JP7158582B2 - 調整量推定装置、調整量推定方法、調整量推定プログラム及び工作機械組立方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、案内面の傾きの補正値を算出する工作機械調整システムが記載されている。この工作機械調整システムは、案内面上を移動する移動体の変位を測定し、測定した変位に基づいて傾きの調整量を算出する。
同様の問題は、案内面以外の任意の面について存在する。また、製造段階に限らず、メンテナンスなどのために、工作機械を分解し、再度組み上げる場合等にも同様の問題が存在する。このような問題は、工作機械に限らず、複数の部品を組み立てて機械を製造する場合に一般的に発生する。
さらには、面の傾斜に限らず、任意の幾何学的誤差についても同様の問題が発生する。
以下、本開示の第1の実施の形態に係る調整量推定装置100について、図面を参照して説明する。
この調整量推定装置100は、図1に示すように、後述する各種データを記憶するデータ記憶部20と、各種演算を行う演算部40と、外部機器と情報をやり取りする通信部70と、を備える。また、データ記憶部20、データ取得部41及び演算部40は、通信部70を介して作業者端末60を含む外部機器と相互に通信することができる。
また、図1に示すように、調整量推定装置100には、工作機械Pを含む測定対象物の3次元形状を測定する三次元測定器Mが接続されている。調整量推定装置100は通信部70を介して三次元測定器Mと通信する。
調整後測定結果記憶部24は、調整後に三次元測定によって測定された点の三次元座標を含む調整後測定結果情報を記憶する。
補正項記憶部25は、過去に算出された案内面の高さの推定値と実際の値との差である補正項情報を記憶する。
表示部61は、請求項における調整量出力部の一例である。
具体的には、情報演算装置10は、例えば汎用のコンピュータである。情報演算装置10は、図2に示すように、プロセッサ101と、通信部102と、情報を一時的に記憶する主記憶部103と、情報を永続的に記憶する補助記憶部104と、情報演算装置10の内部でデータをやり取りする内部バス105と、を備える。
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、様々な論理演算処理を行う。
通信部102は、他装置と通信するインタフェースである。
主記憶部103は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)を含み、補助記憶部104は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)を含む。
例えば、調整量推定装置100のデータ記憶部20は情報演算装置10の主記憶部103又は補助記憶部104によって実現される。演算部40は、主記憶部103又は補助記憶部104に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することによって実現される。通信部70は、通信部102によって実現される。データ記憶部20、データ取得部41、演算部40の相互の通信は、これらを接続する内部バス105によって実現される。
なお、工作機械PのテーブルP12、コラムP13等を支持する複数の支持材Cは、理解を容易にするため図3には図示されていない。しかし、支持材Cは、ベッドP11の上面とテーブルP12との間、ベッドP11とコラムP13との間に配置されているスライダ機構に設けられており、テーブルP12及びコラムP13を複数の接続点P21~P28において支持する。これらの支持材Cは、例えば、微小な単位で長さ、高さ、厚さ等の調節可能なスペーサ、座金等である。
支持材Cは、請求項における調整部材の一例である。
調整部材は精密ネジ式の調整機構であってもよい。
テーブルP12は、ベッドP11の案内面Sxに設けられ、ベッドP11の上をx方向に移動可能なテーブルである。コラムP13は、ベッドP11の案内面Syに設けられ、ベッドP11の上をy方向に移動可能であり、側面にz方向の案内面Szを備える。z軸ベースP14は、コラムP13上の案内面Szに接している。ヘッドP15は、被加工物を加工するものである。
以下、図3及び図4を参照して、調整量推定装置100を用いてベッドP11の上面である案内面Sxを水平に調整する方法を説明する。
