JP7310529B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明は、インクジェット式の画像形成装置に関する。
従来、インクジェット式の画像形成装置は、記録ヘッドによって用紙等の記録媒体にインクを吐出して画像を形成する。画像形成装置は、インクを収容するインクコンテナを備え、インクコンテナから記録ヘッドへインクを供給する。
例えば、特許文献1において、インクを記録ヘッドから吐出させることにより記録を行うインクジェット記録装置は、記録ヘッドに設けられ、インク液滴を吐出するノズルと、ノズルへ吐出命令を出し、ノズルから吐出されたインク液滴が通過するまでの時間と通過している時間を検出する検出手段と、吐出している温度を測定する温度測定手段と、検出手段によって得られたデータよりインク特性を判定する判定手段とを備える。そして、インクジェット記録装置は、粘度やインク液滴の重量、吐出速度などのインクの特性を測定し、それに応じた制御を行う。
また、特許文献2のインクジェット記録装置は、インク粒子を噴出するノズル体と、ノズル体に供給するインクを貯留するインク容器と、インク容器に補充するインクを貯留するとともにインクの粘度調整を行なうインク調整容器と、インクの粘度を検知する粘度検出手段とを有する。粘度検出手段は、粘度検知するインクを流通させる粘度検知流路と、粘度検知流路にインクを送る粘度検知用ポンプと、粘度検知流路のインク圧力を検知する圧力センサーを有する。
インクジェット方式の画像形成装置において、画像の品質を一定に保つためには、記録ヘッドのノズルから吐出されるインクの液滴を常に安定させる必要がある。しかし、吐出されるインクの液滴は、ノズル内のインクの粘度に依存するので、インクの粘度が変化すると、液滴を安定させることが困難である。例えば、非ニュートン流体のインクは、インクジェット方式によって高速でノズルから吐出すると、大きなせん断力がかかり、静的な状態に比べて粘度が下がる傾向がある。また、インクは、温度にも依存し、温度が高くなるに連れて粘度が低下し、せん断力に対する依存度も変化する。なお、記録ヘッドは経時的に劣化し、その劣化の挙動は使用環境や使用状況によって変化する。そのため、ノズル内のインクに圧力をかけて吐出させる構成において、圧力を調整する駆動信号の波形を初期条件にしたままで、長期的に液滴を安定させてインクを吐出させることは難しい。
上記の特許文献1のインクジェット記録装置のような画像形成装置では、吐出したインクの液滴の通過時間からインクの粘度を推定するが、吐出後のインクの粘度は、乾燥影響や温湿度状況によって変化する可能性がある。そのため、従来の画像形成装置では、ノズル内のインクの粘度推定の精度が低い。
また、上記の特許文献2のインクジェット記録装置のような画像形成装置では、インク容器内で差圧方式による粘度推定を行っているが、インク容器内とノズル近傍とではインクの粘度が異なる可能性がある。インクの液滴は、インク容器内の粘度よりも吐出直前のインクの粘度に依存するところ、従来の画像形成装置では、吐出直前のインクの粘度推定の精度が低い。
更に、上記のような従来の画像形成装置では、インクの粘度推定に留まり、インクの実際の吐出条件による吐出量を考慮していないため、記録ヘッドの劣化や環境条件の変化等に対して、インクを適切に吐出するための制御精度が低い。
そこで、本発明は上記事情を考慮し、記録ヘッドから吐出されるインクの液滴をより安定させることを目的とする。
本発明の画像形成装置は、インクを吐出する記録ヘッド、を備え、前記記録ヘッドは、前記インクを吐出するノズルと、前記ノズルに連通する流路と、前記流路内の前記インクの圧力を検知する圧力センサーと、を備え、前記圧力センサーが検知した前記インクの圧力及び前記流路内の状態を示す状態要素を用いた予測式に基づいて、前記流路内の前記インクの粘度を算出し、前記ノズルから吐出される前記インクの吐出量を前記インクの粘度に基づいて予測した予測量と、前記インクの粘度を吐出条件とした試験吐出処理によって前記ノズルから吐出された前記インクの吐出量を測定した実測量との差分を算出し、前記差分に基づいて前記予測式の前記状態要素を修正することを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッドから吐出されるインクの液滴をより安定させることが可能となる。
