図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図中、各図において、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示す。
<搬送システム>
図1は本発明の一実施形態に係る搬送システム1の斜視図である。搬送システム1は、コインスタック容器のアンパッキングを行って、コインスタック容器内の基板(ここでは半導体ウエハ)をFOUP等の容器に移載する機能を有する。また、搬送システム1は、FOUP等の容器から基板を搬出し、搬出した基板をコインスタック容器においてパッキングする機能を有する。すなわち、搬送システム1は、コインスタック容器のアンパッキング/パッキング(解梱動作/梱包動作)を行うパッキングシステムである。
搬送システム1は、基板の搬送機構を内蔵する基板搬送装置2と、複数のロードポート3と、基板のアライニングを行うアライニング装置4と、保護材の搬送機構を内蔵する保護材搬送装置5と、情報表示装置6とを含む。情報表示装置6は例えばタッチパネル式のディスプレイであり、搬送システム1に対する設定の入力を受け付けたり、搬送システム1の稼働情報等の表示を行うものである。
<基板搬送装置>
図2を参照して基板搬送装置2の構成について説明する。図2は搬送システム1の内部のレイアウトを示す平面図であり、基板搬送装置2は、搬送システム1の内部において基板を搬送する搬送機構を構成する。基板搬送装置2は、その内部空間2aに設けられた基板搬送ロボット20を備える。基板搬送ロボット20は、X方向に延設された一対の案内部材24の案内によってX方向に往復可能となっている。一対の案内部材24は例えばレール部材であり、基板搬送ロボット20の移動通路を画定する。
基板搬送ロボット20は、水平多関節機構21と、ベースユニット22と、走行ユニット23とを含む。走行ユニット23は案内部材24に沿ってX方向に移動する駆動機構を備える。この駆動機構は、例えば、モータ等の駆動源と、ベルト伝動機構やラック-ピニオン機構等の駆動伝達機構とを含む。ベースユニット22は走行ユニット23に搭載されており、水平多関節機構21の昇降と旋回を行う駆動機構を備える。この駆動機構は、例えば、モータ等の駆動源と、ベルト伝動機構、ラック-ピニオン機構、歯車機構等の駆動伝達機構とを含む。水平多関節機構21は、ハンド21aと、ハンド21aを水平方向に進退させるアームと、ハンド21aを表裏自在に反転させる機構と、それらの駆動機構を含む。この駆動機構は、例えば、モータ等の駆動源と、ベルト伝動機構等の駆動伝達機構とを含む。ハンド21aには、エアの吸引等によって基板を吸着する複数の吸着部が設けられており、基板の搬送の際、基板はハンド21aに吸着されて保持される。
本実施形態の場合、ロードポート3及び保護材搬送装置5は、基板搬送ロボット20の移動通路(案内部材24)の一側方に、当該移動通路に沿って並設されている。これによって、アンパッキング、パッキングの際に、保護材搬送装置5による保護材の搬送と、基板搬送装置2による基板の搬送とを交互に行うことができ、保護材の搬送と基板の搬送とを並行して行うことができるため、タクトタイムの低減を図ることができる。また、搬送システム1の共通側部において、コインスタック容器の搬入出と、FOUP等の容器の搬入出とを行うことができ、作業者の作業性も向上できる。
アライニング装置4は、基板搬送ロボット20の移動通路(案内部材24)の他側方に配置されている。この配置によりパッキングの際、基板搬送ロボット20によって、ロードポート3(FOUP等の容器開閉装置)から基板を搬出し、アライニング装置4を経由して保護材搬送装置5へ基板を効率的に搬送することができる。
アライニング装置4は、保護材搬送装置5と対向する位置に配置される。これにより、基板搬送ロボット20は、アライニング装置4から基板を搬出した後、背面側に反転するだけで、保護材搬送装置5に正対するため、X方向の位置決めが不要となり、位置ずれが生じるおそれはない。
<ロードポート>
図3を参照してロードポート3の構成について説明する。図3はロードポート3の部分概略側断面図である。ロードポート3は容器100を開閉するオープナである。容器100は、FOUP、FOSB、SMIFまたはオープンカセット等である。容器100は、半導体ウエハである円形の基板Wを出し入れする開口部102を側部に有する箱状の容器本体101と、開口部102に着脱自在に装着され、開口部102を塞ぐ蓋(ドア)103と、を有する。なお、図3は、容器100が蓋103で塞がれた閉位置と、ロードポート3により蓋103が開放された開位置(図3中に二点鎖線で図示)とを示している。
容器本体100は、その開口部102が図3に示すように孔部311に対向した姿勢で搭載部32に搭載される。基板搬送装置2の水平多関節機構21は、孔部311、開口部102を介して容器本体101内の基板Wにアクセス可能となっている。
搭載部32はテーブル状に設けられている。搭載部32は容器100が搭載される可動のドックプレート321を備え、このドックプレート321は不図示の移動機構により、壁体31の孔部311に近接した位置(図3に示す位置)と、離間した位置とでY方向に進退自在に移動される。容器100の搬送時にはドックプレート321は孔部311から離間した位置(後退位置)に、容器100の開閉及び開放中にはドックプレート321は孔部311に近接した位置(前進位置)に、それぞれ移動される。
また、ロードポート3は開閉機構33を備えており、開閉機構33は、蓋103を保持する保持部(ポートドア)330と、ポートドア330を矢印方向AYに進退させるとともに、後退位置において矢印方向AZに昇降させる移動機構331とを備える。
以上の構成のロードポート3と基板搬送装置2とを上位コントローラにて協働制御することにより、基板Wが容器本体101外へ搬出され、また、基板Wが容器本体101内に搬入される。
<アライニング装置>
アライニング装置4は、図2に示すようにセンタリングユニット40を含む。本実施の形態において挙げるセンタリングユニット40は基板Wのセンタリングを行う装置であるが、これに限定するものではない。例えば、半導体製造装置で慣用的に用いられているアライナのように、基板Wのセンタリングとノッチ(又はオリエンテーションフラット)位置の調整を行うものであってもよい。
センタリングユニット40は、本実施形態の場合、3つのチャック44を備える。各チャック44は、図示しないアクチュエータによって同期して開閉駆動される。センタリングユニット40に載置された基板Wは、各チャック44で把持されることで、心出し、すなわちセンタリングがなされる。
<非接触式コインスタック容器>
図4(A)はコインスタック容器である容器200の説明図であり、その断面図である。容器200は、容器本体部201と容器本体部201の蓋となるカバー202とを含む中空体である。保護材203と保護材203に載置された基板Wの積層体が容器200内に収容される。この積層体は容器本体部201上に載置されており、容器本体部201の周壁によって径方向への移動が規制されている。容器本体部201の内部の底面には、後述する保持ユニット71が保護材203を一括取り出しする際の干渉を防ぐための凹部201aが形成されている。また、容器本体部201は、その底面に、後述する保護材203の凹部203aに係合する凸部201cを備える。
