JP7311764B2 - 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 - Google Patents
冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7311764B2 JP7311764B2 JP2019149099A JP2019149099A JP7311764B2 JP 7311764 B2 JP7311764 B2 JP 7311764B2 JP 2019149099 A JP2019149099 A JP 2019149099A JP 2019149099 A JP2019149099 A JP 2019149099A JP 7311764 B2 JP7311764 B2 JP 7311764B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- strip
- width direction
- deformation resistance
- distribution
- rolling mill
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
- Control Of Metal Rolling (AREA)
Description
一般に、無方向性電磁鋼板の製造にあたっては、連続鋳造によって得られた鋳造板(スラブ)を加熱し、連続熱間圧延して、所定の板厚の熱延鋼帯とし、引き続いて熱延鋼帯に対して連続焼鈍(以下ではホットコイル焼鈍と称する)を施し、その後、酸洗・冷間圧延を施し、表面処理するのが一般的である(例えば非特許文献1)。このような従来の一般的な製造方法では、工程数が多く、高コスト化を招かざるを得ない。そこで最近では、例えば無方向性電磁鋼板の製造コストの低減を図るため、熱延鋼帯のホットコイル焼鈍工程を省略することが取り組まれている。すなわち、熱間圧延工程において熱延鋼帯の仕上げ圧延過程とそれに続く冷却過程の条件を適切に制御することによって、その冷却過程において自己焼鈍させることにより、ホットコイル焼鈍工程を省略する方法である。
このようなコイル内での冷却速度のバラツキによって、コイル内で、板長手方向及び板幅方向に材質の不均一、特に強度の不均一が生じ、ひいては冷間での変形抵抗の不均一が生じる。ここでは、このようなコイルを自己焼鈍コイルと称する。この自己焼鈍コイルの材質(鋼種)は上記無方向性電磁板に限定されるものではなく、コイル内で、板長手方向及び板幅方向に材質の不均一、特に強度の不均一が生じ、ひいては冷間での変形抵抗の不均一が生じる鋼種を意味する。
そこで、冷間タンデム圧延において自己焼鈍コイルの板破断が生じないようにした冷間タンデム圧延設備及び圧延方法が強く求められていた。
複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流に、圧延すべきストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定するための変形抵抗分布測定器が配設されており、
さらに、前記測定された変形抵抗分布に基づき、前記変形抵抗分布測定器と前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドとの間においてストリップ板幅方向に温度分布を生じさせるための加熱装置と、
前記変形抵抗分布測定器の測定値に基づいて、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一となるような板幅方向温度分布を得るために必要な前記加熱装置の制御量を計算するための計算装置と、
計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御する加熱制御装置と
を具備していることを特徴とするものである。
前記第1の態様の冷間タンデム圧延設備において、
前記加熱装置と前記第1圧延機スタンドとの間に、板幅方向のストリップの温度分布を測定する温度検出器が配設されていることを特徴とするものである。
複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流において、圧延されるストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定し、
さらに、前記変形抵抗分布が測定されたストリップについて、前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドで圧延される以前に、加熱装置により前記ストリップの少なくとも板幅方向端部領域を加熱して板幅方向に温度分布を生じさせ、 しかも前記測定された変形抵抗分布に基づいて、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を得るために必要な前記加熱装置の制御量を計算し、計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御することを特徴とするものである。
