JP7262246B2 - 印刷物の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、第1前処理液と第2前処理液にそれぞれ凝集剤等の反応成分と溶液成分とが含まれ、第1前処理液と第2前処理液との間で反応成分は同じであるが浸透性が異なることが開示されている。
基材への画像の定着性をより高めるためには、水性インクが基材の内部にまで浸透し、色材が基材の内部まで行き渡るとよい。特許文献1の開示のように、2種類の前処理剤を媒体表面に残存させる方法では、画像の定着性が課題となる場合がある。
樹脂を含む前処理液Aは、インク被膜と部分的または全体的に結合し、インク被膜の基材へのアンカー効果を高めることができる。凝集剤を含む前処理液Bは、インク及び/又は前処理液Aを凝集させることができる。また、前処理液A及び前処理液Bの基材への着弾の順序が一定であると、インクの基材への浸透性のバラツキによるドット濃度のバラツキや、インクの凝集度のバラツキによるドット径のバラツキを低減することができる。また、前処理液A及び前処理液Bのうち、先に基材に着弾する前処理液が、主走査方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTX、及び主走査方向に交差する方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTYの少なくとも一方が10ms以上となるように吐出されることで、先に基材に着弾する前処理液を、着弾密度が比較的低い状態で基材に着弾させることができる。これにより、先に基材に着弾する前処理液の浸透速度を高めることができるとともに、後から基材に着弾する前処理液も基材に浸透しやすくなり、インクが基材内部に浸透して基材内部で凝集しやすくなるため、アンカー効果を得やすくすることができる。これらにより、印刷画像の基材への定着性を向上させることができる。
実施形態の印刷物の製造方法において、基材としては、特に限定されるものではない。基材としては、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、木材基材、金属基材、ガラス基材、樹脂基材等が挙げられるが、浸透性を有する基材が好ましい。
基材としては、布が好ましい。布は、特に限定されないが、例えば、綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維;ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン、キュプラ、アセテート等の化学繊維;又はこれらの混紡繊維等のいずれを含む布であってもよい。布は、織物、編物、または不織布等であってよい。
前処理液Aは樹脂を含むことが好ましい。樹脂は定着剤として機能することができる。
樹脂としては、例えば、水分散性樹脂、水溶性樹脂、又はそれらの組合せを用いることができる。
水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。
水分散性樹脂は、前処理液Aの製造に際しては、例えば、水中油型樹脂エマルションとして配合することができる。
アニオン性水分散性樹脂は、樹脂粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びた樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子の表面電荷量は、-20~-500μeq/gが好ましく、-20~-100μeq/gがより一層好ましい。
樹脂粒子の表面電荷量は、粒子電荷計で評価することができる。試料を中和するのに必要なアニオン量またはカチオン量を測定することで、表面電荷量を算出することができる。粒子電荷計としては、日本ルフト株式会社製コロイド粒子電荷量計「Model CAS」等を用いることができる。
カチオン性水分散性樹脂は、樹脂粒子の表面がプラスに帯電し、正電荷を帯びた樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子の表面電荷量は、20~500μeq/gが好ましく、20~100μeq/gがより一層好ましい。
ノニオン性水分散性樹脂は、樹脂粒子表面がほとんど帯電していない樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子の表面電荷量は、-20~20μeq/gが好ましく、-10~10μeq/gがより一層好ましい。
ウレタン樹脂は、一般に高い柔軟性を有するため、基材として布を用いた場合、布の伸度に耐えやすく、良好な定着性を維持しやすい。また、布基材と水素結合を形成しやすいため、布基材の繊維同士を樹脂で接着し、布の伸度を抑えてインクの伸度に近づけることができる。また、ウレタン樹脂は柔軟性が高いために、これによって接着された繊維同士も分離しにくい。
例えば、樹脂が水分散性ウレタン樹脂を含み、基材として布基材を用いることが好ましい。
水分散性樹脂は、前処理液A全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、前処理液A中の水分散性樹脂の量は、前処理液A全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。前処理液A中の水分散性樹脂の量は、前処理液A全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
前処理液A中の架橋剤の量は、前処理液A全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
