以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~図11を参照して、一実施形態によるダイカストマシン1の構成について説明する。
(ダイカストマシンの構成)
図1に示すように、ダイカストマシン1は、移動金型21が水平方向に移動される横型のマシンである。また、ダイカストマシン1は、コールドチャンバ方式のマシンであり、ダイカストマシン1に取り付けられた金型2内(移動金型21と固定金型22とにより形成されるキャビティC)に、液状の金属材料である溶湯Mを射出することによりダイカスト製品(成形品)を製造するように構成されている。
ダイカストマシン1は、金型2と、スリーブ3と、給湯装置4と、蓋機構5と、プランジャ6と、射出装置7とを備えている。
金型2は、ダイカスト製品(成形品)を成形するためのキャビティC(空洞部分)を形成するように構成されている。
具体的には、金型2は、移動金型21と、固定金型22とを含んでいる。固定金型22は、固定ダイプレート23に固定されている。移動金型21は、固定金型22に当接または離間する方向(X方向)に移動可能に移動ダイプレート24に取り付けられている。キャビティCは、固定金型22に移動金型21を当接させることにより形成されている。
スリーブ3は、プランジャ6をX方向に移動可能に収容するとともに溶湯Mを給湯可能に構成されている。
具体的には、スリーブ3は、給湯口31と、溶湯通路32とを含んでいる。スリーブ3は、筒形状を有している。スリーブ3は、X方向に延びている。給湯口31は、給湯装置4により溶湯Mを溶湯通路32内に給湯するために設けられている。給湯口31は、スリーブ3の上側(Z1方向側)の部分をZ方向に貫通している。溶湯通路32は、スリーブ3をX方向に貫通する貫通孔である。溶湯通路32は、X1方向においてキャビティCに連通している。
給湯装置4は、溶湯炉8(図2参照)から液状の金属材料である溶湯Mを汲み取って、スリーブ3に供給(給湯)するように構成されている。なお、給湯装置4の詳細については、後述する。
蓋機構5は、給湯装置4によりスリーブ3内に溶湯Mが給湯された後、給湯口31を塞ぐように構成されている。
具体的には、蓋機構5は、蓋部51と、アーム機構52とを含んでいる。蓋部51は、Z1方向から視て、給湯口31の形状に沿った形状を有している。蓋部51は、アーム機構52の先端部に配置されている。アーム機構52は、蓋部51を給湯口31まで移動させるように構成されている。
プランジャ6は、スリーブ3内に給湯された溶湯Mを射出するように構成されている。
具体的には、プランジャ6は、プランジャチップ61と、プランジャロッド62とを有している。プランジャチップ61は、溶湯Mに接触する部材である。プランジャチップ61は、プランジャロッド62のX1方向側の端部に取り外し可能に取り付けられている。プランジャロッド62は、射出装置7において生じた駆動力をプランジャチップ61に伝達する部材である。プランジャロッド62は、X方向に延びる棒形状を有している。プランジャロッド62は、X2方向側の端部において射出装置7に接続されている。
射出装置7は、プランジャ6を移動させることにより、キャビティC内に溶湯Mを射出するように構成されている。つまり、射出装置7は、プランジャ6をスリーブ3内でX方向に往復移動させるように構成されている。射出装置7は、油圧シリンダ71と、油圧シリンダ71を動作させるための油圧回路72とを含んでいる。
(給湯装置の構成)
図2に示すように、給湯装置4は、ラドル41と、アーム機構42と、駆動モータ43aおよび43bと、減速機構44とを備えている。
ラドル41は、溶湯炉8から溶湯Mを汲み上げるように設けられている。具体的には、ラドル41は、溶湯Mを収容して保持可能な溶湯収容部41aを含んでいる。また、ラドル41は、軸部45aを介して、軸部45aを回転中心として回転可能(傾斜可能)に、アーム機構42の後述するアーム42eに取り付けられている。ラドル41は、軸部45aを回転中心とした回転角度(傾斜角度)を変更することにより、溶湯炉8から汲み上げる溶湯Mの量を調節可能に構成されている。また、ラドル41は、スリーブ3の給湯口31上において、軸部45aを回転中心として回転(傾斜)することにより、溶湯収容部41aに収容された溶湯Mをスリーブ3の給湯口31に注ぎ込むことが可能なように構成されている。
アーム機構42は、ラドル41を移動させる移動機構である。具体的には、アーム機構42は、ラドル41を溶湯炉8とスリーブ3との間において搬送する搬送機構である。アーム機構42は、溶湯炉8から溶湯Mを汲み上げたラドル41をスリーブ3に移動させるように構成されている。また、アーム機構42は、溶湯Mをスリーブ3に給湯したラドル41を溶湯炉8に移動させるように構成されている。
アーム機構42は、複数(5つ)のアーム42a~42eを含んだリンク機構である。複数のアーム42a~42eは、互いに連動して動作するように構成されている。これにより、複数のアーム42a~42eは、予め決められた軌跡(図示せず)に沿って、ラドル41を溶湯炉8とスリーブ3との間において移動させるように構成されている。