保護材203は、基板Wの間に隙間を設けるためのスペーサであり、例えば樹脂製である。保護材203のことをスペーサと呼ぶ場合がある。スペーサ203は、基板Wの形状に沿った枠状の部材であり、本実施形態の場合、基板Wが円形であることから、スペーサ203は円環形状を有している。しかし、スペーサ203の形状はこれに限られず、基板W上の保護領域(回路形成部等)を避けた形状であれば、例えば、矩形や多角形であってもよい。スペーサ203の周縁部には、下面側に凹部203a、上面側に凸部203bおよび載置面203cが形成されている。凸部203bは凹部203aと係合する環状突起である。最下段の保護材203の凹部203aは前述した凸部201cに係合され、隣接する保護材203同士においては、下段側の保護材203の凸部203bが上段側の保護材203の凹部203aと係合される。凹部203aと凸部203bの係合によって、スペーサ203をより安定して積層することができる。載置面203cは、基板Wの周縁部が載置される環状の平面である。
このようにして基板W間にスペーサ203を介在させることで、基板Wの回路部分を他の基板Wやスペーサ203に接触させることなく、容器200内に複数の基板Wを積み重ねることができる。
<保護材搬送装置>
図1、図2、図5を参照して保護材搬送装置5について説明する。図5は保護材搬送装置5の概略を示す図であり、外装パネルを取り外した状態を模式的に示している。保護材搬送装置5は保護材であるスペーサ203を搬送する装置である。本実施形態の場合、保護材搬送装置5はスペーサ203を保護材として用いた場合における保護材203の搬送の他、一部の部品の脱着によって、後述するシート状の保護材303も搬送することが可能である。シート状の保護材303のことをシート303と呼ぶ場合がある。
保護材搬送装置5は、複数の柱及び梁から構成されるフレーム50を備え、このフレーム50に各構成が支持されている。フレーム50は、Z方向に長い直方体形状の外形を有しており、その内部空間は、X方向に並んだ棚部5Aとロボット収容部5Bとを有している。
(棚部の構成)
フレーム50は、棚部5Aの内部空間をZ方向に区画する棚部材50a~50cを含み、棚部材50aにより上段の載置部51aが、棚部材50bにより中段の載置部51bが、棚部材50cにより下段の載置部51cが形成されている。載置部51a~51cを上下に配置することで、保護材搬送装置5のフットプリントを小さくすることができる。
各載置部51a~51cには、図1に示すように搬送システム1の正面において、横開き式のドア5a~5cが設けられている。各ドア5a~5cには、アクリルパネルやガラスパネルで形成される透光性を有する窓5a’~5c’が形成されており、各載置部51a~51cは外部から視認可能である。
載置部51a及び51bには、アンパッキング又はパッキングの対象となる容器200が載置される。作業者はドア5a、5bを開放することで、載置部51a及び51bに対して容器200の搬入、搬出が可能である。本実施形態の場合、容器200は、カバー202を取り外した状態で、容器本体部201のみが載置部51a及び51bに載置される。しかし、搬送システム1にカバー取り外し機構を設け、カバー202が装着された容器200を載置部51a及び51bに載置し、カバー202はカバー取り外し機構により、取り外すようにしてもよい。本実施形態の場合、2つの載置部51a及び51bを備えているが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
載置部51cには、アンパッキング又はパッキングの際に、スペーサ203が載置される。つまり、スペーサ203の一時保管場所である。スペーサ203は載置部51cに積載される。ドア5cを開放することで、作業者は載置部51cからスペーサ203を搬出したり、また、載置部51cにスペーサ203を搬入したりすることができる。このような作業は、例えば、スペーサ203の過不足が生じた場合等に行われる。
載置部51a及び51bには、それぞれ容器載置装置52が設けられ、載置部51cには保護材載置装置53が設けられている。以下、容器載置装置52、保護材載置装置53について説明する。なお、以下、容器載置装置52、保護材載置装置53を単に載置装置52、載置装置53と呼ぶ場合がある。まず、載置装置52について説明する。
図6は載置装置52の斜視図、図7は容器本体部201が搭載された載置装置52の斜視図である。載置装置52は、ベースプレート520と、ベースプレート520をY方向に移動可能に支持する一対のガイド部材521とを含む。ガイド部材521は例えばスライドレールである。
ベースプレート520は、Y方向の奥側が開放したC字型の外形を有し、Y方向の手前側にはハンドル520aが設けられている。容器本体部201を載置部51a又は51bに搬入する場合、或いは、載置部51a又は51bから搬出する際、作業者は、ドア5a又は5bを開放し、ハンドル520aを把持して、載置部51a又は51bからベースプレート520を、図6及び図7の位置から、手前に引きだすことができる。このように、載置装置52にスライド機構を設け、保護材搬送装置5に対してベースプレート520ごと出没自在に出し入れできるため、容器本体部201の搬入、搬出作業が容易である。
ベースプレート520には、複数のガイド部材520bが設けられている。これら複数のガイド部材520bの案内により、容器本体部201をベースプレート520上に載置した際、ベースプレート520に対して容器本体部201が大まかに位置決めされ、ガタツキが防止される。
ベースプレート520の開口部分には、昇降テーブル522が設けられている。昇降テーブル522は、その下方に配置された昇降機構523によってZ方向に移動される。昇降テーブル522には、容器本体部201の位置決め用の複数のピン522aが設けられている。ピン522aは、キネマティックカップリングのための係合ピンであり、容器本体部201に設けられた係合部201b(本実施形態の場合、谷型の溝)と係合し、昇降テーブル522に対して正確に容器本体部201を位置決めする。
昇降テーブル522には、センサ522b、522cが設けられている。センサ522bは、容器本体部201が昇降テーブル522上に載置されているか否かを検出するセンサであり、本実施形態の場合、容器本体部201の自重によってON状態となる押しボタン式のスイッチである。センサ522cは後述するアダプタ528の脱着を検知するセンサである。アダプタ528は、後述するシート303を用いたコインスタック容器を用いる場合に装着される部材である。センサ522cは、本実施形態の場合、アダプタ528の自重によってON状態となる押しボタン式のスイッチ(在席センサ)である。
容器本体部201の搬入の際、昇降テーブル522は昇降機構523によってベースプレート520よりも低い退避位置に位置する。作業者がベースプレート520を引き出し、ベースプレート520に容器本体部201を載置した後、ベースプレート520を元の位置へ戻す。その後、昇降テーブル522は昇降機構523によって上昇され、ベースプレート520から容器本体部201を僅かに持ち上げる。この持ち上げの際に、ピン522aが容器本体部201の係合部201bと係合して容器本体部201を位置決めすると共に、容器本体部201が昇降テーブル522上に支持される。なお、センサ522cは容器本体部201が昇降テーブル522上に支持されてもON状態とならないように配置されている。
載置装置52の周辺には、容器本体部201内のスペーサ203及び基板Wの収容状態を検知するセンサ524、526、527がフレーム50に支持されている。
