロゲンヒータ23と、定着ベルト21の内側に配設されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24にその背面側から当接して支持する、当接部材としてのステー25と、ハロゲンヒータ23から放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26と、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ27と、定着ベルト21から用紙を分離する分離部材28と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する加圧手段等を備えている。
上記定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
上記加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層22bと、弾性層22の表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cによって構成されている。加圧ローラ22は、加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧され、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。また、加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。また、定着部材と対向部材は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
上記ハロゲンヒータ23は、その両端部が定着装置6の側板に固定されている。ハロゲンヒータ23は、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、上記温度センサ27による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する加熱部材として、ハロゲンヒータ以外に、IH、抵抗発熱体、又はカーボンヒータ等を用いてもよい。
上記ニップ形成部材24は、定着ベルト21の幅方向又は加圧ローラ22の軸方向(図2の紙面に垂直な方向で、以下、この方向をニップ形成部材24の長手方向とも呼ぶ)にわたって長手状に配設され、ステー25によって固定支持されている。これにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、加圧ローラ22の軸方向にわたって均一なニップ幅が得られるようにしている。ニップ形成部材24の詳細な構成については後述する。
上記ステー25は、ニップ形成部材24の長手方向にわたって長手状に配設される。ステー25は、ニップ形成部材24にその背面側から長手方向にわたって当接し、加圧ローラ22の圧接力に抗してニップ形成部材24を支持している。ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、ステー25を樹脂製とすることも可能である。
上記反射部材26は、ステー25とハロゲンヒータ23との間に配設されている。本実施形態では、反射部材26をステー25に固定している。反射部材26の材料としては、アルミニウムやステンレス等が挙げられる。このように反射部材26を配設していることにより、ハロゲンヒータ23からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されるのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。
また、本実施形態のような反射部材26を設けずに、ステー25のハロゲンヒータ23側の面を研磨又は塗装などの鏡面処理をし、反射面を形成してもよい。また、上記反射部材26又はステー25の反射面の反射率は、90%以上であることが望ましい。
ただ、ステー25はその強度を確保するために形状や材質の制約があるため、本実施形態のように反射部材26を別途設けた方が、形状や材質の選択の自重度が広がり、反射部材26とステー25はそれぞれの機能に特化することができる。また、反射部材26をハロゲンヒータ23とステー25との間に設けることにより、ハロゲンヒータ23に対する反射部材26の位置が近くなるので、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
