JP2017105179A - 液体噴射装置および液体噴射方法 - Google Patents

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Masashi Kamibayashi
将史 上林
真子 福田
Masako Fukuda
真子 福田
広法 佐藤
Hironori Sato
広法 佐藤
貴公 鐘ヶ江
Takakimi Kanegae
貴公 鐘ヶ江
寛之 萩原
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Abstract

【課題】媒体の種類に依らずに前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させる。
【解決手段】液体噴射装置10は、媒体22を第1方向に搬送する搬送機構32と、前処理液40を媒体22に被覆する前処理液被覆機構と、インク41を噴射する複数のインクノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]を含む液体噴射部と、前処理液被覆機構と液体噴射部を制御する制御部30と、を具備し、前処理液被覆機構は、第1領域Aに配置される第1機構と、第1領域Aよりも第1方向において上流側に位置する第2領域Bに配置される第2機構とを含み、複数のインクノズルは、第1機構に対し第1方向と交差する第2方向において重なる部分と、第2機構に対し第2方向において重ならない部分を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、インク等の液体を媒体に噴射する技術に関する。
インクジェット方式の液体噴射装置においては、媒体に対するインクの定着性を向上させるために、凝集剤などの反応成分を含む前処理液とインクを液体噴射ヘッドによって噴射させて、媒体に前処理液を着弾させてからインクを着弾させることで、媒体の表面で両者を反応させる技術が開発されている。例えば特許文献1のインクジェットヘッドでは、インクを噴射するノズル列よりも媒体の搬送方向の上流側に、前処理液(反応液)を噴射するノズル列を設けているので、媒体に対して、先に前処理液を着弾させてからインクを着弾させることができる。
特開2013−256136号公報
ところが、特許文献1のように、先に前処理液を着弾させてからインクを着弾させる場合、媒体の種類によっては、前処理液とインクとの着弾時間差が大きいほど、印刷画質が低下してしまう場合がある。例えば液体の吸収性の高い媒体などでは前処理液が浸透し易いので、前処理液とインクとの着弾時間差が大きいほど、先に着弾した前処理液が媒体に浸透して媒体表面における反応成分の残存量が減少するため、後から着弾したインクとの反応量が低下してしまって、印刷画質が低下し易いという問題がある。特に、特許文献1のインクジェットヘッドのように、インクのノズル列よりも媒体の搬送方向の上流側のみに、前処理液のノズル列を設ける構成では、前処理液をとインクとの着弾時間差が大きくなり易く、後から着弾したインクとの反応量が低下し易い。以上の事情を考慮して、本発明は、前処理液とインクとの着弾時間差を変えられるように構成することで、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させることを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の液体噴射装置は、媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、前処理液を媒体に被覆する前処理液被覆機構と、インクを噴射する複数のインクノズルを含む液体噴射部と、前処理液被覆機構と液体噴射部を制御する制御部と、を具備し、前処理液被覆機構は、第1領域に配置される第1機構と、第1領域よりも第1方向において上流側に位置する第2領域に配置される第2機構とを含み、複数のインクノズルは、第1機構に対し第1方向と交差する第2方向において重なる部分と、第2機構に対し第2方向において重ならない部分を有する。以上の構成における第1機構と複数のインクノズルの配置によれば、媒体を搬送方向に搬送させずに、媒体に対して第1機構によって前処理液を被覆してから、複数のインクノズルからインクを噴射させることができるので、前処理液とインクとの着弾時間差を小さくできる。他方、本態様の第2機構と複数のインクノズルとの配置によれば、媒体に対して第1機構によって前処理液を被覆してから、媒体を搬送方向に搬送させて、複数のインクノズルからインクを噴射させることで、前処理液とインクとの着弾時間差を大きくできる。このように、前処理液とインクとの着弾時間差を変えられるように液体噴射装置を構成することで、媒体の種類に応じて前処理液とインクとの着弾時間差を変えることもできる。したがって、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させることができる。
本発明の好適な態様において、媒体の種類を判別する判別部と、制御部は、判別部によって判別された媒体の種類に応じて、第1機構と第2機構との何れかを選択し、選択した機構により前処理液を媒体に被覆する。以上の態様によれば、制御部は、判定部で判定された媒体の種類に応じて、第1機構と第2機構との何れかを選択し、選択した機構から前処理液を媒体に被覆してから、インクを噴射させるので、判定された媒体の種類に応じて前処理液とインクとの着弾時間差を変えることができる。したがって、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させることができる。
本発明の好適な態様において、第1領域は、さらに第1方向の上流側の領域と下流側の領域とに分けられ、複数のインクノズルは、第1領域の上流側の領域と下流側の領域とにそれぞれ配置され、第1機構は、第1領域の上流側の領域と下流側の領域とのそれぞれに配置され、制御部は、判別部によって判別された媒体の種類に応じて、第1領域の上流側の領域のインクノズルと第1領域の下流側の領域のインクノズルとの何れかを選択し、選択したノズルからインクを噴射させる。以上の態様によれば、第1機構と第2機構との何れかを選択できるだけではなく、インクノズルについても、第2領域の上流側の領域のノズルと下流側の領域のノズルを選択できる。したがって、前処理液被覆機構とインクノズルの選択の組合せが増えることから、前処理液とインクとの着弾時間差を選択の余地も増えるので、細かく着弾時間差を調整することができる。
本発明の好適な態様において、第2領域は、さらに第1方向の上流側の領域と下流側の領域とに分けられ、第2機構は、第2領域の上流側の領域と下流側の領域とのぞれぞれに配置され、制御部は、第2機構を選択する場合には、さらに第2領域の上流側の領域の第2機構と下流側の領域の第2機構の何れか一方または両方を選択し、選択した機構から前処理液を噴射させる。以上の態様によれば、第1機構については第1領域の上流側の領域の機構と下流側の領域の機構を選択でき、第2機構についても第2領域の上流側の領域の機構と下流側の領域の機構を選択できる。したがって、前処理液機構とインクノズルの選択の組合せがさらに増えることから、前処理液とインクとの着弾時間差を選択の余地も増えるので、より細かく着弾時間差を調整することができる。
本発明の好適な態様において、前処理液は、第1前処理液と、該第1前処理液とは種類の異なる第2前処理液であり、第1機構は、第1前処理液を噴射するノズルを含み、第2機構は、第2前処理液を噴射するノズルを含む。以上の態様によれば、第1前処理液と第2前処理液を用い、媒体の種類に応じて、前処理液とインクとの着弾時間差だけでなく、媒体の種類に応じて前処理液の種類を、第1前処理液と第2前処理液のいずれかに変えることができる。
本発明の好適な態様において、前処理液被覆機構と液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、第2方向に液体噴射ヘッドを往復させる移動機構と、を具備し、液体噴射ヘッドは、相互に間隔をあけて第2方向に配列された複数のノズル列を備え、複数のノズル列はそれぞれ、第1領域から第2領域に渡って配置される複数のノズルを有し、複数のノズル列のうちの1つのノズル列において、第1領域に配置された複数のノズルが第1機構として利用され、第2領域に配置された複数のノズルが第2機構として利用され、複数のノズル列のうちの他のノズル列において、第1領域に配置された複数のノズルが複数のインクノズルとして利用される。以上の構成によれば、液体噴射ヘッドに、相互に間隔をあけて第2方向に配列された複数のノズル列のうちの一部のノズルを、第1機構と第2機構とインクノズルとして利用するので、利用するノズルの位置によって、前処理液とインクの配置を変えることができる。
本発明の好適な態様において、前処理液被覆機構と液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、第2方向に液体噴射ヘッドを往復させる移動機構と、を具備し、前処理液は、第1前処理液と該第1前処理液よりも浸透性の高い第2前処理液であり、第1機構は、相互に間隔をあけて第2方向に配列された2つのノズル列を含み、そのうちの一方のノズル列は第1前処理液を噴射するノズルで構成されると共に、他方のノズル列は第2前処理液を噴射するノズルで構成され、これらの第1前処理液を噴射するノズルと第2前処理液を噴射するノズルとは、第2方向において平面視で重なり、第2機構は、相互に間隔をあけて第2方向に配列された2つのノズル列を含み、そのうちの一方のノズル列は第1前処理液を噴射するノズルで構成されると共に、他方のノズル列は第2前処理液を噴射するノズルで構成され、これらの第1前処理液を噴射するノズルと第2前処理液を噴射するノズルとは、第2方向において平面視で重なる。以上の構成によれば、媒体の種類に応じて、前処理液とインクとの着弾時間差だけでなく、媒体の種類に応じて第1前処理液と第2前処理液とを重ねる順序も変えることができ、前処理液の浸透性と濡れ広がり性を媒体の特質に依らずに安定させることができる。これにより、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高めながら、さらに前処理液の濡れ広がり性を向上させることができるので、前処理液とインクとの着弾時間差だけを変える場合に比較して、より高画質な印刷画質を提供できる。
本発明の好適な態様において、第1機構の2つのノズル列は、液体噴射ヘッドの移動方向に沿って、第2前処理液を噴射するノズルのノズル列と第1前処理液を噴射するノズルのノズル列の順序で配置され、第2機構の2つのノズル列は、液体噴射ヘッドの移動方向に沿って、第1前処理液を噴射するノズルのノズル列と第2前処理液を噴射するノズルのノズル列の順序で配置される。以上の構成によれば、液体噴射ヘッドを同じ方向に移動させながら、第1機構を選択したときには、第2前処理液、第1前処理液の順序で媒体に着弾させることができ、第2機構を選択したときには、第1前処理液、第2前処理液の順序で媒体に着弾させることができる。これによれば、第1前処理液と第2前処理液とを重ねるときに、液体噴射ヘッドを戻さなくても、第1前処理液と第2前処理液とを重ねる順序を変えられる。したがって、第1前処理液と第2前処理液とを重ねる順序を変えても、第1前処理液と第2前処理液との着弾時間差が生じないようにすることができる。
