JP7239909B1 - 畜肉様加工食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

組織状植物性蛋白素材を畜肉の代替として用いる畜肉様加工食品であって、動物性原料を使用することなく、加熱時の歩留まりが良く肉様食感に富み、且つ放冷後も硬さを維持した畜肉様加工食品を提供する。(ア)油脂にメチルセルロースを分散させる工程。(イ)水に水膨潤性食物繊維を膨潤分散させる工程。(ウ)(ア)と(イ)を混合して水中油型乳化物を調製する工程。(エ)(ウ)に組織状植物性蛋白素材を混合して、生地を調製する工程。(オ)(エ)で調製した当該生地を成型後に加熱し、畜肉様加工食品とする工程により、動物原料を使用しない畜肉様加工食品を製造することができる。

Description

本発明は、組織状植物性蛋白素材を畜肉の代替として用いる畜肉様加工食品について、加熱時の歩留まりが良く肉様食感に富み、且つ放冷後の硬さも維持できる、畜肉様加工食品に関する。
植物性食品市場、特にベジバーグ等の畜肉様加工食品が国内外で著しく伸長している。これら畜肉様加工食品は、大豆等の植物性蛋白質を主原料にエクストルーダー等で組織化した組織状蛋白素材を用いて、畜肉様に加工したものだが、多くの製品では動物性素材である乾燥卵白を使用しているため、完全菜食主義者、いわゆるヴィーガン等が食すことができない。
乾燥卵白代替素材として、メチルセルロース(以下MC)が多用されている。特許文献1では、メチルセルロースとグルテン等により、特許文献2では、分離大豆蛋白素材とメチルセルロースを用いたエマルジョンカードにより、それぞれメチルセルロースをボディとした畜肉様加工食品を作成しているが、卵白を代替できる食感には至っていない。特に、メチルセルロースに起因した加熱時の離水と、放冷後の硬さの低下について、さらなる改良が期待されている。
特許文献3では、油脂と不溶性繊維を合わせたリポゲルを用いることで畜肉様加工食品を作成しているが、日本国内で流通するハンバーグ類とは物性が異なり、突出した肉粒感の抑止と、ぱさつき感の改善が求められている。
特開2005-21163号公報 特開2018-29565号公報 特表2018-533945号公報
本発明の目的は、組織状植物性蛋白素材を畜肉の代替として用いる畜肉様加工食品について、加熱時の歩留まりが良く肉様食感に富み、且つ放冷後の硬さも維持できる、畜肉様加工食品を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、メチルセルロースを分散させた油相と、水に水膨潤性食物繊維を膨潤分散させた水相を混合乳化することで水中油型乳化物を調製し、そこに組織状大豆蛋白等を添加して生地とすることで、肉様食感の向上、加熱時の歩留まり向上、および放冷後の硬さの維持の特性を見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は
(1)以下の工程を含む、畜肉様加工食品の製造方法。
(ア)油脂にメチルセルロースを分散させる工程。
(イ)水に水膨潤性食物繊維を膨潤分散させる工程。
(ウ)(ア)と(イ)を混合して水中油型乳化物を調製する工程。
(エ)(ウ)に組織状植物性蛋白素材を混合して、生地を調製する工程。
(オ)(エ)で調製した生地を成型後に加熱し、畜肉様加工食品とする工程。
(2)メチルセルロースを含有する水中油型の乳化物ゲルを生地に含むものである、(1)に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
(3)生地中の水膨潤性食物繊維が0.05~5重量%である、(1)または(2)に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
(4)水膨潤性食物繊維の吸水量が3倍以上である、(1)乃至(3)の何れかに記載の畜肉様加工食品の製造方法。
(5)畜肉および卵白を含まない、(1)乃至(4)の何れかに記載の畜肉様加工食品の製造方法。
に関するものである。
本発明によれば、卵白を使用することなく、肉様食感に富み、加熱時の歩留まりを向上させ、且つ放冷後の硬さを維持した畜肉様加工食品が提供できる。
(畜肉様加工食品)
