JP7241748B2 - ゴム組成物、タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が30~150m2/gのカーボンブラック(A1)及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が210m2/g以上のシリカ(A2)を含む充填剤(A)と、連続相を構成するジエン系重合体及び非連続相を構成し前記充填剤(A)と親和性を有するジエン系重合体を含むゴム成分(B)と、脂肪酸金属塩(C)とを含有し、前記充填剤(A)の含有量が、前記ゴム成分(B)100質量部に対して30~80質量部であり、前記カーボンブラック(A1)の含有量(a1)と前記シリカ(A2)の含有量(a2)との割合が、(a1):(a2)=70~95:30~5である。
以下、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積を、「CTAB比表面積」又は、単に「CTAB」と称することがある。
以下、本発明のゴム組成物及びタイヤの詳細について説明する。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が30~150m2/gのカーボンブラック(A1)及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が210m2/g以上のシリカ(A2)を含む充填剤(A)を、ゴム成分(B)100質量部に対して30~80質量部含有する。
充填剤(A)の含有量が、ゴム成分(B)100質量部に対して30質量部未満であると、タイヤの耐摩耗性及び耐亀裂性が得られず、80質量部を超えると、タイヤの転がり抵抗が大きくなり、低燃費性に優れない。
充填剤(A)の含有量は、タイヤの耐摩耗性をより向上する観点から、ゴム成分(B)100質量部に対して35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、45質量部以上であることが更に好ましい。また、タイヤの低燃費性の観点から、充填剤(A)の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して75質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、65質量部以下であることが更に好ましい。
充填剤(A)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が30~150m2/gのカーボンブラック(A1)を含む。
カーボンブラックのCTAB比表面積が30m2/g未満であると耐摩耗性及び耐亀裂性に優れず、150m2/gを超えると低燃費性に優れない。耐摩耗性及び耐亀裂性をより向上する観点からカーボンブラックのCTAB比表面積は50m2/g以上であることが好ましく、70m2/g以上であることがより好ましい。また、低燃費性をより向上する観点からカーボンブラックのCTAB比表面積は140m2/g以下であることが好ましく、130m2/g以下であることがより好ましい。
カーボンブラックのCTAB比表面積は、JIS K 6217-3:2001(比表面積の求め方-CTAB 吸着法)に準拠した方法で測定することができる。
カーボンブラック(A1)の水素放出率が0.3質量%より高いことで、ゴム組成物中でのカーボンブラックのポリマー補強性を充分に確保することができ、タイヤの耐摩耗性及び耐亀裂性に優れ、かつ低燃費性にも優れる。カーボンブラック(A1)の水素放出率には特に上限はないが、装置的な制約による製造し易さの観点から、該水素放出率の上限は、通常0.60質量%程度である。
なお、カーボンブラック(A1)の水素放出率は、(1)カーボンブラック試料を105℃の恒温乾燥機中で1時間乾燥し、デシケータ中で室温(23℃)まで冷却し、(2)スズ製のチューブ状サンプル容器に約10mgを精秤し、圧着して密栓し、(3)ガスクロマトグラフ装置を使用して、アルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量%で表示される。
具体的には、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置(カーボンブラック製造炉)を用い、燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させたのち、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させればよい。
カーボンブラック製造炉において、製造空気量(kg/hr)、空気温度(℃)、燃料導入量(kg/hr)、原料導入量(kg/hr)及び原料予熱温度(℃)を適宜制御することにより、所望する水素放出率となるカーボンブラックが得られる。
また、カーボンブラック製造炉1は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する装置を更に備えてもよい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2:2001(比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法)のA法によって求められる。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K 6217-4:2001(オイル吸収量の求め方)によって求められる。