先ず、インクジェット式の画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示す。
図1に示すように、プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備える。プリンター本体2内には、プリンター1の各部を制御する後述の制御部20が設けられる。プリンター本体2の下部には、用紙を収納する給紙カセット3が引出可能に収容される。
プリンター本体2内の右部には、用紙の搬送経路4が設けられ、プリンター本体2内の中央部には、昇降可能な用紙搬送ユニット5が給紙カセット3の上方に設けられる。搬送経路4は、給紙カセット3から用紙搬送ユニット5まで設けられ、搬送経路4の用紙の搬送方向に沿って、上流側から順に、給紙ローラー、搬送ローラー及びレジストローラーが設けられる。
用紙搬送ユニット5は、搬送フレーム5aと、無端状の搬送ベルト5bとを備え、印字動作時に下記の記録ヘッド6に近接した印字位置と、非印字動作時に記録ヘッド6から離間した退避位置との間で、上下方向に昇降可能に構成される。搬送フレーム5aに対して、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーが回転可能に設けられ、搬送ベルト5bは、右側から左側へと用紙の搬送を行うように、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーに巻き掛けられる。搬送ベルト5bには多数の吸気孔が設けられ、搬送ベルト5bの内側には吸気部が設けられていて、吸気部は、搬送ベルト5bの上方から内側へ吸気孔を介して吸気する。
プリンター本体2内の左部には、印字後の用紙を排出するために、印字位置の用紙搬送ユニット5の左側に、用紙搬送部、乾燥装置及び排出ローラーが設けられる。プリンター本体2の左側面には、排出口が排出ローラーの近傍に形成され、排出口の下方には、排紙トレイが左側に突出して設けられる。
また、プリンター本体2内には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクにそれぞれ対応して、4つの記録ヘッド6(6K、6C、6M、6Y)と、4つのインクコンテナ7(7K、7C、7M、7Y)とが設けられる。記録ヘッド6は、ポンプ8及びサブインクタンク9を介してインクコンテナ7に接続される。なお、図1では、ブラックのインクに対応するポンプ8及びサブインクタンク9を図示していて、シアン、マゼンタ、イエローのインクに対応するポンプ8及びサブインクタンク9を省略している。
記録ヘッド6K、6C、6M、6Yは、プリンター本体2内の中央部で用紙搬送ユニット5の上方に並設され、例えば、用紙の搬送方向における上流側(右側)から順に配置される。記録ヘッド6K、6C、6M、6Yは、印字動作時に用紙搬送ユニット5の搬送ベルト5bの上面と対向して、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを搬送ベルト5bへ吐出する。
記録ヘッド6は、図2に示すように、インクを液滴で吐出する多数の吐出部10を備えていて、多数の吐出部10は、例えば、前後方向に並設される。各吐出部10は、インクを吐出するノズル11と、吐出されるインクを収容する流路12と、流路12内の圧力を変動させる圧力発生部13と、複数の圧力センサー14とを備える。即ち、記録ヘッド6は、多数のノズル11を備え、また、多数のノズル11にそれぞれ対応する多数の流路12と多数の圧力発生部13とを備える。記録ヘッド6は、複数の吐出部10をまとめて1つのヘッド本体6aに設けて、1つ以上のヘッド本体6aを有して構成されてよい。
各ノズル11は、ヘッド本体6aの下面に形成されてインクの液滴を形成しながら吐出する吐出口で構成される。各流路12は、ヘッド本体6aの内部に形成されてインクを収容するように構成される。ヘッド本体6aには、複数の吐出部10の各流路12に共通の共通供給路6bが設けられ、共通供給路6bは、第1供給路8aを介してポンプ8に連通している。各流路12の上端は、共通供給路6bに連通し、各流路12の下端は、それぞれ各ノズル11に連通している。即ち、吐出部10のノズル11は、流路12を介してポンプ8及びサブインクタンク9に接続されている。