本発明の好適な態様において、媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、前処理液被覆機構と液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、を具備し、液体噴射ヘッドは、第1方向に交差する第2方向に長尺なラインヘッドである。以上の態様によれば、液体噴射ヘッドがラインヘッドであっても、媒体の種類に応じて前処理液とインクとの着弾時間差を変えることができる。したがって、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させることができる。
本発明の好適な態様に係る液体噴射方法は、媒体に対して前処理液を被覆してから、媒体にインクを着弾させる液体噴射装置の液体噴射方法であって、液体噴射装置は、媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、前処理液を媒体に被覆する前処理液被覆機構と、インクを噴射する複数のインクノズルを含む液体噴射部と、を具備し、前処理液被覆機構は、第1領域に配置される第1機構と、第1領域よりも第1方向において上流側に位置する第2領域に配置される第2機構とを含み、複数のインクノズルは、第1機構に対し第1方向と交差する第2方向において重なる部分と、第2機構に対し第2方向において重ならない部分を有するように構成されており、媒体の種類を判別し、判別された媒体の種類に応じて、第1機構と第2機構との何れかを選択し、選択した機構により前処理液を媒体に被覆させる。以上の構成によれば、媒体の種類に応じて前処理液とインクとの着弾時間差を変えることができる。したがって、媒体の種類に依らずに、前処理液とインクとの反応性を高め、印刷画質を向上させることができる。
第1実施形態に係る液体噴射装置の構成図である。 液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 液体噴射ヘッドの断面図である。 種類の異なる媒体に対して、前処理液とインクの着弾時間差を変えた場合における前処理液の状態を説明するための図である。 図4においてインク着弾後のインクの状態を説明するための図である。 第1実施形態に係る液体噴射ヘッドの制御を示すフローチャートである。 第1実施形態の第1変形例に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 第1実施形態の第2変形例に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 第1実施形態の第3変形例に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 第1実施形態の第4変形例に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 種類の異なる媒体に、浸透性の異なる前処理液を着弾させた場合における前処理液の状態を説明するための図である。 第2実施形態に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 第2実施形態に係る液体噴射ヘッドの制御を示すフローチャートである。 媒体の種類に応じて前処理液を重ねる順序を変えた場合における前処理液の状態を説明するための図である。 図14において、インクの着弾直後と一定時間経過後のインクの状態を説明するための図である。 第3実施形態に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。 第3実施形態に係る液体噴射ヘッドの制御を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る液体噴射装置の構成図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10の構成図である。液体噴射装置10は、液体の例示であるインク41を媒体22に噴射することで媒体22の表面に画像を印刷する印刷装置(インクジェット装置)である。媒体22は、インク41の噴射対象となる印刷用紙やフィルム等の記録用の媒体である。第1実施形態で用いられる媒体の種類についての詳細は後述する。
液体噴射装置10には、液体を貯留する液体容器24が装着され、液体容器24には前処理液40とインク41とが貯留される。インク41は、顔料や染料等の色材を含有する液体(カラーインク)である。例えばシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)およびブラック(K)の合計4色のインク41が液体容器24に貯留される。なお、樹脂材料をインク41に含有させることも可能である。
前処理液40としては、媒体22の表面に着弾するインク41の定着性を向上させるための液体(オプティマイザーインク)であり、例えばインク41に反応する凝集剤等の反応成分と、水分または溶剤等の溶液成分とを含有する。インク41に含まれる色材や樹脂材料は前処理液40には含有されない。前処理液40には、界面活性剤を含有させてもよい。なお、図1では液体容器24を便宜的に1個の要素として図示したが、前処理液40と複数種類のインク41とを別体の液体容器24に貯留した構成や、複数種類のインク41の各々についても別体の液体容器24に貯留した構成も採用され得る。
液体噴射装置10は、制御部30と搬送機構32と移動機構34と液体噴射ヘッド36とを具備する。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御回路とROM(Read Only Memory)301とRAM(Random Access Memory)302と媒体22の種類を判別する判別部303とを備える。ROM301は、例えば書き換え可能なフラッシュROMである。ROM301には、制御部30により実行されるプログラムとプログラムの実行に必要な各種のデータ(後述の媒体データテーブルなど)が記憶されている。RAM302には、制御部30がプログラムを実行する際に一時的に用いるデータなどが記憶される。制御部30には、パーソナルコンピュータなどの管理装置(図示略)が接続される。制御部30は、管理装置からの指示に応じて液体噴射装置10の各要素を統括的に制御する。判別部303は、上記媒体データテーブルに基づいて、媒体22の種類を判別する。なお、媒体22の種類の判別についての詳細は後述する。
搬送機構32は、制御部30による制御のもとで媒体22をY方向(第1方向の例示)に搬送する。第1実施形態の搬送機構32は、供給ローラー322と排出ローラー324とを包含する。供給ローラー322は、排出ローラー324の上流側(Y方向の負側)に設置されて媒体22を排出ローラー324側に搬送し、排出ローラー324は、供給ローラー322から供給される媒体22を下流側(Y方向の正側)に搬送する。なお、搬送機構32の構成は以上の例示に限定されない。
移動機構34は、制御部30による制御のもとで液体噴射ヘッド36をX方向に往復させる機構である。液体噴射ヘッド36が往復するX方向は、媒体22が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。移動機構34は、キャリッジ342と搬送ベルト344とを具備する。キャリッジ342は、液体噴射ヘッド36を支持する略箱形の構造体であり、搬送ベルト344に固定される。搬送ベルト344は、X方向に架設された無端ベルトである。制御部30による制御のもとで搬送ベルト344が回転することで液体噴射ヘッド36がキャリッジ342とともにX方向に往復する。なお、移動機構34の構成は以上の例示に限定されない。例えば液体噴射ヘッド36とともに液体容器24をキャリッジ342に搭載することも可能である。
液体噴射ヘッド36は、液体容器24から供給される前処理液40およびインク41を制御部30による制御のもとで媒体22に噴射する。搬送機構32による媒体22の搬送と移動機構34による往復とに並行して液体噴射ヘッド36が媒体22に対して、前処理液40およびインク41を噴射することで媒体22の表面に所望の画像が形成される。
(液体噴射ヘッドの構成例)
第1実施形態の液体噴射ヘッド36は、媒体22に対して、前処理液40とインク41の着弾時間差を変えられるように構成される。このような液体噴射ヘッド36の具体的構成例を図2に示す。図2は、液体噴射ヘッド36のうち媒体22との対向面(以下「噴射面」という)360の平面図である。図2に示す液体噴射ヘッド36の噴射面360には、1つの前処理液ノズル列LPと4つのインクノズル列LI1〜LI4とが配置される。前処理液ノズル列LPおよび各インクノズル列LI1〜LI4は、Y方向に沿って直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、前処理液ノズル列LP1および各インクノズル列LI1〜LI4の各々を複数列(例えば千鳥配列またはスタガ配列)とすることも可能である。
図2の液体噴射ヘッド36は、例えばX方向に平行な直線Gを噴射面360に想定すると、直線GよりもY方向の正側(媒体22の搬送方向の下流側)の第1領域Aと、直線GよりもY方向の負側(媒体22の搬送方向の上流側)の第2領域Bに分けられる。前処理液ノズル列LPは第1領域Aから第2領域Bに渡って配置され、インクノズル列LI1〜LI4は第1領域Aに配置される。
前処理液ノズル列LPは、第1領域Aに配置される複数の第1領域ノズルN[A]と、第2領域Bに配置される複数の第2領域ノズルN[B]とを含む。第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]とは、それぞれ別々に液体容器24から供給される前処理液40を噴射できるようになっている。他方、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]からはそれぞれ、相異なる色彩のインク41、すなわちシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の4色のカラーのインク41が噴射される。各インクノズル列LI1〜LI4は、相互に間隔をあけてX方向に配列される。
図2の液体噴射ヘッド36では、X方向において複数の第1領域ノズルN[A]が分布する範囲は、X方向においてインクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]が分布する範囲と重なり、X方向において複数の第2領域ノズルN[B]が分布する範囲は、X方向においてインクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]が分布する範囲と重ならず、媒体22の搬送方向(Y方向)の上流側にある。したがって、複数の第1領域ノズルN[A]は、媒体22の搬送方向(Y方向)においてインクノズル列LI1〜LI4とほぼ同じ位置にあり、複数の第2領域ノズルN[B]は、搬送方向(Y方向)においてインクノズル列LI1〜LI4から見て上流側に離れた位置にある。
このような構成の液体噴射ヘッド36によれば、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]との何れかを選択して前処理液40を噴射させることで、その後にインクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から噴射して媒体22に着弾させるインク41との着弾時間差を変えることができる。
