図1に示す本発明に係る加工装置1は、チャックテーブル30上に保持されたウェーハWを加工手段16によって研削加工する装置であり、加工装置1の装置ベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル30に対してウェーハWの着脱が行われる着脱領域Aであり、装置ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工手段16によってチャックテーブル30上に保持されたウェーハWの研削加工が行われる加工領域Bである。
なお、本発明に係る加工装置は、加工装置1のような加工手段16が1軸の研削装置に限定されるものではなく、粗研削手段と仕上げ研削手段とを備え、回転するターンテーブルでウェーハWを各研削手段の下方に位置づけ可能な2軸の研削装置等であってもよい。また、加工装置は、研磨パッドを備える加工手段でウェーハWに研磨加工を施す研磨装置であってもよい。
ウェーハWは、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、図1において下方を向いているウェーハWの表面Waは、格子状に区画された領域に複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。ウェーハWの上側を向いている裏面Wbは、研削加工が施される被加工面となる。なお、ウェーハWはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、セラミックス、樹脂、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、矩形のパッケージ基板等であってもよい。
装置ベース10の-Y方向側の正面には、第1のカセットステージ150及び第2のカセットステージ151が設けられており、第1のカセットステージ150には加工前のウェーハWが収容される第1のカセット21が載置され、第2のカセットステージ151には加工後のウェーハWが収容される第2のカセット22が載置される。
図1に示す第1のカセット21と第2のカセット22とは同様の構成となっているため、以下に、第1のカセット21についてのみ説明していく。
図2に詳しく示す第1のカセット21は、例えば、底板210と、天板211と、後壁212と、2枚の側壁213と、前方側(+Y方向側)の開口214とを有しており、開口214からウェーハWを搬出入できる構成となっている。第1のカセット21の内部には、複数の棚部215が上下方向に所定の間隔をあけて形成されており、棚部215においてウェーハWを一枚ずつ収納することが可能となっている。なお、第1のカセット21の構成は本例に限定されるものではない。
図1、2に示すように、第1のカセット21の開口214の前方には、第1のカセットステージ150に載置された第1のカセット21に収納されるウェーハWを保持し第1のカセット21から搬出するロボット4が配設されている。
ロボット4は、多関節ロボットであり、ウェーハWを保持するロボットハンド40と、ロボットハンド40を移動させる移動手段42と、ロボットハンド40がウェーハWを保持した状態でウェーハWの厚みが所定の正常な厚みであるか否かを判断する判断手段44と、を備えている。
移動手段42は、例えば、ロボットハンド40の一方の面40a(以下、吸着面40aとする。)と吸着面40aの反対の他方の面40b(図2参照)とを反転移動させる反転移動手段45と、ロボットハンド40を上下方向(Z軸方向)に移動させる上下移動手段47と、ロボットハンド40を上下方向に直交する水平方向(X軸方向)に移動させる図2に示すX軸方向移動手段43(即ち、水平移動手段43)と、ロボットハンド40をZ軸方向に延在する旋回軸を軸に水平方向(X軸Y軸平面)で旋回させる旋回移動手段48(図2参照)とを備えている。
図2に示すように、ロボット4は、例えば、長尺板状の第1のアーム421と、長尺板状の第2のアーム422と、Z軸方向に延在する円柱状のロボットハンド連結部423と、第1のアーム421と第2のアーム422とを連結するアーム連結部425と、を備えている。
ロボットハンド連結部423には、第1のアーム421の一端の上面が連結されている。第1のアーム421のもう一端の下面には、アーム連結部425を介して、第2のアーム422の一端の上面が連結されている。第2のアーム422のもう一端の下面は、上下移動手段47を構成する昇降ケーシング470の内部に回転可能に収容された回転軸433に連結されている。
図2に示すように、装置ベース10内には、旋回移動手段48が配設されている。旋回移動手段48は、昇降ケーシング470の中心を旋回軸として昇降ケーシング470を回転させる駆動力を生み出す旋回モータ481と、旋回モータ481のシャフトに連結された旋回ローラ483と、昇降ケーシング470の旋回軸の回転角度を認識する旋回エンコーダ482と、旋回モータ481に流れる電流を制御する電流制御部429と、を少なくとも備えている。旋回エンコーダ482及び旋回モータ481に図示しない配線で電気的につながれた電流制御部429は、旋回エンコーダ482で認識される旋回モータ481の回転角度で昇降ケーシング470の回転角度を認識し、その認識した回転角度によってロボットハンド40の旋回位置を認識し、ロボットハンド40を設定した移動先に移動する際に旋回モータ481に流れる電流を制御することができる。
なお、旋回移動手段48は、昇降ケーシング470の内部に配設していてもよい。