図5Aは、最小単位であるLの厚さを有するスペーサRを例示した説明図である。図5Bは、最小単位Lの4倍である4Lの厚さを有する1つのスペーサR1を例示した説明図である。図5Cは、最小単位Lの厚さを有するスペーサRを4枚重ねることで全体として4Lの厚さを有するスペーサR2としたものを例示した説明図である。図5A~図5Cに例示したスペーサR、R1、R2をベッドP11とテーブルP12との間、又はベッドP11とコラムP13との間に配置することで、ベッドP11とコラムP13のz方向の寸法、接続点P21~P28におけるz方向の高さを変更することができる。なお、z方向の高さを変更する手段については、例示した平板状のスペーサR、R1、R2等に限定されない。
図6の左側の破線で示した作業の流れは、工作機械Pを用いた加工作業のフローチャートであり、右側の破線で示した処理の流れは、調整量推定装置100を用いた調整量推定処理のフローチャートである。加工作業と調整量推定処理とで共通して用いられる情報のうち、対応するものの流れを左向き又は右向きの矢印で示す。
このステップでは、ベッドP11、テーブルP12及びコラムP13という工作機械Pの構成部品は、個別に三次元測定される。このように個別の測定が行われるのは、まだ工作機械Pの構成部品を組み合わせていないためである。
ステップS12は、請求項における座標測定ステップ、座標取得ステップ又は調整前測定結果取得ステップの一例である。
ここで演算される幾何学的誤差とは、例えば、ベッドP11の案内面、コラムP13の案内面及びテーブルP12の上面の姿勢のずれ、すなわち、角度として演算される傾きである。三次元測定器Mによって測定された三次元測定結果データには、これらの面の傾きは含まれない。このため、幾何学的誤差演算部43は、例えば、三次元測定結果データに含まれる複数の点の同士のx座標及びy座標の差に対するz座標の差の比を計算することで、角度を算出する。そして、ここで演算された幾何学的誤差に基づいて、組立後の構成部品の各基準位置からの変位が予測計算される。
ステップS22は、請求項における変位計算ステップ又は幾何学的誤差演算ステップの一例である。
例えば、テーブルP12に関する調整量の指示であれば、調整量推定装置100は、表示部61に「P21:0.0mm、P22:+0.1mm、P23:+0.1mm、P24:+0.2mm」と表示させる。これにより、作業者は、基準となる高さに対して、接続点P21の支持材Cの厚さを基準値Lと同一にし、接続点P22及びP23の支持材Cの厚さをL+0.1mmとし、接続点P24の支持材Cの厚さをL+0.2mmとすると、テーブルP12の傾きを目標値に近づけることができると理解する。
ステップS23は、請求項における調整量出力ステップの一例である。
測定結果収集部46は、ステップS15の測定の結果取得された幾何学的誤差測定結果データを収集する(ステップS24)。具体的には、測定結果収集部46は、接続点P21~P28の支持材Cの厚さをLから変更した後のベッドP11の案内面、コラムP13の案内面及びテーブルP12の上面の3次元座標を収集する。これにより、調整量推定装置100の処理は終了する。
なお、測定結果収集部46は、収集した幾何学的誤差測定結果データを調整後測定結果記憶部24に記憶して蓄積する。後述するように、調整後測定結果記憶部24に蓄積された幾何学的誤差測定結果データにより補正項記憶部25に記憶された補正項は修正され得る。
測定された幾何学的誤差が規定の範囲内であれば(ステップS16:YES)、作業者はすべての作業を終了し、調整完了とする(ステップS17)。規定の範囲内になければ(ステップS16:NO)、調整量指示部45に指示された調整量どおりの調整ができていないことになるので、調整作業(ステップS13)に戻り、作業者は調整量指示部45に指示された調整量での調整作業を再度実施する。なお、指示された調整量どおりの調整をしても測定された幾何学的誤差が規定の範囲内にならない場合を考慮して、ステップS16からステップS13に戻る回数を制限してもよい。このような場合でも、調整後測定結果記憶部24に記憶された幾何学的誤差測定結果データに基づき、次回以降は修正された補正項が用いられることにより、指示された調整量どおりに調整すれば幾何学的誤差が規定の範囲内に収まるようになる。
これに対し、従来の方法では必要な調整量は事前にわからないため、一度組み立てた後、工作機械PのテーブルP12上のヘッドP15の位置を固定し、テーブルP12のみ案内面上を平行移動させて、直角方向の変化量を測定し、接続点P21~P24の高さ調整を実施しなければならない。
