<インクジェット印刷用の硬化性組成物>
本発明のインクジェット印刷用の硬化性組成物(以下、「硬化性組成物」と略記する場合がある。)は、
(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーと、
(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーと、
(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマーと、
(C)光重合開始剤と、を含む。
[(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマー]
(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーは、比較的高粘度であるものの、添加されることにより得られた被膜の繰り返しリフロー後のクラック耐性およびはんだ耐熱性を向上させるモノマーである。
環状骨格には、環構造が炭素のみにより形成される環状炭素骨格及び環構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の炭素原子以外の原子を含む複素環骨格を含む。さらに、環構造は芳香環であっても、飽和又は不飽和の環構造であってもよい。
芳香環を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価フェノールのアクリレートのEO付加物やPO付加物が挙げられる。
多価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールB、ビスフェノールBP、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールM、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールZなどのビスフェノール類、ビフェノールなどが挙げられる。
また、飽和または不飽和の環構造を有する、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、上記多価フェノールのアクリレートの水素添加物や、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレート等の炭素環を有するジオールのジアクリレートのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドであり、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくとも1種によって変性されていることが好ましく、エチレンオキサイドが変性されていることが最も好ましい。
アルキレンオキサイドの変性数が1以上6以下であることで、得られた被膜のクラック耐性およびはんだ耐熱性が良好なものとなる。なお、アルキレンオキサイドの変性数とは、モノマー1分子内におけるアルキレンオキサイドの変性数であり、具体的には、モノマー1分子内における、-R-O-(Rはアルキレン基)の総数nである。
アルキレンオキサイドの変性数は、1以上4以下であることが好ましい。
(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーは、多官能(メタ)アクリロイル基含有モノマー(多官能(メタ)アクリレート)であっても、単官能(メタ)アクリロイル基含有モノマー(単官能(メタ)アクリレート)であってもよいが、組成物としての低粘性を維持する観点、および硬化後の被膜の耐熱性の観点から、二官能(メタ)アクリロイル基含有モノマー(二官能(メタ)アクリレート)であることが好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタアクリロイル基を総称する用語である。
(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物100質量部あたり5質量部以上40質量部以下の量で配合することが好ましい。この濃度範囲となることで、硬化性組成物の粘性をインクジェット法に使用可能な範囲とすることを容易としつつ、得られた被膜のリフロークラック耐性およびはんだ耐熱性の向上が促される。なお、硬化性組成物100質量部あたり5質量部以上30質量部以下の量で配合することが好ましく、より好ましくは10質量部以上30質量部以下の量である。
市販されているものとしては、ABE-300(新中村化学工業社製)、BPE―80N(新中村化学工業社製)、BPE―100(新中村化学工業社製)、BPE-4(第一工業製薬株式会社製)、BPE―200(新中村化学工業社製)、HBPE-4(第一工業製薬株式会社製)、アロニックスM-208(東亜合成株式会社製)などが挙げられる。
[(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマー]
(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物の粘度を低下させるために添加される希釈剤のうち、添加されることにより得られた被膜のリフロー時クラック耐性を向上させるものである。すなわち、この二官能(メタ)アクリレートモノマーは、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーと、後述する(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマーとの組み合わせにより、インクジェット法に使用可能な液性を維持しつつ、得られた被膜のリフロー時クラック耐性およびはんだ耐熱性を向上させる。
本発明においては、(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジまたはトリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである二官能(メタ)アクリロイル基含有モノマー(二官能(メタ)アクリレート)である。
ジアルキレングリコールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールが挙げられ、トリアルキレングリコールとしては、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリブチレングリコールが挙げられる。
なお、粘度をインクジェット法に好適な粘度で抑える観点から、ジアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであることが好ましい。
具体的には、(B1)芳香環および飽和または不飽和の炭素環の双方を有さず、ジまたはトリアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
市販されているものとしては、2G(新中村化学工業社製)、3G(新中村化学工業社製)、DPGDA(東洋ケミカルズ株式会社製)、T0948(東京化成工業株式会社製)、T2389(東京化成工業株式会社製)、ビスコート#310HP(大阪有機化学工業株式会社製)などが挙げられる。