また、光の反射による定着ベルト21の加熱効率をさらに向上させるには、反射部材26又はステー25の反射面の向きを検討する必要がある。例えば、反射部材26をハロゲンヒータ23を中心とする同心円状に配設した場合は、光がハロゲンヒータ23に向かって反射されるため、その分、加熱効率が低下してしまう。これに対し、反射部材26の一部又は全部を、ハロゲンヒータ23以外の方向で定着ベルト側へ光を反射する向きに配設した場合は、ハロゲンヒータ23の方向へ反射される光量が少なくなるため、反射光による加熱効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係る定着装置6は、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイムなどの向上のために、種々の構成上の工夫が施されている。
具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。本実施形態では、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21の図2の左側の部分の間に何も介在させないようにし、その部分においてハロゲンヒータ23からの輻射熱を定着ベルト21に直接与えるようにしている。
また、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20~50μm、100~300μm、10~50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20~40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
なお、本実施形態では、加圧ローラ22の直径を20~40mmに設定しており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径を同等となるように構成している。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも大きくなるため、ニップ部Nから排出される記録媒体が定着ベルト21から分離されやすくなる。
以下、図2を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23に電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図2中の時計回り(矢印B1参照)に回転駆動を開始する。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図2中の反時計回り(矢印B2参照)に従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された用紙Pが、ガイド板に案内されながら図2の矢印C1方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ22のニップ部Nに送入される。そして、ハロゲンヒータ23によって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像Tが定着される。
トナー画像Tが定着された用紙Pは、ニップ部Nから図2中の矢印C2方向に搬出される。このとき、用紙Pの先端が分離部材28の先端に接触することにより、用紙Pが定着ベルト21から分離される。その後、分離された用紙Pは、上述のように、排紙ローラによって機外に排出され、排紙トレイにストックされる。
次に、ニップ形成部材24のより詳細な構成について説明する。
図2および図3に示すように、ニップ形成部材24は、基材41と、高熱伝導部材としての均熱部材42と、締結手段としてのネジ43と、ネジ43を締結させるための固定部材44とを備えている。基材41および均熱部材42は、ニップ形成部材の長手方向に延在している。
基材41は、耐熱性を有した部材により構成され、例えばセラミック、ガラス、アルミニウムなどの無機物、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム類、PTFE(四フッ化エチレン)、PFA(四フッ化エチレン・ペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)などのフッ素樹脂、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶プラスチック,液晶ポリマー)、フェノール樹脂、ナイロン、アラミドなどの樹脂、またはこれらを組み合わせたものを用いることができる。
本実施形態では、基材41を耐熱性と成形性に優れた液晶ポリマー(LCP)で形成しており、熱伝導率は例えば0.54W/m・Kに設定される。