複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流において、圧延されるストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定し、
さらに前記変形抵抗分布が測定されたストリップについて、前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドで圧延される以前に、加熱装置により前記ストリップの少なくとも板幅方向端部領域を加熱してストリップの板幅方向に温度分布を生じさせるとともに、前記加熱装置と前記第1圧延機スタンド入側との間において、ストリップの板幅方向の温度分布を測定し、
前記測定された変形抵抗分布及び前記測定された温度分布に基づいて、前記ストリップが第1圧延機スタンドで圧延される以前に、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を与えるために必要な前記加熱装置の制御量を計算し、計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御することを特徴とするものである。
予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に相関する材質を測定する変形抵抗分布測定器により板幅方向材質分布を測定するとともに、該サンプルの板幅方向各位置についての引張試験によって板幅方向の耐力分布を測定するサンプル測定段階と、
該サンプル測定段階による板幅方向材質分布測定結果と板幅方向耐力分布測定結果に基づいて、板幅方向材質分布と板幅方向耐力分布との相関関係を求めることにより、前記変形抵抗分布測定器の較正を行う較正段階と、
複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機による実際のストリップの連続タンデム冷間圧延中において、前記冷間タンデム圧延機の上流にて前記変形抵抗分布測定器によりストリップの板幅方向の材質分布を連続的に測定する変形抵抗分布測定段階と、
得られた変形抵抗分布測定結果から、変形抵抗分布を表すパラメータを算出する変形抵抗分布パラメータ算出段階と、
予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に及ぼす板温度の影響を求めておく第1の回帰計算段階と、
少なくともストリップの幅方向端部を加熱するための加熱装置によって、予め圧延すべきストリップのサンプルについての加熱実験を行なって、その加熱装置の制御量とストリップ速度と板厚と板温度との関係を求めておく第2の回帰計算段階と、
前記第1の回帰計算段階で求められた関係と前記第2の回帰計算段階で求められた関係とに基づいて、前記ストリップが第1圧延機スタンドで圧延される以前に、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を与えるために必要な前記加熱装置の制御量を計算する制御量計算段階と、
前記制御量で前記加熱装置を制御して、前記加熱装置によりストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような温度分布を付与する温度分布付与段階と
を有することを特徴とするものである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る冷間タンデム圧延設備を組み込んだ電磁鋼板の製造ラインの一例を示す。
ルーパー3は、溶接機2におけるコイル接合中の払出しが無い場合(すなわちストリップの走行が停止している場合)でも、下流工程でストリップの供給の停滞がないように制御される。なお、コイル払い出し機1に供給される自己焼鈍コイルC1,C2は、ホットバス等で温度60℃以上に予め加熱しても良い。
この加熱装置6は、例えば板幅方向の両端側の領域のみを加熱する誘導加熱装置によって構成される。具体的には、後に図3を参照して説明するように、板幅方向両側における板端から板幅方向中央に向けてそれぞれ板幅の10~15%程度の位置までの領域(板端部領域)を局部的に加熱する誘導加熱装置によって構成される。加熱装置6の制御量(例えば電流量)は、変形抵抗分布測定器5で測定された変形抵抗分布に基づいた計算装置10の計算結果に応じ、図示しない加熱制御装置によって制御されるようになっている。
さらに、冷間タンデム圧延機7では、図示していないが、各スタンドの入側と出側にてクーラントと称される圧延潤滑油を水に混入してエマルションにした圧延潤滑油が供給される。供給されたクーラントは図示しないタンクに回収され、再び各スタンドに供給されるリサーシュレーション潤滑が行われる。
ここでクーラントは、各スタンドでの圧延中に自己焼鈍ストリップが板幅方向に均一に冷却されるように、冷却されている。従って、第1スタンド入側に付与された板幅方向の温度分布差は、最終スタンド入側まで維持される。
本発明の冷間タンデム圧延方法を実施するにあたっては、前述のように冷間タンデム圧延機の上流に変形抵抗分布測定器を設置しておき、自己焼鈍コイルの長手方向及び板幅方向の変形抵抗分布を測定する。ここで、変形抵抗分布測定器としては、変形抵抗と相関の強い材質(物性値)、例えば結晶粒径を測定する測定器を用い、その物性値測定値を変形抵抗に変換して、変形抵抗分布を求めることができる。材質分布、とりわけ結晶粒径の分布と変形抵抗分布との相関関係については、本発明者等の次のような実験によって確認されている。