(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物100質量部あたり20質量部以上50質量部以下の量で配合されることが好ましい。
[(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマー]
(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物の粘度を低下させるために添加される希釈剤のうち、添加されることにより得られた被膜のはんだ耐熱性を向上させるものである。すなわち、この二官能(メタ)アクリレートモノマーは、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーと、上記(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーとの組み合わせにより、インクジェット法に使用可能な液性を維持しつつ、得られた被膜のリフロー時クラック耐性およびはんだ耐熱性を向上させる。
本発明においては、(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマーは、例えば、モノアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである二官能(メタ)アクリレートモノマーである。
上記モノアルキレングリコール構造部分は、1分子中に炭素原子3~16個を有する直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖であることが好ましく、特に、炭素原子6~9個を有する直鎖のアルキレン鎖であることが好ましい。
具体的には、(B2)芳香環および飽和または不飽和の炭素環の双方を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジアクリレートなどが挙げられる。
市販されているものとしては、HDDA(第一工業製薬株式会社製)、A-NOD-N(新中村化学工業社製)、B1065(東京化成工業株式会社製)、ビスコート#195(大阪有機化学工業株式会社製)、A-DOD―N(新中村化学工業社製)などが挙げられる。
(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーは、硬化性組成物100質量部あたり10質量部以上30質量部以下の量で配合されることが好ましい。
また、(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーに対する(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーの質量比が1.0以上3.0以下であることが好ましい。
両者の質量比が上記範囲となることで、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーとの組み合わせで、得られた被膜のリフロークラック耐性およびはんだ耐熱性の向上をより高いレベルで実現可能となる。
さらに、(B1)環状骨格を有さず、アルキレングリコール構造を2つ以上有する二官能(メタ)アクリレートモノマーおよび(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーの総量に対する(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーの質量比が、0.10以上0.70以下であることが好ましい。
3者の質量比が上記範囲となることで、得られた被膜のリフロークラック耐性およびはんだ耐熱性をさらに高いレベルで実現可能となる。
さらに、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマー、(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマー、及び(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に水酸基を含んでいても良く、含んでいなくても良い。
また、本発明で使用される硬化性組成物は、更に以下の光重合開始剤を含む。
[(C)光重合開始剤]
光重合開始剤としては、エネルギー線の照射により、(メタ)アクリレートを重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤が使用できる。
光ラジカル重合開始剤としては、光、レーザー、電子線等によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始する化合物であれば全て用いることができる。当該光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;リボフラビンテトラブチレート;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6-トリス-s-トリアジン、2,2,2-トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;ベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、単独でまたは複数種を混合して使用することができる。また更に、これらに加え、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などの光開始助剤を使用することができる。また、可視光領域に吸収のあるCGI-784等(BASFジャパン社製)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために光ラジカル重合開始剤に添加することもできる。尚、光ラジカル重合開始剤に添加する成分はこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光開始助剤に限らず、単独であるいは複数併用して使用できる。
光重合開始剤の配合量は、硬化性組成物100質量部に対して0.5~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは1~10質量部である。
光重合開始剤で市販されているものの製品名としては、例えば、Omnirad907、Omnirad127、Omnirad379(何れもIGM Resins社製)、2-イソプロピルチオキサントン(日本化薬社製)等が挙げられる。
また、本発明の硬化性組成物は、熱硬化成分を含むことが好ましい。熱硬化成分を含むことで、得られた被膜のはんだ処理やめっき処理後の密着性(はんだ耐熱性やめっき耐性)や加熱後のクラック抑制などの耐熱性を向上させることが期待できる。
