JP2018047483A - 金属帯の形状制御方法及び形状制御装置 - Google Patents

金属帯の形状制御方法及び形状制御装置 Download PDF

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北村 拓也
Takuya Kitamura
拓也 北村
舘野 純一
Junichi Tateno
純一 舘野
木島 秀夫
Hideo Kijima
秀夫 木島
慎也 山口
Shinya Yamaguchi
慎也 山口
裕史 津山
Yushi Tsuyama
裕史 津山
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Abstract

【課題】金属帯の熱間圧延に際して、常温まで冷却後の金属帯形状を全長にわたり目標範囲内に制御可能な金属帯の形状制御方法及び形状制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る金属帯の形状制御方法は、仕上圧延機による熱間圧延後の金属帯をコイルヤードにおいて常温まで冷却した際に金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測する予測ステップと、予測ステップにおいて予測された金属帯の形状変化を補償するように常温まで冷却した際の金属帯の目標形状を金属帯の長手方向位置に応じて設定し、コイルヤード冷却設備を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を目標形状に制御する制御ステップと、を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、金属帯の形状制御方法及び形状制御装置に関する。
近年、形状が平坦な金属帯が需要家から求められており、図11(a),(b)に示すような金属帯Sにおける腹伸びや耳波等の形状に対しても許容限度が厳しくなり、金属帯形状に対する品質保証は重要な課題となっている。また、熱間圧延工程以後の工程においても、金属帯の形状不良は通板トラブルの原因になり得るため、最終製品以外でも平坦な金属帯形状が求められる。
このような背景から、金属帯の熱間圧延工程では、金属帯形状を目標範囲内に制御できるように、ロールベンダー、ロールクロス、ロールシフト等を備えたクラウン・形状制御能力の高い圧延機が導入されている。このような圧延機によれば、ロールベンダー量、クロス角、及びシフト量の操作によってロールプロファイルを適切に設定することにより、高精度の形状・クラウン制御を実現できる。
しかしながら、仕上圧延工程直後の金属帯形状が目標範囲内であっても、熱歪み、変態膨張、クリープ変形等の要因によって、その後のランアウトテーブル以後の工程で金属帯形状が変化する場合がある。この場合、仕上圧延工程直後では金属帯形状が目標範囲内であっても、常温まで冷却する過程において金属帯形状が変化して目標範囲外になる場合がある。金属帯形状が目標範囲内にない場合には、スキンパス圧延等による金属帯の形状矯正が行われるが、工程追加によるコスト増加や期間延長といった生産性の低下が生じる。
このような問題を解決するために、特許文献1には、仕上圧延機の出側における金属帯形状を初期値として、ランアウトテーブルでの冷却、コイラーによる巻取、及びコイルヤードでの冷却の各工程において金属帯の変形解析を行うことによって金属帯を常温まで冷却した後の金属帯形状を予測し、仕上圧延機のロールベンダーやロールクロス等を用いた圧延による形状制御手法によって予測した金属帯の形状変化を補償することにより、金属帯形状を目標範囲内に制御する方法が提案されている。
特開2007−216246号公報 特開2006−224177号公報
片田 中著「鋼材の強制冷却」日本鉄鋼協会編、1978年、p.16-19
しかしながら、特許文献1に記載の仕上圧延機による金属帯の形状制御方法では、ロールベンダーやロールクロス等の性能が十分でなく、ロールベンダーやロールクロス等による形状制御量が必要とする形状修正量よりも小さい場合、十分な形状制御が行えず、常温まで冷却後の金属帯形状を全長にわたり目標範囲内に制御することができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、金属帯の熱間圧延に際して、常温まで冷却後の金属帯形状を全長にわたり目標範囲内に制御可能な金属帯の形状制御方法及び形状制御装置を提供することにある。
