JP7174199B1 - ポリイミド、樹脂組成物、ポリイミドフィルム、及び、その製造方法 - Google Patents

ポリイミド、樹脂組成物、ポリイミドフィルム、及び、その製造方法 Download PDF

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Abstract

下記一般式(1)で示される構造単位Lを含み、かつ一般式(1)中のX2として下記一般式(A-1)で表される構造を有するポリアミド酸-イミド共重合体と、有機溶剤と、ピリジン、トリエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール及びN-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)から成る群から選択される少なくとも一つのイミド化触媒とを含む樹脂組成物が提供される:JPEG0007174199000102.jpg3776{式中、X1~X4、n、m、l、R1~R2、a~b及び*は、明細書で定義されるとおりである}。

Description

本発明は、例えば、フレキシブルデバイスのための基板の製造に用いられる、ポリアミド酸-イミドおよびそれを含む樹脂組成物、ポリイミド樹脂膜、樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
一般に、高耐熱性が要求される用途には、樹脂フィルムとしてポリイミド樹脂のフィルムが用いられる。一般的なポリイミド樹脂は、芳香族カルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを溶液重合することによりポリイミド前駆体を製造した後、これを高温で熱イミド化して、又は、触媒を用いて化学イミド化して、製造される高耐熱樹脂である。
ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超耐熱性樹脂であり、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐低温性、耐薬品性等に優れた特性を有している。このため、ポリイミド樹脂は、電子材料を含む広範囲な分野で用いられている。電子材料分野におけるポリイミド樹脂の適用例としては、例えば絶縁コーティング材、絶縁膜、半導体、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の電極保護膜等を挙げることができる。最近は、ディスプレイ材料の分野において従来使用されていたガラス基板に代わり、その軽さ、柔軟性を利用したフレキシブル基板としてもポリイミド樹脂の採用が検討されている。
ポリイミド樹脂を、フレキシブル基板として用いる場合には、例えばガラス基板等の適当な支持体上に、ポリイミド樹脂又はその前駆体、及びその他の成分を含有するワニスを塗布、乾燥させてフィルムとして形成し、該フィルムに素子、回路等を形成した後に、ガラス基板からフィルムを剥離する工程が広く用いられている。しかしながら、ポリイミド樹脂を有する積層体を製造するときには、ポリイミド前駆体の乾燥及びイミド化のために、250℃以上の高温における加熱処理を有する。この加熱処理により、上記積層体に残留応力が発生し、反り、剥離等の深刻な問題が生じる。これは、上記支持体を構成する材料と比べ、ポリイミドの線膨張係数が大きいためである。
上記積層体における残留応力を低減させるため、熱膨張係数がガラスと同程度まで小さいポリイミド樹脂を用いることが検討されており、熱膨張係数の小さいポリイミド材料としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAとも記す)とパラフェニレンジアミンとから形成されるポリイミドが最もよく知られている。膜厚及び作製条件に依存するものの、このポリイミドは、非常に低い線熱膨張係数を示すことが報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、上記の文献に記載されたポリイミドを含め、一般的なポリイミド樹脂は、高い電子密度により茶色又は黄色に着色するため、可視光線領域における光透過率が低く、したがって透明性が要求される分野に用いるのに十分に低い黄色度(YI値)を達成することは困難であった。また、線膨張係数の低いポリイミドは、一般的に分子の配向性が高いために積層体に濁り及び曇りが発生し易く、透過率を悪化させる原因となることが知られている(特許文献2)。
一般的に黄色度(YI値)については、例えばトリフルオロメチル基を有するジアミンを用いた溶媒可溶性のポリイミド、又は脂環式のテトラカルボン酸二無水物もしくはジアミンを用いたポリイミドが、極めて低い黄色度(YI値)および残留応力を示すことが知られている(特許文献3および特許文献4)。
国際公開第2005/113647号 特許第6443579号公報 国際公開第2019/211972号 国際公開第2020/138360号 特許第4303623号公報 特許第5595381号公報 特許第6073528号公報 特開昭63-101424号公報 特開昭63-110219号公報
「最新ポリイミド -基礎と応用-」、日本ポリイミド研究会編
上述したように、ポリイミド樹脂を無色透明フレキシブル基板として適用するためには、優れた熱特性および透明性という、相反する特性の両立が求められる。特に最近では、TFTのデバイスタイプがLTPS(低温ポリシリコン)になることに伴い、従来の水準以上の熱履歴においても、透明性に優れるポリイミド樹脂の開発が望まれている。
一般的なポリイミドである、特許文献1に記載されたポリイミド樹脂は、低い線熱膨張係数を示したものの、400℃以上のLTPS工程で使用するには透明性が十分ではない。また、特許文献2に記載されたポリイミドは、特定のテトラカルボン酸二無水物とジアミンを用いることで線膨張係数(以下、「CTE」とも記す。)及び透明性に優れることが報告されているが、400℃以上の加熱において積層体に濁り及び曇りが生じ、透明基板として使用するには曇り度(以下、「HAZE値」とも記す)が十分ではない。
さらに、公知の技術思想として、透明性を達成するためには、特許文献3に記載されているように、芳香環を持たない脂環式の酸二無水物、若しくはジアミンを用いること、又は、嵩高く分子内のねじれを誘起する官能基を持つジアミン(例えば、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、以下TFMBとも記す)を用いることで、分子内電荷移動(CT)遷移を抑制する方法が知られている。しかしながら、これら透明性に優れるポリイミドは、ポリアミド酸の状態では耐熱性および熱特性が不十分で、高い透明性を得るため、溶液重合時にイミド化を完了した溶媒可溶性のポリイミド樹脂とする必要があるが、これらのポリイミドは、フィルムとした時の線膨張係数が大きく、430℃以上の高温領域での熱安定性に乏しく、溶媒への溶解性も十分とは言えなかった。
これら相反する性能である熱特性と透明性を両立するため、ポリイミドとポリアミド酸の混合もしくは、共重合化が検討されているが、これらの樹脂同士は単純に混合させても成形加工時に相分離を起こすことが知られており、透明基板としては適切ではなかった(特許文献5)。これは、耐熱性を有するポリイミドは平面性が高く、剛直な骨格を有するため、屈曲基を有する溶解可溶性のポリイミドとはフィルム化時に相溶し難く、相分離してしまうことが原因である。
特許文献4では、分子内に部分的にイミド構造とアミド構造を共存させることにより、保存安定性と成型加工性が改善できることが開示されている。しかしながら、本発明者らが確認したところ、特許文献4に記載されたポリアミド酸-イミド樹脂組成物は、耐熱性に乏しく、LTPS工程の430℃以上の熱履歴では黄色度(YI値)および曇り度(HAZE)が著しく悪化することが分かった。この主たる原因は、ポリイミド及びポリアミド酸のモノマー骨格が共通していることに由来し、ポリイミドとポリアミド酸において共通するモノマー骨格の割合が多いほど、相分離によるHazeの発生は抑制できる一方で、熱特性および透明性という、相反する特性の両立を達成することは困難であった。
また、特許文献6では、分子内に部分的にイミド構造とアミド酸構造を共存させ、脂環式のジアミンを用いることで折曲体制と透明性を改善できることが開示されている。しかしながら、本発明者らが確認したところ、特許文献6に記載されたブロックポリイミドは、LTPS工程の430℃以上の熱履歴では黄色度(YI値)および曇り度(HAZE)が著しく悪化することが分かった。この主たる原因は、ジアミンとして脂環式のジアミンを用いていることに由来し、脂環式のジアミンは、折曲耐性に優れる一方で、430℃以上の熱履歴では脂環式が分解してしまい、耐熱性及び折曲耐性の両立を達成することは困難であった。
さらに、上記の特許文献7~9に記載されたポリイミドを含め、一般的なポリイミド樹脂は、高い電子密度により茶色又は黄色に着色するため、可視光線領域における光透過率が低く、したがって透明性が要求される分野に用いることは困難であった。
また、従来の樹脂組成物を用いてポリイミド樹脂膜を形成する場合に、キュア工程(400℃程度まで加熱)において、樹脂組成物の流動性が十分ではなく、得られるポリイミド樹脂膜は、膜厚の面内均一性が不十分であることが分かった。
このように、従来のポリイミド樹脂膜では、ディスプレイ用の無色透明基板として用いるのに求められる特性、例えば、膜厚の面内均一性、黄色度(YI値)が十分ではなかった。
本発明は、このような状況を鑑みて、上記の課題を解決するために為されたものであり、芳香族エステルジアミンを主成分として用いた熱特性に優れるポリアミド酸と透明性に優れるポリイミドとをブロック共重合することにより、透明性と耐熱性とを両立したポリアミド酸-イミド共重合体樹脂組成物、または折曲耐性及び透明性に優れるポリイミドと耐熱性に優れるポリアミド酸とをブロック共重合することにより、透明性と耐熱性、さらに折曲耐性とを両立したポリアミド酸-イミド共重合体樹脂組成物、およびそれを用いるポリイミドもしくはポリイミド共重合体、または赤外線(IR)キュアした際のポリイミドフィルムの欠陥を低減することが可能となる、4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB)を用いたポリアミド酸又はポリアミド酸-イミド共重合体含む樹脂組成物、もしくは膜厚の面内均一性に優れるとともに、黄色度(YI値)の低いポリイミド樹脂膜を得ることのできる樹脂組成物もしくはポリイミド樹脂膜、並びにそれらの製造方法またはディスプレイの製造方法、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し実験を重ね、その結果、特定構造を含むポリアミド酸-イミド共重合体を含む樹脂組成物を硬化して得られるポリイミドフィルムは、優れた透明性、曇り度、耐熱性、及び線膨張係数を有し、低残留応力及び折曲耐性を有し、または、赤外線(IR)キュアした際のポリイミドフィルムの欠陥が低減され、かつ/または樹脂組成物中に沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含有させることで、樹脂が柔らかく、流動性を持つようになり、ポリイミド樹脂膜とした際に、膜厚の面内均一性が向上すると共に、YIも低減できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を為すに至った。すなわち、発明は、以下のとおりのものである。
<1>
下記一般式(1):
Figure 0007174199000001
{式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、n、m、およびlは、正の整数であり、かつ
前記一般式(1)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000002
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体と、(d)有機溶剤と、(e)イミド化触媒とを含み、かつ前記(e)イミド化触媒が、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、及び三級アミン化合物から成る群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする樹脂組成物。
<2>
前記イミダゾール化合物が、1-メチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4-エチル-2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1H-イミダゾール、及び1,2-ジメチルイミダゾールから成る群から選択される少なくとも一つであり、
前記ピリジン化合物が、4-ジメチルアミノピリジン、2,2’-ビピリジル、ニコチン酸、イソキノリン、ピリジン、及び2-メチルピリジンから成る群から選択される少なくとも一つであり、かつ/又は
前記三級アミン化合物が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチルモルホリン、及びトリエチルアミンから成る群から選択される少なくとも一つである、
項目1に記載の樹脂組成物。
<3>
前記(e)イミド化触媒が、前記イミダゾール化合物である、項目1又は2に記載の樹脂組成物。
<4>
前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合体100質量部に対し、5質量部以上である、項目1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<5>
下記一般式(1):
Figure 0007174199000003
{式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、n、m、およびlは、正の整数であり、かつ
前記一般式(1)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000004
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体と、(d)有機溶剤とを含み、かつ
前記ポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量が170,000以上である、樹脂組成物。
<6>
前記ポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量が170,000以上である、項目1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<7>
下記一般式(3):
Figure 0007174199000005
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、そしてnは、正の整数であり、かつ
前記一般式(3)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000006
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸と、(d)有機溶剤と、(e)イミド化触媒とを含み、前記(e)イミド化触媒が、1-メチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4-エチル-2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1H-イミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン、2,2’-ビピリジル、ニコチン酸、イソキノリン、ピリジン、2-メチルピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチルモルホリン、及びトリエチルアミンから成る群から選択される少なくとも一つである、樹脂組成物。
<8>
下記一般式(3):
Figure 0007174199000007
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、そしてnは、正の整数であり、かつ
前記一般式(3)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000008
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸と、(d)有機溶剤と、(e)イミド化触媒とを含み、前記(e)イミド化触媒が、イミダゾール化合物であり、かつ前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸100質量部に対し、5質量部以上である、樹脂組成物。
<9>
下記一般式(3):
Figure 0007174199000009
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、そしてnは、正の整数であり、かつ
前記一般式(3)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000010
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸と、(d)有機溶剤と、(e)イミド化触媒とを含み、前記(e)イミド化触媒がイミダゾール化合物であり、かつ
前記ポリアミド酸の重量平均分子量が170,000以上である、樹脂組成物。
<10>
前記ポリアミド酸の重量平均分子量が170,000以上である、項目7又は8に記載の樹脂組成物。
<11>
前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合体100質量部または前記ポリアミド酸100質量部に対し、10質量部以上である、項目1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<12>
前記(e)イミド化触媒が、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)及び/又は1-メチルイミダゾールを含むイミダゾール化合物である、項目1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<13>
前記ポリアミド酸-イミド共重合体又は前記ポリアミド酸の重量平均分子量が、220,000以上である、項目1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<14>
さらに沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<15>
前記非プロトン性極性物質がスルホランである、項目14に記載の樹脂組成物。
<16>
前記一般式(1)中のXまたは(3)中のXが、下記一般式(A-4)、下記一般式(A-5)及び下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000011
{式中、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてh~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
Figure 0007174199000012
{式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、l及びmは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
Figure 0007174199000013
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種である、項目1~15のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<17>
前記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000014
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目1~6,11~16のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<18>
前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合の繰り返し単位1モルに対して0.02~0.15モル%の範囲である、項目1~6,11~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
<19>
下記一般式(1):
Figure 0007174199000015
{式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、n、m、およびlは、正の整数であり、X及びXから構成される構造単位を構造単位Nと呼び、そしてX及びXから構成される構造単位を構造単位Mと呼び、
が4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する基である場合は、下記構成1,2:
1.Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、Xが4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基である;および
2.Xがノルボルナン―2―スピロ―α―シクロペンタノン―α’―スピロ―2’’―ノルボルナン―5,5’’,6,6’’―テトラカルボン酸二無水物に由来する基である;
を除く}
で示される構造単位Lを含み、かつ
前記Xとして下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000016
{式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
又は下記一般式(A-2):
Figure 0007174199000017
{式中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてcは0~4の整数である。*は結合部を示す}
で表される構造を有することを特徴とするポリアミド酸-イミド共重合体。
<20>
前記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000018
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目19に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<21>
前記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-4)、下記一般式(A-5)及び下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000019
{式中、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてh~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
Figure 0007174199000020
{式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、l及びmは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示し、但し前記Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、前記一般式(A-5)は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンに由来する基である場合を除く}
Figure 0007174199000021
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目19または20に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<22>
下記一般式(1):
Figure 0007174199000022
{式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、n、m、及びlは、正の整数であり、X及びXから構成される構造単位を構造単位Nと呼び、X及びXから構成される構造単位を構造単位Mと呼び、かつ
は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基を除く}
で示される構造単位Lを含み、かつ
前記Xとして、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000023

{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするポリアミド酸-イミド共重合体。
<23>
上記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-4)、下記一般式(A-5)及び下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000024
{式中、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてh~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
Figure 0007174199000025
{式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、iおよびjは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示し、但し前記Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、前記一般式(A-5)は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンに由来する基である場合を除く}
Figure 0007174199000026
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目22に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<24>
上記一般式(1)中のXを構成するジアミン成分とXを構成するジアミン成分とが、ジアミン組成、又はジアミン種のいずれかが異なる、項目19~23のいずれか一項に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<25>
上記一般式(1)中のXが、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目19~24のいずれか一項に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<26>
上記一般式(1)中に含まれるXとXのモル比(X/X)が0.84~1.00であり、かつ上記一般式(1)に含まれるXとX(X/X)のモル比が1.01~2.00である、項目19~25のいずれか一項に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<27>
上記一般式(1)中のX及びXから構成されるポリアミド酸の構造単位NとX及びXから構成されるポリイミドの構造単位Mのモル比(構造単位Nのモル数:構造単位Mのモル数)が60:40~95:5の範囲である、項目19~26のいずれか一項に記載のポリアミド酸-イミド共重合体。
<28>
項目19~27のいずれか一項に記載のポリアミド酸-イミド共重合体と、(d)有機溶剤と、を含有する、樹脂組成物。
<29>
前記樹脂組成物に含まれる全ポリマーのうち、X及びXから構成されるポリアミド酸の構造単位Nの比率が、60~95モル%である、項目28に記載の樹脂組成物。
<30>
更に、(e)イミド化触媒を含む、項目28又は29に記載の樹脂組成物。
<31>
下記一般式(2):
Figure 0007174199000027
{式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、そしてn及びmは、正の整数であり、X及びXから構成される構造単位を構造単位Nと呼び、そしてX及びXから構成される構造単位を構造単位Mと呼び、かつ
が4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する基である場合は、下記構成1,2:
1.Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、Xが4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基である;および
2.Xがノルボルナン―2―スピロ―α―シクロペンタノンa―α’―スピロ―2’’―ノルボルナン―5,5’’,6,6’’―テトラカルボン酸二無水物に由来する基である;
を除く}
で表される構造単位を含み、かつ
前記Xとして下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000028
{式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
又は下記一般式(A-2):
Figure 0007174199000029
{式中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、cは、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される構造を有することを特徴とするポリイミド共重合体。
<32>
上記一般式(2)中のXが、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000030
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目31に記載のポリイミド共重合体。
<33>
下記一般式(2):
Figure 0007174199000031
{式中、XおよびXは、4価の有機基を表し、XおよびXは、2価の有機基を表し、n及びmは、正の整数であり、X及びXから構成される構造単位を構造単位Nと呼び、X及びXから構成される構造単位を構造単位Mと呼び、かつ
は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2, 2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基を除く}
で示される構造単位を含み、かつ
前記Xとして、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000032
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするポリイミド共重合体。
<34>
前記一般式(2)中のXが、下記一般式(A-4)、下記一般式(A-5)及び下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000033
{式中、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてh~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
Figure 0007174199000034
{式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、l及びmは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示し、前記Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、前記一般式(A-5)は、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンに由来する基である場合を除く}
Figure 0007174199000035
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目33に記載のポリイミド共重合体。
<35>
上記一般式(2)中のXが、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、項目31~34のいずれか一項に記載のポリイミド共重合体。