このように板破断により圧延を緊急停止させた際の第1スタンド入側の板サンプル(したがって板の長手方向に、板破断個所に近い個所における圧延前のサンプル(大板サンプル))を採取して、さらにその大板サンプルから板幅方向の各位置のサンプル(小板サンプル)を切出し、その小板サンプルにおける材質を調査した。材質の調査方法としては、上記サンプルの材質分布として、板幅方向における結晶粒径分布を、特許文献7に示されている感磁性素子を用いて調査した。
その後、同一サンプル(前記小板サンプル)から引張り試験片を作成し、引張り試験を行って、板幅方向の各位置での耐力を測定した。
このような傾向は、既に述べたように、熱間仕上げ圧延後のコイルの冷却過程でのコイル内における板幅方向の冷却速度の差に起因するものである。すなわち、コイル内において板幅方向両端部では冷却速度が大きいのに対し、板幅方向中央部では冷却速度が小さいためである。
図3からも、板幅方向両端部の耐力が大きいこと(変形抵抗が大きいこと)が明らかである。
そして、上記のように板幅方向に温度分布が付与された状態、言い換えれば板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような状態で圧延することによって、板幅方向の変形抵抗分布の不均一に起因する圧延時の板破断を防止することが可能となるのである。
さらに、図3における板幅方向の変形抵抗分布形状を多項式近似しようとした場合、
4次式によって近似し得ること、言い換えれば、板幅方向の変形抵抗分布を4次式での近似により定量化し得ることを見出した。
さらに本発明者等は、自己焼鈍コイルにおける耐力と温度の関係を調べた。すなわち自己焼鈍コイルから板幅方向中央部と板幅方向端部(板中央部よりも2割程度硬い部分)のサンプルを切り出して、それぞれ引張り試験片を作成し、種々の温度で温間引張り試験を行った。その結果を、耐力と温度の関係として図4に示す。
図4から、耐力の変化は温度と線形の関係にあり、低下しろ(傾き)は素材の変形抵抗の値(初期値)にはほとんど関係ないことが分かる。
そして図4の結果に基づけば、例えば板中央部よりも2割程度硬い板端部は、板中央部よりも200℃程度温度か高くなるように加熱することによって、耐力差(変形抵抗差)を解消できることが分かる。この関係から、後に改めて説明する(3)式を回帰することができる。
前述のような知見に基づき、本発明の冷間タンデム圧延方法の基本的な態様では、複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流において、圧延される自己焼鈍ストリップの板幅方向の材質分布、例えば結晶粒径分布を連続的に測定することにより、長手方法及び板幅方向の変形抵抗分布を測定するとともに、その測定された変形抵抗分布に基づいて、冷間タンデム圧延機の第1圧延機スタンドで圧延される自己焼鈍ストリップの板幅方向に、上記板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような温度差を付与(フィードフォワード(FF)方式での制御)することとしている。
次に本発明の冷間タンデム圧延方法の実施形態を説明する。
実施形態の冷間タンデム圧延方法は、基本的には、サンプル測定段階と、較正段階と、変形抵抗分布測定段階と、変形抵抗分布パラメータ算出段階と、第1の回帰計算段階と、第2の回帰計算段階と、制御量計算段階と、温度分布付与段階とを有する。以下にこれらの各段階について具体的に説明する。
第1の実施形態のサンプル測定段階は、予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に相関する材質を測定する変形抵抗分布測定器により板幅方向材質分布を測定するとともに、該サンプルの板幅方向各位置についての引張試験によって板幅方向の耐力分布を測定する段階である。
すなわち第1の実施形態の場合、予め変形抵抗分布のあるサンプルを採取し、オフラインで変形抵抗分布測定器の較正を実施しておく。ここで、変形抵抗分布測定器として、変形抵抗分布と相関の強い材質分布(例えば前述の冷間圧延設備の実施形態では粒径分布)を測定する場合、測定された板幅方向の粒径の分布態様が、同じ板幅方向の変形抵抗、例えば耐力の分布態様に相関するが、絶対値として粒径の値が耐力の値に相当するわけではない。そこで、予め採取した変形抵抗分布のあるサンプルを用いて、測定された粒径分布を耐力分布の絶対値分布に変換するための較正をおこなっておく必要がある。
較正段階とは、前記のサンプル測定段階による板幅方向材質分布測定結果と板幅方向耐力分布測定結果に基づいて、板幅方向材質分布と板幅方向耐力分布との相関関係を求めることにより、前記変形抵抗分布測定器の較正を行う段階である。すなわち、粒径と耐力との対応関係に基づいて、粒径分布測定結果を耐力分布(変形抵抗分布)に変換し得るように較正する。このようにして、変形抵抗分布をその絶対値として測定することが可能となる。