また、図3に示すように、昇降ケーシング470内部には、昇降ケーシング470の内部において旋回軸と同一軸の回転軸433を回転させ、ロボットハンド40をX軸方向に移動させるX軸方向移動手段43が配設されている。X軸方向移動手段43は、第2のアーム422を旋回させるのと連動して第1のアーム421が旋回されロボットハンド40をX軸方向(水平方向)に移動させている。なお、X軸方向移動手段43は、ロボットハンド40を旋回移動手段48で旋回させて、第1のカセット21に対向させることで、ロボットハンド40をY軸方向にも水平移動させることができる。ロボット4は、第2のアーム422の内部の一方の端側のプーリー422aと、他方の端側のプーリー422bと、プーリー422aとプーリー422bとを連結する無端ベルト422cとを備えている。また、ロボット4は、第1のアーム421の内部の一方の端側のプーリー421aと、他方の端側のプーリー421bと、プーリー421aとプーリー421bとを連結する無端ベルト421cとを備えている。また、プーリー422bとプーリー421bとは連結シャフト422dで連結されている。また、プーリー422aと回転軸433とは連結されている。また、プーリー421aとロボットハンド連結部423とは連結されている。
X軸方向移動手段43は、回転軸433を回転させる駆動力源となるX軸モータ431と、回転軸433の回転角度を認識するX軸エンコーダ432と、X軸モータ431に流れる電流を制御する電流制御部429と、を少なくとも備えている。
X軸エンコーダ432及びX軸モータ431に図示しない配線で電気的につながれた電流制御部429は、X軸エンコーダ432で認識されるX軸モータ431の回転角度で回転軸433の回転角度を認識し、その認識した回転角度によってロボットハンド40のX軸方向の位置(又は、Y軸方向の位置)を認識し、設定した移動先にロボットハンド40を移動する際にX軸モータ431に流れる電流を制御することができる。
X軸モータ431に連結する回転軸433を回転させると、第2のアーム422が旋回され、第2のアーム422の旋回によってアーム連結部425で連結する第1のアーム421が旋回され、ロボットハンド40が水平方向に移動される。即ち、第1のアーム421及び第2のアーム422を互いが交差した状態から互いが直線状となる状態等に変形させることができる。
例えば、図2、3に示すように、装置ベース10内には、上下移動手段47が配設されている。上下移動手段47は、昇降ケーシング470と、ロボットハンド40をZ軸方向に移動させる駆動力を生み出すZ軸モータ471と、ロボットハンド40のZ軸方向における高さ位置を認識するZ軸エンコーダ472と、Z軸モータ471に流れる電流を制御する電流制御部429と、を少なくとも備えている。電流制御部429は、Z軸エンコーダ472で認識されるZ軸モータ471の回転角度でロボットハンド40の高さ位置を認識し、設定した移動先にロボットハンド40を移動する際にZ軸モータ471に流れる電流を制御することができる。
また、装置ベース10内には、Z軸モータ471が連結されZ軸方向の軸心を有するボールネジ473と、ボールネジ473と平行に配設された一対のガイドレール474と、内部のナットがボールネジ473に螺合し側部がガイドレール474に摺接する昇降板475とが配設されており、昇降ケーシング470の側面は、図示しないベアリングを介して昇降板475に接続されているとともに、図示しないギア等によって旋回ローラ483にも接続されている。Z軸モータ471がボールネジ473を回動させると、これに伴い昇降板475がガイドレール474にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板475に接続された昇降ケーシング470もZ軸方向に往復移動する。
Z軸エンコーダ472は、Z軸モータ471の回転軸の回転角度を検出して、該回転角度から昇降板475のZ軸方向における移動量、換言すれば、ロボットハンド40のZ軸方向における移動量を算出して、ロボットハンド40の高さ位置を常に認識することができる。Z軸エンコーダ472は、認識したZ軸モータ471の回転角度の情報、換言すれば、認識したロボットハンド40の高さ位置についての情報を電気的に接続された電流制御部429に送信可能となっている。
モータドライバ等からなる電流制御部429は、Z軸モータ471に電気的に接続されており、図示しない駆動電源が電力を供給することでZ軸モータ471に流れる電流の量を制御することができる。
ロボットハンド連結部423の上端側には、反転移動手段45が配設されている。反転移動手段45は、例えば、図2においては鉛直方向(Z軸方向)に直交するX軸方向の軸心を有するスピンドル450を回転可能に支持するハウジング451を備えている。例えばハウジング451の内部には、ロボットハンド40の一方の面40a(吸着面40a)と他方の面40bとを反転移動させる駆動力を生み出す反転モータ454が配設されている。そして、反転モータ454には、反転エンコーダ456が接続されており、反転エンコーダ456は、反転モータ454の回転軸の回転角度を検出して、該回転角度からロボットハンド40の吸着面40aが例えば上下のどちらを向いているのかを常に認識することができる。
反転エンコーダ456は、認識した反転モータ454の回転角度の情報、換言すれば認識したロボットハンド40の吸着面40aの向きについての情報を電気的に接続された電流制御部429に送信可能となっている。電流制御部429は、反転モータ454に電気的に接続されており、図示しない駆動電源が電力を供給することで反転モータ454に流れる電流の量を制御することができ、反転エンコーダ456で認識される反転モータ454の回転角度でロボットハンド40の吸着面40aの向きを上下反転させる際に反転モータ454に流れる電流を制御することができる。