シリカ比率が5質量%未満であると、タイヤの耐亀裂性に優れず、30質量%を超えると低燃費性に優れない。シリカ比率は10~25質量%であることが好ましく、12~23質量%であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が210m2/g以上のシリカ(A2)を含む。
シリカ(A2)のCTAB比表面積が210m2/g未満であると、タイヤの耐摩耗性と耐亀裂性に優れない。シリカ(A2)のCTAB比表面積の上限は特に制限されないが、現時点において、300m2/gを超える製品は入手することができない。
シリカ(A2)のCTAB比表面積は、タイヤの耐摩耗性と耐亀裂性をより向上する観点から、215m2/g以上であることが好ましく、220m2/g以上であることが好ましい。
シリカ(A2)のCTAB比表面積は、ASTM-D3765-80の方法に準拠した方法で測定することができる。
CTAB比表面積が210m2/g以上となるシリカは、市販品でもよく、例えば、ローディア社のZeosil Premium200MP(商品名)等として、入手することができる。
本発明のゴム組成物は、少量ではあるが、シリカ含有するため、シリカ-ゴム成分間の結合を強化して補強性をさらに高めた上で、シリカの分散性を向上させるために、本発明のゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を用いることが望ましい。
本発明のゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量に対して5~15質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカの含有量に対して15質量%以下であることで、ゴム成分の補強性及び分散性を改良する効果が得られ、経済性も損ないにくい。また、シランカップリング剤の含有量が、シリカの含有量に対して5質量%以上であることで、ゴム組成物中のシリカの分散性を高めることができる。
充填剤(A)は、カーボンブラック(A1)及びシリカ(A2)からなることが好ましく、カーボンブラック(A1)及びシリカ(A2)の合計量(a3)が、ゴム成分(B)100質量部に対して30~80質量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、連続相を構成するジエン系重合体及び非連続相を構成し充填剤(A)と親和性を有するジエン系重合体を含むゴム成分(B)を含有する。
以下、連続相を構成するジエン系重合体をジエン系重合体(B1)と称することがある。また、非連続相を構成するジエン系重合体をジエン系重合体(B2)と称することがある。
以下、「ジエン系重合体(B1)」、「ジエン系重合体(B2)」と区別して記載せず、単に「ジエン系重合体」と記載した場合、その記載事項は、ジエン系重合体(B1)とジエン系重合体(B2)の両方に共通する事項である。
ジエン系重合体としては、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
合成ジエン系ゴムとして、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(BIR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム(SIR)、スチレン-ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(SBIR)等が挙げられる。
連続相及び非連続相は、ジエン系重合体を、一種単独で含んでもよいし、二種以上をブレンドして含んでもよい。また、連続相及び非連続相は、本発明の効果を損なわない限度において、非ジエン系重合体を含有していてもよい。
タイヤの耐亀裂性、耐摩耗性及び低燃費性を向上する観点から、ゴム成分(B)中のジエン系重合体(B1)の含有量(b1)は、51~90質量%であることがより好ましく、55~85質量%であることが更に好ましい。同様の観点から、ゴム成分(B)中のジエン系重合体(B1)の含有量(b2)は、10~49質量%であることがより好ましく、15~45質量%であることが更に好ましい。
以上の中でも、ジエン系重合体(B2)はポリブタジエンゴム(BR)が好ましい。
非連続相は、変性ブタジエン系重合体または未変性のブタジエン系重合体のみからなっていてもよいし、更に他のジエン系重合体を含んでいてもよい。タイヤの耐亀裂性を向上する観点から、非連続相中の変性ブタジエン系重合体または未変性のブタジエン系重合体の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
既述の変性ブタジエン系重合体は、充填剤(A)と親和性を有する官能基を1種以上有するブタジエン系重合体であることが好ましく、充填剤(A)と親和性を有する官能基を1種以上有する変性ポリブタジエンであることが好ましい。
半金属原子としては、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン及びテルルから選ばれる1種以上の原子が好ましく、ホウ素、ケイ素及びゲルマニウムから選ばれる1種以上の原子がより好ましく、ケイ素が特に好ましい。
金属原子としては、スズ、チタン、ジルコニウム、ビスマス及びアルミニウムから選ばれる1種以上の原子が好ましく、スズ及びチタンから選ばれる1種以上の原子がより好ましく、スズが特に好ましい。
充填剤(A)と親和性を有する官能基は、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
ヘテロ原子含有化合物が、変性剤として共役ジエン系重合体の活性末端と反応して変性共役ジエン系重合体を形成してもよいし、ヘテロ原子含有化合物としての窒素含有化合物がアルカリ金属と反応して、アニオン重合の重合開始剤を形成して、共役ジエン系重合体の開始末端に窒素含有化合物残基を有する変性共役ジエン系重合体を形成してもよい。