変形抵抗分布測定段階は、複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機による実際のストリップの連続タンデム冷間圧延中において、冷間タンデム圧延機の上流にて前記変形抵抗分布測定器によりストリップの板幅方向の材質分布を測定する段階である。
すなわち、前記較正段階による較正済みの変形抵抗分布測定器を用いて冷間タンデム圧延機に送り込まれるストリップの板幅方向の材質分布(例えば粒径分布)を冷間タンデム圧延機の上流で測定して、その分布を変形抵抗分布測定結果として出力する。
変形抵抗分布パラメータ算出段階は、変形抵抗分布測定段階によって得られた変形抵抗分布測定結果を多項式近似して、変形抵抗分布を表すパラメータを算出する段階である。
具体的には、前記較正段階を経て得られた変形抵抗分布、例えば図3に示したような板幅方向の位置(横軸x)と耐力(変形抵抗:縦軸y)の関係を、多項式近似、例えば次の(1)式で示す4次式で近似する。
y=ax4+b・・・(1)
ここで、板幅方向の位置xは、板幅方向の両端位置を±1、板幅方向の中央位置を0として規格化したものとする。
そして前記4次式((1)式)から、変形抵抗分布パラメータαとして、板端の耐力(a+b)が板中央部の耐力(b)よりどれだけ耐力が大きいか(変形抵抗がどれだけ大きいか)を表すパラメータαを次の(2)式によって算出する。
α=(a+b)-b
= a ・・・(2)
第1の回帰計算段階は、予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に及ぼす板温度の影響を求めておく段階である。
具体的には、変形抵抗分布の有る自己焼鈍ストリップから板幅方向のサンプルを切り出し、耐力に及ぼす温度の影響を、温間引張り試験によって調査し、変形抵抗変化(Δσ)と、変形抵抗(σ)に及ぼす第1圧延機スタンド入側での非加熱時の板温(室温、例えば20℃)からの温度上昇量(ΔT)との関係を、次の(3)式によって回帰する。
Δσ=f(ΔT)・・・(3)
第2の回帰計算段階は、少なくともストリップの幅方向端部を加熱するための加熱装置によって、予め圧延すべきストリップのサンプルについての加熱実験を行なって、その加熱装置の制御量とストリップ速度と板厚と板温度との関係を求めておく段階である。
具体的には、予め圧延すべきストリップのサンプルについて、前記加熱装置を用いて、加熱実験を行ない、加熱制御量(β)とストリップ速度(V)及び板厚(H)と板温度(T)との関係を調査し、加熱後の板温度(T)とストリップ速度(V)及び板厚(H)と加熱制御量(β)と制御量の関係を、次の(4)式によって回帰しておく。
T=g(V,H,β)・・・(4)
制御量計算段階は、前記第1の回帰計算段階で求められた関係と前記第2の回帰計算段階で求められた関係とに基づいて、前記ストリップが第1圧延機スタンドで圧延される以前に、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を与えるために必要な前記加熱装置の制御量を計算する段階である。
すなわち、加熱装置による加熱がなくかつ板幅方向に変形抵抗分布がないストリップ(このストリップの板端部の変形抵抗をσ1とする)を圧延速度V1で第1圧延機スタンドにおいて圧延している状態から、板幅方向に変形抵抗分布のあるストリップ(このストリップの板端部の変形抵抗をσ2とする)が第1圧延機スタンドに到来した時には、第1圧延機スタンドで圧延されるストリップの板端部の変形抵抗がσ1からσ2に変化することになる。
ΔT=g(V2,H2,β2)-g(V1, H1,β1)・・・(5)
ここで、自己焼鈍コイル内では、板厚Hは長手方向で均一であり、また一定圧延速度であればVも変化しないから、その場合は次の(5′)式によってΔTを求めることができる。
ΔT=g(V1,H1,β2)-g(V1, H1,β1)・・・(5′)
Δσ=f(ΔT)・・・(6)
そこでこれらの関係式を解くことによって、変形抵抗分布が均一になるように(すなわち板端部の変形抵抗が板中央部と同じとなるように)必要な板端部の加熱上昇温度、即ち加熱装置の板端部の加熱制御量(β2)を求めることができる。
温度分布付与段階は、前記制御量(例えば加熱装置の電流量)で前記加熱装置を制御して、その加熱装置によりストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような温度分布を付与する段階である。すなわち、前記の求められたβ2の制御量で、図示しない加熱制御装置により加熱装置を制御する段階である。
また、以上は、板幅方向の変形抵抗分布が対称である場合の例で説明してきたが、板幅方向の変形抵抗分布が非対称な場合も同様に取り扱うことができることは言うまでも無い。
すなわち、板幅方向の変形抵抗分布を4次式近似して、一方の板端側のパラメータをα1、他方の板端側のパラメータをα2として、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になる温度ΔT1,ΔT2を上述した手順で求めて板幅方向両端部の加熱制御を行えば良い。