<36>
上記一般式(2)中に含まれるXとXのモル比(X/X)が0.84~1.00であり、かつ上記一般式(2)に含まれるXとX(X/X)のモル比が1.01~2.00である、項目31~35のいずれか一項に記載のポリイミド共重合体。
<37>
上記一般式(2)中のX及びXから構成されるポリイミドの構成単位NとX及びXから成るポリイミドの構成単位Mのモル比(構成単位Nのモル数:構成単位Mのモル数)が、60:40~95:5の範囲である、項目31~36のいずれか一項に記載のポリイミド共重合体。
<38>
下記一般式(I)で表されるポリイミド前駆体、もしくは下記一般式(I)で表されるポリイミド前駆体骨格及び下記一般式(II)で表されるポリイミド骨格を有し、
沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含むことを特徴とする樹脂組成物:
Figure 0007174199000036
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す}
Figure 0007174199000037
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す}。
<39>
下記一般式(II)で表されるポリイミドと、溶媒と、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質とを含む樹脂組成物:
Figure 0007174199000038
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、pは、かつ正の整数を示す}。
本発明によれば、透明性と耐熱性を両立したポリアミド酸-イミド共重合体、及びそれを含む樹脂組成物が提供され、ひいては優れた透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数を有するポリイミドフィルム、及びその製造方法も提供されることができ、かつ/又はフルオレン骨格を持つ芳香族酸二無水物を主成分として用いて、折曲耐性及び透明性に優れるポリイミドと耐熱性に優れるポリアミド酸とをブロック共重合を提供することができ、ひいては透明性と耐熱性、更に低残留応力及び折曲耐性とを両立したポリアミド酸-イミド共重合体樹脂組成物、ポリイミド、又はポリイミドフィルム、及びそれらの製造方法も提供することができる。そして、赤外線(IR)キュアした際のポリイミドフィルムの欠陥を低減することが可能となる、4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB)を用いたポリアミド酸又はポリアミド酸-イミド共重合体含む樹脂組成物が提供され、ひいては欠陥が低減されたポリイミドフィルム、及びその製造方法も提供されることができる。また、本発明によれば、膜厚の面内均一性に優れるとともに、黄色度(YI値)の低いポリイミド樹脂膜を得ることのできる樹脂組成物、ポリイミド樹脂膜の製造方法、ディスプレイの製造方法、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法を提供することもできる。
図1は、本発明の一実施形態のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイの、ポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。
以下、本発明の例示の実施の形態(以下、「実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本開示で記載する特性値は、特記がない限り、[実施例]の項において記載する方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される値であることを意図する。
<樹脂組成物>
本発明の一態様が提供する樹脂組成物は、(a)ポリアミド酸及び/又は(b)ポリイミドを含む、(c)ポリアミド酸-イミド共重合体、ポリイミド又はポリアミド酸、並びに(d)有機溶剤を含み、所望により(e)イミド化触媒などの他の成分を含有してよい。
以下、各成分を順に説明する。
<第一の実施形態>
(A)ポリアミド酸-イミド共重合体
本開示の第一の実施形態は、
下記一般式(1):
Figure 0007174199000039
{式中、XおよびXは、4価の有機基を表し、XおよびXは、2価の有機基を表し、n、m、及びlは、正の整数であり、X及びXから構成される構造単位を構造単位N、X及びXから構成される構造単位を構造単位Mと呼ぶ}
で示される構造単位Lを含み、かつ、Xとして下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000040
{式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は結合部を示す}
又は下記一般式(A-2):
Figure 0007174199000041
{式中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、cは、0~4の整数であり、そして*は結合部を示す}
で表される構造を有することを特徴とするポリアミド酸-イミド共重合体を提供する。
また、一般式(A-2)で表される構造の具体例としては、下記一般式(A-2a):
Figure 0007174199000042
{式中、Rとcと*は、一般式(A-2)で定義されたとおりである}
を挙げることができる。
第一の実施形態に係るポリアミド酸-イミド共重合体は、ポリイミド前駆体として利用可能であり、それを用いてポリイミドフィルムを形成したときに線膨張係数が低く、残留応力が低く、曇り度(Haze値)および黄色度(YI値)が小さい。また、第一の実施形態に係るポリアミド酸-イミド共重合体は、それを用いてポリイミドフィルムを形成したときに、高温領域での黄色度(YI値)が小さく、曇り度(Haze値)が小さい。このような観点から、第一の実施形態に係るポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量が170,000以上であることが好ましく、かつ/又はXが4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する基である場合には、下記構成1,2:
構成1.Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、Xが4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基である;および
構成2.Xがノルボルナン―2―スピロ―α―シクロペンタノン―α’―スピロ―2’’―ノルボルナン―5,5’’,6,6’’―テトラカルボン酸二無水物に由来する基である;
を除くことが好ましい。
<第二の実施形態>
本開示の第二の実施形態は、
上記一般式(1)で示される構造単位Lを含み、かつ、X及び/又はXとして、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000043
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするポリアミド酸-イミド共重合体を提供する。
第二の実施形態に係るポリアミド酸-イミド前駆体は、ポリイミドフィルムとしたときに線膨張係数が低く、残留応力が低く、折曲耐性に優れ、曇り度(Haze値)および黄色度(YI値)が小さい。また、第二の実施形態に係るポリアミド酸-イミド共重合体は、ポリイミドフィルムとしたときに、高温領域での黄色度(YI値)が小さく、曇り度(Haze値)が小さい。第二の実施形態では、このような観点から、Xとして、一般式(A-3)で表される構造、ODPA由来の構造、及び6FDA由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、かつ/又はXは、Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合に、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基を除くことが好ましい。
<第三の実施形態>
本開示の第三の実施形態では、樹脂組成物は、下記一般式(I)で表されるポリイミド前駆体、もしくは下記一般式(I)で表されるポリイミド前駆体骨格及び下記一般式(II)で表されるポリイミド骨格を有し、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含むことを特徴とするか、もしくは、樹脂組成物は、下記一般式(II)で表されるポリイミドと、溶媒と、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質とを含むことを特徴とする。
(ポリイミド前駆体)
Figure 0007174199000044
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
(ポリイミド樹脂)
Figure 0007174199000045
{式中、Pは、2価の有機基を示し、Pは、4価の有機基を示し、かつpは、正の整数を示す。}
第三の実施形態に係るポリイミドは、ポリイミド前駆体を熱イミド化することで得られ、化学イミド化することもできる。得られるポリイミドフィルムの透明性の観点から、熱イミド化が好ましい。また、樹脂組成物は、イミド化促進剤を含有することができる。
第三の実施形態に係る樹脂組成物は、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含有していることで、キュア工程(加熱工程)において、該非プロトン性極性物質が、例えば250℃以上といった高温での可塑剤としての役割を果たし、樹脂が柔らかく、流動性を持つようになり、ポリイミド樹脂膜(以下、ポリイミドフィルムともいう)とした際に、膜厚の面内均一性が向上すると共に、YIも低減することができる。
なお、第三の実施形態に係る樹脂組成物は、さらに溶媒、例えば非プロトン性溶媒を含んでいてもよい。この非プロトン性溶媒は、上記の沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質とは区別されるべきものである。
ここで、一般式(I)および(II)におけるP基は、酸無水物残基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。また、一般式(I)および(II)におけるP基は、ジアミン残基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。
<第四の実施形態>
(B)ポリアミド酸
本開示の第四の実施形態では、下記一般式(3):
Figure 0007174199000046
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、そしてnは、正の整数であり、かつ
前記一般式(3)中のXとして、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000047
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
で示される構造を含む}
で示される構造単位を含むポリアミド酸、又はそれに由来する構成単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体であって、特定の(e)イミド化触媒と共に配合されるか、又はポリアミド酸の重量平均分子量が170,000以上であることを特徴とするポリアミド酸、又はそれに由来する構成単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体が提供される。第四の実施形態に係るポリアミド酸、又はそれに由来する構成単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体は、赤外線(IR)キュアした際のポリイミドフィルムの欠陥を低減することが可能となる。
第一、第二、第三及び第四の実施形態に係る特徴については、組み合わせ、又は互換を行なってよい。第一、第二、第三及び第四の実施形態について、共通する構成、好ましい構成などを以下に説明する。
(a)<ポリアミド酸部の実施形態>
本発明のポリアミド酸-イミド共重合体を構成するポリアミド酸部分は、上記一般式(1)中の構造単位Nで示される部分である。
上記一般式(1)中、Xは、4価の有機基であり、ポリイミド前駆体中に存在する複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、下記のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基が例示される。
テトラカルボン酸二無水物としては、炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物、炭素数が6~50の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、及び炭素数が6~36の脂環式テトラカルボン酸二無水物を例示することができる。この中で、高温領域での黄色度の観点から炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。ここでいう炭素数には、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。
上記の炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以下、6FDAとも記す)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAとも記す)、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAとも記す)、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(以下、DSDAとも記す)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAとも記す)、P-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)(以下、TAHQとも記す)チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等を例示することができる。
炭素数が6~50の脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばエチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等を;
炭素数が6~36の脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(以下、CPODAとも記す)、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-12-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、REL-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル等が、それぞれ挙げられる。
好ましい一態様において、Xは、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CPODA)から成る群から選択される少なくとも1種に由来する。
線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、PMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、ODPA、及びCPODAが好ましく、BPDA、TAHQ、及びODPAがより好ましい。
ポリアミド酸-イミド共重合体は、例えばポリイミド前駆体としては、その性能を損なわない範囲で、前述のテトラカルボン酸二無水物に加えてジカルボン酸を使用して得られたものでもよい。このような前駆体を使用することにより、得られるフィルムにおいて、機械伸度の向上、ガラス転移温度の向上、黄色度の低減等の諸性能を調整することができる。そのようなジカルボン酸として、芳香環を有するジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。特に炭素数が8~36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数が6~34の脂環式ジカルボン酸から成る群から選択される少なくとも1つの化合物が好ましい。ここでいう炭素数は、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。これらのうち、芳香環を有するジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸としては、具体的には、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-スルホニルビス安息香酸、3,4’-スルホニルビス安息香酸、3,3’-スルホニルビス安息香酸、4,4’-オキシビス安息香酸、3,4’-オキシビス安息香酸、3,3’-オキシビス安息香酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,2’-ジメチル-3,3’-ビフェニルジカルボン酸、9,9-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(3―カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、1,1-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、1,3-フェニレン二酢酸、1,4-フェニレン二酢酸等;及び国際公開第2005/068535号パンフレットに記載の5-アミノイソフタル酸誘導体等が挙げられる。これらジカルボン酸をポリマーに実際に共重合させる場合には、塩化チオニル等から誘導される酸クロリド体、活性エステル体等の形態で使用してもよい。
上記一般式(1)中、Xは、2価の有機基であり、好ましくは、下記一般式(A-1)で表される構造、下記一般式(A-4)で表される構造、下記一般式(A-5)で表される構造、下記一般式(A-6)で表される構造、および下記一般式(B-1)で示されるジアミン由来の構造、又は、BAFL、BFAF、BAOFL、44DAS、33DAS、44ODA、34ODA等に由来の構造が好ましい。Xとしては、高温領域での黄色度(YI値)の観点から4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する構造が好ましく、曇り度(HAZE値)の観点から、4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB)、パラフェニレンジアミン(pPD)、BAFL、及びBFAFに由来する少なくとも1つの構造が好ましい。
一般式(1)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-1):
Figure 0007174199000048
{式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は結合部を示す}
で表される。
ここで、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、水素(a及び/又はb=0の場合)、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、a及び/又はb=0の場合には水素でよく、もしくはハロゲンとしてはフッ素などが挙げられる。この中で、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、水素、及び/又はフェニル基が好ましく、曇り度(Haze値)の観点から水素、メチル基、及びフッ素から成る群から選択される少なくとも1つが好ましい。
ここで、a及びbは、それぞれ、0~4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から、0~2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
一般式(1)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000049
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される。
ここで、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、水素(n及びо=0の場合)、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられ、n及びо=0の場合には水素でよく、もしくはハロゲンとしてはフッ素などが挙げられる。この中で、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、水素、及び/又はフェニル基が好ましく、曇り度(Haze値)の観点から水素、メチル基、及びフッ素から成る群から選択される少なくとも1つが好ましい。
ここで、n及びоは、それぞれ、0~4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から、0~2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
一般式(1)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-2):
Figure 0007174199000050
{式中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、cは、0~4の整数であり、そして*は結合部を示す}
で表される。
ここで、Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、水素(c=0の場合)、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、c=0の場合には水素でよく、もしくはハロゲンとしてはフッ素などが挙げられる。この中で、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、水素が好ましく、曇り度(Haze値)の観点から、メチル基、及び/又はフッ素が好ましい。
ここで、cは、それぞれ、0~4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から、0~2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
一般式(A-1)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-1):
Figure 0007174199000051
{式中、R、R、a及びbは、一般式(A-1)と同様に定義される}
で表されるジアミンに由来する。
一般式(B-1)で表されるジアミンとして、より具体的には、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(以下、APABとも記す)、2-メチル-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(以下、2Me-APABとも記す)、3-メチル-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(以下、3Me-APABとも記す)、2-フルオロ-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(以下、2F-APABとも記す)、3-フルオロ-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(以下、3F-APABとも記す)、3-メチル-4-アミノフェニル-3-メチル-4-アミノベンゾエート(以下、3,3Me-APABとも記す)、などを例示することができ、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、APABが好ましく、曇り度(Haze値)が小さくなる観点から、APAB、3Me-APAB、及び3F-APABが好ましい。
一般式(A-2)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-2):
Figure 0007174199000052
{式中、R、及びcは、一般式(A-2)と同様に定義される}
で表されるジアミンに由来する。
一般式(B-2)で表されるジアミンとして、より具体的には、p-フェニレンジアミン(pPD)、m-フェニレンジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、等を例示することが出来、高温での耐熱性の観点から、pPDが好ましい。
ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミド酸-イミド共重合体、及びポリイミド共重合体は、それぞれ、黄色度、曇り度、残留応力等を損なわない範囲で、前述した一般式(B-1)および一般式(B-2)で表されるジアミンに加えて、又は一般式(B-1)及び一般式(B-2)で表されるジアミンに替えて、その他のジアミンを用いることができる。
その他のジアミンとしては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。全ジアミン中の、上記その他のジアミンの含有量は、20モル%以下が好ましく、10モル%以下が特に好ましい。一方、使用されるジアミンにシリコーン系ジアミンは含まないことが、高温での耐熱性の観点から好ましい。例えば、シリコーン系ジアミン市販品として入手可能な、信越化学工業株式会社製の「X-22-9409」、「X-22-1660B-3」等が挙げられる。
上記一般式(1)に含まれるポリアミド酸部中のXとXのモル比(X/X)は、0.84~1.00又は0.85~1.2が好ましく、0.90~1.1がより好ましく、0.92~1,00が更に好ましい。X/Xが0.84以上又は0.85以上であると、残留応力が低く、YIが低くなる。X/Xが1.2以下又は1.00以下であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れる。
ポリアミド酸及びポリアミド酸部の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1,000~300,000または2,639~300,000がより好ましく、10,000~200,000または10,000~250,000がさらに好ましく、30,000~200,000が特に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が300,000以下であると、ポリアミド酸の合成時に重量平均分子量をコントロールし易くなり、適度な粘度の樹脂組成物を得ることができ、樹脂組成物の塗布性が良くなる。また、ポリアミド酸及びポリアミド酸部のMwが170,000以上であると、透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数に優れる傾向にあるため好ましく、220,000以上のMwがより好ましく、この傾向は、一般式(1)中のXとして、上記一般式(A-1)で示される構造を有するときに顕著である。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である。
(b)<ポリイミド部の実施形態>
本発明のポリアミド酸-イミド共重合体を構成するポリイミド部分は、上記一般式(1)中の構造単位Mで示される部分である。
前記一般式(1)において、Xは、4価の有機基であり、好ましくは、下記一般式(A-3)で表される構造、又は4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)から選択される少なくとも1つに由来する構造であり、前記<ポリアミド酸部の実施形態>で記載されたテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基を用いることが出来る。また、ポリイミド前駆体として使用可能なポリアミド酸-イミド共重合体中に存在する複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xと互いに同一であっても異なっていてもよい。
としては、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する構造が好ましく、残留応力の観点から、ODPAに由来する構造が好ましい。
上記のBPAF、ODPA及び6FDAに加えて、又はそれらに替えて使用可能なテトラカルボン酸二無水物としては、炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物、炭素数が6~50の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、及び炭素数が6~36の脂環式テトラカルボン酸二無水物を例示することができる。この中で、高温領域での黄色度の観点から炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。ここでいう炭素数には、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。
上記の炭素数が8~36の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以下、6FDAとも記す)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAとも記す)、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAとも記す)、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(以下、DSDAとも記す)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAとも記す)、P-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)(以下、TAHQとも記す)チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等を例示することができる。
炭素数が6~50の脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばエチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等を;
炭素数が6~36の脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(以下、CPODAとも記す)、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-12-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、REL-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル等が、それぞれ挙げられる。
好ましい一態様において、X又はXは、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CPODA)から成る群から選択される少なくとも1種に由来する。
線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、PMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、及びCPODAが好ましく、BPDA、及びTAHQがより好ましい。