本発明における畜肉様加工食品とは、主に組織状植物性蛋白素材を用いて、畜肉様に加工したものをいう。畜肉様加工食品の例としては、ハンバーグ,パティ,ミートボール,ナゲット,つくね,ハム,ソーセージ,サラミ,フランクフルト,アメリカンドック,餃子,焼売,春巻き,肉饅頭,小龍包,メンチカツ,ミートパイ,ラビオリ,ラザニア,ミートローフ,ロールキャベツ,ピーマンの肉詰めやその他、通常は種々のひき肉を使用することが一般的な食品を例示できる。
(水中油型乳化物)
本発明では、メチルセルロース、水膨潤性食物繊維および水を含む、水中油型乳化物を必須とする。
本発明に用いるメチルセルロースは、天然に広く分布するセルロースを原料とし、メトキシ化したもので、通常はセルロースを苛性ソーダで処理した後、塩化メチル、エーテル化剤と反応させて製造される。また、加熱により可逆的にゲル化力が増加する性質を持つ。本発明では、メチルセルロースは、メチルセルロース単体や、他のゲル化剤との併用により使用することができる。他のゲル化剤には、卵白,ジェランガム,カラギーナン,アルギン酸,寒天,カードラン,こんにゃく粉,澱粉等が挙げられる。
本発明の乳化物には、各種の油脂を使用することができる。具体的には、大豆油,菜種油,米油,コーン油,パーム油,牛脂,豚脂,及びこれらの分別油,硬化油,エステル交換油をあげることができ、これらを適宜選択し、使用できる。しかし、本発明の目的が、畜肉様加工食品であることから、食す温度乃至口中温度において融解状態である油脂を使用することが望ましい。
(水膨潤性食物繊維)
本発明に用いる水膨潤性食物繊維とは、水または温水に膨潤するが積極的には溶解しない繊維であり、後述する吸水量が3倍以上のものを言う。吸水量は45倍以下が好ましく、40倍以下が更に好ましい。また、植物に由来する食物繊維が好ましい。具体的には、竹繊維,サトウキビファイバー,アップルファイバー,ポテトファイバー,エンドウファイバー,オーツ麦ファイバー,小麦ファイバー,シトラスファイバー等をあげることができる。パサ付かず適度な硬さを付与でき、放冷後も硬さを保持できる本発明の効果には、竹繊維,オート麦ファイバーおよびシトラスファイバーが特に好ましい。
本発明に用いるシトラスファイバーは、オレンジなどの柑橘類を圧搾後絞り液からジュースを除き、粉末化後の細胞壁に高衝撃を与えたものである。そのため、このシトラスファイバーは、細胞のミセル構造が壊れポーラスな構造となり、吸水力が著しく向上すると同時に、水との結合性が高まり、結果的に取り込まれた水の保水力を向上させる。シトラス原料としては、オレンジおよびレモンに由来するものが特に好ましい。
尚、吸水量の測定は、1gの各試料繊維に対して50gの水を加え、50ml容の容器にて攪拌後に24時間静置し、上清と沈殿の境目を確認することで測定する。境目(沈殿量)が20mlの場合は、吸水量は20倍と計算する。境目が認められないものは、水膨潤性食物繊維には含めないものとする。
水膨潤性食物繊維を後述する手順で添加することで、メチルセルロースによるゲル様の食感が改良され、成型生地加熱時の離水を抑え、更に放冷後の硬さを維持する。これらの作用により、通常の畜肉加工食品に近い、肉的な繊維感を得ることができる。
(組織状植物性蛋白素材)
本発明に用いる組織状植物性蛋白素材とは、方向性を有する水不溶性の組織を有する素材であって、主に植物性蛋白により構成されるものである。具体的には、大豆,脱脂大豆,分離大豆たん白,濃縮大豆たん白,小麦,小麦たん白,エンドウ,エンドウたん白,ヒヨコ豆,マイコプロテイン等に例示される蛋白質を主成分とする植物性の原材料を、組織化物形状に加工したものが挙げられる。例えば大豆の場合、大豆,脱脂大豆,分離大豆たん白等に必要であれば他の原料を合わせて配合し、一軸又は二軸押出成形機(エクストルーダー)等を用いて高温高圧下に組織化した、粒状,フレーク状,スライス肉状などの形状のものがあげられる。エンドウ,緑豆,ヒヨコ豆も、分画品等の蛋白質を多く含む画分を原料に同様な処理を行うことで、組織化された素材を得ることができる。これらの原料には、蛋白質濃度が50重量%以上のものが好ましく、60重量%以上のものが更に好ましい。
本発明には大豆を主原料とする組織状大豆蛋白素材が好適であり、所望の商品形態に応じ、任意の形状や大きさの製品を適宜選択し使用することができる。なお、水戻し済で流通する製品も存在するが、本発明には乾燥品(水分10重量%以下)を用いることが望ましい。また、豆腐を圧搾することで組織化した大豆素材も、本発明に好適である。