実施例及び比較例は、いずれも図1に示した構成を備えた冷間タンデム圧延設備において実施した。すなわち冷間圧延機は第1~第4の圧延機スタンドからなり、各圧延機スタンドは4重式圧延機(4Hiミル)からなる構成とした。
・比較例:従来の一般的な圧延方法に相当する例であり、板幅方向の変形抵抗分布があっても、加熱装置の制御を行なわずに、自己焼鈍ストリップを圧延した。
・実施例:自己焼鈍ストリップの板幅方向の変形抵抗分布を測定して、第1圧延機スタンド入側の加熱装置の制御量(電流量)を、前述の変形抵抗分布パラメータαの値に応じてFF制御した。
S 自己焼鈍ストリップ
1 コイル払い出し機
2 溶接機
3 ルーパー
4 酸洗設備
5 変形抵抗分布測定器
6 加熱装置
7 冷間タンデム圧延機
7a,7b,7c,7d,7e 冷間タンデム圧延機の圧延機スタンド
8 切断機
9 カローゼルリール
10 計算装置
Claims (5)
- 複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流に、圧延すべきストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定するための変形抵抗分布測定器が配設されており、
さらに、前記測定された変形抵抗分布に基づき、前記変形抵抗分布測定器と前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドとの間においてストリップ板幅方向に温度分布を生じさせるための加熱装置と、
前記変形抵抗分布測定器の測定値に基づいて、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を得るために必要な前記加熱装置の制御量を計算するための計算装置と、
計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御する加熱制御装置と
を具備していることを特徴とする冷間タンデム圧延設備。 - 請求項1に記載の冷間タンデム圧延設備において、
前記加熱装置と前記第1圧延機スタンドとの間に、板幅方向のストリップの温度分布を測定する温度検出器が配設されていることを特徴とする冷間タンデム圧延設備。 - 複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流において、圧延されるストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定し、
さらに、前記変形抵抗分布が測定されたストリップについて、前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドで圧延される以前に、加熱装置により前記ストリップの少なくとも板幅方向端部領域を加熱して板幅方向に温度分布を生じさせ、しかも前記測定された変形抵抗分布に基づいて、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を得るために必要な前記加熱装置の制御量を計算し、計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御することを特徴とする冷間タンデム圧延方法。 - 複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機の上流において、圧延されるストリップの変形抵抗に相関する材質についてのストリップ板幅方向の分布を連続的に測定することによりストリップ長手方向及びストリップ板幅方向の変形抵抗分布を測定し、
さらに前記変形抵抗分布が測定されたストリップについて、前記複数の圧延機スタンドのうち最上流側に位置する第1圧延機スタンドで圧延される以前に、加熱装置により前記ストリップの少なくとも板幅方向端部領域を加熱してストリップの板幅方向に温度分布を生じさせるとともに、前記加熱装置と前記第1圧延機スタンド入側との間において、ストリップの板幅方向の温度分布を測定し、
前記測定された変形抵抗分布及び前記測定された温度分布に基づいて、前記ストリップが第1圧延機スタンドで圧延される以前に、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を与えるために必要な前記加熱装置の制御量を計算し、計算された制御量に基づいて前記加熱装置の制御量を制御することを特徴とする冷間タンデム圧延方法。 - 予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に相関する材質を測定する変形抵抗分布測定器により板幅方向材質分布を測定するとともに、該サンプルの板幅方向各位置についての引張試験によって板幅方向の耐力分布を測定するサンプル測定段階と、
該サンプル測定段階による板幅方向材質分布測定結果と板幅方向耐力分布測定結果に基づいて、板幅方向材質分布と板幅方向耐力分布との相関関係を求めることにより、前記変形抵抗分布測定器の較正を行う較正段階と、
複数の圧延機スタンドを直列状に配列してなる冷間タンデム圧延機による実際のストリップの連続タンデム冷間圧延中において、前記冷間タンデム圧延機の上流にて前記変形抵抗分布測定器によりストリップの板幅方向の材質分布を連続的に測定する変形抵抗分布測定段階と、