アーム42aは、チェーンやベルトなどの駆動伝達部材43cを介して、駆動モータ43aに接続されている。アーム42aは、駆動モータ43aからの駆動力により、軸部45bを回転中心とした回転方向であるC1方向およびC2方向に回転するように構成されている。C1方向は、ラドル41をスリーブ3に向かって移動させる際の回転方向である。また、C2方向は、C1方向とは反対方向の回転方向であるとともに、ラドル41を溶湯炉8に向かって移動させる際の回転方向である。アーム42aの長手方向の一端部は、軸部45bに連結されている。軸部45bは、C1方向およびC2方向に回転可能に、給湯装置本体4aに保持されている。
また、アーム42aの長手方向の他端部は、軸部45cを介して、アーム42bに連結されている。アーム42aとアーム42bとは共に、軸部45cを回転可能に保持している。また、アーム42bの長手方向の一端部は、軸部45dを介して、アーム42cに連結されている。アーム42bとアーム42cとは共に、軸部45dを回転可能に保持している。アーム42cの長手方向の一端部は、軸部45dを介して、アーム42bに連結されている。また、アーム42cの長手方向の他端部は、軸部45eを介して、アーム42dに連結されている。アーム42cとアーム42dとは共に、軸部45eを回転可能に保持している。アーム42dの長手方向の一端部は、軸部45eを介して、アーム42cに連結されている。また、アーム42dは、軸部45eを回転中心として回転するように構成されている。軸部45eは、軸部45eを回転中心として回転可能に、給湯装置本体4aに保持されている。
また、アーム42dの長手方向の他端部は、軸部45fを介して、アーム42eに連結されている。アーム42dとアーム42eとは共に、軸部45fを回転可能に保持している。アーム42eの長手方向の一端部は、軸部45fを介して、アーム42dに連結されている。また、アーム42eの長手方向の中途部には、軸部45gを介して、アーム42bの長手方向の他端部が連結されている。また、アーム42eの長手方向の他端部には、ラドル41を回転させるための軸部45aが、軸部45aを回転中心として回転可能に保持されている。
また、アーム42eには、保持部材46aを介して、湯面検知センサ46が取り付けられている。湯面検知センサ46は、溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msを検知するために設けられている。湯面検知センサ46は、一対の電極棒を有し、溶湯炉8内の溶湯Mへの接触に伴う一対の電極棒の導通状態の変化を検知することにより、溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msを検知する通電センサである。
駆動モータ43aは、アーム機構42を駆動するためのサーボモータである。駆動モータ43bは、ラドル41を駆動するためのサーボモータである。ラドル41は、チェーンやベルトなどの駆動伝達部材43dを介して、駆動モータ43bに接続されている。ラドル41は、駆動モータ43bからの駆動力により、軸部45aを回転中心として回転するように構成されている。駆動モータ43aおよび43bは共に、給湯装置本体4aに保持されている。駆動モータ43aおよび43bは、給湯装置本体4aのアーム機構42側(Y1方向側)とは反対側に配置されている。
ここで、本実施形態では、給湯装置4には、駆動モータ43aとは別個に設けられ、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の下降動作時に、アーム機構42を減速させるようにアーム機構42に減速力を加える減速機構44が設けられている。減速機構44は、保持部材47を介して、給湯装置本体4aに保持されている。
減速機構44は、直線的に往復移動するロッド44bを有するアクチュエータ44aを含んでいる。アクチュエータ44aは、エアシリンダである。エアシリンダであるアクチュエータ44aのロッド44bは、空気圧が調節されることにより、先端側への移動方向であるA1方向と、基端側への移動方向であるA2方向に直線的に移動するように構成されている。また、ロッド44bは、先端部44cに、アーム機構42を支持するための支持部44d(フランジ)を有している。また、ロッド44bは、細長形状でかつ柱形状を有している。なお、ロッド44bは、特許請求の範囲の「往復移動部」の一例である。
図3に示すように、エアシリンダであるアクチュエータ44aは、空気圧回路9により動作されるように構成されている。空気圧回路9は、空気源91と、増圧弁92と、空気タンク93と、ソレノイドバルブ94と、サイレンサ95と、スピードコントローラ96と、圧力スイッチ97とを含んでいる。
