JP2011116920A - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤにおける低減された転がり抵抗と耐摩耗性とのバランスを高いレベルで保持しつつ、優れたトラクション性能をも発揮し得るゴム組成物及びこれを用いたタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、
(A)ジエン系ゴム、(B)下記式(I)で表される金属石鹸、及び(C)特定の製法により得られる特定の性状を有し、かつ特定の条件を満たすゴム配合用カーボンブラックを含有することを特徴とする。
Figure 2011116920

【選択図】図1

Description

本発明は、特定の金属石鹸とカーボンブラックとを含み、特に優れた耐摩耗性とウェット性能を発揮し得るゴム組成物、及びこれを用いて得られる高性能なタイヤに関するものである。
近年、省エネルギー、省資源の社会的要請の下、自動車の燃料消費量を節約するため、転がり抵抗の小さいタイヤが求められている。このような要求に対し、タイヤの転がり抵抗を減少させる手法として、カーボンブラックの使用量を低減したり、低級カーボンブラックを使用したりすることにより、ヒステリシスロスの低下したゴム組成物をタイヤ部材、特にトレッドゴムに用いる方法が知られている。かかるヒステリシスロスの低下したゴム組成物であれば、タイヤに用いた際に有効に転がり抵抗を低減し得るものの、これと二律背反する耐摩耗性をも有用なレベルで維持するのは容易ではなく、さらに種々の試みがなされている。
こうしたなか、例えば特許文献1には、カーボンブラックの表面特性、特に水素含有量と未分解多環芳香族炭化水素残存量に着目し、カーボンブラックへの熱履歴の最適化を行うことで、耐摩耗性等の低下を抑制し得るゴム組成物が開示されており、これによって、タイヤの耐摩耗性及びヒステリシスロス特性の両立を図っている。
その一方、カーボンブラックの検討だけでなく、転がり抵抗を低く保持しつつ、タイヤのトラクション性能や耐久性等を向上させることが可能な添加剤の検討も、大いに望まれている。
特開2005−272734号公報
しかしながら、上記のようなカーボンブラックをもってしても、これら耐久性と転がり抵抗という二つの背反する性能のさらなる向上を図る観点からすれば、依然として改善の余地がある上、これらの性能の向上に大きく寄与し得る添加剤も未だ実現されていない。
そこで、本発明は、タイヤにおける低減された転がり抵抗と耐摩耗性とのバランスを高いレベルで保持しつつ、優れたトラクション性能をも発揮し得るゴム組成物及びこれを用いたタイヤを提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく、特定の金属石鹸と、特定の製法により得られる特定の性状を有するカーボンブラックとを配合したゴム組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、
(A)ジエン系ゴム、
(B)下記式(I)で表される金属石鹸;
Figure 2011116920
[式中、Mは酸化状態が+3又は+4の金属であり、Rはそれぞれ独立して選択された有機部分であり、nはMの原子価である]、及び
(C)燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させた後、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックを含有し、かつ
前記ゴム配合用カーボンブラック(C)が、下記条件(i)及び(ii);
(i)前記多段急冷媒体導入手段でのトルエン着色透過度が、下記式(1)及び(2);
10<X<40 ・・・ (1)
90<Z<100 ・・・ (2)
[式中、Xは原料導入位置から第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)で、Zは最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)である]の関係を満たす;
(ii)前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、ゴム配合用カーボンブラック(C)を、10〜250質量部の量で含有する;
を満たすことを特徴とする。
前記式(I)中、n−1が2または3であってもよく、(O2CR)基が炭素数6以上の脂肪酸から誘導されるものであってもよい。
また、前記金属石鹸(B)は、水に溶解しないものであるのが好ましい。
前記ジエン系ゴム(A)は、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるのが望ましい。
さらに、前記金属石鹸(B)は、前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、5〜100質量部の量で含有されるのが望ましく、アルミニウムとカルボン酸誘導体との石鹸であってもよく、またジエチルへキサン酸のアルミニウム石鹸及びジラウリン酸のアルミニウム石鹸からなる群より選ばれるものであってもよい。
前記ゴム組成物は、さらに、シリカ充填剤(D)を含有するのが好適であり、かかるシリカ充填剤(D)はシラン処理されたシリカであるのが望ましい。
また、前記金属石鹸(B)の分子が、無極性溶媒中、ミセル構造又は式(II)で表される構造を形成するのが望ましい。
Figure 2011116920
[式中、xは自然数である]。
前記式(I)中、Rが少なくとも1つの不飽和単位を有するアルキル鎖を含んでもよく、Rが1つ又は複数の硫黄硬化可能な二重結合を有するアルキル鎖を含んでもよく、かかる二重結合が、アルキル鎖中の2つの非末端炭素の間にあってもよい。
さらに、前記金属石鹸(B)は、ジオレイン酸のアルミニウム石鹸であるのが望ましい。
前記ゴム配合用カーボンブラック(C)は、
反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt1(秒)、この帯域での平均反応温度をT1(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−Y)により急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt2(秒)、この帯域での平均反応温度をT2(℃)とし、さらに、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間(即ち、反応停止帯域通過までの帯域における滞留時間)をt3(秒)、この帯域内での平均反応温度をT3(℃)とした場合、
下記式(3)、(4)及び(5);
2.00≦α1≦5.00 ・・・ (3)
5.00≦α2≦9.00 ・・・ (4)
−2.5×(α1+α2)+85.0≦β≦90.0 ・・・ (5)
[式中、α1=t1×T1、α2=t2×T2、β=t3×T3である]の関係を満たすように制御して得られるのが望ましく、また下記式(6)、(7)及び(8);
20<X<40 ・・・ (6)
50<Y<60 ・・・ (7)
90<Z<95 ・・・ (8)
[式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同義である]の関係を満たすように制御して得られるのが望ましい。