図3は、液体噴射ヘッド36のうち任意の1個のノズルNに着目した断面図である。図3に例示される通り、液体噴射ヘッド36は、流路基板71の一方側に圧力室基板72と振動板73と圧電素子74と支持体75とが配置されるとともに他方側にノズル板76が配置された構造体である。流路基板71と圧力室基板72とノズル板76とは例えばシリコンの平板材で形成され、支持体75は例えば樹脂材料の射出成形で形成される。複数のノズルNはノズル板76に形成される。
流路基板71には、開口部712と分岐流路(絞り流路)714と連通流路716とが形成される。分岐流路714および連通流路716はノズルN毎に形成された貫通孔であり、開口部712は複数のノズルNにわたり連続する開口である。支持体75に形成された収容部(凹部)752と流路基板71の開口部712とを相互に連通させた空間は、支持体75の導入流路754を介して液体容器24から供給される前処理液40またはインク41を貯留する共通液室(リザーバー)SRとして機能する。
圧力室基板72には開口部722がノズルN毎に形成される。振動板73は、圧力室基板72のうち流路基板71とは反対側の表面に設置された弾性変形可能な平板材である。圧力室基板72の各開口部722の内側で振動板73と流路基板71とに挟まれた空間は、共通液室SRから分岐流路714を介して供給される前処理液40またはインク41が充填される圧力室(キャビティ)SCとして機能する。各圧力室SCは、流路基板71の連通流路716を介してノズルNに連通する。
振動板73のうち圧力室基板72とは反対側の表面にはノズルN毎に圧電素子74が形成される。各圧電素子74は、相互に対向する電極間に圧電体を介在させた駆動素子である。駆動信号の供給により圧電素子74が変形することで振動板73が振動すると、圧力室SC内の圧力が変動して圧力室SC内のインク41がノズルNから噴射される。
なお、図2のインクノズル列LI1〜LI4の各々を、それぞれ独立した液体噴射ヘッド36に配置し、液体噴射ヘッド36の各々を、別々のキャリッジ342に搭載するようにしてもよい。この場合、1つのキャリッジ342ごとに1色のインクまたは2色以上のインクを噴射する1つまたは複数の液体噴射ヘッド36を搭載してもよい。この場合、前処理液40を噴射するノズルを含む液体噴射ヘッド36も独立して構成して、別のキャリッジ342に搭載することも可能である。このように、キャリッジ342を分けることで、前処理液40を媒体22に着弾するタイミングとインク41を媒体22に着弾するタイミングを調整し易くなる。
(媒体の種類の判別)
第1実施形態の制御部30の判別部303は、媒体22の種類を判別する。具体的には判別部303は、液体の吸収性の高い媒体22aと液体の吸収性の低い媒体22bとを判別する。液体の吸収性の高い媒体22aとしては、例えば普通紙、インクジェット専用紙の他、塗工メディアなどが挙げられる。液体の吸収性の低い媒体22bとしては、例えばポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などのプラスティックフィルム、基材にプラスチックや受容層をコーティングしたフィルム、金属、プリント配線基板、布帛等が挙げられる。なお、布帛の吸収性は、布帛を構成する繊維によって異なる場合がある。ここでの布帛は、吸収性の低い繊維で構成された場合を想定して、液体の吸収性の低い媒体22bに含めているが、これに限られるものではなく、吸収性の高い繊維で構成される布帛は、液体の吸収性の高い媒体22aの方に含めるようにしてもよい。
例えば液体の吸収性の高い媒体22aを列挙したグループと、液体の吸収性の低い媒体22bを列挙したグループとからなる媒体データテーブルがROM301に予め記憶されている。媒体22の種類は、制御部30に接続される操作部(図示略)からユーザーが選択できるようになっている。判別部303は、ユーザーにより選択された媒体22が、媒体データテーブルのうちのどのグループに含まれるかによって、液体の吸収性の高い媒体22aと液体の吸収性の低い媒体22bとを判別する。
なお、媒体22の種類の判別方法は上述した場合に限られるものではない。判別部303は、例えば図2に示す媒体センサ37からの検出信号に基づいて、媒体22の種類を判別してもよい。媒体センサ37は、制御部30に接続されている。媒体センサ37は、例えば光センサで構成され、媒体22に対して光を照射して、その反射光を検出する。判別部303は、媒体センサ37からの検出信号が予め決められた閾値を超えるか否かによって、液体の吸収性の高い媒体22aと液体の吸収性の低い媒体22bとを判別する。
例えば媒体22の種類によって光の反射強度が変わるため、液体の吸収性の高いか低いかを光の反射強度で判別できる媒体22については、光の反射強度の閾値として設定することができる。具体的には、光の反射強度が高いほど、液体の吸収性が低くなる複数の媒体22であれば、媒体センサ37からの検出信号が予め決められた閾値を超えない場合には、液体の吸収性の高い媒体22aと判別し、閾値を超える場合には液体の吸収性の低い媒体22bと判別する。なお、媒体センサ37は、上述したようにユーザーによる媒体22の選択によって媒体22の種類を判別する場合には設けなくてもよい。
第1実施形態では、上記のように媒体22の種類を判別し、判別した媒体の種類に応じて、複数の第1領域ノズルN[A]と、複数の第2領域ノズルN[B]との何れかを選択して前処理液40を噴射させて媒体22に着弾させて、後から着弾させるインク41との着弾時間差を変える。これによれば、媒体の種類に依らずに、前処理液40とインク41との反応性を高め、印刷画質を向上させることができる。
(媒体の種類と、前処理液とインクの着弾時間差との関係)
ここで、このような媒体の種類と、前処理液40とインク41の着弾時間差との関係について説明する。図4は、種類の異なる媒体に対して、前処理液40とインク41との着弾時間差を変えた4つのケース1〜4における前処理液40の状態を説明するための図である。ここでの種類の異なる媒体22は、液体の吸収性の高い媒体22a(例えばインク吸収層を有するコート紙)と、液体の吸収性の低い媒体22b(例えば塩化ビニルなどのプラスティックフィルム)とのいずれかである。図4および図5の着弾時間差は、前処理液40を着弾させた後にインク41を着弾させた場合における前処理液40とインク41との着弾時間差である。
図4において、ケース1は、吸収性の高い媒体22aに前処理液40を着弾させた場合に、インク41との着弾時間差が大きい場合であり、ケース2は、インク41との着弾時間差が小さい場合である。ケース3は、吸収性の低い媒体22bに前処理液40を着弾させた場合に、インク41との着弾時間差が大きい場合であり、ケース4は、インク41との着弾時間差が小さい場合である。図5は、図4のケース1〜4においてインク着弾後のインク41の状態を説明するための図である。なお、図5において、黒塗りの部分がインク41である。
図4の表面残存量は、インク着弾直前に媒体22aまたは22bの表面に残存する前処理液40の残存量である。前処理液40が媒体22aまたは22bの表面から内部に浸透する度合い(浸透性)が大きくなるほど、前処理液40の表面残存量は少なくなる。図4の被覆面積は、インク着弾直前に媒体22aまたは22bの表面に残存した前処理液40が媒体22aまたは22bを被覆する面積である。前処理液40が媒体22aまたは22bの表面上に濡れ広がる度合い(濡れ広がり性)が大きくなるほど、前処理液40の被覆面積も大きくなる。図4では、表面残存量が多い場合は「多」、少ない場合は「少」と表記し、被覆面積が大きい場合は「大」、小さい場合は「小」と表記し、また表面残存量と被覆面積が中程度の場合は「中」と表記する。
先ず、図4のケース1およびケース2における吸収性の高い媒体22aについて説明する。吸収性の高い媒体22aに前処理液40を着弾させた場合、図4のケース1に示すように着弾時間差が大きいと、インク着弾直前には前処理液40の表面残存量が「少」であり、被覆面積も「小」であるのに対して、図4のケース2に示すように着弾時間差が小さいと、インク着弾直前には前処理液40の表面残存量も被覆面積も「中」である。
すなわち、吸収性の高い媒体22aでは前処理液40が浸透し易いので、図4のケース1に示すように前処理液40とインク41との着弾時間差が大きいと、インク41の着弾直前までに前処理液40が浸透し過ぎるので、インク着弾直前には前処理液40の表面残存量が少なくなり過ぎてしまい、被覆面積も小さくなってしまう。この場合、図5のケース1に示すようにインク41を着弾させると、前処理液40とインク41との反応性が低くなるので、媒体22aの表面に着弾したドット同士が広がり、重なり合うように凝集し易くなり、印刷画質が低下する虞がある。
他方、図4のケース2に示すように着弾時間差が小さいと、前処理液40が浸透し過ぎる前に、インク41と反応させることができる。この場合、図4に示すケース2のように、インク着弾直前には前処理液40の表面残存量も被覆面積も「中」程度なので、図5のケース2に示すようにインク41を着弾させると、インク41との反応性も向上させることができ、インク41が凝縮し難くなって、印刷画質を向上させることができる。
次に、図4のケース3およびケース4における吸収性の低い媒体22bについて説明する。吸収性の低い媒体22bに前処理液40を着弾させた場合、図4のケース4に示すように着弾時間差が小さいと、前処理液40の表面残存量が「多」であり、被覆面積が「中」であるのに対して、図4のケース3に示すように着弾時間差が大きいと、前処理液40の表面残存量が「中」であり、被覆面積が「大」である。
すなわち、吸収性の低い媒体22bでは前処理液40が浸透し難いので、図4のケース4に示すように着弾時間差が小さいと、前処理液40の表面残存量が多くなり、インク41が凝縮し難くなる。ところが、着弾時間差が小さいと乾燥が間に合わなくて、インク着弾直前までの前処理液40の表面残存量が多過ぎて、水分や溶剤などの溶液成分が乾燥する時間も短いので、乾燥が不足になり易い。この場合、図5のケース4に示すようにインク41を着弾させたときに、前処理液40の乾燥が不足していると、前処理液40とインク41との反応性が低くなり、印刷画質が低下する虞がある。
他方、図4のケース3に示すように着弾時間差が大きいと、媒体22bの表面に多く残留する前処理液40を乾燥させる時間も増やすことができる。この場合、図5のケース3に示すようにインク41を着弾させると、インク41との反応性も向上させることができ、印刷画質を向上させることができる。
このように、印刷画質を向上させるには、吸収性の高い媒体22aでは、前処理液40とインク41との着弾時間差を小さくすることが好ましいのに対して、吸収性の低い媒体22bでは、前処理液40とインク41との着弾時間差を大きくすることが好ましいことが分かる。
(第1実施形態の液体噴射方法)
以上を踏まえて、第1実施形態の液体噴射方法について、第1実施形態に係る液体噴射ヘッド36の制御を例に挙げて説明する。図6は、印刷制御における液体噴射ヘッド36の制御を示すフローチャートである。制御部30は、管理装置からの指示に応じて、ROM301から所定のプログラムを読み出して、媒体22への印刷制御を実行する。印刷制御において、制御部30は、媒体22の搬送制御を行いつつ、図6に示す液体噴射ヘッド36の制御を行う。
先ず、ステップS101にて判別部303は、印刷する媒体22の種類を判別する。判別部303は、例えば上述した媒体データテーブルに基づいて、媒体22の種類を判別する。具体的には判別部303は、ユーザーにより選択された媒体22を媒体データテーブルの媒体22と照合し、その媒体22が吸収性の高い媒体22aか、吸収性の低い媒体22bかを判別する。なお、ステップS101では、上述したように媒体センサ37からの検出信号に基づいて媒体22を判別してもよい。