基材41は、その長手方向中央側に、固定部材44と締結されるための締結孔41aを有する。締結孔41aは、基材41の厚み方向の途中まで設けられた、貫通しない孔部である。
図3に示すように、基材41は、ステー25の側へ突出する複数の突起部41bを有する。突起部41bは、基材41の長手方向に複数配設されたものが、短手方向に2列で設けられている。突起部41bは、ステー25に当接してニップ形成部材24をステー25に対して位置決めする位置決め部である。
均熱部材42は、定着ベルト21にその内周面側から当接する部材である(図2参照)。均熱部材42は基材41よりも熱伝導率の高い部材によって構成される。具体的には、本実施形態ではSUSが用いられ、その熱伝導率は16.7~20.9W/m・Kに設定される。また、例えば、銅系材質(例えば熱伝導率381W/m・K)やアルミニウム系材質(例えば熱伝導率236W/m・K)等の熱伝導率の高い材質を用いることもできる。
ニップ形成部材24の定着ベルト21側に、熱伝導性の良い均熱部材42を設け、均熱部材42を定着ベルト21に対してその幅方向にわたって当接させることで、定着ベルト21の熱をその幅方向に移動させて均一化し、定着ベルト21の幅方向の温度ムラを抑制することができる。
均熱部材42は、その短手方向両側に、長手方向にわたって設けられた曲げ部42aを有する。図2に示すように、本実施形態では、均熱部材42の曲げ部42aは、金属板をその短手方向両側(図の上側および下側)で、短手方向に略垂直な方向(図の左方向で、ニップ部Nと反対の方向)へ曲げ加工することにより成形される。
図3に示すように、均熱部材42には、上記両曲げ部42a、42aの長手方向中央側で、短手方向の両側に、固定部材44の挿入部(詳しくは後述)が挿入されるための挿入孔42b1、42b2が設けられる。挿入孔42b1、42b2は、均熱部材42の短手方向(図2の上下方向)に開口した孔部である。曲げ部42aの挿入孔42b1、42b2が設けられる部分は、曲げ部42aのその他の部分と比較して曲げ方向へ部分的に飛び出した形状をしている。また挿入孔42b1は、均熱部材42の厚み方向にも開口した形状をしている。
均熱部材42には、その長手方向両端側に、端部側へ向けてその短手方向の幅が小さくなっていく絞り部42dが設けられる。
固定部材44は、基材41と均熱部材42とを固定するために設けられる、基材41や均熱部材42とは別体の部材である。固定部材44は、その中央にネジ43を締結するための締結孔44aを有し、その両端に挿入部44b1、44b2を有する。
次に、上記の各部材の組立方法を、図4を用いて説明する。
まず、均熱部材42の短手方向両側の曲げ部42aの間に形成された凹部に基材41を嵌め込む。この状態で、図4(a)に示すように、固定部材44を均熱部材42に対して傾けて、均熱部材42の一方の挿入孔42b1に固定部材44の対応する挿入部44b1を挿入する(矢印D1方向参照)。そして、固定部材44の他方の挿入部44b2の側を均熱部材42の側へ倒し(矢印D2参照)、固定部材44を図の左側へ少しスライドさせて、他方の挿入部44b2を他方の挿入孔42b2に挿入する。これにより、図4(b)に示すように、固定部材44を基材41上に配置すると共に、均熱部材42に取り付けることができる。ただし上記手順とは逆に、挿入部44b2を先に挿入孔42b2に挿入してもよい。この状態では、長手方向の固定部材44が配置された断面で見ると、均熱部材42と固定部材44との間に基材41が挟み込まれた状態になる。
さらに、ネジ43を固定部材44の締結孔44aおよび基材41の締結孔41aに締め付けることで、固定部材44と基材41とを締結することができる。これにより、図5に示すように、基材41と均熱部材42とが固定され、ニップ形成部材24が組み立てられる。
このように本実施形態では、均熱部材42に固定部材44を取り付けた状態で、ネジ43によって固定部材44と基材41とを締結することで、固定部材44を介して基材41と均熱部材42とを位置固定することができる。より詳細には、固定部材44の挿入部44b1、44b2が均熱部材42の挿入孔42b1,42b2に挿入されることで、固定部材44の均熱部材42に対する、均熱部材42の長手方向および厚み方向の移動が規制される。つまり、固定部材44と締結された基材41の均熱部材42に対する長手方向および厚み方向の移動が規制される。また、基材41は、均熱部材42の短手方向両側に設けられた曲げ部42aによって、短手方向の移動を規制されている。これらにより、基材41の均熱部材42に対する各方向への移動が規制さる。言い換えると、基材41と均熱部材42とを固定することができる。