ここで、前記ゴム配合用カーボンブラック(C)の水素放出率は、0.3質量%を超えるのが好適であり、ジブチルフタレート吸収量(DBP)が95〜220mL/100g、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90〜200mL/100g、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであるのが望ましい。
本発明のトレッドゴム及びタイヤは、上記ゴム組成物を用いて得られたものであることを特徴とする。
本発明によれば、特定の金属石鹸(B)と、表面に存在するタール成分、特に多環芳香族成分の少ないカーボンブラック(C)とを配合することで、これらの相乗効果により、タイヤにおける低減された転がり抵抗と耐摩耗性とのバランスを高いレベルで保持しつつ、優れたトラクション性能をも発揮し得、特に耐摩耗性とウェット性能とを極めて向上させるゴム組成物を得ることが可能となる。
このようなゴム組成物を用いれば、耐摩耗性、転がり抵抗及びトラクション性能が高度にバランスされた高性能なタイヤを実現することができる。
本発明のゴム組成物に使用するカーボンブラック(C)を製造するためのカーボンブラック製造炉の一例の縦断正面説明図である。
以下、本発明について、必要に応じて図面を参照しつつ具体的に説明する。
本発明のゴム組成物は、
(A)ジエン系ゴム、
(B)下記式(I)で表される金属石鹸;
Figure 2011116920
[式中、Mは酸化状態が+3又は+4の金属であり、Rはそれぞれ独立して選択された有機部分であり、nはMの原子価である]、及び
(C)燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させた後、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックを含有し、かつ
前記ゴム配合用カーボンブラック(C)が、下記条件(i)及び(ii);
(i)前記多段急冷媒体導入手段でのトルエン着色透過度が、下記式(1)及び(2);
10<X<40 ・・・ (1)
90<Z<100 ・・・ (2)
[式中、Xは原料導入位置から第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)で、Zは最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)である]の関係を満たす;
(ii)前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、ゴム配合用カーボンブラック(C)を、10〜250質量部の量で含有する;
を満たすことを特徴としている。
なお、本明細書において、「ジ−石鹸」とは、2つのカルボン酸基を有する石鹸を意味する。従って、「モノ−石鹸」及び「トリ−石鹸」とは、1つ及び3つのカルボン酸基を有する石鹸を意味する。
[ジエン系ゴム(A)]
本発明で用いるジエン系ゴム(A)は、本発明のゴム組成物におけるゴム成分であり、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又は天然ゴム等の共役ジエン類の一種以上とすることができる。該ジエン系ゴムは、例えば、従来使用されているトレッドストックゴムの如何なるものをも構成できる。かかるゴムは当業者に周知であり、特に限定されるものではないが、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フッ素エラストマー、エチレン・アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ブチルゴム、ポリクロロプレン、水素化ニトリルゴム、及びそれらの混合物が挙げられる。なかでも、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるのが望ましい。
[金属石鹸(B)]
本発明で用いる金属石鹸(B)は、上記式(I)で表される。式(I)中、Mは酸化状態が+3又は+4の金属であり、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、アクチニウム(Ac)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)及び鉛(Pb)が挙げられる。また、MはIII属(IUPACの13属)の金属、或いは亜鉛、銅及びニッケルを除く遷移金属であってもよく、鉄でも、チタンでも、アルミニウムでも、コバルトでもよい。
なかでも、水等の極性溶媒に溶解せず、水等の極性溶媒中でイオンに解離しない金属石鹸(B)を形成し得る金属であるのが好ましい。水に溶解しない金属石鹸(B)は、上記ジエン系ゴム成分を含むゴム組成物に良好に溶解する。極性溶媒に溶解する金属石鹸(B)の金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びフランシウム(Fr);ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びラジウム(Ra)等のアルカリ金属及び大部分のアルカリ土類金属や、亜鉛(Zn)、水銀(Hg)及びカドミウム(Cd)等の幾つかの遷移金属が挙げられる。
式(I)中、Rはそれぞれ独立して選択された有機部分であり、水素原子を含み得、少なくとも1つ以上の不飽和単位を有するアルキル鎖を含んでいてもよい。「有機部分」とは、主として炭素、酸素、窒素又は水素からなる任意の化学基を意味し、ヘテロ原子を含み得る有機基をも包含する。各R基は、それぞれ独立して選択することができることから、例えば、1つのR基を6つの炭素原子の炭化水素鎖とすることができ、また、他のR基を7つの炭素原子の炭化水素鎖とすることができる。具体的には、例えば、水素、直鎖若しくは分岐鎖状の炭化水素鎖が挙げられ、また、種々の有機若しくは無機の官能基を含む直鎖若しくは分岐鎖状の炭化水素鎖が挙げられる。
式(I)中、カルボン酸基((O2CR)基)は、例えば、C2からC5の酸、C6からC22の脂肪酸から誘導されるものでもよく、或いはC23からC50のような高級脂肪酸を使用してもよく、C6以上の脂肪酸から誘導されるものが好ましい。酸の具体例としては、ラウリン酸及びエチルヘキサン酸が挙げられ、M(O2CR)n基はこれらカルボン酸誘導体と金属とから形成されたものであるのが好ましい。すなわち、金属石鹸(B)は好適には金属とカルボン酸誘導体との石鹸であり、アルミニウムとカルボン酸誘導体との石鹸であるのが最適であり、例えば、ジラウリン酸のアルミニウム石鹸であっても、ジエチルへキサン酸のアルミニウム石鹸であってもよく、好適にはジオレイン酸のアルミニウム石鹸が挙げられる。
式(I)中、nはMの原子価であり、R基の数を示し、使用する金属元素によって、例えば、1、2、3、4、5、又は6とすることができる。具体的には、例えば、Mがアルミニウムの場合、n−1は2であり得、Mがチタンの場合、n−1は2又は3となり得る。
金属石鹸(B)をジエン系ゴム(A)からなるタイヤトレッドに加えることによって、引っ張り強さ、引き裂き強度、及びウェットトラクション特性において、著しい向上が得られることが見出された。加えて、転がり抵抗は、同程度のレベルに維持される。かかる金属石鹸(B)としては、好適にはアルミニウムのジ−石鹸等が挙げられ、無極性の有機溶媒に分散させた場合、上記金属石鹸(B)は、弾性液体のポリマーに幾分似た挙動を示す。さらに、無極性溶媒において、金属石鹸(B)は、以下の式(II)で表わされる構造のような幾分クラスター様の集合体を形成する。
Figure 2011116920
式(II)中、xは自然数である。