共役ジエン系重合体の活性末端と反応する変性剤としては、以下の、スズ化合物、窒素及びケイ素含有化合物、酸素及びケイ素含有化合物、硫黄及びケイ素含有化合物及び窒素含有化合物から選ばれる1種以上の変性剤が挙げられる。
共役ジエン系単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられる。これらの中で、1,3-ブタジエン、イソプレン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロへキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらの中で、スチレン基が特に好ましい。
共役ジエン系重合体をアニオン重合により得る場合、重合開始剤としては、アルカリ金属化合物が用いられるが、リチウム化合物が好ましい。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
共役ジエン系重合体の開始末端に窒素含有化合物残基を有し、かつ共役ジエン系重合体の活性末端にスズ化合物残基、窒素及びケイ素含有化合物残基、酸素及びケイ素含有化合物残基、硫黄及びケイ素含有化合物残基及び窒素含有化合物残基から選ばれる1種以上の化合物残基を有する変性共役ジエン系重合体は、転がり抵抗をより低減し、低燃費性に優れ、耐摩耗性及び耐亀裂性をより改良する観点から、さらに好ましい。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
炭化水素系溶剤としては、炭素数3~8のものが好ましく、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-へキセン、2-へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01~1000モル当量の範囲で選択される。
上記配位重合に用いる(D)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β-ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。上記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(D)成分として、具体的には、ネオジムトリ-2-エチルヘキサノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリネオデカノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリn-ブトキシド等が挙げられる。これら(D)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
当該変性共役ジエン系重合体としては、有機アルカリ金属化合物、特にアルキルリチウムを用いてアニオン重合してなるものが好ましい。
変性反応の温度は、20℃以上で行うことが好ましいが、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができ、30~120℃がさらに好ましい範囲として挙げられる。反応温度が低くなると重合体の粘度が上昇しすぎる、反応物の分散性が悪くなる傾向がある。一方、反応温度が高くなると、重合活性部位が失活し易くなる傾向がある。
なお、変性剤の使用量は、共役ジエン系重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25~3.0molの範囲が好ましく、0.5~1.5molの範囲が更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、脂肪酸金属塩(C)を含有する。
脂肪酸金属塩(C)としては、飽和脂肪酸の金属塩、不飽和脂肪酸の金属塩、又はそれらの混合物を用いることができる。
具体的には、脂肪酸金属塩(C)としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸の金属塩;ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルシン酸、鯨油酸、リノール酸、エレオステアリン酸、モロクチ酸、バリナリン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸、リシノレイン酸、ラウロレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸の金属塩が挙げられる。
上述した飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸と金属塩を形成する金属元素としては、K、Ca、Na、Mg、Zn、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu及びMnよりなる群から選択された少なくとも1種の金属元素が挙げられ、Zn、K、及びCaよりなる群から選択された少なくとも1種の金属元素が好ましく、Zn(亜鉛)がより好ましい。従って、脂肪酸金属塩は、脂肪酸亜鉛であることが特に好ましい。