本発明に係る金属帯の形状制御方法は、仕上圧延機による熱間圧延後の金属帯をコイルヤードにおいて常温まで冷却した際に金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測する予測ステップと、前記予測ステップにおいて予測された金属帯の形状変化を補償するように常温まで冷却した際の金属帯の目標形状を金属帯の長手方向位置に応じて設定し、コイルヤード冷却設備を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る金属帯の形状制御方法は、上記発明において、前記制御ステップは、前記仕上圧延機の出側に設けられたランアウトテーブル上の冷却装置を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る金属帯の形状制御方法は、上記発明において、前記予測ステップは、前記仕上圧延機の出側における金属帯の温度及び平坦度を初期値として、ランアウトテーブルでの冷却、コイラー巻取、及びコイル冷却の各過程での金属帯の温度及び応力・歪み成分を相変態と共に解析することによって、金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る金属帯の形状制御装置は、仕上圧延機による熱間圧延後の金属帯をコイルヤードにおいて常温まで冷却した際に金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された金属帯の形状変化を補償するように常温まで冷却した際の金属帯の目標形状を金属帯の長手方向位置に応じて設定し、コイルヤード冷却設備を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る金属帯の形状制御方法及び形状制御装置によれば、金属帯の熱間圧延に際して、常温まで冷却後の金属帯形状を全長にわたり目標範囲内に制御することができる。
図1は、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御方法及び形状制御装置が適用される金属帯の製造ラインの構成を示す模式図である。 図2は、コイルヤードにおける金属帯の空冷時間と変形量との関係を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態である形状変化予測処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、ランアウトテーブル及びコイルヤードにおける幅方向冷却が均一である場合と不均一である場合とにおける金属帯の幅方向端部の温度差を示す図である。 図6は、ランアウトテーブル上の冷却装置を用いて幅方向不均一冷却を行う方法を説明するための図である。 図7は、ランアウトテーブル上の冷却装置を用いて幅方向不均一冷却を行う方法を説明するための図である。 図8は、コイルヤードにおける冷却設備を用いて幅方向不均一冷却を行う方法を説明するための図である。 図9は、従来例及び本発明例における金属帯形状の制御結果を示す図である。 図10は、従来例及び本発明例における金属帯形状の制御結果を示す図である。 図11は、金属帯の腹伸び形状や耳波形状を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御方法及び形状制御装置について説明する。
〔製造ラインの構成〕
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御方法及び形状制御装置が適用される金属帯の製造ラインの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御方法及び形状制御装置が適用される金属帯の製造ラインの構成を示す模式図である。図1に示すように、この製造ラインでは、金属帯Sは、仕上圧延機1を経て所定の製造サイズに熱間圧延された後、ランアウトテーブルを通板している際に所定の材質に作り込むために冷却装置2によって所定の温度まで冷却される。そして、所定の温度まで冷却された金属帯Sは、コイラー3によってマンドレル4にコイル状に巻き取られ、コイルCは、コイルヤード6において常温まで冷却される間、必要に応じてコイルヤード6内の冷却設備7によって水冷却される。仕上圧延機1、冷却装置2、及び冷却設備7の動作は制御装置8により制御される。制御装置8は、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御装置として機能する。
〔金属帯形状を決定する要因〕
次に、図1に示す製造ラインにおける常温まで冷却後の金属帯形状を決定する要因について説明する。
本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、図1に示す製造ラインにおける常温まで冷却後の金属帯形状を決定する要因は以下のように分離されることを知見した。
(1)仕上圧延機1の出側における金属帯Sの形状
(2)ランアウトテーブル上の通板張力が作用することによって生じる金属帯Sの変形
(3)ランアウトテーブル上の冷却装置2における冷却ムラによって発生する熱収縮や相変態ムラによる金属帯Sの変形