図2に示す反転モータ454が生み出す駆動力により回転するスピンドル450の先端側は、ハウジング451から+X方向に突出しており、この先端側に、ロボットハンド40の根元側が装着される支持ホルダ452が配設されている。反転モータ454がスピンドル450を回転させることに伴って、スピンドル450に支持ホルダ452を介して接続されているロボットハンド40が回転して、ロボットハンド40の吸着面40aを上下に反転させることができる。
支持ホルダ452に装着されウェーハWを吸引保持する板状のロボットハンド40は、例えば、支持ホルダ452に装着される矩形平板状の基部400と、基部400に一体的に形成され平面視略U字状の吸引部401とを備えている。なお、ロボットハンド40は、本実施形態における形状に限定されるものではない。
図1、2において、ロボットハンド40の上側を向いている吸着面40aは平滑に仕上げられている。また、ウェーハWに接触した場合に、ウェーハWを傷付けないように吸着面40aの端部(稜線)には面取りが施されていてもよい。
吸着面40aには、複数の吸引孔403が開口している。吸引孔403は、例えば、吸着面40aの外周側の領域に略等間隔空けて、5箇所にそれぞれ3つずつ又は4つずつ並べて開口している。なお、吸引孔403の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。
なお、吸引孔403には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
各吸引孔403にはロボットハンド40の内部を通る吸引路404の一端がそれぞれ連通しており、吸引路404のもう一端は、ロボットハンド40の旋回移動を妨げないように可撓性を備える樹脂チューブ490が図示しない継手等を介して連通している。そして、樹脂チューブ490のもう一端側は、真空発生装置、又はエジェクター機構等の吸引源49に接続されている。なお、図2においては、1つの吸引孔403のみに吸引路404を連通させるように図示しているが、他の吸引孔403にもそれぞれ吸引路404は連通している。
図2に示すロボットハンド40がウェーハWを保持した状態でウェーハWの厚みが所定の正常な厚みであるか否かを判断する判断手段44は、CPU等で構成され、電流制御部429に電気的に接続されている。電流制御部429は、Z軸モータ471に流れる電流の値についての情報、反転モータ454に流れる電流の値の情報、及びX軸モータ431に流れる電流の値についての情報を判断手段44の電流値比較部440に送信できる。そして、本実施形態における判断手段44は、例えば、上記電流値比較部440と、メモリ等からなる記憶部443と、を備えている。
図1に示すように、ロボット4に隣接する位置には、仮置き領域152が設けられており、仮置き領域152には位置合わせ手段153が配設されている。位置合わせ手段153は、第1のカセット21から搬出され仮置き領域152に載置されたウェーハWを、縮径する位置合わせピンで所定の位置に位置合わせ(センタリング)する。
位置合わせ手段153に隣接する位置には、ウェーハWを保持した状態で旋回移動するローディングアーム154aが配置されている。ローディングアーム154aは、位置合わせ手段153によって位置合わせされたウェーハWを吸引保持し、加工領域B内に配設されているチャックテーブル30に搬送する。
ウェーハWを吸引保持するチャックテーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなりウェーハWを吸引保持する保持面300を備えている。チャックテーブル30は、軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸に回転可能であると共に、カバー39によって周囲を囲まれており、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー39aの下に配設された図示しないY軸方向移動手段によって、装置ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。
装置ベース10上の後方側(+Y方向側)には、コラム100が立設されており、コラム100の前面には、加工手段16をZ軸方向に加工送りする加工送り手段17が配設されている。加工送り手段17は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173と、昇降板173に連結され加工手段16を保持するホルダ174とから構成され、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ174に支持された加工手段16もZ軸方向に往復移動する。
ロボット4により搬出されチャックテーブル30に保持されたウェーハWを加工する加工手段16は、軸方向がチャックテーブル30の保持面300に直交するZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に取り付けられたマウント163と、マウント163に着脱可能に接続された研削ホイール164とを備える。研削ホイール164は、ホイール基台と、略直方体形状の外形を備えホイール基台の下面に複数環状に配設された研削砥石とを備えている。