別部材を介して基材41と均熱部材42とを固定することで、両部材を直接嵌合させる等、両部材を構造的に位置固定する場合と比較すると、位置固定のための構造の自由度が増したり、基材41や均熱部材42に固定のための複雑な形状を設ける必要がない。従って、基材41と均熱部材42とを精度良く位置決めすることができる。これにより、基材41と均熱部材42との位置ズレにより、定着ニップNを通過した用紙Pの定着ベルト21からの分離位置が、その幅方向でズレが生じて用紙のシワやジャムの原因になったり、定着ベルト21の幅方向端部側の画像形成領域で均熱部材42に当接しない部分が生じる等、均熱部材42が定着ベルト21の画像形成領域に対する十分な均熱効果を発揮することができず、画像の定着不良を生じてしまうことを防止できる。
ところで、固定部材44は均熱部材42に対してその長手方向に部分的に接触する。このため、固定部材44が接触する箇所では、均熱部材42の熱が奪われてその温度が低下しやすく、定着ベルト21の温度がその幅方向に不均一化するおそれがある。特に本実施形態では、固定部材44が金属材によって形成されており、均熱部材42の熱が奪われやすくなっている。
そこで、以下の説明では、均熱部材42と固定部材44との接触面積を小さくするための本実施形態の構成について、図6を用いて説明する。図6(a)はニップ形成部材24が加圧ローラからの加圧力を受ける前の状態の一例を示す断面図で、図6(b)は加圧ローラからの加圧力を受けた状態の断面図であり、それぞれ定着ニップNに対して垂直な面で切った断面図である。
図6(a)に示すように、固定部材44の挿入部44b1、44b2の厚み(加圧ローラの加圧方向の幅で図の左右の幅)に対して、均熱部材42の挿入孔42b1、42b2は、図の左右方向の幅が大きく設けられている。言い換えると、固定部材44は、均熱部材42に取り付けられて、ネジ43によって基材41と締結された状態では、均熱部材42に対して図の左右方向に一定のガタを有している。従って、例えば図6(a)では、挿入部44b1、44b2が、挿入孔42b1,42b2を形成する壁面部のうち、図の左側壁面に接触しており、固定部材44(およびそれに固定される基材41)は、均熱部材42に対してそのガタ分だけ図の右方向へ移動可能である。
ところで、図6(b)に示すように、加圧ローラ22が加圧手段によって定着ベルト21側へ加圧されると、均熱部材42は図の左側(矢印方向参照)への加圧力を受ける。これにより、均熱部材42は、基材41および固定部材44に対して図の左方向へ移動して、ニップ形成側の面とは反対の面42B(以下、均熱部材42の他方側の面42Bとする)が、基材41のニップ形成側の面41A(以下、基材41の一方側の面41Aとする)に当接する位置まで移動する。この状態で、挿入部44b1、44b2は、挿入孔42b1,42b2を形成する壁面部に対して、その加圧方向およびその反対方向に非接触になる。なお、基材41と固定部材44は、ネジ43によって締結されて、基材41の他方側の面41Bが固定部材44に当接している。
以下、上記のように均熱部材42が加圧ローラ22によって加圧された際に、挿入部44b2が挿入孔42b2を形成する壁面に対して非接触になるような各部の寸法関係について説明する。以下、図6(b)の右側で加圧ローラ22の加圧方向上流側を一方側、図6(b)の左側で加圧ローラ22の加圧方向下流側を他方側と呼ぶ。
本実施形態では、図6(b)の距離Lbが距離Laよりも大きく設けられる。これにより、固定部材44の挿入部44b2の一方側の面44Aが、均熱部材42の挿入孔42b2を形成する一方側の壁面部42Xに非接触になる。つまり、図6(a)→図6(b)のように、均熱部材42が図の左側へ移動した際に、壁面部42Xが面44Aに接触するよりも先に、面42Bが面41Aに当接する位置関係になっている。なお、距離Laは、図の左右方向において、基材41と均熱部材42との当接位置、つまり、均熱部材42の他方側の面42Bから壁面部42X(加圧ローラ22の加圧方向において、挿入孔42b2を形成する壁面部の上流側部分)までの距離である。また距離Lbは、図の左右方向において、均熱部材42が基材41に当接した状態での他方側の面42Bから固定部材44の一方側の面44A(挿入部44b2の加圧ローラ22の加圧方向上流側部分)までの距離であり、本実施形態では基材41の厚みに等しい。ただし、挿入部44b1の側では、距離Lbに相当する距離Lfは基材41の厚みから固定部材44の段差44cによる図の右側への曲げ分を差し引いたものである。