水は、前処理液A中に、前処理液A全量に対して10質量%以上含まれることが好ましく、30質量%以上含まれることがより好ましく、50質量%以上含まれることがさらに好ましい。前処理液A中の水の含有量は、例えば、前処理液A全量に対して95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。前処理液A中の水の含有量は、例えば、前処理液A全量に対して10~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、40~80質量%がさらに好ましい。
水溶性有機溶剤としては、粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能な水溶性有機溶剤が好ましい。たとえば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-メチル-2-プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1-メチル-2-ピロリドン、β-チオジグリコール、スルホランを用いることができる。平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190~630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200~600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250~800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール等の低分子量ポリアルキレングリコールを用いることもできる。
前処理液A中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、前処理液A全量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。前処理液A中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、前処理液A全量に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。前処理液A中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液A全量に対して、例えば、1~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの組合せを用いることができる。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の何れを用いてもよい。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤のHLB値は、5~20が好ましい。
これらの中からアセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、なかでもシリコーン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤は、前処理液A全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。界面活性剤は、前処理液A全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。界面活性剤は、前処理液A全量に対し、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
前処理液Bは凝集剤を含むことが好ましい。
凝集剤は、水性インク中の色材の分散性ないし溶解性を低下させて、色材を凝集させる作用を備えることが好ましい。
凝集剤としては、例えば、カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、低極性溶剤等が挙げられる。
ポリアリルアミンの市販品としては、例えば、日東紡績株式会社製の、アリルアミン重合体である「PAA-01」、「PAA-03」、「PAA-05」(いずれも商品名)、アリルアミン塩酸塩重合体である「PAA-HCL-01」、「PAA-HCL-03」、「PAA-HCL-05」(いずれも商品名)、アリルアミンアミド硫酸塩重合体である「PAA-SA」(商品名)等が挙げられる。
前処理液B中のカチオン性樹脂の量は、前処理液B全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、前処理液B中のカチオン性樹脂の量は、前処理液B全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。前処理液B中のカチオン性樹脂の量は、前処理液B全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
多価金属塩としては、より具体的には、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
前処理液B中の多価金属塩の量は、前処理液B全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、前処理液B中の多価金属塩の量は、前処理液B全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。前処理液B中の多価金属塩の量は、前処理液B全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
23℃で液体状の有機酸として、酢酸、乳酸を好ましく用いることができ、より好ましくは乳酸である。