加工手段16の下方に位置づけられた状態のチャックテーブル30に隣接する位置には、例えば、研削中においてチャックテーブル30によって保持されているウェーハWの厚みを接触式にて測定する厚み測定手段38が配設されている。
加工手段16によって研削加工が施されたウェーハWは、着脱領域A内に配設されたアンローディングアーム154bによってチャックテーブル30から搬出される。
図1に示すように、着脱領域A内のアンローディングアーム154bに近接する位置には、アンローディングアーム154bにより搬送された加工後のウェーハWの上側を向いた裏面Wbを洗浄する枚葉式のスピンナ洗浄機構156が配置されている。スピンナ洗浄機構156は、スピンナーテーブル156aでウェーハWの下側を向いた表面Waを保持し、保持されたウェーハWの上方を移動する洗浄ノズル156bから、洗浄水をウェーハWの裏面Wbに噴射して裏面Wbの洗浄を行う。
スピンナ洗浄機構156により洗浄及び例えば回転乾燥されたウェーハWは、ロボット4により第2のカセット22に搬入される。
以下に、図1に示す加工装置1において、チャックテーブル30に保持されたウェーハWを研削する場合の加工装置1の動作について説明する。
図2に示すように、第1のカセット21内において、ウェーハWの表面Waは、例えば下側を向いた状態になっている。そして、例えば、ロボットハンド40の吸着面40aが、下側を向いているウェーハWの表面Waを吸引保持するために、スピンドル450が回転することで上側(+Z方向側)を向いた状態にセットされる。
例えば、図2に示すロボットハンド40が、Z軸エンコーダ472で認識される高さ位置Z1に位置している。この高さ位置Z1のロボットハンド40を第1のカセット21内に進入させる。即ち、旋回移動手段48がロボットハンド40を旋回させて、また、X軸方向移動手段43(水平移動手段43)がロボットハンド40を水平移動させて、ロボットハンド40が第1のカセット21の開口214から第1のカセット21の内部の所定の位置まで進入していき、例えば、ロボットハンド40の中心とウェーハWの中心とが略合致するように、ロボットハンド40が水平面内における所定位置に位置づけられる。
その後、ロボットハンド40を、高さ位置Z1から図4に示す高さ位置Z3まで上昇させる。その際、高さ位置Z2(狙いのウェーハWが収納されている棚部215の高さ位置Z2)をロボットハンド40は通過する。高さ位置Z2を通過する際に、吸引源49によって生み出された吸引力が伝達されたロボットハンド40の吸着面40aでウェーハWを吸着保持する。例えば、高さ位置Z1から高さ位置Z2までをロボットハンド40を上昇させる際に、図示しない駆動電源が電力を供給することでZ軸モータ471に流れる電流の値は、電流制御部429により制御された電流値CV1(図5参照)となっている。
そして次の段階において、以下に説明する判断手段44によるウェーハWの厚みが正常であるか否かの判断が行われる。なお、判断手段44による該判断は、図4に示す例のように、ウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が第1のカセット21内にある段階で行われてもよいが、それよりも後の段階、即ち、図4に示すウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が+Y方向に移動されて、ウェーハWが第1のカセット21から搬出された段階で行われてもよい。
なお、図4において、上下移動手段47及び反転移動手段45の各構成は簡略化して示している。
判断手段44の判断が行われるにあたって、例えば、図4に示す上下移動手段47によってロボットハンド40が+Z方向に上記のように上昇して、ロボットハンド40が、Z軸エンコーダ472で認識される高さ位置Z3に位置付けられる。ロボットハンド40にウェーハWの重さが加わった状態におけるZ軸モータ471に流れる電流の量は、電流制御部429により制御される。つまり、高さ位置Z2から高さ位置Z3に移動する際のZ軸モータ471の電流値は、高さ位置Z1から高さ位置Z2までをロボットハンド40を上昇させる際のロボットハンド40がウェーハWを持たないときの電流値CV1よりも大きな図5の棒グラフG1で示す電流値CV2となる。これは、ウェーハWを保持する前と保持した後とのいずれにおいても所定の速度を保ってロボットハンド40を移動させるために、Z軸モータ471に作用する負荷がロボットハンド40がウェーハWを保持することで大きくなった場合でも、Z軸モータ471は一定の回転数で回転するようにZ軸エンコーダ472と電流制御部429とでフィードバック制御されているためである。
なお、図5に示す電流値は、Z軸モータ471が加速を完了し等速動作時の電流値を示している。なお、加速動作時の電流値で判断してもよい。
図4に示す電流制御部429は、Z軸モータ471に流れる電流の電流値CV2についての情報を判断手段44に送信する。
例えば、判断手段44の記憶部443には、正常な重さのウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が、所定の速度で上昇しているときに電流制御部429により制御されZ軸モータ471に流れる電流値についての、上限値CV3及び下限値CV4(図5参照)が記憶されている。これによって、Z軸モータ471に流れる電流値についての所定範囲である上限値CV3~下限値CV4が予め判断手段44に設定された状態になっている。該所定範囲である上限値CV3~下限値CV4は、過去の実験から得られたデータによって定められた範囲である。