空気源91は、エアシリンダであるアクチュエータ44aに、動力源である空気を供給するように構成されている。増圧弁92は、空気源91からの空気を増圧するように構成されている。空気タンク93は、空気源91からの空気を貯留するように構成されている。ソレノイドバルブ94は、空気源91からエアシリンダであるアクチュエータ44aへの空気の供給状態を切り替えるように構成されている。サイレンサ95は、エアシリンダであるアクチュエータ44aからの空気の排出時に、排出空気による騒音を抑制するように構成されている。スピードコントローラ96は、エアシリンダであるアクチュエータ44aへの空気の供給速度と、エアシリンダであるアクチュエータ44aからの空気の排出速度とを制御するように構成されている。圧力スイッチ97は、エアシリンダであるアクチュエータ44aにおける空気圧が、予め決められた設定圧力になった場合に、信号を出力するように構成されている。なお、空気源91と、増圧弁92と、空気タンク93と、ソレノイドバルブ94と、サイレンサ95と、スピードコントローラ96と、圧力スイッチ97と、エアシリンダであるアクチュエータ44aとは、空気配管98により互いに接続されている。
図4~図7に示すように、減速機構44は、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の下降動作時に、支持部44dによりアーム機構42の複数(5つ)のアーム42a~42eのうちの支持対象のアーム42aを支持することにより、アーム機構42を減速させるようにアーム機構42に減速力を加えるように構成されている。
具体的には、まず、減速機構44は、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、駆動モータ43aからの駆動力による下降動作中のアーム機構42の支持対象のアーム42aを、支持対象のアーム42aの移動に抗するように支持する(すなわち、支持対象のアーム42aに減速力を加えるように支持する)。そして、減速機構44は、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、アーム機構42の支持対象のアーム42aを、支持対象のアーム42aの移動に抗するように支持した状態において、ロッド44bをA2方向に移動させる。この際、ロッド44bのA2方向への移動速度は、一定速度である。また、ロッド44bのA2方向への移動速度は、支持部44dによるアーム機構42の支持対象のアーム42aを、支持対象のアーム42aの移動に抗するように支持した状態が解除されない速度である。このような速度は、実験などにより予め決められている。これにより、減速機構44は、駆動モータ43aからの駆動力のみによるアーム機構42の下降動作の速度よりも低い速度にアーム機構42を減速させて下降させるように構成されている。
また、本実施形態では、図5に示すように、減速機構44のアクチュエータ44aは、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設けられている。具体的には、減速機構44のアクチュエータ44aは、ロッド44bが先端側に最も移動した状態(すなわち、A1方向側に最も移動した状態、フルストロークの状態)において、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設けられている。また、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持する際、ラドル41は、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する位置に位置するように構成されている。
すなわち、減速機構44のアクチュエータ44aは、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する位置に位置した状態において、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設けられている。なお、溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msは、通常、一定の位置(設計上の位置)に保たれるようにダイカスト製品の製造が行われるが、ダイカスト製品の製造の進捗によって、多少変動すると考えられる。このため、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する位置とは、溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msが設計上の位置に位置する場合に、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する位置を意味している。
また、図8~図10に示すように、減速機構44は、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の上昇動作時に、支持部44dによりアーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように構成されている。