工程2において、インクを充填した記録ヘッドは各前処理液を付与した基材の上部を移動しながら印刷を行う。沸点120℃以上の有機酸を用いることで、各前処理液を付与した基材から有機酸が揮発しにくくなって、記録ヘッドのノズル部分の水性インクに、揮発した有機酸が接触しないようにして、ノズル部分で有機酸による水性インクの変質を防止することができる。このため、記録ヘッドからの水性インクの吐出不良を抑制することができる。
前処理液B中の有機酸の量は、前処理液B全質量に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、前処理液B中の有機酸の量は、前処理液B全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。前処理液B中の有機酸の量は、前処理液B全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
低極性溶剤としては、例えば、SP値10(cal/cm3)1/2以下の溶剤が好ましい。
ここで、SP値は、Fedors式で求められるSP値であり、具体的には、Fedorsの提唱した下記式により算出した値である。下記式において、Δeiは、i成分の原子または原子団の蒸発エネルギーであり、Δviは、i成分の原子または原子団のモル体積である(Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbook,Second Edition,Charles M.Hansen,CRC Press,2007参照)。
δ=[(sumΔei)/(sumΔvi)]1/2
前処理液B中の低極性溶剤の量は、前処理液B全質量に対して、例えば、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
定着性向上の観点、画像濃度向上の観点から、凝集剤は、カチオン性樹脂、多価金属塩、及び有機酸からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。定着性の向上の観点から、凝集剤は、有機酸を含むことがより好ましい。有機酸を含むと、前処理液A中のカルボキシ基の含有量が高くなる傾向にあるため、インク、前処理液A、及び基材に対するカルボキシ基を用いた水素結合の形成により、定着性をさらに向上させることができる。
前処理液Aが前処理液Bにより凝集しない場合、前処理液B中の凝集剤が前処理液Aの凝集によって使用されないため、前処理液Bによるインクの凝集性能が低下しにくく、これによって画像濃度均一性を向上させることができる。
また、前処理液AがBで前処理液Bにより凝集しない場合、連続被膜を得やすくいことから、より優れた定着性を得ることもできる。
具体的には、例えば、前処理液Aが、カチオン性樹脂、ノニオン性樹脂又はこれらの組合せを含み、前処理液Bが、カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、またはこれらの組合せを含むことが好ましい。
前処理液Bの凝集剤は、前処理液Aの樹脂と異なることが好ましい。
水は、前処理液B中に、前処理液A全量に対して10質量%以上含まれることが好ましく、30質量%以上含まれることがより好ましく、50質量%以上含まれることがさらに好ましい。前処理液A中の水の含有量は、例えば、前処理液B全量に対して95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。前処理液B中の水の含有量は、例えば、前処理液B全量に対して10~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、50~90質量%がさらに好ましい。
水溶性有機溶剤としては、粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能な水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としては、たとえば、前処理液Aに使用可能な水溶性有機溶剤から1種又は2種以上を選択して用いることができる。
前処理液B中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、前処理液B全量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。前処理液B中の水溶性有機溶剤の量は、例えば、前処理液B全量に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。前処理液B中の水溶性有機溶剤の量は、前処理液B全量に対して、例えば、1~40質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、前処理液Aに配合可能な界面活性剤と同様のものを用いることができる。
界面活性剤は、前処理液B全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。界面活性剤は、前処理液B全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。界面活性剤は、前処理液B全量に対し、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
水性インクジェットインクは、色材を含むことが好ましい。
色材としては、顔料及び染料のいずれであってもよく、顔料又は染料を単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。印刷物の耐候性および耐水性の観点から、色材として顔料を好ましく用いることができる。