(4)コイラー3での巻取時におけるコイルCのマンドレル4への巻き締まりによる金属帯Sの変形
(5)コイルヤード6においてコイルCを冷却している際に発生するコイルCの中心部と外周部との間の冷却速度差に起因する温度偏差によって生じる金属帯Sの変形
熱間圧延された金属帯Sの最終形状は上記の各要因が複雑に影響したものであり、全ての要因を考慮して熱間圧延での目標形状を決定する必要がある。
仕上圧延機1の出側における金属帯Sの目標形状を平坦として、上記要因(1)の形状分布を補償しない場合、常温まで冷却後の金属帯Sの最終形状はコイルCの内周部から中心部までが耳波形状となり、コイルCの外周部が腹伸び形状となる傾向が多い。
上記要因(2)による金属帯Sの形状変化では、金属帯Sに作用する通板張力が金属帯Sの降伏応力より大きい場合、塑性変形が生じる。
上記要因(3)による形状変化では、金属帯Sの幅方向端部の熱収縮量が幅方向中央部の熱収縮量よりも大きい場合、金属帯Sの幅方向中央部によって金属帯Sの幅方向端部に引張変形が生じることにより、金属帯形状は耳波形状となる。一方、金属帯Sの幅方向中央部の熱収縮量が幅方向端部の熱収縮量よりも大きい場合には、金属帯Sの幅方向端部によって金属帯Sの幅方向中央部に引張変形が生じることにより、金属帯形状は腹伸び形状となる。
上記要因(4)による形状変化では、巻取時のマンドレル4への巻き締まりによって金属帯Sの長手方向に引張変形が生じる。さらに、板クラウンによって金属帯Sの幅方向中央部に接触面圧が集中し、巻き締まりの強いコイルCの外周部において長手方向に引張の塑性変形が生じることによって、金属帯形状は腹伸び形状となる。
上記要因(5)による形状変化では、コイル状に積層された金属帯S同士が接触する幅方向中央部において、温度低下の遅いコイルCの中心部に対して温度低下が速いコイルCの外周部が熱収縮量の違いによって巻き締まり、板クラウンによって、コイルCの中心部では長手方向に圧縮変形が生じて耳波形状となり、コイルCの外周部では長手方向に引張変形が生じて腹伸び形状となる。
図2は、コイルヤード6における金属帯Sの空冷時間(hr)と変形量(%)との関係を示す図である。図2に示すように、金属帯Sがコイル状に巻き取られた時点での変形量は10%程度であるが、空冷時間が増えるにつれて変形量が大きく増加している。このことから、熱間圧延後の金属帯Sの変形過程では、コイラー3での巻取後にコイルヤード6において冷却されることによるクリープ変形が支配的であり、コイルヤード6における冷却過程での形状制御が最終製品の形状に大きく影響することがわかる。
〔数値解析モデルの構成〕
上記の変形過程を経て常温まで冷却後の金属帯Sの最終形状を予測する手法として、金属帯Sに発生する変形を順次解析していく数値解析モデルを用いることが考えられる。数値解析モデルとしては、特許文献2に開示されているような形状変化予測モデルを用いることができる。この形状変化予測モデルの概要(解析手順のフローチャート)は図3に示す通りである。
図3は、本発明の一実施形態である形状変化予測処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、本発明の一実施形態である形状変化予測処理では、まず、材料条件(金属帯Sの寸法、降伏関数、熱物性値、相変態挙動を表すパラメータ等)、通板条件(金属帯Sの通板速度、通板張力等)、冷却条件(熱伝達係数、冷却媒体温度、冷却帯の長さ等)、巻取条件(巻取張力、ドラム径等)、及び初期条件(金属帯Sの温度分布及び形状分布)を設定する。その後、冷却装置2を備えるランアウトテーブルでの伝熱モデル、相変態モデル、及び応力・歪みモデルを解析するステップと、コイルヤード6での冷却設備7による冷却伝熱モデル、相変態モデル、及び応力・歪みモデルを解析するステップを実行して、常温まで冷却後の金属帯Sの最終形状を出力する。以下、図3に示すフローチャート上の各モデルの概要について以下に示す。
[伝熱モデル]
金属帯Sの幅方向の温度分布は、ランアウトテーブル上では板厚が板幅に比べて極端に短いこと、コイル長が板幅に比べて極端に長いことから下記の1次元熱伝導方程式(1)と境界条件式(2)とを解くことにより計算され、コイルヤード冷却では幅方向のみならずコイルCの径方向の伝熱を考慮した2次元熱伝導方程式(3)を解くことにより計算される。オンラインモデルとしては、例えば数式(1)〜(3)を離散化した陽解法差分モデルを用いることにより、オンラインでの使用に耐え得るような短時間での温度分布計算が可能となる。
Figure 2018047483
Figure 2018047483
Figure 2018047483