ポリアミド酸-イミド共重合体は、例えばポリイミド前駆体としては、その性能を損なわない範囲で、前述のテトラカルボン酸二無水物に加えてジカルボン酸を使用して得られたものでもよい。このような前駆体を使用することにより、得られるフィルムにおいて、機械伸度の向上、ガラス転移温度の向上、黄色度の低減等の諸性能を調整することができる。そのようなジカルボン酸として、芳香環を有するジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。特に炭素数が8~36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数が6~34の脂環式ジカルボン酸から成る群から選択される少なくとも1つの化合物が好ましい。ここでいう炭素数は、カルボキシル基に含まれる炭素の数も含む。これらのうち、芳香環を有するジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸としては、具体的には、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-スルホニルビス安息香酸、3,4’-スルホニルビス安息香酸、3,3’-スルホニルビス安息香酸、4,4’-オキシビス安息香酸、3,4’-オキシビス安息香酸、3,3’-オキシビス安息香酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、2,2’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,2’-ジメチル-3,3’-ビフェニルジカルボン酸、9,9-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(3―カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(4-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、4,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-p-ターフェニル、3,4’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、3,3’-ビス(3-カルボキシフェノキシ)-m-ターフェニル、1,1-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、1,3-フェニレン二酢酸、1,4-フェニレン二酢酸等;及び国際公開第2005/068535号パンフレットに記載の5-アミノイソフタル酸誘導体等が挙げられる。これらジカルボン酸をポリマーに実際に共重合させる場合には、塩化チオニル等から誘導される酸クロリド体、活性エステル体等の形態で使用してもよい。
一般式(1)又は後述される一般式(2)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-3):
Figure 0007174199000053
{式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは結合基を示し、そして*は結合部を示す}
で表されるか、又は、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)に由来する。
ここで、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、水素(d~g=0の場合)、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、d~g=0の場合には水素でよく、もしくはハロゲンとしてはフッ素などが挙げられる。この中で、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、水素が好ましく、曇り度(Haze値)の観点から、フッ素が好ましい。
ここで、Zとしては、単結合、メチレン基、エチレン基、エーテル、ケトンなどが例示できる。この中で、高温領域でのYIの観点から、単結合がより好ましく、残留応力の観点から単結合及びエーテルが好ましい。
ここで、d~gは、それぞれ、0~4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から、0~2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
一般式(A-3)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-3):
Figure 0007174199000054
{式中、R~R、d~g、及びZは、一般式(A-3)と同様に定義され、d及びeは、それぞれ独立に、0~3の整数であることが好ましく、f及びgは、それぞれ独立に、0~4の整数であることが好ましい}
で表される酸二無水物に由来する。
一般式(B-3)で表される酸二無水物として、より具体的には、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二酸無水物(BPF-PA)などを例示することができ、曇り度(Haze値)が小さくなる観点および高温領から、BPAFが好ましく、残留応力の観点からBPAFおよびBPF-PAが好ましい。
一般式(1)又は後述される一般式(2)において、Xは、2価の有機基であり、好ましくは、下記一般式(A-4)~(A-6)の少なくとも1つで示される構造であり、前記<ポリアミド酸部の実施形態>で記載されたジアミンに由来する2価の有機基を用いることが出来る。また、ポリイミド中又はポリイミド部中に存在する複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、ポリイミドとした時に相反する性能を両立する観点から、Xとは異なっていることが好ましく、Xを構成するジアミン成分とXを構成するジアミン成分とが、ジアミン組成又はジアミン種のいずれかについて異なることがより好ましい。
一般式(1)又は後述される一般式(2)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-4):
Figure 0007174199000055
{式中、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、h~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは結合基を示し、そして*は結合部を示す}
で表される。
ここで、R~R11は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、水素(h~k=0の場合)、若しくはハロゲンであれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基が挙げられ、h~k=0の場合には水素でよく、もしくはハロゲンとしてはフッ素などが挙げられる。この中で、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、水素が好ましく、曇り度(Haze値)の観点から、フッ素が好ましい。
ここで、h~kは、それぞれ、0~4の整数であれば限定されない。この中で、黄色度(YI値)、及び残留応力の観点から、0~2の整数が好ましく、高温領域での黄色度(YI値)の観点から、0が特に好ましい。
としては、単結合、メチレン基、エチレン基、エーテル、ケトンなどが例示できる。この中で、高温領域でのYIの観点から、単結合が好ましい。
一般式(1)又は後述される一般式(2)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-5):
Figure 0007174199000056
{式中、R12およびR13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、若しくはハロゲンを表し、lおよびmは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は結合部を示し、但し前記一般式(1)のXが4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する基であり、かつ、Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合においては、一般式(A-5)は4,4’-ジアミノジフェニルスルホン又はそれに由来する基を除く}
で表される。
ここで、R12、R13は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はフッ素などのハロゲンであれば、限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基が好ましい。
ここで、l、mは、0~4の整数であれば限定されない。この中で、YI、残留応力の観点から0~2の整数が好ましく、高温領域でのYIの観点から、0が特に好ましい。
一般式(1)又は後述される一般式(2)中のXの構造は、一態様において、下記一般式(A-6):
Figure 0007174199000057
{式中、R14及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す}
で表される。ここで、R14、及びR15は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基であれば限定されない。このような有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;トリフルオロメチル基などのハロゲン含有基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基;などが挙げられる。この中で、高温領域でのYIの観点から、メチル基およびフェニル基が好ましい。ここで、n及びоは、0~4の整数であれば限定されない。この中で、YIと残留応力の観点から0~2の整数が好ましく、高温領域でのYIの観点から、0が特に好ましい。
一般式(A-4)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-4):
Figure 0007174199000058
{式中、R~R11およびh~kは、一般式(A-4)と同様に定義される}
で表されるジアミンに由来する。
一般式(B-4)で表されるジアミンとして、より具体的には、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)、9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン(BFAF)、9,9-ビス(4-(アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン(BAOFL)などを例示することができ、高温での黄色度(YI値)の観点から、BFAFが好ましく、曇り度(Haze値)が小さくなる観点から、BAFLが好ましい。
また、一般式(A-5)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-5-1):
Figure 0007174199000059
もしくは、下記一般式(B-5-2):
Figure 0007174199000060
{式中、R12およびR13、lおよびmは、一般式(A-5)と同様に定義される}
で表されるジアミンなどに由来する。
一般式(B-5-1)および(B-5-2)で表されるジアミンとして、より具体的には、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(44DAS)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(33DAS)を例示することができる。その他のジアミンとして、より具体的には、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホンおよびビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどを例示することができる。高温での黄色度(YI値)の観点から、44DASが好ましく、残留応力が低くなる観点から、33DASが好ましい。
一般式(A-6)で表される構造単位は、一態様において、下記一般式(B-6):
Figure 0007174199000061
{式中、R14及びR15、n及びоは、一般式(A-6)と同様に定義される}
で表されるジアミンなどに由来する。
一般式(B-6)で表されるジアミンとして、より具体的には、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(44ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、2,3’-ジアミノジフェニルエーテルなどを例示することが出来る。高温での黄色度(YI値)の観点から、44ODAが好ましく、残留応力が低くなる観点から、34ODAが好ましい。
ポリイミド又はポリイミド部の重量平均分子量(Mw)は、1,000~100,000が好ましく、2,000~80,000又は2,639~80,000がより好ましく、5,000~60,000が特に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が100,000以下であると、ポリアミド酸-イミド共重合フィルムとした時の相分離が抑制され曇り度(HAZE値)が低くなる。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である。
ポリイミド又はその構造単位について、上記一般式(1)に含まれるXとXのモル比(X/X)は、0.85~2.0、又は1.01~2.00である事が好ましく、0.95~1.5である事がより好ましく、1.01~1.25である事が更に好ましい。モル比が0.85以上又は1.01以上であると、高温領域での耐熱性に優れ、YI値が低くなる。モル比が2.00以下であると、ポリアミド酸部との反応性が向上し、膜とした時の強度が上昇するため、伸度、破断強度等の機械特性に優れる。
ポリイミド又はポリイミド部の、分子量1,000未満の分子の含有量は、ポリイミド前駆体又はポリアミド酸-イミド共重合体の全量に対して、5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満が更に好ましい。このようなポリイミド又はポリイミド部を用いて得られる樹脂組成物から形成されるポリイミドフィルムは、残留応力が低く、該ポリイミドフィルム上に形成した曇り度(Haze値)が低くなる。ポリイミド又はポリイミド部の全量に対する分子量1,000未満の分子の含有量は、該ポリイミドを溶解した溶液を用いてGPC測定を行って得られるピーク面積から算出することができる。
本開示の一態様におけるポリイミド前駆体には、伸度、強度、応力、及び黄色度等を損なわない範囲で、前述した一般式(B-1)~(B-2)及び(B-4)~(B-6)で表されるジアミンに加えて、又は一般式(B-1)~(B-2)及び(B-4)~(B-6)で表されるジアミンに替えて、他のジアミンを用いることができる。その他のジアミンとしては、例えば、4,4’ージアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’―ジアミノベンゾフェノン、3,4’―ジアミノベンゾフェノン、3,3’―ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4ーアミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
全ジアミン中の、上記その他ジアミンの含有量は、20モル%以下が好ましく、10モル%以下が特に好ましい。X及びそれを構成するジアミンもXと同様にシリコーン系ジアミンは含まないことが、高温での耐熱性の観点から好ましく、芳香族ジアミンの種類又は組成であることがより好ましい。
(c)<ポリアミド酸-イミド共重合体の実施形態>
本発明のポリアミド酸-イミド共重合体は、上記一般式(1)で示される、ポリアミド酸部分である構造単位Mと、ポリイミド部分である構造単位Nを含む構造単位Lを含み、その具体的な実施形態について以下に示す。
上記ポリアミド酸部のジアミン(X)と上記ポリイミド部のジアミン(X)は、同一の組成、もしくはジアミン種であってもよく、異なる組成、もしくはジアミン種であってもよい。ここでいう「同一の組成」とは、ポリアミド酸部で用いられるジアミンが1種類以上から構成される場合、ポリイミド部のジアミンは全く同一の組成である。一方、ここでいう「異なる組成」とは、ポリアミド酸部で用いられるジアミンが1種類以上から構成される場合、ポリイミド部のジアミンは全く同一の組成ではなく、異なるジアミンから構成されるか、同一のジアミンを用いていたとしても比率は異なることを意味する。
本発明の一態様におけるポリアミド酸部の役割としては、高温領域での高い熱安定性、優れる寸法安定性を持つことであり、分子平面性が高く、ポリイミドとした時の高温での耐熱性が高い骨格が好ましい。
上記ポリアミド酸部の酸二無水物(X)としては、(a)<ポリアミド酸部の実施形態>で示したとおり、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びシクロペンタノンビススピロノルボルナンテトラカルボン酸二無水物(CPODA)から成る群から選択される少なくとも1種に由来する。
線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、PMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、ODPA、及びCPODAが好ましく、BPDA、TAHQ、及びODPAがより好ましい。Xとしては、上記で示される酸二無水物の他に、その性能を損なわない範囲で、前述のテトラカルボン酸二無水物に加えてジカルボン酸を使用して得られたものでもよい。また、その他のテトラカルボン酸二無水物を加えてもよいが、芳香族テトラカルボン酸二無水物もしくは芳香族ジカルボン酸に由来する骨格であることが好ましい。また、Xにおけるその他の酸二無水物、およびジカルボン酸の割合は、20モル%以下である事が好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
前記ポリアミド酸部のジアミン(X)としては、(4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB)、2-メチル-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、3-メチル-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、2-フルオロ-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(2F-APAB)、3-フルオロ-4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(3F-APAB)、3-メチル-4-アミノフェニル-3-メチル-4-アミノベンゾエート、及び(2-フェニルー4-アミノフェニル)-4-アミノベンゾエート(ph-APAB)から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、APAB、2F-APAB、3F-APAB、及びPh-APABが好ましく、APABがより好ましい。Xとしては、上記で示される酸二無水物の他に、その性能を損なわない範囲で、その他のジアミンを加えてもよいが、シクロヘキサン環又はシクロペンタン環を含まず、芳香族ジアミンであることが好ましい。Xにおけるその他のジアミンの割合は、20モル%以下である事が好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。つまり、前記イミド部分のジアミン(X)としては、上記に示される構造を含まないことが好ましいが、全くの同一組成でなければその限りではない。
本発明の一態様におけるイミド部の役割としては、高温領域での高い熱安定性、優れる光学特性、及び溶媒への高い溶解性を持つことであり、優れる光学特性、及び溶媒への高い溶解性を有する骨格、又はフィルムとした時の折曲耐性を付与できる骨格が好ましい。
前記ポリイミド部の酸二無水物(X)としては、(b)<ポリイミド部の実施形態>で示したとおり、テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基を用いることが出来る。また、ポリイミド前駆体中又はポリアミド酸-イミド共重合体中に存在する複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xと互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、高温領域での優れる黄色度(YI値)および曇り度(Haze値)の観点から、BPAFに由来する構造を含むことが好ましく、残留応力の観点から、ODPAに由来する構造が好ましい。BPAFに由来する骨格を用いる場合、高温領域での熱安定性を改善することを目的にPMDA、BPDA、DSDA、TAHQ、ODPA、及びCPODAから選ばれる骨格を同時に用いることが出来る。その中でも、BPDA、TAHQ、及びODPAから選ばれる骨格を含むことがより好ましい。XにおけるBPAFの割合は、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上が更に好ましく、100モル%でもよい。ポリイミドフィルムとした時の折曲耐性が優れる観点から、BPAFの割合が多いほど好ましい。
前記イミド部のジアミンとしては、(b)<ポリイミド部の実施形態>で示したとおり、ジアミンに由来する2価の有機基を用いることが出来る。また、ポリイミド前駆体中又はポリアミド酸-イミド共重合体中に存在する複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xと互いに同一であっても異なっていてもよいが、全く同一であってはならない。Xとしては、44BAFL、33BAFL、BFAF、BAOFL、BAHF、33DAS、及び44DASから選ばれる群から選択される少なくとも1種である事が好ましく、線膨張係数(CTE)、耐薬品性、ガラス転移温度(Tg)、及び高温領域での黄色度のバランスの観点から、44BAFL、33BAFL、BFAF、BAOFL、33DAS、44DAS、44ODA、及び34ODAがより好ましい。
ポリアミド酸-イミド共重合体は、XおよびXから構成されるポリアミド酸部とXおよびXから構成されるポリイミド部を含み、ポリアミド酸の構成単位と前記ポリイミドの構成単位のモル比(構成単位Nのモル数:構成単位Mのモル数)の上限は、95:5でもよく、90:10でもよく、85:15でもよく、80:20でもよいが、残留応力と曇り度(Haze値)の観点から95:5である事が好ましく、黄色度(YI値)の観点から80:20がより好ましい。前記ポリアミド酸の構成単位と前記ポリイミドの構成単位のモル比(構成単位Nのモル数:構成単位Mのモル数)の下限は、30:70でもよく、40:60でもよく、50:50でもよく、60:40でもよいが、残留応力と黄色度(YI値)を共立する観点から40:60又は60:40である事が好ましい。
ポリアミド酸-イミド共重合体(構造単位L)の重量平均分子量(Mw)は、2,639以上が好ましく、2,639~300,000又は10,000~300,000がより好ましく、20,000~250,000が更に好ましく、40,000~200,000が特に好ましい。重量平均分子量が2,639以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が300,000以下であると、ポリアミド酸-イミド共重合体ワニスの粘度と濃度のバランスが良く、加工性が良く、塗工時の膜ムラが小さくなる。また、ポリアミド酸-イミド共重合体のMwが170,000以上であると、透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数に優れる傾向にあるため好ましく、220,000以上のMwがより好ましく、この傾向は、一般式(1)中のXとして、上記一般式(A-1)で示される構造を有するときに顕著である。そして、ポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は、IR(赤外線)キュア欠陥評価、脱ガス評価の観点で、170,000以上が好ましく、220,000以上がより好ましい。
本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である
<(B)ポリアミド酸の実施形態>
上記一般式(3)で示される構造単位を含み、かつ、Xとして上記一般式(A-1)で表される構造を有する第四の実施形態に係るポリアミド酸については、一般式(3)中、Xは、4価の有機基であり、ポリイミド前駆体中に存在する複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、テトラカルボン酸二無水物に由来する4価の有機基が例示され、当該テトラカルボン酸二無水物は上記(A)ポリアミド酸-イミド共重合体について例示されたテトラカルボン酸二無水物と同じである。
ポリアミド酸の一態様では、上記一般式(3)中、Xは、2価の有機基であり、ポリイミド前駆体中に存在する複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xとしては、ジアミンに由来する2価の有機基が例示され、当該ジアミンは上記(A)ポリアミド酸-イミド共重合体について例示されたジアミンと同じである。
ポリアミド酸について一般式(A-1)で表される構造単位は、上記(A)ポリアミド酸-イミド共重合体について例示された一般式(A-1)と同じである。
第四の実施形態に係るポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上が好ましく、10,000~300,000がより好ましく、20,000~250,000が更に好ましく、40,000~200,000が特に好ましい。重量平均分子量が3,000以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が300,000以下であると、ポリアミド酸-イミド共重合体ワニスの粘度と濃度のバランスが良く、加工性が良く、塗工時の膜ムラが小さくなる。
また、第四の実施形態におけるポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、IR(赤外線)キュア欠陥評価、脱ガス評価の観点で、170,000以上が好ましく、240,000以上がより好ましい。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である。
(ジアミン)
一般式(I)及び(II)における、P基を含むジアミンとしては、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4‘-DAS)、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン(3,4‘-DAS)、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3‘-DAS)、p-フェニレンジアミン(PDA)、m-フェニレンジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸(DABA)、2,2’-ジメチルベンジジン(mTB)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABAN)、9,9-ビス(4-アミノフェニルフルオレン)(BAFL)、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、4-アミノ安息香酸-4-アミノフェニルエステル(APAB)、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノベンゾオキサゾール、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン,1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン](BiSAM)、1,4-シクロヘキサンジアミン(CHDA)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(TFOMB)、2,2’’-ビス(トリフロロメチル)[1,1’:4’,1’’-ターフェニル]-4,4’’-ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(I)および(II)において、Pが、下記一般式(3)~(12)で表されるジアミンの少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが好ましい。
Figure 0007174199000062
Figure 0007174199000063
Figure 0007174199000064
Figure 0007174199000065
Figure 0007174199000066
Figure 0007174199000067
Figure 0007174199000068
Figure 0007174199000069
Figure 0007174199000070
Figure 0007174199000071
全ジアミン(後述する一般式(13)においてL1及びL2がアミノ基の化合物を含まない)中の、上記ジアミン化合物に由来する構造の含有量は、20モル%以上、40モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、又は95モル%以上であってよい。
(酸二無水物)
一般式(I)及び(II)における、P基を含む酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’―ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、p-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)、ビシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、等が挙げられる。これらの酸二無水物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
〈ケイ素含有化合物〉
上記で説明されたポリアミド酸、ポリアミド酸-イミド共重合体、ポリイミド共重合体、ポリイミド前駆体又はポリイミド樹脂は、下記一般式(14):
Figure 0007174199000072
{式中、R、及びRの各々は、複数ある場合それぞれ独立に、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~10の1価の芳香族基を示し、そしてmは1~200の整数を示す}
で表される構造を含むことができる。
一般式(14)の構造を含むと、得られるポリイミドフィルムのRth,残留応力が良好になるため、好ましい。
樹脂が一般式(14)の構造を有するために、上記一般式(1)及び(2)中のX~X、又は上記一般式(I)および(II)においてP又はPは、下記一般式(13):
Figure 0007174199000073
{式中、Rは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の二価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数1~5の一価の脂肪族炭化水素基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、少なくとも一つは炭素数6~10の一価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の一価の有機基であり、L及びLは、それぞれ独立に、アミノ基、酸無水物基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、iは、1~200の整数であり、j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、0≦j/(i+j+k)≦0.50であり、かつ官能基当量が800以上である。}
で表されるケイ素含有化合物に由来する構成単位を含むことができる。
樹脂組成物において、前記一般式(13)で表されるケイ素含有化合物は:
ジアミンを100mol%としたとき、20mol%以下;または、
酸二無水物を100mol%としたとき、20mol%以下
である。ケイ素含有化合物が上記の範囲であると、得られるポリイミド前駆体又はポリイミド樹脂組成物のろ過性の観点で好ましい。ろ過性をさらに向上させるという観点から、ケイ素含有化合物は、樹脂組成物の全ジアミン又は全酸二無水物を100モル%としたとき、20.0モル%以下、19.0モル%以下、18.0モル%以下、17.0モル%以下、16.0モル%以下、15.0モル%以下、又は14.0モル%以下であることがより好ましい。ケイ素含有化合物は、樹脂組成物の全ジアミン又は全酸二無水物を100モル%としたとき、0モル%を超えることができる。