各圧力発生部13は、各流路12に対応して配置されて各流路12内の圧力を変動させるように構成される。圧力発生部13は、ノズル11から離間していて流路12の上端側に設けられる。圧力発生部13は、例えば、ピエゾ素子等の圧電素子で構成され、制御部20に電気的に接続している。圧力発生部13は、制御部20から入力される駆動信号に応じて変形することで、流路12内の体積を変化させて流路12内のインク等の流体にかかる圧力を変化させる。例えば、圧力発生部13は、流路12の壁面に設けられていて、外側に凹むように変形することで流路12内の体積を増加させて圧力を減少する一方、元の形状に戻り又は内側に突出するように変形することで流路12内の体積を減少させて圧力を増加させる。
複数の圧力センサー14は、流路12の壁面(例えば、内壁面)において、圧力発生部13からノズル11までに至る方向に沿って、ノズル11から離間する方向に間隔を空けた複数の検知位置にそれぞれ配置される。複数の圧力センサー14は、流路12内の複数の検知位置でインク等の流体にかかる圧力を検知する。なお、図2では、吐出部10が3つの圧力センサー14を備える例を図示するが、吐出部10は、少なくとも2つ以上の圧力センサー14を備えればよい。
インクコンテナ7K、7C、7M、7Yは、プリンター本体2内の左下部に並設され、例えば、下側から順に配置される。インクコンテナ7K、7C、7M、7Yは、例えば、プリンター本体2内の左下部に設けられた各コンテナ収納部(図示せず)に対して着脱可能に収納される。インクコンテナ7K、7C、7M、7Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを収容する。
ポンプ8は、第1供給路8aを介して記録ヘッド6に接続され、第2供給路9aを介してサブインクタンク9に接続される。サブインクタンク9は、第3供給路7aを介してインクコンテナ7に接続される。第1供給路8a、第2供給路9a及び第3供給路7aは、例えば、チューブ等で構成される。サブインクタンク9は、所定量のインクを貯留していて、記録ヘッド6がインクを吐出すると、その吐出量のインクを、記録ヘッド6へ供給する。なお、サブインクタンク9に常に所定量のインクを貯留するために、制御部20は、ポンプ8によってインクコンテナ7からサブインクタンク9へインクを供給するように制御する。
プリンター本体2内の左上部には、キャップユニット15及びワイパーユニット16が備えられる。キャップユニット15及びワイパーユニット16は、印字動作時に用紙搬送ユニット5が印字位置にある場合には、用紙搬送ユニット5の左方の待機位置に配置される。また、キャップユニット15及びワイパーユニット16は、非印字動作時に用紙搬送ユニット5が退避位置にある場合には、それぞれ左右方向に移動可能となり、何れかを用紙搬送ユニット5の上方且つ記録ヘッド6の下方の処理位置へ移動することができる。
キャップユニット15は、キャップ部材を備え、処理位置へ移動したときに、キャップ部材によって記録ヘッド6を覆う。ワイパーユニット16は、ワイパー部材と廃インクトレイ16aとを備え、処理位置へ移動したときに、ワイパー部材及び廃インクトレイ16aが記録ヘッド6の下方に配置される。このとき、記録ヘッド6のパージ処理や清掃処理が行われ、パージ処理や清掃処理で生じた廃インクは廃インクトレイ16aに回収される。
また、プリンター本体2内の左下部には、廃インクタンク17が備えられ、廃インクタンク17は、ワイパーユニット16の廃インクトレイ16aに接続され、パージ処理や清掃処理で生じた廃インクを廃インクトレイ16aから受けて収容する。
更に、プリンター本体2内には、図3に示すように、各記録ヘッド6の各吐出部10のノズル11から吐出されるインクの吐出量を測定する吐出量測定部18を備える。吐出量測定部18は、記録ヘッド6毎に設けられてよく、あるいは、4つの記録ヘッド6に共通して設けられてもよい。吐出量測定部18は、制御部20に接続されていて、後述する試験吐出処理において各ノズル11のインクの吐出量を測定し、測定結果の信号を制御部20に送信する。
例えば、吐出量測定部18は、CCD等の撮像装置を備えて構成される。吐出量測定部18は、試験吐出処理において各ノズル11が吐出したインクの液滴を撮像装置によって撮影し、撮影結果のインクの液滴の画像に基づいてインクの吐出量を算出する。