センサ524は、レーザ測位センサであり、本実施形態では2つ設けられている。センサ524はブラケット525aを介してフレーム50に支持される反射ミラー525によりレーザの方向を屈曲させ、狙った位置を検知するようにしている。センサ524は、例えば、容器本体部201上のスペーサ203と基板Wの積層体の高さを検知する。センサ526は、カラーセンサであり、容器本体部201上のスペーサ203と基板Wの積層体の、最上層の部材の種類を判別するために用いられる。センサ527はレーザ測位センサであり、容器本体部201上に積載されるスペーサ203のみの積層体の高さを検知する。
次に、載置装置53について説明する。図8は載置装置53の斜視図である。載置装置53はベースプレート530を備える。ベースプレート530には複数の位置決めピン531が立設されている。本実施形態では、位置決めピン531の数は3つである。
スペーサ203は、3つの位置決めピン531の内側において、ベースプレート530上に積載される。図4(B)はベースプレート530上に積載されたスペーサ203の例を図示している。後述する積層体203Sの内の少なくとも一部のスペーサ203の外周面が位置決めピン531により位置決めされることで、ベースプレート530に対してスペーサ203の積層体が位置決めされる。ベースプレート530には、スペーサ203の内周部と重なる位置に開口部530aが形成されている。位置決めピン531で位置決めするスペーサ203の数は、必ずしも積層体203を構成する全てのスペーサ203である必要はないが、もちろん全てのスペーサ203を位置決めするようにしてもよい。
ベースプレート530には、センサ532が設けられている。センサ532は後述するアダプタ534の脱着を検知するセンサである。アダプタ534は、後述するシート303の積層体を保持するための部材である。センサ532は本実施形態の場合、反射型の光学センサであり、ベースプレート530に設けた開口の下方に配置されている。
載置装置53の周辺には、ベースプレート530上のスペーサ203の積載状態を検知するセンサ533が設けられている。センサ533はレーザ測位センサであり、ベースプレート530に積載されるスペーサ203の積層体の高さを検知する。センサ533はブラケット533aを介してフレーム50に支持される。
(ロボット収容部の構成)
ロボット収容部5Bには、保護材搬送ロボット7が設けられている。保護材搬送ロボット7は、スペーサ203を載置部51a又は51bと、載置部51cとの間で搬送するロボットである。図1、図5、図9を参照して保護材搬送ロボット7について説明する。図9は保護材搬送ロボット7の説明図であり、その斜視図である。以下、保護材搬送ロボット7を単に搬送ロボット7と呼ぶ場合がある。
搬送ロボット7は、保持ユニット70、保持ユニット71及び移動ユニット72を含む。保持ユニット70、71はいずれもスペーサ203を保持するユニットであり、移動ユニット72は、保持ユニット70、71を支持し、これらを載置部51a又は51bと、載置部51cとの間で移動するユニットである。本実施形態の場合、保持ユニット70と保持ユニット71はZ方向に重なるように配置されている。これは、保護材搬送装置5のX方向及びY方向の小型化に寄与する。
移動ユニット72は、保持ユニット70を回動自在に支持する移動ユニット721と、保持ユニット71を回動自在に支持する移動ユニット722と、移動ユニット721及び722を共に移動する移動ユニット720と、を含む。移動ユニット721及び722は、保持ユニット70及び71に個別のユニットであり、移動ユニット720は、保持ユニット70及び71に共通のユニットである。
移動ユニット720は、Z方向に延びる柱部材7200を含む。柱部材7200の側部には、スライダ7202の移動を案内するガイド溝7201が設けられている。ガイド溝7201は、スライダ7202のZ方向の移動を案内する。スライダ7202は、X方向に厚みを有する板状の部材であって、ガイド溝7201に沿って昇降する。駆動ユニット7205はスライダ7202を昇降する駆動機構の特に駆動源を含む。この駆動機構は、モータ等の駆動源と、駆動源の回転駆動をZ方向の直線運動に変換し、スライダ7202に伝達する伝達機構(例えば、ボールねじ機構やベルト伝動機構)を含む。伝達機構の一部は柱部材7200に内蔵される。
スライダ7202には、移動ユニット721を支持するベース部材7203と、移動ユニット722を支持するベース部材7204が固定されている。ベース部材7203、7204はいずれもZ方向に厚みを有する板状の部材であり、スライダ7202に対して垂直にかつ、Z方向に重なるように固定されている。スライダ7202の昇降により、移動ユニット721及び722、つまり、保持ユニット70及び71を共に昇降することができる。
移動ユニット721は、保持ユニット70を水平方向に回動自在に支持するユニットである。移動ユニット721は、アーム部材7210と、アーム部材7210を回動自在に支持する回動支持部7211と、駆動ユニット7212とを含む。アーム部材7210は水平方向に延びる部材であり、その一端に保持ユニット70が支持されており、その他端が回動支持部7211に支持されている。回動支持部7211は、Z方向の回動中心軸Z1回りにアーム部材7210を回動自在に支持する機構であり、アーム部材7210に接続される回転子と、ベース部材7203に固定され、回転子をZ1軸回りに回転自在に支持する支持部とを含む。駆動ユニット7212は、モータ等の駆動源と、駆動源の駆動力を回動支持部7211の回転子へ伝達する伝達機構(例えばベルト伝動機構や歯車機構)とを含む。
移動ユニット722は、保持ユニット71を水平方向に回動自在に支持するユニットである。移動ユニット722は、アーム部材7220と、アーム部材7220を回動自在に支持する回動支持部7221と、駆動ユニット7222とを含む。アーム部材7220は水平方向に延びる部材であり、その一端に保持ユニット71が支持されており、その他端が回動支持部7221に支持されている。
回動支持部7221は、Z方向の回動中心軸Z1回りにアーム部材7220を回動自在に支持する機構であり、アーム部材7220に接続される回転子と、ベース部材7204に固定され、回転子をZ1軸回りに回転自在に支持する支持部とを含む。駆動ユニット7222は、モータ等の駆動源と、駆動源の駆動力を回動支持部7221の回転子へ伝達する伝達機構(例えばベルト伝動機構や歯車機構)とを含む。
本実施形態の場合、移動ユニット721及び722はZ方向にオフセットして配置され、かつ、同軸上の回動中心軸Z1を有している。このため、保護材搬送装置5のX方向及びY方向の省スペース化、小型化が図れる。また、下側に位置する移動ユニット721では、駆動ユニット7212がベース部材7203の下側に配置され、上側に位置する移動ユニット722では、駆動ユニット7222がベース部材704の上側に配置されている。これにより、移動ユニット721及び722をZ方向により近接して配置することができる。
本実施形態の場合、移動ユニット721及び722は、対応する保持ユニット70及び71を独立して90度の範囲で水平方向に回動する。図5は、保持ユニット70及び71が棚部5A内に位置する場合の回動位置を示している。この回動位置を作動位置と呼ぶ。図2は保持ユニット70及び71が作動位置から90度回動して棚部5A外に位置している回動位置を示している。この回動位置を昇降位置と呼ぶ。図2の矢印Dは、保持ユニット70及び71の回動方向を示している。