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどの無機顔料が挙げられる。無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分子微粒子を使用することもできる。中でも、隠蔽力の観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。
顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を使用してもよい。
顔料分散剤で顔料があらかじめ分散された顔料分散体を使用してもよい。顔料分散剤で分散された顔料分散体の市販品としては、たとえば、クラリアント社製HOSTAJETシリーズ(商品名)、冨士色素株式会社製FUJI SPシリーズ(商品名)等が挙げられる。後述する顔料分散剤で分散された顔料分散体を使用してもよい。
顔料は、その種類によっても異なるが、発色等の観点から、インク全量に対し、固形分量で0.1~30質量%程度が好ましく、0.1~15質量%がより好ましい。
顔料分散剤としては、たとえば市販品として、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ(「TEGOディスパース740W」、「TEGOディスパース750W」、「TEGOディスパース755W」、「TEGOディスパース757W」、「TEGOディスパース760W」(いずれも商品名))、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(「ソルスパース20000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース41090」、「ソルスパース43000」、「ソルスパース44000」、「ソルスパース46000」(いずれも商品名))、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ(「ジョンクリル57」、「ジョンクリル60」、「ジョンクリル62」、「ジョンクリル63」、「ジョンクリル71」、「ジョンクリル501」(いずれも商品名))、BYK製の「DISPERBYK-102」、「DISPERBYK-185」、「DISPERBYK-190」、「DISPERBYK-193」、「DISPERBYK-199」(いずれも商品名)等が挙げられる。
界面活性剤型分散剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(「デモールEP」、「デモールN」、「デモールRN」、「デモールNL」、「デモールRNL」、「デモールT-45」(いずれも商品名))などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(「エマルゲンA-60」、「エマルゲンA-90」、「エマルゲンA-500」、「エマルゲンB-40」、「エマルゲンL-40」、「エマルゲン420」(いずれも商品名))などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
顔料分散剤のインク中の量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、インク全量に対し、固形分量での質量比で顔料1に対し、0.005~0.5の範囲で配合することが好ましい。
染料は、その種類によっても異なるが、発色等の観点から、水性インク全量に対し、固形分量で0.1~30質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
水は、インクの溶媒として機能するものであれば特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、脱イオン水等が挙げられる。
水は、インク全量に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。一方、水は、インク全量に対して、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がよりに好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。水は、インク全量に対して、例えば、20~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、40~80質量%が好ましい。
水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解又は混和可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、前処理液Aにおいて説明した水溶性有機溶剤から1種又は2種以上を選択して用いることができる。
水溶性有機溶剤は、インク全量に対して、1~80質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましく、10~50質量%であってよく、20~40質量%であってよい。
水分散性樹脂としては、アニオン性水分散性樹脂、カチオン性水分散性樹脂、ノニオン性水分散性樹脂のいずれを用いてもよいが、アニオン性水分散性樹脂が好ましい。
水分散性樹脂としては、水分散性ウレタン樹脂がより好ましく、アニオン性水分散性ウレタン樹脂がさらに好ましい。
色材1に対する樹脂の比率が0.5以上であることで、画像の定着性をより高めることができる。色材1に対する樹脂の比率が7以下であることで、水性インクの機上安定性を改善することができる。
また、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の合計量は、水性インク全量に対し、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