式(13)中のRは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1~10の2価の有機基である。炭素数1~10の2価の有機基は、直鎖状、環状、及び分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、n-ペンチレン基、ネオペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキレン基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、エチレン基、n-プロピレン基、及びi-プロピレン基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(13)中のR及びRはそれぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基である。
炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。
炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、及びn-プロピル基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(13)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは炭素数6~10の1価の芳香族基である。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、飽和していても不飽和であってもよい。例えば、炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数6~10の1価の芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、トリル基、又はキシリル基であることが好ましい。
式(13)中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価の有機基であり、少なくとも1つは不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基であることが好ましい。炭素数1~10の1価の有機基は、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数1~10の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基等の芳香族基等が挙げられる。炭素数1~10の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、及びフェニル基から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
不飽和脂肪族炭化水素基を有する有機基は、炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基であってよく、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよい。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。炭素数3~10の不飽和脂肪族炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、及び3-ブテニル基から成る群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(13)中のR~Rの水素原子の一部又は全部は、F、Cl、Br等のハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。
式(13)中のL及びLは、それぞれ独立に、酸無水物構造を含む1価の有機基(酸無水物基ともいう)、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基である。
酸無水物構造を含む1価の有機基としては、例えば、下記式:
Figure 0007174199000074
{上記式中、「*」は、結合手を表す。}で表される、2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル基が挙げられる。
これらの中でもアミノ基、酸無水物基が好ましく、樹脂組成物の粘度安定性の観点から、アミノ基がより好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシル基は、炭素数1~6のアルコキシル基であってよく、例えば、メトキシル基、エトキシル基、n-プロポキシル基、i-プロポキシル基、n-ブトキシル基、i-ブトキシル基、t-ブトキシル基等であってよい。
ハロゲン化カルボニル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子以外のハロゲン原子が好ましく、より好ましくは、塩素原子又はヨウ素原子である。
式(13)で表されるケイ素含有化合物の官能基当量は、樹脂組成物のろ過性の観点から800以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。他方、官能基当量が500以下の場合は、ろ過性が悪くなることがある。ここで官能基当量とは、官能基1mol当たりのケイ素含有化合物の分子量である(単位:g/mol)。官能基当量は、既存の規格等に従って、公知の方法によって測定できる。また、ケイ素含有化合物の官能基当量が800以上である場合は、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下の残留応力が小さいため好ましい。この理由としては、官能基当量が特定の値以上の場合、シリコーンドメインが増え、応力緩和されるためと考えられる。
式(13)中のiは、1~200の整数であり、好ましくは2~100の整数、より好ましくは4~80の整数、更に好ましくは8~40の整数である。j及びkは、それぞれ独立に、0~200の整数であり、jは1~200の整数でもよく、j及びkは、好ましくは0~50の整数、より好ましくは0~20の整数、更に好ましくは0~50の整数である。
樹脂組成物中の樹脂は、式(13)に由来する構造を有していると、ポリイミドフィルムの窒素雰囲気下で測定した残留応力が良好(小さい)であるため、好ましい。窒素雰囲気下で測定する理由としては、ディスプレイのプロセスにおいて、ポリイミドフィルム上にSiO,SiN等の無機膜を形成する際、窒素雰囲気下に曝される場合があり、窒素雰囲気下の残留応力が小さいことが求められるからである。
モノマーの種類、コストの観点、および得られるポリイミド前駆体の分子量の観点から、一般式(13)中のL及びLは、それぞれ独立に、アミノ基であることが好ましい。すなわち、一般式(13)の、ケイ素含有化合物は、ケイ素含有ジアミンであることが好ましい。ケイ素含有ジアミンとしては、例えば、下記一般式(15):
Figure 0007174199000075
{式中、Pは、それぞれ独立に、二価の炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、P及びPは、一般式(13)において定義したR、Rと同様であり、lは、1~200の整数を表す。}
で表されるジアミノ(ポリ)シロキサンが好ましい。
上記一般式(15)中のP及びPの好ましい構造としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びフェニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、メチル基である。
上記一般式(15)中のlは、1~200の整数であり、式(15)で表されるケイ素含有ジアミンを用いて得られるポリイミドの耐熱性の観点から、3~200の整数であることが好ましい。
一般式(15)で表される化合物の官能基当量の好ましい範囲は、前述した一般式(13)で表されるケイ素含有化合物と同様である。
一般式(13)で表されるケイ素含有化合物の含有量(共重合割合)は、全モノマー質量(ポリイミド前駆体/ポリイミドの全質量)を100質量%としたとき、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
ケイ素含有化合物が0.5質量%以上である場合、支持体との間に発生する残留応力を効果的に低下することができる。ケイ素含有化合物が20質量%以下である場合、得られるポリイミドフィルムの透明性(特に低ヘイズ)が良好であり、高い全光線透過率の実現、及び高いガラス転移温度の観点から好ましい。
ポリイミド前駆体/ポリイミドに用いる単量体としてのケイ素含有化合物は、上述のとおり、出願時の技術常識を用いて合成してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-1660B-3(官能基当量2200)、X22-9409(官能基当量670))、両末端酸無水物変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-168-P5-B(官能基当量2100))、両末端エポキシ変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22-2000(官能基当量620))、両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:PAM-E(官能基当量130)、X22-161A(官能基当量800)、X22-161B(官能基当量1500)、KF8012(官能基当量2200)、東レダウコーニング製:BY16-853U(官能基当量450)、JNC社製:サイラプレーンFM3311(数平均分子量1000))、両末端エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-163A(官能基当量1750)、両末端脂環式エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-169B(官能基当量1700))、両末端ヒドキシ基変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:KF-6000)、両末端メルカプト変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-167B(官能基当量1700))、両末端酸無水物変性ジメチルシリコーン(信越化学社製:X-22-168A(官能基当量1000))等が挙げられる。これらの中でも、価格、耐薬品性向上、及びTgの向上の観点から、両末端アミン変性ジメチルシリコーンオイルが好ましい。
(d)有機溶剤
(d)有機溶剤は、上述した(a)ポリアミド酸、(b)ポリイミド、(c)ポリアミド酸-イミド共重合体及び任意的に使用されるその他の成分を溶解できるものであれば特に制限はない。このような(d)有機溶剤の具体例としては、例えば、非プロトン性溶媒、フェノ-ル系溶媒、エーテル及びグリコ-ル系溶媒等が挙げられる。
非プロトン性溶媒は、膜厚の面内均一性の向上、およびYI値の低下の観点から、極性を有することが好ましく、かつ/又は250℃~350℃の沸点を有することが好ましく、例えば、後述される沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質でよい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、及び下記一般式のアミド系溶媒:
Figure 0007174199000076
{式中、R12=メチル基で表される3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(KJケミカルズ社製、商品名:エクアミドM100)、及び、R12=n-ブチル基で表される3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(KJケミカルズ社製、商品名:エクアミドB100)};γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒またはスルホン構造含有化合物;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ピコリン、ピリジン等の3級アミン系溶媒;酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、非プロトン性極性溶媒は、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、スルホランのいずれか1種以上を含むことが好ましく、スルホランであることがより好ましい。
フェノ-ル系溶媒として、例えば、フェノ-ル、o-クレゾ-ル、m-クレゾ-ル、p-クレゾ-ル、2,3-キシレノ-ル、2,4-キシレノ-ル、2,5-キシレノ-ル、2,6-キシレノ-ル、3,4-キシレノ-ル、3,5-キシレノ-ル等が;エ-テル及びグリコ-ル系溶媒として、例えば、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エ-テル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エ-テル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。
(d)有機溶剤は、ポリアミド酸、ポリイミド、及びポリアミド酸-イミド共重合体の溶解性の観点から、NMP、GBL、DMF、及びDMAcから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
[その他の成分]
樹脂組成物は、上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分の他に、(e)イミド化触媒、非プロトン性極性物質、界面活性剤、及びアルコキシシラン化合物等を、更に含有していてもよい。
((e)イミド化触媒)
樹脂組成物からイミド化によりポリイミド樹脂フィルムを得る工程において、樹脂組成物にイミド化触媒を加えることが出来る。
当該樹脂組成物は、(c)ポリアミド酸-イミド共重合体の繰り返し単位1モルに対し、イミド化触媒を0.01~0.5モル%を含有することができる。ポリアミド酸-イミド共重合体の繰り返し単位1モルに対するイミド化触媒の含有量が0.01モル%以上であることにより、フィルムの黄色度(YI値)を抑制することが出来る。またイミド化触媒の含有量が0.5モル%以下であることが、樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。イミド化触媒の含有量は、ポリアミド酸-イミド共重合体の繰り返し単位1モルに対し、0.015~0.5モル%であることがより好ましく、0.02~0.5モル%であることが更に好ましく、0.02~0.15モル%であることが特に好ましい。
(e)イミド化触媒の含有量は、上記で説明されたポリアミド酸-イミド共重合体またはポリアミド酸の100質量部に対して、本発明の作用効果の観点から、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
イミド化触媒としては、特に限定されないが、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)などが挙げられる。また、イミド化触媒としては、本発明の作用効果の観点から、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、又はN-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)などのイミダゾール化合物が好ましく、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、イミダゾールなどがより好ましく、1,2-ジメチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、1-メチルイミダゾールなどが更に好ましく、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)及び/又は1-メチルイミダゾールを含むイミダゾール化合物がより更に好ましく、保存安定性の観点からN-Boc-イミダゾールが特に好ましく、高温での黄色度(YI値)の観点から1-メチルイミダゾールが特に好ましい。
また、イミド化触媒としては、特に限定されないが、含窒素化合物が挙げられ、具体的には、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、1-メチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4-エチル-2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1H-イミダゾール、及び1,2-ジメチルイミダゾールが挙げられる。
ピリジン化合物としては、4-ジメチルアミノピリジン、2,2’-ビピリジル、ニコチン酸、イソキノリン、ピリジン、及び2-メチルピリジンが挙げられる。
3級アミン化合物としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチルモルホリン、及びトリエチルアミンが挙げられる。
これらの化合物は、2種以上を混合して用いることもできる。
これらの中でも後述するIR(赤外線)キュア欠陥評価、脱ガス評価の観点で、1-メチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4-エチル-2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、ピリジン化合物としては、4-ジメチルアミノピリジン、2,2'-ビピリジル、ニコチン酸、イソキノリン、2-メチルピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びN-メチルモルホリンが好ましく、1-メチルイミダゾール、及びN-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)がより好ましい。
イミド化触媒の含有量は、ポリアミド酸-イミド共重合体又はポリアミド酸100質量部に対し、IR(赤外線)キュア欠陥評価、脱ガス評価の観点から、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が特に好ましい。
後述するIR(赤外線)キュア欠陥評価は、下記a.~c.のいずれか一以上を採用することで良好にすることができる;
a. 添加剤としてイミド化触媒を使用すること
b. 添加剤として沸点250-350の非プロトン性極性物質を使用すること
c. ポリアミド酸-イミド共重合体/ポリアミド酸の分子量を高分子量化すること。
良好であるメカニズムは定かではないが、イミド化促進と相関があると考えられる。すなわち、IRキュアの欠陥の原因は、オリゴマーが生成し、それが赤外線で分解することと相関があると考えられ、a.b.を採用することでイミド化が促進し、オリゴマーの生成が抑制されるからと考えられる。また、c.についても、高分子量化すれば、結果的にオリゴマー生成が抑制されると考えられる。
また、後述する脱ガス評価は、下記a.~c.のいずれか一以上を採用することで良好にすることができる;
a. 添加剤としてイミド化触媒を使用すること
b. 添加剤として沸点250-350の非プロトン性極性物質を使用すること
c. ポリアミド酸-イミド共重合体/ポリアミド酸の分子量を高分子量化すること。
良好であるメカニズムは定かではないが、イミド化促進と相関があると考えられる。すなわち、脱ガスの原因は、硬化後にポリイミドフィルムに低分子量成分・オリゴマーが残ることと相関があると考えられ、a.b.を採用することでイミド化が促進し、低分子量成分・オリゴマーの生成が抑制されるからと考えられる。また、c.についても、高分子量化すれば、結果的に低分子量成分・オリゴマーの残留が抑制されると考えられる。
(f)沸点250-350℃の非プロトン性極性物質
本開示の一態様に係る樹脂組成物は、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含む。好ましく用いることのできる沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質は、沸点250℃~350℃で、OH基及びNH基、NH基、SH基を含まず、かつケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、及びスルホンから選ばれる少なくとも1種以上の化学構造(官能基)を有する化合物である。
好ましく用いられる化合物を具体的に挙げると、例えば、沸点250℃~350℃のケトン構造を有する化合物として、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ジメチルベンゾフェノン、ドデカンジオン等を、
沸点250℃~350℃のエステル構造を有する化合物として、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸2-フェノキシエチル、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、マレイン酸ジブチル、ケイ皮酸エチル、ジエチレングリコールジアセテート、アジピン酸ジエチル等を、
沸点250℃~350℃のカーボネート構造を有する化合物として、ジフェニルカーボネート等を、
沸点250℃~350℃のアミド構造を有する化合物として、ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、アジポアミド等を、
沸点250℃~350℃のニトリル構造を有する化合物として、アジポニトリル等を、
沸点250℃~350℃のスルホキシド構造を有する化合物として、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を、
沸点250℃~350℃のスルホン構造を有する化合物として、スルホラン、3-メチルスルホラン、ジブチルスルホン、ベンゼンスルホンアミド等を挙げることができる。
これらの化合物の中で、より好ましく用いることができるのは、スルホラン、3-メチルスルホランである。
沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を、ポリアミド酸-イミド共重合体もしくは、ポリアミド前駆体に対し、単独で、もしくは溶剤と合わせて加えてコート・キュア(加熱)すると、IRキュア欠陥評価、脱ガス評価を良好にすることができる。その効果は、特に(溶剤の質量+非プロトン性極性物質の質量)を100wt%としたとき、5wt%以上加えた場合に顕著である。非プロトン性極性物質の添加量の上限としては(溶媒の質量+非プロトン性極性物質の質量)を100wt%としたとき、100wt%であり、より好ましい添加量は30wt%以下である。
(沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質)
樹脂組成物は、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含むことが好ましい。
好ましく用いることのできる沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質は、沸点250℃~350℃で、OH基及びNH基、NH基、SH基を含まず、かつケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホンから選ばれる少なくとも1種以上の化学構造(官能基)を有する化合物である。非プロトン性極性物質は、その沸点が250℃~350℃である限り、上記で説明された非プロトン性溶媒と重複してよい。
好ましく用いられる化合物を具体的に挙げると、例えば、沸点250℃~350℃のケトン構造を有する化合物として、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ジメチルベンゾフェノン、ドデカンジオン等を、
沸点250℃~350℃のエステル構造を有する化合物として、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸2-フェノキシエチル、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、マレイン酸ジブチル、ケイ皮酸エチル、ジエチレングリコールジアセテート、アジピン酸ジエチル等を、
沸点250℃~350℃のカーボネート構造を有する化合物として、ジフェニルカーボネート等を、
沸点250℃~350℃のアミド構造を有する化合物として、ベンズアミド、N,N-ジメチルベンズアミド、アジポアミド等を、
沸点250℃~350℃のニトリル構造を有する化合物として、アジポニトリル等を、
沸点250℃~350℃のスルホキシド構造を有する化合物として、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を、
沸点250℃~350℃のスルホン構造を有する化合物として、スルホラン、3-メチルスルホラン、ジブチルスルホン、ベンゼンスルホンアミド等を挙げることができる。
これらの化合物の中で、より好ましく用いることができるのは、スルホラン、3-メチルスルホランである。
沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を、ポリアミド前駆体、もしくはポリアミド前駆体及びポリイミド構造を有する樹脂、もしくは溶剤可溶性ポリイミドに対し、単独で、もしくは溶剤と合わせて加えてコート・キュア(加熱)すると、加えなかった場合に比べてキュア膜の面内膜厚均一性を上げることができ、YIを下げることができる。その効果は、特に(溶剤の質量+非プロトン性極性物質の質量)を100wt%としたとき、5wt%以上加えた場合に顕著である。
沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質は、ポリイミドのキュア工程(400℃程度まで加熱)において、250℃以上の温度になってもフィルム中に残存し、高温での可塑剤としての役割を果たしている。そのためにキュア工程の250℃以上の温度領域において、樹脂が柔らかく、流動性を持つようになって膜厚の面内均一性が向上すると共に、YIも低下すると考えられる。一方で、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質の量が多いと、キュア時にすべて揮発させることができず、キュア後のフィルムに少量残存することになる。フレキシブルディスプレイの製造工程では、キュアしたフィルムの上にCVDなどで窒化ケイ素などの無機膜を形成し、その上にアモルファスシリコンや低温ポリシリコンの層を形成し、再度キュア温度と同様の温度を掛けることがある(再アニール工程)。キュア後のフィルムに沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質が残存していると、その再アニールの際に揮発して、フィルム上に形成された無機膜にフクレを発生させる。これを防ぐには、フィルム中の当該物質の残存量を1000ppm以下に抑える必要がある。
そのため、非プロトン性極性物質の添加量の上限としては、ポリイミド前駆体、もしくはポリイミド前駆体骨格及びポリイミド骨格を有する樹脂の場合は、(溶媒の質量+非プロトン性極性物質の質量)を100wt%としたとき、100wt%である。
ポリイミド前駆体、もしくはポリイミド前駆体骨格及びポリイミド骨格を有する樹脂に加えて、さらに溶媒を含有する溶剤可溶性ポリイミドの場合には、(溶媒の質量+非プロトン性極性物質の質量)を100wt%としたとき、50wt%である。
ポリイミド前駆体、もしくはポリイミド前駆体骨格及びポリイミド骨格を有する樹脂の場合、溶剤可溶性ポリイミドの場合、いずれも更に好ましくは、添加量は30wt%以下である。
非プロトン性極性物質の中でスルホラン及び3-メチルスルホランが、キュア膜の面内均一性向上及びYI低減効果に優れる。他の物質でも同様の効果は発現するが、スルホラン及び3-メチルスルホランを用いた場合に、その効果が顕著である。
非プロトン性極性物質の沸点が250℃未満の場合はキュア膜の面内均一性向上及びYI低減という効果が発現しない。沸点が350℃を超える場合は、効果は発現するが、キュア膜中に1000ppmを超えて残存し、脱ガスの観点から好ましくない。
(界面活性剤)
樹脂組成物に界面活性剤を添加することによって、樹脂組成物の塗布性を向上することができる。具体的には、塗工膜におけるスジの発生を防ぐことができる。
このような界面活性剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、これら以外の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKF-640、642、643、KP341、X-70-092、X-70-093(商品名、信越化学工業社製);SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、DC-190(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製);SILWET L-77,L-7001,FZ-2105,FZ-2120,FZ-2154,FZ-2164,FZ-2166,L-7604(商品名、日本ユニカー社製);DBE-814、DBE-224、DBE-621、CMS-626、CMS-222、KF-352A、KF-354L、KF-355A、KF-6020、DBE-821、DBE-712(Gelest)、BYK-307、BYK-310、BYK-378、BYK-333(商品名、ビックケミー・ジャパン製);グラノール(商品名、共栄社化学社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、F173、R-08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名);フロラードFC4430、FC4432(住友スリーエム株式会社、商品名)等が挙げられる。これら以外の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、樹脂組成物の塗工性(スジ抑制)の観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好ましく、キュア工程時の酸素濃度によるYI値及び全光線透過率への影響を低減する観点から、シリコーン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部である。
(アルコキシシラン化合物)
樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムをフレキシブル基板等に用いる場合、製造プロセスにおける支持体とポリイミドフィルムとの良好な密着性を得る観点から、樹脂組成物は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、アルコキシシラン化合物を0.01~20質量部含有することができる。ポリイミド前駆体100質量部に対するアルコキシシラン化合物の含有量が0.01質量部以上であることにより、支持体とポリイミドフィルムとの間に良好な密着性を得ることができる。またアルコキシシラン化合物の含有量が20質量部以下であることが、樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。アルコキシシラン化合物の含有量は、ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.02~15質量部、より好ましくは0.05~10質量部、更に好ましくは0.1~8質量部である。アルコキシシラン化合物を用いることにより、上記の密着性の向上に加えて、樹脂組成物の塗工性が向上し(スジムラ抑制)、及びキュア時の酸素濃度によるポリイミドフィルムのYI値への影響を低減することもできる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリプロポキシシラン、γ-アミノプロピルトリブトキシシラン、γ-アミノエチルトリエトキシシラン、γ-アミノエチルトリプロポキシシラン、γ-アミノエチルトリブトキシシラン、γ-アミノブチルトリエトキシシラン、γ-アミノブチルトリメトキシシラン、γ-アミノブチルトリプロポキシシラン、γ-アミノブチルトリブトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記構造:
Figure 0007174199000077
のそれぞれで表されるアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。アルコキシシラン化合物は、一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
[ポリアミド酸-イミド共重合体の製造方法]
本発明のポリアミド酸、ポリイミド、及びポリアミド酸-イミド共重合体は、以下の工程を含む製造方法により合成することが可能である。例えば、ポリアミド酸-イミド共重合体の製造方法は、下記工程1~工程3を有する:
工程1:上記一般式(1)を構成するポリアミド酸部のテトラカルボン酸二無水物成分(X)と、ジアミン成分(X)とを反応させ、溶媒可溶性のポリイミド溶液を得る工程;
工程2:工程1で得られたポリイミドに対し、前記一般式(1)中のポリアミド酸部のジアミン(X)を溶解させる工程;及び
工程3:工程2で得られた溶液に対し、前記一般式(1)を構成するポリアミド酸部のテトラカルボン酸二無水物成分(X)を反応させ、ポリアミド酸-イミド共重体を得る工程。
先ず、工程1から順に具体的な実施形態について述べる。工程1においては、上記一般式(1)中のポリイミド部を合成する工程である。上記一般式(1)中のポリイミド部のジアミン(例えば、44BAFL)と、テトラカルボン酸二無水物(例えば、BPAF)とを、重縮合反応させることにより、合成することができる。この反応は、イミド化時に発生する水を除去する反応容器を用い、モノマー及び精製するポリイミドを溶解することが出来る溶媒中で行うことが好ましい。具体的には、例えば、還流管及びディーンスターク管を備えたセパラブルフラスコに所定量のBAFLとNMPを加え、BAFLを完全に溶解させた後、所定量のBPAF、水の共沸溶媒としてトルエンを加え、180℃まで加熱し、攪拌する方法が挙げられる。180℃で加熱中に発生した水および共沸溶媒としてのトルエンは、適宜容器外へ排出することが好ましい。
上記ポリイミド前駆体を合成する時の、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の比(モル比)は、得られる樹脂フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及び黄色度(以下、YIともいう)を所望の範囲にコントロールするとの観点から、テトラカルボン酸二無水物:ジアミン=100:85~100:200(テトラカルボン酸二無水物1モル部に対してジアミン0.85~2.00モル部)の範囲とすることが好ましく、100:101~100:125(酸二無水物1モル部に対してジアミン1.01~1.25モル部)の範囲とすることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、ポリアミド酸との反応が起き易くなり、曇り度(Haze値)が低下する点で好ましい。
反応温度としては、イミド化と水の除去を両立する観点から、140℃以上が好ましく、160℃がより好ましい。また、反応温度は、溶媒の分解による着色、およびモノマーとの反応を抑制する観点から200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、そして反応終了後は速やかに温度を100℃以下とすることが好ましい。
反応時間としては、分子量を増加させる観点から2時間以上が好ましく、3時間以上が好ましい。一方で、反応時間は、溶媒の分解による着色、およびモノマーとの反応を抑制する観点から12時間以下が好ましく、6時間以下がより好ましい。
次に、工程2について述べる。工程2は、上記工程1で得られたポリイミドに対し、上記一般式(1)中のポリアミド酸部のジアミン(X)を溶解させる工程である。工程1においてポリイミドを合成した後、所定量のジアミン(例えば、APAB)とNMPを加え十分に攪拌し、ジアミンを溶解させる。最終的に得られるポリイミド共重合体フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及び黄色度(以下、YIともいう)を所望の範囲にコントロールするとの観点から、ポリイミド部のテトラカルボン酸二無水物に由来する成分(X):ポリイミド部およびポリアミド酸部のジアミン成分に由来する成分(XとX)=100:150~100:3000(テトラカルボン酸二無水物1モル部に対してジアミン1.50~30モル部)の範囲とすることが好ましく、100:225~100:2000(テトラカルボン酸二無水物1モル部に対してジアミン2.25~20モル部)の範囲とすることがより好ましく、モル比(ジアミン/テトラカルボン酸二無水物)が、2.25~20であることが更に好ましい。上記の範囲とすることで、工程3においてテトラカルボン酸二無水物を反応させる際の反応均一性が高まり、分子量分布が2.00に近く、分子量1,000以下のオリゴマーの割合が少ないポリアミド酸-イミド共重合体が得られ、フィルムとした時の高温領域での熱安定性が向上する。
ジアミンを溶解させる温度としては、ジアミンの溶解性を高め、均一性を向上させる観点から、40℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましい。一方で、溶媒との副反応による着色を抑制する観点から、120℃以下とすることが好ましく、100℃以下がより好ましい。
次に、工程3について述べる。工程3は、上記工程2のポリイミドとジアミンが溶解した溶液に対し、上記一般式(1)中のポリアミド酸部のテトラカルボン酸二無水物を加え、重縮合反応させることにより、ポリアミド酸-イミド共重合体を合成することができる。
上記工程1~3とは異なる工程を含むポリアミド酸-イミド共重合体の製造方法として、国際公開第2020/138360号パンフレットに記載の製造方法が知られている。具体的には、上記工程1のイミド化工程において、XとXに該当するジアミン化合物を同時にイミド化する工程を含み、かつ、XとXにおいて共通のジアミン化合物を使用することが出来る。
しかしながら、本発明者らが確認したところによると、国際公開第2020/138360号パンフレットと同じ製造方法を用いた場合、つまり工程1のイミド合成時に、一般式(B-1)もしくは(B-2)に該当するジアミンを原料として用いた場合には、分子量が十分に上がらず、評価可能なポリアミド酸-イミド共重合体を得ることが出来なかった。これは、一般式(B-1)および(B-2)で表されるジアミンは反応性が高く、高温溶媒中における熱安定に乏しく、アミンが酸に対し過剰な状態で高温下(約180℃)で加熱されると、ジアミンが溶媒又は酸素などと反応することにより失活してしまい、次の工程でポリアミド酸-イミド共重合体を合成する際に十分に分子量が上がらないためであると考えられる。
具体的には、国際公開第2020/138360号パンフレットの実施例と同じ条件下で再現試験を行なって、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得たところ、得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は2,638、数平均分子量(Mn)は1,326であったことを確認した。したがって、上記工程1~3を含む製造方法は、共重合体の分子量の観点から、国際公開第2020/138360号パンフレットに記載の製造方法よりも好ましい。
上記ポリアミド酸-イミド共重合体を合成する時の、ポリアミド酸部のテトラカルボン酸二無水物成分(X)とジアミン成分(X)のモル比(X/X)は、得られる樹脂フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及びYIを所望の範囲にコントロールするとの観点から、0.85~1.2が好ましく、0.90~1.1がより好ましく、0.92~1.00が更に好ましい。上記の範囲とすることにより、ポリイミドとの反応が起き易くなり、曇り度(Haze値)が低下する点で好ましい。
また、上記ポリアミド酸-イミド共重合体を合成する時の、ポリイミド部のテトラカルボン酸二無水物成分(X)とジアミン成分(X)のモル比(X/X)は、得られる樹脂フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及びYIを所望の範囲にコントロールするとの観点から、0.85~2.0の範囲である事が好ましく、0.95~1.5の範囲である事がより好ましく、1.01~1.25の範囲である事が更に好ましい。上記の範囲とすることにより、高温での耐熱性が向上し、加熱時の分解反応が抑制され、黄色度(YI値)、曇り度(Haze値)が低下する点で好ましい。
また、上記ポリアミド酸-イミド共重合体を合成する時の、ポリアミド酸およびポリイミド部のテトラカルボン酸二無水物成分(XとX)とジアミン成分(XとX)のモル比((Xのモル数+Xのモル数)/(Xのモル数+Xのモル数))は、得られる樹脂フィルムの熱線膨張率、残留応力、伸度、及びYIを所望の範囲にコントロールするとの観点から、0.92~1.05の範囲とすることが好ましく、0.94~1.00の範囲とすることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、ポリアミド酸-イミド共重合体の分子量が向上し易く、樹脂組成物として加工性が向上し、フィルムを作製する際の塗工ムラが抑制でき、曇り度(Haze値)が低下する観点で好ましい。また、上記の範囲では、ポリアミド酸-イミド共重合体の末端アミンが減少し、加熱時の分解反応が抑制され、高温領域での熱安定性が向上し、黄色度(YI値)が低くなる。
ポリアミド酸-イミド共重合体を合成する際には、分子量を、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との比の調整、及び末端封止剤の添加によってコントロールすることが可能である。酸二無水物成分とジアミン成分との比が1:1に近いほど、及び末端封止剤の使用量が少ないほど、ポリイミドの分子量を大きくすることができる。
テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分として、高純度品を使用することが推奨される。その純度としては、それぞれ、98質量%以上とすることが好ましく、99質量%以上とすることがより好ましく、99.5質量%以上とすることが更に好ましい。複数種類の酸二無水物成分又はジアミン成分を併用する場合には、酸二無水物成分又はジアミン成分の全体として上記の純度を有していれば足りるが、使用する全種類の酸二無水物成分及びジアミン成分が、それぞれ上記の純度を有していることが好ましい。
反応の溶媒としては、上記(d)有機溶剤中に示した溶媒を用いることが出来るが、その限りではない。
その他の成分として、上記(e)イミド化触媒に記載の化合物を用いることが出来るが、その限りではない。
ポリイミドの合成に用いられる溶媒の常圧における沸点は、60℃~300℃が好ましく、140℃~280℃がより好ましく、170℃~270℃が特に好ましい。溶媒の沸点が300℃より高いと、乾燥工程が長時間必要となる。一方で、溶媒の沸点が60℃より低いと、乾燥工程中に、樹脂膜の表面における荒れの発生、樹脂膜中への気泡の混入等が起こり、均一なフィルムが得られない場合がある。
上述のように、好ましくは溶媒の常圧での沸点が170℃~270℃であり、20℃における蒸気圧が250Pa以下である溶媒を使用することが、溶解性及び塗工時エッジはじきの観点からより好ましい。より具体的には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)から成る群より選択される1種以上を使用することが好ましく、上記項目「(d)有機溶剤」に記載された溶媒を適宜使用することが出来る。溶媒中の水分含量は、3000質量ppm以下が好ましい。これらの溶媒は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
[ポリアミド酸の製造方法]
本発明の第四の実施形態に係るポリアミド酸は、限定されるものではないが、例えば、国際公開第2017/051827号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
<ポリイミド共重合体>
本開示の別の態様としては、前述の樹脂組成物に含有されていた(c)ポリアミド酸-イミド共重合体がイミド化されたポリイミド共重合体から成るフィルムが提供される。より詳細には、下記一般式(2):
Figure 0007174199000078
{式中、XおよびXは、4価の有機基を表し、XおよびXは、2価の有機基を表し、そしてn、及びmは正の整数である}
で表される構造単位を含み、かつXとして上記一般式(A-1)又は上記一般式(A-2)で表される構造を有することを特徴とするポリイミド共重合体を提供することが出来る。
ポリイミド共重合体は、それを含むポリイミドフィルムの透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数に優れるという観点から、次のいずれかを満たすことが好ましい:
・一般式(2)中のXを構成するジアミン成分は、上記一般式(A-1)又は上記一般式(A-2)で表される構造中の2つの*を-NHで置換した化合物である;
・一般式(2)中のXが、上記一般式(A-3)で表される構造、ODPA由来の構造、及び6FDA由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である;
・一般式(2)中のXが、BPDA由来の構造、ODPA由来の構造、及びTAHQ由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である;
・一般式(2)中に含まれるXとXのモル比(X/X)が、0.84~1.00である;
・一般式(2)に含まれるXとX(X/X)のモル比が、1.01~2.00である;並びに
・一般式(2)中のX及びXから構成されるポリイミドの構成単位とX及びXから成るポリイミドの構成単位のモル比(構成単位Nのモル数:構成単位Mのモル数)が、60:40~95:5の範囲である;
・X又はXとして上記一般式(A-3)で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である;
・Xが、上記一般式(A-4)、一般式(A-5)及び一般式(A-6)で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種である。
ポリイミド共重合体は、それを含むポリイミドフィルムの透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数に優れるという観点から、一般式(2)中のXが、4-アミノ-3-フルオロフェニル-4-アミノベンゾエートに由来する基である場合は、下記構成1,2:
構成1.Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合は、Xが4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び/又は2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基である;および
構成2.Xがノルボルナン―2―スピロ―α―シクロペンタノンa―α’―スピロ―2’’―ノルボルナン―5,5’’,6,6’’―テトラカルボン酸二無水物に由来する基である;
を除くことが好ましい。
ポリイミド共重合体は、透明性、耐熱性、低残留応力及び折曲耐性の観点から、一般式(2)中のXは、Xが9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)に由来する基である場合には、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンに由来する基を除くことが好ましい。
<ポリアミド酸を含む樹脂組成物>
本開示の別の態様としては、下記一般式(3):
Figure 0007174199000079
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、そしてnは、正の整数である}
で示される構造単位を含むポリアミド酸と、上記で説明された(d)有機溶剤及び(e)イミド化触媒とを含み、かつ(e)イミド化触媒が、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)及び/又は1-メチルイミダゾールを含むイミダゾール化合物であることを特徴とするか、又は(e)イミド化触媒がイミダゾール化合物であり、かつ(e)イミド化触媒の含有量がポリアミド酸100質量部に対して5質量部以上であることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
一般式(3)で示される構造単位を含む樹脂組成物は、(e)イミド化触媒として、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)及び1-メチルイミダゾールを含むことが好ましい。また、(e)イミド化触媒の含有量は、一般式(3)で示される構造単位を有するポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対して、0.02~0.15の範囲内にあることが好ましい。
一般式(3)中のXとXとnは、上記一般式(1)又は(2)について定義されたとおりでよく、Xとしては、上記一般式(A-3)で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種が好ましく、そしてXとしては、上記一般式(A-1)、上記一般式(A―2)、上記一般式(A-4)、一般式(A-5)、及び一般式(A-6)で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種が好ましく、上記一般式(A-1)で表される構造がより好ましい。
ポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は、2,639以上が好ましく、2,639~300,000又は10,000~300,000がより好ましく、20,000~250,000が更に好ましく、40,000~200,000が特に好ましい。重量平均分子量が2,639以上であると、伸度、破断強度等の機械的特性に優れ、残留応力が低く、YIが低くなる。重量平均分子量が300,000以下であると、ポリアミド酸含有ワニスの粘度と濃度のバランスが良く、加工性が良く、塗工時の膜ムラが小さくなる。また、ポリアミド酸のMwが170,000以上であると、透明性、曇り度、耐熱性及び線膨張係数に優れる傾向にあるため好ましく、220,000以上のMwがより好ましく、この傾向は、一般式(3)中のXとして、上記一般式(A-1)で示される構造を有するときに顕著である。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCともいう)を用いて、標準ポリスチレン換算値として求められる値である。
<ポリイミド>
本開示の別の態様としては、下記一般式(3):
Figure 0007174199000080
{式中、Xは、4価の有機基を表し、Xは、2価の有機基を表し、かつmは、正の整数である}
で示される構造単位Mを含むポリイミド、又は下記一般式(16)
Figure 0007174199000081
{式中、P及びPは、一般式(I)又は(II)中のP及びPと同じであり、mは正の整数である。}
で表される構造を有するポリイミドが提供される。
ポリイミドは、一般式(3)中のXとして、上記で説明された一般式(A-3)で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
一般式(3)中のXは、上記一般式(1)又は(2)中のXとして説明されたとおりである。一般式(3)中のXを構成するジアミン成分は、上記一般式(1)又は(2)中のXと同様の観点から、ジアミン組成、又はジアミン種のいずれかが異なることが好ましく、芳香族ジアミンの組成又は種類であることがより好ましく、そして一般式(3)中のXが、上記で説明された一般式(A-4)、一般式(A-5)、及び一般式(A-6)で表される構造から成る群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
一般式(I)又は(II)中の好ましいP及びPは、同じ理由により、一般式(16)のポリイミドにおいても好ましい。一般式(16)の繰り返し単位数mは、特に限定は無いが、2~150の整数であってもよい。
なお、樹脂組成物から得られるポリイミドには、樹脂組成物中に含まれていた、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質は、実質的に含まれないことが好ましいが、1000ppm以下で含まれていてもよい。
《樹脂組成物の製造方法》
上記で説明された樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法によることができる。
〈ケイ素含有化合物の精製〉
樹脂組成物は、酸二無水物、ジアミン、及びケイ素含有化合物を含む重縮合成分を重縮合反応させることにより製造することができる。樹脂組成物中に含まれる、環状のケイ素含有化合物の総量を低減する方法としては、例えば、重縮合反応の前に、ケイ素含有化合物を精製して、環状のケイ素含有化合物の総量を低減することが挙げられる。あるいは、重縮合反応の後に、樹脂組成物を精製して、環状のケイ素含有化合物の総量を低減してもよい。
ケイ素含有化合物を精製する方法としては、例えば、任意の容器内でケイ素含有化合物に不活性ガス、例えば窒素ガスを吹き込みながらストリッピングを行うことが挙げられる。ストリッピングの温度としては、好ましくは200℃以上300℃以下、より好ましくは220℃以上300℃以下、更に好ましくは240℃以上300℃以下である。ストリッピングの蒸気圧としては、低いほど好ましく、1000Pa以下、より好ましくは300Pa以下、更に好ましくは200Pa以下、より更に好ましくは133.32Pa(1mmHg)Pa以下である。ストリッピングの時間としては、好ましくは4時間以上12時間以下、より好ましくは6時間以上10時間以下である。上記の条件に調整することにより、一環状のケイ素含有化合物を効率的に除去することができ、また、環状のケイ素含有化合物の総量を好ましい範囲に制御することができる。
〈ポリイミド/ポリイミド前駆体の合成〉
ポリイミド前駆体は、酸二無水物、ジアミン、及びケイ素含有化合物を含む重縮合成分を重縮合反応させることにより合成することができる。ポリイミド/ポリイミド前駆体の合成と関連して、例えば、次のいずれかの工程:
・上記ジアミン化合物から選択される少なくとも一つの化合物と、上記酸二無水物化合物から選択される少なくとも一つの化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを提供する工程;
・上記ジアミン化合物から選択される少なくとも一つの化合物と、上記酸二無水物化合物から選択される少なくとも一つの化合物と、一般式(13)で表されるケイ素含有化合物と、その他の化合物とを重縮合反応させてポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを提供する工程;
を含む樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、ケイ素含有化合物は、上記の精製したものを用いることが好ましい。好ましい態様において、重縮合成分は、酸二無水物と、ジアミンと、ケイ素含有化合物とからなる。重縮合反応は、適当な溶媒中で行うことが好ましい。具体的には、例えば、溶媒に所定量のジアミン成分及びケイ素含有化合物を溶解させた後、得られたジアミン溶液に、酸二無水物を所定量添加し、撹拌する方法が挙げられる。ポリイミドを合成する際のイミド化は、熱イミド化でも、イミド化触媒を用いた化学イミド化でもよい。
ポリイミド/ポリイミド前駆体を合成する際の酸二無水物とジアミンとのモル比は、ポリイミド前駆体樹脂の高分子量化、樹脂組成物のスリットコーティング特性の観点から、酸二無水物:ジアミン=100:90~100:110(酸二無水物1モル部に対してジアミン0.90~1.10モル部)の範囲が好ましく、100:95~100:105(酸二無水物1モル部に対してジアミン0.95~1.05モル部)の範囲が更に好ましい。
ポリイミド/ポリイミド前駆体の分子量は、酸二無水物、ジアミン及びケイ素含有化合物の種類、酸二無水物とジアミンとのモル比の調整、末端封止剤の添加、反応条件の調整等によってコントロールすることが可能である。酸二無水物成分とジアミン成分とのモル比が1:1に近いほど、及び末端封止剤の使用量が少ないほど、ポリイミド前駆体を高分子量化することができる。
酸二無水物成分及びジアミン成分として、高純度品を使用することが推奨される。その純度としては、それぞれ、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上である。酸二無水物成分及びジアミン成分における水分含量を低減することによって高純度化することもできる。複数種類の酸二無水物成分、及び/又は複数種類のジアミン成分を使用する場合には、酸二無水物成分全体として、及びジアミン成分全体として上記の純度を有することが好ましく、使用する全種類の酸二無水物成分及びジアミン成分が、それぞれ上記の純度を有していることがより好ましい。
反応の溶媒としては、酸二無水物成分及びジアミン成分、並びに生じるポリイミド/ポリイミド前駆体を溶解することができ、高分子量の重合体が得られる溶媒であれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、非プロトン性溶媒、フェノール系溶媒、エーテル及びグリコール系溶媒等が挙げられる。
非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、及び下記一般式のアミド系溶媒:
Figure 0007174199000082
{式中、R12=メチル基で表されるエクアミドM100(商品名:KJケミカルズ社製)、及び、R12=n-ブチル基で表されるエクアミドB100(商品名:KJケミカルズ社製)};γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミド等の含リン系アミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ピコリン、ピリジン等の3級アミン系溶媒;酢酸(2-メトキシ-1-メチルエチル)等のエステル系溶媒等が挙げられる。
フェノ-ル系溶媒としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
エーテル及びグリコール系溶媒としては、例えば、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
ポリイミド/ポリイミド前駆体の合成に用いられる溶媒の常圧における沸点は、好ましくは60~300℃、より好ましくは140~280℃、更に好ましくは170~270℃である。溶媒の沸点が300℃より低いことにより、乾燥工程が短時間になる。溶媒の沸点が60℃以上であると、乾燥工程中に、樹脂膜の表面における荒れの発生、樹脂膜中への気泡の混入等が起こり難く、より均一なフィルムを得ることができる。特に、沸点が170~270℃であり、及び/又は20℃における蒸気圧が250Pa以下である溶媒を使用することが、溶解性及び塗工時のエッジ異常の低減の観点から好ましい。より具体的には、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及び上記一般式で表される化合物から成る群より選択される1種以上が好ましい。
溶媒中の水分含量は、重縮合反応を良好に進行させるために、例えば3,000質量ppm以下であることが好ましい。樹脂組成物中、分子量1,000未満の分子の含有量が5質量%未満であることが好ましい。樹脂組成物中に分子量1,000未満の分子が存在するのは、合成時に使用する溶媒や原料(酸二無水物、ジアミン)の水分量が関与しているためと考えられる。すなわち、一部の酸二無水物モノマーの酸無水物基が水分によって加水分解してカルボキシル基になり、高分子量化することなく低分子の状態で残存することによると考えられる。従って、上記の重縮合反応に使用する溶媒の水分量は少ないほど好ましい。溶媒の水分量は、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。同様に、原料に含まれる水分量についても、3,000質量ppm以下とすることが好ましく、1,000質量ppm以下とすることがより好ましい。
溶媒の水分量は、使用する溶媒のグレード(脱水グレード、汎用グレード等)、溶媒容器(ビン、18L缶、キャニスター缶等)、溶媒の保管状態(希ガス封入の有無等)、開封から使用までの時間(開封後すぐ使用するか、開封後経時した後に使用するか等)等が関与すると考えられる。合成前の反応器の希ガス置換、合成中の希ガス流通の有無等も関与すると考えられる。従って、ポリイミド前駆体の合成時には、原料として高純度品を用い、水分量の少ない溶媒を用いるとともに、反応前および反応中に系内に環境からの水分が混入しないような措置を講ずることが推奨される。
溶媒中に各重縮合成分を溶解させるときには、必要に応じて加熱してもよい。重合度の高いポリイミド前駆体を得る観点から、ポリイミド前駆体合成時の反応温度としては、好ましくは0℃~120℃、40℃~100℃、又は60~100℃であってよく、重合時間としては、好ましくは1~100時間、又は2~10時間であってよい。重合時間を1時間以上とすることによって均一な重合度のポリイミド前駆体となり、100時間以下とすることによって重合度の高いポリイミド前駆体を得ることができる。
樹脂組成物は、上記で説明されたポリイミド/ポリイミド前駆体以外に、他の追加のポリイミド前駆体を含んでもよい。しかしながら、追加のポリイミド/ポリイミド前駆体の質量割合は、ポリイミドフィルムのYI値及び全光線透過率の酸素依存性を低減する観点から、樹脂組成物中のポリイミド/ポリイミド前駆体の総量に対して、好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
ポリイミド前駆体は、その一部がイミド化されていてもよい(部分イミド化)。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性を向上できる。この場合のイミド化率は、樹脂組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と溶液の保存安定性とのバランスをとる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは50%以下である。この部分イミド化は、ポリイミド前駆体を加熱して脱水閉環することにより得られる。この加熱は、好ましくは120~200℃、より好ましくは150~185℃、さらに好ましくは150~180℃の温度において、好ましくは15分~20時間、より好ましくは30分~10時間行うことができる。
上述の反応によって得られたポリイミド/ポリイミド前駆体に、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールを加えて加熱することでカルボン酸の一部又は全部をエステル化したものを、ポリイミド前駆体として用いてもよい。エステル化によって、保存時の粘度安定性を向上することができる。これらエステル変性ポリアミド酸は、上述の酸二無水物成分を、酸無水物基に対して1当量の1価のアルコール、及び塩化チオニル、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤と順次に反応させた後、ジアミン成分と縮合反応させる方法によっても得ることができる。
〈ポリイミドの合成〉
より好ましい様態としては、ポリイミドワニスは、酸二無水物成分及びジアミン成分を、溶媒、例えば有機溶媒に溶解し、トルエンなどの共沸溶媒を加え、イミド化の際に発生する水を系外に除去することでポリイミド及び溶媒を含有するポリイミド溶液(ポリイミドワニスとも言う)として製造することが出来る。ここで、反応時の条件は特に限定されないが、例えば、反応温度は0℃~180℃、反応時間は3~72時間である。スルホン基含有ジアミン類との反応を充分に進めるために、180℃で12時間程度加熱反応させることが好ましい。また、反応時、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気であることが好ましい。
〈樹脂組成物の調製〉
ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが同一の場合には、合成したポリイミド/ポリイミド前駆体溶液をそのまま樹脂組成物として使用することができる。必要に応じて、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、ポリイミド前駆体に更なる溶媒及び追加の成分の1種以上を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してもよい。この攪拌混合は、撹拌翼を備えたスリーワンモータ(新東化学株式会社製)、自転公転ミキサー等の適宜の装置を用いて行うことができる。必要に応じて樹脂組成物を40℃~100℃に加熱してもよい。
他方、ポリイミド/ポリイミド前駆体を合成した際に用いた溶媒と、樹脂組成物に含有させる溶媒とが異なる場合には、合成したポリイミド前駆体溶液中の溶媒を、例えば再沈殿、溶媒留去等の適宜の方法により除去してポリイミド/ポリイミド前駆体を単離してもよい。次いで、室温(25℃)~80℃の温度範囲で、単離したポリイミド前駆体に、所望の溶媒及び必要に応じて追加の成分を添加して、攪拌混合することにより、樹脂組成物を調製してもよい。
特に、樹脂組成物の調製において、ポリイミド/ポリイミド前駆体を合成した後で、最後に、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を添加することが特に好ましい。これにより、得られるポリイミド樹脂膜の膜厚の面内均一性が向上し、黄色度(YI値)も低減させることができる。
上述のように樹脂組成物を調製した後、樹脂組成物を、例えば130~200℃で、例えば5分~2時間加熱することにより、ポリマーが析出を起こさない程度にポリイミド前駆体の一部を脱水イミド化してもよい(部分イミド化)。加熱温度及び加熱時間をコントロールすることにより、イミド化率を制御することができる。ポリイミド前駆体を部分イミド化することにより、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性を向上することができる。
樹脂組成物の溶液粘度は、スリットコート性能の観点においては、好ましくは500~100,000mPa・s、より好ましくは1,000~50,000mPa・s、更に好ましくは3,000~20,000mPa・sである。具体的には、スリットノズルから液漏れし難い点で、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは3,000mPa・s以上である。スリットノズルが目詰まりし難い点で、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは50,000mPa・s以下、更に好ましくは20,000mPa・s以下である。
ポリイミド/ポリイミド前駆体合成時における樹脂組成物の溶液粘度については、200,000mPa・sより高いと、合成時の撹拌が困難になるという問題が生じるおそれがある。ただし、合成する際に溶液が高粘度になったとしても、反応終了後に溶媒を添加して撹拌することにより、取扱い性のよい粘度の樹脂組成物を得ることが可能である。樹脂組成物の溶液粘度は、E型粘度計(例えばVISCONICEHD、東機産業製)を用い、23℃で測定される値である。
樹脂組成物の水分量は、樹脂組成物を保存する際の粘度安定性の観点から、好ましくは3,000質量ppm以下、より好ましくは2,500質量ppm以下、更に好ましくは2,000質量ppm以下、より更に好ましくは1,500質量ppm以下、特に好ましくは1,000質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下、特に好ましくは300質量ppm以下、特に好ましくは100質量ppm以下である。
《ポリイミド樹脂膜及びその製造方法》
上記で説明された樹脂組成物を用いて、ポリイミド樹脂膜(以下、ポリイミドフィルムともいう)を提供することができる。上記で説明されたポリイミドフィルムの製造方法は、支持体の表面上に、樹脂組成物を塗布する塗布工程と、樹脂組成物を加熱してポリイミド樹脂膜を形成する膜形成工程と、ポリイミド樹脂膜を該支持体から剥離する剥離工程と、を含む。
〈塗布工程〉
塗布工程では、支持体の表面上に樹脂組成物を塗布する。支持体は、その後の膜形成工程(加熱工程)における加熱温度に対する耐熱性を有し、かつ剥離工程における剥離性が良好であれば特に限定されない。支持体としては、例えば、ガラス基板、例えば無アルカリガラス基板;シリコンウェハー;PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂基板;ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等の金属基板等が挙げられる。
薄膜状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えば、ガラス基板、シリコンウェハー等が好ましく、厚膜状のフィルム状又はシート状のポリイミド成形体を形成する場合には、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、OPP(延伸ポリプロピレン)等からなる支持体が好ましい。
塗布方法としては、一般には、ドクターブレードナイフコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、バーコーター等の塗布方法、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等の塗布方法;スクリーン印刷及びグラビア印刷等に代表される印刷技術等が挙げられる。樹脂組成物には、スリットコートによる塗布が好ましい。塗布厚は、所望の樹脂フィルムの厚さと樹脂組成物中のポリイミド前駆体の含有量に応じて適宜調整するべきであるが、好ましくは1~1,000μm程度である。塗布工程における温度は室温でもよく、粘度を下げて作業性をよくするために、樹脂組成物を例えば40℃~80℃に加温してもよい。
〈任意の乾燥工程〉
塗布工程に続いて乾燥工程を行ってもよく、又は乾燥工程を省略して直接次の膜形成工程(加熱工程)に進んでもよい。乾燥工程は、樹脂組成物中の有機溶剤除去の目的で行われる。乾燥工程を行う場合、例えば、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の適宜の装置を使用することができる。乾燥工程の温度は、好ましくは80℃~200℃、より好ましくは100℃~150℃である。乾燥工程の実施時間は、好ましくは1分~10時間、より好ましくは3分~1時間である。上記のようにして、支持体上にポリイミド前駆体を含有する塗膜が形成される。
〈膜形成工程〉
続いて、膜形成工程(加熱工程)を行う。加熱工程は、上記の塗膜中に含まれる有機溶剤の除去を行うとともに、塗膜中のポリイミド前駆体のイミド化反応を進行させ、ポリイミド樹脂膜を得る工程である。この加熱工程は、例えば、イナートガスオーブン、ホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機等の装置を用いて行うことができる。この工程は乾燥工程と同時に行っても、両工程を逐次的に行なってもよい。
加熱工程は、空気雰囲気下で行なってもよいが、安全性と、得られるポリイミドフィルムの良好な透明性、低い厚み方向レタデーション(Rth)及び低いYI値を得る観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。加熱温度は、ポリイミド前駆体の種類、及び樹脂組成物中の溶媒の種類に応じて適宜に設定されてよいが、好ましくは250℃~550℃、より好ましくは300℃~450℃である。250℃以上であればイミド化が良好に進行し、550℃以下であれば得られるポリイミドフィルムの透明性の低下、耐熱性の悪化等の不都合を回避できる。加熱時間は、好ましくは0.1時間~10時間程度である。
特に、樹脂組成物が、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含有しているとき、ポリイミドの加熱工程において、250℃以上の温度になってもフィルム中に残存し、高温での可塑剤としての役割を果たしている。そのために樹脂が柔らかく、流動性を持つようになり、その結果得られるポリイミド樹脂膜は、膜厚の面内均一性が向上すると共に、YIも低下する。
上記の加熱工程における周囲雰囲気の酸素濃度は、得られるポリイミドフィルムの透明性及びYI値の観点から、好ましくは2,000質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下である。酸素濃度が2,000質量ppm以下の雰囲気中で加熱を行うことにより、得られるポリイミドフィルムのYI値を30以下にすることができる。
〈剥離工程〉
剥離工程では、支持体上のポリイミド樹脂膜を、例えば室温(25℃)~50℃程度まで冷却した後に剥離する。この剥離工程としては、例えば下記の(1)~(4)の態様が挙げられる。
(1)上記の方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を作製した後、構造体の支持体側からレーザーを照射して、支持体とポリイミド樹脂膜との界面をアブレーション加工することにより、ポリイミド樹脂を剥離する方法。レーザーの種類としては、固体(YAG)レーザー、ガス(UVエキシマー)レーザー等が挙げられる。波長308nm等のスペクトルを用いることが好ましい(特表2007-512568号公報、特表2012-511173号公報等を参照)。
(2)支持体に樹脂組成物を塗工する前に、支持体に剥離層を形成し、その後ポリイミド樹脂膜/剥離層/支持体を含む構成体を得て、ポリイミド樹脂膜を剥離する方法。剥離層としては、パリレン(登録商標、日本パリレン合同会社製)、酸化タングステンが挙げられ;植物油系、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系等の離型剤を用いてもよい(特開2010-067957号公報、特開2013-179306号公報等を参照)。
この方法(2)と方法(1)のレーザー照射とを併用してもよい。
(3)支持体としてエッチング可能な金属基板を用いて、ポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、エッチャントで金属をエッチングすることにより、ポリイミド樹脂フィルムを得る方法。金属としては、例えば、銅(具体例としては、三井金属鉱業株式会社製の電解銅箔「DFF」)、アルミニウム等を使用することができる。エッチャントとしては、銅に対しては塩化第二鉄等を、アルミニウムに対しては希塩酸等を使用することができる。
(4)上記方法によりポリイミド樹脂膜/支持体を含む構成体を得た後、ポリイミド樹脂膜表面に粘着フィルムを貼り付けて、支持体から粘着フィルム/ポリイミド樹脂膜を分離し、その後粘着フィルムからポリイミド樹脂膜を分離する方法。
これらの剥離方法の中でも、得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差、YI値及び伸度の観点から、方法(1)又は(2)が好ましい。得られるポリイミド樹脂フィルムの表裏の屈折率差の観点から方法(1)、すなわち、剥離工程に先立って、支持体側からレ-ザ-を照射する照射工程を行うことがより好ましい。なお、方法(3)において、支持体として銅を用いた場合は、得られるポリイミド樹脂フィルムのYI値が大きくなり、伸度が小さくなる傾向が見られる。これは、銅イオンの影響であると考えられる。
得られるポリイミドフィルムの厚さは、限定されないが、好ましくは1~200μm、より好ましくは5~100μmである。
<ポリイミドフィルム>
本開示の別の態様では、フィルム厚が10μmで測定した場合に、25℃における引張弾性率が6GPa以上であり、350℃における引張弾性率が0.5GPa以上であり、かつ黄色度(YI値)が12以下であることを特徴とするポリイミドフィルムが提供される。
ポリイミドフィルムは、原料として、上記で説明されたポリアミド酸-イミド共重合体、及び/又はポリイミド共重合体を用いて調製されることが好ましい。ポリイミドフィルムの曇り度(Haze値)は、透明性、耐熱性及び線膨張係数とのバランスを取るという観点から、0.5%よりも小さいことが好ましく、かつ/又はポリイミドフィルムの430℃で1時間保持した時の黄色度(YI値)の変化率は、Haze値、耐熱性及び線膨張係数とのバランスを取るという観点から、20%以下であることが好ましい。
上記で説明されたポリアミド酸-イミド共重合体、ポリアミド酸、ポリイミド、及び樹脂組成物を用いて製造される樹脂フィルムは、例えば、半導体絶縁膜、TFT-LCD絶縁膜、電極保護膜等として適用できる他、フレキシブルデバイスの製造において、特に基板として好適に利用することができる。ここで、樹脂フィルム及び積層体を適用可能なフレキシブルデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル電極基板、フレキシブル照明、フレキシブルバッテリー等を挙げることができる。
《ポリイミドフィルムの用途》
上記で説明された樹脂組成物から得られるポリイミドフィルムは、例えば、半導体絶縁膜、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)絶縁膜、電極保護膜として、また、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー等の表示装置の透明基板等として適用できる。
特に、ポリイミドフィルムは、フレキシブルデバイスの製造において、薄膜トランジスタ(TFT)基板、カラーフィルタ基板、タッチパネル基板、透明導電膜(ITO、Indium Thin Oxide)のフレキシブル基板として好適に使用することができる。ポリイミドフィルムを適用可能なフレキシブルデバイスとしては、例えば、フレキシブルディスプレイ用TFTデバイス、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル、フレキシブル照明、フレキシブルバッテリー、フレキシブルプリント基板、フレキシブルカラーフィルター、スマートフォン向け表面カバーレンズ等を挙げることができる。
ポリイミドフィルムを使ったフレキシブル基板上にTFTを形成する工程は、典型的には、150℃~650℃の広い範囲の温度で実施される。具体的にはアモルファスシリコンを使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に250℃~350℃のプロセス温度が必要となり、ポリイミドフィルムは、その温度に耐え得る必要があるため、具体的にはプロセス温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
金属酸化物半導体(IGZO等)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に320℃~400℃のプロセス温度が必要となり、ポリイミドフィルムは、その温度に耐え得る必要があるため、TFT作製プロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を有するポリマー構造を適宜選択する必要がある。
低温ポリシリコン(LTPS)を使用したTFTデバイスを作製する場合には、一般的に380℃~520℃のプロセス温度が必要となり、ポリイミドフィルムは、その温度に耐え得る必要があるため、TFT作製プロセス最高温度以上のガラス転移温度、熱分解開始温度を適宜選択する必要がある。他方で、これら熱履歴により、ポリイミドフィルムの光学特性(特に、光線透過率、レタデーション特性及びYI値)は高温プロセスにさらされるほどに低下する傾向にある。しかし、ポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、熱履歴を経ても良好な光学特性を有する。
以下に、ポリイミドフィルムの用途例として、ディスプレイ及び積層体の製造方法について説明する。
<ディスプレイの製造方法>
本開示の一態様では、ディスプレイの製造方法は、支持体の表面上に、樹脂組成物を塗布する塗布工程と、樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルム(ポリイミド樹脂膜)を形成する膜形成工程と、ポリイミドフィルム上に素子を形成する素子形成工程と、素子が形成されたポリイミドフィルムを支持体から剥離する剥離工程と、を含む。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造例
図1は、本開示の一態様のディスプレイの例として、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイのポリイミド基板より上部の構造を示す模式図である。図1の有機EL構造部25について説明する。例えば、赤色光を発光する有機EL素子250aと、緑色光を発光する有機EL素子250bと、青色光を発光する有機EL素子250cとが1単位として、マトリクス状に配列されており、隔壁(バンク)251により、各有機EL素子の発光領域が画定されている。各有機EL素子は、下部電極(陽極)252、正孔輸送層253、発光層254、上部電極(陰極)255から構成されている。窒化ケイ素(SiN)や酸化ケイ素(SiO)からなるCVD複層膜(マルチバリヤーレイヤー)を示す下部層2a上には、有機EL素子を駆動するためのTFT256(低温ポリシリコン(LTPS)や金属酸化物半導体(IGZO等)から選択される)、コンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258、及び下部電極259が複数設けられている。有機EL素子は封止基板2bで封入されており、各有機EL素子と封止基板2bとの間に中空部261が形成されている。
フレキシブル有機ELディスプレイの製造工程は、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部に図1に示される有機EL基板を製造する工程と、封止基板を製造する工程と、両基板を貼り合わせる組み立て工程と、ガラス基板支持体からポリイミドフィルム上に作製された有機ELディスプレイを剥離する剥離工程とを含む。有機EL基板製造工程、封止基板製造工程、及び組み立て工程は、周知の製造工程を適用することができる。以下ではその一例を挙げるが、これに限定されるものではない。剥離工程は、上述したポリイミドフィルムの剥離工程と同一である。
例えば、図1を参照すれば、まず、上記の方法によりガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、その上部にCVD法やスパッタ法により窒化ケイ素(SiN)と酸化ケイ素(SiO)の複層構造からなるマルチバリアレイヤー(図1中の下部基板2a)を作製し、その上部にTFTを駆動するためのメタル配線層を、フォトレジスト等を使用して作製する。その上部にCVD法を用いてSiO等のアクティブバッファー層を作製し、その上部に金属酸化物半導体(IGZO)や低温ポリシリコン(LTPS)などのTFTデバイス(図1中のTFT256)を作製する。フレキシブルディスプレイ用TFT基板を作製後、感光性アクリル樹脂等でコンタクトホール257を備えた層間絶縁膜258を形成する。スパッタ法等にてITO膜を成膜し、TFTと対をなすように下部電極259を形成する。
次に、感光性ポリイミド等で隔壁(バンク)251を形成した後、隔壁で区画された各空間内に、正孔輸送層253、発光層254を形成する。発光層254及び隔壁(バンク)251を覆うように上部電極(陰極)255を形成する。その後、ファインメタルマスク等をマスクにして、赤色光を発光する有機EL材料(図1中の、赤色光を発光する有機EL素子250aに対応)、緑色光を発光する有機EL材料(図1中の、緑色光を発光する有機EL素子250bに対応)及び青色光を発光する有機EL材料(図1中の、青色光を発光する有機EL素子250cに対応)を公知の方法にて蒸着することで、有機EL基板を作製する。有機EL基板を封止フィルム等(図1中の封止基板2b)で封止し、ガラス基板支持体からポリイミド基板より上部のデバイスをレーザー剥離等の公知の剥離方法で剥離することで、トップエミッション形フレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。本開示の一態様に係るポリイミドを使用する場合は、シースルー型のフレキシブル有機ELディスプレイを作製することができる。公知の方法でボトムエミッション形のフレキシブル有機ELディスプレイを作製してもよい。
フレキシブル液晶ディスプレイの製造例
本開示の一態様に係るポリイミドフィルムを使用してフレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。具体的な作製方法としては、上記の方法でガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、上記の方法を用いて、例えばアモルファスシリコン、金属酸化物半導体(IGZO等)、及び低温ポリシリコンからなるTFT基板を作製する。別途、本開示の一態様に係る塗布工程及び膜形成工程に従って、ガラス基板支持体上にポリイミドフィルムを作製し、公知の方法に従ってカラーレジスト等を使用して、ポリイミドフィルムを備えたカラーフィルターガラス基板(CF基板)を作製する。TFT基板およびCF基板の一方に、スクリーン印刷により、熱硬化性エポキシ樹脂などからなるシール材料を液晶注入口の部分を欠いた枠状パターンに塗布し、他方の基板に液晶層の厚さに相当する直径を持ち、プラスチックまたはシリカからなる球状のスペーサーを散布する。
次いで、TFT基板とCF基板とを貼り合わせ、シール材料を硬化させる。そして、TFT基板及びCF基板並びにシール材料で囲まれる空間に、減圧法により液晶材料を注入し、液晶注入口に熱硬化樹脂を塗布し、加熱によって液晶材料を封止することで液晶層を形成する。最後に、CF側のガラス基板とTFT側のガラス基板とをレーザー剥離法などでポリイミドフィルムとガラス基板の界面で剥離することで、フレキシブル液晶ディスプレイを作製することができる。
<積層体の製造方法>
本開示の一態様に係る積層体の製造方法は、支持体の表面上に、樹脂組成物を塗布する塗布工程と、樹脂組成物を加熱してポリイミドフィルム(ポリイミド樹脂膜)を形成する膜形成工程と、ポリイミドフィルム上に素子を形成する素子形成工程と、を含む。
積層体における素子としては、上記のフレキシブルディスプレイ等のフレキシブルデバイスの製造について例示したものが挙げられる。
支持体としては、例えばガラス基板を用いることができる。塗布工程及び膜形成工程の好ましい具体的手順は、上記のポリイミドフィルムの製造方法に関して記載したものと同様である。素子形成工程においては、支持体上に形成された、フレキシブル基板としてのポリイミド樹脂膜の上に、上記の素子を形成する。その後、任意に剥離工程において、素子が形成されたポリイミド樹脂膜及び素子を支持体から剥離してもよい。
また、本開示の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法は、上記の積層体の製造方法により積層体を製造することを含む。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、本発明について、実施例に基づき更に詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種評価は次のとおりに行った。
<重量平均分子量及び数平均分子量の測定>
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。
溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド(富士フイルム和光純薬社製、高速液体クロマトグラフ用、測定直前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(富士フイルム和光純薬社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(富士フイルム和光純薬社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えて溶解したもの)を使用した。重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(Easical Type PS-1、アジレント・テクノロジー社製)を用いて作成した。
装置:HLC-8220GPC(東ソー社製)
カラム:Tsk gel Super HM-H 2本(東ソー社製)
流速:0.5mL/分
カラム温度:40℃
検出器:UV-8220(UV-VIS:紫外可視吸光計、東ソー社製)
<ガラス転移温度(Tg)の評価>
温度50~500℃の範囲におけるガラス転移温度(Tg)の測定は、ポリイミドフィルムを3mm×20mmの大きさにカットしたものを試験片として、熱機械分析により行った。測定装置としてセイコーインスツル株式会社製(EXSTAR6000)を用いて、引張荷重49mN、昇温速度10℃/分及び窒素気流下(流量100mL/分)の条件で、温度50℃~500℃の範囲における試験片伸びの測定を行った。得られた曲線の変曲点からポリイミドフィルム(10μm厚)のガラス転移温度を求めた。50℃~500℃の範囲で変曲点が見られなかったもの、Tgが500℃以上と考えられ、「-」として下記表に示すことがある。
<残留応力の評価>
予め「反り量」を測定しておいた、厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハー上に、各樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃において7分間プリベークした。その後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜の付いたシリコンウェハーを作製した。
このウェハーの反り量を、残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX-230)を用いて測定し、シリコンウェハーと樹脂膜との間に生じた残留応力を評価した。
S:残留応力が-5MPa超15MPa以下(残留応力の評価「優良」)
A:残留応力が15MPa超25MPa以下(残留応力の評価「良好」)
B:残留応力が25MPa超(残留応力の評価「不良」)
<黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)の評価>
100mm角(厚さ0.7mm)のイーグルXGガラス上に、各樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、80℃で30分間プリベークした。その後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜の付いたガラス基板を作製した。得られたポリイミド付きガラス基板につき、日本電色工業(株)製Spectotometer(SE6000)にてD65光源を用いて黄色度(YI値)を測定し、コニカミノルタ(株)製分光測色計(CM-3600A)にてD65光源を用いて曇り度(Haze値)を測定した。
S:YI値が8以上12以下 (YI値の評価「S」)
A:YI値が12以上15以下 (YI値の評価「A」)
B:YI値が15以上 (YI値の評価「B」)
S:Haze値が0.2%以下 (Haze値の評価「S」)
A:Haze値が0.2%超0.5%以下 (Haze値の評価「A」)
B:Haze値が0.5%超 (Haze値の評価「B」)
<折曲耐性の評価>
予めアルミニウム(Al)を約100nmスパッタした厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハー上に、各樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃において7分間プリベークした。その後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱硬化処理(キュア処理)を施し、硬化後膜厚10μmのポリイミド樹脂膜の付いたAlスパッタ膜付きシリコンウェハーを作製した。作成したサンプルを10質量%塩酸水溶液に1日浸漬し、シリコンウェハー上から、ポリイミド樹脂膜を剥離した。剥離したポリイミドフィルムを15mm×100mmの大きさにカットしたものを試験片とした。
MIT型繰り返し折り曲げ試験機(MIT-DA、東洋精機製)を用い、作製した試験片に250gの荷重を掛けた状態で、折り曲げ半径(R)2mm、折り曲げ角度135°、及び速度90回/分の条件下で100,000回往復での繰り返し折曲げ試験を行った。試験後サンプルを装置から外し、目視で傷が付いていないものをA、付いているものをBとした。
<保存安定性の評価>
樹脂組成物を23℃で保存し、1週間後に<黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)の評価>と同様の評価でポリイミド樹脂膜のついたガラス基板を作製し、曇り度(Haze値)が0.5%以下のものを「A」、0.5%以上のものを「B」とした。
<弾性率の評価>
弾性率の測定は、ポリイミドフィルムを3mm×20mmの大きさにカットしたものを試験片として、熱機械分析により行った。測定装置としてセイコーインスツル株式会社製(EXSTAR6000)を用いて、設定温度を25℃もしくは350℃一定、窒素雰囲気下において、初期引張荷重20mN、荷重変化率100mN/分で荷重を変化させ、最大1200mNまで荷重を掛けて、伸びの測定を行った。得られた曲線の傾きから、ポリイミドフィルム(10μm厚)の弾性率を求めた。フィルムが脆く、測定中に破断、もしくは、Tgが低く途中で破断してしまったものも表4において「B」とした。評価基準は以下のとおりである。
25℃での弾性率
S:弾性率が6GPa以上 (弾性率の評価「S」)
B:YI値が6GPa以下 (弾性率の評価「B」)
350℃での弾性率
S:弾性率が0.5GPa以上 (弾性率の評価「S」)
B:YI値が0.5GPa以下 (弾性率の評価「B」)
<スパッタ再加熱試験>
上記、<黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)の評価>と同様の方法で作製したポリイミド樹脂膜付きガラス基板にアルミニウム(Al)膜を約100nmスパッタした。Al膜はポリイミド膜上に成膜した。
作製したサンプルを庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱処理を施し、膜厚10μmのポリイミド樹脂膜の付いたガラス基板を得た。得られたAlスパッタされたポリイミド付きガラス基板につき、目視で膨れ又は破れがないものを「S」、破れ又は膨れがあるものを「B」として評価した。
<430℃再加熱試験の評価>
上記、<黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)の評価>と同様の方法で作製したポリイミド樹脂膜付きガラス基板、および装置により評価を行った。
430℃において加熱硬化して得られたポリイミド付きガラス基板のYI値(YI(A))を日本電色工業(株)製Spectotometer(SE6000)にてD65光源を用いて測定した後、庫内の酸素濃度が10質量ppm以下になるように調整して、430℃において1時間の加熱処理を施し、膜厚10μmのポリイミド樹脂膜の付いたガラス基板を得た。
得られたポリイミド付きガラス基板につき、日本電色工業(株)製Spectotometer(SE6000)にてD65光源を用いてYI値(YI(B))を再度測定し、加熱前のYI値に対する変化率を評価した。YI値(変化率)は下記の式で求めた。
YI値の変化率:((YI(B)―YI(A))/YI(A)×100(%))
S:YI値の変化率が0%以上10%以下 (YI値(変化率)の評価「S」)
A:YI値の変化率が10%超20%以下 (YI値(変化率)の評価「A」)
B:YI値の変化率が20%超 (YI値(変化率)の評価「B」)
<IRキュア欠陥評価>
この評価では、量産した場合を想定して、樹脂組成物を連続でIR(赤外線)加熱硬化(キュア)処理した場合のポリイミドフィルム表面の欠陥の多寡を評価した。
縦100mm×横100mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(以下、「ガラス基板」又は単に「基板」ともいう)に、ガラス基板の端から5mm内側のエリアに、実施例及び比較例の樹脂組成物を、硬化後の膜厚が10μmになるように塗布した。塗布はスリットコーター(LC-R300G、SCREENファインテックソリューションズ製)を用いた。得られた塗膜付きガラス基板を、減圧乾燥機(東京応化工業製)を用いて、80℃、100Pa、30分間の条件で溶媒を除去し塗布膜サンプルを得た。