データ取得部41は、三次元測定(ステップS12)によって取得された、測定結果情報である座標の集合、工作機械の座標データ測定機能によって測定された測定点の座標、作業者によって入力された測定結果の座標等を取得する(ステップS31)。
測定位置マスタ記憶部21に記憶される情報は、前述した例、すなわち、部品の種類、測定点の種類、データ上の測定点の位置、設計上の座標値等に限られない。測定位置マスタ情報測定した座標データを、測定したいどの点の座標データか区別でき、取得した座標情報と紐付けることができるものであれば、どのような形式でもよい。
データ変換部42はさらに、測定位置マスタ記憶部21に記憶された情報と部品の製造番号とを紐付け、変換した座標情報を三次元測定結果記憶部22に蓄積する。
ステップS32は、請求項における座標データ変換ステップの一例である。
幾何学的誤差演算部43は、補正項記憶部25に予め記憶されたパラメータである補正項を取得し、三次元測定結果記憶部22から、三次元測定結果の収集(ステップS21)によって蓄積された工作機械Pの個々の部品の三次元測定情報を取得する。なお、幾何学的誤差演算部43は、補正項記憶部25から補正項を取得する際に、調整後測定結果記憶部24に蓄積された幾何学的誤差測定結果データを用いて当該補正項を修正してもよい。そして、幾何学的誤差演算部43は、個々の部品の幾何学的誤差から、これらの部品を組み立てて工作機械Pとした場合の全体の幾何学的誤差を演算する(ステップS71)。
例えば、幾何学的誤差としてx方向の角度を、部品としてベッドP11及びテーブルP12を取り上げると、ベッドP11の許容値が±1°、テーブルP12の許容値が±2°であるときに、幾何学的誤差演算部43は、下限値と上限値を単純にそれぞれ加算して、ベッドP11とテーブルP12を組み立てたものの幾何学的誤差を±3°とする。もっとも、これは幾何学的誤差演算部43による幾何学的誤差の演算の一例にすぎない。実際には、部品の種類、組合せ方、算出する幾何学的誤差の種類、方向等を考慮して、部品すべてを組み合わせたものの幾何学的誤差が演算される。
幾何学的誤差の演算が完了した後、調整量演算部44は、調整量を演算する(ステップS72)。具体的には、ステップS71で算出された幾何学的誤差には上限値と下限値とが含まれるため、調整量演算部44は、例えば、上限値と下限値との平均値を計算する。そして、調整量演算部44は、この平均値が設計上の値の上限値と下限値との間に収まっている場合は、この平均値と、設計上の値の上限値と下限値との平均値と、の差を演算して調整量とする。この平均値が設計上の値の上限値と下限値との間に収まっていない場合はこの平均値と、設計上の値の上限値又は下限値のいずれか平均値に近い方と、の差を演算して調整量とする。これは調整量をできるだけ小さい値に収めるためである。ただし、これは調整量の算出方法の一例である。例えば調整量演算部44は、全ての場合に、幾何学的誤差の上限値と下限値との平均値と、設計上の値の上限値と下限値との平均値と、の差を演算して調整量としてもよい。また、調整量演算部44は、算出された調整量情報を調整量記憶部23に記憶する。
ステップS72は、請求項における調整量演算ステップの一例である。
ステップS81からS84はステップS71に、ステップS85からS87はステップS72に含まれる。
まず、幾何学的誤差演算部43は、組立後の幾何学的誤差の演算に必要な各部品の三次元情報を取得する(ステップS81)。
続いて、幾何学的誤差演算部43は、各部品の三次元情報のxyz方向、基準データム面を統一し、部品の三次元情報、すなわち、座標の変換を実施する(ステップS82)。
その後、幾何学的誤差演算部43は、三次元座標の変換のステップ(ステップS82)で変換された各部品の三次元座標を用いて、組立前後の各測定点間の座標の変化量を計算する(ステップS83)。
幾何学的誤差演算部43は、各測定点の座標の変化量の計算(ステップS83)によって得られた変化量に、補正項記憶部25に記憶されている補正値を適用して、ステップS83で計算された各測定点の座標の補正を実施する(ステップS84)。
次に、ステップS83及びS84で推定した変化量を規定値以下に抑えるため、ベッドP11、コラムP13等の案内面の調整量を、可能な限り多数の測定点において多点探索をすることで、変化量が最小となる値を見つけ、これを調整量の推定値とする調整量の算出を行う(ステップS85)。