具体的には、減速機構44は、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、アーム機構42の支持対象のアーム42aを、支持対象のアーム42aの移動方向に押すように支持した状態において、ロッド44bをA1方向に移動させる。この際、ロッド44bのA1方向への移動速度は、一定速度である。また、ロッド44bのA1方向への移動速度は、支持部44dによるアーム機構42の支持対象のアーム42aを、支持対象のアーム42aの移動方向に押すように支持した状態が解除されない速度である。このような速度は、実験などにより予め決められている。これにより、減速機構44は、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の上昇動作を支持して補助するように構成されている。
また、本実施形態では、支持対象のアーム42aは、減速機構44の支持部44dと接触する被支持部48を有している。被支持部48は、板状部材(プレート)であり、支持対象のアーム42aの本体に着脱可能に構成されている。被支持部48は、たとえば、ボルトなどの締結部材により、支持対象のアーム42aの本体に取り付けられるように構成されている。この場合、被支持部48は、締結部材の締結が解除されることにより、支持対象のアーム42aの本体から取り外されるように構成されている。たとえば、被支持部48は、減速機構44の支持部44dとの間の摩耗に起因して劣化した場合、支持対象のアーム42aの本体から取り外されて、新たな被支持部48に交換される。被支持部48は、たとえば、鋼、セラミックなどの材料により形成されている。なお、コストを抑える観点からは、被支持部48の形成材料として鋼を用いることが好ましく、摩耗を抑える観点からは、被支持部48の形成材料としてセラミックを用いることが好ましい。また、摩耗を抑える観点からは、鋼により形成された被支持部48に鏡面加工を施してもよい。
また、減速機構44の支持部44dも、ロッド44bの先端部44cに着脱可能に構成されている。支持部44dは、たとえば、ボルトなどの締結部材により、ロッド44bの先端部44cに取り付けられるように構成されている。この場合、支持部44dは、締結部材の締結が解除されることにより、ロッド44bの先端部44cから取り外されるように構成されている。たとえば、支持部44dは、支持対象のアーム42aの被支持部48との間の摩耗に起因して劣化した場合、ロッド44bの先端部44cの本体から取り外されて、新たな支持部44dに交換される。支持部44dは、たとえば、鋼、セラミックなどの材料により形成されている。なお、詳細な説明は省略するが、支持部44dの形成材料の選択については、被支持部48と同様である。また、支持部44dは、曲面状に形成された支持面44eを有している。支持面44eは、被支持部48と接触するように設けられている。
図11に示すように、減速機構44は、Y方向において、支持対象のアーム42aに対して、ラドル41とは反対側(Y2方向側)に配置されている。これにより、減速機構44を、XZ平面内において移動するラドル41の動線を避けた位置に配置することができる。また、減速機構44は、支持部44dのY2方向側(アーム42a側)の端部により、支持対象のアーム42aを支持するように設けられている。また、支持対象のアーム42aは、被支持部48のY1方向側(減速機構44側)の端部により、減速機構44の支持部44dにより支持されるように構成されている。また、被支持部48は、支持対象のアーム42aのY1方向側(減速機構44側)の端部に設けられている。
(アーム機構の下降動作および上昇動作)
次に、図4~図10を参照して、アーム機構42の下降動作および上昇動作について説明する。
図4(A)(B)に示すように、駆動モータ43aからの駆動力によりアーム機構42の下降動作が行われる。すなわち、アーム機構42による、溶湯炉8内の溶湯Mの汲み上げのためのラドル41の下降動作が行われる。アーム機構42の下降動作時には、アーム機構42のアーム42aが、駆動モータ43aからの駆動力によりC2方向に回転される。これにより、アーム42aの被支持部48が、減速機構44の支持部44dの支持面44eに近づくように移動される。また、ラドル41が、溶湯炉8の溶湯Mの湯面Msに近づくように下降される。なお、アーム42aの被支持部48の支持前には、減速機構44のアクチュエータ44aのロッド44bは、先端側に最も移動した状態(フルストロークの状態)である。
そして、図5(A)(B)に示すように、アーム機構42のアーム42aが、駆動モータ43aからの駆動力によりC2方向に回転されると、アーム42aの被支持部48と、減速機構44の支持部44dの支持面44eとが接触される。これにより、アーム42aの被支持部48の減速機構44の支持部44dによる支持が開始される。アーム42aの被支持部48の支持開始時には、ロッド44bが先端側に最も移動した状態において、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aが支持される。この際、ラドル41は、溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する寸前の位置に位置している。