また、本実施形態では、距離Ldが距離Lcよりも大きく設けられる。これにより、挿入部44b2の他方側の面44Bが、挿入孔42b2を形成する他方側の面42Yに非接触になる。距離Lcは、距離Lbに挿入部44b2の厚みを足したものであり、基材41と均熱部材42とが当接した状態で、均熱部材42の他方側の面42Bから固定部材44の他方側の面44Bまでの距離である。また、距離Ldは距離Laに挿入孔42b2の図の左右方向の幅を足したものであり、均熱部材42の他方側の面42Bから挿入孔42b2を形成する他方側の面42Yまでの距離である。
以上のような、距離Lbが距離Laよりも大きく、かつ、距離Ldは距離Lcよりも大きい寸法関係(以下、第1の寸法関係と呼ぶ)により、加圧ローラ22が均熱部材42を加圧し、基材41と均熱部材42とが当接した状態(図6bの状態)で、挿入部44b2が挿入孔42b2に対して図の左右方向に当接しない位置関係を形成することができる。これにより、定着動作時等における均熱部材42と固定部材44との接触面積をできるだけ小さくし、均熱部材42から固定部材44への熱の流出を抑制することができる。従って、均熱部材42の定着ベルト21に対するベルト幅方向に対する均熱化効果を極力損なわない構成とすることができる。ただし本実施形態では、挿入部44b1、44b2は、均熱部材42の長手方向に対して挿入孔42b1,42b2を形成する壁面部に当接しており(詳しくは後述する)、挿入部44b1、44b2が挿入孔42b1,42b2に対して完全に非接触にはなっていない。
なお、以上の説明では用紙搬送方向の上流側(あるいは、定着ベルトの回転方向上流側で図の下側)で、挿入孔42b2、挿入部44b2の側の各寸法La~Ldを用いてその大小関係を示したが、用紙搬送方向の下流側で、挿入孔42b1、挿入部44b1の側の各寸法Le~Lh(この順で距離La~Ldに対応)についても同様の関係である。つまり、距離Lfは距離Leよりも大きく、距離Lhは距離Lgよりも大きくなっている(以下、この寸法関係を第2の寸法関係と呼ぶ)。これにより、挿入部44b1が挿入孔42b1に対して非接触になり、定着動作時等における均熱部材42と固定部材44との接触面積をできるだけ小さくして均熱部材42から固定部材44への熱の流出を抑制することができる。また、本実施形態では第1の寸法関係と第2の寸法関係の両方を満たすものとしたが、いずれか一方の条件だけを満たす場合でも、均熱部材42と固定部材44との接触面積を減らす効果を得ることができる。ただし、両方の寸法関係を満たす場合がより好ましいのはもちろんである。
またニップ形成部材24は、定着ベルトの回転によって定着ベルトと摺動するため、上記の位置固定の部分にも摺動に伴う負荷がかかることになる。しかし、本実施形態のように別部材を介してネジを締結することで、爪などの嵌合による構造的な固定方法と比較すると、強度的に有利になる。
また本実施形態では、基材41および固定部材44のお互いに対向する側に、お互いの段差部の形状に対応する形状の段差部(段差形状)41f、44cを有する(図4b参照)。これにより、固定部材44の基材41に対する取付性が向上すると共に、固定部材44の形状がその短手方向に表裏非対称になり、上下および表裏反転した状態での誤組みを防止することもできる。
また、図7に示すように、固定部材44の取付位置およびネジ43による固定位置を、基材41および均熱部材42の長手方向略中央とすることで、長手方向中央での位置決めができるため、長手方向のいずれか一方側への基材41や均熱部材42の位置ズレが生じにくくなる。これにより、定着ベルト21の長手方向の温度ムラや定着ニップ長手方向の圧力偏差を極力抑制することができる。
また本実施形態では、基材41が樹脂材、均熱部材42が金属材と異なる材料で形成されており、その熱膨張係数が異なる。従って、ヒータ23の熱による両部材の熱膨張率にも違いが生じるが、基材41と均熱部材42とを長手方向中央の一点で位置固定していることで、長手方向両側へ膨張分を逃がすことができる。
さらに本実施形態では、均熱部材42の一方の挿入孔42b1に固定部材44の対応する挿入部44b1を挿入する際に(図4aの矢印D1方向に挿入する際に)、固定部材44の両側に配置された突起部41bの側壁が、固定部材44を挿入方向(短手方向一方側から他方側)へガイドするガイド部として機能する。これにより、固定部材44の挿入孔42bに挿入する際の作業性が向上する。ただし、突起部41bとは別に、短手方向一方側から他方側へ延びたリブ形状を対応する位置に設けてガイド部としてもよい。
図7の拡大図X1に示すように、固定部材44は、挿入部44b1、44b2が均熱部材42の挿入孔42b1、42b2に挿入されることで、固定部材44の均熱部材42に対する図の左右方向の位置決めがなされる。つまり、挿入部44b1、44b2の長手方向端部が、挿入孔42b1、44b2を形成する側壁部に当接することで、固定部材44の均熱部材42に対する図の左右方向の移動が規制される。これにより、固定部材44と締結された基材41が、均熱部材42に対してその長手方向に位置決めされる。本実施形態では、挿入孔42bの幅と挿入部44bとの幅は、両者の寸法誤差等を考慮して最小限のガタになるように両者の寸法が決定されている。