次に、保持ユニット70、71の構成について説明する。まず、保持ユニット70について説明する。図10は保持ユニット70の説明図であり、アーム部材7210、回動支持部材7211と共に示した保持ユニット70の斜視図である。
保持ユニット70は、Z方向に厚みを有する板状で矩形のベース部材700と、ベース部材700の四隅から放射状に延びる複数の支持部材701とを備える。各支持部材701の先端には吸着部702が支持されている。本実施形態の吸着部702は、不図示の負圧源に接続され、その下端の開口から空気を吸引するノズル部材である。4つの吸着部702は、スペーサ203((本実施形態では上面203d)を吸着するように、スペーサ203と同径の仮想円上に配置されている。4つの吸着部702で、一つのスペーサ203を水平姿勢で保持することができる。なお、吸着部702の数は4つ以外でもよい。また、スペーサ203の保持方式としては、吸着以外の保持方式(例えば、把持等)であってもよい。
次に、保持ユニット71について説明する。図11は保持ユニット71の説明図であり、アーム部材7220、回動支持部材7221と共に示した保持ユニット71の斜視図である。
ここで、本実施形態におけるアーム部材7220の構成について更に説明する。アーム部材7220は、本実施形態の場合、根元側部材7220aと先端側部材7220bとの二部材構成とされており、互いに脱着自在に接続されている。保持ユニット71と先端側部材7220bは、一つの交換ユニットとなるアーム部材を構成している。後述するシート303を用いる場合、このアーム部材を単位として交換する。詳細は後述する。
次に、保持ユニット71は、Z方向に厚みを有する板状で円形のベース部材710と、ベース部材710から三方へ放射状に延びる3つの支持部材711とを備える。ベース部材710は、複数の吊り下げ軸710aを介してアーム部材7220に接続されている。これにより、スペーサ203の積層体を一括して保持する際に、スペーサ203の積層体とアーム部材7220との干渉を回避することができる。
各支持部材711の先端には、変位ユニット712を介して係合部材713が支持されている。変位ユニット712は、係合部材713を、同図において矢印A1で示すようにベース部材710の径方向(支持部材711の長手方向)に拡縮自在に変位させる。係合部材713が径方向外側に変位した位置を係合位置と呼び、内側に変位した位置を退避位置と呼ぶ。本実施形態の場合、変位ユニット712は支持部材711の長手方向に伸縮するエアシリンダである。
係合部材713は、合計で3つ設けられている。3つの係合部材713はベース部材710を中心とした仮想円上で周方向に等間隔(等角度)で設けられている。各係合部材713が係合位置に位置するとき、この仮想円はスペーサ203の内周円に相当し、したがって、3つの係合部材713はスペーサ203の周方向に等間隔で設けられている。
係合部材713は、Z方向に延びる略直方体形状の外形を有する本体部7130を有する。本体部7130の外周部7130aは、スペーサ203の積層体の内周面に沿った曲面を有している。係合部材713は、本体部7130の下端(外周部7130aの下端)に、外側に延設される鍔状の係合部7131を有している。スペーサ203の積層体を一括して保持する際、係合部7131が最下層のスペーサ203に下側から当接し、積層体をすくい上げる。
図12(A)~図13(B)は、保持ユニット71によりスペーサ203の積層体203Sを一括して保持する動作の例を示している。スペーサ203の積層体203Sは、例えば、数十のスペーサ203を図4(B)に示したように積層して形成される。積層体203Sは、載置部51a又は51bにおいて容器本体部201上に載置される場合と、載置装置53のベースプレート530上に載置される場合がある。
保持ユニット71は、図12(A)に示すように、積層体203Sの上方に移動ユニット73によって移動される。このとき、保持ユニット71は作動位置に、保持ユニット70は昇降位置に、それぞれ位置している。保持ユニット71は、各係合部材713が退避位置に位置した状態で、移動ユニット73によって図12(B)に示すように積層体203Sの内部空間に下降される。積層体203Sが容器本体部201上に載置されている場合、係合部7131は、凹部201a(図4(A)参照)に進入する。積層体203Sがベースプレート530上に載置されている場合、係合部7131は、開口部530a(図4(B)、図8参照)に進入する。
図13(A)は保持ユニット71が下降された状態を、積層体203Sの上から見た図である。この状態から図13(B)に示すように、変位ユニット712を駆動し、係合部材713を係合位置へ変位させる。これにより、積層体203Sが、その内側から3つの保持部材713にて保持される。具体的には、積層体203Sの最下層のスペーサ203の下に係合部7131が入り込み、積層体203Sが3つの係合部7131に載置された状態になる。これによって、保持ユニット71が積層体203Sを一括して持ち上げた状態のまま、移動させることが可能となり、積層体203Sが保持された状態となる。
また、本実施形態では、3つの係合部材713の各外周部7130aが積層体203Sの内周面と当接する。これにより、積層体203Sの保持力が向上する。積層体203Sを構成する隣接するスペーサ203は、凸部203bと凹部203aとの係合によって、互いに径方向に変位しづらくなっているが、外周部7130aの高さ(Z方向の高さ)が、積層体203Sの高さの2/3以上、好ましくは3/4以上であると、積層体203Sの全体をより安定して保持することができる。
<制御装置>
図14は搬送システム1の制御装置8のブロック図である。制御装置8は、システム全体の制御を司るホストコントローラ8aと、基板搬送装置2を制御するコントローラ8bと、ロードポート3を制御するコントローラ8cと、アライニング装置4を制御するコントローラ8dと、保護材搬送装置5を制御するコントローラ8eとを含み、これらは互いに通信可能に接続されている。コントローラ8b~8eは、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、センサやアクチュエータとPLCとの間の信号を中継する入出力インタフェースを含む。ホストコントローラ8aは、各コントローラ8b~8eとの通信により、これらの制御を行い、基板Wのアンパッキングやパッキングを実行する。
<制御例>
制御装置8による搬送システム1の制御例を説明する。ここでは、基板Wのアンパッキングとパッキングの例を説明する。まず、アンパッキングの例について説明する。
(アンパッキングの例)
アンパッキングの例について説明する。概説すると、アンパッキングは、載置部51a又は51b上(載置装置52上)の容器本体部201に載置されているスペーサ203及び基板Wの積層体から、スペーサ203と基板Wとを一つずつ交互に取り出す動作である。本実施形態では、保護材搬送ロボット7がスペーサ203を取り出し、載置部51cへ積載する。また、基板搬送ロボット20が基板Wを取り出し、ロードポート3上の容器100へ基板Wを移載する。アンパッキングが進むにつれて載置部51cにはスペーサ203の積層体203Sが形成される。最後に、保護材搬送ロボット7が積層体203Sを載置部51a又は51b上の容器本体部201に一括して搬送する。この一括搬送によって、アンパッキングの効率化を図れる。
図15(A)~図22を参照して、アンパッキングの例について具体的に説明する。ここでは、載置部51a上(載置装置52上)の容器本体部201に載置されているスペーサ203及び基板Wの積層体をアンパッキングの対象とする。しかし、載置部51b上の容器本体部201に載置されているスペーサ203及び基板Wの積層体をアンパッキングの対象とする場合も同様の手順である。