そして、図6(A)(B)に示すように、アーム機構42のアーム42aが、減速機構44の支持部44dの支持面44eにより支持された状態において、駆動モータ43aからの駆動力によりC2方向にさらに回転される。図5(A)(B)に示す支持開始後には、アーム42aのC2方向への移動に抗するように、減速機構44の支持部44dの支持面44eによりアーム42aが支持された状態において、アクチュエータ44aのロッド44bがA2方向に移動される。これにより、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム42aのC2方向への移動に抗する力(すなわち、減速力)がアーム42aに加えられつつ、アーム42aがC2方向に回転される。その結果、減速機構44により減速された状態において、アーム機構42の下降動作が行われる。この際、ラドル41は、溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯している。
そして、図7(A)(B)に示すように、アーム機構42のアーム42aが、減速機構44の支持部44dの支持面44eにより支持された状態において、駆動モータ43aからの駆動力によりC2方向にさらに回転される。そして、湯面検知センサ46により溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msが検知されると、アーム機構42の下降動作が停止される。すなわち、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム42aの回転方向C2への移動が停止されるとともに、アクチュエータ44aのロッド44bのA2方向への移動が停止される。
そして、駆動モータ43aからの駆動力によりアーム機構42の上昇動作が行われる。すなわち、アーム機構42による、溶湯炉8内の溶湯Mの汲み上げのためのラドル41の上昇動作が行われる。アーム機構42の上昇動作時には、アーム機構42のアーム42aが、駆動モータ43aからの駆動力によりC1方向に回転される。これにより、ラドル41が、溶湯炉8の溶湯Mから離れるように上昇される。また、アーム機構42の上昇動作時には、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、アーム機構42のアーム42aが、アーム42aの移動方向であるC1方向に押すように支持された状態で、アクチュエータ44aのロッド44bがA1方向に移動される。これにより、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム42aのC1方向への移動を補助する力がアーム42aに加えられつつ、アーム42aがC1方向に回転される。その結果、減速機構44により補助された状態において、アーム機構42の上昇動作が行われる。
そして、図8(A)(B)に示すように、アーム機構42のアーム42aが、減速機構44の支持部44dの支持面44eにより支持された状態において、駆動モータ43aからの駆動力によりC1方向にさらに回転される。そして、図9(A)(B)に示すように、アクチュエータ44aのロッド44bが先端側に最も移動した状態になると、アーム42aの被支持部48の減速機構44の支持部44dによる支持が終了される。すなわち、アーム42aの被支持部48と、減速機構44の支持部44dの支持面44eとの接触が解除される。この際、ラドル41は、溶湯炉8内の溶湯Mの外側に位置している。すなわち、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯M中を上昇している間、減速機構44によるアーム機構42のアーム42aの支持が行われている。そして、図10(A)(B)に示すように、アーム機構42のアーム42aが、駆動モータ43aからの駆動力によりC1方向にさらに回転されて、溶湯炉8から溶湯Mを汲み上げたラドル41がスリーブ3に移動される。そして、スリーブ3の給湯口31への溶湯Mの給湯が行われる。
(本実施形態の効果)
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、上記のように、駆動モータ43aとは別個に設けられ、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の下降動作時に、アーム機構42を減速させるようにアーム機構42に減速力を加える減速機構44を設ける。これにより、駆動モータ43aからの駆動力のみによりアーム機構42の下降動作を行う場合に比べて、減速機構44によりアーム機構42に加えられる減速力による減速の分だけ、より低い速度によりアーム機構42の下降動作を行うことができる。その結果、アーム機構42の下降動作に伴って下降するラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する際、湯面Msへのラドル41の着湯に起因して、溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msが波打つことを抑制することができる。これにより、溶湯炉8内の溶湯Mの湯面Msが波打つことに起因して、ラドル41により汲み上げる溶湯Mの量にばらつきが発生することを抑制することができる。その結果、給湯量の精度を向上させることができる。これにより、給湯量の精度の向上により、溶湯Mにより製造されるダイカスト製品の品質を改善することが可能な給湯装置4を提供することができる。