その後、IRキュア炉AMK-1707(光源:セラミックヒーター、炉の容積50L、AMK製)を用いて、同じ樹脂組成物の塗布膜サンプルを10枚セットし、窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、430℃で60分間加熱した。これを1バッチとして、5バッチ同じ樹脂組成物を用いて加熱処理を行った(10枚*5バッチで、計50枚処理を実施)。なお、別の組成物の処理を行う際は、IRキュア炉を500℃で5時間以上空焼きし、ダクト等の配管を清掃してから使用した。そして、5バッチ目の上段から5枚目のポリイミド樹脂膜を用いて、欠陥検査装置(LCF-5505XU、タカノ(株)製)を用いて、ポリイミド樹脂膜表面の欠陥の評価を行った。10μm以上の欠陥の個数を検出した。下記基準で評価した。
欠陥の個数が25個未満 :A(秀)
欠陥の個数が25個以上50個未満 :B(優)
欠陥の個数が50個以上100個未満 :C(良)
欠陥の個数が100個以上200個未満 :D(可)
欠陥の個数が200個以上 :E(不可)
<脱ガス評価>
ポリイミド樹脂膜をTFTの基板として用いる場合は、得られたポリイミド樹脂膜上に無機膜(例えばSiN)を形成し、無機膜のアニール処理を行う。このアニール処理の際に脱ガスが発生すると不良サンプルになるため、脱ガス開始温度は高いほど良好である。この脱ガス開始温度の評価を下記方法で行った。
縦100mm×横100mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板(以下、「ガラス基板」又は単に「基板」ともいう)に、ガラス基板の端から5mm内側のエリアに、実施例及び比較例の樹脂組成物を、硬化後の膜厚が10μmになるように塗布した。塗布はスリットコーター(LC-R300G、SCREENファインテックソリューションズ製)を用いた。得られた塗膜付きガラス基板を、減圧乾燥機(東京応化工業製)をもちいて、80℃、100Pa、30分間の条件で溶媒を除去し塗布膜サンプルを得た。その後、樹脂組成物の塗布膜サンプルを5枚セットし、IRキュア炉AMK-1707(光源:セラミックヒーター、炉の容積50L、AMK製)を用いて、窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、430℃で60分間加熱し、ガラス基板に形成されたポリイミド樹脂膜を得た。
得られたポリイミド樹脂膜上にプラズマCVDにより100nm厚のSiN成膜を形成した。得られたSiN/ポリイミド樹脂膜の積層体が形成されたガラス基板を、IRキュア炉AMK-1707を下記条件で加熱処理をおこなった。
a.窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、480℃で60分間加熱
b.窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、470℃で60分間加熱
c.窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、460℃で60分間加熱
d.窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、450℃で60分間加熱
e.窒素雰囲気下、120℃で10分間加熱後、10℃/minで昇温し、440℃で60分間加熱
そして、脱ガスの有無を下記基準で評価した;
上記a.の条件でSiN膜に膨れが発生/発生しない:A(秀)
上記b.の条件でSiN膜に膨れが発生: B(優)
上記c.の条件でSiN膜に膨れが発生: C(良)
上記d.の条件でSiN膜に膨れが発生: D(可)
上記e.の条件でSiN膜に膨れが発生: E(不可)
[合成例1及び2]
(合成例1-1-1)
還流管とディーンスターク管とを備えた500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を20g、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(44BAFL)を22.22mmol入れ、撹拌して44BAFLを溶解させた。その後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)20.00mmol、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11.41g、トルエン21.76gを40℃で加えた後、窒素フロー下で180℃において4時間重合反応を行った。180℃到達後、1時間後にディーンスターク管から水およびトルエンの混合物を抜き出した。反応4時間経過後のイミドの重量平均分子量(Mw)は19,178、数平均分子量(Mn)は8,283であった。
反応4時間経過後、内温が80℃となるまで冷却し、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)82.82mmol、NMPを100g加え、攪拌しながらAPABを完全に溶解させた。目視でAPABが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を86.17mmol加え、窒素フロー下で80℃において1時間、60℃において2時間攪拌した後、室温で終夜重合反応を行った。その後、上記NMPを加えて固形分が12質量%になるように調整することにより、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は155,382、数平均分子量(Mn)は64,063であった。
(合成例1-1-2)
(a)ポリイミド合成
還流管とディーンスターク管とを備えた500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を20g、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(44BAFL)を22.22mmol入れ、撹拌して44BAFLを溶解させた。その後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)20.00mmol、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11.41g、トルエン21.76gを40℃で加えた後、窒素フロー下で180℃において4時間重合反応を行った。180℃到達後、1時間後にディーンスターク管から水およびトルエンの混合物を抜き出した。反応4時間経過後のイミドの重量平均分子量(Mw)は19,804、数平均分子量(Mn)は8,886であった。反応4時間経過後、内温が80℃となるまで冷却し、NMPを加え、20質量%の濃度としたポリイミドのNMP溶液を得た(以下、ポリイミドワニスともいう)。
(b)ポリアミド酸合成
500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)82.82mmol、NMPを100g加え、攪拌しながらAPABを完全に溶解させた。目視でAPABが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を86.17mmol加え、窒素フロー下で80℃において5時間攪拌した後、室温で終夜重合反応を行った。その後、上記NMPを加えて固形分が20質量%になるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ポリアミド酸ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は73,044、数平均分子量(Mn)は34,917であった。
(c)ポリアミド酸-イミド共重合体合成
(a)で得られたポリイミドワニスと(b)で得られたポリアミド酸ワニスを混合し、室温で24時間攪拌を行い、ポリアミド酸-イミド共重合体のNMP溶液を得た。
(合成例1-12)
還流管とディーンスターク管とを備えた500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を20g、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(44BAFL)を22.22mmol入れ、撹拌して44BAFLを溶解させた。その後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)10.00mmol、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物10.00mmol、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11.41g、トルエン21.76gを40℃で加えた後、窒素フロー下で180℃において4時間重合反応を行った。180℃到達後、1時間後にディーンスターク管から水およびトルエンの混合物を抜き出した。反応4時間経過後のイミドの重量平均分子量(Mw)は19,342、数平均分子量(Mn)は9,242であった。
反応4時間経過後、内温が80℃となるまで冷却し、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)82.82mmol、NMPを100g加え、攪拌しながらAPABを完全に溶解させた。目視でAPABが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を86.17mmol加え、窒素フロー下で80℃において1時間重合反応を行った。その後、上記NMPを加えて固形分が12質量%になるように調整することにより、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は40,578、数平均分子量(Mn)は19,128であった。
(合成例1-2~1-11、及び1-13~1-30)
上記合成例1-1-1において、原料の種類と仕込み量を、それぞれ、表1に記載のとおりに変更した他は、合成例1-1-1と同様にして、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。
(合成例1-1-3)
上記合成例1-1-1で合成したNMP溶液に、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体の繰り返し単位1モルに対し、1-メチルイミダゾールを0.04モル加え、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。
(合成例1-1-4)
上記合成例1-1-1で合成したNMP溶液に、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体の繰り返し単位1モルに対し、1-メチルイミダゾールを0.13モル加え、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。
(合成例1-1-5)
上記合成例1-1-1で合成したNMP溶液に、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体の繰り返し単位1モルに対し、N-Bоc-イミダゾールを0.13モル加え、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。
(合成例1-1-6)
上記合成例1-1-1で合成したNMP溶液に、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体の繰り返し単位1モルに対し、1-メチルイミダゾール0.04モル、N-Bоc-イミダゾールを0.04モル加え、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。
(合成例2-1)
500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)49.50mmol、NMPを80g加え、攪拌しながらAPABを完全に溶解させた。目視でAPABが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を50.00mmol加え、窒素フロー下で80℃において5時間攪拌した後、室温で終夜重合反応を行った。その後、前記NMPを加えて固形分が12質量%になるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ポリアミド酸ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は63,353、数平均分子量(Mn)29,472であった。
(合成例2-2)
500mlの四つ口フラスコを窒素置換した後、4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート(APAB)31.68mmol、9,9-ビス(アミノフェニル)フルオレン(BAFL)7.92mmol、NMPを70g加え、攪拌しながらAPAB及びBAFLを完全に溶解させた。目視でAPAB及びBAFLが完全に溶解したことを確認した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を32.00mmol、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物(BPAF)8.00mmol、NMP22.29gを加え、窒素フロー下で80℃において5時間攪拌した後、室温で終夜重合反応を行った。その後、前記NMPを加えて固形分が12質量%になるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ポリアミド酸ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は72,118、数平均分子量(Mn)33,741であった。
(合成例2-3)
国際公開第2020/138360号パンフレットの実施例1と同様の方法でポリアミド酸-イミド共重合体ワニスを合成した。
(合成例2-4)
国際公開第2019/188305号の実施例1と同様の方法でポリイミドワニスを合成した。
下記表における各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物
BPAF:9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
TAHQ:p-フェニレンビス(トリメリテート酸無水物)
BPF-PA:9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]
フルオレン二酸無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
APAB:4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート
pPD:p-フェニレンジアミン
44BAFL:9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン
33BAFL:9,9-ビス(3-アミノフェニル)フルオレン
BFAF:9,9-ビス(3-フルオロ-4-アミノフェニル)フルオレン
33DAS:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン
44DAS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン
44ODA:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル
34ODA:3,4’-ジアミノジフェニルエーテル
BAOFL:9,9-ビス[4-(アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン
BAHF:9,9-ビス[3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル]フルオレン
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
<実施形態I>
各合成例で得られたワニスを、そのまま樹脂組成物として用い、上述の方法に従って評価を行った。合成結果は表1、評価結果は表2~4に示した。
表1および表2から明らかなように、構造単位Nのみ(ポリアミド酸)から構成されるポリイミドフィルム(比較例1-1)は、残留応力に優れるものの、YI値、Haze値は大きかった。また、比較例1-2に記載のポリアミド酸-イミド共重合体と同じ組成(X~Xを構成するモノマーのモル比が同じ)で合成されたポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムは、YI値、Haze値は優れるものの、残留応力が大きくなってしまい、光学ディスプレイ用基板として用いるのに十分な性能を示していなかった。
さらに、構造単位N中のXとして、一般式(A-1)もしくは(A-2)を用いていない、国際公開第2020/138360号パンフレットの実施例1に記載の方法で得られたポリアミド酸-イミド共重合体から得られるポリイミドフィルム(比較例1-3)は、430℃加熱処理工程で黄色に着色し、YI値およびHaze値が大きかった。また、構造単位Mのみ(ポリイミド)から構成される、国際公開第2019/188305号パンフレットの実施例1に記載の方法で得られたポリイミドから得られるポリイミドフィルム(比較例1-4)は、430℃加熱処理工程での黄変は抑制される一方で、残留応力が高く、光学ディスプレイ用の基板として用いるのに十分な性能ではなかった。
一方、実施例1-1~1-30に記載の一般式(1)で示される構造単位と、Xとして、一般式(A-1)もしくは(A-2)で示される構造とを含む、ポリアミド酸-イミド共重合体から得られるポリイミドフィルムは、黄色度(YI値)が15以下と低く、曇り度(Haze値)も0.5%以下と光学ディスプレイ用の基板として用いるのに十分な性能を有していた。また、残留応力も25MPa以下と低く、機械的特性も十分であった。以上のことから、本発明に係る樹脂組成物から得られるポリイミド樹脂フィルムは、黄色度が小さく、曇り度が小さく、残留応力が低い、樹脂フィルムであることが確認された。
具体的には、本発明では、残留応力が25MPa以下であり、黄色度が15以下であり、曇り度が0.5%以下である樹脂フィルムが得られる。
また、合成例1-1-2のように、ポリアミド酸とポリイミドを別々に合成した後、各々を混合し、反応させることで得られたポリアミド酸-イミド共重合体ワニスを得ることが出来る。このワニスから得られるポリイミドフィルムは、実施例1-1-2で示すように、実施例1-1-1と同等の性能であった。これは、所定のモル比で合成した(a)ポリアミド酸と(b)ポリイミドを混合、反応させることで、(c)ポリアミド酸-イミド共重合体が得られることを示している。
また、表2中、XおよびXから成るポリアミド酸の構成単位NとXおよびXから成るポリイミドの構成単位Mのモル比(構成単位Nのモル数:構成単位Mのモル数)が60:40である実施例1-8においては、黄色度及び曇り度に優れる透明なフィルムが得られ、残留応力も25MPa以下と低く、機械的な特性も十分であった。
また、表2中、実施例1-6、1-14、1-15で示されているとおり、X/X比が、1.01~2と酸二無水物に対してジアミンの比率を高くすると、ポリイミドの末端がアミンとなる割合が高くなることにより、ポリアミド酸と反応させたときにポリアミド酸とポリイミドの反応性が向上し、フィルムを形成する際にポリイミド同士が上手く分散するため、黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)に優れる透明なフィルムが得られる。また、実施例1-6、1-14、1-15から分かるように、X/Xの比が1.11となる組成の黄色度(YI値)が低く、特に好ましい。
また、表3中、実施例2-2~2-5で示されているとおり、イミド化触媒として1-メチルイミダゾール、もしくはN-Boc-イミダゾールを含むポリイミド-ポリアミド酸共重合体から得られるフィルムは黄色度(YI値)が低く、ディスプレイ用の基板として好適に用いることが出来る。
また、表4中、比較例2-1(合成例2-1)で示されている通り、構造単位Nのみからなるポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムは、25℃、350℃における弾性率が高く、Alスパッタ後430℃に再加熱を行っても、膨れ又は破れが発生しなかったが、YI値が高く、光学ディスプレイ用の基板としての性能は不十分であった。
また、表4中、比較例2-2(合成例2-2)で示されているとおり、350℃における弾性率が低い場合、Alスパッタ後430℃に再加熱を行うと、膨れ又は破れが発生してしまった。これは、ポリイミド部分の含有量が多く、高温での弾性率が低いため、350℃以上の高温領域においてAlとポリイミドの間での収縮力の差が大きくなり、破れ又は膨れとなったためと考えられる。
一方で、350℃における弾性率が0.5GPa以上である場合は、高温領域において収縮力の差が大きくとも、膜の強度が高いため、破れ又は膨れが生じず、ディスプレイ用の基板として好適に用いることが出来る。さらに、表4の実施例3-1~3-3で示されているとおり、350℃での弾性率が高く、曇り度(Haze値)が0.5%以下の相分離を起こしていないフィルムは、430℃再加熱試験においてYI値の変化率が小さく、ディスプレイ用の基板として好適に用いることが出来る。
具体的には、本発明では、25℃における弾性率が6GPa以上であり、350℃における弾性率が0.5GPa以上であり、曇り度が0.5%以下である樹脂フィルムが得られる。
Figure 0007174199000083
Figure 0007174199000084
Figure 0007174199000085
Figure 0007174199000086
<実施形態IV>
(合成例1-31)
前記合成例1-1-1のAPABの量を83.02mmolに変更したこと以外は、合成例1-1-1と同様に行った。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は173,000であった。
(合成例1-32)
前記合成例1-1-1のBAFLを33DASに変更し、APABの量を83.02mmolに変更したこと以外は、合成例1-1-1と同様に行った。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は171,000であった。
(合成例1-33)
前記合成例1-1-1のAPABの量を83.45mmolに変更したこと以外は、合成例1-1-1と同様に行った。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は224,000であった。
(合成例1-34)
前記合成例1-1-1のBAFLを33DASに変更し、APABの量を83.45mmolに変更したこと以外は、合成例1-1-1と同様に行った。得られたポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量(Mw)は221,000であった。
(合成例3-1)
窒素置換した5Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)180.77g(800mmol)を入れ、撹拌してAPABを溶解させた。その後、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA、純度99.5%、マナック株式会社製)を235.38g(792mmol)加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は152,000であった。
(合成例3-2)
窒素置換した5Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)181.69g(800mmol)を入れ、撹拌してAPABを溶解させた。その後、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA、純度99.5%、マナック株式会社製)を235.38g(796mmol)加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は175,000であった。
(合成例3-3)
窒素置換した5Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)145.35g(637mmol)と、4,4‘―ジアミノジフェニルスルホン(4,4’― DAS、純度99.5%、セイカ株式会社)39.53g(159mmol)を入れ、撹拌してAPABと4,4’― DASを溶解させた。その後、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA、純度99.5%、マナック株式会社製)を235.38g(800mmol)加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は173,000であった。
(合成例3-4)
窒素置換した5Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)181.69g(800mmol)を入れ、撹拌してAPABを溶解させた。その後、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA、純度99.5%、マナック株式会社製)を235.38g(796mmol)加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は242,000であった。
(合成例3-5)
窒素置換した5Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)182.42g(800mmol)を入れ、撹拌してAPABを溶解させた。その後、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA、純度99.5%、マナック株式会社製)を235.38g(799mmol)加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は241,000であった。
(合成例3-6)
窒素置換した1Lセパラブルフラスコに、18L缶開封直後のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(水分量250質量ppm)を、固形分含有量25wt%に相当する量を入れ、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(APAB、純度99.5%、日本純良薬品株式会社製)80mmolを入れ、撹拌してAPABを溶解させた。その後、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル-4,4’-ジイル(本州化学工業株式会社製)を79.6mmol加え、窒素フロー下で70℃において5時間撹拌下に重合反応を行った。その後、室温まで冷却し、窒素フロー下で8日間静置した。前記NMPを加えて溶液粘度が10,000mPa・sになるように調整することにより、ポリアミド酸のNMP溶液(以下、ワニスともいう)を得た。得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は172,000であった。
(参考例4-1)
合成例1-1-1で合成したポリイミド-ポリアミド酸共重合体(以下PAIともいう)のNMP溶液を用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表6に記載した。
(実施例4-1)
合成例1-32で合成したポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液を用いて、ポリイミド-ポリアミド酸共重合体100質量部に対し、表6に記載されたイミド化触媒1(1-メチルイミダゾール)を1質量部加え、室温で24時間攪拌を行い、ポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。このワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表6に記載した。
(実施例4-2~30)
表6に記載されたポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液を用いて、表5に記載されたイミド化触媒を表6に記載された添加量を加え、それ以外は、実施例4-1と同様にしてポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。得られたワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表6に記載した。
(実施例4-31)
表6に記載されたポリイミド-ポリアミド酸共重合体のNMP溶液を用いて、表5に記載されたイミド化触媒を表6に記載された添加量を加え、さらに沸点250-350℃の非プロトン性極性物質としてスルホランを、NMP100質量部に対し20質量部加え、それ以外は、実施例4-1と同様にしてポリアミド酸-イミド共重合ワニスを得た。得られたワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表6に記載した。
(比較例5-1)
合成例3-1で合成したポリアミド酸(以下PAAともいう)のNMP溶液を用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表7に記載した。
(実施例5-1)
合成例3-2で合成したポリアミド酸のNMP溶液を用いて、ポリアミド酸共重合体100質量部に対し、表5に記載されたイミド化触媒1(1-メチルイミダゾール)を1質量部加え、室温で24時間攪拌を行い、ポリアミド酸ワニスを得た。このワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表7に記載した。
(実施例5-2~29、比較例5-2)
表7に記載されたポリアミド酸のNMP溶液を用いて、表5に記載されたイミド化触媒を表7に記載された添加量を加え、それ以外は、実施例5-1と同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。得られたワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表7に記載した。
(実施例5-30)
表7に記載されたポリアミド酸のNMP溶液を用いて、表5に記載されたイミド化触媒を表7に記載された添加量を加え、さらに沸点250-350℃の非プロトン性極性物質としてスルホランを、NMP100質量部に対し20質量部加え、それ以外は、実施例5-1と同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。得られたワニスを用いて上記IRキュア欠点評価、脱ガス評価を行った。結果を表7に記載した。
Figure 0007174199000087
Figure 0007174199000088
Figure 0007174199000089
<実施形態II>
各合成例で得られたワニスを、そのまま樹脂組成物として用い、上述の方法に従って評価を行った。合成結果は表8、評価結果は表9及び10に示した。
表8および表9から明らかなように、構造単位Nのみ(ポリアミド酸)から構成されるポリイミドフィルム(比較例II-1-1)は、残留応力に優れるものの、YI値、Haze値は大きかった。また、実施例II-1-1に記載のポリアミド酸-イミド共重合体と同じ組成(X~Xを構成するモノマーのモル比が同じ)で合成されたポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムは、YI値、Haze値は優れるものの、残留応力が大きくなってしまい、両者とも光学ディスプレイ用基板として用いるのに十分な性能を示していなかった。
さらに、構造単位N中のXとして、一般式(A-1)もしくは(A-2)を用いていない、国際公開第2020/138360号パンフレットに記載の実施例1に記載の方法で得られたポリアミド酸-イミド共重合体から得られるポリイミドフィルム(比較例II-1-3)は、430℃加熱処理工程で黄色に着色し、YI値およびHaze値が大きかった。また、構造単位Mのみ(ポリイミド)から構成される、国際公開第2019/188305号パンフレットに記載の実施例1に記載の方法で得られたポリイミドから得られるポリイミドフィルム(比較例II-1-4)は、430℃加熱処理工程での黄変は抑制される一方で、残留応力が高く、光学ディスプレイ用の基板として用いるのに十分な性能ではなかった。