式(II)で表わされる水素結合は、さらに金属石鹸(B)の分子の集合体がミセルや他の形態になるのを可能とする。これによって、非常に粘稠な弾性液体又はゲルが生じる。金属石鹸(B)がアルミニウムのジ−石鹸である場合、隣接するジ−石鹸の鎖は、炭化水素鎖の間のファンデルワールス力と、共有されたヒドロキシルイオンの水素とカルボキシル基の酸素原子との間の水素結合との両方によって一緒に保たれている。上記アルミニウム石鹸のほか、+3又は+4の酸化状態を有する他の金属石鹸も、同様に無極性溶媒中で類似タイプの特有の集合体を呈するものと考えられる。これら金属の中でも好ましい金属は、金属石鹸(B)を形成した時、無極性溶媒に溶解でき、クラスター様の集合体を形成できるものである。式(II)の構造又は他のクラスター様の構造を形成可能である金属の具体例は、アルミニウムのほか、鉄及びチタンである。かかる構造を形成可能かもしれない他の金属は、+3又は+4の酸化状態の金属である。なかでも、ジオレイン酸のアルミニウム石鹸等のアルミニウムのジ−石鹸は、上記式(II)の構造に会合することが知られている唯一のアルミニウム石鹸である。
上記R基中に少なくとも1つの不飽和単位、すなわち1つ以上の二重結合を含むO2CR基を含む金属石鹸(B)が、ゴムマトリックスと組み合わせ、加硫した場合、特に効果的である。理論に束縛されるものではないが、二重結合は、ジエン系ゴムのマトリックスとの架橋を向上させるのに寄与するものと考えられる。該酸は、少なくとも1つの不飽和単位を含むのが望ましい。例えば、該酸は、C2からC5の一価不飽和酸であってもよいし、C6からC22の一価不飽和脂肪酸であってもよいし、C23からC50のような一価不飽和高級脂肪酸であってもよい。具体的には、オレイン酸が挙げられる。また、該酸は、アルキル鎖中に複数の二重結合、例えば、2つ又は3つの二重結合を含んでもよい。一つ又は複数の二重結合は、硫黄硬化可能な二重結合でなければならない。複数の二重結合を含む例において、該二重結合は共役していてもよい。少なくとも1つの二重結合又は総ての二重結合は、アルキル鎖中の2つの非末端炭素の間にあってもよい。例えば、二重結合は、オレイン酸中でのように、アルキル鎖の中央にあってもよいし、その近傍にあってもよい。
理論に束縛されるものではないが、R基中の二重結合に起因して架橋が向上すると、良好な転がり抵抗を維持したまま、25℃及び100℃での引っ張り強さ、170℃での引き裂き強度、ウェットトラクション特性が向上する。
金属石鹸(B)は、上記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、通常1〜200質量部の量、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは5〜30質量部又は15〜50質量部の量で、ゴム組成物中に含有される。これらの量は、ゴム工業で何年もの間使用されてきた亜鉛石鹸とは対照的である。かかる亜鉛石鹸は、代表的なジエン系ゴムに、最大でもジエン系ゴム100質量部に対して約4質量部までしか溶解しない。約4質量部を超えると、亜鉛石鹸がゴムの表面に浮上して、「ブルーム」として知られる作用をする。ここに記載した金属石鹸(B)は、好ましくは、如何なる「ブルーム」をも避ける最大200質量部までの量で使用される。
金属石鹸(B)は、以下の方法により調製される。極性溶媒と、塩基と、カルボン酸を含む有機化学種とを組み合わせ、それらを一緒に混合して、溶液Aを形成する。塩基を添加して、酸を中和し、溶解を促進する。塩基は、金属イオン源の溶液を加える前の溶液AのpHが塩基性になるように、加えてもよい。該金属は、例えば、酸化状態が+3又は+4であり、他の実施態様では、III属(IUPACの13属)であってもよいし、亜鉛、ニッケル及び銅を除く遷移金属であってもよい。該金属は、アルミニウム、鉄、チタン及びコバルトからなる群から選択してもよい。
極性溶媒の例としては、特に限定されるものではないが、水、THF、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO、酢酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、又はメタノールが挙げられる。典型的な塩基としては、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム及びアンモニアが挙げられる。カルボン酸基を含む典型的な化学種は、金属石鹸の議論で上述したものに対応し、C2〜C5の酸、C6〜C22の脂肪酸、C23〜C50の酸等の高級脂肪酸、好適にはC6以上の脂肪酸が挙げられる。具体例としては、ラウリン酸とエチルヘキサン酸が挙げられる。
次いで、金属イオン源の溶液を溶液Aに加え、混合して、生成物Aを形成する。金属イオン源の溶液の調製は、水等の極性溶媒にかかる金属のイオン源を加え、溶液Bを形成することで行ってもよい。金属イオン源は、例えば、式(III);
lm ・・・(III)
に対応してもよく、ここで、Mは上記の金属であり、Zは、カリウムの硫酸塩、水酸化物、硫酸塩及びリン酸塩からなる群から選択され、l及びmはそれそれ独立して1〜20の整数である。例えば、硫酸アルミニウムカリウムは、安価で、アルミニウムの金属イオン源として有効であることが知られている。
次に、溶液A及び溶液Bを一緒に混合して、生成物Aを形成する。撹拌及び加熱を用いて、溶液Bの金属イオンがカルボン酸基含有化学種と結合するのを促してもよく、それによって、極性溶媒に不溶な金属石鹸を作ることができる。生成物Aは、金属石鹸(B)を含み、硫酸カリウム及び/又は水等の他の反応残留物を含んでいてもよい。
金属石鹸(B)は、分子の高い割合がミセルタイプの構造や式(II)の構造のようなクラスター様の構造を形成するのを促進する手法で合成してもよい。例えば、アルミニウム石鹸において、ジ−石鹸は、式(II)の構造を形成するものと考えられている分子である。しかしながら、モノ−及びトリ−アルミニウム石鹸は、これらの構造に会合しない。従って、この点で、アルミニウムのジ−石鹸の形成を最大化することが有益である。式(I)で一般に表わされる他の金属石鹸に対しては、金属イオンからぶら下がっているOHが1つで、残りの原子価が有機部分で満たされていることが好ましい。
アルミニウムのジ−石鹸の分子は、溶液Bを溶液Aにゆっくり加えることによって、2つの溶液を急に組み合わせるのとは対照的に、生成を促すことができる。溶液A及びBの温度及び濃度を変えることは、モノ−、ジ−、又はトリ−石鹸の生成に影響を及ぼす他の方法である。また、(O2CR)基の数は、金属イオン及びO2CR分子の相対量を変化させることで、調節することができる。例えば、アルミニウムのジ−石鹸の生成は、アルミニウム源とO2CR分子源を、アルミニウムイオン対O2CR分子を約1:2の比、例えば、1:1.5〜1:2.5の比で加えることで、促すことができる。
さらなる工程において、生成物Aを溶媒から単離する。例えば、ジラウリン酸のアルミニウム石鹸、ジエチルヘキサン酸のアルミニウム石鹸、及びジオレイン酸のアルミニウム石鹸の場合、生成物Aを水で洗い、それを乾燥することによって、単離することができ、それによって、純度約99%の粉状製品が生成する。生成物A中の他の全ての反応残留物を水で洗い流す。
他の工程において、単離した金属石鹸(B)を無極性溶媒に溶解させ、溶液Xを形成する。無極性溶媒は、例えば、ヘキサン、ベンゼン、シクロヘキサン又はトルエンとすることができる。撹拌及び加熱を用いて、溶解を促してもよい。上記金属石鹸(B)分子は、塩基性の無極性溶媒中でクラスター様の構造、例えば、式(II)で表される構造を形成してもよく、その結果、非常に粘稠な弾性材料が生成することとなる。