組織状植物性蛋白素材としては、小麦たん白を加工して調製した、いわゆるグルテンチップ等も、本発明に使用することができる。
前述の乳化物に、組織状植物性蛋白素材およびその他の材料を加えたものを生地とする。この生地を加熱することで、メチルセルロースを主体としたゲル化剤により組織状植物性蛋白素材が結着され、畜肉様加工食品を調製することができる。これら畜肉様加工食品は、卵白を用いた畜肉加工食品に似た食感を有するものである。
(工程ア)(メチルセルロース分散物の調製)
油脂にメチルセルロースを分散させ、メチルセルロース分散物の調製する。この際、ミキサー,フードプロセッサー,サイレントカッター,ハンドブレンダー,ステファンミキサー等(以降、ミキサー等と記載する)を用いてシェアをかけると、分散粒子が細かくなり好ましい。配合は後述する生地中の量として、油脂量は1~16重量%が好ましく2~12重量%が更に好ましい。メチルセルロースはゲルとなる量が必要であるが、0.2~3重量%が例示できる。
(工程イ)(水膨潤性食物繊維分散物の調製)
水膨潤性食物繊維と水を混合し膨潤分散させて、水膨潤性食物繊維分散物の調製する。膨潤とは繊維が水和され繊維の体積が増えることであり、これら繊維が水中に局在しない様に攪拌等を施した状態が分散である。この際、前述のミキサー等を用いてシェアをかけると、分散粒子が細かくなり好ましい。配合は後述する生地中の量として、水は他の添加物の量によっても変化するが、5~35重量%が好ましく、10~30重量%が更に好ましい。水膨潤性食物繊維は生地中に0.05~5重量%が好ましく、0.1~4重量%がより好ましく、0.5~3重量%が最も好ましい。上述のメチルセルロースの溶解度は低温で上昇することから、用いる水は低温であることが好ましく、氷水を用いるとより好ましい。
(工程ウ)(乳化物調製)
工程アのメチルセルロース分散物(油相)と、工程イの水膨潤性食物繊維分散物(水相)を混合し、水中油型の乳化物を調製する。この際、前述のミキサー等を用いてシェアをかけると、乳化粒子が細かくなり好ましい。乳化物調製後に凍結する方法も有効である。
乳化物には上記以外の甘味料,香辛料,塩,風味付与材,調味料など、本発明の効果を妨げない範囲で他の成分を添加することもできる。この添加は本乳化物調製工程の前後で行うことができる。
(工程エ)(生地調製)
工程ウで作成した乳化物に、組織状植物性蛋白素材を混合し生地とする。混合には前述したミキサー等を用いることができる。組織状植物性蛋白素材は通常乾燥体であるので、まず水を吸水させ、組織を軟化させる「水戻し」を行った上で混合するが、乾燥状態の組織状植物性蛋白素材と水を添加混合することも、一部水戻しした組織状植物蛋白素材と水を添加混合することも拒まない。また、水の一部を上記の水中油型乳化物とすることもできる。
風味や物性に変化を与えるために、各種の調味料,野菜類,澱粉類,ゲル化剤,他の食物繊維,粉末状大豆たん白等の植物性蛋白素材等を加えることもできる。
それぞれの使用量は生地中、乳化物は10~40重量%が好ましく、15~30重量%がより好ましい。組織状植物性蛋白素材は乾物量として、5~30重量%が好ましく、8~20重量%がより好ましい。以上の工程ア~エに記載の使用量は生地に対する重量%である。
(工程オ)(成型加熱)
工程エで作成した生地は、成形機で所望の大きさと形状に成形する。次いでこれを加熱工程に供する。本発明における加熱手段は、焼成加熱,蒸し加熱,ボイル加熱,フライ加熱,電磁波加熱等を適宜組み合わせて用いることができる。またレトルト加熱も可能である。これによって成形した生地が加熱凝固し、形状が安定化される。
温度と時間は形状や重量、加熱方法にもよるが、焼成加熱の加熱法では180~300℃で5~15分間が、レトルトの加熱法では115~130℃で10~60分間が、蒸煮加熱では75~100℃で5~50分間が例示できる。
メチルセルロースは加熱により可逆的にゲルを形成するため、これを用いた食品等は、加熱後に冷却を行うと硬さが低減し食感が落ちるとされている。しかし本発明によれば、畜肉や卵白等の動物性原料を使用することなく、通常の畜肉加工食品と同様な食感の畜肉様加工食品を、加熱時の歩留まりを低下させず、且つ冷却時の硬さを維持したものとして得ることができる。
以下に実施例を記載することで本発明を説明する。以下の部は重量部、%は重量%とする。