ステップS101にて、吸収性の高い媒体22aであると判別部303が判別した場合、ステップS102にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LPの第1領域ノズルN[A]を選択して前処理液40を噴射する。そして、ステップS104にて制御部30は、媒体22aをY方向に搬送させることなく、キャリッジ342を復動させながら、前処理液40が着弾した部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22aに着弾させる。
これに対して、ステップS101にて、吸収性の低い媒体22bであると判別部303が判別した場合、ステップS103にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LPの第2領域ノズルN[B]を選択して前処理液40を噴射させる。そして、ステップS104にて制御部30は、媒体22bをY方向に搬送させてから、前処理液40が着弾した部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22bに着弾させる。
このような第1実施形態の印刷制御によれば、前処理液40を着弾させた媒体22の部分にインク41を着弾させるのに、第1領域ノズルN[A]を選択して前処理液40を噴射させた場合は、媒体22をY方向に搬送させずに済む点で、媒体22をY方向に搬送させる必要がある第2領域ノズルN[B]を選択した場合よりも、前処理液40とインク41との着弾時間差を小さくすることができる。
したがって、吸収性の高い媒体22aに対しては、第1領域ノズルN[A]を選択することで、図4のケース2のように前処理液40とインク41との着弾時間差を小さくできるので、図5のケース2のようにインク41との反応性も向上させることができ、印刷画質を向上させることができる。他方、吸収性の低い媒体22bに対しては、第2領域ノズルN[B]を選択することで、図4のケース3のように前処理液40とインク41との着弾時間差を大きくできるので、図5のケース3のようにインク41との反応性も向上させることができ、印刷画質を向上させることができる。
以上では、吸収性の高い媒体22aの場合、キャリッジ342の往動時に、第1領域ノズルN[A]から前処理液40を噴射させて(ステップS102)、キャリッジ342の復動時に、インクノズル列LI1〜LI4からインク41を噴射させる(ステップS104)場合を説明したが、これに限られるものではない。例えば吸収性の高い媒体22aの場合、キャリッジ342の往動時に、前処理液40とインク41の両方を噴射させるようにしてもよい。すなわち、図2の液体噴射ヘッド36では、第1領域ノズルN[A]が、インクノズル列LI1〜LI4とX方向に平面視で重なるように、同じ第1領域Aに配置されるので、キャリッジ342の往動時に、前処理液40とインク41の両方を噴射させることができる。これにより、前処理液40とインク41をほとんど時間差がないように、ほぼ同時に媒体22に着弾させることもできる。
(第1実施形態の第1変形例)
第1実施形態の第1変形例に係る液体噴射ヘッド36について説明する。図7は、第1実施形態の第1変形例に係る液体噴射ヘッド36の噴射面360の平面図である。図7の液体噴射ヘッド36が、図2と異なるのは、液体噴射ヘッド36の第1領域Aを、さらにY方向(媒体22の搬送方向)の上流側の領域A1と下流側の領域A2に分けた点である。例えばX方向に平行な直線GAを噴射面360の第1領域Aに想定すると、直線GAよりもY方向の上流側が領域A1であり、直線GAよりもY方向の下流側が領域A2である。
図7の構成では、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]が、第1領域Aの上流側の領域A1と下流側の領域A2とにそれぞれ配置される。第1領域ノズルN[A]は、第1領域Aの上流側の領域A1に配置され、第2領域ノズルN[B]は、第2領域Bに配置される。図7に示すように、第1領域Aの上流側の領域A1と下流側の領域A2とのインクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]とは、X方向にずらして配置してもよい。また、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]についても、X方向にずらして配置してもよい。
図7の構成においても、X方向において複数の第1領域ノズルN[A]が分布する範囲は、X方向において第1領域Aの上流側の領域A1のインクノズル列LI1〜LI4が分布する範囲と重なり、X方向において複数の第2領域ノズルN[B]が分布する範囲は、X方向において第1領域Aの領域A1と領域A2とのインクノズル列LI1〜LI4が分布する範囲の両方とも重ならない上流側にある。
図7の液体噴射ヘッド36の印刷制御においては、制御部30は、媒体22の種類に応じて、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]との何れかを選択して前処理液40を噴射させ、ノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]についても第1領域Aの上流側の領域A1のノズルと下流側の領域A2のノズルとのいずれかを選択して、選択したノズルからインク41を噴射させる。例えば第1領域ノズルN[A]を選択する場合には、領域A1のインクノズル列LI1〜LI4を選択する場合と、領域A2のインクノズル列LI1〜LI4を選択する場合とでは、領域A2のインクノズル列LI1〜LI4を選択した方が、前処理液40とインク41との着弾時間差を少し大きくできる。また、第2領域ノズルN[B]を選択する場合においても、領域A1のインクノズル列LI1〜LI4を選択する場合と、領域A2のインクノズル列LI1〜LI4を選択する場合とでは、領域A2のインクノズル列LI1〜LI4を選択した方が、前処理液40とインク41との着弾時間差をより大きくできる。
このように、図7の構成によれば、前処理液ノズル列LPについては、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]との何れかを選択できるだけではなく、インクノズル列LI1〜LI4についても、領域A1のノズルと領域A2のノズルを選択できる。したがって、前処理液40とインク41のノズル選択の組合せが増えることから、前処理液40とインク41との着弾時間差の選択の余地も増えるので、細かく着弾時間差を調整することができる。なお、図7に示す液体噴射ヘッド36では、前処理液ノズル列LPのうちの第1領域ノズルN[A]を第1領域Aの上流側の領域A1に配置する場合を例示したが、第1領域ノズルN[A]を第1領域Aの下流側の領域A2に配置してもよく、また第1領域ノズルN[A]を第1領域Aの上流側の領域A1と下流側の領域A2の両方に配置してもよい。
(第1実施形態の第2変形例)
第1実施形態の第2変形例に係る液体噴射ヘッド36について説明する。図8は、第1実施形態の第2変形例に係る液体噴射ヘッド36の噴射面360の平面図である。図7の構成では、第1領域Aの上流側の領域A1において、第1領域ノズルN[A]がX方向に分布する範囲が、ノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]がX方向に分布する範囲の全部に重なる場合を例示したが、これに限られるものではない。図8に示すように、第1領域Aの上流側の領域A1において、第1領域ノズルN[A]がX方向に分布する範囲が、ノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]がX方向に分布する範囲の一部に重なるようにしてもよい。
図8の構成では、第1領域ノズルN[A]がX方向に分布する範囲が、第1領域Aの上流側の領域A1のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]がX方向に分布する範囲の半分にした場合を例示したものである。この場合、図8に示すように、第2領域ノズルN[B]がX方向に分布する範囲についても、第1領域Aの上流側の領域A1のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]がX方向に分布する範囲の半分にしてもよい。
このような図8の構成によっても、前処理液ノズル列LPについては、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]との何れかを選択できるだけではなく、インクノズル列LI1〜LI4についても、領域A1のノズルと領域A2のノズルを選択できる。
(第1実施形態の第3変形例)
第1実施形態の第3変形例に係る液体噴射ヘッド36について説明する。図9は、第1実施形態の第3変形例に係る液体噴射ヘッド36の噴射面360の平面図である。図9の液体噴射ヘッド36が、図7と異なるのは、液体噴射ヘッド36の第1領域Aのみならず、第2領域BについてもさらにY方向(媒体22の搬送方向)の上流側の領域B1と下流側の領域B2に分けた点である。例えばX方向に平行な直線GBを噴射面360の第1領域Bに想定すると、直線GBよりもY方向の上流側が領域B1であり、直線GBよりもY方向の下流側が領域B2である。図9の液体噴射ヘッド36では、第1領域Aの上流側の領域A1と下流側の領域A2とにそれぞれ第1領域ノズルN[A]が配置され、第2領域Bの上流側の領域B1と下流側の領域B2とにそれぞれ第2領域ノズルN[B]が配置される。
図9の構成によれば、前処理液ノズル列LPについても、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]とでそれぞれ、第1領域Aの上流側の領域A1のノズルと下流側の領域A2の一方に対応するノズル、または第2領域Bの上流側の領域B1のノズルと下流側の領域B2の一方に対応するノズルを選択して前処理液40を噴射できる。インクノズル列LI1〜LI4についても、領域A1のノズルと領域A2のノズルを選択できる。したがって、図7に示す液体噴射ヘッド36よりも、さらに前処理液40とインク41のノズル選択の組合せが増えることから、前処理液40とインク41との着弾時間差を選択できる余地も増えるので、より細かく着弾時間差を調整することができる。
また、図9の構成によれば、吸収性の高い媒体22aの場合には、第1領域ノズルN[A]について、領域A1と領域A2の両方のノズルから前処理液40を噴射し、吸収性の低い媒体22bの場合には、第2領域ノズルN[B]について、領域B1と領域B2の両方のノズルから前処理液40を噴射することもできる。また、ノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]についても、第1領域Aの上流側の領域A1のノズルと下流側の領域A2のノズルからインク41を噴射させることができる。これによれば、領域A1と領域A2のいずれかのノズルを選択する場合や領域B1と領域B2のいずれかのノズルを選択する場合に比較して、前処理液40またはインク41を一度に噴射させるノズルの範囲がY方向に広くなるので、印刷速度を上げることができる。
(第1実施形態の第4変形例)