本実施形態では、挿入孔42b1,42b2を略矩形状としたが、図8(a)に示すように、定着ニップN側(図の上側)の長手方向の幅がその反対側(図の下側)の長手方向の幅よりも大きくなるような形状とすることができ、図8(a)のように挿入孔42b1を断面略台形状とすることができる。これにより、加圧ローラ22の加圧力によって均熱部材42が加圧されて基材41の側へ移動すると、図8(b)に示すように、挿入部44b1が挿入孔42b1の幅広部分の側へ移動し、挿入部44b1が挿入孔42b1を形成する壁面部に対してその全周において非接触になる。つまり、定着動作時等に挿入部44b1と挿入孔42b1とを非接触にすることができる。図8では挿入孔42b1の場合を示したが、挿入孔42b2を同様の構成とすることもできるし、その両方であってもよい。
本実施形態では、挿入部44b1の挿入孔42b1からの図の上方向へ飛び出し量、あるいは、挿入部44b2の挿入孔42b2からの図の下方向へ飛び出し量が極力小さくなるように、固定部材44の長さが規定されている。つまり、挿入部44b1、44b2の飛び出し量が大きくなりすぎると、定着ベルト21や他の部材に干渉する恐れがあるが一方で、固定部材44の長さを小さくし過ぎると、挿入部44b1、44b2が両側の挿入孔42b1、42b2まで届かなくなってしまう。本実施形態では両部材の寸法誤差を考慮して、上記飛び出し量が極力小さくなり、かつ、挿入部44b1、44b2が挿入孔42b1、42b2に確実に挿入されるような寸法で、両部材の寸法が設定されている。
ところで、図2に示すように、定着ベルト21は、定着ニップNにおいて図2の下から上へ回転する。この回転により、定着ベルト21と摺動する均熱部材42が図2の上側(用紙搬送方向下流側)へ引っ張られることになり、均熱部材42は、基材41とその用紙搬送方向上流側(図2の下側)で当接する。
これに対して本実施形態では、図7の拡大図X2に示すように、基材41の短手方向一方側で、用紙搬送方向の上流側(図2の下側)に当接部41cを設ける。当接部41cは、基材41の長手方向において部分的に用紙搬送方向上流側へ突出した部分であり、基材41の長手方向両端部と、それよりも内側2箇所(拡大図X2の位置と長手方向中央部を挟んでその反対側)の4箇所で設けられる。このように、基材41の均熱部材42と当接側である用紙搬送方向上流側に、部分的に突出した当接部41cを設けることにより、基材41と均熱部材42の当接箇所を限定し、両者の接触面積を小さくすることができる。従って、均熱部材42の熱が基材41に奪われにくくなり、定着ベルト21の熱のロスを小さくすることができる。また本実施形態のように、長手方向の両端側にそれぞれ当接部41cを設けることで、長手方向の最も離れた2箇所で基材41と均熱部材42とを当接させることができ、両者の当接状態が安定する。
図7の拡大図X3に示すように、基材41には、その長手方向一方側で用紙搬送方向下流側(短手方向他方側)に、下流側へ突出した突出部41dが設けられる。また、均熱部材42の突出部41dに対応する位置には、曲げ部42aが部分的に切り欠かれた切り欠き部42cが設けられる。突出部41dは、均熱部材42の端縁よりもさらに下流側(図の上側)へ突出して設けられる。切り欠き部42cは、突出部41dと曲げ部42aとの接触を避けるための逃げ部である。
突出部41dおよび切り欠き部42cは、基材41と均熱部材42の誤組み防止機構として機能する。つまり、基材41を均熱部材42に対して、図7の上下および表裏のいずれの方向に反転して取り付けようとした場合でも、突出部41dが切り欠き部42cの位置に配置されず、突出部41dが均熱部材42の曲げ部42aに接触して両者を組み付けることができなくなり、異なった方向での組み付けを防止することができる。
特に本実施形態では、基材41に突出する部分を設けて均熱部材42はその一部を切り欠く形状とすることで、均熱部材42側の部材の変更点を最小限に留めることができ、均熱部材42の左右の熱容量の差を最小限に留めることができる。従って、均熱部材42による定着ベルト21の均熱効果にできるだけ偏りを設けることなく、誤組み防止ができる。また前述のように、定着ベルト21の回転によって用紙搬送方向上流側で基材41と均熱部材42との間に大きな当接力が働くのに対して、用紙搬送方向下流側には両者の間に搬送方向の隙間ができやすいため、下流側で均熱部材42に切り欠きを設ける方が強度上有利である。