なお、正常な重さのウェーハWとは、厚みが厚すぎず、かつ、薄すぎず、研削を適切に施せる所定の範囲内の厚みを有し、また、外周縁等に欠けが発生していないウェーハである。
図4に示す判断手段44の電流値比較部440は、電流制御部429から送られてくるZ軸モータ471に流れる電流の電流値CV2が、予め設定された所定範囲(上限値CV3~下限値CV4内)に入るか入らないかを比較する。そして、図5の棒グラフG1に示すように、電流制御部429により制御されZ軸モータ471に流れる電流値CV2は、上限値CV3~下限値CV4内にあるため、図4に示す判断手段44は、保持したウェーハWが正常な厚みであると判断する。そして、判断手段44がウェーハWは正常な厚みであると判断すると、ロボット4は、ウェーハWを図1に示すチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させるべく、ウェーハWを仮置き領域152に搬送する。
例えば、図4に示すウェーハWを保持したロボットハンド40が高さ位置Z2から高さ位置Z3に移動する際に、電流制御部429が制御しZ軸モータ471に流れる電流の電流値についての情報が、図5の棒グラフG2で示す電流値CV5であったとする。この場合には、図4に示す電流値比較部440は、Z軸モータ471に流れる電流の電流値CV5が、予め設定された所定範囲である上限値CV3~下限値CV4内に入らず、下限値CV4を下回っていると判断する。そして、判断手段44は、ウェーハWが異常な厚みである、即ち、ウェーハWが正常な厚みよりも薄すぎたり、又は、ウェーハWの例えば外周縁等に欠けが生じたりしていると判断する。
この場合には、ロボット4は、図1に示す加工装置1に付属するスピーカーから警報音を鳴らす、又はモニターにエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。作業者は、例えば欠けを有するウェーハW等は製品にならないものとして、ロボットハンド40から離脱させる。または、加工装置1は、製品にならないウェーハWを載置する抜き取りテーブルをロボット4の可動範囲内に備え、ロボット4によって、該抜き取りテーブルに製品とならないウェーハWを搬送させてもよい。
例えば、図4に示すウェーハWを保持したロボットハンド40が高さ位置Z2から高さ位置Z3に移動する際に、電流制御部429が制御しZ軸モータ471に流れる電流の電流値についての情報が、図5の棒グラフG3で示す電流値CV6であったとする。この場合には、図4に示す電流値比較部440は、Z軸モータ471に流れる電流の電流値CV6が、予め設定された所定範囲である上限値CV3~下限値CV4内に入らず、上限値CV3を上回っていると判断する。そして、判断手段44は、ウェーハWが異常な厚みである、即ち、ウェーハWが所定の正常な厚みよりも厚すぎると判断する。
この場合には、ロボット4は、警報音を鳴らす又はエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。判断手段44による上記判断が実施された後に、該判断がされた厚すぎるウェーハWは、図1、4に示すロボット4によって第1のカセット21に戻される。そして、作業者は厚すぎるウェーハWが収容されている第1のカセット21の棚部215の位置(段番号)を把握できる。例えば、ロボット4の記憶部443に、厚すぎるウェーハWが収容された第1のカセット21の棚部215の段番号が記憶されてもよい。
その後、厚すぎるウェーハWは、加工装置1に設定されるウェーハWの加工条件を変えることで適切に研削可能となる。
先に説明した通り、判断手段44がウェーハWは正常な厚みであると判断した場合に、図1に示すロボット4がウェーハWを仮置き領域152に移動させる。そして、位置合わせ手段153によりウェーハWが仮置き領域152上でセンタリングされた後、ローディングアーム154aが、センタリングされたウェーハWをチャックテーブル30上に搬送する。そして、図示しない吸引源が作動して、チャックテーブル30がウェーハWを裏面Wbが上方に露出した状態で吸引保持する。
ウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30が+Y方向へ移動し、加工手段16の研削ホイール164の回転中心がウェーハWの回転中心に対して所定距離だけ水平方向にずれ、研削ホイール164の回転軌跡がウェーハWの回転中心を通るように、チャックテーブル30が所定位置に位置づけられる。
加工手段16が加工送り手段17によって-Z方向へと送られ、研削ホイール164がウェーハWの裏面Wbに当接することで研削加工が行われる。研削中は、チャックテーブル30が回転するのに伴ってウェーハWも回転するので、研削ホイール164がウェーハWの裏面Wbの全面の研削加工を行う。また、研削ホイール164とウェーハWの裏面Wbとの接触箇所に対して研削水が供給され、研削水による接触箇所の冷却及び研削屑の洗浄除去が行われる。
厚み測定手段38によるウェーハWの厚み測定がされつつ、所望の厚みになるまでウェーハWが研削された後、図1に示す加工送り手段17が加工手段16を上昇させウェーハWから離間させることで、ウェーハWの研削加工が完了する。
次いで、ウェーハWを吸引保持したチャックテーブル30が、-Y方向に移動されて、アンローディングアーム154bの近傍に位置づけられる。そして、図1に示すアンローディングアーム154bが、チャックテーブル30上のウェーハWをスピンナ洗浄機構156に搬送する。スピンナ洗浄機構156がウェーハWを洗浄・乾燥した後、ロボット4がウェーハWを第2のカセット22に搬入する。