図15(A)及び図15(B)は保護材搬送ロボット7が、スペーサ203及び基板Wの積層体から最上層のスペーサ203を取り出す工程を示している。図15(A)の段階では、保護材搬送ロボット7の保持ユニット70及び71は昇降位置に位置している。
まず、図15(B)に示すように保護材搬送ロボット7を作動させ、保持ユニット70を作動位置へ回動させ、最上層のスペーサ203上に位置させる。次に、保持ユニット70を下降させて最上層のスペーサ203を保持した後、保持ユニット70を上昇させるとともに回動させて図16(A)に示すように保持ユニット70を昇降位置に戻す。なお、保持ユニット70の昇降の際には保持ユニット71も共に昇降する。
この動作に続いて、基板搬送ロボット20は水平多関節機構21を伸展してハンド21aを基板W上に位置させ、ベースユニット22により水平多関節機構21を降下し、ハンド21aで基板Wを吸着する。その後、ベースユニット22により水平多関節機構21を上昇し、水平多関節機構21を屈曲させて、基板Wを取り出す。続いて、ハンド21aを180°回転させ基板Wを反転させた後、基板搬送ロボット20を図16(B)に示すようにロードポート3に正対する位置まで走行させる。その後、基板搬送ロボット20を作動させ、水平多関節機構21を伸展させるとともに、ハンド21aをロードポート3上の容器100内まで伸ばし、容器100内に基板Wを移載する。容器100の蓋はロードポート3によって予め開放されている。
基板搬送ロボット20の動作に並行して、スペーサ203を保持した保持ユニット70は図17に示すように載置部51cの高さまで下降される。そして、図18に示すように保持ユニット70が作動位置に回動され、保持ユニット70が更に下降される。その際、保持ユニット71は昇降位置のままである。その後、保持ユニット70によるスペーサ203の保持が解除され、スペーサ203が載置部51c上(載置装置53上)に移載される。その後、保持ユニット70は再び昇降位置に回動される。
更に保護材搬送ロボット7を上昇させ、載置部51aの高さに位置させる。そして、基板搬送ロボット20の走行開始とともに、次のスペーサ203の吸着、移載が行われる。
以降、同様の手順によって、スペーサ203は保護材搬送ロボット7により載置部51c上に移載され、基板Wは基板搬送ロボット20により容器100へ移載される。載置部51a上の全ての基板W及びスペーサ203が取り出されると、載置部51c上には図19に示すようにスペーサ203の積層体203Sが形成される。この積層体203Sは保護材搬送ロボット7により載置部51a上の容器本体部201上に戻される。
まず、図20に示すように、保持ユニット71を下降させるとともに作動位置に回動させ、保持ユニット71を積層体203Sの上方に位置させる。保持ユニット70は昇降位置のままである。図21に示すように保持ユニット71を積層体203Sの内側に下降させ、積層体203Sを保持ユニット71にて保持する。続いて、保持ユニット71に保持された積層体203Sを載置部51a上の容器本体部201へ一括して搬送する。具体的には、保持ユニット71の上昇、昇降位置への回動、載置部51aの高さへの上昇、作動位置への回動が行われ、図22に示すように容器本体部201の上方に保持ユニット71及び積層体203Sが移動される。保持ユニット71を容器本体部201内に下降させるとともに積層体203Sの保持を解除することで積層体203Sが容器本体部201に移載される。
以上により、アンパッキングの際の動作が完了する。なお、本実施形態では、図21、図22に示した積層体203Sの一括搬送の際、全てのスペーサ203を一括して搬送したが、複数回に分けて一括搬送してもよい。例えば、全部で26個のスペーサ203からなる積層体203Sを容器本体部201へ戻す場合、まず半分(13個)のスペーサ203からなる積層体203Sを搬送し、その後、残りの半分のスペーサ203からなる積層体203Sを搬送しても構わない。この場合も、スペーサ203を一個ずつ搬送する場合よりも、搬送効率を高められる。
また、本実施形態では、アンパッキングの際、容器本体部201上から載置部51cへ全てのスペーサ203を搬送したが、容器本体部201に一個のスペーサ203を残しておいてもよい。何故なら、本実施形態では載置部51c上のスペーサ203を容器本体部201へ戻すところ、容器本体部201の最下層のスペーサ203は、その下に基板Wが存在せず、載置部51cへ搬送する必要性が必ずしもないからである。容器本体部201の最下層のスペーサ203を載置部51cへ搬送しないでおくことで、アンパッキング後にパッキングを行うときにおいて、1個のスペーサ203を載置部51cから載置部51aへ移載する手間が省け、タクトタイムの低減を図ることができる。
(パッキングの例)
パッキングの例について説明する。概説すると、パッキングは、アンパッキングの逆の動作であり、載置部51a又は51b上(載置装置52上)の容器本体部201に、スペーサ203と基板Wとを一つずつ交互に積載する動作である。本実施形態では、まず、保護材搬送ロボット7が、載置部51aにおける容器本体部201からスペーサ203の積層体203Sを、載置部51c上へ一括して搬送する。この一括搬送によって、パッキングの効率化を図ることができる。次に、保護材搬送ロボット7が載置部51c上の積層体203Sからスペーサ203を一つ取り出し、容器本体部201に移載する。
基板搬送ロボット20がロードポート3上の容器100から基板Wを取り出し、アライナ40へ、取り出した基板Wを受け渡す。基板Wはアライナ40によってセンタリングされる。センタリングされた基板Wは、基板搬送ロボット20によってアライナ40から取り出され、容器本体部201に移載される。容器本体部201へのスペーサ203の移載と基板Wの移載とが交互に繰り返し行われて、容器本体部201にスペーサ203と基板Wの積層体が形成される。
図23(A)~図27を参照して、パッキングの例について具体的に説明する。ここでは、載置部51a上(載置装置52上)の容器本体部201に、スペーサ203及び基板Wの積層体を形成することを説明する。しかし、載置部51b上の容器本体部201にスペーサ203及び基板Wの積層体を形成する場合も同様の手順である。
容器本体部201上のスペーサ203の積層体203Sを載置部51cに移載した後、載置部51c上の積層体203Sからスペーサ203を一つ取り出し、容器本体部201に移載する作業を行う。図23に示すように、積層体203S上に保持ユニット71が位置するよう、保持ユニット71が作動位置に回動される。このとき、保持ユニット70は昇降位置のままである。保持ユニット71を積層体203S内に下降させるとともに、変位ユニット712を駆動させて係合部材713を係合位置に伸長させる。これにより、各支持部材711により積層体203Sが保持される。その後、保持ユニット71を上昇して図23(B)に示すように保持ユニット71を昇降位置へ回動する。並行して、基板搬送ロボット20がロードポート3上の容器100から基板Wを取り出す準備を行う。
続いて、保持ユニット71が載置部51cの高さまで下降され、作業位置へ回動される。その後、図24に示すように保持ユニット71がベースプレート530における各位置決めピン531の内側に下降される。その後、保持ユニット71による積層体203Sの保持が解除され、積層体203Sが載置部51c上に移載される。このようにして積層体203Sが一括搬送される。