第1実施形態の第4変形例に係る液体噴射ヘッド36について説明する。図10は、第1実施形態の第4変形例に係る液体噴射ヘッド36の噴射面360の平面図である。図10の構成では、液体噴射ヘッド36の噴射面360に複数のノズル列L0が形成される。複数のノズル列L0は、第1領域Aから第2領域Bに渡ってY方向に配列された複数のノズルNの集合である。複数のノズルNが分布するY方向の範囲は複数のノズル列L0にわたり共通する。任意の1つのノズル列L0が前処理液ノズル列LPとして利用され、他の4つのノズル列L0がインクノズル列LI1〜LI4として利用される。
前処理液ノズル列LPとして利用されるノズル列L0においては、第1領域Aに位置する所定個のノズルNが、第1領域ノズルN[A]として利用され、第2領域Bに位置する所定個のノズルNが、第2領域ノズルN[B]として利用される。インクノズル列LI1〜LI4として利用される4つのノズル列L0のうち第1領域Aに位置する所定個のノズルNが、ノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]として利用される。すなわち、各ノズルの位置関係は、図2と同様である。なお、複数のノズル列L0のうち、利用されない各ノズルNについては、例えば当該ノズルNまでの流路が閉塞されて非噴射状態(液体を噴射できない状態)に維持される。図10で利用する各ノズルの位置関係は図2と同様であるため、図2の液体噴射ヘッド36と同様の作用効果を奏することができる。なお、図10で利用する各ノズルの位置関係は、図2と同様にした場合を例に挙げたが、これに限られず、複数のノズル列L0の数やX方向の間隔を調整して、利用するノズルを適宜選択することで、図7〜図9と同様のノズル配置にすることもできる。このように、図10の構成によれば、液体噴射ヘッド36に、相互に間隔をあけてX方向に配列された複数のノズル列のうちの一部のノズルを、前処理液40とインク41のノズルとして利用するので、利用するノズルの位置によって、前処理液40とインク41の配置を変えることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態では、1種類の前処理液40を用い、媒体22の種類に応じて前処理液40とインク41との着弾時間差を変える場合について説明したが、第2実施形態では、複数の前処理液40を用い、媒体22の種類に応じて前処理液40とインク41との着弾時間差だけでなく、媒体22の種類に応じて前処理液40の種類を変える場合について説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態では、前処理液40とインク41との着弾時間差が大きいほど、インク41の着弾直前までに前処理液40が浸透し過ぎて、媒体22の表面に残存する前処理液40の反応成分量が変わってしまい、前処理液40とインク41との反応性が低下する場合がある点について説明した。このような現象は、前処理液40とインク41との着弾時間差だけでなく、媒体の種類と浸透性の異なる前処理液40の組合せによっては、より顕著に現れる場合がある。例えば浸透性の高い前処理液40b’は、浸透性の低い前処理液40a’よりも媒体22に浸透し易いので、前処理液40とインク41との着弾時間差が同じでも、浸透性の高い前処理液40b’の方が、前処理液40が浸透し過ぎて、媒体22の表面に残存する前処理液40の反応成分量も少なくなる。
(媒体の種類と前処理液の浸透性との関係)
以下、このような媒体の種類と前処理液40の浸透性との関係について、より詳細に説明する。図11は、種類の異なる媒体に、浸透性の異なる前処理液40を着弾させた4つのケース5〜8における前処理液40の状態を説明するための図である。
ここでの浸透性の異なる1種類の前処理液40は、浸透性の低い前処理液40a’と、浸透性の高い前処理液40b’とのいずれかである。浸透性の低い前処理液(第1前処理液)40a’として緩浸透前処理液を用い、浸透性の高い前処理液(第2前処理液)40b’として超浸透前処理液を用い、前処理液40a’または40b’とインク41との着弾時間差は同じとする。また、種類の異なる媒体22は、液体の吸収性の高い媒体22a(例えばインク吸収層を有するコート紙)と、液体の吸収性の低い媒体22b(例えば塩化ビニルなどのプラスティックフィルム)とのいずれかである。
図11において、ケース5は、吸収性の高い媒体22aに、浸透性の高い前処理液40b’を着弾させた場合であり、ケース6は、吸収性の高い媒体22aに、浸透性の低い前処理液40a’を着弾させた場合である。ケース7は、吸収性の低い媒体22bに、浸透性の高い前処理液40b’を着弾させた場合であり、ケース8は、吸収性の低い媒体22bに、浸透性の低い前処理液40a’を着弾させた場合である。
図11の表面残存量は、図4の場合と同様に、インク着弾直前に媒体22aまたは22bの表面に残存する前処理液40a’または40b’の残存量である。図11の被覆面積も、図4と同様に、インク着弾直前に媒体22aまたは22bの表面に残存した前処理液40a’または40b’が媒体22aまたは22bを被覆する面積である。
また、浸透性の高い前処理液40b’である超緩浸透液は、媒体22aまたは22bの内部への浸透が早く、媒体22aまたは22bの表面上の濡れ広がり易い。他方、浸透性の低い前処理液40a’である緩浸透液は、浸透性の高い前処理液40b’である超緩浸透液に比較して、媒体22aまたは22bの内部への浸透が緩く、媒体22aまたは22bの表面上の濡れ広がり難い。このため、図4のケース1〜4のように前処理液40a’または40b’と媒体22aまたは22bとの組合せによって、前処理液40a’または40b’の表面残存量と被覆面積も異なる。以下、具体的にそれぞれの各ケース5〜8について説明する。
先ず、図11のケース5およびケース6における吸収性の高い媒体22aについて説明する。図11のケース5に示すように、吸収性の高い媒体22aに、浸透性の高い前処理液40b’を着弾させた場合には、前処理液40b’の表面残存量が「少」であり、被覆面積も「小」である。すなわち、この場合は、媒体22aの吸収性が高いので、浸透性が高い前処理液40b’では、前処理液40b’が着弾した直後からインク41が着弾する直前までに前処理液40b’が浸透し過ぎるので、インク着弾直前には媒体22aの表面に残存する前処理液40b’の表面残存量が少なくなり過ぎてしまい、被覆面積も小さくなってしまう。また、浸透性の高い前処理液40b’ほど濡れ広がり易いので、濡れ広がり性が大きくなる。この場合は、図5のケース1の場合と同様にインク41を着弾させると、前処理液40b’の表面残存量が少な過ぎで被覆面積も小さいため、前処理液40b’とインク41との反応性が低くなる。このため、媒体22aの表面に着弾したドット同士が広がって凝集し易くなるので、印刷画質が低下する虞がある。
他方、図11のケース6に示すように、吸収性の高い媒体22aに、浸透性の低い前処理液40a’を着弾させた場合には、前処理液40a’の表面残存量と被覆面積はともに「中」となる。この場合は、吸収性の高い媒体22aであっても、前処理液40a’の浸透性が低いので、媒体22aに前処理液40a’が着弾した直後からインク41が着弾する直前までに前処理液40a’が浸透し過ぎることはない。このため、インク着弾直前には前処理液40a’の表面残存量も少なくなり過ぎることはなく、被覆面積も中程度であるから、媒体22aの表面に着弾したドット同士も凝集し難くなる。浸透性の低い前処理液40a’では、浸透が緩く、濡れ広がりも弱いが、媒体22aの吸収性が高い場合は、インク41との着弾時間差が大きいと、インク41の着弾直前に前処理液40a‘が媒体22aに浸透しすぎて表面残存量が少なくなり、媒体22aの表面に着弾したインク41のドット同士が広がり、重なり合うように凝集し易くなり、印刷画質が低下する虞がある。
このように、図11のケース6の前処理液40a’の状態は悪くはないものの、前処理液40a’の着弾からインク41の着弾までの時間差により前処理液40a’の状態が変化してばらつき易くなるため、必ずしも媒体22aの印刷領域のすべてにおいて安定して良好な前処理液40a’の状態の環境を提供できない。
次に、図11のケース7およびケース8における吸収性の低い媒体22bについて説明する。図11のケース7に示すように、吸収性の低い媒体22bに、浸透性の高い前処理液40b’を着弾させた場合には、前処理液40b’の表面残存量は「中」となり、被覆面積は「大」となる。すなわち、この場合は、媒体22bの吸収性が低いので、浸透性が高い前処理液40b’では、前処理液40b’が着弾した直後からインク41が着弾する直前までに、前処理液40b’が浸透し過ぎることはなく、定着性もよく、良好である。このため、前処理液40b’の表面残存量も少なくなり過ぎることはなく、媒体22bの表面に着弾するインク41のドット同士も凝集し難くなり、インク41の発色性も良好である。ところが、浸透性の高い前処理液40b’でも、媒体22bの吸収性が低い場合は、インク41との着弾時間差が小さいと、前処理液40b‘の乾燥が間に合わず、インク41の着弾直前までの前処理液40b‘の表面残存量が多過ぎて、水分や溶剤などの溶液成分の乾燥が不足により、前処理液40b’とインク41との反応性が低くなり、印刷画質が低下する虞がある。
このように、図11のケース7の前処理液40b’の状態も悪くはないものの、前処理液40b’の着弾からインク41の着弾までの時間差により前処理液40b’の状態が変化してばらつき易くなるため、必ずしも媒体22bの印刷領域のすべてにおいて安定して良好な前処理液40b’の状態の環境を提供できない。
他方、図11のケース8に示すように、吸収性の低い媒体22bに、浸透性の低い前処理液40a’を着弾させた場合には、前処理液40a’の表面残存量は「多」となり、被覆面積は「中」となる。すなわち、この場合は、媒体22bの吸収性が低いので、浸透性が低い前処理液40a’では、前処理液40a’が着弾した直後からインク41が着弾する直前までに、前処理液40a’の表面残存量が少なくなり過ぎることはない。この場合は、図5のケース4に示すようにインク41を着弾させると、媒体22bの表面に着弾したドット同士が凝集し難くなる。ところが、その反面、前処理液40a’がより浸透し難く、定着性も悪いので、インク41の発色性が低下する。しかも、前処理液40a’の浸透性が低いので、濡れ広がり難くて、前処理液40a’とインク41との接触面積も少なくなり、反応性も低下する。
以上によれば、印刷画質を向上させるには、前処理液の表面残存量(浸透性)の観点からすれば、図11のケース6のように吸収性の高い媒体22aでは、浸透性の高い前処理液40b’よりも浸透性の低い前処理液40a’の方がよく、図11のケース7のように吸収性の低い媒体22bでは、浸透性の低い前処理液40a’よりも浸透性の高い前処理液40b’の方がよいことが分かる。しかしながら、ケース6及びケース7のような組合せであっても、インク41の着弾直前での前処理液40の表面残存量を適切な状態とするために、改善の余地は大きい。
そこで、第2実施形態では、吸収性の高い媒体22aには浸透性の低い前処理液40a’を用い、吸収性の低い媒体22bには浸透性の高い前処理液40b’を用いる。これにより、媒体22の種類に依らずに、前処理液40とインク41との反応性を高めることができる。さらに、第1実施形態のように、各前処理液40とインク41との着弾時間差を変えることで、浸透性や乾燥性を調整できるので、前処理液40の濡れ広がり性も調整できる。
(第2実施形態の液体噴射ヘッド)