上記のように、本発明に係る加工装置1は、ロボット4は、ウェーハWを保持するロボットハンド40と、ロボットハンド40を上下移動させる上下移動手段47と、ロボットハンド40に保持されたウェーハWの厚みが所定の正常な厚みであるか否かを判断する判断手段44と、を備え、上下移動手段47は、ロボットハンド40を上下移動させる駆動力を生み出すZ軸モータ471と、ウェーハWを保持したロボットハンド40を上昇させる際に該Z軸モータ471に供給する電力を制御する電流制御部429と、を備え、判断手段44は、ウェーハWを保持したロボットハンド40をZ軸エンコーダ472で認識される高さ位置Z2から高さ位置Z3へ所定の速度で移動する際に電流制御部429によって制御されZ軸モータ471に流れる電流の値が、予め設定された所定範囲内(例えば、上限値CV3~下限値CV4内)であったら保持したウェーハWが正常な厚みであると判断しウェーハWをチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させ、電流の値が、予め設定された所定範囲内(上限値CV3~下限値CV4内)から外れていたら保持したウェーハWが異常な厚みであると判断することで、例えば、ロボット4が第1のカセット21内でウェーハWを保持した際に、ウェーハWの厚みの異常に気づくことができる。したがって、厚み異常のウェーハWをチャックテーブル30に搬送するという無駄な動作を行わなくて済み、作業効率を向上させることができる。
なお、判断手段44による上記判断は、図4に示すウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が+Y方向に移動されて、ウェーハWが第1のカセット21から搬出された段階で行われることで、多少判断時点は遅くなるものの、より精度の高いウェーハWの厚み異常判断が可能となる。
図6に示すように、判断手段44によるウェーハWの厚みが正常であるか否かの判断は、上下移動手段47ではなく、反転移動手段45を用いて行われてもよい。反転移動手段45を用いた判断手段44によるウェーハWの厚み異常判断は、先に説明したようにロボットハンド40がウェーハWを吸引保持した後、ロボットハンド40が第1のカセット21内からウェーハWを図6に示すように搬出して、ロボットハンド40が反転移動可能な段階で行われる。
判断手段44の判断は、図6に示す反転移動手段45によって、ウェーハWを保持するべく+Z方向側に吸着面40aが向けられていたロボットハンド40が、例えば180度回転されて吸着面40aが-Z方向を向いた状態になるまでに行われる。なお、判断するための反転モータ454の回転角度(以下、回転角度θ2とする)は、180度に限定されない。たとえば、90度回転させる時に判断してもよい。
ここで、例えば、ウェーハWを吸引保持していないと仮定した場合に、反転エンコーダ456が認識する反転モータ454の回転角度θ2(180度)へロボットハンド40を反転移動させる際に、図示しない駆動電源が電力を供給することで反転モータ454に流れる電流の値は、電流制御部429により制御された電流値CV7(図7参照)となっている。
一方、図6に示すように、ロボットハンド40が保持したウェーハWの重さで反転エンコーダ456により認識される回転角度θ2が180度になるまで反転モータ454が回転する際に、反転モータ454に流れる電流の量は、電流制御部429により制御されロボットハンド40がウェーハWを保持していないときの上記電流値CV7よりも大きな図7の棒グラフG4で示す電流値CV8となる。
図6に示す電流制御部429は、反転モータ454に流れる電流の電流値CV8についての情報を判断手段44に送信する。
例えば、判断手段44の記憶部443には、正常な重さのウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が、反転モータ454の回転角度が回転角度θ2(180度)となるまでの間において、増加したウェーハWの重さで電流制御部429により制御され反転モータ454に流れる電流値についての、上限値CV9及び下限値CV10(図7参照)が記憶されている。これによって、反転モータ454に流れる電流値についての所定範囲である上限値CV9~下限値CV10が予め判断手段44に設定された状態になっている。該所定範囲である上限値CV9~下限値CV10は、過去の実験から得られたデータによって定められた範囲である。
図6に示す判断手段44の電流値比較部440は、電流制御部429から送られてくる反転モータ454に流れる電流の電流値CV8が、予め設定された所定範囲(上限値CV9~下限値CV10内)に入るか入らないかを比較する。そして、図7の棒グラフG4に示すように、電流制御部429により制御され反転モータ454に流れる電流値CV8は、上限値CV9~下限値CV10内にあるため、図6に示す判断手段44は、保持したウェーハWが正常な厚みであると判断する。そして、判断手段44がウェーハWは正常な厚みであると判断すると、ロボット4は、ウェーハWを図1に示すチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させるべく、ウェーハWを仮置き領域152に搬送する。
例えば、図6に示すウェーハWを保持したロボットハンド40を反転させるべく、反転エンコーダ456で認識される反転モータ454の回転角度が回転角度θ2(180度)になるまでに、反転モータ454に流れる電流の電流値についての電流制御部429から送られてくる情報が、図7の棒グラフG5で示す電流値CV11であったとする。この場合には、電流値比較部440は、反転モータ454に流れる電流の電流値CV11が、予め設定された所定範囲である上限値CV9~下限値CV10内に入らず、下限値CV10を下回っていると判断する。そして、判断手段44は、ウェーハWが正常な厚みよりも薄すぎたり、又は、ウェーハWの例えば外周縁等に欠けが生じたりしていると判断する。