ここで、Tは金属帯Sの温度(K)、Tは金属帯Sの表面温度(K)、Tは冷却水又は雰囲気の温度(K)、tは時間(s)、λは熱伝導率(J/smK)、qは熱流束(J/ms)、ρは密度(kg/m)、cは比熱(J/kgK)、hは熱伝達係数(J/mhK)である。
[相変態モデル]
相変態モデルとしては、以下に示す数式(4)〜(6)式に基づいて、まず金属帯Sの成分に応じて数式(4)に従ってTTT線図を作成し、ある時点における金属帯Sの温度と経過時間とから金属帯Sの組織を決定する。ここで、TTT線図とは、時間と温度及び変態との関係を示した図であり、物質の温度とその温度になるまでの時間を与えることで相変態の挙動を知ることができるものである。
Figure 2018047483
Figure 2018047483
Figure 2018047483
ここで、T、T、t、tは化学成分とオーステナイト粒径の関数として与えられ、t、T及びt、TはTTT曲線の平衡変態点及びノーズ点に対応している。相変態が生じる場合には、発熱量の計算を比熱の差を考慮することで行う。
[応力・歪み解析モデル]
応力・歪み解析モデルには、ランアウトテーブル上での金属帯Sの状態、コイラー3での巻取中のコイルCの状態、及び巻取後(抜き取り後)の冷却中のコイルCの状態についてそれぞれ別のモデルが必要となる。正確な形状予測解析を行うためには、熱収縮、相変態に伴う体積膨張、クリープ変形、及び塑性変形を考慮したモデルとする必要がある。
以上の伝熱モデル、相変態モデル、及び応力・歪みモデルを用いて常温まで解析していくことにより、熱収縮(相変態に伴う体積膨張を含む)、クリープ変形、及び塑性変形の和として金属帯Sの永久変形が求まる。最終的な金属帯形状は永久変形の幅方向分布より求まる伸び差率によって評価する。
仕上圧延機1の出側における金属帯Sの温度及び平坦度を初期値として、上記の数値解析モデルを用いて、常温まで冷却後の金属帯Sの最終形状を予測し、その予測形状を補償するようなコイルヤード6での冷却後の金属帯Sの目標形状を逆算し、金属帯形状を作り込むことにより、常温まで冷却後の金属帯形状を全長にわたり目標範囲内に制御することができる。なお、コイルヤード6での冷却後の金属帯Sの目標形状は、金属帯Sの予測形状の逆符号として計算できる。以下、図4を参照して、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御処理の流れについて説明する。
〔形状制御処理〕
図4は、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、本発明の一実施形態である金属帯の形状制御処理では、まず、制御装置8が、常温まで冷却後の金属帯形状を予測し(ステップS1)、予測結果に基づいて常温まで冷却後の金属帯形状を目標範囲内に制御するために必要な仕上圧延機1による補償形状を算出する(ステップS2)。次に、制御装置8は、仕上圧延機1において一般的に適用されているワークロールベンダー等の形状制御手法によってステップS2の処理において算出された補償形状を金属帯Sに与える(ステップS3)。
次に、制御装置8は、ステップS1の処理において予測された金属帯形状とステップS3の処理後の金属帯形状との差が所定値以上であるか否かを判別することによって、常温まで冷却後の金属帯形状が目標範囲内にあるか否かを判別する(ステップS4)。判別の結果、差が所定値未満である場合(ステップS4:Yes)、制御装置8は、常温まで冷却後の金属帯形状は目標範囲内にあると判断し、一連の形状制御処理を終了する。一方、差が所定値以上である場合(ステップS4:No)、制御装置8は、常温まで冷却後の金属帯形状は目標範囲内にないと判断し、形状制御処理をステップS5の処理に進める。
次に、制御装置8は、ステップS1の処理において予測された金属帯形状とステップS3の処理後の金属帯形状との差をコイルヤード冷却中の補償形状として算出し(ステップS5)、冷却設備7を制御することによってコイルヤード冷却中の補償形状を金属帯Sに付与する(ステップS6)。次に、制御装置8は、ステップS1の処理において予測された金属帯形状とステップS6の処理後の金属帯形状との差が所定値以上であるか否かを判別することによって、常温まで冷却後の金属帯形状が目標範囲内にあるか否かを判別する(ステップS7)。
判別の結果、差が所定値未満である場合(ステップS7:Yes)、制御装置8は、常温まで冷却後の金属帯形状は目標範囲内にあると判断し、一連の形状制御処理を終了する。一方、差が所定値以上である場合(ステップS7:No)、制御装置8は、常温まで冷却後の金属帯形状は目標範囲内にないと判断し、形状制御処理をステップS8の処理に進める。
次に、制御装置8は、ステップS1の処理において予測された金属帯形状とステップS6の処理後の金属帯形状との差をランアウトテーブル出側の補償形状として算出し(ステップS8)、冷却装置2を制御することによってランアウトテーブル出側の補償形状を金属帯Sに付与する(ステップS9)。これにより、一連の形状制御処理は終了する。以下では、ランアウトテーブル上の冷却装置2及びコイルヤード6における冷却設備7を用いた具体的な金属帯Sの形状制御方法について説明する。