続いて保持ユニット70によってスペーサ203を一つ保持する動作に移る。保持ユニット71を一旦積層体203Sの上方へ上昇させた後、保持ユニット71は昇降位置へ回動させ、保持ユニット70は作動位置へ回動させる。更に、図25に示すように、保持ユニット70をベースプレート530における各位置決めピン531の内側に下降させるとともに吸着を行い、積層体203Sの最上層のスペーサ203が保持ユニット71で保持される。その後、保持ユニット70を上昇させることで、最上段のスペーサ203が1個だけ保持される。
保持ユニット70が昇降位置に回動された後、図26に示すように、保持ユニット70が容器本体部201の高さまで上昇される。図27(A)に示すように、保持ユニット70が作動位置へ回動され、更に、下降されることで容器本体部201上にスペーサ203が移載される。並行して、基板搬送ロボット20がロードポート3上の容器100から基板Wを取り出す。そして、アライナ40へ、取り出した基板Wを受け渡す。基板Wはアライナ40によってセンタリングされる。センタリングされた基板Wは、基板搬送ロボット20によってアライナ40から取り出され、図27(B)に示すように、基板搬送ロボット20が容器本体部201に載置されているスペーサ203上に基板Wを移載する。
以降、同様の手順によって、スペーサ203は保護材搬送ロボット7により載置部51cから容器本体部201へ移載され、基板Wは基板搬送ロボット20により容器100からアライナ40を経由して容器本体部201へ移載されて、容器本体部201にスペーサ203と基板Wの積層体が形成される。本実施形態では、この後、作業者が容器本体部201を保護材搬送装置5から取り出し、カバー202を容器本体部201に装着することで、コインスタック容器200のパッキングが完了となる。しかし、特にこの実施形態に限定するものではなく、保護材搬送装置5自体に、カバー202を容器本体部201に自動装着する機構を設けてもよい。この場合、パッキングが完了したコインスタック容器200が保護材搬送装置5から取り出される。
なお、アンパッキングの場合と同様、図23(A)~図24に示した積層体203Sの一括搬送においては、全てのスペーサ203を一括して搬送せずに、複数回に分けて一括搬送してもよい。また、この一括搬送の際、容器本体部201上から載置部51cへ全てのスペーサ203を搬送せず、容器本体部201に一つのスペーサ203を残しておいてもよい。
<接触式コインスタック容器>
本実施形態の保護材搬送装置5は、上述した非接触式のコインスタック容器200以外に、接触式のコインスタック容器にも対応可能となっている。図28は接触式のコインスタック容器である容器300の説明図であり、その断面図である。容器300は、容器本体部301と容器本体部301の蓋となるカバー302とを含む中空体である。保護材であるシート303と基板Wとが交互に積層された積層体が容器300内に収容される。この積層体は容器本体部301上に載置されており、容器本体部201の周壁によって径方向への移動が規制されている。容器300の底部と天部にはクッション304が設けられている。
シート303は、隣接する基板Wに全面的に接触するスペーサであり、例えば、紙製である。シート303は、基板Wの形状に沿って円形状を有しており、かつ、基板Wよりも直径が大きい。
<シートへの対応>
保護材搬送装置5は、容器300のアンパッキング、パッキングを行う際に、一部の部品を交換或いは脱着することで、シート303や容器300に対応することができる。
(保持ユニットの交換)
シート303に対応する場合、保持ユニット71をシート303の保持に対応した保持ユニット74に交換する。図29は保持ユニット71の交換構造の説明図であり、図30は保持ユニット74の説明図である。なお、保持ユニット70はシート303の搬送には用いない。このため、シート303の搬送の際、保持ユニット70は特に取り外す必要は無いが、取り外し可能に構成しておき、取り外すようにしてもよい。
本実施形態におけるアーム部材7220は、既に述べた通り、根元側部材7220aと先端側部材7220bとの二部材構成とされており、互いに脱着自在に接続されている。図29は、根元側部材7220aと先端側部材7220bとを分離した状態を示している。根元側部材7220aには位置決め部7220cが形成されている。本実施形態の場合、位置決め部7220cは凹部状に形成されており、その内周壁と底壁とに、先端側部材7220bの端部7220eを嵌め合わせることで、根元側部材7220aと先端側部材7220bとが位置決めされる。端部7220eは位置決め部7220cの形状に合致する形状を有している。位置決め部7220cにはねじ穴が形成されていて、複数のボルトVによって根元側部材7220aと先端側部材7220bとが固定される。
保持ユニット74について説明する。保持ユニット74は、Z方向に厚みを有する板状で矩形のベース部材740と、ベース部材740から放射状に延びる複数の支持部材741とを備える。本実施形態の場合、支持部材741は6つ設けられている。各支持部材741の先端には吸着部742が支持されている。本実施形態の吸着部742は、不図示の負圧源に接続され、その下端の開口から空気を吸引するノズル部材である。6つの吸着部742は、シート303の上面を吸着するように、シート303よりも小径の仮想円上に配置されている。なお、吸着部742の数は6つ以外でもよい。また、シート303の保持方式としては、吸着以外の保持方式(例えば、ベルヌーイ効果やコアンダ効果を利用したチャック等)であってもよい。
保持ユニット74が取り付けられる先端部材7220b’は、クランク形状を有している。先端部材7220b’の端部7220e’は位置決め部7220cに合致する形状を有しており、先端側部材7220bと同様、複数のボルトVによって根元側部材7220aと先端側部材7220b’とが固定される。
保持ユニット71は先端部材7220bと一体のアーム部材として一つの交換ユニットを構成している。また、保持ユニット74は先端部材7220b’と一体のアーム部材として一つの交換ユニットを構成している。
保持ユニット71が取り付けられる先端部材7220b及び保持ユニット74が取り付けられる先端部材7220b’には、それぞれ、センサ7223、7223’とセンサ7223、7223’の信号線が接続される中継コネクタ7224とが設けられている。センサ7223、7223’は、ブラケット7223a、7223aを介して先端側部材7220b、7220b’に支持されている。センサ7223、7223’は、根元側部材7220aと先端側部材7220b又は7220b’とが接続されているか否か、つまり、保持ユニット71又は保持ユニット74が装着されているか否かを検知するセンサである。本実施形態の場合、センサ7223、7223’は、根元側部材7220aに設けた被検知片7220dを検知する光センサ(フォトインタラプタ)である。
中継コネクタ7224は、センサ7223、7223’を含む各種センサ部品の信号線が接続される複数の接続部C1と、中継コネクタ7224とコントローラ8eとを電気的に接続するハーネスが接続される接続部C2とを含む。各接続部C1の各端子と、接続部C2の各端子とは内部で電気的に接続されている。接続部C1は、保持ユニット71の装着を検知するセンサ7223の信号線が接続される接続部と、保持ユニット74の装着を検知するセンサ7223’の信号線が接続される接続部とを含み、各センサ7223、7223’の検知結果は、接続部C2の異なる端子からコントローラ8eへ出力される。