この場合には、ロボット4は、警報やエラー表示により作業者に該判断を通知する。作業者は、例えば欠けを有するウェーハW等は製品とならないものとして、ロボットハンド40から離脱させる。または、加工装置1は、製品とならないウェーハWを載置する抜き取りテーブルに、製品とならないウェーハWを搬送させてもよい。
例えば、図6に示すウェーハWを保持したロボットハンド40を反転させるべく、反転エンコーダ456で認識される反転モータ454の回転角度が回転角度θ2になるまで反転モータ454に流れる電流の電流値についての情報が、図7の棒グラフG6で示す電流値CV12であったとする。この場合には、図6に示す電流値比較部440は、反転モータ454に流れる電流の電流値CV12が、予め設定された所定範囲である上限値CV9~下限値CV10内に入らず、上限値CV9を上回っていると判断する。そして、判断手段44はウェーハWが所定の正常な厚みよりも厚すぎると判断する。
この場合には、ロボット4は、警報音を鳴らす又はエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。判断手段44による上記判断が実施された後に、該判断がされた厚すぎるウェーハWは、図1、6に示すロボット4によって第1のカセット21に戻される。その後、厚すぎるウェーハWは、加工装置1に設定されるウェーハWの加工条件を変えることで適切に研削可能となる。
先に説明した通り、判断手段44がウェーハWは正常な厚みであると判断した場合に、図1に示すロボット4がウェーハWを仮置き領域152に移動させる。そして、先に説明した工程と同様の工程が実施されて、ウェーハWが研削される。
上記のように、本発明に係る加工装置1は、ロボット4は、ウェーハWを保持するロボットハンド40と、ロボットハンド40を反転移動させる反転移動手段45と、ロボットハンド40に保持されたウェーハWの厚みが所定の正常な厚みであるか否かを判断する判断手段44と、を備え、反転移動手段45は、ロボットハンド40を反転移動させる駆動力を生み出す反転モータ454と、ウェーハWを保持したロボットハンド40を反転移動させる際に該反転モータ454に供給する電力を制御する電流制御部429と、を備え、判断手段44は、ウェーハWを保持したロボットハンド40が反転エンコーダ456で認識される反転モータ454の回転角度が回転角度θ2になるまでに所定の反転移動速度で回転される際に、電流制御部429によって制御され反転モータ454に流れる電流の値が、予め設定された所定範囲内(例えば、上限値CV9~下限値CV10内)であったら保持したウェーハWが正常な厚みであると判断しウェーハWをチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させ、電流の値が、予め設定された所定範囲内(上限値CV9~下限値CV10内)から外れていたら保持したウェーハWが異常な厚みであると判断することで、例えば、ロボット4が第1のカセット21からウェーハWを保持して取り出した後に、ロボットハンド40を反転移動させ、ウェーハWの厚みがウェーハWの正常な厚みと差がある異常な厚みであっても、該厚みの異常に気づくことができるので、厚み異常のウェーハWをチャックテーブル30に搬送するという無駄な動作を行わなくて済み、作業効率を向上させることができる。
例えば、判断手段44によるウェーハWの厚みが正常であるか否かの判断は、上下移動手段47ではなく、図8に示すように、X軸方向移動手段43を用いて行われてもよい。X軸方向移動手段43を用いた判断手段44によるウェーハWの厚み異常判断は、先に説明したようにロボットハンド40がウェーハWを吸引保持した後、例えば、ロボットハンド40が第1のカセット21内からウェーハWを図8に示すように搬出する際に行われる。即ち、例えば、ロボットハンド40が、図8に示す位置Y1から位置Y2に移動することで、図2に示す第1のアーム421及び第2のアーム422を、互いが直線状となっている状態(アームが伸びてロボットハンド40が第1のカセット21内にある状態)から互いが交差した状態(アームが折りたたまれて短くなりロボットハンド40が第1のカセット21内から出た状態)に変形する際に厚み異常判断が行われる。
ここで、例えば、ウェーハWをロボットハンド40が吸引保持していないと仮定した場合に、ロボットハンド40が、図8に示す位置Y1から位置Y2に所定の速度を保って移動する際(水平面内における所定の距離を所定の速度で移動する際)にX軸モータ431を回転させるために駆動電源が電力を供給することでX軸モータ431に流れる電流の値は、電流制御部429により制御された電流値CV13(図9参照)となっている。
一方、図8に示すように、ウェーハWを保持したロボットハンド40を位置Y1から位置Y2に所定の速度を保って移動させるためにX軸モータ431が回転する際に、X軸モータ431に流れる電流の量は、電流制御部429により制御されロボットハンド40がウェーハWを保持していないときの上記電流値CV13よりも大きな図9の棒グラフG7で示す電流値CV14となる。
図8に示す電流制御部429は、X軸モータ431に流れる電流の電流値CV14についての情報を判断手段44に送信する。