さらなる工程においては、溶液Xを後述するジエン系ゴム(A)を含むジエン系ゴム組成物と組み合わせる。上述したどのジエン系ゴムを選択してもよい。再度、撹拌及び加熱を用いて、ゴム組成物中に金属石鹸(B)溶液が溶解するのを促してもよい。
[ゴム配合用カーボンブラック(C)]
本発明で用いる(C)ゴム配合用カーボンブラックは、燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させた後、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより製造されることを特徴としており、以下に、図を参照しながら、該カーボンブラックの製造方法を詳細に説明する。
図1は、ゴム配合用カーボンブラック(C)を製造するためのカーボンブラック製造炉の一例の縦断正面説明図である。カーボンブラック製造炉1は、その内部が燃焼帯域と反応帯域と反応停止帯域とを連設した構造であり、その全体が耐火物で覆われている。また、カーボンブラック製造炉1は、燃焼帯域として、可燃性流体導入室と、炉頭部外周から酸素含有ガス導入管によって導入された酸素含有ガスを、整流板を用いて整流して可燃性流体導入室へ導入する酸素含有ガス導入用円筒と、酸素含有ガス導入用円筒の中心軸に設置され、可燃性流体導入室へ燃焼用炭化水素を導入する燃料油噴霧装置導入管とを備える。燃焼帯域内では、燃焼用炭化水素の燃焼により高温燃焼ガスを生成する。
カーボンブラック製造炉1は、反応帯域として、円筒が次第に収れんする収れん室と、収れん室の下流側に4つの原料油噴霧口を含む原料油導入室と、原料油導入室の下流側に反応室10とを備える。該原料油噴霧口は、燃焼帯域からの高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入する。反応帯域内では、高温燃焼ガス流中に原料炭化水素を噴霧導入し、不完全燃焼又は熱分解反応により、原料炭化水素をカーボンブラックに転化する。
カーボンブラック製造炉1は、反応停止帯域として、多段急冷媒体導入手段12を有する反応継続兼冷却室11を備える。多段急冷媒体導入手段12は、反応帯域からの高温燃焼ガス流に対して、水などの急冷媒体を噴霧する。反応停止帯域内では、高温燃焼ガス流を急冷媒体により急冷して反応を終結する。また、カーボンブラック製造炉1は、反応帯域あるいは反応停止帯域において、ガス体を導入する装置をさらに備えてもよい。ここで、「ガス体」としては、空気、酸素と炭化水素の混合物、これらの燃焼反応による燃焼ガス等が使用可能である。このようにして、カーボンブラックの製造において、反応ガス流が反応停止帯域に入るまでの各帯域における平均反応温度と滞留時間を制御して、各段階でのカーボンブラックのトルエン着色透過度X、Y及びZを所望の値にすることにより、ゴム配合用カーボンブラック(C)が得られる。
次に、上記カーボンブラック製造炉1における各帯域について説明する。燃焼帯域とは、燃料と空気との反応により高温ガス流が生成される領域であり、この下流端は原料油が反応装置内に導入される点(複数位置で導入される場合は最も上流側)を指す。また、反応帯域とは、原料炭化水素が導入された点(複数位置の場合は最も上流側)から反応継続兼冷却室11内の多段急冷水噴霧手段12(これらの手段は反応継続兼冷却室11内で抜き差し自在であり、生産する品種、特性により使用位置は選択される)の作動(水等の冷媒体を導入する)点までを指す。すなわち、原料油噴霧口で原料油を導入し、多段急冷媒体導入手段12で水を導入した場合、この間の領域が反応帯域となる。反応停止帯域とは、急冷水圧入噴霧手段を作動させた点よりも下側(図1では右側)の帯域を指す。図1において、反応継続兼冷却室11という名称を用いたのは、原料導入時点から前記反応停止用急冷水圧入噴霧手段の作動時点までが反応帯域、それ以降が反応停止帯域であり、この急冷水導入位置が要求されるカーボンブラック性能により移動することがあるためである。
上記製造方法により得られるゴム配合用カーボンブラック(C)は、下記式(1)及び式(2)の関係を満たすことを要する。なお、図1においては、Xが、第一番目の急冷媒体導入手段12−Xより急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)であり、Zが、最後の急冷媒体導入手段12−Zにより急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)である。ここで、ゴム配合用カーボンブラック(C)が下記式(1)及び式(2)の関係を満たせば、段階的にトルエン着色透過度を規定することにより、カーボンブラックの粒径と表面物性のバランス化を図ることができ、補強性を上げ、耐摩耗性を向上させることができる。
10<X<40 ・・・ (1)
90<Z<100 ・・・ (2)
上記したように、このような性状を有するゴム配合用カーボンブラック(C)は、反応温度及び滞留時間を制御することにより、得ることができる。例えば、反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt1(秒)、この帯域での平均反応温度をT1(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−Y)により急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt2(秒)、この帯域での平均反応温度をT2(℃)とし、さらに、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間(即ち、反応停止帯域通過までの帯域における滞留時間)をt3(秒)、この帯域内での平均反応温度をT3(℃)とした場合、それらの滞留時間及び平均反応温度が、下記式(3)、式(4)及び式(5):
2.00≦α1≦5.00 ・・・ (3)
5.00≦α2≦9.00 ・・・ (4)
−2.5×(α1+α2)+85.0≦β≦90.0 ・・・ (5)
[式中、α1=t1×T1、α2=t2×T2、β=t3×T3である]の関係を満たすように制御されることにより、ゴム配合用カーボンブラック(C)を確実に得ることができる。
上記カーボンブラック製造炉1は、炉内の温度をモニターするため、任意の数箇所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える。平均反応温度T1、T2、T3を算出するために、各工程(各帯域)で、少なくとも2箇所、望ましくは3〜4箇所の温度を測定することが好ましい。さらに、滞留時間t1、t2、t3の算出は、公知の熱力学的計算方法によって導入反応ガス流体の体積を算出し、次式により算出するものとする。なお、原料油の分解反応及び急冷媒体による体積増加は無視するものとする。
滞留時間t1(sec)=原料炭化水素導入位置から第1番目の急冷媒体導入位置までの反応炉内通過容積(m3)/反応ガス流体の体積(m3/sec)
滞留時間t2(sec)=第1番目の急冷媒体導入位置から第2番目の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m3)/反応ガス流体の体積(m3/sec)
滞留時間t3(sec)=第2番目の急冷媒体導入位置から最後の急冷媒体が導入されるまでの反応炉内通過容積(m3)/反応ガス流体の体積(m3/sec)