あるいは、吐出量測定部18は、廃インクトレイ16aに収容された廃インクの重量を測定する重量計を備えて構成される。吐出量測定部18は、試験吐出処理において各ノズル11が吐出したインクを廃インクトレイ16aに回収し、廃インクトレイ16aに追加されたインクの重量を重量計によって測定し、測定結果のインクの重量に基づいてインクの吐出量を算出する。
若しくは、吐出量測定部18は、インクコンテナ7又はサブインクタンク9に収容されたインクの重量を測定する重量計を備えて構成される。吐出量測定部18は、試験吐出処理において各ノズル11がインクを吐出したときに、インクコンテナ7又はサブインクタンク9から消費されたインクの重量を重量計によって測定し、測定結果のインクの重量に基づいてインクの吐出量を算出する。
次に、このような構成を備えたプリンター1の印字動作(画像形成動作)について説明する。プリンター1が外部コンピューター等から画像データを受信すると、給紙カセット3内に収納された用紙が、給紙ローラーによって搬送経路4へ送り出される。搬送経路4に送り出された用紙は、搬送ローラーによって搬送経路4の下流側へ搬送され、レジストローラーによって搬送経路4から印字位置の用紙搬送ユニット5の搬送ベルト5bの上面へ送り出される。この用紙は、吸気部の吸引力によって搬送ベルト5bの上面に吸着される。
一方、各記録ヘッド6には、各インクコンテナ7からインクが供給される。各記録ヘッド6は、搬送ベルト5bに吸着された用紙に対して、外部コンピューター等から受信した画像データの情報に基づいてインクを吐出する。これにより、カラーインク画像が用紙の表面に形成される。カラーインク画像を形成された用紙は、用紙搬送部によって搬送されながら乾燥装置によって表面のインクを乾燥された後、排出ローラーによって排出口から排紙トレイ上に排出される。
次に、プリンター1の電気的な構成について図3を参照しながら説明する。プリンター1は、CPU等からなる制御部20と、ROMやRAM、HDD等からなる記憶部21とをプリンター本体2の内部に備える。制御部20は、記憶部21に接続されていて、記憶部21に記憶された制御プログラムや制御用データに基づいて演算処理を実行することにより、制御部20に接続されたプリンター1の各構成要素を制御する。
例えば、制御部20は、搬送経路4の各ローラー、用紙搬送ユニット5の昇降機構(図示せず)、記録ヘッド6の各吐出部10の圧力発生部13及び複数の圧力センサー14、ポンプ8、キャップユニット15及びワイパーユニット16の移動機構(図示せず)、吐出量測定部18等の構成要素に接続されていて、これらの構成要素を制御する。
例えば、記憶部21には、上記した印字動作や、記録ヘッド6の各吐出部10のノズル11から吐出されるインクの粘度を算出する粘度算出処理、各吐出部10のインクの粘度に基づいて試験的にインクの吐出を制御する試験吐出処理を実現するプログラムが記憶されている。
先ず、図4のフローチャートを参照しながら粘度算出処理について説明する。制御部20は、例えば、プリンター1のメンテナンス等において加圧パージを行うタイミングで、粘度算出処理を実行することが好ましい。加圧パージは、記録ヘッド6の各吐出部10のノズル11からインクを強制的に吐出させる動作であり、制御部20は、加圧パージを行うために、印字動作時よりも高い振幅で、オン時間の長い波形の駆動電圧を有する駆動信号を圧力発生部13に入力する。あるいは、制御部20は、所定の印字回数毎に、印字動作中(印字動作の開始時又は終了時)に粘度算出処理を行ってもよい。
粘度算出処理では、吐出部10の複数の圧力センサー14によって流路12内の複数の検知位置でインクの圧力を検知し(ステップS1)、流路12内のインクの圧力に基づいて粘度を算出する粘度予測式を予め定義していて、この粘度予測式によって、吐出部10のノズル11から吐出されるインクの粘度を推定する(ステップS2)。
具体的には、粘度算出処理を行う前段階では、各記録ヘッド6の初期条件として、所定の粘度を有する標準的なインクを吐出する場合に、吐出部10の圧力発生部13を駆動する駆動信号の駆動電圧及び波形を予め定めておく。そして、粘度算出処理では、制御部20は、この初期条件の駆動信号で圧力発生部13を駆動する場合に、吐出部10の流路12の内壁面のせん断応力とせん断速度とを算出して、各記録ヘッド6に紐付けて記憶部21に記憶する。また、記憶部21には、せん断応力とせん断速度とに基づいて粘度を算出する粘度予測式が各記録ヘッド6に紐付けて記憶されていて、制御部20は、粘度予測式によって粘度を予測する。