熱硬化成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、保存安定性に優れることから、ブロックイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4または5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方または2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物としては、ADEKA社製のアデカサイザーO-130P、アデカサイザーO-180A等のエポキシ化植物油;三菱化学社製のjER828、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、DIC社製のエピクロン840、東都化成社製のエポトートYD-011、ダウケミカル社製のD.E.R.317、住友化学工業社製のスミ-エポキシESA-011、旭化成工業社製のA.E.R.330等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製のYSLV-80XY等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製のYSLV-120TEのチオエーテル型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、東都化成社製のエポトートYDB-400、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ-エポキシESB-400、旭化成工業社製のA.E.R.711等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、ダウケミカル社製のD.E.N.431DIC社製のエピクロンN-730、東都化成社製のエポトートYDCN-701、日本化薬社製のEPPN-201、住友化学工業社製のスミ-エポキシESCN-195X、旭化成工業社製のA.E.R.ECN-235等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC-3000等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST-2004(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH-434、住友化学工業社製のスミ-エポキシELM-120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;日本化薬社製のEPPN-501等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS-200、ADEKA社製EPX-30、DIC社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjERYL-931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN-190、DIC社製HP-4032等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP-7200等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB-3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR-102、YR-450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
なお、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート等、分子中にラジカル重合部位(メタクリル基)とカチオン重合部位(オキセタニル部位)を併せ持つモノマーは、光硬化成分でもあり、熱硬化成分でもあることから、光硬化及び熱硬化の2段階硬化を行う場合に組成物中に含まれることが好ましい。
このような成分としては、多官能オキセタン化合物以外に、例えば、(メタ)アクリロイル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名、EA-1010LC、新中村化学工業社製)、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(製品名、4HBAGE、日本化成株式会社製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(製品名、サイクロマーM100、株式会社ダイセル製)などが挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂としては、例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物およびアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物およびメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266(いずれも三井サイアナミッド社製)、ニカラックMx-750、同Mx-032、同Mx-270、同Mx-280、同Mx-290、同Mx-706(いずれも三和ケミカル社製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物は、1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物である。このような1分子内に複数のイソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。上記ポリイソシアネート化合物、またはブロックイソシアネート化合物を加えることにより硬化性および得られる硬化物の強靭性を向上させることができる。
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンダイマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε-カプロラクタム、δ-パレロラクタム、γ-ブチロラクタムおよびβ-プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL-3175、BL-4165、BL-1100、BL-1265、デスモジュールTPLS-2957、TPLS-2062、TPLS-2078、TPLS-2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B-830、B-815、B-846、B-870、B-874、B-882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA-B80E、17B-60PX、E402-B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)、7950、7951、7960、7961、7982、7990、7991、7992(いずれもBaxenden chemicals社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL-3175、BL-4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のイソシアネート基、またはブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化成分の配合量は、本発明の硬化性組成物100質量部あたり、1~30質量部が好ましい。配合量が1質量部以上であれば、塗膜の強靭性、耐熱性がさらに向上する。一方、30質量部以下であれば、保存安定性が低下することを抑制できる。