例えば、判断手段44の記憶部443には、正常な重さのウェーハWを吸引保持したロボットハンド40が、所定の速度で位置Y1から位置Y2に移動する間において、電流制御部429により制御されX軸モータ431に流れる電流値についての、上限値CV15及び下限値CV16(図9参照)が記憶されている。これによって、X軸モータ431に流れる電流値についての所定範囲である上限値CV15~下限値CV16が予め判断手段44に設定された状態になっている。該所定範囲である上限値CV15~下限値CV16は、過去の実験から得られたデータによって定められた範囲である。
図8に示す判断手段44の電流値比較部440は、X軸モータ431に流れる電流の電流値CV14が、予め設定された所定範囲(上限値CV15~下限値CV16内)に入るか否かを比較する。そして、図9の棒グラフG7に示すように、電流制御部429により制御されX軸モータ431に流れる電流値CV14は、上限値CV15~下限値CV16内にあるため、図8に示す判断手段44は、保持したウェーハWが正常な厚みであると判断する。そして、ロボット4は、ウェーハWを図1に示すチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させるべく、ウェーハWを仮置き領域152に搬送する。
例えば、図8に示すウェーハWを保持したロボットハンド40を位置Y1から位置Y2に水平移動させるためにX軸モータ431が回転する際に、電流制御部429から送られてくるX軸モータ431に流れる電流の電流値についての情報が、図9の棒グラフG8で示す電流値CV17であったとする。この場合には、電流値比較部440は、X軸モータ431に流れる電流の電流値CV17が、予め設定された所定範囲である上限値CV15~下限値CV16内に入らず、下限値CV16を下回っていると判断する。そして、判断手段44は、ウェーハWが正常な厚みよりも薄すぎたり、又は、ウェーハWの例えば外周縁等に欠けが生じたりしていることで、X軸モータ431の負荷電流値が通常よりも低くなったと判断する。この場合には、ロボット4は、警報やエラー表示により作業者に該判断を通知する。作業者は、例えば欠けを有するウェーハW等は製品とならないものとして、ロボットハンド40から離脱させる。または、加工装置1は、製品とならないウェーハWを載置する抜き取りテーブルに、製品とならないウェーハWを搬送させてもよい。
例えば、図8に示すウェーハWを保持したロボットハンド40を位置Y1から位置Y2に水平移動させるためにX軸モータ431が回転する際に、電流制御部429から送られてくるX軸モータ431に流れる電流の電流値についての情報が、図9の棒グラフG9で示す電流値CV18であったとする。この場合には、図8に示す電流値比較部440は、X軸モータ431に流れる電流の電流値CV18が、予め設定された所定範囲である上限値CV15~下限値CV16内に入らず、上限値CV15を上回っていると判断する。そして、判断手段44は、ウェーハWが所定の正常な厚みよりも厚すぎることで、X軸モータ431の負荷電流値が通常よりも大きい値になったと判断する。
この場合には、ロボット4は、警報音を鳴らす又はエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。判断手段44による上記判断が実施された後に、該判断がされた厚すぎるウェーハWは、図1、8に示すロボット4によって第1のカセット21に戻される。その後、厚すぎるウェーハWは、加工装置1に設定されるウェーハWの加工条件を変えることで適切に研削可能となる。
先に説明した通り、判断手段44がウェーハWは正常な厚みであると判断した場合に、図1に示すロボット4がウェーハWを仮置き領域152に移動させる。そして、先に説明した工程と同様の工程が実施されて、ウェーハWが研削される。
上記のように、本発明に係る加工装置1は、ロボット4は、ウェーハWを保持するロボットハンド40と、ロボットハンド40を水平移動させる水平移動手段43(X軸方向移動手段43)と、ロボットハンド40に保持されたウェーハWの厚みが所定の正常な厚みであるか否かを判断する判断手段44と、を備え、水平移動手段43は、ロボットハンド40を水平移動させる駆動力を生み出すX軸モータ431と、ウェーハWを保持したロボットハンド40を水平移動させる際に該X軸モータ431に供給する電力を制御する電流制御部429と、を備え、判断手段44は、ウェーハWを保持したロボットハンド40を位置Y1から位置Y2に水平移動させるためにX軸モータ431が回転される際に、電流制御部429によって制御されX軸モータ431に流れる電流の値が、予め設定された所定範囲内(例えば、上限値CV15~下限値CV16内)であったら保持したウェーハWが正常な厚みであると判断しウェーハWをチャックテーブル30に搬送させ加工を実施させ、電流の値が、予め設定された所定範囲内(上限値CV15~下限値CV16内)から外れていたら保持したウェーハWが異常な厚みであると判断することで、例えば、ロボット4が第1のカセット21からウェーハWを保持して取り出す際に、ウェーハWの厚みがウェーハWの正常な厚みと差がある異常な厚みであっても、該厚みの異常に気づくことができるので、厚み異常のウェーハWをチャックテーブル30に搬送するという無駄な動作を行わなくて済み、作業効率を向上させることができる。
本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている加工装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。