さらに、上記ゴム配合用カーボンブラック(C)として、下記の関係式(6)、(7)及び(8)
20<X<40 ・・・ (6)
50<Y<60 ・・・ (7)
90<Z<95 ・・・ (8)
[式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同義である]の関係を満たすように制御して得られたものを好適に用いることができる。
なお、上記トルエン着色透過度は、JIS K 6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
上記ゴム配合用カーボンブラック(C)は、水素放出率が、0.3質量%を超えるのが好ましく、0.35質量%以上であるのがより好ましい。上限値については特に制限されないが、通常0.4質量%程度である。この水素放出率が0.3質量%を超えると、本発明のゴム組成物の耐摩耗性がさらに向上し、かつ発熱性もより低減される。
なお、上記水素放出率は、(1)カーボンブラック試料を105℃の恒温乾燥機中で1時間乾燥し、デシケータ中で室温まで冷却し、(2)スズ製のチューブ状サンプル容器に約10mgを精秤して、圧着及び密栓し、(3)水素分析装置(堀場製作所EMGA621W)でアルゴン気流下、2000℃で15分間加熱したときの水素ガス発生量を測定し、その質量分率で表示される。
さらに、上記ゴム配合用カーボンブラック(C)は、ジブチルフタレート吸収量(DBP)が95〜220mL/100g、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90〜200mL/100g、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであるものが好ましい。
なお、ジブチルフタレート吸収量(DBP)及び圧縮DBP吸収量(24M4DBP)は、ASTM D2414−88(JIS K6217−4:2001)に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の体積mLで表示される。また、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に記載の方法により測定され、カーボンブラック単位質量当たりの比表面積m2/gで表示される。
上記ゴム配合用カーボンブラック(C)は、上述の方法で製造され、かつ上述の物性を有するものが用いられるが、かかるカーボンブラックの形態としては、例えばFEF、SRF、HAF、ISAF、ISAF−LS、SAF−LS等が挙げられる。
ゴム配合用カーボンブラック(C)は、上記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、10〜250質量部、好ましくは20〜150質量部、より好ましくは30〜120質量部の量で含有される。ゴム配合用カーボンブラック(C)の配合量が10質量部未満では、ゴム組成物の補強性を充分に確保することができず、一方、250質量部を超えると、ゴム配合用カーボンブラック(C)の分散性が低下し、ゴム組成物の耐摩耗性、耐テアー性及び耐発熱性が低下する場合がある。
ここで、本発明のゴム組成物は、充填剤として上記ゴム配合用カーボンブラック(C)に加え、さらに、シリカ充填剤(D)を含有するのが望ましく、具体的にはゴム配合用カーボンブラック(C)の配合量がジエン系ゴム(A)100質量部に対して60質量未満であるゴム組成物に、シリカ充填剤(D)を上記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して100質量部以下、好ましくは20〜80質量部の範囲で配合することで、ゴム組成物の補強性(耐摩耗性)を確保することができ、さらには、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低減することができる。すなわち、ゴム配合用カーボンブラック(C)の配合量を必要以上に減量することなく、シリカ充填剤を好適な量で配合することが可能となり、ゴム組成物の低ロス性及び補強性(耐摩耗性)の両立が高いレベルで可能となる。
なお、上記シリカ充填剤(D)としては、特に限定されないが、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾燥シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、沈降アモルファス湿式プロセスによる含水シリカが好ましい。有用な使用量の上限値は、このタイプの充填剤によってもたらされる高い粘度によって制限される。使用可能で市販のシリカの幾つかとしては、特に限定されるものではないが、PPG工業(ピッツバーグ、ペンシルバニア)によって生産されているHiSil(登録商標)190、HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)215、HiSil(登録商標)233、HiSil(登録商標)243等が挙げられる。また、多くの有用な市販グレードの種々のシリカが、Evonik社(例えば、VN2、VN3)、ローディア(例えば、Zeosil(登録商標)1165MP0)、及びJ.M.フーバー社から入手できる。
上記シリカ充填剤(D)を使用する場合、シリカをポリマーに結合させるために、カップリング剤を使用してシラン処理を施すのが望ましい。多数のカップリング剤が公知であり、特に限定されるものではないが、有機スルフィドのポリスルフィドが挙げられる。どのような有機シランのポリスルフィドを使用してもよい。
好適な有機シランのポリスルフィドとしては、特に限定されるものではないが、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリブトキシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)ヘキサスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3’−ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリ−2”−エチルヘキソキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリイソオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリ−t−ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’−ビス(メトキシジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(トリプロポキシシリルエチル)ペンタスルフィド、3,3’−ビス(トリシクロネオキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリシクロペントキシシリルプロピル)トリスルフィド、2,2’−ビス(トリ−2”−メチルシクロヘキソキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルメチル)テトラスルフィド、3−メトキシエトキシプロポキシシリル3’−ジエトキシブトキシ−シリルプロピルテトラスルフィド、2,2’−ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(ジメチルsecブトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