得られた変形抵抗分布測定結果から、変形抵抗分布を表すパラメータを算出する変形抵抗分布パラメータ算出段階と、
予め、圧延すべきストリップのサンプルであってかつ板幅方向に変形抵抗分布のあるサンプルについて、変形抵抗に及ぼす板温度の影響を求めておく第1の回帰計算段階と、 少なくともストリップの幅方向端部を加熱するための加熱装置によって、予め圧延すべきストリップのサンプルについての加熱実験を行なって、その加熱装置の制御量とストリップ速度と板厚と板温度との関係を求めておく第2の回帰計算段階と、
前記第1の回帰計算段階で求められた関係と前記第2の回帰計算段階で求められた関係とに基づいて、前記ストリップが第1圧延機スタンドで圧延される以前に、ストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるような板幅方向温度分布を与えるために必要な前記加熱装置の制御量を計算する制御量計算段階と、
前記制御量で前記加熱装置を制御して、前記加熱装置によりストリップ板幅方向の変形抵抗分布が均一になるように温度分布を付与する温度分布付与段階と
を有することを特徴とする冷間タンデム圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019149099A JP7311764B2 (ja) | 2019-08-15 | 2019-08-15 | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019149099A JP7311764B2 (ja) | 2019-08-15 | 2019-08-15 | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021030239A JP2021030239A (ja) | 2021-03-01 |
JP7311764B2 true JP7311764B2 (ja) | 2023-07-20 |
Family
ID=74674636
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019149099A Active JP7311764B2 (ja) | 2019-08-15 | 2019-08-15 | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7311764B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7111217B1 (ja) * | 2021-04-30 | 2022-08-02 | Jfeスチール株式会社 | 冷延鋼板の製造方法及び製造設備 |
JP7111216B1 (ja) * | 2021-04-30 | 2022-08-02 | Jfeスチール株式会社 | 冷延鋼板の製造方法及び製造設備 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009148797A (ja) | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp | 冷間連続圧延設備の制御装置 |
JP2012148310A (ja) | 2011-01-19 | 2012-08-09 | Jfe Steel Corp | 鋼板エッジ部の加熱方法 |
JP2014008520A (ja) | 2012-06-29 | 2014-01-20 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法 |
JP2015139810A (ja) | 2014-01-29 | 2015-08-03 | Jfeスチール株式会社 | 冷間圧延設備および冷間圧延方法 |
CN109420682A (zh) | 2017-08-29 | 2019-03-05 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种冷轧薄带钢的板形控制方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60238015A (ja) * | 1984-05-10 | 1985-11-26 | Mitsubishi Electric Corp | 熱間圧延機における圧延温度・板形状制御装置 |
JPH02108406A (ja) * | 1988-10-18 | 1990-04-20 | Toshiba Corp | 圧延機の板クラウン制御装置 |
-
2019
- 2019-08-15 JP JP2019149099A patent/JP7311764B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009148797A (ja) | 2007-12-20 | 2009-07-09 | Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp | 冷間連続圧延設備の制御装置 |