一方、実施例II-1-1-1のように、Xとして、一般式(A-1)、及びで表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種を含む、ポリアミド酸-イミド共重合体から得られるポリイミドフィルムは、黄色度(YI値)が15以下と低く、曇り度(Haze値)も0.5%以下と光学ディスプレイ用の基板として用いるのに十分な性能を有していた。また、残留応力も25MPa以下と低く、かつ折曲耐性もすぐれ、機械的特性も十分であった。以上のことから、本発明に係る樹脂組成物から得られるポリイミド樹脂フィルムは、黄色度が小さく、曇り度が小さく、残留応力が低い、樹脂フィルムであることが確認された。
具体的には、本発明では、残留応力が25MPa以下であり、黄色度が15以下であり、曇り度が0.5%以下であり、折曲耐性に優れる樹脂フィルムが得られる。
また、合成例1-1-2のように、ポリアミド酸とポリイミドを別々に合成した後、各々を混合し反応させることで得られたポリアミド酸-イミド共重合体ワニスを得ることが出来る。このワニスから得られるポリイミドフィルムは、実施例II-1-1-2で示すように、実施例II-1-1-1と同等の性能であった。これは、所定のモル比で合成した(b)ポリアミド酸と(a)ポリイミドを混合、反応させることで、(c)ポリアミド酸-イミド共重合体が得られることを示している。
一方、表9中、比較例II-1-1で示されているとおり、構造単位Nのみのポリアミド酸から得られるポリイミドフィルムは、残留応力に優れる一方で折曲耐性は不十分であった。これは、構造単位Nのみから成るポリイミドフィルムは非常に剛直なため、折曲げ試験時に面内の結晶化が進み、傷が付いたと考えられる。このことから、構造単位Nと構造単位Mから成るポリアミド酸-イミド共重合体から得られるポリイミド共重合フィルムは、黄色度及び曇り度に優れ、残留応力が低く、かつ折曲耐性にも優れる。
また、実施例II-1-6、II-1-12、及びII-1-13で示されているとおり、X/X比が1.01~2と酸二無水物に対してジアミンの比率を高くすると、ポリイミドの末端がアミンとなる割合が高くなることにより、ポリアミド酸と反応させたときにポリアミド酸とポリイミドの反応性が向上し、フィルムを形成する際にポリイミド同士が上手く分散するため、黄色度(YI値)及び曇り度(Haze値)に優れ、折曲耐性に優れる、透明なフィルムが得られる。また、実施例II-1-6、II-1-12、及びII-1-13から分かるように、X/Xの比が1.11となる組成の黄色度(YI値)が低く、特に好ましい。
また、表10中、実施例II-2-1~II-2-5で示されているとおり、イミド化触媒として1-メチルイミダゾール、もしくはN-Boc-イミダゾールを含むポリイミド-ポリアミド酸共重合体から得られるフィルムは黄色度(YI値)が低く、ディスプレイ用の基板として好適に用いることが出来る。
Figure 0007174199000090
Figure 0007174199000091
Figure 0007174199000092
<実施形態III>
[実施例III-1]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量15wt%に相当する量を入れ、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を15.69g(49.0mmol)入れ、攪拌してTFMBを溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を9.27g(42.5mmol)及び、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)を3.33g(7.5mmol)加え、窒素フロー下で80℃4時間攪拌し、室温まで冷却後、沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質として、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として3wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスをミカサコーターにより6インチのシリコンウェハ及び10cm角のイーグルガラス上にスピンコートし、ホットプレートで100℃×6分プリベークした後、ファーネス炉に入れて窒素フロー下、380℃で1時間加熱キュアしてポリイミド樹脂膜を得た。シリコンウェハ上に形成されたポリイミド樹脂膜について、ラムダエースを用いて面内の39か所の膜厚を測定し、[(平均値から最も外れた膜厚)-(平均膜厚)]を平均膜厚で割った値(以下、面内膜厚均一性とも言う)は、6.0%であった。
イーグルガラス上に形成されたポリイミド樹脂膜について、ヘーズメーターを用いてYIを測定した所、膜厚10μm換算で7.9であった。
また、イーグルガラス上に形成されたポリイミド樹脂膜を400℃まで再加熱し、発生するガス成分をGCMSで分析したが、スルホランは検出されなかった。
[実施例III-2]
実施例III-1において、添加するスルホランの量を3wt%から20wt%に変えた他は、実施例III-1と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.0%、7.3、0ppmであった。
[実施例III-3]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量15wt%に相当する量を入れ、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)を15.69g(49.0mmol)入れ、攪拌してTFMBを溶解させた。その後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を9.27g(42.5mmol)及び、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)を3.33g(7.5mmol)加え、窒素フロー下で80℃4時間攪拌し、室温まで冷却、更にこの溶液を溶液の6倍量の水に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾別した後、真空乾燥機を用い、40℃で24時間真空乾燥した。それからポリマーを15wt%になるようにスルホランに溶解して、ポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.0%、7.3、600ppmであった。
[比較例III-1]
実施例III-1において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-1と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、8.1、0ppmであった。
[実施例III-4]
実施例III-2において、スルホランを3-メチルスルホランに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.0%、7.6、0ppmであった。
[実施例III-5]
実施例III-2において、スルホランをベンゾフェノンに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ4.2%、7.4、0ppmであった。
[実施例III-6]
実施例III-2において、スルホランを酢酸2-フェノキシエチルに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ3.3%、7.6、0ppmであった。
[実施例III-7]
実施例III-2において、スルホランをジフェニルカーボネートに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ3.0%、7.5、0ppmであった。
[実施例III-8]
実施例III-2において、スルホランをアジポアミドに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ4.1%、7.6、0ppmであった。
[実施例III-9]
実施例III-2において、スルホランをアジポニトリルに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ4.0%、7.5、0ppmであった。
[実施例III-10]
実施例III-2において、スルホランをジブチルスルホキシドに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ3.0%、7.6、0ppmであった。
[比較例III-2]
実施例III-2において、スルホランをジメチルスルホンに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、8.1、0ppmであった。
[比較例III-3]
実施例III-2において、スルホランをジフェニルスルホンに変えた他は実施例III-2と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ4.0%、7.5、1500ppmであった。
[実施例III-11]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量20wt%に相当する量を入れ、4-アミノ安息香酸4-アミノフェニル(APAB)を8.95g(39.2mmol)及び4,4’-ジアミノフェニルスルホン(4,4’-DAS)を2.43g(9.8mmol)入れ、攪拌して両者を溶解させた。その後、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を14.71g(50mmol)加え、窒素フロー下で80℃4時間攪拌し、室温まで冷却後、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.2%、12.6、0ppmであった。
[比較例III-4]
実施例11において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-11と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ11.0%、13.5、0ppmであった。
[実施例III-12]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)22.2gを入れ、3,3’-ジアミノフェニルスルホン(3,3’-DAS)を2.61g(10.53mmol)入れて攪拌溶解させた後、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を2.94g(9.47mmol)、トルエン20gを加え、フラスコにリフラックス管とディーンスターク管を取り付け、窒素フロー下で、180℃で、発生する水をディーンスターク管から抜きながら窒素フロー下で2時間反応させ、更に180℃で1時間加熱してディーンスターク管から、加えたトルエンを全て抜いた。その後、反応液を室温まで冷却し、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)81.96g、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を11.77g(40mmol)、4-アミノ安息香酸4-アミノフェニル(APAB)を8.72g(38.2mmol)入れ、攪拌して溶解させた。それから、窒素フロー下で、80℃で4時間反応させ、室温まで冷却後、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.3%、12.9、0ppmであった。
[比較例III-5]
実施例III-12において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-12と同様にポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、13.6、0ppmであった。
[実施例III-13]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量20wt%に相当する量を入れ、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAFL)を17.07g(49mmol)入れ、攪拌してBAFLを溶解させた。その後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物(BPAF)を22.92g(50mmol)加え、窒素フロー下で80℃4時間攪拌し、室温まで冷却後、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.1%、12.8、0ppmであった。
[比較例III-6]
実施例III-13において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-13と同様にポリアミドイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、13.5、0ppmであった。
[実施例III-14]
300mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を固形分含有量26wt%に相当する量だけ入れ、4,4’-ジアミノベンズアニリド(DABAN)を2.27g(10mmol)入れ、攪拌してDABANを溶解させた。その後、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)を3.84g(10mmol)加え、窒素フロー下で室温で12時間攪拌後、3-メチルスルホランを(溶媒の質量+3-メチルスルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.4%、1.5、0ppmであった。
[比較例III-7]
実施例III-14において、3-メチルスルホランを添加しなかった他は実施例III-14と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ11.0%、2.3、0ppmであった。
[実施例III-15]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量15wt%に相当する量を入れ、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-CHDA)を5.6g(49mmol)入れ、攪拌して溶解させた。その後、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を13.8g(47.5mmol)、p-フェニレンビストリメリット酸二無水物(TMHQ)を0.7g(1.5mmol)加え、窒素フロー下で80℃1時間、室温で5時間攪拌後、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.2%、1.6、0ppmであった。
[実施例III-16]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量15wt%に相当する量を入れ、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-CHDA)を5.6g(49mmol)入れ、攪拌して溶解させた。その後、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を13.8g(47.5mmol)、p-フェニレンビストリメリット酸二無水物(TMHQ)を0.7g(1.5mmol)加え、窒素フロー下で80℃1時間、室温で5時間攪拌後、この溶液を溶液の6倍量の水に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾別した後、真空乾燥機を用い、40℃で24時間真空乾燥した。それからポリマーを15wt%になるようにスルホランに溶解させてポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.2%、1.6、600ppmであった。
[比較例III-8]
実施例III-15において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-15と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、2.3、0ppmであった。
[実施例III-17]
500mlセパラブルフラスコにγ-ブチロラクトン(GBL)を168g入れ、3,5-ジアミノ安息香酸(DABA)を15.2g(100mmol)加えて攪拌溶解させた後、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)を38.4g(100mmol)、トルエンを30g加えた。フラスコにリフラックス管とディーンスターク管を取り付け、窒素フロー下で、180℃で、発生する水をディーンスターク管から抜きながら窒素フロー下で2時間反応させ、更に180℃で1時間加熱してディーンスターク管から、加えたトルエンを全て抜いた。スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌して可溶性ポリイミドの溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.5%、1.4、0ppmであった。
[実施例III-18]
実施例III-17において、添加するスルホランの量を20wt%から50wt%に変えた他は、実施例III-17と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.5%、1.4、600ppmであった。
[比較例III-9]
500mlセパラブルフラスコにγ-ブチロラクトン(GBL)を168g入れ、3,5-ジアミノ安息香酸(DABA)を15.2g(100mmol)加えて攪拌溶解させた後、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)を38.4g(100mmol)、トルエンを30g加えた。フラスコにリフラックス管とディーンスターク管を取り付け、窒素フロー下で、180℃で、発生する水をディーンスターク管から抜きながら窒素フロー下で2時間反応させ、更に180℃で1時間加熱してディーンスターク管から、加えたトルエンを全て抜いた。その後この溶液を溶液の6倍量の水に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾別した後、真空乾燥機を用い、40℃で24時間真空乾燥した。それからポリマーを15wt%になるようにスルホランに溶解させて可溶性ポリイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.5%、1.4、1500ppmであった。
[比較例III-10]
実施例III-17において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-17と同様にポリアミド酸の溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.6%、2.2、0ppmであった。
[実施例III-19]
500mlセパラブルフラスコにN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を130g入れ、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を32.858g(97.7mmol)加えて攪拌溶解させた後、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)を22.936g(60mmol)、トルエンを30g加えた。フラスコにリフラックス管とディーンスターク管を取り付け、窒素フロー下で、180℃で、発生する水をディーンスターク管から抜きながら窒素フロー下で2時間反応させ、更に180℃で1時間加熱してディーンスターク管から、加えたトルエンを全て抜いた。この溶液を50℃まで冷却後、NMPを25g加え、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を11.704g(40mmol)加え50℃で4時間攪拌して室温まで冷却し、更に信越化学製シリコーンジアミンX-22-1660-B-3を7.723g(2mmol)を加えて1時間攪拌した。それから、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.2%、1.3、0ppmであった。
[実施例III-20]
500mlセパラブルフラスコにN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を130g入れ、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(6FODA)を32.858g(97.7mmol)加えて攪拌溶解させた後、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’-ノルボルナン-5,5’,6,6’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)を22.936g(60mmol)、トルエンを30g加えた。フラスコにリフラックス管とディーンスターク管を取り付け、窒素フロー下で、180℃で、発生する水をディーンスターク管から抜きながら窒素フロー下で2時間反応させ、更に180℃で1時間加熱してディーンスターク管から、加えたトルエンを全て抜いた。この溶液を50℃まで冷却後、NMPを25g加え、4,4’-ビフタル酸二無水物(BPDA)を11.704g(40mmol)加え50℃で4時間攪拌して室温まで冷却し、更に信越化学製シリコーンジアミンX-22-1660-B-3を7.723g(2mmol)を加えて1時間攪拌した。その後この溶液を溶液の6倍量の水に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾別した後、真空乾燥機を用い、40℃で24時間真空乾燥した。それからポリマーを15wt%になるようにスルホランに溶解させてポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.2%、1.3、500ppmであった。
[比較例III-11]
実施例III-19において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-19と同様にポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.0%、2.2、0ppmであった。
[実施例III-21]
500mlセパラブルフラスコを窒素置換し、そのセパラブルフラスコに、溶媒として18L缶開封直後のN-メチルピロリドン(NMP:水分量250ppm)を、固形分含有量15wt%に相当する量を入れ、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-CHDA)を3.4576g(30.3mmol)、4,4’-ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)を26.0326g(70.7mmol)入れ、攪拌して溶解させた。その後、デカヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物(DNDA)を30.5098g(100.9mmol)加え、窒素フロー下で室温で一晩攪拌後、スルホランを(溶媒の質量+スルホランの質量)を100wt%として20wt%になるように添加し、更に1時間攪拌してポリアミド酸の溶液(以下、ワニスとも言う)を得た。
このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ2.1%、1.8、0ppmであった。
[比較例III-12]
実施例III-21において、スルホランを添加しなかった他は実施例III-21と同様にポリアミド酸-可溶性ポリイミドの溶液を得た。このワニスを実施例III-1と同様にキュアし、ポリイミド樹脂膜の面内膜厚均一性、YI、再加熱時の脱ガス量を測定した所、それぞれ12.2%、2.9、0ppmであった。
上記各実施例および比較例の結果を表11~表13にまとめて示す。
Figure 0007174199000093
Figure 0007174199000094
Figure 0007174199000095
以上のように、実施例の樹脂組成物は、比較例に比べて、樹脂が柔らかく、流動性を持つようになり、ポリイミド樹脂膜とした際に、膜厚の面内均一性が向上すると共に、YIも低減されており、ディスプレイ用途に求められる特性が優れていた。
2a 下部基板
2b 封止基板
25 有機EL構造部
250a 赤色光を発光する有機EL素子
250b 緑色光を発光する有機EL素子
250c 青色光を発光する有機EL素子
251 隔壁(バンク)
252 下部電極(陽極)
253 正孔輸送層
254 発光層
255 上部電極(陰極)
256 TFT
257 コンタクトホール
258 層間絶縁膜
259 下部電極
261 中空部

Claims (15)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0007174199000096
    {式中、X及びXは、4価の有機基を表し、X及びXは、2価の有機基を表し、n、m、およびlは、正の整数であり
    前記一般式(1)中のXとして、下記一般式(A-1):
    Figure 0007174199000097
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、a及びbは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
    で示される構造を含み、かつ
    前記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-4)、下記一般式(A-5)及び下記一般式(A-6):
    Figure 0007174199000098
    (式中、R ~R 11 は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、そしてh~kは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Z は、結合基を示し、そして*は、結合部を示す)
    Figure 0007174199000099
    (式中、R 12 及びR 13 は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、l及びmは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
    Figure 0007174199000100
    (式中、R 14 及びR 15 は、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、n及びоは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、そして*は、結合部を示す)
    で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種である
    で示される構造単位を含むポリアミド酸-イミド共重合体と、(d)有機溶剤と、(e)イミド化触媒とを含み、かつ前記(e)イミド化触媒が、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、及び三級アミン化合物から成る群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、フィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  2. 前記イミダゾール化合物が、1-メチルイミダゾール、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、4-エチル-2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1H-イミダゾール、及び1,2-ジメチルイミダゾールから成る群から選択される少なくとも一つであり、
    前記ピリジン化合物が、4-ジメチルアミノピリジン、2,2’-ビピリジル、ニコチン酸、イソキノリン、ピリジン、及び2-メチルピリジンから成る群から選択される少なくとも一つであり、かつ/又は
    前記三級アミン化合物が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-メチルモルホリン、及びトリエチルアミンから成る群から選択される少なくとも一つである、
    請求項1に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  3. 前記(e)イミド化触媒が、前記イミダゾール化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合体100質量部に対し、5質量部以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド酸-イミド共重合体の重量平均分子量が170,000以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  6. 前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合体100質量部または前記ポリアミド酸100質量部に対し、10質量部以上である、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  7. 前記(e)イミド化触媒が、N-tert-ブトキシカルボニルイミダゾール(N-Boc-イミダゾール)及び/又は1-メチルイミダゾールを含むイミダゾール化合物である、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  8. 前記ポリアミド酸-イミド共重合体又は前記ポリアミド酸の重量平均分子量が、220,000以上である、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  9. さらに沸点250℃~350℃の非プロトン性極性物質を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  10. 前記非プロトン性極性物質がスルホランである、請求項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  11. 前記一般式(1)中のXが、下記一般式(A-3):
    Figure 0007174199000101
    {式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~20の1価の有機基、又はハロゲンを表し、d~gは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、Zは、結合基を示し、そして*は、結合部を示す}
    で表される構造、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)由来の構造、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)由来の構造、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)由来の構造、及び4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)由来の構造から成る群から選択される少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  12. 前記(e)イミド化触媒の含有量が、前記ポリアミド酸-イミド共重合の繰り返し単位1モルに対して0.02~0.15モル%の範囲である、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルム化してポリイミドフィルムを形成するための樹脂組成物が、フィルム化された、ポリイミドフィルム。
  14. 厚さが1~200μmである、請求項13に記載のポリイミドフィルム。
  15. フレキシブルデバイスにおけるフレキシブル基板として使用するための、請求項13又は14に記載のポリイミドフィルム。
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