3’−ビス(メチルブチルエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(ジt−ブチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(フェニルメチルメトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3’−ビス(ジフェニルイソプロポキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ジメチルエチルメルカプトシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)トリスルフィド、2,2’−ビス(メチルエトキシプロポキシシリルエチル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(ジエチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(エチルジ−secブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ブチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(フェニルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3’−トリメトキシシリルプロピルテトラスルフィド、4,4’−ビス(トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、6,6’−ビス(トリエトキシシリルヘキシル)テトラスルフィド、12,12’−ビス(トリイソプロポキシシリルドデシル)ジスルフィド、18,18’−ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)テトラスルフィド、18,18’−ビス(トリプロポキシシリルオクタデセニル)テトラスルフィド、4,4’−ビス(トリメトキシシリル−ブテン−2−イル)テトラスルフィド、4,4’−ビス(トリメトキシシリルシクロヘキシレン)テトラスルフィド、5,5’−ビス(ジメトキシメチルシリルペンチル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリル−2−メチルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(ジメトキシフェニルシリル−2−メチルプロピル)ジスルフィド、及び3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(NXT)が挙げられる。またこれら種々の有機シランのポリスルフィド化合物の混合物を用いることができる。
上記ゴム組成物中のカップリング剤の量は、ゴム組成物中のシリカ充填剤(D)の質量を基準とする。かかるカップリング剤の量は、シリカ充填剤(D)の0.1質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%である。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、上記ジエン系ゴム(A)、金属石鹸(B)、ゴム配合用カーボンブラック(C)、場合によってはさらにシリカ充填剤(D)のほか、加硫剤、加硫促進剤、オイル、粘着付与樹脂、老化防止剤、脂肪酸、ワックス、素練り促進剤、加硫遅延剤、活性剤、加工添加剤、可塑剤、顔料及びオゾン劣化防止剤からなる群から選択される1種以上の成分を含有する。
加硫剤の例としては、硫黄、及び硫黄供与性化合物が挙げられる。かかる加硫剤の配合量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。具体例としては、1.5質量部、1.7質量部、1.87質量部、及び2.0質量部が挙げられる。
加硫促進剤は、特に限定されない。多数の促進剤が当該技術分野で公知であり、特に限定されるものではないが、ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、4,4’−ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール(MBS)が挙げられる。かかる促進剤の配合量の例としては、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.25質量部、0.5質量部、1.0質量部、1.5質量部、1.65質量部、及び2.0質量部が挙げられる。これら促進剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。
オイルは、ゴム組成物において、配合助剤として、従来から使用されている。オイルの例としては、特に限定されるものではないが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、及び/又はパラフィン系プロセスオイルが挙げられる。幾つかの用途では、低多環芳香族(PCA)オイル、特には、PCA含量が3%未満のオイルを使用することが好ましい。オイルの好適な使用量は、ゴム組成物中のゴム状マトリックス100質量部に対して、通常0〜100質量部、好ましくは0〜70質量部、より好ましくは0〜50質量部の広い範囲に渡り、例えば、15質量部、20質量部、又は30質量部の量とすることができる。典型的な実施態様においては、金属石鹸(B)を用いて、ゴム配合物中のオイルの一部を置き換えたり、オイルの全部を置き換えたりする。例えば、オイルの1%から100%、5%から50%、又は10%から40%を、金属石鹸(B)で置き換えてもよい。
また、ある種の追加の充填剤を利用してもよく、例えば、クレー、タルク、アルミニウム水和物、水酸化アルミニウム及びマイカ等の鉱物系充填剤が挙げられる。これら追加の充填剤は、任意であり、例えばジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.5〜40質量部の量で利用できる。
また、老化防止剤を、例えばジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.5質量部、1質量部、1.5質量部、2.0質量部、及び2.5質量部等の量で使用してもよい。かかる老化防止剤の2種以上を同時に使用してもよい。
上記ジエン系ゴム(A)、金属石鹸(B)、ゴム配合用カーボンブラック(C)、場合によってはさらにシリカ充填剤(D)のほか、加硫剤、加硫促進剤、オイル、粘着付与樹脂、老化防止剤、脂肪酸、ワックス、素練り促進剤、加硫遅延剤、活性剤、加工添加剤、可塑剤、顔料及びオゾン劣化防止剤からなる群から選択される1種以上の成分を、ゴムの配合技術の分野で一般に知られた方法で、例えば、標準的なゴムの混合設備及び手法を用い、上記成分を所望の使用量で一緒に混合することによって、配合してもよい。また例えば、ジエン系ゴム組成物は、公知の適切な方法に従って、乳化重合、溶液重合、又はバルク重合で調製してもよい。一般に、ブラベンダーや小型のバンバリーミキサー等の内部ミキサー中で、成分の混合を達成することができ、せん断力が含まれるので、配合プロセスは、一般に、発熱し、高温が通常である。