JP2012148310A (ja) | 2011-01-19 | 2012-08-09 | Jfe Steel Corp | 鋼板エッジ部の加熱方法 |
JP2014008520A (ja) | 2012-06-29 | 2014-01-20 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法 |
JP2015139810A (ja) | 2014-01-29 | 2015-08-03 | Jfeスチール株式会社 | 冷間圧延設備および冷間圧延方法 |
CN109420682A (zh) | 2017-08-29 | 2019-03-05 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种冷轧薄带钢的板形控制方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021030239A (ja) | 2021-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101185597B1 (ko) | 퀴리점을 가진 강 스트립의 연속 소둔 방법 및 연속 소둔 설비 | |
US6615633B1 (en) | Metal plateness controlling method and device | |
US7192551B2 (en) | Inductive heating process control of continuous cast metallic sheets | |
JP7311764B2 (ja) | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 | |
JP2010066132A (ja) | 連続焼鈍炉における温度制御方法および連続焼鈍炉 | |
JP5811051B2 (ja) | 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法 | |
JP2008238241A (ja) | アルミニウム金属板の製造方法 | |
US20070034349A1 (en) | Continuous roll casting of ferrous and non-ferrous metals | |
JP6295932B2 (ja) | 金属帯の形状制御方法及び形状制御装置 | |
JP7280506B2 (ja) | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 | |
JP2018047483A (ja) | 金属帯の形状制御方法及び形状制御装置 | |
JP3284913B2 (ja) | 熱延鋼帯の圧延方法 | |
JP5310964B1 (ja) | 鋼板製造方法 | |
JP4453299B2 (ja) | 表面欠陥の少ない鋼帯の製造方法 | |
JP7269484B2 (ja) | 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法 | |
JP7295419B2 (ja) | 圧延設備及び圧延方法 | |
JP3848618B2 (ja) | 冷間圧延工程における板幅制御方法 | |
JP2004331992A (ja) | 熱間圧延における金属板の温度予測方法および冷却方法 | |
JP2004332107A (ja) | 鋼線の熱処理方法 | |
JP3698088B2 (ja) | 熱延鋼帯の製造方法 | |
WO2021205687A1 (ja) | 冷延鋼帯の製造設備および冷延鋼帯の製造方法 | |
JP4721855B2 (ja) | 熱間圧延における表面疵低減方法 | |
JP3582517B2 (ja) | 熱延鋼帯の製造方法 | |
JP6927052B2 (ja) | 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置 | |
JP3243994B2 (ja) | 熱延鋼帯の圧延方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220407 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230124 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230126 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230301 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230606 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230619 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7311764 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |