以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、以下の説明において、「前方」とは、電動自転車の走行時の進行方向であり、「後方」とはその反対方向である。具体的には、電動自転車のサドルに対してハンドル側が「前方」である。「左右方向」は、前後方向に対して直交する方向である。
(実施の形態1)
[構成]
まず、本実施の形態に係る電動自転車1の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る電動自転車1を示す側面図である。
図1に示すように、電動自転車1は、坂道を下る際に電動自転車1の速度が過剰にならないように、走行速度を調節したり、坂道を上る際に、電動自転車1に対する押し歩き力に電動自転車1に第2補助駆動力を付与したりすることで、より快適に坂道を通行することができる。本実施の形態での坂道は、傾斜路面の一例である。
電動自転車1は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、例えばアシストモードであり、ペダル17へのユーザの踏力に基づく車体10の前進を補助する。第2モードには、例えば押し歩きモード又は自走モードが含まれる。押し歩きモードでは、ユーザが電動自転車1を押して歩くときに、ユーザによる車体10を前へ押す力に基づいて、車体10の前進が補助される。自走モードでは、電動自転車1を支えながら進むときの車体10の前進が補助される。なお、第2モードでは、ユーザが電動自転車1を支えながら進むときに、電動自転車1が自走してもよい。
電動自転車1は、車体10と、車体10に取り付けられたモータ駆動ユニット20と、操作部40と、バッテリー50と、前照灯60と、クランク回転センサ31と、モータ回転センサ32と、踏力センサ33とを備える。
車体10は、フレーム11と、前輪12と、後輪13と、ハンドル14と、サドル15と、クランク16と、ペダル17と、駆動スプロケット18と、チェーン19とを備える。
フレーム11は、ヘッドパイプ111と、メインフレーム112と、立パイプ113と、フォーク114と、チェーンステー115とを備える。ヘッドパイプ111は、前輪12を支持するフォーク114及びハンドル14を、ヘッドパイプ111の軸を中心に回転自在に支持する。ハンドル14を左右に回すことで、フォーク114に支持された前輪12の向きを左右に回転させることができる。
メインフレーム112は、ヘッドパイプ111と立パイプ113とを連結する部分である。メインフレーム112の下端部には、クランク16及びモータ駆動ユニット20が取り付けられている。本実施の形態に係る電動自転車1は、クランク16とモータ駆動ユニット20とが一体化された、いわゆるセンターユニット方式の電動自転車1である。
立パイプ113は、サドル15を着脱可能に支持する。具体的には、立パイプ113には、サドル15を支持するシートポストが挿入されて固定される。本実施の形態では、立パイプ113に、バッテリー50が着脱可能に取り付けられている。
フォーク114は、前輪12を回転自在に支持する。前輪12を支持するフォーク114には、前照灯60が取り付けられている。チェーンステー115は、後輪13を回転自在に支持する。
図2は、実施の形態1に係る電動自転車1のハンドル14及び操作部40の斜視図である。
図2に示すように、ハンドル14には、一対のグリップ141及びブレーキレバー142が左右に設けられている。一対のグリップ141は、適切な姿勢で乗車された場合に、手で握られる部分である。また、一対のグリップ141は、電動自転車1を押して又は支えて歩く際にも手で握られて、前方への押力を受ける。一対のグリップ141の少なくとも一方には、握る力又は押力を検知するグリップセンサが設けられていてもよい。
一対のブレーキレバー142は、前輪12及び後輪13の各々に取り付けられた、図示しないブレーキ装置の動作レバーである。一方のブレーキレバー142を操作することで、前輪12に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、前輪12に対して機械的な制動力を与える。他方のブレーキレバー142を操作することで、後輪13に取り付けられたブレーキ装置が駆動され、後輪13に対して機械的な制動力を与える。
ブレーキレバー142には、ブレーキセンサが設けられており、このブレーキセンサがブレーキレバー142に対する操作を検出するようになっている。
図1に示すように、サドル15は、ユーザが適切な姿勢で乗車した場合に、人が座る部分である。
クランク16は、クランク軸161と、一対のクランクアーム162とを有する。クランクアーム162は、メインフレーム112の両側に1つずつ設けられており、左右方向に延びるクランク軸161の両端に固定されている。クランクアーム162の一方端がクランク軸161に固定され、他方端には、ペダル17が回転自在に固定されている。ペダル17に踏力が加えられた場合、クランクアーム162がクランク軸161を中心に回転し、当該回転による人力駆動力が駆動スプロケット18及びチェーン19を介して後輪13に伝達される。第1モードで動作する場合には、踏力に基づく人力駆動力と、当該人力駆動力に付加された電動モータ21による第1補助駆動力とが後輪13に伝達される。
モータ駆動ユニット20は、電動モータ21及び制御装置22が、樹脂製又は金属製の筐体に収納されてユニット化されている。
電動モータ21は、制御装置22による制御に基づいて、バッテリー50からの電力を受けて駆動する。電動モータ21の回転トルクは駆動スプロケット18に伝達されて、駆動スプロケット18が回転する。こうして、後輪13は回転する。回転トルクは、第1補助駆動力及び第2補助駆動力を意味する。また、電動モータ21は、モータ出力を出さない非駆動時に回生電力を発生させてバッテリー50を充電する回生動作を行うことができ、回生ブレーキとして作動することができる。
本実施の形態における電動モータ21は、第1補助駆動力及び第2補助駆動力となるモータである。電動モータ21は、第1モードを実行中に、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、第1補助駆動力を付加する。また、電動モータ21は、第2モードを実行中に、電動自転車1に対する押して又は支えて歩く力に、第2補助駆動力を付加する。
図3は、実施の形態1に係る電動自転車1の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置22は、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、及び踏力センサ33などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。
制御装置22は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)などで実現され、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで構成されている。あるいは、制御装置22は、専用の電子回路で実現されてもよい。
制御装置22には、電動モータ21、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、踏力センサ33、手動スイッチ42、操作部40、バッテリー50及び前照灯60が接続されている。制御装置22には、各スイッチに対する操作信号、及び、各センサによる検出結果が入力される。
クランク回転センサ31及び踏力センサ33は、クランク軸161の近傍に配置されている。モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転軸の近傍に配置されている。
クランク回転センサ31は、クランク16の単位時間当たりの回転数を検出することができる。クランク回転センサ31は、歯車状の回転体と、回転体の歯を挟むように配置された光出射部と受光部とを有する光検出器とを有することで実現する。なお、クランク回転センサ31は、クランク16の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。
モータ回転センサ32は、電動モータ21の単位時間当たりの回転数を示す回転数情報を出力する。モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転軸と一体的に回転する磁石と、ホールICとを有する。ホールICは、磁石の回転に応じて変化する磁界の変化を検出することで、磁石の回転数、すなわち、電動モータ21の回転数を検出する。なお、モータ回転センサ32は、電動モータ21の回転数を検出することができればいかなる構成でもよい。モータ回転センサ32は、センサの一例である。
踏力センサ33は、磁歪式のトルクセンサであり、ペダル17への人力駆動力に基づいてクランク軸161が回転することにより発生する人力駆動力を検出する。踏力センサ33は、コイルと、磁歪発生部とを有する。例えば、ペダル17に踏力が加えられて人力駆動力が発生した場合に、磁歪発生部に歪みが発生する。磁歪発生部には、透磁率が増加する部位と減少する部位とが発生する。このコイルのインダクタンス差を検出することで、人力駆動力を検出する。なお、踏力センサ33の構成は特に限定されず、ペダル17への人力駆動力が検出できればいかなる構成でもよい。人力駆動力は、踏力と同義である。
制御装置22は、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、及び踏力センサ33などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作、つまり、適切な第1補助駆動力を付与するための電動モータ21の出力を制御する。本実施の形態では、制御装置22は、モータ駆動ユニット20の筐体の内部に収納されているが、これに限らない。制御装置22は、モータ駆動ユニット20とは別体で設けられていてもよい。電動モータ21の出力は、第1補助駆動力及び第2補助駆動力となる。
制御装置22は、バッテリー50から供給される電力を、電動モータ21及び前照灯60に供給する。
制御装置22は、制御部221を有する。制御部221は、電動自転車1の動作モードに応じて、電動モータ21を駆動する。具体的には、制御部221は、第1モードと第2モードとを有し、第1モードと第2モードとを切り替えて実行する。
第1モードの一例であるアシストモードは、踏力センサ33で検知したペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するモードである。アシストモードは、電源スイッチ41が押下されて電源がオンされた後、人が電動自転車1に乗車している場合に実行される。具体的には、アシストモードは、ペダル17への踏力が所定の閾値より大きい場合に実行される。
第2モードは、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させるモード(押し歩きモード又は自走モード)を有する。つまり、押し歩きモードは、電動自転車1を人が押し歩き力に、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩くモードである。押し歩きモードは、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を押しながら歩く場合に実行される。
自走モードは、電動自転車1を人が支えた状態で、車体10に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して自走させるモードである。自走モードは、押し歩きモードと同様に、人が電動自転車1に乗車しておらず、電動自転車1の車体10を支えながら歩く場合に実行される。自走モードにおいて、人は、車体10を前方に押す力を加えていない。
なお、押し歩きモードと自走モードとは、車体10に対する前方への押す力の有無によって判別可能である。制御部221は、例えば、グリップ141などに設けられたグリップセンサなどによって前方への押す力の有無を検知し、検知結果に応じて押し歩きモードと自走モードとを切り替えて実行してもよい。あるいは、制御部221は、押し歩きモードと自走モードと判別することなく、第2補助駆動力を付加する第2モードとして実行してもよい。
本実施の形態では、押し歩きモード又は自走モードは、手動スイッチ42が押下されている期間に実行される。なお、押し歩きモード又は自走モードは、ペダル17への踏力が所定の閾値より大きい場合には実行されなくてもよい。つまり、アシストモードと押し歩きモード又は自走モードとは、排他的に実行される。
制御部221は、アシストモードを実行する場合、ペダル17への踏力と電動自転車1の走行速度とに基づいて、電動モータ21が生成する第1補助駆動力の大きさを決定する。ペダル17への踏力は、踏力センサ33による検出結果から得られる。電動自転車1の速度は、クランク回転センサ31によって検出されたクランク16の回転数と、後輪13の大きさとに基づいて算出される。
なお、クランク16の回転数と電動自転車1の速度とを予め対応付けたテーブルが、制御装置22のメモリに記憶されていてもよい。制御部221は、当該テーブルを参照することで、クランク16の回転数から電動自転車1の速度を決定してもよい。
アシストモードにおける第1補助駆動力は、走行速度に応じて異なるが、例えば、ペダル17への踏力の2倍以下の大きさである。例えば、制御部221は、電動自転車1の走行速度が時速10km未満の場合に、電動モータ21を駆動することで、ペダル17への踏力の2倍以下の第1補助駆動力を発生させる。制御部221は、速度が時速24km以上の場合は、電動モータ21に第1補助駆動力を発生させない。制御部221は、速度が時速10km以上24km未満の場合には、電動モータ21を駆動することで、速度に応じて定められた第1補助駆動力を発生させる。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行する場合、電動自転車1の走行速度が予め定められた上限値を超えないように、電動モータ21に第2補助駆動力を生成させる。押し歩きモード又は自走モードにおける第2補助駆動力は、例えば、電動自転車1の走行速度が時速6km未満になる大きさである。ここでは、電動自転車1の走行速度の上限値が時速6kmとしたが、3kmでもよく、特に限定されない。
本実施の形態では、制御部221は、モータ回転センサ32が出力した電動モータ21の回転数を示す回転数情報を取得している。制御部221は、回転数情報に基づいて、電動自転車1の加速度、重力加速度、電動モータ21の出力等を算出して、電動自転車1の傾斜角度を算出する。制御部221は、電動自転車1の加速度、重力加速度、電動モータ21の出力等に対応するテーブルを有していてもよく、このテーブルに基づいての傾斜角度を算出してもよい。
水平な路面(水平面)、上り坂道、及び、下り坂道での電動自転車1の傾斜角度を図4~図6で例示する。図4は、実施の形態1に係る電動自転車1を水平な路面82上で押し歩く様子を示す側面図である。図5は、実施の形態1に係る電動自転車1を下り坂道84で支え歩く様子を示す側面図である。図6は、実施の形態1に係る電動自転車1を上り坂道83で押し歩く様子を示す側面図である。
図4~図6の各々に破線で示される基準位置81に対するユーザ80の位置を判定する。基準位置81は、通常の押し歩き動作時に、側方から見たときのユーザ80の位置である。
図4での基準位置81は、電動自転車1が水平な路面82に置かれた場合においてサドル15を通る鉛直線である。この場合での電動自転車1の傾斜角度は、0°である。図5での基準位置81は、電動自転車1が下り坂道84に置かれた場合において、下り坂道84に対してサドル15を通る法線である。この場合での電動自転車1の傾斜角度は、水平面に対する下り坂道84の傾斜角度と同様の、αである。図6での基準位置81は、電動自転車1が上り坂道83に置かれた場合において、上り坂道83に対してサドル15を通る法線である。この場合での電動自転車1の傾斜角度は、水平面に対する上り坂道83の傾斜角度と同様の、βである。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、電動モータ21の回転数情報に基づいて、電動自転車1が坂道84を下っているか否かを判断する。電動自転車1が坂道84を下っているか否かの判断は、モータ回転センサ32、及び電動モータ21によって判断できる。具体的には、電動自転車1が水平な路面82から下り坂道84に侵入する場合では、下り坂道84で電動モータ21の出力が低下するが、電動モータ21の回転軸の回転数は増加する。一方、電動自転車1が水平な路面82から上り坂道83に侵入する場合では、上り坂道83で電動モータ21の出力が増加するが、電動モータ21の回転軸の回転数は低下する。つまり、下り坂道84での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第1の値は、上り坂道83での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第2の値よりも小さい。このことから、上り坂道83では、電動モータ21に与える負荷が高負荷となり、下り坂道84では、電動モータ21に与える負荷が低負荷となる。こうして制御部221は、モータ回転センサ32による検出結果、及び、電動モータ21の出力値によって、電動自転車1が坂道84を下っていることを判断する。なお、電動自転車1が坂道84を下っていることの判断は、これに限定されず、電動自転車1が坂道84を下っていることの判断ができればいかなる手段でもよい。
制御部221は、電動自転車1が坂道84を下っていることを判断した場合に、電動モータ21を制御することで、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制する。つまり、押し歩きモード又は自走モードを実行中に電動自転車1が坂道を下ることで、電動自転車1の走行速度が加速することがある。このため、制御部221は、電動自転車1の加速度が上がり過ぎないように、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制する。
図3に示すように、制御部221は、電動モータ21の補助駆動力と単位時間当たりの電動モータ21の回転数との比に基づいて、電動モータ21の第2補助駆動力を制御する。電動モータ21の出力と電動モータ21の回転数との比は、例えば、下り坂道での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第1の値であり、上り坂道での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第2の値である。制御部221は、第1の値が大きくなればなるほど第2補助駆動力を抑制する力を大きくし、第2の値が大きくなればなるほど第2補助駆動力を抑制する力を小さくする。制御部221は、この比に応じた電動モータ21の第2補助駆動力を制御する。
制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を弱める場合に、電動モータ21に回生ブレーキが働くようにブレーキ力を制御する。具体的には、制御部221は、踏力センサ33の測定結果に基づいて、電動モータ21の出力制御を行う。また、制御部221は、例えばブレーキセンサがブレーキレバー142に対する操作を検出すると、電動モータ21を制御して、電動モータ21に回生動作を行わせる。これにより、電動モータ21は、モータ出力を出さない非駆動時には回生電力を発生させるので、当該回生電力によってバッテリー50が充電される。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、電動自転車1の加速度が所定値以上の場合に、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を制限又は停止させる。例えば、電動自転車1で坂道を下る際に押し歩きモード又は自走モードを実行する場合、電動自転車1の加速度が上昇することが考えられる。電動自転車1の加速度が上昇しないように、ユーザがブレーキを掛けるなどして踏ん張らなければならず、ユーザに負担が掛かってしまうと考えられる。こうならないように、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、電動自転車1が坂道を下っていることを判断し、坂道を下っている場合に、電動モータ21の出力を制限又は出力を停止させる。
また、制御部221は、回転数情報に基づいて、電動自転車1の重力加速度を算出し、算出した重力加速度等に基づいて、水平面に対する電動自転車1の傾斜角度を算出する。制御部221は、算出した電動自転車1の傾斜角度に応じて、電動モータ21の第2補助駆動力を制御する。例えば、制御部221は、傾斜角度に応じて、急な坂道では電動モータ21の出力を大きく制限又は出力を停止し、緩やかな坂道では電動モータ21の出力を小さく制限する。これは、押し歩きモード又は自走モードを実行する場合、下り坂道の傾斜角度に応じて、電動自転車1の加速度の上昇度合いが変わることが考えられる。急な坂道では、電動自転車1の加速度を急に上昇させ、緩やかな坂道では緩やかに加速度を上昇させる。
なお、制御部221は、傾斜角度に応じて電動モータ21を制御するが、例えば、「強」、「中」、「弱」といった段階的に、電動モータ21の出力を制限してもよい。制御部221は、傾斜角度が0°から第1角度までを、第2補助駆動力を「弱」にし、傾斜角度が第1角度から第2角度までを、第2補助駆動力を「中」にし、傾斜角度が第2角度から第3角度までを、第2補助駆動力を「強」にしてもよい。
さらに、制御部221は、電動自転車1を坂道上で停止した状態から押し歩きモード又は自走モードを開始する場合に、加速度情報に基づいて、水平面に対する電動自転車1の傾斜角度を算出する。例えば、電動自転車1は、坂道の途中で停車させる場合がある。坂道で電動自転車1を停車させた状態から、押し歩きモード又は自走モードを実行させて電動自転車1を発進させる場合において、坂道を下るときには、自重によって電動自転車1の加速度が上昇してしまうと考えられる。この場合でも、制御部221は、算出した傾斜角度に応じて、電動モータ21の出力を制限又は出力を停止するように、電動モータ21を制御する。
また、制御部221は、電動自転車1を坂道上で停止した状態から押し歩きモード又は自走モードを開始する場合に、電動モータ21の駆動に必要な設定値以下の電流を電動モータ21に入力させたときに、電動モータ21の回転が開始されると、制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていると判断する。例えば、下り坂道では、電動自転車1が自重によって自然と移動するものであるため、電動モータ21の回転が、僅かにでもモータ回転センサ32により検知された場合に、電動自転車1が坂道を下っていると判断する。
さらに、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行して電動自転車1が坂道を上る場合に、電動自転車1の傾斜角度が所定の角度以下となり、かつ、電動モータ21の第2補助駆動力が規定の閾値以下となるまで、電動モータ21の第2補助駆動力を継続的に付加する。傾斜角度が所定の角度よりも大きければ、急な坂道であると言える。この場合には、電動モータ21の第2補助駆動力を継続的に付加する必要がある。
バッテリー50は、電動モータ21の駆動用の電力を貯める蓄電池である。バッテリー50は、例えば、二次電池であるが、キャパシタなどであってもよい。バッテリー50は、電動モータ21に電気的に接続されている。具体的には、バッテリー50は電動モータ21に対して電力を供給するとともに、電動モータ21からの回生電力を充電する。
操作部40は、電源スイッチ41、前照灯60を点灯させるライトスイッチ等が設けられている端末装置である。操作部40は、ユーザによる操作を受け付ける、タッチパネルディスプレイなどである。
[動作]
図7は、実施の形態1に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1が水平な路面82から坂道に侵入する場合の動作について説明する。
まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。具体的には、制御部221は、電動モータ21を駆動することで、第2補助駆動力を発生させる。これにより、ユーザによる押し歩き力に、電動モータ21の回転に応じた第2補助駆動力が付加される。ステップS12が、モード実行工程の一例である。
なお、制御部221は、ユーザが手動スイッチ42を押下していない場合、アシストモードを実行していてもよい。例えば、ペダル17への踏力が踏力センサ33によって検出された場合、制御部221は、ペダル17への踏力に基づいて電動モータ21に生成させるべき第1補助駆動力の大きさを決定し、電動モータ21にバッテリー50からの電力を供給することで、決定した第1補助駆動力を生成させる。
次に、制御部221は、モータ回転センサ32から電動モータ21の単位時間当たりの回転数を示す回転数情報を取得する(S13)。回転数情報を取得するステップS13が、取得工程の一例である。
次に、制御部221は、電動自転車1の回転数が所定値以上であるか否かを判断する(S14)。
次に、電動自転車1の回転数が所定値以上である場合(S14でYes)、制御部221は、電動モータ21の出力を制限、又は電動モータ21の出力を停止するように制御する(S21)。電動自転車1の加速度が所定値以上であれば、坂道の下り坂を下っている場合が考えられる。このため、この電動自転車1では、電動モータ21の出力を制限、又は電動モータ21の出力を停止させる。
一方、電動自転車1の加速度が所定値未満である場合(S14でNo)、制御部221は、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断する(S15)。具体的に、制御部221は、電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第1の値が、水平な路面82での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した基準値よりも大きくなっているか否かを判断する。電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断するステップS15が、判断工程の一例である。
第1の値が基準値よりも大きくなった場合、電動自転車1が水平な路面82から下り坂道に侵入したと考えられる。制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていると判断し(S15でYes)、坂道の傾斜角度を算出する(S16)。電動自転車1が坂道を下っていると判断したステップS15でYesの場合が、駆動力制御工程の一例である。
次に、制御部221は、電動自転車1が坂道を下るときに、第2補助駆動力を弱めるように電動モータ21を制御する(S17)。制御部221は、下り坂道での電動自転車1の傾斜角度に応じて、第2補助駆動力を制御するように、電動モータ21の出力を制御する。なお、制御部221が電動モータ21の第2補助駆動力を弱める場合に、電動モータ21の回生ブレーキのブレーキ力を制御することで、電動モータ21の第2補助駆動力を弱めてもよい。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
一方、第1の値が基準値よりも小さくなった場合、電動自転車1が水平な路面82から上り坂道に侵入したと考えられる。制御部221は、第1の値が基準値よりも小さくなった場合、電動自転車1が坂道を下っていない(S15でNo)、つまり、電動自転車1が坂道を上っていると判断し(S18でYes)、坂道の傾斜角度を算出する(S19)。
次に、制御部221は、電動自転車1が坂道を上るときに、第2補助駆動力を強めるように電動モータ21を制御する(S20)。制御部221は、上り坂道での電動自転車1の傾斜角度に応じて、第2補助駆動力を制御するように、電動モータ21の出力を制御する。例えば、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行して電動自転車1が坂道を上る場合に、電動自転車1の傾斜角度が所定の角度以下となり、かつ、電動モータ21の第2補助駆動力が規定の閾値以下となるまで、電動モータ21の第2補助駆動力を継続的に付加する。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
また、第1の値と基準値とがさほど変わらない場合は、電動自転車1が水平な路面82に存在していると考えられる。制御部221は、第1の値が基準値とさほど変わらない場合は、電動自転車1が水平な路面82を進んでいると判断し(S18でNo)、ステップS17及びステップS20のような電動モータ21に対する第2補助駆動力の制御を行わない。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1は、電動モータ21を備える電動自転車1である。電動自転車1は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させる第2モード(押し歩きモード又は自走モード)とを切り替えて実行する制御部221と、電動自転車1の速度に関する速度情報又は電動モータ21の単位時間当たりの回転数を示す回転数情報を出力するセンサとを備える。そして、制御部221は、さらに、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、速度情報又は回転数情報に基づいて、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断し、電動自転車1が坂道を下っていることを判断した場合に、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制する。
このように、制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、センサが出力した速度情報又は回転数情報に基づいて、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断する。これにより、制御部221は、例えば、電動自転車1の傾斜角度を検出する傾斜センサを新たに設けることなく、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断することができる。
また、制御部221により電動自転車1が坂道を下っていることを判断した場合に、電動モータ21は、電動自転車1が略水平な路面を移動している場合に付加する第2補助駆動力に比べ、電動自転車1が坂道を下るときの第2補助駆動力を弱める。電動自転車1が下り坂道に侵入した場合、電動モータ21の出力つまり第2補助駆動力を弱めることで、電動自転車1の加速度の上昇が抑制される。その結果、この電動自転車1では、押し歩き時の安全性が高められる。
したがって、この電動自転車1では、新たなセンサを増やすことなく、押し歩き時の安全性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1の制御方法は、ペダル17への踏力に基づく人力駆動力に、電動モータ21による第1補助駆動力を付加して走行するアシストモードと、車体10への押力に、電動モータ21による第2補助駆動力を付加して押し歩く、又は第2補助駆動力を付加して自走させる第2モードとを切り替えて実行するモード実行工程と、電動自転車1の速度に関する速度情報又は電動モータ21の単位時間当たりの回転数を示す回転数情報を取得する取得工程と、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、速度情報又は回転数情報に基づいて、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断する判断工程と、速度情報を用いて電動自転車1が坂道を下っていることを判断した場合に、電動モータ21の第2補助駆動力を抑制する駆動力制御工程とを含む。
この方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力と単位時間当たりの電動モータ21の回転数との比に基づいて、電動モータ21の第2補助駆動力を制御する。
この構成によれば、例えば、電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第1の値が、水平な路面82での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した基準値よりも大きい場合、電動モータ21の出力を弱める。また、第1の値が基準値よりも小さい場合、電動モータ21の出力を強める。この電動自転車1によれば、上り坂道及び下り坂道に応じて、電動モータ21の出力を制御することができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、制御部221は、電動自転車1を坂道上で停止した状態から押し歩きモード又は自走モードを開始する場合に、加速度情報に基づいて、水平面に対する電動自転車1の傾斜角度を算出する。
この構成によれば、電動自転車1を坂道上で停止した状態から押し歩きモード又は自走モードを開始しても、電動自転車1が急加速するといったことが抑制される。この電動自転車1では、電動自転車1の加速が抑制されるため、押し歩き時の安全性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、電動自転車1を坂道上で停止した状態から押し歩きモード又は自走モードを開始する場合に、電動モータ21の駆動に必要な設定値以下の電流を電動モータ21に入力させたときに、電動モータ21の回転が開始されると、制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていると判断する。
このように、設定値以下の電流を電動モータ21に投入しても、通常では、電動モータ21のロータは駆動しない。しかし、坂道では、水平な路面82で回るはずの無い電流でもロータが回転するということは、下り坂道であることが考えられる。これにより、制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていると判断することができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1では、押し歩きモード又は自走モードを実行して電動自転車1が坂道を上る場合に、電動自転車1の傾斜角度が所定の角度以下となり、かつ、電動モータ21の第2補助駆動力が規定の閾値以下となるまで、電動モータ21の第2補助駆動力を継続的に付加する。
このように、電動自転車1の傾斜角度が所定の角度以下となり、かつ、電動モータ21の出力が規定の閾値以下となれば、上り坂道は、さほど急な坂道ではない。このため、傾斜が緩やかになるまで、電動モータ21の第2補助駆動力を継続的に付加することができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を弱める場合に、電動モータ21に回生ブレーキが働くようにブレーキ力を制御する。
このように、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を弱める場合に、電動モータ21の回生ブレーキのブレーキ力を制御する。これにより、電動自転車1の速度に応じて、電動モータ21のブレーキ力を制御することもできる。この電動自転車1では、回生ブレーキのオン時における電動自転車1の安定性を高めることができる。また、回生ブレーキのオン時では、バッテリー50の充電を行うこともできる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る電動自転車1及び電動自転車1の制御方法について説明する。
[構成]
本実施の形態では、電動自転車1にさらに車速センサ243が取り付けられている点で実施の形態1と相違する。本実施の形態の電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図8は、実施の形態2に係る電動自転車の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、制御装置22は、クランク回転センサ31、モータ回転センサ32、踏力センサ33、手動スイッチ42、操作部40、バッテリー50及び前照灯60の他に、車速センサ243が接続されている。電動自転車1は、さらに、車速センサ243を有する。
車速センサ243は、フォーク114の下端部に設けられている。車速センサ243は、前輪12の回転から車速を検出し、車速を示す速度情報を制御装置22に送信する。車速センサ243は、例えば、加速度センサ等である。なお、車速センサ243は、モータ回転センサ32の一つの構成例である、前輪12の軸芯部と一体的に回転する磁石と、ホールICとを有していてもよい。この場合、車速センサ243は、軸芯部の回転数に基づいて車速を算出してもよい。なお、車速センサ243の構成は特に限定されず、電動自転車1の速度を検出できればいかなる構成でもよい。車速センサ243はセンサの一例である。
車速センサ243は、電動自転車1の加速度に関する加速度情報を制御部221に出力する。車速センサ243は、電動自転車1の重力加速度情報を制御部221に出力する。車速センサ243は、例えば、光学方式、半導体方式、振動を用いる方式など、電動自転車1の加速度を検知することができればいかなる構成でもよい。電動自転車1の加速度は、電動自転車1の速度の一例である。また、加速度情報は、速度情報に含まれる一例である。つまり、電動自転車1の速度には、電動自転車1の走行速度と、電動自転車1の加速度とを包括的に含み、速度情報には、加速度情報及び電動自転車1の走行速度を示す情報を含む。
制御装置22は、クランク回転センサ31、踏力センサ33、及び車速センサ243などのセンサによる検出結果に基づいて、電動モータ21の動作、つまり、適切な第1補助駆動力を付与するための電動モータ21の出力を制御する。
制御部221は、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、速度情報を用いて、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断する。制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていることを判断した場合に、電動モータ21を制御することで、第2補助駆動力を抑制する。
[動作]
図9は、実施の形態2に係る電動自転車1の動作を示すフローチャートである。
ここでは、予め電源スイッチ41がオンされた場合を想定し、電動自転車1が水平な路面82から坂道に侵入する場合の動作について説明する。なお、図7と同様の処理については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
まず、手動スイッチ42は、ユーザにより押されている(S11)。制御部221は、押し歩きモード又は自走モード(第2モード)を実行する(S12)。
次に、制御部221は、車速センサ243から電動自転車1の走行速度を示す速度情報を取得する(S33)。
次に、制御部221は、電動自転車1の速度が所定値以上であるか否かを判断する(S34)。
次に、電動自転車1の速度が所定値以上である場合(S34でYes)、制御部221は、電動モータ21の出力を制限、又は電動モータ21の出力を停止するように制御する(S21)。
一方、電動自転車1の加速度が所定値未満である場合(S34でNo)、制御部221は、電動自転車1が坂道を下っているか否かを判断する(S15)。具体的に、制御部221は、電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した第1の値が、水平な路面82での電動モータ21の回転軸の回転数を電動モータ21の出力で除算した基準値よりも大きくなっているか否かを判断する。
第1の値が基準値よりも大きくなった場合、電動自転車1が水平な路面82から下り坂道に侵入したと考えられる。制御部221は、電動自転車1が坂道を下っていると判断し(S15でYes)、坂道の傾斜角度を算出する(S16)。
次に、制御部221は、電動自転車1が坂道を下るときに、第2補助駆動力を弱めるように電動モータ21を制御する(S17)。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
一方、第1の値が基準値よりも小さくなった場合、電動自転車1が水平な路面82から上り坂道に侵入したと考えられる。制御部221は、第1の値が基準値よりも小さくなった場合、電動自転車1が坂道を下っていない(S15でNo)、つまり、電動自転車1が坂道を上っていると判断し(S18でYes)、坂道の傾斜角度を算出する(S19)。
次に、制御部221は、電動自転車1が坂道を上るときに、第2補助駆動力を強めるように電動モータ21を制御する(S20)。制御部221は、上り坂道での電動自転車1の傾斜角度に応じて、第2補助駆動力を制御するように、電動モータ21の出力を制御する。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
また、第1の値と基準値とがさほど変わらない場合は、電動自転車1が水平な路面82に存在していると考えられる。制御部221は、第1の値が基準値とさほど変わらない場合は、電動自転車1が水平な路面82を進んでいると判断し(S18でNo)、ステップS17及びステップS20のような電動モータ21に対する第2補助駆動力の制御を行わない。そして、電動自転車1は、この処理を終了し、ステップS11に戻る。
[作用効果]
次に、本実施の形態における電動自転車1及び電動自転車1の制御方法の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る電動自転車1において、車速センサ243は、加速度センサを含む。また、車速センサ243は、速度情報である電動自転車1の加速度に関する加速度情報を、制御部221に出力する。そして、押し歩きモード又は自走モードを実行中に、電動自転車1の加速度が所定値以上の場合に、制御部221は、電動モータ21の第2補助駆動力を制限又は停止させる。
この構成によれば、電動自転車1の加速度が所定値以上の加速を行った場合に、制御部221は、電動モータ21の出力を制限又は出力を停止するため、電動自転車1が急加速するといったことが抑制される。この電動自転車1では、電動自転車1の加速が抑制されるため、押し歩き時の安全性を高めることができる。
また、本実施の形態に係る電動自転車1において、車速センサ243は、加速度センサを含む。車速センサ243は、速度情報である電動自転車1の加速度に関する加速度情報を、制御部221に出力する。そして、制御部221は、加速度情報に基づいて、水平面に対する電動自転車1の傾斜角度を算出し、電動自転車1の傾斜角度に応じて、電動モータ21の第2補助駆動力を制御する。
例えば、車速センサ243が加速度センサであれば、下り坂道での電動自転車1の加速度を出力することができる。制御部221は、加速度に基づいて、重力加速度を算出し、重力加速度から下り坂道の傾斜角度を算出することができる。このため、傾斜センサを新たに備える必要もない。
本実施の形態における他の作用効果についても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例)
以上、本発明に係る電動自転車及び電動自転車の制御方法について、上記の実施の形態1、2に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態1、2に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態1、2では、押し歩きモード又は自走モードを開始する指示を受け付ける入力部の一例として、手動スイッチを備える例を示したが、これに限らない。例えば、手動スイッチの代わりに、ハンドルのグリップに設けられたグリップセンサを備えてもよい。グリップセンサが前方への押力を検出した場合に、制御部は、押し歩きモード又は自走モードを実行してもよい。グリップセンサが前方への押力を検出しない場合に、制御部は、押し歩きモード又は自走モードを停止してもよい。
また、上記の実施の形態1、2では、電動自転車において、車速センサを第1のセンサとした場合に、第1のセンサと異なる第2のセンサを制御装置に接続してもよい。第2のセンサは、例えば、電動自転車の傾きを検知する傾きセンサでもよく、ジャイロセンサでもよい。傾きセンサ又はジャイロセンサ等により、電動自転車の傾斜角度を検知してもよい。
また、上記の実施の形態1、2において、手動スイッチには、押し歩きモードを実行するための押し歩きスイッチと、自走モードを実行するための自走スイッチとの2つの異なるスイッチが含まれてもよい。制御部は、押し歩きスイッチが押下されたとき、押し歩きモードを実行し、自走スイッチが押下されたとき、自走モードを実行してもよい。
また、上記の実施の形態1、2において、制御装置の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、制御装置の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
その他、実施の形態1、2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態1、2における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。