耐摩耗性及び耐亀裂性の劣化を抑制する観点から、脂肪酸金属塩(C)の含有量が、前記ゴム成分(B)100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~7質量部であることがより好ましく、1~5量部であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、脂肪酸を含まないことが好ましく、ゴム成分(B)100質量部に対する脂肪酸の含有量が0.5質量部以下であることが好ましい。具体的には、ゴム成分(B)100質量部に対する脂肪酸の含有量が、0~0.5質量部であることが好ましい。
ゴム成分(B)100質量部に対する脂肪酸の含有量が0.5質量部以下であることで、タイヤの耐亀裂性の低下を抑制することができる。
ゴム成分(B)100質量部に対する脂肪酸の含有量は、0~0.3質量部であることがより好ましく、0質量部であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物には、既述のゴム成分(B)、カーボンブラック(A1)及びシリカ(A2)、並びに必要に応じて含まれるシランカップリング剤以外に、例えば、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される各種成分を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら各種成分としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラック(A1)と、シリカ(A2)と、適宜選択した各種成分とを配合して、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、インテンシブミキサーなどの密閉型混練り装置、ロールなどの非密閉型混練り装置等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、本発明のゴム組成物を含む。
本発明のゴム組成物は、タイヤ、防振ゴム、免震ゴム、コンベアベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホースなどの種々のゴム製品の製造に用いることができる。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いて製造されたタイヤは、低燃費性を損なわずに耐摩耗性及び耐亀裂性に優れることから、本発明のゴム組成物は、タイヤトレッド用ゴム組成物に適する。
本発明のゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムは、タイヤ、防振ゴム、免震ゴム、コンベアベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホースなどの種々のゴム製品に用いることができる。
中でも、本発明のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤに用いることが好ましく、該タイヤは、低燃費性を損なわずに耐摩耗性及び耐亀裂性に優れる
タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に本発明のゴム組成物及びコードからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱し、加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
〔実施例1~5、実施例7~9、比較例1、比較例3、及び比較例5~7〕
表1、4、及び5に示す配合処方のゴム組成物を常法に従って調製した。
調製したゴム組成物を加硫して加硫ゴムを作製し、加硫ゴムから切り出した試験片を用いて、タイヤの低燃費性、耐摩耗性及び耐亀裂性を評価した。結果を表4~5に示す。
表1、4、及び5に示す配合処方のゴム組成物を常法に従って調製した。
調製したゴム組成物を加硫して加硫ゴムを作製し、加硫ゴムから切り出した試験片を用いて、タイヤの低燃費性、耐摩耗性及び耐亀裂性を評価する。結果を表4~5に示す。
〔実施例1~5、実施例7~9、比較例1、比較例3、及び比較例5~7〕
加硫ゴムから厚さ2mmの板形状の試験片を切り出した。株式会社上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%で、試験片の損失正接(tanδ)を求め、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が小さいほど、損失正接(tanδ)が低くなるので低発熱性に優れることを意味する。これは、当該試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤの転がり抵抗が小さいことを意味し、試作タイヤが低燃費性に優れていることを示す。
加硫ゴムから厚さ2mmの板形状の試験片を切り出す。株式会社上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%で、試験片の損失正接(tanδ)を求め、比較例1の値を100として指数表示する。指数値が小さいほど、損失正接(tanδ)が低くなるので低発熱性に優れることを意味する。これは、当該試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤの転がり抵抗が小さいことを意味し、試作タイヤが低燃費性に優れていることを示す。
〔実施例1~5、実施例7~9、比較例1、比較例3、及び比較例5~7〕
加硫ゴムから厚さ2mmの板形状のゴム板を切り出した。切り出したゴム板から試験片を作製し、耐摩耗性を評価した。
耐摩耗性は、JIS K 6264-1993に準拠したランボーン摩耗試験により、試験片の摩耗量を220℃で試験して、実施例及び比較例の試験片の摩耗量を求めた。比較例1を100として、実施例及び比較例の試験片の摩耗量から、下記式により指数を算出した。