水分散性樹脂及び水溶性樹脂の合計量は、インク全量に対して、固形分量で、例えば、0.1~20質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、5~15質量%がよりさらに好ましい。
界面活性剤は、インク全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、界面活性剤量は、インク全量に対し、10質量%以下程度が好ましく、5質量%以下程度がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。界面活性剤の量は、例えば、インク全量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.1~4質量%がさらに好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
架橋成分は、インク全量に対して、0.1~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。
以下、前処理液A、前処理液B、及び水性インクを用いて印刷物を製造する方法について説明する。
まず、一実施形態による工程1について説明する。工程1では、基材上に、前処理液A及び前処理液Bをそれぞれインクジェット方式で付与する。
具体的には、基材に対して、先に前処理液Aを吐出し、次いで前処理液Bを吐出して、基材に前処理液A及び前処理液Bがこの順で着弾する方法であってよい。又は、基材に対して、先に前処理液Bを吐出し、次いで前処理液Aを吐出し、基材に前処理液B及び前処理液Aがこの順で着弾する方法であってよい。
前処理液Aが先に着弾すると、後から着弾する前処理液Bとインクとが基材表面で凝集しやすく、画像濃度が高くなる傾向があり、画像濃度均一性を向上させやすい。
ここで、「主走査方向(以下、主走査方向Xとも記す。)」は、ドットが連続して吐出される方向であり、シリアル式では記録ヘッドの主走査方向となり、ラインヘッド式では記録ヘッドの長手方向となる。そして、「主走査方向に交差する方向(以下、方向Yとも記す。)」は、ドットが連続して吐出される主走査方向に交差する方向であれば、主走査方向に直角に交差する方向であってもよく、主走査方向に直角以外の角度で交差する方向であってもよい。典型的なインクジェット記録装置では、主走査方向Xに直交する方向に基材が搬送され、主走査方向Xに直交する方向にドット間の距離が最短となる2つのドットが着弾するようになる。
一方、着弾時間差ΔTは、30s以内が好ましく、5s以内がより好ましく、3s以内がさらに好ましい。30sを超えると、先に基材に着弾する前処理液の乾燥及び/又は成膜が始まり、浸透性が劣る場合がある。
例えば、着弾時間差ΔTは10ms~5sが好ましく、20ms~3sがより一層好ましい。
前処理液A及びBそれぞれの基材への付与量は、特に限定されない。例えば、基材として布を用いる場合、前処理液A及びBの付与量は、それぞれ独立に、付与面積当たりの不揮発分量として0.1g/m2~50g/m2が好ましく、1g/m2~20g/m2がより好ましく、2~20g/m2がより好ましい。
工程2において水性インクジェットインクを吐出する方式は、インクジェット方式であればとくに限定されない。ラインへッド式及びシリアル式のいずれであってもよいが、シリアル式が好ましい。
また、工程1及び工程2は、同一のインクジェット記録装置で行うことが好ましい。
また、記録装置は、印刷中又は印刷前後の任意の段階で、基材を加熱する加熱装置を備えてもよい。加熱装置によって基材を加熱することで、各前処理液及び水性インクの乾燥を促進させることができる。また、各前処理液及び水性インクが樹脂分を含む場合は、樹脂膜の形成を促進させることができる。
また、記録装置は、印刷しようとする画像データを入力するための入力装置を備えてもよい。入力装置としては、スキャナ又はパソコンから取り込まれる画像データを受信する外部入力部を備えることができる。この画像データに基づいて、各記録ヘッドからの水性インクの吐出を制御し、また、水性インクが吐出される記録領域に前もって各前処理液を吐出することができる。
図1に示す記録ヘッドユニット100では、主走査方向Xに沿って、往路(図中左から右方向、以下同じ)の下流側から第1の記録ヘッド11、第2の記録ヘッド12、及び第3の記録ヘッド13がこの順序で列状に配置されている。第3の記録ヘッド13は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の4色の水性インクごとに4個の記録ヘッド13K、13C、13M、及び13Yを備える。符号13K、13C、13M、13Y、及び100について、後述する図2及び4も同様である。
そして、第1の記録ヘッド11に前処理液Aを供給し、第2の記録ヘッド12に前処理液Bを供給し、第3の記録ヘッド13に水性インクを供給して、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xの往路方向に移動させながら、第1の記録ヘッド11から前処理液Aを吐出し、第2の記録ヘッド12から前処理液Bを吐出し、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出することで、基材上に前処理液A、前処理液B、及び水性インクをこの順序で付与することができる。つまり、前処理液A及び前処理液Bは、この順で基材に着弾する。
この記録ヘッドユニット100の構成では、この付与順序は主走査方向Xの往路のみであり、復路では付与順序が逆になる。そのため、この付与順序とするためには、往路のみで吐出を行って復路では吐出を行わないで印刷するとよい。