例えば、粘度ηは、せん断応力τとせん断速度Vとを用いて、粘度予測式である数式η=τ/Vで算出される。せん断速度Vは、インクの流速Qと、流路12内の状態に応じて決定される第1状態要素Aとを用いて、数式V=6Q/Aで算出される。せん断応力τは、流路12内のインクの圧力の傾きαと、流路12内の状態に応じて決定される第2状態要素Bとを用いて、数式τ=-α×Bで算出される。
インクの流速Qは、圧力発生部13に入力する駆動信号(例えば、駆動信号として印加される駆動電圧)に応じて一意に定まる。インクの流速Qは、初期条件の駆動信号に対応した所定の速度として予め設定されてもよく、あるいは、駆動信号の駆動電圧の変化に対応するように、テーブルや数式によって設定されてもよい。
本実施形態では、流路12内の状態を定義するために、流路12の内部空間が、所定の幅wnの矩形断面を有していて、幅wnの異なる1つ以上の領域が高さ方向に含まれることを想定する。ここで、流路12の内部空間が、高さ方向にn個(nは1以上の整数)の領域で構成される場合、各領域は幅wnと高さhnとで構成される。
このとき、流路12内の状態を示す第1状態要素Aは、流路12の幅wnと高さhnとを用いて、数式A=w1h1
2+w2h2
2+w3h3
2+・・・で算出される。流路12内の状態を示す第2状態要素Bは、流路12の幅wnと高さhnとを用いて、数式B=w1h1/(2w1+2h1)+w2h2/(2w2+2h2)+w3h3/(2w3+2h3)+・・・で算出される。
例えば、初期状態の流路12では、内壁に凹凸がないので、第1状態要素Aは、w1h1
2であり、第2状態要素Bは、w1h1/(2w1+2h1)であり、予め設定されて記憶部21に記憶される。また、流路12は、経時的にインクの固着等により内壁に凹凸が生じると、幅wnの異なる領域の数nが増加し、この領域の数nに応じて第1状態要素A及び第2状態要素Bが変化する。流路12内の状態を示す第1状態要素A及び第2状態要素Bとして、例えば、予め設定された所定値を用いてよく、また、プリンター1の印字回数等の使用状況と関連付けて様々な項を予め記憶していて、使用状況に応じて項を追加してよい。また、第1状態要素A及び第2状態要素Bは、後述するように試験吐出処理によって修正される。なお、流路12の内部空間は、上記したような矩形断面を有する例に限定されず、円形断面や他の形状の断面を有して形成されてもよい。その場合、流路12内の状態を示す第1状態要素Aを算出する数式Aや、流路12内の状態を示す第2状態要素Bを算出する数式Bは、上記した例とは異なり、内部空間の断面形状に応じて定義される。例えば、流路12の内部空間が円形断面の場合、直径の異なる1つ以上の領域について、第1状態要素Aや第2状態要素Bが求められてよい。
流路12内のインクの圧力の傾きαは、吐出部10の複数の圧力センサー14が流路12内の複数の検知位置でそれぞれ検知した複数の圧力値の傾きであり、例えば、複数の圧力値を用いた近似式で算出される直線の傾きである。
次に、各吐出部10のインクの試験吐出処理について説明する。制御部20は、上記のように算出した粘度ηに基づいて、吐出部10の圧力発生部13を駆動する駆動信号の駆動電圧や波形等の吐出条件を決定する。例えば、制御部20は、吐出条件を決定するために、各記録ヘッド6の構成に対応する等価回路モデルを予め定義して記憶部21に記憶している。
この等価回路モデルは、最適なインクの吐出(吐出量)に対応する出力成分を得られるように、圧力発生部13の駆動信号に対応する入力成分や、流路12内のインクの粘度に対応する抵抗成分を、吐出条件として決定する。等価回路モデルに対して、抵抗成分である流路12内のインクの粘度は、上記したように算出され、出力成分である最適なインクの吐出量は、予め設定されて記憶部21に記憶されている。なお、出力成分である最適なインクの吐出量は、インクの粘度に拘らず、用紙に対する最適な量として予測した予測される予測量(予測吐出量)である。粘度算出処理で算出したインクの粘度を等価回路モデルの抵抗成分に反映すると共に、予め設定したインクの予測吐出量を等価回路モデルの出力成分に反映することで(ステップS3)、吐出条件としての圧力発生部13の駆動信号(駆動電圧や波形等)を逆算して取得することができる(ステップS4)。