(容器のアダプタ)
容器300をアンパッキング、パッキングの対象とする場合、容器本体部301をアダプタ528を介して載置装置52に載置する。アダプタ528は載置装置52の昇降テーブル522に装着される。図31は載置装置52の昇降テーブル522とアダプタ528の斜視図である。
アダプタ528は全体として矩形の板状の部材である。アダプタ528の底面にはピン522aと係合する係合部(不図示)が形成されており、この係合部とピン522aとの係合によってアダプタ528が位置決めされる。アダプタ528の上面には、容器本体部301をアダプタ528に位置決めする複数の位置決め部材528aが設けられている。
また、アダプタ528には、複数のセンサドグ528bが設けられている。センサドグ528bはZ方向に移動可能に支持されており、かつ、アダプタ528をZ方向に貫通している。センサドグ528bは、昇降テーブル522のセンサ522bに対応する位置に配置されている。アダプタ528上に容器本体部301が載置されると、容器本体部301の自重によってセンサドグ528bが下方へ押し出され、センサ522bがON状態となる。つまり、センサドグ528bを介して、センサ522bが、アダプタ528上に容器本体部301が載置されているか否かを検出することができる。昇降テーブル522に対するアダプタ528の装着はセンサ522cによって検知される。
(シートのアダプタ)
本実施形態の場合、シート303は再利用せず、アンパッキングの際に廃棄する。パッキングの際には、シート303を新たに供給する。このため、載置装置53には、シート303のマガジンとなるアダプタ534を装着する。図32は載置装置53とアダプタ534の斜視図である。
アダプタ534は、シート303の積層体が載置されるベースプレート534aと、ベースプレート534aに立設され、シート303の積層体を外側からガイドする複数のガイド部材534bとを備える。ベースプレート534aには、載置装置53の位置決めピン531と係合するとともに干渉を防ぐための切欠き534a'が形成されており、アダプタ534は位置決めピン531によって載置装置53に対して位置決めされる。アダプタ534の装着はセンサ532によって検知される。
(コントローラの入力ポート)
後述するように、本実施形態では、保持ユニット70、74の装着、アダプタ528、534の脱着を自動判定する。そのため、コントローラ8eの入力ポートには、これらの検知結果が入力されるポートが割り当てられている。図33は入力ポートの説明図である。
図33の例では、入力ポートP1~P5を例示している。例えば、入力ポートP1はセンサ7223の検知結果が入力されるポートであり、入力ポートP2はセンサ7223’の検知結果が入力されるポートであり、入力ポートP3、P4は載置部51a、51bの各センサ522cの検知結果が入力されるポートであり、入力ポートP5はセンサ532の検知結果が入力されるポートである。
(アンパッキングとパッキング)
容器300のアンパッキング、パッキングについて説明する。まず、アンパッキングについて説明する。
容器300のアンパッキングは、容器200のアンパッキングと基本的に同じである。つまり、アンパッキングは、載置部51a又は51b上(載置装置52上)の容器本体部301に載置されているシート303及び基板Wの積層体から、シート303と基板Wとを一つずつ交互に取り出す動作である。但し、シート303は再利用せずに廃棄する。この動作を図34、図35を参照して説明する。
図34は、載置部51a上の容器本体部301からシート303を取り出す動作を示している。容器本体部301はアダプタ528を介して載置装置52上に載置されている。保護材搬送ロボット7には、保持ユニット71に代えて保持ユニット74が装着されている。容器本体部301からシート303を取り出す際、保持ユニット74は移動ユニット72によって作動位置に回動されて容器本体部301の上方に位置した後、下降されて最上層のシート303を吸着保持する。
続いて保持ユニット74は図34に示すように上昇されて、保持しているシート303を廃棄する動作に移る。シート303は、作業者により予め搬送システム1内に設置される廃棄箱90へ投入される。廃棄箱90の上側には、投入されるシート303を廃棄箱90へ案内する案内板(シュート)91が作業者により予め設置されている。
図34の状態から、シート303を保持した保持ユニット74は、移動ユニット72によって昇降位置に回動された後、下降される。図35に示すように、保持ユニット70を作業位置に回動して、保持ユニット74の下方空間を開放した後、保持ユニット74がシート303の保持を解除する。シート303は案内板91上に自然落下し、廃棄箱90に回収される。
次に、パッキングについて説明する。容器300のパッキングも、容器200のパッキングと基本的に同じである。つまり、パッキングは、載置部51a又は51b上(載置装置52上)の容器本体部301に、シート303と基板Wとを一つずつ交互に積載する動作である。但し、シート303は新しいシートを供給する。この動作を図36を参照して説明する。
載置装置53にはアダプタ534を介して新規のシート303の積層体303Sが準備されている。保護材搬送ロボット7には、保持ユニット74によって、積層体303Sから最上層のシート303を取り出し、容器本体部301へ搬送する。保持ユニット74は移動ユニット72によって作動位置に回動されて積層体303Sの上方に位置した後、下降されて最上層のシート303を吸着保持する。続いて保持ユニット74は図36に示すように上昇されて、保持しているシート303を容器本体部301へ搬送する動作に移る。シート303の容器本体部301への搬送はスペーサ203の搬送の場合と同様である。
以上により、本実施形態によれば、接触式及び非接触式の各コインスタック容器に対応して、アンパッキング/パッキングを行うことができる。
<部品の整合性の自動判定>
上記の通り、本実施形態の保護材搬送装置5では、一部の部品の交換、脱着により接触式及び非接触式の各コインスタック容器に対応可能である。部品の交換、脱着は作業者が行うため、使用するコインスタック容器の種類(換言すると保護材の種類)と、部品が整合していないと、アンパッキング/パッキングの動作が適切に行われない。そこで、本実施形態では部品の整合性を自動判定する。図37はその処理例を示すフローチャートであり、保護材搬送装置5を制御するコントローラ8eが実行する処理例を示している。
図37は、保護材搬送装置5の動作モードを作業者が事前設定する処理例を示している。S1では動作モードの設定を受け付ける。設定方法はどのような方法でもよいが、本実施形態では、情報表示装置6に動作モードの種類を表示し、作業者が選択可能としている。図37にはその表示例も図示されている。図示の例では、4種類の動作モードが示されている。
「リング:パッキング」は、非接触式のコインスタック容器200に対するパッキングを行う動作モードであり、保護材の種類はスペーサ203である。「リング:アンパッキング」は、非接触式のコインスタック容器200に対するアンパッキングを行う動作モードであり、保護材の種類はスペーサ203である。「シート:パッキング」は、接触式のコインスタック容器300に対するパッキングを行う動作モードであり、保護材の種類はシート303である。「シート:アンパッキング」は、接触式のコインスタック容器300に対するアンパッキングを行う動作モードであり、保護材の種類はシート303である。