図2では、記録ヘッドユニット100は、前処理液Aが供給される第1の記録ヘッド11と、前処理液Bが供給される第2の記録ヘッド12とが、記録ヘッドユニット100の主走査方向Xに配列される第1のヘッド列と、第1のヘッド列に対して基材の搬送方向Yの下流側に、水性インクが供給される第3の記録ヘッド13を含む第2のヘッド列とを備える。
そして、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xに移動させながら、第1の記録ヘッド11から前処理液Aを吐出し、第2の記録ヘッド12から前処理液Bを吐出する動作と、基材を搬送方向Yに移動させ、前処理液A及び前処理液Bが付与された基材上の記録領域に、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出する動作とを繰り返すことで、基材上に前処理液A、前処理液B、及び水性インクをこの順序で付与することができる。
この記録ヘッドユニット100の構成では、この付与順序は主走査方向Xの往路(図中左から右)のみであり、復路では付与順序が逆になる。そのため、この付与順序とするためには、往路のみで付与を行って復路では付与を行わないで印刷するとよい。
図3は、上記した図2において、第1の記録ヘッド11と第2の記録ヘッド12との配置が異なる例を示す。図3において、第1の記録ヘッド11と第2の記録ヘッドとは離間して配置される。より具体的には、第1の記録ヘッド11は主走査方向Xに対して記録ヘッドユニット100の一方側に位置し、第2の記録ヘッド12は主走査方向Xに対して記録ヘッドユニットの他方側に位置している。より好ましくは、第1の記録ヘッド11及び第2の記録ヘッド12は、水性インクが吐出される第3の記録ヘッド13と搬送方向Yに重ならないように配置される。このような配置とすることで、前処理液Bの凝集剤由来のミストが、前処理液Aを吐出するノズル、及び水性インクを吐出するノズルに付着しないようにすることができる。これによって、第1の記録ヘッド11及び第3の記録ヘッド13のノズル詰まりをより防止することができる。
図4において、(a)は、記録ヘッドユニット100の配置を上面から示しており、各パスで、第1の記録ヘッド11から前処理液Aが吐出される場合をハッチ丸で表し、第2の記録ヘッド12から前処理液Bが吐出される場合を白丸で表している。また、(b)は、基材表面を上面から示しており、記録ヘッドユニット100の主走査方向に沿う各ラインで、前処理液A及び前処理液Bがこの順序で積層される場合を図中左からハッチ丸及び白丸の順で表し、その逆の順で積層させる場合を図中左から白丸及びハッチ丸の順で表している。
図4では、図中(a)に示す通り、往路の1パス目では、第1の記録ヘッド11が第2の記録ヘッド12に先行して移動するため、基材上に前処理液Aに次いで前処理液Bが吐出される。そして、図中(b)に示す通り、基材上で前処理液A及び前処理液Bがこの順序で積層される。
復路の2パス目では、第2の記録ヘッド12が第1の記録ヘッド11に先行して移動するため、基材上に前処理液Bに次いで前処理液Aが吐出され、基材上で前処理液B及び前処理液Aがこの順序で積層される。
往路の3パス目では、1パス目と同様に、基材上で前処理液A及び前処理液Bがこの順序で積層される。
得られる印刷物では、基材の搬送方向に隣り合うラインにおいて2種類の前処理液の積層順序が入れ替わっている。このように2種類の前処理液の着弾順序が一定でない場合、インクの基材への浸透性が不均一となり、印刷物における画像の定着性が低下する問題がある。
図2及び図3に示す記録ヘッドユニット100を用いる場合では、前処理液A及び前処理液Bを基材に積層させるように吐出した後に、第3の記録ヘッド13が各前処理液の付与領域に対向する位置となるように基材を搬送させ、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出することで画像を記録することができる。
図1に示す例では、さらに記録ヘッドユニットを主走査方向の往路に移動させながら、前処理液Bに重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。図2又は図3に示す例では、処理液Bを付与してから、基材を搬送方向Yに移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、前処理液Bに重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
2つの前処理液をより効率よく付与するために、主走査方向の復路において、第2の記録ヘッドから前処理液Bを基材上に付与するとともに、第1の記録ヘッドから前処理液Aを基材上に付与してもよい。同様に、主走査方向の往路において、第1の記録ヘッドから前処理液Aを基材上に付与するとともに、第2の記録ヘッドから前処理液Bを基材上に付与してもよい。
搬送方向に第1の記録ヘッド及び第2の記録ヘッドが配列される構成では、搬送方向に対して第2の記録ヘッドのさらに下流側に第3の記録ヘッドが配置される記録ヘッドユニットを用いて、処理液Bを付与してから、基材を搬送方向に移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、前処理液Bに重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
図1に示す例では、搬送方向に沿って複数のノズルが列状に形成される第3の記録ヘッドを用いて、第2の記録ヘッドのノズルよりもさらに搬送方向の下流側となる第3の記録ヘッドのノズルから、搬送方向の上流側のノズルから付与された前処理液Bに重なるようにして水性インクを基材上に付与することができる。