一実施態様において、ゴム組成物は、(a)130℃〜200℃(落下温度)の温度で、添加された硫黄及び硬化剤が存在しない状況下、エラストマー、カーボンブラック又はカーボンブラックとシリカ充填剤との混合物を含む補強性充填剤を一緒に混合する工程、(b)混合物を混合温度よりも低く冷却する工程、(c)工程(b)で得られた混合物を加硫温度よりも低い温度で、硬化剤及び満足のいく硬化を実現するのに有効な量の硫黄と共に混合する工程、及び(d)工程(c)で得られた混合物を硬化させる工程によって、調製する。配合物は、通常、140℃〜190℃で、5〜120分間硬化させる。また、成分を一緒に混合するための落下温度は、145℃〜190℃、又は155℃〜180℃とすることもできる。
最初の混合工程は、少なくとも2つのサブ工程を含むことができる。即ち、最初の混合工程は、(i)130℃〜180℃の温度で、エラストマー、少なくとも充填剤の一部を一緒に混合するサブ工程、(ii)混合温度よりも低い温度に混合物を冷却するサブ工程、及び(iii)有る場合は、残りの充填剤と、サブ工程(ii)で得られた混合物を混合するサブ工程を含むことがきる。少なくとも2つのサブ工程によって達成される温度は、前記温度範囲内で、互いに同一でも異なってもよい。
上記方法は、配合物の粘度を下げ、補強性充填剤の分散を向上させるために、さらに、第一の混合物に成分を全く加えない、或いは、非硬化成分を加えるリミル工程を含んでもよい。上記金属石鹸(B)は、該リミル工程で添加することができる。リミル工程の落下温度は、通常、130℃〜175℃で、例えば、145℃〜165℃である。
混合プロセスの最終工程は、最終配合物に満足のいく硬化を実現するのに有効な量の硫黄を含む硬化剤の混合物への添加である。最終混合物を混合する温度は、配合物の望まない予備硬化を避けるために、加硫温度未満にしなければならない。そのため、最終混合工程の温度は、120℃を超えるべきではなく、通常、40℃〜120℃、好ましくは、60℃〜110℃、より好ましくは、75℃〜100℃である。
[トレッド及びタイヤ]
上記ゴム組成物はタイヤ部材のいずれにも適用し得るが、トレッドに用いるのが好適である。かかるトレッドを採用したタイヤは、耐摩耗性に優れるとともに、転がり抵抗が低く、高度なトラクション性能を発揮し、特にウェット性能に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物をトレッドに用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[カーボンブラックX〜Yの製造]
図1に示すカーボンブラック製造炉1を用いて、カーボンブラックX〜Yを製造した。ここで、多段冷却媒体導入手段12としては、第1番目の急冷媒体導入手段12−X、第2番目の急冷媒体導入手段12−Y及び最後の急冷媒体導入手段12−Zからなる3段急冷媒体導入手段を用いた。また、製造炉内の温度をモニターするため、任意の数カ所に熱電対を炉内に挿入できる構造を備える上記製造炉を用いた。カーボンブラック製造炉において、燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。また、表2に示すカーボンブラック製造炉の操作条件により、下記に示す物性を備えたカーボンブラックX〜Yを製造した。
得られたカーボンブラックX〜Yについて、ASTM D2414-88(JIS K6217-97)に準拠してジブチルフタレート(DBP)吸収量を、ASTM D3037-88に準拠して窒素吸着比表面積(N2SA)を、ASTM D3265-88に準拠して比着色力(TINT)を、JIS K6218-97に準拠してトルエン着色透過度を夫々測定した。
Figure 2011116920
Figure 2011116920
[金属石鹸Z(ジオレイン酸アルミニウム石鹸)の製造]
1.9Lのガラス瓶に、2000mLの水及び40g(1mol)の水酸化ナトリウム(純度99+%、アルドリッチ製)を加えた。水酸化ナトリウムが完全に溶けた後、313gのオレイン酸(純度90%、アルドリッチ製)を加えた。次に、混合物を、溶液が完全に透明になるまで、75℃で1時間激しく混合した。以下、この溶液を「溶液A」という。
もう一つの1.9Lのガラス瓶に、2000mLの水及び238gの硫酸アルミニウムカリウム(純度99+%、アルドリッチ製)を加えた。次に、混合物を、溶液が完全に透明になるまで、75℃で1時間激しく混合した。以下、この溶液を「溶液B」という。
次に、暖かいままの溶液A及びBを組み合わせ、激しい撹拌の下、この組み合わせによりゲル様の材料が生成した。このケースでは、溶液Bを、約100mL/分の速度で、溶液A中にゆっくりと加えた。この材料を脱イオン水で8回洗浄し、次に、65℃で一晩、真空乾燥した。最終生成物(ジオレイン酸アルミニウム石鹸)は、白色の粉体であり、トルエンへの溶解や、ジエン系ゴムへの混合が容易であった。
[実施例1、比較例1〜3]
必要に応じて上記金属石鹸Z及びカーボンブラックX〜Yを用いて、表3に示す配合処方のゴム組成物を常法に従って調製し、該ゴム組成物をトレッドゴムに適用した、サイズ:11R22.5の重荷重用タイヤを常法に従って試作し、転がり抵抗、耐摩耗性及び耐テアー性を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
《耐摩耗性》
供試タイヤをトラックのドライブ軸に装着して10万km走行した後の摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
《転がり抵抗》
供試タイヤに対し、正規荷重及び内圧の下、80km/hでの転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗を100として指数表示した。指数値が小さい程、転がり抵抗が小さいことを示す。
《湿潤路面での摩擦係数(WETμ)》
スタンレーロンドン社製ブリティッシュポータブルスキッドテスターを用いて、湿潤コンクリート路面上を、加硫ゴム試験片でこすって測定した際の抵抗値を、比較例1を100として指数表示した。数値が大きいほど、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高く、ウェットトラクション特性が良好であることを示す。
Figure 2011116920
*1:スチレン−ブタジエン共重合体、タフデン100、旭化成工業製
*2:上記製造方法により得られたゴム配合用カーボンブラックX
*3:上記製造方法により得られたゴム配合用カーボンブラックY
*4:東ソーシリカ社製、ニップシールAQ
*5:上記製造方法により得られた金属石鹸
*6:ノクラック6C、N-フェニル-N'−(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製
*7:Si69、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製
*8:ノクセラーD、1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社
*9:ノクセラーCZ、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製
表3によれば、特定の金属石鹸(B)とカーボンブラック(C)とを含有する実施例1は、双方とも含まない比較例1、及びいずれか一方のみを含有する比較例2〜3に比べ、耐摩耗性、転がり抵抗、ウェット性能のすべてにおいて優れた結果を明示しており、金属石鹸(B)とカーボンブラック(C)とが極めて向上された相乗効果を発揮することがわかる。
1 カーボンブラック製造炉
10 反応室
11 反応継続兼冷却室