ステップS85で得られた調整量の推定値及びその時の組立後測定点の測定値の推測値を、調整量記憶部23に蓄積する(ステップS86)。
x、y及びzを含む、予測したいすべての方向の測定点間の変化量及び必要な調整量の計算が完了しているか否かを判別し(ステップS87)、完了している場合(ステップS87:YES)には、処理を終了し、完了していない場合(ステップS87:NO)には、三次元情報の変換(ステップS82)に戻り、別の方向の計算を実施する。
図10は、組立作業後のテーブルP12上の三次元測定器Mによる測定点a0~an、b0~bn、c0~cn、d0~dnの配置の一例を示した図である。以下では、特に、組立前後のzの変化量を事前に推定し、テーブルP12、コラムP13の案内面との接続点の高さの調整量について事前に推定を行う場合の計算手順の例を説明する。
したがって、x方向に沿って配置されている測定点a0~an、b0~bnのx座標は、図4における接続点P21~P24の固有の4点によって求められる。また、y方向に沿って配置されている測定点c0~cn、d0~dnのy座標は、ベッドP11のy方向の案内面とコラムP13との接続点P25~P28によって求められる。
(点cnにおけるz方向のずれ)={(テーブル底面をxy平面の基準データムとした、テーブルの三次元測定結果での点cnのz座標)+(ベッドのx方向案内面を基準データムとした、ベッドのy軸方向の案内面の三次元測定結果でのcnでの接続点4点のz座標の平均)}-{(テーブル底面をxy平面の基準データムとした、テーブルの三次元測定結果の点c0のz座標)-(ベッドのx方向案内面を基準データムとした、ベッドのy軸方向の案内面の三次元測定結果でのa0での接続点4点のz座標の平均)}
図11は、案内面との接続点の高さを調整した場合の各点の座標の変化を示した図である。破線の矩形は、傾ける前におけるベッドP11及びその上面の接続点をy軸方向に見た図であり、実線の矩形は角度θだけ傾けた後におけるベッドP11及びその上面の接続点をy軸方向に見た図である。
図11のように、接続点s1を中心に、ベッドP11のx方向の一辺をz方向上向きに持ち上げた場合を考える。このとき、接続点s1の座標は、ベッドP11を傾ける前後で変化せず、接続点s2をtだけ移動してs’2に位置するものとする。これらの接続点s1、s2及びs’2の3点を頂点とする三角形は二等辺三角形であるから、接続点s1のx座標をx_s1、s2のx座標をx_s2、anのx座標をx_anとすると、傾きの角度θについて、余弦定理より以下の関係が成り立つ。
t2=|x_s2-x_s1|2+|x_s2-x_s1|2-2|x_s2-x_s1|2×cosθ
上式をθについて変形すると、以下のようになる。
cosθ=(2|x_s2-x_s1|2-t2)/2|x_s2-x_s1|2
次に、傾きθを用いて、テーブルP12の上面にある点の高さanの変化量、すなわち、テーブルP12を傾ける前後におけるz座標の変化量Δzを求めると、以下のようになる。
Δz=|x_an-x_s1|×sinθ
となる。
ここで、Δzmax_a、Δzmax_b、Δzmax_c、Δzmax_dは、それぞれ、an、bn、cn、dnにおけるz方向のずれの絶対値の最大値であり、t1、t2、t3、t4はテーブルとベッドのx軸方向の案内面との接続点の調整量である。
目的関数: Minimize(Δzmax_a+Δzmax_b+Δzmax_c+Δzmax_d)
変数: t1、t2、t3、t4
制約条件: t1≧0、t2≧0、t3≧0、t4≧0、ここで、t1、t2、t3、t4は、tの整数倍(tは単位調整量)
Minimizeは、最小化関数である。
データ取得部41は、組立後の幾何学的誤差の演算(ステップS22)で計算され、調整量記憶部23に保持されている、組立作業(ステップS14)の実施対象の製品の組立作業後の各接続点の座標データを取得する(ステップS91)。
図6に示した調整作業(ステップS13)および組立作業(ステップS14)、幾何学的誤差の測定(ステップS15)を実施した後、作業者は、作業者端末60の入力部62を操作して、組立後の調整量及び測定結果を入力する。
測定結果収集部46は、調整後測定結果情報を収集する(ステップS93)。また、測定結果収集部46は、収集した情報を調整後測定結果記憶部24に蓄積する。