図9は、基材41の均熱部材42側の面を示した図である。
図9に示すように、基材41にはその長手方向両側にその短手方向の幅が小さくなった絞り部41eが設けられる。
図10に示すように、均熱部材42に長手方向の断面が曲面状となる絞り部42dを設けることで、均熱部材42の長手方向両端が角部となることを防止し、この部分と定着ベルト21が摺動した際に、定着ベルト21の削れや摩耗を防止することができる。また、基材41に絞り部41eを設けてそれよりも端部側の短手方向幅を小さくすることで、均熱部材42の絞り部42d内に基材41を収めることができる。
さらに本実施形態では、基材41の絞り部41eの起点41e1(曲面部と平面部との境界)の周辺部を均熱部材42の絞り部42dの内面に当接可能とすることで、基材41の均熱部材42に対する長手方向の移動を規制している。
次に、ニップ形成部材24のステー25に対する取付構造について図11を用いて説明する。なお、ニップ形成部材24は、ステー25に対して図の矢印方向に取り付けられる。
図11に示すように、ステー25は、ニップ形成部材24を保持するための保持部材45が、ニップ形成部材24側の面に固定されている。
保持部材45は、基材41を保持するための保持孔45aと、基材41の突起部41b(図7参照)に対応した位置に設けられる複数の孔部45bを有する。保持部材45の保持孔45aが設けられた部分は、保持部材45のその他の部分よりも一段、ニップ形成部材24の側に突き出した段差形状をなしている。
図7および図12に示すように、基材41に設けられた複数の突起部41bのうち、保持部材45の保持孔45aに挿入される突起部41b1は、保持部材45側の端面にC面加工が施されており(図12参照)、突起部41b1を滑らかに保持孔45aに挿入することができる。なお、その他の突起部41bは、保持部材45の孔部45bを貫通してステー25に当接し、ニップ形成部材24をステー25に対して位置決めする位置決め部である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明のニップ形成部材は、以下の図13に示す複数の加熱部材を備えた定着装置6にも適用可能である。以下、前述した図2の定着装置と異なる部分を中心に説明し、共通する構成については適宜その記載を省略する。
図13に示すように、定着装置6は、前述の実施形態と同様、ベルト部材としての定着ベルト21、加圧ローラ22、ニップ形成部材24等を有する。また、本実施形態の定着装置6は2本のヒータ23A、23Bを有する。ヒータ23A、23Bは、一方が小サイズ紙に対応した長手方向中央部に発熱領域を有するものであり、他方が大サイズ紙に対応して長手方向両端部に発熱領域を有するものである。本実施形態ではヒータ23A、23Bとしてハロゲンヒータが用いられるが、誘導加熱装置であってもよいし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であってもよい。
定着装置6に設けられたステー25は断面T字状をなし、定着ニップN側と反対側が起立した起立部25aを有する。この起立部25aにより、ヒータ23A、23Bが隔てられている。
ヒータ23A、23Bは、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、定着ベルト21の外周に設けられた温度センサによるベルト表面の温度検知結果に基づいて行われる。このようなヒータの出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。
また、ステー25とヒータ23A、23Bの間には反射部材26A、26Bが配され、ヒータ23A、23Bの定着ベルト21に対する加熱効率を上げると共に、ヒータ23A、23Bからの輻射熱によりステー25が加熱されることによる無駄なエネルギー消費を抑制している。
以上の定着装置6においても、前述した構成のニップ形成部材24を適用することができる。これにより、基材41と均熱部材42とを精度良く位置決めし、画像の定着不良や用紙の搬送時のジャム等の不具合を防止することができると共に、均熱部材42と固定部材44との接触面積を小さくすることができる。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
以上の実施形態では、画像形成装置に設けられた定着装置に本発明のニップ形成部材を適用する場合を例示した。しかし、本発明のニップ形成部材は、被乾燥物を乾燥させるための乾燥装置にも適用することができ、例えばインクジェット式の画像形成装置において、用紙等の記録媒体表面に形成された画像のインクを乾燥させるための乾燥装置に本発明を適用することもできる。