制御部20は、等価回路モデルによって取得した駆動信号を圧力発生部13に入力して、試験的にノズル11からインクを吐出させる(ステップS5)。このとき、制御部20は、吐出量測定部18を制御して、ノズル11が吐出したインクの吐出量を実測量(実測吐出量)として測定する(ステップS6)。そして、制御部20は、等価回路モデルの予測吐出量と試験的な実測吐出量との差分を算出し、差分がある場合又は差分が所定の閾値以上である場合に(ステップS7:NO)、第1状態要素A及び第2状態要素Bを修正する(ステップS8)。制御部20は、修正した第1状態要素A及び第2状態要素Bを含む粘度予測式を記録ヘッド6に紐付けて記憶部21に記憶する。このとき、元の粘度予測式は、修正した粘度予測式によって書き換えられてよい。
例えば、制御部20は、試験吐出処理時のインクの粘度や温度、駆動信号の駆動電圧や波形、予測吐出量と実測吐出量との差分、元の粘度予測式等に基づいて、流路12に生じた領域の幅wn及び高さhnを推定し、その推定結果に基づいて第1状態要素A及び第2状態要素Bを修正する。なお、流路12に推定される領域の幅wn及び高さhnの推定値は、予め実験等によって求めて、実験時のインクの粘度や温度、駆動信号の駆動電圧や波形、予測吐出量と実測吐出量との差分、元の粘度予測式等と関連付けて記憶部21に記憶しておいて、第1状態要素A及び第2状態要素Bを修正するときに記憶部21から読み出して使用するとよい。あるいは、流路12に推定される領域の幅wn及び高さhnの推定値は、インクの粘度や温度、駆動信号の駆動電圧や波形、予測吐出量と実測吐出量との差分、元の粘度予測式等から推定される数式を予め定めておいて、第1状態要素A及び第2状態要素Bを修正するときにこの数式を用いて算出してもよい。
更に、制御部20は、修正した粘度予測式を用いた上記の粘度算出処理と、この粘度算出処理によって算出されたインクの粘度に基づく試験吐出処理とを再度行う。制御部20は、予測吐出量と実測吐出量との差分がなくなるまで、又は差分が所定の閾値未満になるまで、上記のように粘度算出処理と試験吐出処理とを繰り返す。また、制御部20は、予測吐出量と実測吐出量との差分がなくなったとき、又は差分が所定の閾値未満になったとき(ステップS7:YES)、粘度算出処理及び試験吐出処理を終了して、圧力発生部13の駆動信号を最適吐出条件として決定する。その後の印字動作において、制御部20は、各記録ヘッド6の各吐出部10について、流路12内のインクの粘度に基づく吐出条件の駆動信号に応じて、即ち、インクの粘度に基づいて、圧力発生部13を制御する。
なお、インクの粘度は、温度によって変化するため、試験吐出処理で用いられる等価回路モデルは、流路12内の温度を吐出条件として設定可能にして、上記のように算出したインクの粘度に対して、流路12内の温度を考慮することで、インクの粘度を正確に判定するように構成されるとよい。このとき、各記録ヘッド6は、各吐出部10に温度センサー10a(図3参照)を備えて流路12内の温度を検知し、等価回路モデルに設定するとよい。
本実施形態では上述のように、プリンター1は、インクを吐出する記録ヘッド6を備える。記録ヘッド6は、インクを吐出するノズル11と、ノズル11に連通する流路12と、流路12内のインクの圧力を検知する圧力センサー14とを備える。そして、プリンター1の制御部20は、圧力センサー14が検知したインクの圧力及び流路12内の状態を示す状態要素(例えば、上記した第1状態要素A及び第2状態要素B)を用いた粘度予測式に基づいて、流路12内のインクの粘度を算出する。また、制御部20は、ノズル11から吐出されるインクの吐出量をインクの粘度に基づいて予測した予測量と、インクの粘度を吐出条件とした試験吐出処理によってノズル11から吐出されたインクの吐出量を測定した実測量との差分を算出し、差分に基づいて粘度予測式の状態要素を修正する。
これにより、流路12内の状態を考慮するので、流路12内のインクの粘度を精度良く算出して推定することができる。そのため、精度良く推定したインクの粘度に基づいて、圧力発生部13等によるインクの吐出を適切に制御することができ、ノズル11から安定した液滴のインクを吐出させることができる。このように、記録ヘッド6から吐出されるインクの液滴をより安定させることが可能となる。