さらに、本発明の硬化性組成物は、水酸基を有する(メタ)アクリレートを含んでいても良い。水酸基を有する(メタ)アクリレートを含むことで、得られた被膜の導体回路金属やプラスチック基板との密着性が向上する。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としてはアロニックスM-5700(東亞合成社製の商品名)、4HBA、2HEA、CHDMMA(以上、日本化成社製の商品名)、BHEA、HPA、HEMA、HPMA(以上、日本触媒社製の商品名)、ライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA(以上、共栄社化学社製の商品名)等がある。(B)水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は1種類または複数種類を組み合わせて用いることができる。
このうち、特に2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましく用いられる。また、粘度調整の容易さの観点から、単官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の配合量は、本発明の硬化性組成物100質量部あたり、好ましくは1~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
さらに、本発明の硬化性組成物は、多分岐状オリゴマーまたは多分岐状ポリマーを含んでいてもよい。本発明において、エチレン性不飽和基を有する多分岐状のオリゴマー又はポリマーは、多分岐状のオリゴマー又はポリマー(1分子中に複数の分岐鎖を有するオリゴマー又はポリマーのことをいう)骨格にエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する化合物である。エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基などの官能基に由来するものであり、1分子内に複数種のエチレン性不飽和基を有していてもよい。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を含む概念である。
エチレン性不飽和基を有する多分岐状のオリゴマー及び/又はポリマー(以下、単に「多分岐状のオリゴマー又はポリマー」とも称する)としては、デンドリマー構造(樹状構造)を有する化合物(以下、単にデンドリマーともいう)、ハイパーブランチ(超分岐)構造を有する化合物(以下、単にハイパーブランチ(オリゴマー、ポリマー)ともいう)、スター構造を有する化合物(オリゴマー、ポリマ―)、及びグラフト構造を有する化合物(オリゴマー、ポリマ―)であって、エチレン性不飽和結合を有する官能基、例えば(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
なお、本発明でデンドリマーは、枝分岐鎖が放射状に広がった構造を有する化合物を広く称する。デンドリマーの具体的種類は特に限定されず、アミドアミン系デンドリマー、フェニルエーテル系デンドリマー、ハイパーブランチポリエチレングリコールなど公知のものから1種以上を選択することができる。
多分岐状のオリゴマー又はポリマーは、重量平均分子量(Mw)が、一般に1000~20000、好ましくは1000~8000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフ測定に基づく分子量分布曲線に基づくポリスチレン換算の分子量である。
本発明の多分岐状のオリゴマー又はポリマーの一分子中のエチレン性不飽和結合を有する官能基数、特に(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは3以上、特に4~30の範囲であることが好ましく、本発明の組成物の所望の効果が損なわれない範囲で選択される。特に、本発明の光硬化性組成物はインクジェット用に用いられるため粘度が室温(25℃)で150mPa・s以下となる30以下の官能基数のものが用いられる。
デンドリマーの製造方法は特に限定されず、中心コア分子に世代ごとに分子を結合させて分岐を形成するダイバージェント法、予め合成した枝部分をコア分子に結合させるコンバージェント法、2以上の反応点Bを有する分岐部分と別の反応点Aを有するつなぎ部分とを1分子内に持つモノマーABxを用いて1段階で合成する方法など公知の製造方法を採用することができる。
デンドリマーは市販品を用いることも可能であり、例えば、Etercure 6361-100 (Eternal Materials社製)、Doublermer(DM)2015(Double Bond Chamical社製)、SP1106(Miwon Specialty Chemical社製)、ビスコート#1000(大阪有機化学工業株式会社製)を挙げることができる。
このほか、デンドリマーはIris Biotech社、関東化学社、Merk Millipore社、QIAGEN社、Sigma-Aldrich社、テクノケミカル社、Double Bond Chamical社、大阪有機化学工業社、伯東社などから入手可能である。
本発明では、エチレン性不飽和基を有する多分岐状のオリゴマーまたはポリマーを用いることにより、硬化性組成物と基板との密着性を向上させ、その上、硬化物に高い硬度を与えることができる。また、処理条件の厳しいめっき耐性を向上させることができる。
さらに、エチレン性不飽和基を有する多分岐状のオリゴマーまたはポリマーは官能基数または使用量を増加させても比較的低粘度であることから、硬化性得組成物を高硬度とするために有意である。
エチレン性不飽和基を有する多分岐状のオリゴマーまたはポリマーの配合量は、硬化性組成物の総質量に対して0.1~40質量%であると好ましい。0.1以上とすることにより、塗膜の硬度が向上し、40質量%以下とすることにより硬化組成物の粘度上昇を抑制することができる。
また、本発明の硬化性組成物は、3官能以上6官能以下の(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。3官能以上6官能以下の(メタ)アクリレート化合物を含むことで、組成物の光硬化後のタック性(指触乾燥性)の向上が期待される。