12 多段急冷媒体導入手段
12−X 第1番目の急冷媒体導入手段
12−Y 第2番目の急冷媒体導入手段
12−Z 最後の急冷媒体導入手段

Claims (21)

  1. (A)ジエン系ゴム、
    (B)下記式(I)で表される金属石鹸;
    Figure 2011116920
    [式中、Mは酸化状態が+3又は+4の金属であり、Rはそれぞれ独立して選択された有機部分であり、nはMの原子価である]、及び
    (C)燃焼ガス生成帯域と、反応帯域と、反応停止帯域とが連設されてなる反応装置を用い、前記燃焼ガス生成帯域内で高温燃焼ガスを生成させ、次いで前記反応帯域に原料を噴霧導入してカーボンブラックを含む反応ガス流を形成させた後、反応停止帯域にて、多段急冷媒体導入手段により、該反応ガス流を急冷して、反応を終結させることにより得られたゴム配合用カーボンブラックを含有し、かつ
    前記ゴム配合用カーボンブラック(C)が、下記条件(i)及び(ii);
    (i)前記多段急冷媒体導入手段でのトルエン着色透過度が、下記式(1)及び(2);
    10<X<40 ・・・ (1)
    90<Z<100 ・・・ (2)
    [式中、Xは原料導入位置から第1番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)で、Zは最後の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度(%)である]の関係を満たす;
    (ii)前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、ゴム配合用カーボンブラック(C)を、10〜250質量部の量で含有する;
    を満たすことを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記式(I)中、n−1が2または3であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記式(I)中、(O2CR)基が炭素数6以上の脂肪酸から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 前記金属石鹸(B)が、水に溶解しないことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴム(A)が、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記金属石鹸(B)が、前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、5〜100質量部の量で含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 前記金属石鹸(B)が、アルミニウムとカルボン酸誘導体との石鹸であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 前記金属石鹸(B)が、ジエチルへキサン酸のアルミニウム石鹸及びジラウリン酸のアルミニウム石鹸からなる群より選ばれることを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物。
  9. さらに、シリカ充填剤(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  10. 前記シリカ充填剤(D)がシラン処理されたシリカであることを特徴とする請求項9に記載のゴム組成物。
  11. 前記金属石鹸(B)の分子が、無極性溶媒中、ミセル構造又は式(II)で表される構造を形成することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物;
    Figure 2011116920
    [式中、xは自然数である]。
  12. 前記式(I)中、Rが少なくとも1つの不飽和単位を有するアルキル鎖を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  13. 前記式(I)中、Rが1つ又は複数の硫黄硬化可能な二重結合を有するアルキル鎖を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  14. 前記二重結合が、アルキル鎖中の2つの非末端炭素の間にあることを特徴とする請求項13に記載のゴム組成物。
  15. 前記金属石鹸(B)が、ジオレイン酸のアルミニウム石鹸であることを特徴とする請求項3に記載のゴム組成物。
  16. 前記ゴム配合用カーボンブラック(C)が、
    反応帯域内に原料が噴霧導入されてから、第1番目の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt1(秒)、この帯域での平均反応温度をT1(℃)とし、第1番目の急冷媒体が導入されてから、第2番目の急冷媒体導入手段(図1において、12−Y)により急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間をt2(秒)、この帯域での平均反応温度をT2(℃)とし、さらに、第2番目の急冷媒体が導入されてから、最後の急冷媒体が導入されるまでの帯域における滞留時間(即ち、反応停止帯域通過までの帯域における滞留時間)をt3(秒)、この帯域内での平均反応温度をT3(℃)とした場合、
    下記式(3)、(4)及び(5);
    2.00≦α1≦5.00 ・・・ (3)
    5.00≦α2≦9.00 ・・・ (4)
    −2.5×(α1+α2)+85.0≦β≦90.0 ・・・ (5)
    [式中、α1=t1×T1、α2=t2×T2、β=t3×T3である]の関係を満たすように制御して得られることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  17. 前記ゴム配合用カーボンブラック(C)が、下記式(6)、(7)及び(8);
    20<X<40 ・・・ (6)
    50<Y<60 ・・・ (7)
    90<Z<95 ・・・ (8)
    [式中、Yは第2番目の急冷媒体導入後のカーボンブラックのトルエン着色透過度を示し、X及びZは前記と同義である]の関係を満たすように制御して得られることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  18. 前記ゴム配合用カーボンブラック(C)の水素放出率が、0.3質量%を超えることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  19. 前記ゴム配合用カーボンブラック(C)において、ジブチルフタレート吸収量(DBP)が95〜220mL/100g、圧縮DBP吸収量(24M4DBP)が90〜200mL/100g、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が70〜200m2/gであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られたトレッドゴム。
  21. 請求項1〜19のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られたタイヤ。
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