次に、このように媒体22に応じて前処理液40とインク41の着弾時間差と共に、前処理液40の種類も変えられる第2実施形態の液体噴射ヘッド36の構成例について説明する。図12は、第2実施形態に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。図12の液体噴射ヘッド36の前処理液40としては、媒体22に対する浸透性の低い第1前処理液40a’と、第1前処理液40a’よりも浸透性の高い第2前処理液40b’との2種類の前処理液40を用いる場合を例に挙げる。
第1前処理液40a’と第2前処理液40b’は、第1実施形態の前処理液40と同様の反応成分であり、媒体22に対する浸透性が相違する。第1前処理液40a’の具体例としては、媒体22に対する浸透性が低く緩やかに浸透する緩浸透前処理液が挙げられる。第2前処理液40b’の具体例としては、緩浸透前処理液よりも媒体22に対する浸透性が高く速やか浸透する超浸透前処理液が挙げられる。ここでの「超浸透」および「緩浸透」という用語は、これらの相対的な特性を意味している。
図12は、図2と同様の構成の液体噴射ヘッド36に、第1前処理液40a’と第2前処理液40b’との2種類の前処理液40を供給するようにしたものである。図12に示す液体容器24には、これら第1前処理液40a’と第2前処理液40b’とが別々に貯留されている。なお、図12では液体容器24を便宜的に1個の要素として図示したが、複数の前処理液40と複数種類のインク41とを別体の液体容器24に貯留した構成や、複数種類のインク41の各々についても別体の液体容器24に貯留した構成も採用され得る。
図12の液体噴射ヘッド36によれば、複数の第1領域ノズルN[A]は第1前処理液40a’を噴射し、複数の第2領域ノズルN[B]は第2前処理液40b’を噴射するように構成することで、媒体22の種類に応じて、各前処理液40a’、40b’とインク41との着弾時間差を変えることができると共に、前処理液の種類も第1前処理液40a’と第2前処理液40b’とのいずれかに変えることができる。
(第2実施形態の液体噴射方法)
以上を踏まえて、第2実施形態の液体噴射方法について、図12の液体噴射ヘッド36の制御を例に挙げて説明する。図13は、印刷制御における液体噴射ヘッド36の制御を示すフローチャートである。制御部30は、管理装置からの指示に応じて、ROM301から所定のプログラムを読み出して、媒体22への印刷制御を実行する。印刷制御において、制御部30は、媒体22の搬送制御を行いつつ、図13に示す液体噴射ヘッド36の制御を行う。
先ず、ステップS201にて判別部303は、印刷する媒体22の種類を判別する。具体的には、図6のステップS101と同様の処理を行う。ステップS201にて、吸収性の高い媒体22aであると判別部303が判別した場合、ステップS202にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LPの第1領域ノズルN[A]を選択して浸透性の低い第1前処理液40a’を噴射する。そして、ステップS204にて制御部30は、媒体22aをY方向に搬送させることなく、キャリッジ342を復動させながら、第1前処理液40a’が着弾した部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22aに着弾させる。
これに対して、ステップS201にて、吸収性の低い媒体22bであると判別部303が判別した場合、ステップS203にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LPの第2領域ノズルN[B]を選択して浸透性の高い第2前処理液40b’を噴射させる。そして、ステップS204にて制御部30は、媒体22bをY方向に搬送させてから、第2前処理液40b’が着弾した部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22bに着弾させる。
このような第2実施形態の印刷制御によれば、吸収性の高い媒体22aに対しては、第1領域ノズルN[A]を選択することで、図11のケース6のように浸透性の低い第1前処理液40a’を噴射させることができ、さらに第1前処理液40a’とインク41との着弾時間差を小さくできるので、媒体22aへの浸透を抑える効果を高めることがきる。他方、吸収性の低い媒体22bに対しては、第2領域ノズルN[B]を選択することで、図11のケース7のように浸透性の高い第2前処理液40b’を噴射させることができ、さらに第2前処理液40b’とインク41との着弾時間差を大きくできるので、媒体22bへの濡れ広がり性や乾燥性も向上させることができる。したがって、前処理液とインクとの着弾時間差だけを変える場合に比較して、媒体22の種類に依らずに、インク41との反応性を向上させる効果をより高めることができ、印刷画質をさらに向上させることができる。
図13に示す制御では、吸収性の高い媒体22aの場合、キャリッジ342の往動時に、第1領域ノズルN[A]から第1前処理液40a’を噴射させて(ステップS202)、キャリッジ342の復動時に、インクノズル列LI1〜LI4からインク41を噴射させる(ステップS204)場合を説明したが、これに限られるものではない。すなわち、図12の液体噴射ヘッド36でも、図2の構成と同様であるから、第1領域ノズルN[A]が、インクノズル列LI1〜LI4とX方向に平面視で重なるように、同じ第1領域Aに配置されるので、キャリッジ342の往動時に、第1前処理液40a’とインク41の両方を噴射させることができる。これにより、第1前処理液40a’とインク41をほとんど時間差がないように、ほぼ同時に媒体22aに着弾させることもできる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を説明する。第2実施形態では、浸透性の異なる2種類の前処理液40を用いて、媒体22の種類に応じて浸透性の異なる2種類の前処理液40のうち一方を着弾させることができる液体噴射ヘッド36について説明したが、第3実施形態では、浸透性の異なる複数の前処理液40を用いて、媒体22の種類に応じて複数の前処理液40を重ねる順序を変えることができる液体噴射ヘッド36について説明する。これによれば、1種類の前処理液40のみを選択して用いる場合に比較して、さらに浸透性と濡れ広がり性を向上させることができる。
(媒体の種類と複数の前処理液)
ここで、浸透性の異なる複数の前処理液40を重ねた場合の前処理液40の状態とインク41の状態について説明する。図14は、媒体の種類に応じて前処理液40を重ねる順序を変えた2つのケース9およびケース10における前処理液40の状態を説明するための図である。図14においては、浸透性の異なる複数の前処理液40として、浸透性の低い第1前処理液40aと、浸透性の高い第2前処理液40bの2種類を用いる。浸透性の低い第1前処理液40aとして緩浸透前処理液を用い、浸透性の高い第2前処理液40bとして超浸透前処理液を用い、前処理液40とインク41との着弾時間差は同じとする。また、種類の異なる媒体22は、液体の吸収性の高い媒体22a(例えばインク吸収層を有するコート紙)と、液体の吸収性の低い媒体22b(例えば塩化ビニルなどのプラスティックフィルム)とのいずれかである。
図14のケース9は、吸収性の高い媒体22aに、浸透性の高い第2前処理液40bを着弾させてから、浸透性の低い第1前処理液40aを着弾させて重ねた場合である。図14のケース10は、吸収性の低い媒体22bに、浸透性の低い第1前処理液40aを着弾させてから、浸透性の高い第2前処理液40bを着弾させて重ねた場合である。図15は、図14の各ケース9,10において、インク41の着弾直後と一定時間経過後のインク41の状態を説明するための図である。図14および図15の前処理液40は、重ねられた後の第2前処理液40bと第1前処理液40aである。
図14のケース9に示すように、吸収性の高い媒体22aには、浸透性の高い第2前処理液40bを着弾させてから、浸透性の低い第1前処理液40aを着弾させて重ねる。ケース9では、前処理液40の表面残存量が「中」であり、被覆面積も「中」である。ケース9によれば、先に浸透性の高い第2前処理液40bを着弾させることで、後に着弾する浸透性の低い第1前処理液40aの浸透を抑えることができる。したがって、全体として濡れ広がり易くなり、媒体22の表面に残存する前処理液40の表面残存量も増やすことができ、被覆面積も大きくできるので、図15のケース9に示すように、着弾したインク41の凝集が起こり難いだけでなく、インク41との反応性も高めつつ、濡れ広がり性も向上させることができる。しかも先に第2前処理液40bが濡れ広がって浸透しているところに第1前処理液40aが着弾することで、浸透性の高い第2前処理液40bが、後の浸透性の低い第1前処理液40aの目止め剤となり、前処理液40の定着性も高めることができるので、インク41の発色性も向上させることができる。これにより、吸収性の高い媒体22aに浸透性の低い第1前処理液40aだけを用いる場合に比較して、印刷画質をさらに向上させることができる。
他方、図14のケース10に示すように、吸収性の低い媒体22bには、浸透性の低い第1前処理液40aを着弾させてから、浸透性の高い第2前処理液40bを着弾させて重ねる。図14のケース10でも、前処理液40の表面残存量が「中」であり、被覆面積も「中」である。ケース10によれば、先に浸透性の低い第1前処理液40aを着弾させることで、後に着弾する浸透性の高い第2前処理液40bの濡れ広がり方を抑えながら、インク41との反応性を高めることができる。ここで、媒体22bの吸収性が非常に低い場合は、浸透性の高い第2前処理液40bでも浸透し難く乾燥性が悪いので、第1処理液40aおよび第2前処理液40bの液滴の量を少なくしてドットを小さくすることで、乾燥性を向上させることができる。しかも第2前処理液40bの液滴の量を少なくしても、先に着弾する浸透性の低い第1前処理液40aが媒体22b上に留まっていることによって、反応成分を補うことができるので、インク41との反応性を高めることができる。したがって、全体として濡れ広がり方および乾燥性を制御して、前処理液40の表面残存量をより適切にすることができるので、図15のケース10に示すように、着弾したインク41との反応性を高めつつ、濡れ広がり性および乾燥性も向上させることができる。これにより、吸収性の低い媒体22bに浸透性の高い第2前処理液40bだけを用いる場合に比較して、印刷画質を向上させることができる。
さらに、第3実施形態では、このように媒体22に応じて、2種類の前処理液40を重ねる順序を変えるだけでなく、前処理液40aまたは40bとインク41との着弾時間差を変えることで、より高画質な印刷画質を提供することができる。
(第3実施形態の液体噴射ヘッド)
次に、このように媒体22に応じて前処理液40とインク41の着弾時間差だけでなく、2種類の前処理液40を重ねる順序も変えられる第3実施形態の液体噴射ヘッド36の構成例について説明する。図16は、第3実施形態に係る液体噴射ヘッドの噴射面の平面図である。図16の液体噴射ヘッド36が、図12と異なるのは、第1領域Aにおいて、2つの前処理液ノズル列LP1、LP2とを相互に間隔をあけてX方向に配列すると共に、第1領域Bにおいて、2つの前処理液ノズル列LP1’、LP2’とを相互に間隔をあけてX方向に配列した点である。なお、インクノズル列LI1〜LI4の構成は、図2と同様である。