金属帯Sの幅方向の温度分布と金属帯形状との関係は、温度変化による金属帯Sの弾性変形を無視すると以下に示す数式(7)によって表される。
Figure 2018047483
ここで、Δεは金属帯Sの幅方向中央部と幅方向端部との間の伸び差率、αは線膨張係数である。また、ΔTは、図5(a)に示すようにランアウトテーブル及びコイルヤードにおける金属帯Sの幅方向冷却が均一な場合と図5(b)に示すように幅方向冷却に分布を持たせた場合とにおける金属帯Sの幅方向端部の温度差として定義される。具体的には、ΔTは、均一に冷却した場合の幅方向端部の金属帯温度から分布を持たせて冷却した場合の幅方向端部の金属帯温度を差し引くことで計算でき、幅方向端部を強冷却した場合がプラスとなる。金属帯を拘束した状態で金属帯の幅方向にΔTの温度分布を付与することにより、金属帯を塑性変形させて金属帯形状を制御できる。線膨張係数を10.8×10−6(1/K)とし、ランアウトテーブル上の冷却装置によって幅方向に温度差ΔT=±30を生じさせるとすると、金属帯Sの幅方向中央部と幅方向端部との間の伸び差率Δεは約±32.4×10−5となり、金属帯Sが平坦な場合には急峻度で約±1.15%の形状制御が可能となる。
さらに、コイルヤードにおける冷却設備によってコイルCの幅方向端面を水冷却し、幅方向に温度差ΔT=30(K)を生じさせるとすると、同様に急峻度で約1.15%の形状制御が可能となる。つまり、合計で+2.30%〜−1.15%の形状矯正が可能であり、仕上圧延機で付与できる形状矯正量が小さくても、形状矯正が可能である。ランアウトテーブル上の冷却装置を用いて幅方向不均一冷却を行うためには、幅方向の温度差ΔTがプラスの場合、図6に示すようにノズル10から噴射される冷却水11の幅方向流量密度を変化させ、幅方向の温度差ΔTがマイナスの場合は、図7に示すようにマスク装置12を用いて幅方向端部の冷却水11を遮断することで金属帯Sの幅方向に温度分布を発生させる。また、コイルヤードにおける冷却設備では、図8に示すように環状の水冷却設備7aから冷却水11を噴射することによってコイルCの幅方向端部を冷却することにより、幅方向に温度分布を発生させる。
ランアウトテーブル上の冷却装置及びコイルヤードにおける冷却設備における冷却水の流量密度は非特許文献1によれば以下に示す数式(8)によって表される。ここで、hは熱伝達係数(kJ/hmK)、Tは金属帯の温度(K)、wは冷却水の流量密度(L/mmin)、a〜dは補正係数であり、a=2.03、b=0.793、c=0.000308、d=0.083とすることによりランアウトテーブル上の冷却装置及びコイルヤードにおける冷却設備用に合わせ込んでいる。
Figure 2018047483
また、数式(8)においてh=3347とすると、ランアウトテーブル上の冷却装置における冷却水の流量密度と金属帯Sの温度との関係は以下に示す数式(9)で近似される。
Figure 2018047483
数式(9)よりランアウトテーブル上において金属帯Sの幅方向中央部と幅方向端部との間に温度差ΔT=±30Kを生じさせるために必要な冷却水の流量密度は、金属帯Sの幅方向中央部の温度が1103(K)、幅方向端部の温度が1073(K)であるとすると、幅方向中央部と幅方向端部との間の冷却水の流量密度差が9.31(L/mmin)あればよく、ランアウトテーブル上の冷却装置によって容易に達成できる値である。また、コイルヤードでの冷却設備によって温度差ΔT=30(K)を生じさせるのに必要な冷却水の流量密度は、金属帯Sの幅方向中央部の温度が823(K)、幅方向端部の温度が793(K)であるとすると、11.89(L/mmin)であり、一般的な冷却設備によって容易に達成できる値である。
〔実施例1〕
本実施例は、ワークロールベンダー(90〜230tonf/chock)を有する7スタンドの4段仕上圧延機及び最大流量約2000L/min、長さ120mのランアウトテーブル冷却装置を有する熱間圧延設備において、本発明を適用した実施例である。供試材として低炭素鋼、仕上圧延後の板厚2.0mm、板幅1000mm、板長さ1275mを使用し、常温まで冷却後の形状不良の目標範囲は急峻度で±1.5%とした。従来例1として、仕上圧延機以降の形状変化を考慮せずに、仕上圧延によって平坦形状に制御した場合の常温まで冷却後の金属帯形状を図9に示す。従来例1では、常温まで冷却後には先端部で耳波、尾端部で腹伸びの形状不良が確認できた。上記仕上圧延機の形状制御アクチュエータであるワークロールベンダーを使用した場合の金属帯形状の制御範囲は急峻度±0.37%である。