また、本実施形態では、上記のように、減速機構44を、支持部44dを有するように構成する。また、減速機構44を、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の下降動作時に、支持部44dによりアーム機構42の複数のアーム42a~42eのうちの支持対象のアーム42aを支持することにより、アーム機構42を減速させるようにアーム機構42に減速力を加えるように構成する。これにより、支持対象のアーム42aを支持するだけでアーム機構42に減速力を加えることができる。その結果、減速機構44によりアーム機構42に容易かつ簡単に減速力を加えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、減速機構44を、駆動モータ43aからの駆動力によるアーム機構42の上昇動作時に、支持部44dによりアーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように構成する。これにより、溶湯Mを保持したために保持した溶湯Mの分だけ重量が増加したラドル41を上昇させる動作である、アーム機構42の上昇動作時に、減速機構44によりアーム機構42の支持対象のアーム42aを支持させることができる。その結果、駆動モータ43aからの駆動力のみによりアーム機構42の上昇動作を行う場合に比べて、減速機構44による支持の分だけ、アーム機構42の上昇動作を容易に行うことができる。また、アーム機構42の下降動作時にアーム機構42を減速させる減速機構44を、アーム機構42の上昇動作時にアーム機構42を支持する支持機構としても利用することができる。その結果、減速機構44とは別途独立して支持機構を設ける場合と異なり、給湯装置4の構造が複雑化することを抑制しつつ、アーム機構42の上昇動作の容易化を図ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、減速機構44を、直線的に往復移動するロッド44bを有するアクチュエータ44aを含むように構成する。また、ロッド44bを、先端部44cに支持部44dを有するように構成する。これにより、減速機構44のアクチュエータ44aのロッド44bの往復移動を利用して、ロッド44bの先端部44cの支持部44dにより支持対象のアーム42aを支持しつつ、アーム機構42に減速力を加えることができる。その結果、減速機構44によりアーム機構42により容易かつより簡単に減速力を加えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、アクチュエータ44aを、エアシリンダであるように構成する。これにより、アクチュエータ44aとして、簡単な構造を有するエアシリンダを用いることができる。
また、本実施形態では、上記のように、アクチュエータ44aを、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設ける。これにより、アーム機構42の支持対象のアーム42aの支持時に、支持対象のアーム42aからロッド44bの先端部44cの支持部44dに掛けられる荷重を、ロッド44bの軸方向に沿って掛けることができる。その結果、アクチュエータ44aのロッド44bに横荷重(ロッド44bの軸方向に交差する方向の荷重)が掛かることを抑制することができる。これにより、アクチュエータ44aのロッド44bへの負荷(横荷重)を抑制しつつ、アクチュエータ44aのロッド44bによりアーム機構42の支持対象のアーム42aを支持することができる。
また、本実施形態では、上記のように、アクチュエータ44aを、ロッド44bが先端側に最も移動した状態において、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設ける。これにより、ロッド44bが先端側に最も移動したために、アクチュエータ44aのロッド44bに横荷重が掛かりやすい状態において、アクチュエータ44aのロッド44bに横荷重が掛かることを抑制することができる。その結果、アーム機構42の支持対象のアーム42aの支持時に、アクチュエータ44aのロッド44bに横荷重が掛かることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、アクチュエータ44aを、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する位置に位置した状態において、ロッド44bの先端部44cの支持部44dが、アーム機構42の支持対象のアーム42aの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構42の支持対象のアーム42aを支持するように設ける。