耐摩耗性指数=(比較例1の摩耗量/各試験片の摩耗量)×100
耐摩耗性指数が大きいほど、試験片の耐摩耗性が優れることを意味し、試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤが耐摩耗性に優れることを意味する。なお、「220℃で試験した」とは、試験片表面温度の最高温度が220±10℃となる下記条件で試験したことをいう。試験条件は、以下の通りである。
試験片寸法:直径×厚さ=49.0mm×5.0mm
試験片回転速度:200rpm
試験路面回転速度:20rpm
試験荷重:7kgf
試験時間:16秒
雰囲気温度:25℃
加硫ゴムから厚さ2mmの板形状のゴム板を切り出す。切り出したゴム板から試験片を作製し、耐摩耗性を評価する。
耐摩耗性は、JIS K 6264-1993に準拠したランボーン摩耗試験により、試験片の摩耗量を220℃で試験して、実施例及び比較例の試験片の摩耗量を求める。比較例1を100として、実施例及び比較例の試験片の摩耗量から、下記式により指数を算出する。
耐摩耗性指数=(比較例1の摩耗量/各試験片の摩耗量)×100
耐摩耗性指数が大きいほど、試験片の耐摩耗性が優れることを意味し、試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤが耐摩耗性に優れることを意味する。なお、「220℃で試験する」とは、試験片表面温度の最高温度が220±10℃となる下記条件で試験することをいう。試験条件は、以下の通りである。
試験片寸法:直径×厚さ=49.0mm×5.0mm
試験片回転速度:200rpm
試験路面回転速度:20rpm
試験荷重:7kgf
試験時間:16秒
雰囲気温度:25℃
〔実施例1~5、実施例7~9、比較例1、比較例3、及び比較例5~7〕
加硫ゴムから厚さ2mmの板状のシートを切り出した。切り出したゴムシートからJIS5号形の試験片を作製し、試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れた。
試験片の両端を掴み、下記条件下で繰り返し入力を行い、試験片が破断するまでの回数を測定した。耐亀裂性は下記式より算出し、比較例1を100として指数表示した。
耐亀裂性指数=(各試験片の破断回数/比較例1の破断回数)×100
耐亀裂性指数が大きい程、試験片の耐亀裂性が優れることを意味し、試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤが耐亀裂性に優れることを意味する。
標点間距離:30.0mm
試験応力:1.5N(最大)、0N(最小)
周波数:5Hz
雰囲気温度:80℃
加硫ゴムから厚さ2mmの板状のシートを切り出す。切り出したゴムシートからJIS5号形の試験片を作製し、試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れる。
試験片の両端を掴み、下記条件下で繰り返し入力を行い、試験片が破断するまでの回数を測定する。耐亀裂性は下記式より算出し、比較例1を100として指数表示する。
耐亀裂性指数=(各試験片の破断回数/比較例1の破断回数)×100
耐亀裂性指数が大きい程、試験片の耐亀裂性が優れることを意味し、試験片の加硫ゴムで構成される試作タイヤが耐亀裂性に優れることを意味する。
標点間距離:30.0mm
試験応力:1.5N(最大)、0N(最小)
周波数:5Hz
雰囲気温度:80℃
表1中のゴム成分、充填剤及び脂肪酸金属塩を除く各成分の詳細は次のとおりである。
(1)シランカップリング剤:信越化学工業株式会社製、ABC-856
(2)脂肪酸:新日本理化株式会社製、商品名「ステアリン酸50S」
(3)硫黄:鶴見化学社株式会製、商品名「粉末硫黄」
(4)加硫促進剤:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ-G」
(5)亜鉛華:ハクスイテック株式会社製、商品名「3号亜鉛華」
(6)老化防止剤:N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック 6C」
表4~5に示す各成分の詳細は次のとおりである。
(1)NR:天然ゴム、RSS#1
(2)変性BR:下記製造例により製造した変性ポリブタジエンゴム
(4)CB-2:旭カーボン社製、商品名「旭#80」(CTAB:100m2/g、DBP吸油量:115ml/100g、N2SA:113m2/g、水素放出率:0.3質量%以下)
(5)CB-3:下記製造例により製造した高水素カーボンブラック(CTAB:125m2/g、DBP吸油量:170、水素放出率:0.35質量%)
(7)シリカ-2:Rohdia、商品名「zeosil Premium200MP」(CTAB:200m2/g)
(8)シリカ-3:下記製造方法により製造したCTAB比表面積が230m2/gのシリカ
(9)脂肪酸金属塩1:ラインケミー社製、商品名「Aktiplast PP」(主成分は、オレイン酸亜鉛及びパルミチン酸亜鉛)
(10)脂肪酸金属塩2:パフォーマンスアディティブス社製、商品名「ULTRA-FLOW 500」