従来例2として、仕上圧延機によって、形状不良を補償するような形状制御を±0.37%の範囲で行った結果を図9に示す。先端部で約±1.8%、尾端部で約2.2%の形状不良が確認でき、仕上圧延機による形状制御能力が十分でないことが確認できた。これに対して、本発明例1では、仕上圧延機において±0.37%の形状制御を行い、さらに形状不良の大きい長手方向位置957〜1200mの範囲内においてコイル端面を水冷却することでコイルヤード形状制御を行い、予測した形状変化を補償するような形状制御を行い、さらにランアウトテーブル冷却装置によって長手方向位置0〜876mの範囲内では金属帯の幅方向中央部の温度を幅方向端部の温度よりも30K低く制御し、長手方向位置876m以降では幅方向中央部の温度を幅方向端部の温度よりも30K高く制御することで形状制御を行うことにより、図9に示すように金属帯全長にわたり急峻度1.5%以下となり、形状不良を目標範囲内に収めることができた。
〔実施例2〕
上記熱間圧延設備において、供試材として極低炭素鋼、仕上圧延後の板厚1.6mm、板幅1200mm、板長さ1320mを使用した場合の結果を図10に示す。従来例3として、仕上圧延機によって金属帯形状を平坦形状に制御し、仕上圧延機以降の形状制御を行わなかった場合の結果を図10に示す。金属帯の先端部では形状不良が小さいが、尾端部において形状不良が大きく、約−1.8%の形状不良が確認できた。これに対して、本発明例2として、コイルヤード冷却設備によって、金属帯の尾端部において形状不良を補償するような形状制御を行った場合の結果を図10に示す。特に形状不良の大きい、金属帯の長手方向位置984〜1282mの範囲内において金属帯の幅方向中央部の温度を幅方向端部の温度よりも30K高く制御することで、予測した形状変化を補償するような金属帯の形状制御を行った。本発明例2では金属帯の全長にわたり、形状不良を目標範囲内に収めることができた。
以上の結果から、形状変化予測モデルを用いて常温まで冷却後の金属帯に対して冷却過程で生じる形状変化を補償するようなコイルヤード冷却後の目標形状を設定し、仕上圧延機、ランアウトテーブル上の冷却装置、及びコイルヤードにおける冷却設備によって形状制御することにより、金属帯の全長にわたって形状不良を目標範囲内に収めることができることが確認された。また、これにより、形状不良部の切捨て量削減による歩留まり向上とコスト削減とを実現できる。
1 仕上圧延機
2 冷却装置
3 コイラー
4 マンドレル
6 コイルヤード
7 冷却設備
8 制御装置
C コイル
S 金属帯

Claims (4)

  1. 仕上圧延機による熱間圧延後の金属帯をコイルヤードにおいて常温まで冷却した際に金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測する予測ステップと、
    前記予測ステップにおいて予測された金属帯の形状変化を補償するように常温まで冷却した際の金属帯の目標形状を金属帯の長手方向位置に応じて設定し、コイルヤード冷却設備を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御する制御ステップと、
    を含むことを特徴とする金属帯の形状制御方法。
  2. 前記制御ステップは、前記仕上圧延機の出側に設けられたランアウトテーブル上の冷却装置を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の金属帯の形状制御方法。
  3. 前記予測ステップは、前記仕上圧延機の出側における金属帯の温度及び平坦度を初期値として、ランアウトテーブルでの冷却、コイラー巻取、及びコイル冷却の各過程での金属帯の温度及び応力・歪み成分を相変態と共に解析することによって、金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属帯の形状制御方法。
  4. 仕上圧延機による熱間圧延後の金属帯をコイルヤードにおいて常温まで冷却した際に金属帯の長手方向の各位置において発生する形状変化を予測する予測手段と、
    前記予測手段によって予測された金属帯の形状変化を補償するように常温まで冷却した際の金属帯の目標形状を金属帯の長手方向位置に応じて設定し、コイルヤード冷却設備を制御することによって常温まで冷却した際の金属帯形状を前記目標形状に制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする金属帯の形状制御装置。
JP2016183667A 2016-09-21 2016-09-21 金属帯の形状制御方法及び形状制御装置 Pending JP2018047483A (ja)

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