JP7251766B2 - 工作機械の切粉飛散防止構造 - Google Patents

Description

本発明は、工作機械において発生する切粉の飛散防止構造に関する。

旋盤や複合加工機等の工作機械においては、主軸にワークをチャック保持させ、各種工具を用いて機械加工が行われている。
この際に切粉が発生するので、一般的には工作機械の加工領域全体がカバーで覆われていることが多い。
しかし、これでは加工領域全体に切粉が飛散して、その後の切粉の回収が大変である。
特に、セラミックス材料等の機械加工の場合には切粉が小さく、特にドライの状態で切削や研削する場合等にあっては、工具等の回転部や刃物台のスライド部等に侵入する恐れがある。

特許文献１には、ワークの上方からエアーを噴射し、下側に整流用の傾斜部及び側壁を設ける技術を開示するが、微粉状態の切粉を対象にするとエアーの噴射にて却って飛散してしまう。
特許文献２には、チャックの外周面に回転翼体を固設するとともに、周囲をチャックカバーで覆い、チャックの後方に集塵ダクトを介して集塵機と連結した構造を開示する。
しかし、これでは主軸側に粉塵を巻き込む恐れがある。

特開平１０－１３８０８７号公報 特開２０００－７１１０５号公報

本発明は、ワークを機械加工する際に発生する切粉を効果的に排出でき、周囲への飛散を防止した工作機械の切粉飛散防止構造の提供を目的とする。

本発明に係る工作機械の切粉飛散防止構造は、主軸に装着されたチャック部の外周部を覆う第１カバーと、前記第１カバーに取り付けられた第２カバーとを備え、前記第１カバー又は／及び第２カバーに工具の挿入口と切粉の吸引排出口とを有することを特徴とする。

ここで工作機械は、回転制御された主軸にチャック部が装着され、このチャック部にワークを保持し、刃物台に装着された工具にて機械加工するものであれば、複合加工機，旋盤，研削盤等、特に限定はない。

本発明において、第２カバーは第１カバーに対して取り付け位置の調整が可能であり、前記第２カバーに切粉の吸引排出口を有するのが好ましく、さらには、第２カバーはエアーの吸い込み口を有し、第２カバーに設けたエアーの吸い込み口は開口部から内側に折り返した折返片を有しているのが好ましい。
カバー内にエアーが取り込まれ、その流れによりこの吸い込み口となる開口部から切粉が飛散するのを防止し、折返片によりこの開口部からの飛散を防ぐ。

本発明に係る切粉飛散防止構造にあっては、チャック部の外周部をカバーで覆い、カバーに設けた挿入口から工具の先端側を挿入し、そこで発生した切粉をそのまま吸引排出口から集塵機等により回収することができる。
これにより、微細な切粉であっても効率的に飛散が防止される。

本発明に係る切粉飛散防止構造の例を示す。 タレットに装着した工具で加工する例を示す。 （ａ）はバイト（旋削工具）を用いた例、（ｂ）はドリルを用いた例を示す。 第１カバーの構造例を示す。 第２カバーの構造例を示す。

本発明に係る切粉飛散防止構造を以下図に基づいて説明する。
図１に第１カバー１１と第２カバー１２の取付構造例を示し、図２に刃物台としてタレット３０に第３カバー４０を取り付けた状態を示す。
図４に第１カバー１１の構造、図５に第２カバー１２の構造例を示す。

図１及び図３に示すように、主軸２０の先端側及び主軸２０に取り付けられたチャック部２１の周囲を覆うように、第１カバー１１が主軸２０側に取り付けられている。
第１カバー１１は、図４に示すように円錐台状のベース部１１ａから突設し、チャック部に装着したワークＷの周囲を覆う円筒状の覆囲部１１ｂを有し、主軸側の取付部１１ｃと長孔からなる第２カバーの取付孔１１ｄを有する。
また、覆囲部１１ｂの一部を切り欠いて、工具の挿入口１３とダクトの配置部１１ｅを設けてある。

第２カバー１２は、図５に示すように円筒形状になっていて、第１カバー１１の取付孔１１ｄにビス等を介して取り付けるためのナット部１２ｃを有する。
これにより、ナット部１２ｃの位置を長孔の取付孔１１ｄに沿ってスライド可能になり、第２カバー１２を第１カバー１１の先端側から内側に挿入し、第１カバー１１からの突出量が調整できるようになっている。
第２カバーは、先端部側に開口部１２ａを有し、この開口部１２ａの中心側に向けて折り返した折返片１２ｂを有する。

図１は図２において、タレット３０を後退させた状態を示し、第２カバー１２の第１カバー１１に対する取り付け位置をワークの加工領域を覆うように調整し、ビス等の固定具１５にて固定する。
第２カバー１２の先端側は、開口部１２ａとなっていて、外部からのエアーの吸い込み口として作用する。
第２カバー１２の下側の側部に吸引排出口１４を設けて、この部分と集塵機１とをダクト２にてつなぐ。

次に、集塵機１を稼働させ、図２に示すようにタレット３０等の刃物台を前進させ、挿入口１３から工具を挿入する。
その状態を図３（ａ），（ｂ）に示す。
図３（ａ）は、工具としてバイト３１を用いた例であり、バイト３１側をタレット３０に取り付けた第３カバー４０にて覆う構造になっている。
切粉は、吸引排出口１４から吸い込まれるが、その際にエアーは開口部１２ａから内側に向けて吸引される。
また、開口部１２ａから飛散しようとする切粉は、折返片１２ｂに当たり、外へ飛散するのを防ぐ。
図３（ｂ）は、工具としてドリル３２、あるいはエンドミル等を用いた例であり、タレット側に第３カバー４１を取り付けてある。

１ 集塵機
２ ダクト
１１ 第１カバー
１２ 第２カバー
１２ａ 開口部
１２ｂ 折返片
１３ 挿入口
１４ 吸引排出口
２０ 主軸
２１ チャック部
３０ タレット
４０ 第３カバー

Claims (1)

1. 主軸に装着されたチャック部及び前記チャック部に装着したワークの外周部を覆う円筒状の覆囲部を有する第１カバーと、前記第１カバーに突出量が調整可能に取り付けられた第２カバーとを備え、
   前記第２カバーはエアーの吸い込み口となる先端部側に開口部を有する円筒形状であり、
   前記第２カバーの開口部は前記開口部の中心側に向けて折り返した折返片を有し、
   前記第１カバー及び第２カバーの側部に工具の挿入口を有し、
   前記第２カバーの下側の側部に切粉の吸引排出口を有し、
   前記吸引排出口にダクトを介して集塵機につないであることを特徴とする工作機械の切粉飛散防止構造。

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