前処理液ノズル列LP1、LP2は共に、Y方向に沿って直線状に配列された複数の第1領域ノズルN[A]の集合であり、前処理液ノズル列LP1’、LP2’は共に、Y方向に沿って直線状に配列された複数の第2領域ノズルN[B]の集合である。図16の構成では、前処理液ノズル列LP1、LP2が、キャリッジ342の移動方向(X方向の正側)に沿って、前処理液ノズル列LP2、前処理液ノズル列LP1の順序で配置されており、前処理液ノズル列LP1'、LP2'が、キャリッジ342の移動方向(X方向の正側)に沿って、前処理液ノズル列LP2'、前処理液ノズル列LP1'の順序で配置されている。また、前処理液ノズル列LP1、LP2の第1領域ノズルN[A]は、X方向において平面視で重なり、前処理液ノズル列LP1’、LP2’の第2領域ノズルN[B]は、X方向において平面視で重なっている。
このような構成によれば、前処理液ノズル列LP1、LP2の各々の第1領域ノズルN[A]のうち、一方を第1前処理液40aを噴射するノズルとし、他方を第2前処理液40bを噴射するノズルとすることができる。また前処理液ノズル列LP1'、LP2'の各々の第2領域ノズルN[B]のうち、一方を第1前処理液40aを噴射するノズルとし、他方を第2前処理液40bを噴射するノズルとすることができる。
ここでは、前処理液ノズル列LP1の第1領域ノズルN[A]を第1前処理液40aを噴射するノズルとし、前処理液ノズル列LP2の第1領域ノズルN[A]を第2前処理液40bを噴射するノズルとする。また、前処理液ノズル列LP1'の第2領域ノズルN[B]を第2前処理液40bを噴射するノズルとし、前処理液ノズル列LP2'の第2領域ノズルN[B]を第1前処理液40aを噴射するノズルとする。すなわち、第1領域Aと第1領域Bとでは、第1前処理液40aを噴射するノズル列と第2前処理液40bを噴射するノズル列とを、Y方向からみて互い違いの順序で並ぶように配置する。
図16の液体噴射ヘッド36では、前処理液ノズル列LP1、LP2の第1領域ノズルN[A]は、X方向において複数のインクノズルが分布する範囲に重なるように第1領域Aに配置され、前処理液ノズル列LP1'、LP2'の第2領域ノズルN[B]は、X方向において複数のインクノズルが分布する範囲に重ならないように第2領域に配置される。したがって、前処理液ノズル列LP1、LP2の第1領域ノズルN[A]を選択するか、前処理液ノズル列LP1'、LP2'の第2領域ノズルN[B]を選択することで、その後の着弾するインク41との着弾時間差を変えることができる。
さらに、第1領域ノズルN[A]を選択した場合と、第2領域ノズルN[B]を選択した場合とでは、第1前処理液40aと第2前処理液40bとの順序を変えて着弾させることができる。この場合、第1領域Aと第1領域Bとで、第1前処理液40aを噴射するノズル列と第2前処理液40bを噴射するノズル列とが、Y方向からみて互い違いの順序で並ぶように配置することで、キャリッジ342の同じ方向の移動時に、第1前処理液40aと第2前処理液40bとの順序を変えて着弾させることができるので、第1前処理液40aを噴射するノズル列と第2前処理液40bを噴射するノズル列とが、Y方向からみて同じ順序で並ぶ場合に比較して、第1前処理液40aと第2前処理液40bとを重ねるときに、キャリッジ342を戻さなくても、第1前処理液40aと第2前処理液40bとを重ねる順序を変えられる。したがって、第1前処理液40aと第2前処理液40bとを重ねる順序を変えても、第1前処理液40aと第2前処理液40bとの着弾時間差が生じないようにすることができる。このように、図16の構成によれば、媒体22の種類に応じて前処理液40とインク41との着弾時間差だけでなく、媒体22の種類に応じて第1前処理液40aと第2前処理液40bとを重ねる順序も変えることができる。
(第3実施形態の液体噴射方法)
以上を踏まえて、第3実施形態の液体噴射方法について、図16の液体噴射ヘッド36の制御を例に挙げて説明する。図17は、印刷制御における液体噴射ヘッド36の制御を示すフローチャートである。制御部30は、管理装置からの指示に応じて、ROM301から所定のプログラムを読み出して、媒体22への印刷制御を実行する。印刷制御において、制御部30は媒体22の搬送制御を行いつつ、図17に示す液体噴射ヘッド36の制御を行う。
先ず、ステップS301にて判別部303は、印刷する媒体22の種類を判別する。具体的には、図6のステップS101と同様の処理を行う。ステップS301にて、吸収性の高い媒体22aであると判別部303が判別した場合、ステップS302にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LP2の第1領域ノズルN[A]を選択して浸透性の高い第2前処理液40bを噴射して媒体22aに着弾させ、ステップS303にて前処理液ノズル列LP1の第1領域ノズルN[A]を選択して浸透性の低い第1前処理液40aを噴射して媒体22aに着弾させて、第2前処理液40bに第1前処理液40aを重ねる。
そして、ステップS306にて制御部30は、媒体22aをY方向に搬送させることなく、キャリッジ342を復動させながら、第2前処理液40bと第1前処理液40aが重ねられた部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22aに着弾させる。
これに対して、ステップS301にて、吸収性の低い媒体22bであると判別部303が判別した場合、ステップS304にて制御部30は、キャリッジ342を往動させながら、前処理液ノズル列LP2'の第2領域ノズルN[B]を選択して浸透性の低い第1前処理液40aを噴射して媒体22bに着弾させ、続けてステップS305にて前処理液ノズル列LP1'の第2領域ノズルN[B]を選択し、浸透性の高い第2前処理液40bを噴射して媒体22bに着弾させて、第1前処理液40aに第2前処理液40bを重ねる。
そして、ステップS306にて制御部30は、媒体22bをY方向に搬送させて、キャリッジ342を復動させながら、第1前処理液40aと第2前処理液40bが重ねられた部分に、インクノズル列LI1〜LI4のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から必要な色のインク41を噴射して媒体22bに着弾させる。
このような第3実施形態の印刷制御によれば、判別部303が吸収性の高い媒体22aであると判別すると、制御部30は媒体22上において浸透性の高い第2前処理液40bに浸透性の低い第1前処理液40aを重ねて着弾させて、その後にインク41を着弾させる。これに対して、判別部303が吸収性の低い媒体22bであると判別すると、制御部30は媒体22上において浸透性の低い第1前処理液40aに浸透性の高い第2前処理液40bを重ねて着弾させて、その後にインク41を着弾させる。これにより、吸収性の高い媒体22aと吸収性の低い媒体22bの何れにおいても、前処理液40の反応性を高めながら濡れ広がり性も高めることができるので、媒体22の種類に依らずに印刷画質を向上させることができる。
しかも、第1実施形態と同様に、媒体22に応じて前処理液40とインク41との着弾時間差も変えることができるので、吸収性の高い媒体22aでは、媒体22の表面に残存する前処理液40の反応成分量をより多くすることができ、吸収性の低い媒体22bでは、各前処理液40の水分や溶剤などの溶液成分の乾燥時間を確保することができる。
以上、第3実施形態によれば、媒体22の種類に応じて、前処理液40とインク41との着弾時間差だけを変える第1実施形態に比較して、媒体22の種類に依らず、より高画質な印刷画質を提供することができる。なお、図17においても、図6の場合と同様に、吸収性の高い媒体22aの場合、キャリッジ342の往動時に、各前処理液40だけでなく、インク41も噴射させるようにしてもよい。すなわち、図16の液体噴射ヘッド36では、前処理液ノズル列LP1、LP2の第1領域ノズルN[A]が、インクノズル列LI1〜LI4とX方向に平面視で重なるように、同じ第1領域Aに配置されるので、キャリッジ342の往動時に、各前処理液40だけでなく、インク41も噴射させることができる。これにより、各前処理液40とインク41をほとんど時間差がないように、ほぼ同時に媒体22aに着弾させることもできる。
また、第3実施形態に係る液体噴射ヘッドは、上述した構成に限られるものではない。例えば図16の構成において、前処理液ノズル列LP1、LP1’の第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]の両方を第1前処理液40aを噴射するノズルとし、前処理液ノズル列LP2、LP2’の第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]の両方を第2前処理液40bを噴射するノズルとしてもよい。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態を説明する。第1実施形態〜第3実施形態では、液体噴射ヘッド36を搭載したキャリッジ342がX方向に移動するシリアルヘッドを備える液体噴射装置10を例示したが、第4実施形態では、媒体22の搬送方向に交差する方向(ここではX方向)に長尺なラインヘッドとして構成した液体噴射ヘッド36を備える液体噴射装置10を例示する。
図18は、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置10の部分的な構成図である。図18に示す液体噴射装置10における液体噴射ヘッド36は、第2領域Bに配置された4つのノズル列LP1〜LP4と、第1領域Aに配置された4つのノズル列LI1〜LI4とが相互に間隔をあけてY方向に配置されたラインヘッドである。第2領域Bのノズル列LP1〜LP4および第1領域Aのノズル列LI1〜LI4は、X方向に沿って直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、第2領域Bのノズル列LP1〜LP4および第1領域Aのノズル列LI1〜LI4の各々を複数列(例えば千鳥配列またはスタガ配列)とすることも可能である。
図18の上側の拡大図に示すように、第2領域Bのノズル列LP1〜LP4は、前処理液40を噴射する複数のノズルN[B]により構成される。他方、図18の下側の拡大図に示すように、第1領域Aのノズル列LI1〜LI4は、前処理液40を噴射する複数のノズルN[A]と、インク41を噴射するノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]により構成される。具体的には、第1領域Aのノズル列LI1では、ノズルN[A]とノズルN[C]とがX方向に交互に配列し、第1領域Aのノズル列LI2では、ノズルN[A]とノズルN[M]とがX方向に交互に配列し、第1領域Aのノズル列LI3では、ノズルN[A]とノズルN[Y]とがX方向に交互に配列し、第1領域Aのノズル列LI4では、ノズルN[A]とノズルN[K]とがX方向に交互に配列している。
このような図18の構成によれば、X方向において複数の第1領域ノズルN[A]が分布する範囲は、X方向においてインク41のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]が分布する範囲と重なり、X方向において複数の第2領域ノズルN[B]が分布する範囲は、X方向においてインク41のノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]が分布する範囲と重ならない上流側にある。