作業者がいずれかの動作モードを選択すると、S2で装着判定を行う。ここでは、保護材の種類に対応した、保護材搬送ロボット7、載置部51a~51cの構成部品の脱着を判定する。具体的には、保護材搬送ロボット7については、保持ユニット71と保持ユニット74のどちらが装着されているかを判定する。載置部51a、51bについてはアダプタ528の脱着を判定する。載置部51cについてはアダプタ534の脱着を判定する。これらの判定は、入力ポートP1~P5に入力される各センサ7223、7223’、522c、522c、532の検知結果から行うことができる。
S3では、S1で選択された動作モードとS2の装着判定の結果とを照合してその整合性を判定する。各動作モードと、正常な部品の状態の関係は以下の通りである。
○「リング:パッキング」
保持ユニット71を装着、アダプタ528、534を非装着
○「リング:アンパッキング」
保持ユニット71を装着、アダプタ528、534を非装着
○「シート:パッキング」
保持ユニット74を装着、アダプタ528、534を装着
○「シート:アンパッキング」
保持ユニット74を装着、アダプタ528、534を装着
なお、「シート:アンパッキング」モードにおいては、アダプタ534の脱着は不問としてもよい。
S4ではS3の整合性判定の結果が整合であるか否かにより、その後の処理を分岐する。整合している場合はS5へ進み、選択された動作モードでの保護材搬送装置5の動作が許可される。その後、作業者の動作開始指示により、選択された動作モードでの搬送動作等が開始される。整合していない場合はS6へ進み、作業者に部品の脱着に誤りがあることが報知されると共に、選択された動作モードでの保護材搬送装置5の動作が禁止される。報知は、例えば、表示や音声で行うことができる。表示の場合、情報表示装置6に表示してもよい。
以上の処理により、コインスタック容器及び保護材の種類に対応しつつ、動作モードに対応した部品の取り違えを防止できる。なお、本実施形態では、シート303を使用する場合に、アダプタ528、534を使用するようにしており、デフォルトの保護材の種類はスペーサ203とした。しかし、デフォルトの保護材をシート303とし、スペーサ203、つまり、非接触式のコインスタック容器のアンパッキング/パッキングを行う場合にアダプタを装着する構成であってもよい。
また、図37の例では、選択された動作モードの種類と、部品の脱着との間の整合性を判定するようにしたが、部品間の整合性を判定するようにしてもよい。図38はその処理例を示すフローチャートであり、コントローラ8eが実行する処理例である。
S11では予め定めた判定タイミングか否かを判定する。判定タイミングは、例えば、アンパッキングやパッキングの動作開始指示があった場合や、システムの起動時等である。
S12では装着判定を行う。図37のS2と同じ処理である。S13では部品間の整合性判定を行う。ここでは、例えば、以下の組合せを整合しているとする。
○保持ユニット71を装着、アダプタ528、534を非装着
○保持ユニット74を装着、アダプタ528、534を装着
例えば、保持ユニット71の装着が検知され、アダプタ528の装着も検知された場合は、整合していないと判定される。また、例えば、保持ユニット74の装着が検知され、アダプタ528の装着が検知されない場合は、整合しないと判定される。
S14ではS13の整合性判定の結果が整合であるか否かにより、その後の処理を分岐する。整合している場合はS15へ進み、保護材搬送装置5の動作を許可する。整合していない場合はS16へ進み、図37のS6と同様の処理を行う。
<搬送システムの他のレイアウトの例>
(保持ユニットと移動ユニット)
上記実施形態では、保持ユニット70と保持ユニット71とで、これらを上下に移動する移動ユニット720を共通とした保護材搬送装置5を例示したが、移動ユニット720を保持ユニット70、71に個別に設けることも可能である。図39はその一例を示す。図39の例は棚部5AのX方向の両側にロボット収容部5Bをそれぞれ配置している。
2つのロボット収容部5Bの一方には、保持ユニット70と、その回動を行う移動ユニット721と、移動ユニット721の上下の移動を行う移動ユニット720とが設けられており、他方には保持ユニット71と、その回動を行う移動ユニット722と、移動ユニット722の上下の移動を行う移動ユニット720とが設けられている。この例では、移動ユニット70、71を独立して回動するだけでなく、独立して昇降することができる。そして、保持ユニット70、71が共通の棚部5A内のスペーサ203にアクセスすることができる。
(載置部の配置)
上記実施形態では、載置部51a及び51bに対して、載置部51cを下方に配置したが、載置部51cを載置部51a、51bの上方に配置してもよい。また、載置部51cを載置部51aと載置部51bとの間に配置してもよい。
また、載置部51cを、載置部51a、51bに対して、横方向にオフセットして配置してもよい。図40、図41はその一例を示す。
図40は、載置部51cを、保持ユニット70、71の回動範囲内で、載置部51a、51bに対して横方向にオフセットした例を示しており、載置部51cの配置は破線で図示されている。載置部51cの、載置部51a、51bに対する上下方向のオフセットについては、一方の載置部51a、51bと同じ高さに載置部51cを配置してもよいし、いずれの載置部51a、51bと異なる高さに載置部51cを配置してもよい。
二点鎖線で図示する載置部51cは、保持ユニット70、71の昇降位置における上下の移動軌道上にある。しかし、載置部51cの横方向の配置はこれに限られない。例えば、回動中心軸Z1回りの保持ユニット70、71の回動可能範囲を一点鎖線で示す軌道Rとすると、軌道R上の任意の位置を適宜選択でき、選択した位置に対応して周辺の構成を設計すればよい。この場合も、載置部51cの、載置部51a、51bに対する上下方向のオフセットについては、一方の載置部51a、51bと同じ高さに載置部51cを配置してもよいし、いずれの載置部51a、51bと異なる高さに載置部51cを配置してもよい。
図41の例は、載置部51a~51cを同じ高さで横並びに配置した例を示している。図示の例では、載置部51a~51cをX方向に横並びに配置し、載置部51aと載置部51bとの間に、載置部51cを配置している。しかし、載置部51a~51cの配置方向や配置順序はこれに限られない。
図41の例では、保護材搬送ロボット7がX方向に往復できる構成(移動ユニット723)を更に備えている。移動ユニット723は、X方向に延びるレール状の一対の案内部材723aに沿ってX方向に移動する走行体である。移動ユニット723の駆動機構は、モータ等の駆動機構と、ボールねじ機構やベルト伝動機構等の駆動力伝達機構とから構成することができる。
移動ユニット720は移動ユニット723に搭載されており、また、移動ユニット721、722は移動ユニット720によって昇降される。したがって、保持ユニット70、71は、移動ユニット721、722による回動と、移動ユニット720による昇降と、移動ユニット723によるX方向の水平移動と、が可能である。図41における保持ユニット70、71の位置は、上記実施形態の昇降位置に相当し、一対の案内部材723aの上方の位置である。図41の例における保持ユニット70、71の作動位置は、図41に図示の位置から90度反時計回りに回動した、載置部51a、51b又は51cの上方の位置である。
図40や図41に図示したレイアウトにおいても、上記実施形態と同様に、アンパッキング、パッキングを行うことができる。