図2又は図3に示す例では、前処理液Bを付与してから、基材を搬送方向Yに移動させて、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、前処理液Bに重なるようにして第3の記録ヘッドから水性インクを基材上に付与することができる。
まず、第1の記録ヘッド11の基材の搬送方向Yの上流側の1個のノズルから、第1の前処理液の液滴を1ドットに対応するように吐出しながら、記録ヘッドユニット100を主走査方向Xの往路方向に移動させ、主走査方向Xにドットを連続して着弾させて1ドット幅のライン状に前処理液Aを付与する。次いで、基材を搬送方向Yに移動させて、第1の記録ヘッド11の先の1個のノズルに対して搬送方向Yの下流側に隣り合う1個のノズルから吐出される液滴が、基材上の先のライン状の前処理液Aに対して基材の搬送方向Yの上流側に隣り合うように着弾させるようにして、先のライン状の前処理液Aと同様にライン状の前処理液Bを付与する。この際に、基材上において、基材の搬送方向Yに隣り合う2つのドットは、記録ヘッドユニットが搬送方向Yに移動する時間、記録ヘッドユニットの移動速度、記録ヘッドユニットの折り返し時間等を制御することで、その着弾時間差ΔTYを10ms以上とすることができる。
また、第1の記録ヘッドの複数のノズルのうち搬送方向Yに連続して配置される2個以上のノズルを用いて、1回のパスで、搬送方向Yにノズルの間隔に対応して離間している2列以上のライン状の前処理液Aを付与し、次いで、上記と同様にして、それぞれの先のライン状の前処理液Aの基材の搬送方向Yの上流側にライン状の前処理液Aを付与することができる。この方法では、記録ヘッドユニットの1パス当たりの画像記録量を多くすることができ、生産性をより高めることができる。
例えば、1個のライン状の記録領域に対して、前処理液Aは、第1の記録ヘッド11の基材の搬送方向Yの上流側のノズルから吐出されて付与され、次いで、基材を搬送方向Yに移動させながら、前処理液Bは先の第1の記録ヘッド11のノズルの位置に対して基材の搬送方向Yの下流側となる第2の記録ヘッド12のノズルから吐出されて付与されてもよい。
図2又は図3に示す例では、基材を搬送方向Yに搬送させながら、前処理液A及び前処理液Bが重なって形成されたドットに重なるように、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出し基材に着弾させてドットを形成することができる。
上記した操作を繰り返すことで、基材上に前処理液A、前処理液B、及び水性インクをこの順序で付与し、前処理液A及び前処理液Bを一定の順序で基材に着弾することができる。
具体的には、300dpiの記録ヘッドを用いて1200dpiの画像を記録する場合では、記録ヘッドの搬送方向Yに隣り合うノズルの間隔に対応する領域に4個のドットを形成するとよい。そのため、基材の搬送方向Yに隣り合うノズルの間隔に対応する領域に、4個のラインが形成されるようにするとよい。
ラインヘッド式インクジェット記録装置の一例としては、基材を搬送方向Yに搬送する搬送装置と、基材の搬送方向Yと交差する方向Xにライン状に配置される少なくとも3個の記録ヘッドとを備える。この例では、例えば、この少なくとも3個の記録ヘッドは、基材の搬送方向Yに沿って上流側から前処理液Aが供給される第1の記録ヘッドと、前処理液Bが供給される第2の記録ヘッドと、水性インクが共有される第3の記録ヘッドとをこの順序で備える。そして、それぞれのノズル列から、前処理液A、前処理液B、及び水性インクが吐出されることで、基材上にこれらをこの順序で積層して画像を記録することができる。第1の記録ヘッドから前処理液Aを供給し、第2の記録ヘッドから前処理液Bを供給して、前処理液A及び前処理液Bの付与順序を逆にしてもよい。
ラインヘッド式インクジェット記録装置では、記録ヘッドにおいて、2種類の前処理液及び水性インクがそれぞれ供給される記録ヘッドの配列順序を決めておくことで、2種類の前処理液及び水性インクの基材への付与順序を定めることができる。そのようにして、前処理液A及び前処理液Bを一定の順序で基材に着弾するように吐出することができる。
後から基材に着弾する前処理液の付与、及びインクの付与をウェットオンウェット方式で行うことで、2つの前処理液が適度に混合し、画像濃度の均一性を向上させやすくすることができる。
先に基材に対して着弾する前処理液が、後から基材に着弾する前処理液に押されるように基材内部まで浸透しやすくなり、アンカー効果が得られやすく、定着性を向上させやすい。
限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」である。表中の各成分
の配合量も「質量%」で示す。
表1~3に記載の原材料を混合し、ミックスロータを用いて100rpmで30分間撹拌した。撹拌後、5μmのナイロンシリンジフィルターでろ過し、インク1、前処理液A1~A4及び前処理液B1~B3を調製した。表中の各原材料の配合量は、質量%で示す。表中の各原材料の配合量は、揮発分が含まれる成分については、揮発分を含めた量である。
モビニール7720:ジャパンコーティングレジン株式会社製ノニオン性水分散性アクリル樹脂のエマルション
サンプレックスPUE-C200B:株式会社村山化学研究所製カチオン性水分散性ウレタン樹脂のエマルション
スーパーフレックス740:第一工業製薬株式会社製アニオン性水分散性ウレタン樹脂エマルション
オルフィンE1010:日信化学工業株式会社製アセチレングリコール系界面活性剤
シルフェイスSAG002:日信化学工業株式会社製シリコーン系界面活性剤
塩化カルシウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
シャロールDC-303P:第一工業製薬株式会社製、カチオン性水溶性樹脂、有効成分量41%(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)
ジエチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
ジプロピレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
1,2-ブタンジオール:東京化成工業株式会社製
タケネートWB3936:三井化学株式会社製イソシアネート系架橋剤
グリセリン:富士フイルム和光純薬株式会社製
エチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
基材として、ポリエステル100% の布を用い、表4~6に示す前処理液及びインク1を用いて、以下の手順に従って印刷を行って、200mm×200mmの単色ベタ画像を印刷した印刷物を得た。
この際に、搬送方向Yの上流側からノズルa、ノズルb、ノズルcとする場合に、主走査方向Xの往路で3個のノズルからそれぞれ1液目の前処理液の第1ラインを形成した。次いで、基材を搬送して、先のノズルaから吐出された浸透液の第1ラインの搬送方向Yの上流側に隣接するように、主走査方向Xの復路でノズルbから1液目の前処理液を基材上に吐出して第2ラインを形成した。第2ラインの形成では、ノズルa及びノズルcからも同様の間隔で1液目の前処理液を吐出した。この操作を繰り返して、基材の搬送方向Yに隣り合うノズル間距離に4ラインの1液目の前処理液を形成した。
さらに連続的に基材を搬送方向Yに搬送させて、1液目の前処理液及び2液目の前処理液が積層して形成された4ラインの領域が、搬送方向Yの下流側の第3の記録ヘッド13に対向する位置で、記録ヘッドユニットを主走査方向に移動させながら、第3の記録ヘッド13から水性インクを吐出し、1液目の前処理液、2液目の前処理液、及び水性インクをこの順で積層させ、画像を形成した。
比較例2は、1液目として前処理液A-3を付与し、2液目の前処理液を付与せずに、水性インク1を付与した。
比較例3では、表6に示される2種類の前処理液を図4に示される方法で、往路では前処理液A-2、前処理液B-2、及びインク1をこの順序で着弾するように吐出し、復路では前処理液B-2、前処理液A-2、及びインクをこの順序で着弾するように吐出し、印刷物を作製した。
比較例1及び比較例2では前処理液を1種のみ用いているため、用いられた前処理液について示す。比較例3は着弾順序が一定ではないが、2種類の前処理液のいずれもΔTは10ms以上であった。
JIS L0849に規定の方法に従い、II型摩擦試験機を用いて印刷物を擦過し、擦過布の汚染を、汚染用グレースケールを用いて評価した。評価基準を下記に示す。結果を表4~6に示す。
AA:乾燥摩擦汚染3級以上
A:乾燥摩擦汚染2-3級
B:乾燥摩擦汚染2級
C:乾燥摩擦汚染2級未満
画像濃度均一性の評価を下記のようにして行った。上記のようにして得られた実施例及び比較例の印刷物を50cm離れた場所から目視で観察し、下記の評価基準で評価した。結果を表4~6に示す。
A:画像濃度のムラがあまり確認されない
B:Aと比較して画像濃度のムラがある
C:明らかな画像濃度のムラが確認される
12 第2の記録ヘッド
13 第3の記録ヘッド
100 記録ヘッドユニット
Claims (8)
- 基材上の記録領域に、樹脂を含む前処理液A及び凝集剤を含む前処理液Bをそれぞれインクジェット方式で付与する工程と、
前記前処理液A及び前記前処理液Bを付与した後に、前記基材上の前記記録領域に、水性インクジェットインクをインクジェット方式で付与する工程とを含み、
前記前処理液A及び前記前処理液Bを付与するインクジェット方式は、シリアル式のインクジェット方式であり、
前記前処理液A及び前記前処理液Bは、前記基材の前記記録領域全面において、一定の順序で前記基材に着弾するように吐出され、
前記前処理液A及び前記前処理液Bのうち、先に前記基材に着弾する前処理液の、主走査方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTX、及び主走査方向に交差する方向においてドット間の距離が最短となる2つのドット間の着弾時間差ΔTYの少なくとも一方が10ms以上である、印刷物の製造方法。 - 前記前処理液Aの前記樹脂は、水分散性樹脂を含む、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
- 前記水分散性樹脂は、カチオン性水分散性樹脂及びノニオン性水分散性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の印刷物の製造方法。
- 前記水分散性樹脂は、ノニオン性水分散性樹脂を含む、請求項3に記載の印刷物の製造方法。
- 前記水分散性樹脂は、水分散性ウレタン樹脂を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
- 前記凝集剤は、有機酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
- 前記前処理液A及び前記前処理液Bが、前記前処理液A、次いで前記前処理液Bの順に前記基材に着弾するように吐出される、請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
- 前記前処理液A及び前記前処理液Bのうち、後に前記基材に対して吐出される前処理液の吐出、及び、前記水性インクジェットインクの吐出は、いずれもウェットオンウェット方式で行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
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