3官能以上6官能以下の(メタ)アクリレート化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、プロピレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、あるいはこれらのシルセスキオキサン変性物等に代表される多官能アクリレート、あるいはこれらに対応するメタアクリレートモノマー、εカプロラクトン変性トリスアクリロキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。当該3官能以上6官能以下の(メタ)アクリレート化合物の配合量は本発明の硬化性組成物100質量部あたり、例えば、1~20質量部であり、好ましくは、1~10質量部である。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて消泡・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤、難燃剤等の添加剤を含有させることができる。
消泡剤・レベリング剤としてはシリコーン、変性シリコーン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が使用できる。
チクソトロピー付与剤・増粘剤としては、カオリナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ベントナイト、タルク、マイカ、ゼオライト等の粘度鉱物や微粒子シリカ、シリカゲル、不定形無機粒子、ポリアミド系添加剤、変性ウレア系添加剤、ワックス系添加剤などが使用できる。
消泡・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤を添加することにより、硬化物の表面特性および組成物の性状の調整を行うことができる。
カップリング剤としては、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、アセチル等であり、反応性官能基としてビニル、メタクリル、アクリル、エポキシ、環状エポキシ、メルカプト、アミノ、ジアミノ、酸無水物、ウレイド、スルフィド、イソシアネート等である例えば、ビニルエトキシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β―メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ-アミノプロピルトリメトキシラン、Ν―β―(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β―(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、Ν―フェニル―γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチルー1-ブチル)ビス-(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、エチレン性不飽和ジルコネート含有化合物、ネオアルコキシジルコネート含有化合物、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデシル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオアルコキシトリス(m-アミノ)フェニルジルコネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン-スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ-ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N-エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m-アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート(、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3-メルカプト)プロピオニックジルコネート、ジルコニウム(IV)2,2-ビス(2-プロペノラトメチル)ブタノラト,シクロジ[2,2-(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト]ピロホスファト-O,O等のジルコネート系カップリング剤、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等が使用できる。
分散剤としては、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子型分散剤等が使用できる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系、赤燐、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物系、臭素化合物系、塩素化合物系、燐酸エステル、含燐ポリオール、含燐アミン、メラミンシアヌレート、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、シリコンポリマー等が使用できる。
重合速度や重合度を調整するためには、更に、重合禁止剤、重合遅延剤を添加することも可能である。
更に、本発明の硬化性組成物には、粘度調整のため溶剤を用いてもよいが、硬化後の膜厚低下を防ぐために、添加量は少ないことが好ましい。また、粘度調整のための溶剤は含まないことがより好ましい。
本発明の硬化性組成物には、着色を目的として、着色顔料や染料等を添加しても良い。着色顔料や染料等としては、カラ-インデックスで表される公知慣用のものが使用可能である。例えば、Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、Solvent Blue 35、63、68、70、83、87、94、97、122、136、67、70、PigmentGreen 7、 36、3、5、20、28、Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、108、193、147、199、202、110、109、139 179 185 93、94、95、128、155、166、180、120、151、154、156、175、181、1、2、3、4、5、6、9、10、12、61、62、62:1、65、73、74、75、97、100、104、105、111、116、167、168、169、182、183、12、13、14、16、17、55、63、81、83、87、126、127、152、170、172、174、176、188、 198、Pigment Orange 1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73、Pigment Red 1、2、3、4、5、6、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、112、114、146、147、151、170、184、187、188、193、210、245、253、258、266、267、268、269、37、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53:1、53:2、57:1、58:4、63:1、63:2、64:1、68、171、175、176、185、208、123、149、166、178、179、190、194、224、254、255、264、270、272、220、144、166、214、220、221、242、168、177、216、122、202、206、207、209、Solvent Red 135、179、149、150、52、207、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、Pigment Brown 23、25、PigmentBlack 1、7等が挙げられる。