(実施例1)竹繊維での検討
菜種油3.2部に、メチルセルロース(信越化学製・MCE100TS)1.0部を加えロボクープ中で攪拌し油相分散液とした。一方、氷水13.0部に竹繊維(レッテンマイヤー製・BAF90/平均繊維長80μm/吸水率4.5倍)1.0部を加え攪拌して水相分散液とし、油相分散液と水相分散液を混合攪拌することで、水中油型の乳化物Aを得た。乳化物A全量に対して、13.2部の水で戻した組織状大豆蛋白素材B(不二製油製・アペックス650/粒形状)3.3部、22.5部の水で戻した組織状大豆蛋白素材C(不二製油製・アペックス350/粒形状)9.0部、8.8部の水で戻した組織状大豆蛋白素材D(不二製油製・アペックス950/扁平形状)3.5部、常温で固体の植物性油脂(不二製油製・ユニショートMJ)10.0部、調味料と香辛料8.7部、α化澱粉(松谷化学製・松谷パインソフトB)2.0部を加え、ケンウッドミキサーで3分間攪拌し、生地とした。
生地は日本キャリア社製自動成形機(GM-D)を用いて、打ち抜き成形を行なうことで、70gを成型し、コンベクションオーブン((株)ラショナル・ジャパン製・SCC WE 101)を用いて、300℃で6分間焼成加熱を行い、ハンバーグ様食品を得た。詳細な配合は表1に、繊維の添加順については表2(表2・手順X1)に示した。
(比較例1)生地調製時の添加
菜種油3.2部に、メチルセルロース1.0部を加えロボクープ中で攪拌したのち、氷水13.0部を加え更に攪拌して、水中油型の乳化物Aを得た。乳化物A全量に対して、竹繊維1.0部、並びに実施例1と同様に各種の水戻し組織状大豆蛋白素材、植物性油脂、調味料と香料、およびα化澱粉を加え、ケンウッドミキサーで攪拌し生地とした上で、成形し、ハンバーグ様食品を得た。(表2・手順X2)
(比較例2)粉体混合品の油脂への添加
メチルセルロース1.0部と竹繊維1.0部を粉体混合したものを菜種油3.2部に加えロボクープ中で攪拌したのち、氷水13.0部にを加え攪拌して、水中油型の乳化物Aを得た。乳化物A全量に対して、実施例1と同様に各種の水戻し組織状大豆蛋白素材、植物性油脂、調味料と香料、およびα化澱粉を加え、ケンウッドミキサーで攪拌し生地とした上で、成形し、ハンバーグ様食品を得た。(表2・添加順Y)
(比較例3)粉体混合品の水への添加
メチルセルロース1.0部と竹繊維1.0部を粉体混合したものを氷水13.0部に加えロボクープ中で攪拌したのち、菜種油3.2部を加え攪拌して、水中油型の乳化物Aを得た。乳化物A全量に対して、実施例1と同様に各種の水戻し組織状大豆蛋白素材、植物性油脂、調味料と香料、およびα化澱粉を加え、ケンウッドミキサーで攪拌し生地とした上で、成形し、ハンバーグ様食品を得た。(表2・添加順Z)
(実施例2,比較例4~6)シトラスファイバーでの検討
竹繊維をシトラスファイバー(DSP五協製・ヘルバセルAQプラスCF-D/100/吸水率40倍)と置換し、実施例1および比較例1~3と同様に調製した。
(比較例7)繊維無添加
実施例1の配合の竹繊維を除き、実施例1と同様に調製した。(表2・添加順X0)
(表1)添加順の検討
Figure 0007239909000001
(表2)添加順略号
Figure 0007239909000002
(評価)
各成形生地は、加熱の前後で重量を測定し、加熱後の重量を加熱前の重量で除した値を加熱歩留り(重量%)として表した。また、官能評価は加熱焼成直後で品温が約50~60℃の時点(加熱後)と、常温にて20分間以上放置し品温が約30~40℃の時点(放冷後)の2点で、それぞれ以下の基準により評価した。
(官能評価基準)
官能評価は熟練したパネラー5名にて行い、畜肉加工食品、特にハンバーグらしい食感を総合的に評価し、合議により判定した。それぞれの基準で3点以上を合格と判断した。
●硬さ
口に入れた初発の硬さを、以下の様に定義した。
5:噛み出しが十分に硬い
4:噛み出しが硬い
3:噛み出しがやや柔らかい
2:噛み出しが柔らかい
1:噛み出しが非常に柔らかい

●肉様食感
咀嚼中盤から後半に感じる畜肉パティ(ハンバーグ)様のほぐれ感を肉様食感として、以下の様に定義した。
5.ねちゃつきが殆どなく、ほぐれ感が強い。肉粒感に富む
4.ねちゃつきが少なく、ほぐれが感、肉粒感もある
3.ねちゃつきがややあり、ほぐれ感もやや弱い
2.ねちゃつき強く、ほぐれ感が弱い