また、本実施形態では、各記録ヘッド6の各吐出部10について、流路12内の複数の検知位置でインクの圧力を検知するように配置された複数の圧力センサー14を備える。そして、複数の圧力センサー14がそれぞれ検知したインクの圧力に基づいてインクの粘度を算出する。これにより、流路12内の複数の検知位置のインクの圧力に基づいてインクの粘度を算出するので、インクの粘度をより正確に推定することが可能となる。
更に、本実施形態では、各記録ヘッド6の各吐出部10について、複数の圧力センサー14は、圧力発生部13からノズル11までに至る方向に沿って流路12の壁面に順次配置される。これにより、流路12内において、インクの吐出口であるノズル11の近傍から、ノズル11から離間した圧力発生部13までに亘って、複数の検知位置で複数の圧力センサー14を配置するので、吐出口であるノズル11に近づくに連れて変化するインクの粘度をより正確に推定することが可能となる。
また、本実施形態では、制御部20は、状態要素を修正した粘度予測式を、記録ヘッド6に紐付けて記憶部21に記憶する。これにより、プリンター1の使用に伴って経時的に変化する記録ヘッド6の吐出部10の流路12の状態に合わせた粘度予測式を常に用いることができるので、常に精度良くインクの粘度を推定することができる。
更に、本実施形態では、制御部20は、試験吐出処理において、インクの粘度及び流路12内の温度を吐出条件としてインクの吐出を制御する。これにより、粘度予測式で算出したインクの粘度に対して、流路12内の温度を考慮することで、インクの粘度をより正確に判定することができる。
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の異なる画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
1 プリンター(画像形成装置)
5 搬送ユニット
6 記録ヘッド
7 インクコンテナ
8 ポンプ
9 サブインクタンク
10 吐出部
11 ノズル
12 流路
13 圧力発生部
14 圧力センサー
18 吐出量測定部
20 制御部
21 記憶部
5 搬送ユニット
6 記録ヘッド
7 インクコンテナ
8 ポンプ
9 サブインクタンク
10 吐出部
11 ノズル
12 流路
13 圧力発生部
14 圧力センサー
18 吐出量測定部
20 制御部
21 記憶部
Claims (5)
- インクを吐出する記録ヘッド、を備え、
前記記録ヘッドは、
前記インクを吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する流路と、
前記流路内の前記インクの圧力を検知する圧力センサーと、を備え、
前記圧力センサーが検知した前記インクの圧力及び前記流路内の状態を示す状態要素を用いた予測式に基づいて、前記流路内の前記インクの粘度を算出し、
前記ノズルから吐出される前記インクの吐出量を前記インクの粘度に基づいて予測した予測量と、前記インクの粘度を吐出条件とした試験吐出処理によって前記ノズルから吐出された前記インクの吐出量を測定した実測量との差分を算出し、前記差分に基づいて前記予測式の前記状態要素を修正することを特徴とする画像形成装置。 - 前記記録ヘッドは、前記流路内の複数の検知位置で前記インクの圧力を検知するように配置された複数の前記圧力センサーを備え、
複数の前記圧力センサーがそれぞれ検知した前記インクの圧力に基づいて前記インクの粘度を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記記録ヘッドは、前記流路内の圧力を変動させる圧力発生部を備え、
複数の前記圧力センサーは、前記圧力発生部から前記ノズルまでに至る方向に沿って前記流路の壁面に順次配置されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。 - 前記状態要素を修正した前記予測式は、前記記録ヘッドに紐付けられて記憶されることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記試験吐出処理は、前記インクの粘度及び前記流路内の温度を前記吐出条件として前記インクの吐出を制御することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
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