したがって、液体噴射ヘッド36が図18のようなラインヘッドであっても、図2に示す液体噴射ヘッド36と同様に、第1領域ノズルN[A]と第2領域ノズルN[B]との何れかを選択して前処理液40を噴射させることで、その後にノズルN[C]、N[M]、N[Y]、N[K]から噴射して媒体22に着弾させるインク41との着弾時間差を変えることができる。
なお、上述した各実施形態の液体噴射ヘッド36は、インク41を噴射する液体噴射部として機能すると共に、前処理液40を媒体22に被覆する前処理液被覆機構として機能する。具体的には、液体噴射ヘッド36のうち、インク41を噴射する構成要素(インクノズル列LI1〜LI4のノズルを含む)が液体噴射部として機能し、第1領域Aに配置される前処理液40を噴射する構成要素(第1領域ノズルN[A]を含む)が第1機構として機能し、第2領域Bに配置される前処理液40を噴射する構成要素(第2領域ノズルN[B]を含む)が第2機構として機能する。
<変形例>
以上に例示した各実施形態は、多様に変形され得、例えば相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。また、以下の例示を各実施形態に組み合わせても良い。
(1)液体噴射ヘッド36の構造は適宜に変更される。例えば前述の各実施形態では、圧力室に機械的な振動を付与する圧電素子を利用した圧電方式の液体噴射ヘッド36を例示したが、加熱により圧力室の内部に気泡を発生させる発熱素子を利用した熱方式の液体噴射ヘッドを採用することも可能である。また、液体噴射ヘッド36における複数のノズルNの構成は、上述した各実施形態の例示に限定されない。例えば前処理液40ノズル列とインクノズル列は、別体で構成してもよい。また、上述した各実施形態では、媒体に対して2つの前処理液40を着弾させて重ねる場合を説明したが、これに限られるものではなく、3つ以上の前処理液40を着弾させて重ねるようにしてもよい。
(2)上述した各実施形態では、液体噴射ヘッド36が、前処理液40を媒体22に被覆する前処理液被覆機構として機能するようにした場合を例示したが、これに限られず、前処理液被覆機構は、液体噴射ヘッド36とは別に設けるようにしてもよい。この場合、前処理液40をスプレーにより媒体22に被覆するスプレー機構により前処理液被覆機構を構成するようにしてもよい。例えば図18の液体噴射ヘッド36では、第2領域Bのノズル列LP1〜LP4の部分を、液体噴射ヘッド36とは別体のスプレー機構で構成してもよい。
(3)上述した実施形態において、さらに、第1前処理液40a,40a’と第2前処理液40b、40b’の噴射量を調整することもできる。例えば、液体をほぼ吸収しない媒体22の場合には、小ドットの浸透性の低い第2前処理液に、小ドットの浸透性の高い前処理液を重ねるように着弾させる、又は大ドットの浸透性の高い前処理液を着弾させることができる。また、例えば、液体をわずかに吸収する媒体22の場合には、小ドットの浸透性の低い第2前処理液に、大ドットの浸透性の高い前処理液を重ねるように着弾させることができる。また、例えば、液体をやや吸収する媒体22の場合には、小ドットの浸透性の高い第2前処理液に、大ドットの浸透性の低い前処理液を重ねるように着弾させることができる。また、例えば、液体をかなり吸収する媒体22の場合には、大ドットの浸透性の高い第2前処理液に、大ドットの浸透性の低い前処理液を重ねるように着弾させることができる。
つまり、吸収性が高い媒体ほど、前処理液の着弾からインクの着弾までの時間差を短くするとともに、前処理液の噴射量を多くしたり、前処理液を噴射する順番を選択したりして、より印刷画質を向上させることができる。また、吸収性が低い媒体ほど、前処理液の着弾からインクの着弾までの時間差を長くするとともに、前処理液の噴射量を少なくしたり、前処理液を噴射する順番を選択したりして、より印刷画質を向上させることができる。
(4)上述した各実施形態で例示した液体噴射装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
10…液体噴射装置、22…媒体、22a…吸収性の高い媒体、22b…吸収性の低い媒体、24…液体容器、30…制御部、301…ROM、302…RAM、303…判別部、32…搬送機構、322…供給ローラー、324…排出ローラー、34…移動機構、342…キャリッジ、344…搬送ベルト、36…液体噴射ヘッド、360…噴射面、37…媒体センサ、40…前処理液、40a…第1前処理液、40a’…浸透性の低い前処理液、40b…第2前処理液、40b’…浸透性の高い前処理液、41…インク、71…流路基板、712…開口部、714…分岐流路、716…連通流路、72…圧力室基板、722…開口部、722…各開口部、73…振動板、74…圧電素子、75…支持体、754…導入流路、76…ノズル板、A…第1領域、A1…第1領域の上流側の領域、A2…第1領域の下流側の領域、B…第2領域、B1…第2領域の上流側の領域、B2…第2領域の下流側の領域、L0…ノズル列、LP、LP1、LP2、LP3、LP4、LP1’、LP2’…前処理液ノズル列、LI1、LI2、LI3、LI4…インクノズル列、N[A]…第1領域ノズル、N[B]…第2領域ノズル、SC…圧力室、SR…共通液室。

Claims (10)

  1. 媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、
    前処理液を前記媒体に被覆する前処理液被覆機構と、
    インクを噴射する複数のインクノズルを含む液体噴射部と、
    前記前処理液被覆機構と前記液体噴射部を制御する制御部と、を具備し、
    前記前処理液被覆機構は、第1領域に配置される第1機構と、前記第1領域よりも前記第1方向において上流側に位置する第2領域に配置される第2機構とを含み、
    前記複数のインクノズルは、前記第1機構に対し前記第1方向と交差する第2方向において重なる部分と、前記第2機構に対し前記第2方向において重ならない部分を有する
    液体噴射装置。
  2. 前記媒体の種類を判別する判別部と、
    前記制御部は、前記判別部によって判別された前記媒体の種類に応じて、前記第1機構と前記第2機構との何れかを選択し、選択した機構により前記前処理液を前記媒体に被覆する
    請求項1の液体噴射装置。
  3. 前記第1領域は、さらに前記第1方向の上流側の領域と下流側の領域とに分けられ、
    前記複数のインクノズルは、前記第1領域の上流側の領域と下流側の領域とにそれぞれ配置され、
    前記第1機構は、前記第1領域の上流側の領域と下流側の領域とのそれぞれに配置され、
    前記制御部は、前記判別部によって判別された前記媒体の種類に応じて、前記第1領域の上流側の領域のインクノズルと前記第1領域の下流側の領域のインクノズルとの何れかを選択し、選択したノズルから前記インクを噴射させる
    請求項2の液体噴射装置。
  4. 前記第2領域は、さらに前記第1方向の上流側の領域と下流側の領域とに分けられ、
    前記第2機構は、前記第2領域の上流側の領域と下流側の領域とのぞれぞれに配置され、
    前記制御部は、前記第2機構を選択する場合には、さらに前記第2領域の上流側の領域の第2機構と下流側の領域の第2機構の何れか一方または両方を選択し、選択した機構から前記前処理液を噴射させる
    請求項2または請求項3の液体噴射装置。
  5. 前記前処理液は、第1前処理液と、該第1前処理液とは種類の異なる第2前処理液であり、
    前記第1機構は、前記第1前処理液を噴射するノズルを含み、
    前記第2機構は、前記第2前処理液を噴射するノズルを含む
    請求項1から請求項4の何れかの液体噴射装置。
  6. 前記前処理液被覆機構と前記液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、
    前記第2方向に前記液体噴射ヘッドを往復させる移動機構と、を具備し、
    前記液体噴射ヘッドは、相互に間隔をあけて前記第2方向に配列された複数のノズル列を備え、
    前記複数のノズル列はそれぞれ、前記第1領域から前記第2領域に渡って配置される複数のノズルを有し、
    前記複数のノズル列のうちの1つのノズル列において、前記第1領域に配置された複数のノズルが前記第1機構として利用され、前記第2領域に配置された複数のノズルが前記第2機構として利用され、
    前記複数のノズル列のうちの他のノズル列において、前記第1領域に配置された複数のノズルが前記複数のインクノズルとして利用される
    請求項1から請求項4の何れかの液体噴射装置。
  7. 前記前処理液被覆機構と前記液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、
    前記第2方向に前記液体噴射ヘッドを往復させる移動機構と、を具備し、
    前記前処理液は、第1前処理液と該第1前処理液よりも浸透性の高い第2前処理液であり、
    前記第1機構は、相互に間隔をあけて前記第2方向に配列された2つのノズル列を含み、そのうちの一方のノズル列は前記第1前処理液を噴射するノズルで構成されると共に、他方のノズル列は前記第2前処理液を噴射するノズルで構成され、これらの前記第1前処理液を噴射するノズルと前記第2前処理液を噴射するノズルとは、前記第2方向において平面視で重なり、
    前記第2機構は、相互に間隔をあけて前記第2方向に配列された2つのノズル列を含み、そのうちの一方のノズル列は前記第1前処理液を噴射するノズルで構成されると共に、他方のノズル列は前記第2前処理液を噴射するノズルで構成され、これらの前記第1前処理液を噴射するノズルと前記第2前処理液を噴射するノズルとは、前記第2方向において平面視で重なる
    請求項1から請求項4の何れかの液体噴射装置。
  8. 前記第1機構の2つのノズル列は、前記液体噴射ヘッドの移動方向に沿って、前記第2前処理液を噴射するノズルのノズル列と前記第1前処理液を噴射するノズルのノズル列の順序で配置され、
    前記第2機構の2つのノズル列は、前記液体噴射ヘッドの移動方向に沿って、前記第1前処理液を噴射するノズルのノズル列と前記第2前処理液を噴射するノズルのノズル列の順序で配置される
    請求項7の液体噴射装置。
  9. 前記媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、
    前記前処理液被覆機構と前記液体噴射部とを備える液体噴射ヘッドと、を具備し、
    前記液体噴射ヘッドは、前記第1方向に交差する第2方向に長尺なラインヘッドである
    請求項1から請求項5の何れかの液体噴射装置。
  10. 媒体に対して前処理液を被覆してから、前記媒体にインクを着弾させる液体噴射装置の液体噴射方法であって、
    前記液体噴射装置は、前記媒体を第1方向に搬送する搬送機構と、前記前処理液を前記媒体に被覆する前処理液被覆機構と、を具備し、前記前処理液被覆機構は、第1領域に配置される第1機構と、前記第1領域よりも前記第1方向において上流側に位置する第2領域に配置される第2機構とを含み、前記複数のインクノズルは、前記第1機構に対し前記第1方向と交差する第2方向において重なる部分と、前記第2機構に対し前記第2方向において重ならない部分を有するように構成されており、
    前記媒体の種類を判別し、判別された前記媒体の種類に応じて、前記第1機構と前記第2機構との何れかを選択し、選択した機構により前記前処理液を前記媒体に被覆させる
    液体噴射方法。
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