これら着色顔料・染料等は、硬化性組成物100質量部に対して、0.01~5質量部添加することが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、インクジェット法による印刷に適用可能である。インクジェット法による印刷に適用可能であることには、インクジェットプリンターにより噴射可能な粘度であることが好ましい。
粘度とはJIS K2283に従って測定した粘度を指す。また、上記のインクジェット用硬化性組成物の粘度は常温(25℃)で150mPa・s以下であることが好ましい。上述のように、インクジェットプリンターに使用するインクの粘度は塗布時の温度において約20mPa・s以下であることが好ましい。しかし、常温で150mPa・s以下の粘度であれば、塗布前、若しくは塗布時の加温によって上記条件を充足することができる。
従って、本発明の硬化性組成物によりプリント配線板用の基板等に、直接パターンを印刷することができる。
更に、本発明の硬化性組成物は、常温では重合反応が生じないため、一液型の硬化性組成物として安定に保存可能である。
本発明の硬化性組成物はインクジェットプリンターにインクとして供給され、基板上への印刷に使用される。本発明の組成物はインク粘度が非常に低いため、インクジェット法による印刷・塗布は、基材に印刷・塗布したパターンや文字は長時間が経過すると濡れ広がり、滲みを生ずる。
<硬化性組成物の硬化物>
本発明の硬化性組成物の硬化物は、例えば、上記印刷直後の組成物層に50mJ/cm2~1000mJ/cm2光照射を行うことにより組成物層を光硬化させることで得られる。光照射は、紫外線、電子線、化学線等の活性エネルギー線の照射により、好ましくは紫外線照射により行われる。
インクジェットプリンターにおける紫外線照射は、例えばプリントヘッドの側面に高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDなどの光源を取り付け、プリントヘッドもしくは基材を動かすことによる走査を行うことにより行うことができる。この場合は、印刷と、紫外線照射とをほぼ同時に行なえる。
光硬化後の硬化物は、熱硬化成分が含まれる場合には、公知の加熱手段、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の加熱炉を用いることにより熱硬化する。加熱条件としては、130℃~170℃にて5分~90分加熱することが好ましい。
<硬化性組成物の硬化物を絶縁性硬化被膜として用いた電子部品>
このように基板等の基材上にパターン印刷した硬化性組成物からなる被膜(硬化物)がソルダーレジストとして用いられる場合、部品の実装のためのはんだ付け工程で加熱される。はんだ付けは、手はんだ付け、フローはんだ付け、リフローはんだ付け等のいずれで行われてもよいが、例えば、リフローはんだ付けの場合には、100℃~140℃で1~4時間の予熱と、その後、240~280℃で5~20秒程度の加熱を複数回(例えば、2~4回)繰り返してはんだを加熱・溶融させるリフロー工程に供され、冷却後、必要により部品が実装されて電子部品が完成する。
なお、本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれ、本発明の硬化性組成物の硬化物がこれらの絶縁性硬化塗膜として、本発明の効果を奏するものである。
また、基板が、いわゆるリジッド基板、すなわち、両面に配線がプリントされた両面板や基板を積層させてなる多層板である場合には、上記硬化性組成物からなる被膜を有する基板が複数回上記はんだ付け工程に供され、繰り返し加熱されることとなる。
本発明の硬化性組成物によれば、得られた被膜(硬化物)は、複数回のはんだ付けを想定した熱履歴を受けた後においても被膜上のクラックの発生が無く、且つ十分な基板との密着性及び被膜硬度を維持しており、リジッド基板上に施されるソルダーレジストとして期待される良好な機械的特性を有する。
本発明の硬化性組成物は、可塑性、耐衝撃性、密着性、耐薬品性、耐熱性(加熱後の耐クラック性、密着性及び硬度の維持特性を含む)、および絶縁性等に優れることから種々の用途に適用可能であり、適用対象に特に制限はない。例えば、インクジェット法を用いたプリント配線板のエッチングレジスト、ソルダーレジスト、マーキングレジストの作製等の用いることができ、中でも高い耐熱性が要求されるソルダーレジストとして好適に用いることができる。
また、UV成形品材料、光造形用材料、3Dインクジェット用材料などの用途にも利用可能である。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成および実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味するものとする。
[実施例1~8および比較例1~2]
1.組成物の調製
表1に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、これをディゾルバーで撹拌した。
その後ビーズミルを用いて1mmのジルコニアビーズにて分散を2時間行い、本発明の組成物(実施例1~8)および比較組成物(比較例1および2)を得た。
表1中の製品名および略号は以下の通りである。
ABE-300: EO変性ビスフェノールAジアクリレート(EO3モル付加物)、新中村化学工業社製
BPE-4:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル付加物)、第一工業製薬株式会社製
HBPE-4:EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル付加物)、第一工業製薬株式会社製
BPE-10:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(EO10モル付加物)、第一工業製薬株式会社製
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート、東洋ケミカルズ株式会社製
A-NOD-N:1,9-ノナンジオールジアクリレート、新中村化学工業社製