これにより、ラドル41が溶湯炉8内の溶湯Mに湯面Msを介して着湯する寸前に、アクチュエータ44aのロッド44bに横荷重が掛かることを抑制することができる。その結果、アクチュエータ44aのロッド44bの先端部44cの支持部44dにより、アーム機構42の支持対象のアーム42aを良好に支持した状態において、ラドル41の溶湯炉8内の溶湯Mへの湯面Msを介した着湯を行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、支持部44dを、曲面状に形成された支持面44eを有するように構成する。これにより、減速機構44の支持部44dによるアーム機構42の支持対象のアーム42aの支持時に、アーム機構42の支持対象のアーム42aと、曲面状の支持面44eとを接触させることができる。その結果、減速機構44の支持部44dの支持面44eとアーム機構42の支持対象のアーム42aとの間において、摩耗が発生することを低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、支持対象のアーム42aを、支持部44dと接触する被支持部48を有するように構成する。また、被支持部48を、着脱可能に構成する。これにより、減速機構44の支持部44dによる支持に起因して、アーム機構42の支持対象のアーム42aの被支持部48において摩耗が発生した場合、着脱可能に構成された被支持部48のみを交換することができる。その結果、アーム機構42の支持対象のアーム42a自体を交換する場合に比べて、摩耗部分の交換作業を容易に行うことができるとともに、この交換作業に要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、上記のように、被支持部48を、板状部材であるように構成する。これにより、被支持部48を簡素な構成により構成することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ダイカストマシンを横型に構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、ダイカストマシンを縦型に構成してもよい。
また、上記実施形態では、湯面検知センサが、通電センサである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、湯面の検知機能を果たし得る限り、湯面検知センサは、どのようなセンサであってもよい。たとえば、湯面検知センサが、光センサであってもよい。
また、上記実施形態では、減速機構が、駆動モータからの駆動力によるアーム機構の上昇動作時に、支持部によりアーム機構の支持対象のアームを支持するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動モータからの駆動力によるアーム機構の下降動作時に、アーム機構を減速させるように構成されていれば、減速機構が、必ずしも、駆動モータからの駆動力によるアーム機構の上昇動作時に、支持部によりアーム機構の支持対象のアームを支持するように構成されていなくてもよい。
また、上記実施形態では、減速機構のアクチュエータが、エアシリンダである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、減速機構のアクチュエータが、往復移動部を直線的に往復移動させるためのギヤ機構を備えるアクチュエータであってもよい。
また、上記実施形態では、アクチュエータが、ロッド(往復移動部)の先端部の支持部が、アーム機構の支持対象のアームの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構の支持対象のアームを支持するように設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アクチュエータが、必ずしも、往復移動部の先端部の支持部が、アーム機構の支持対象のアームの長手方向に略垂直な方向から、アーム機構の支持対象のアームを支持するように設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態では、減速機構の支持部が、曲面状に形成された支持面を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、減速機構の支持部が、平面状に形成された支持面を有していてもよい。
また、上記実施形態では、アーム機構の被支持部が、着脱可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アーム機構の被支持部が、必ずしも、着脱可能に構成されていなくてもよい。