乾燥し、窒素置換した約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3-ブタジエン50g、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol、及びヘキサメチレンイミン0.513mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(BuLi)0.57mmolを加えた後、撹拌装置を具えた50℃の温水浴中で4.5時間重合を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。次に、この重合反応系に、変性剤(カップリング剤)として四塩化スズ0.100mmolを速やかに加え、更に50℃で30分間撹拌して変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性ポリブタジエンゴム(変性BR)を得た。得られた変性BRは、ブタジエン部分のビニル結合量が14%で、ガラス転移温度(Tg)が-95℃で、カップリング効率65%であった。
なお、得られた変性BRについて、1H-NMRスペクトルの積分比からブタジエン部分のビニル結合量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布曲線の全体の面積に対する最も高分子量側のピーク面積の割合からカップリング率を、DSCの曲線の変曲点からガラス転移温度を求めた。
特開2015-131926号公報に示される手法に基づきカーボンブラックCB-3を製造した。具体的には、図1に示すカーボンブラック製造炉を用いて、カーボンブラックCB-3を製造した。ただし、図1において多段急冷媒体導入手段12として、第1番目の急冷媒体導入手段12-X、第2番目の急冷媒体導入手段12-Y及び最後の急冷媒体導入手段12-Zからなる3段急冷媒体導入手段を用いた。
また、製造炉内の温度をモニターするため、任意の数ヶ所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える上記製造炉を用いた。カーボンブラック製造炉において、燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては下記表2に示した性状の重質油を使用した。また、カーボンブラック製造炉の操作条件及びカーボンブラックCB-3の特性を下記表3に示す。
10g/Lの濃度を有する珪酸ナトリウム溶液(3.5のSiO2/Na2O質量比)の12Lを25Lのステンレス鋼製反応器に導入した。この溶液を80℃に加熱した。全反応をこの温度で実施した。80g/Lの濃度を有する硫酸をpHが8.9の値に達するまで撹拌しながら(300rpm、プロペラ攪拌機)導入した。
スラリーを減圧下で濾過及び洗浄し(15%のケーク固形分)、希釈後、得られたケークを機械的に砕解した。得られたスラリーをタービン噴霧乾燥機によって噴霧乾燥させ、シリカ-3を得た。
実施例1と比較例3;実施例2と比較例4;実施例3と比較例5は、それぞれ、ゴム成分、充填剤及びシランカップリング剤の量が同じで、実施例では脂肪酸を用い、比較例では脂肪酸金属塩-1を用いている点で異なる成分組成である。それぞれの対比からわかるように、耐亀裂性は、実施例1は比較例3よりも優れ、実施例2は比較例4よりも優れ、実施例3は比較例5よりも優れていることがわかる。
実施例の加硫ゴムをタイヤに適用すれば、低燃費性を損なわずに、耐摩耗性と耐亀裂性のいずれにも優れるタイヤとなることが期待される。
10 反応室
11 反応継続兼冷却室
12 多段急冷媒体導入手段
Claims (5)
- セチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が30~150m2/gのカーボンブラック(A1)及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド比表面積が210m2/g以上のシリカ(A2)を含む充填剤(A)と、
連続相を構成するジエン系重合体及び非連続相を構成し前記充填剤(A)と親和性を有するジエン系重合体を含むゴム成分(B)と、
脂肪酸金属塩(C)と、
を含有し、
前記充填剤(A)の含有量が、前記ゴム成分(B)100質量部に対して30~80質量部であり、
前記カーボンブラック(A1)の含有量(a1)と前記シリカ(A2)の含有量(a2)との割合が、(a1):(a2)=70~95:30~5であるゴム組成物であって、
前記ゴム成分(B)が、前記連続相を構成するジエン系重合体を50~95質量%含有するとともに、前記非連続相を構成し前記充填剤(A)と親和性を有するジエン系重合体を5~50質量%を含有し、
前記連続相を構成するジエン系重合体は天然ゴムを含み、
前記非連続相を構成し前記充填剤(A)と親和性を有するジエン系重合体が、前記充填剤(A)と親和性を有する官能基を1種以上有する変性共役ジエン系重合体を含み、
前記変性共役ジエン系重合体が有する前記官能基が、窒素原子、酸素原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1つの原子を含み、
前記変性共役ジエン系重合体が変性ポリブタジエンであり、
前記脂肪酸金属塩(C)は、飽和脂肪酸の金属塩、不飽和脂肪酸の金属塩、又はそれらの混合物であり、前記脂肪酸金属塩(C)の含有量が、前記ゴム成分(B)100質量部に対し、0.1~10質量部である、ゴム組成物。 - 前記ゴム成分(B)100質量部に対する脂肪酸の含有量が、0~0.5質量部である請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記カーボンブラック(A1)の水素放出率が0.3質量%よりも高い請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むタイヤトレッド用ゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤ。
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