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、第一工業製薬株式会社製
Laromer LR8863:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EO6モル付加物)
Omnirad 379:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、IGM社 Resins製
ITX:2-イソプロピルチオキサントン、日本化薬社製
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、IGM Resins社製
ビスコート#1000:デンドリマーポリエステルアクリレートオリゴマー(末端にアクリレート基を有する多分岐(デンドリマー型)ポリエステルアクリレートを主成分とするデンドリマー)、大阪有機化学工業社製
EA-1010LC:(メタ)アクリロイル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂(単官能)、新中村化学工業社製
BI7982:3官能ブロックイソシアネート、Baxenden chemmical社製
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート、日本化成社製
メラミン:日産化学社製
フタロシアニンブルー:フタロシアニン系青色顔料、
クロモフタルエローAGR:アントラキノン系黄色顔料、
BYK-315N:シリコン系表面調整剤、ビックケミー・ジャパン社製
組成物粘度:ビーズミルでの分散直後の、JIS K2283に準拠して測定された50℃における粘度を下記基準により判定した。
◎ 15mPa・s未満
○ 15mPa・s以上150mPa・s未満
× 150mPa・sを超過粘度
2.試験基板の作製および評価
2-1.高温処理後のクラック耐性の評価
得られた各実施例および比較例の硬化性組成物を用いて以下の条件
<試験基板の作成条件>
基材:銅張積層板
研磨:バフ研磨(Scotch brite SF(#600相当)とUEF(#1000相当)の2連)
塗布:アプリケーター(ERICHSEN社製)、塗布時の膜厚30μm
仮硬化条件:300mJ/cm2、高圧水銀灯(ORC社製HMW-713)を光源として使用
熱硬化条件:150℃60分、加熱装置はDF610(ヤマト科学株式会社製)を使用
UV bump:1000mJ/cm2、高圧水銀灯(ORC社製HMW-713)を光源として使用
に従ってそれぞれ試験基板を作製した。
エイテックテクトロン社製NIS-20-82Cを用いて、下記のコンベア速度および熱源設定温度に従って、事前にリフロー条件と同じ条件で、リフロー炉内の温度を5回測定し(図1参照)、大きな差異が無いことを確認した。その後、同じ条件で、上記で得た試験基板を、エアーリフローでリフロー処理を行った。
コンベア速度:1.0m/min≒1ゾーン(約35cm)を約20秒で通過
熱源設定温度:A.210℃、B.190℃、C.~F.185℃、G.265℃、H.285℃、I.~J.ファンによる冷却工程
リフロー処理は最大で5回まで行い、2回目以降、リフロー処理を行うごとに試験基板上の硬化被膜におけるクラックの有無を確認した。結果を表2に示す。
表2に示すように、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変数を有する(メタ)アクリレートモノマーと、(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーと、(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマーとの組み合わせで用いた場合、リフロー5回の熱履歴後においても得られた被膜はクラックを生じず、十分なクラック耐性を有していた。一方、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーを有さない比較例(比較例1、2)は、リフロー後にクラックが生じており、加熱後のクラック耐性が満足できないものとなっていた。
2-2.高温処理後の被膜の特性の評価
「1.組成物の調製」で得られた各実施例および比較例の硬化性組成物を用い、
「2-1.高温処理後のクラック耐性の評価」の条件と同じ条件で各試験基板を作製した。
作製したサンプルに対しJIS C-5012の方法に準拠し、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬を実施した。
その後、はんだ浸漬処理後の各試験基板に対して、下記「2-2-1.銅張積層板との密着性」および「2-2-2.鉛筆硬度」に従って被膜特性を評価した。
2-2-1.銅張積層板との密着性
作製した各試験基板を用いてクロスカットテープピール試験(JIS K 5600)を実施した。表3に、試験後にも残存する塗膜の割合を百分率で示す。
2-2-2.鉛筆硬度
作成した各試験基板の表面における鉛筆硬度をJIS K 5600-5-4に準拠して測定を行った。表3に、塗膜表面の鉛筆硬度を示す。
表3に示すように、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーと、(B1)環状骨格を有さず、2以上のアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)アクリレートモノマーと、(B2)環状骨格を有さず、モノアルキレングリコール構造を有する二官能(メタ)クリレートモノマーとの組み合わせで用いた場合、リフロー3回の熱履歴後においても得られた被膜は基板上の導体と良好な密着性を有し、且つ十分な被膜硬度を有していた。一方、比較例1および比較例2は、はんだ工程後は被膜硬度が低下し、さらに被膜の基板上の導体との密着性が低下しており、はんだ工程後は被膜が軟質化し、さらに導体からの被膜剥がれが生じるおそれがある。よって、比較例の被膜ははんだ耐熱性が低下していると判断される。
2-3.無電解めっき処理後の被膜の特性の評価
さらに、「2-1.高温処理後のクラック耐性の評価」において作製した各試験基板に対して、市販の無電解ニッケルめっきおよび無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件で硬化被膜上にめっきを行った。
その後、上記「2-2-1.銅張積層板との密着性」および「2-2-2.鉛筆硬度」に従って被膜特性を評価した。結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例1~8は、形成された被膜の導体への良好な密着性及び十分な硬度を示す一方、比較例1~2は形成された被膜の導体への密着性が低下していた。すなわち、(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーを有さない比較例(比較例1)及び(A)環状骨格を有し、1以上6以下のアルキレンオキサイド変性数を有する(メタ)アクリレートモノマーとはアルキレンオキサイド変性数のみが異なる(=変性数10)比較例2は、耐薬品性が小さいことがわかった。