また、測定対象物の3次元形状を測定する機器は、三次元測定器Mに限られない。例えば、工作機械に付属する機上測定ユニットであってもよい。さらに、作業者がダイヤルゲージを操作して得られた情報から測定対象物の3次元形状を算出してもよい。
第1の実施の形態に係る調整量推定装置100においては、推定された調整量を用いて調整を行った結果、各部品の熱変形、自重等による弾性変形、三次元測定されていない部品の幾何学的誤差等の影響によって誤差が生じても、調整が完了すれば処理を終了する。そして、調整後の測定結果は調整後測定結果記憶部24に蓄積され、次回以降の調整時の補正項取得時に利用され得る。
これに対して、第2の実施の形態に係る調整量推定装置700は、後述するように、処理を終了するまでに調整後の幾何学的誤差を取得し、これを機械学習によって分析して補正項を算出し、次回以降の調整に利用する。第1の実施の形態に係る調整量推定装置100のみを用いて調整を行う場合、三次元測定されていない部品及び三次元測定することができない面の誤差を計算することができないため、このような部品及び面の影響が大きい場合、例えば、外注部品の加工方法の変更、構成部品の変更などによって、推定された調整量と実際の調整量とに大きな差異が発生することがある。この差異が次回調整以降一定であっても、発生した差異が、三次元測定のミス又は熱変形である可能性も考慮する必要があるため、ある程度の回数を継続しなければ、補正量を決定することができない。調整量推定装置700により、機械学習を用いて補正項を算出することで、次回調整時の推定された調整量と実際の調整量との差異を小さくすることができることに加え、各部品の熱変形、自重等による弾性変形、三次元測定されていない部品の幾何学的誤差等の影響によって発生する誤差により早く対応して調整量を推定することができる。
以下、調整量推定装置100と異なる部分についてのみ説明する。
調整量推定装置700は、調整量を出力とするニューラルネットワークを含む機械学習部50を備える。
ステップS1301は、請求項における調整後測定結果取得ステップの一例である。
機械学習部50は、三次元測定結果A、予測演算した幾何学的誤差B及び推定した調整量Cを機械学習の入力情報とし、実際に組立作業を実施した後の幾何学的誤差の測定結果D及び実際に組立作業を実施した後の調整量Eを出力として、教師あり学習を行う(ステップS1302)。なお、上述したように幾何学的誤差Bと調整量Cは三次元測定結果Aから算出されるので、機械学習部50は三次元測定結果Aのみを機械学習の入力情報としてもよい。また、後述するように機械学習部50で取得する値は調整量Eのみでよく、幾何学的誤差の測定結果Dは取得できなくても問題ないので、機械学習部50は調整量Eのみを機械学習の出力情報として、教師あり学習を行ってもよい。
学習後の機械学習部50を用いた調整量Eの取得は、請求項における推定ステップの一例である。
調整量推定装置100、700は、工作機械を対象とする調整量の推定装置であるが、本開示の対象は工作機械に限られない。
第3の実施の形態に係る調整量推定装置の構成は、図1に示した調整量推定装置100又は図13に示した調整量推定装置700と同一であるが、幾何学的な誤差を小さくすることが求められる面を有する測定装置を対象とする装置である。
本実施の形態に係る調整量推定装置の実行する処理は、調整量推定装置100又は調整量推定装置700の実行する処理と同一であるが、図21の左側の破線内に例示したように、作業者の実行する作業が加工作業ではなく測定装置の組立である点において異なる。また、この測定装置の組立は一度限りで、後々別の測定装置の組立は行われないことを想定している。このため、図21に示すように、ステップS15での測定結果は調整量推定装置で収集されない。
Claims (10)
- 工作機械の構成部品に含まれるベッド、テーブルおよびコラムの面の上の点の座標を測定する座標測定部と、
前記座標測定部により測定された座標に基づいて前記面の形状、姿勢又は位置の幾何特性の基準値との誤差である幾何学的誤差を演算する幾何学的誤差演算部と、を備え、
前記幾何学的誤差演算部は、前記工作機械の組立前に、前記構成部品の組立前の幾何学的誤差に基づいて、前記工作機械の組立後の前記構成部品の前記面の基準位置からの変位を予測計算し、
前記幾何学的誤差演算部は、前記予測計算された前記変位から、前記ベッドと前記テーブルとの間または前記ベッドと前記コラムとの間に配置して高さの変更に用いる調整部材であって前記面の前記幾何特性を変更する前記調整部材の調整量を演算する、