1.ねちゃつき非常に強く、ほぐれ感が弱い

●総合評価
5:畜肉のハンバーグと遜色なく、特に良好
4:ハンバーグ様食品として問題なく良好
3:やや劣るが、ハンバーグ様食品の範囲内
2:ハンバーグ様食品としては違和感ある
1:ハンバーグ様食品としては不適
表1に示す様に、竹繊維またはシトラスファイバー(ヘルバセル)を添加した水相と、メチルセルロースを分散させた油脂(油相)を混合し、乳化物を調製した実施例1および実施例2のみで、放冷後も良好な食感のハンバーグ様食品を調製することができた。一方、繊維を他の具材と同時に加えた比較例1および比較例4(添加順X2)、並びに予め繊維とメチルセルロースを粉体混合後に油相(添加順Y)または水相(添加順Z)に添加した比較例2,3,5,6は何れも、放冷後はもちろん、焼成直後も肉様の食感を得ることはできなかった。繊維を添加しない比較例7(添加順X0)は、更に悪い物性だった。
(実施例3~7,比較例8~12)各種繊維と添加順の検討
実施例1,比較例1の配合の竹繊維をレモンファイバー(鳥越製粉社製、レモンファイバー100FG/吸水率30倍)と置換し、同様に調製した(実施例3,比較例8)。更に、実施例1,比較例1の配合の竹繊維を以下の繊維と置換し同様に調製した。シトラスファイバー(鳥越製粉社製、シトリファイ100FG/吸水率20倍)(実施例4,比較例9)、アップルファイバー(レッテンマイヤー社製、アップルAF401/吸水率8倍)(実施例5,比較例10)、オーツ麦ファイバー(レッテンマイヤー社製、オーツ麦ファイバーHF200/吸水率10倍)(実施例6,比較例11)、エンドウファイバー(レッテンマイヤー社製・ピーEF150/吸水率14倍)(実施例7,比較例12)。
(比較例13)
実施例1の配合の竹繊維を水溶性の多糖類(不二製油製、水溶性大豆多糖類ソヤファイブ-S-DN/吸水率:測定不能)と置換し、同様に調製した。
(表3)各種繊維と添加順の検討
Figure 0007239909000003
結果を表3に示した。実施例3~7のレモンファイバー、シトラスファイバー、アップルファイバー、オーツ麦ファイバー、エンドウファイバーは何れも良好な効果を示した(X1)。一方、繊維をエマルジョンカードではなく、その他具材と同時に加えた(X2)比較例8~12は、何れも放冷後の物性が柔らかく、低評価だった。また、水溶性多糖類である比較例13も同様の低評価(X1)であった。
(実施例8~11)添加量の検討
実施例1の配合の竹繊維を表4に示す配合量に変更して、実施例8~11を実施した。すべての条件で効果が見られたが、特に0.5重量%配合の実施例9から、3部重量%配合の実施例11が良好だった。
(表4)添加量の検討
Figure 0007239909000004
本発明を用いると、動物性原料を使用することなく、冷却後も良好な食感を保持した畜肉様加工食品を製造することが可能となる。

Claims (5)

  1. 以下の工程を含む、畜肉および卵白を含まない、畜肉様加工食品の製造方法。
    (ア)油脂にメチルセルロースを分散させる工程。
    (イ)水に水膨潤性食物繊維を膨潤分散させる工程。
    (ウ)(ア)と(イ)を混合して水中油型乳化物を調製する工程。
    (エ)(ウ)に組織状植物性蛋白素材を混合して、生地を調製する工程。
    (オ)(エ)で調製した生地を成型後に加熱し、畜肉様加工食品とする工程。
  2. メチルセルロースを含有する水中油型の乳化物ゲルを生地に含むものである、請求項1に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
  3. 生地中の水膨潤性食物繊維が0.05~5重量%である、請求項1に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
  4. 生地中の水膨潤性食物繊維が0.05~5重量%である、請求項2に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
  5. 水膨潤性食物繊維の吸水量が3倍以上である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の畜肉様加工食品の製造方法。
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