調整量推定装置。 - 前記座標測定部により測定された座標を記憶する座標記憶部と、
前記座標記憶部に記憶された座標を取得する座標取得部と、
前記工作機械の設計上の座標と、前記構成部品の識別情報と、測定点の座標、次元又は精度に関する情報を含む測定点の識別情報と、を含む測定位置情報を記憶する測定位置マスタ記憶部と、
前記測定位置マスタ記憶部を参照して、前記座標取得部から取得した座標を前記測定位置情報と対応付ける座標データ変換部と、を備える、
請求項1に記載の調整量推定装置。 - 演算された前記調整量を出力する調整量出力部を備える、
請求項1又は2に記載の調整量推定装置。 - 機械の構成部品に含まれる面の上の点の座標を測定する座標測定部と、
前記座標測定部により測定された座標に基づいて前記面の形状、姿勢又は位置の幾何特性の基準値との誤差である幾何学的誤差を演算する幾何学的誤差演算部と、を備え、
前記幾何学的誤差演算部は、前記機械の組立前に、前記構成部品の組立前の幾何学的誤差に基づいて、前記機械の組立後の前記構成部品の前記面の基準位置からの変位を予測計算し、
前記幾何学的誤差演算部は、前記予測計算された前記変位から、前記機械の備える調整部材であって前記面の前記幾何特性を変更する調整部材の調整量を演算し、
さらに、
前記機械の調整前の前記構成部品の座標を取得する調整前測定結果取得部と、
前記機械の調整後の前記構成部品の座標を取得する調整後測定結果取得部と、
前記調整前の前記構成部品の座標、前記調整後の前記構成部品の座標及び前記調整量を入力、前記調整量の予測値を出力として学習を行った機械学習部と、を備える、
調整量推定装置。 - 工作機械の構成部品に含まれるベッド、テーブルおよびコラムの面の上の点の座標を測定する座標測定ステップと、
前記座標測定ステップで測定された座標に基づいて前記面の幾何特性の基準値との誤差である幾何学的誤差を演算する幾何学的誤差演算ステップと、
前記工作機械の組立前に、前記幾何学的誤差演算ステップで演算された幾何学的誤差に基づいて前記工作機械の組立後の前記構成部品の前記面の基準位置からの変位を予測計算する変位計算ステップと、
前記変位計算ステップで予測計算された前記変位から、前記ベッドと前記テーブルとの間または前記ベッドと前記コラムとの間に配置して高さの変更に用いる調整部材であって前記面の前記幾何特性を変更する前記調整部材の調整量を演算する調整量演算ステップと、を含む、
調整量推定方法。 - 前記座標を取得する座標取得ステップと、
前記座標取得ステップで取得された前記座標を、前記工作機械の設計上の座標、前記構成部品の識別情報、及び測定点の座標、次元又は精度に関する情報を含む測定点の識別情報を含む情報である測定位置情報と対応付ける座標データ変換ステップと、を含む、
請求項5に記載の調整量推定方法。 - 演算された前記調整量を出力する調整量出力ステップを含む、
請求項5又は6に記載の調整量推定方法。 - 機械の構成部品に含まれる面の上の点の座標を測定する座標測定ステップと、
前記座標測定ステップで測定された座標に基づいて前記面の幾何特性の基準値との誤差である幾何学的誤差を演算する幾何学的誤差演算ステップと、
前記機械の組立前に、前記幾何学的誤差演算ステップで演算された幾何学的誤差に基づいて前記機械の組立後の前記構成部品の前記面の基準位置からの変位を予測計算する変位計算ステップと、
前記変位計算ステップで予測計算された前記変位から、前記機械の備える調整部材であって前記面の前記幾何特性を変更する調整部材の調整量を演算する調整量演算ステップと、
前記機械の調整前の前記構成部品の座標を取得する調整前測定結果取得ステップと、
前記機械の調整後の前記構成部品の座標を取得する調整後測定結果取得ステップと、
前記調整前の前記構成部品の座標、前記調整後の前記構成部品の座標及び前記調整量を入力、前記調整量の予測値を出力として学習を行った機械学習部に、前記機械の調整前の前記構成部品の座標を入力する推定ステップと、を含む、
調整量推定方法。 - コンピュータに請求項5から8のいずれか1項に記載の方法のステップを実行させる調整量推定プログラム。
- 請求項5から8のいずれか1項に記載の調整量推定方法のステップと、
前記調整部材の調整量を前記調整量演算ステップで演算された調整量に調整した後に前記構成部品の組立作業を実施するステップと、を含む、
工作機械組立方法。
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