JP7085409B2 - セシウムの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セシウムの回収方法に関する。
近年、電子材料や燃料電池等の高機能製品の市場拡大に伴って、これらの製品に用いられる資源確保の機運が高まっており、特に高機能製品の生産に不可欠なレアメタルの需要が高くなっている。レアメタルの供給を輸入に依存している我が国は、その安定的な供給確保が重要な課題となっている。レアメタルの安定的な供給確保を目指すべく、経済産業省は、2009年に「レアメタル確保戦略」を公表し、日本国内で発生した廃自動車や廃家電などの廃製品からレアメタルを回収する取組みを積極的に進めている。
レアメタルとは、経済産業省鉱業審議会によれば、Li、Be、B、希土類(レアアース(17元素))、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Ga、Ge、Se、Rb、Sr、Zr、Nb、Mo、Pd、In、Sb、Te、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、Pt、Tl、Biと定義されている。
しかし、レアメタルの元素によっては、元素の重要度及び回収技術開発の観点から、回収の取組みが遅れていたり、又は不十分であったりするものもある。例えば、レアメタルの一つである非放射性のセシウム(Cs:原子番号55)は、触媒や光学ガラス、光電変換素子等に用いられており、その需要が高い一方で、安定的なリサイクル技術は未だ確立されていないのが現状である。
ところで、レアメタルや貴金属を回収する方法として、大量の廃棄物を原料や燃料として使用し燃焼させて、それによって発生した灰等から目的の金属を回収する方法がある。特許文献1~3には、セメント製造設備を用いて、セメントキルンで発生する燃焼排ガスを抽気し、該排ガスに含まれるダストから、ルビジウム及びビスマス等のレアメタルや、金及び銀等の貴金属を回収する方法が開示されている。また、これらの文献には、酸浸出やアルカリ浸出などの操作を更に行って、目的の金属を濃縮抽出できることも開示されている。
特開2004-211114号公報 特開2014-173121号公報 特開2014-173188号公報
しかし、特許文献1~3に開示されている回収方法は、セシウムを対象としたものではない。また、回収対象とする金属が、セメントクリンカの製造の際に発生する排ガスを抽気した抽気ダストに含まれていることを前提としており、使用する原料に何らの条件もないので、安定的な回収方法とは言い難い。仮に、回収対象となる金属を含む廃棄物を用いてセメント製造装置中で燃焼させたとしても、目的とする製品であるセメントクリンカの生産に見合うだけの廃棄物量を確保することは困難であった。
したがって本発明は、セメントクリンカの通常製造時において、長期的且つ安定的にセシウムを回収する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、セメントクリンカの製造原料として使用される石灰石及び石炭灰に含まれるセシウム含有量に着目して、製造原料の燃焼時に発生する抽気ダストから長期的且つ安定的にセシウムを回収できることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、石灰石及び石炭灰を含むセメント原料を焼成してセメントクリンカを製造するセメント製造設備を用いたセシウムの回収方法であって、
下記式(a)を満たす石灰石及び石炭灰を選定する第一工程と、
7.5X+Y≧10.5 ・・・式(a)
X:石灰石のセシウム含有量(mg/kg)
Y:石炭灰のセシウム含有量(mg/kg)
前記第一工程で選定した石灰石及び石炭灰を含むセメント原料をセメント製造設備で焼成し、それによって発生した排ガスを抽気し、次いで抽気した該排ガスに含まれる抽気ダストを捕集する第二工程とを備える、セシウムの回収方法を提供するものである。
また本発明は、前記抽気ダストと水とを混合してセシウム含有分散液を得る第三工程を更に備える、セシウムの回収方法を提供するものである。
更に本発明は、セメント原料として、その水硬率が1.8以上2.4以下であり、ケイ酸率が2.0以上3.8以下であり、鉄率が0.6以上2.3以下であるものを用いる、セシウムの回収方法を提供するものである。
本発明によれば、通常のセメント製造設備を利用し、定常的な焼成条件でセメントクリンカを製造しながら、長期的且つ安定的にセシウムを回収することができる。これにより、社会的な課題となっているレアメタル資源確保へ貢献することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の説明では、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」を意味する。
本発明のセシウムの回収方法は、セメント原料を焼成してセメントクリンカを製造するセメント製造設備を用いて行うものであり、以下の第一工程及び第二工程の2つの工程を備えている。
セメント製造設備は、一般的に、複数の原材料を粉砕混合してセメント原料とする原料混合設備、セメント原料を焼成してセメントクリンカを製造するセメントキルンを有する焼成設備、及びセメントクリンカと他の材料とを粉砕混合するセメント仕上設備を備えている。セメント製造設備には、セメント原料の焼成時に発生した排ガスをセメントキルンの窯尻部分から抽気可能なバイパス設備が備えられており、抽気した排ガスを冷却して、該排ガスに含まれる抽気ダスト(粉状物)を捕集できるようになっている。
セメント製造設備において焼成されるセメント原料は、石灰石及び石炭灰に加えて、珪石、スラグ、建設発生土、汚泥、燃え殻及びばいじん等の原材料を含む混合物である。これらの原材料は、目的とするセメントクリンカの物性に応じて適宜採用することができ、粉砕して用いることができる。
<第一工程>
本工程では、セメント原料に含まれる原材料のうち、石灰石及び石炭灰について、これらのセシウム含有量が以下の式(a)を満たすように選定する。
7.5X+Y≧10.5 ・・・式(a)
X:石灰石のセシウム含有量(mg/kg)
Y:石炭灰のセシウム含有量(mg/kg)
上述の式(a)に示すように、石灰石に含まれるセシウム含有量と石炭灰に含まれるセシウムの含有量との関係は、一次式の不等式で表されるものである。このような関係は、使用する原材料から持ち込まれたセシウムが濃縮されて抽気ダストに移行する傾向にある点、及び該ダストに移行するセシウムの大部分が石灰石及び石炭灰に由来する点から、石灰石及び石炭灰の各含有量の寄与率に基づいて本発明者が見出したものである。このような関係を満たす石灰石及び石炭灰を用いることで、抽気ダストに含まれるセシウム含有量を、セシウムの原料鉱物の一つであるレピドライト鉱のセシウム含有量(1000mg/kg程度)以上に維持することができる。その結果、セシウムの回収において、このような鉱物を使用しなくても、セメントクリンカを定常的に製造しながら、長期的且つ安定的にセシウムを回収することができる。
本発明に用いられる石灰石及び石炭灰において、これらのセシウム含有量が上記式(a)の関係を満たすか否かを判断するためには、例えばレアメタルの定量分析で一般的に用いられる誘導結合プラズマ質量分析(ICP―MS)を用いて、石灰石及び石炭灰のセシウム含有量をそれぞれ求めて判断することができる。ICP―MSを用いたセシウムの含有量の測定条件は、後述する実施例で詳述する。
長期的且つ安定的なセシウムの回収を実現する観点から、セメント原料に含まれる石灰石は、そのセシウム含有量が、上述の関係式(a)を満たすことを条件として、石灰石1kg当たり、好ましくは0.2mg/kg以上、更に好ましくは0.5mg/kg以上であるものが用いられる。セシウムの含有量の上限値に特に制限はないが、石灰石中のセシウム含有量が1.0mg/kg程度であれば、本発明の効果は十分に奏される。このような石灰石は、例えば石灰石を採取する鉱区を選定して得ることができる。
同様の観点から、セメント原料に含まれる石炭灰は、そのセシウム含有量が、上述の関係式(a)を満たすことを条件として、石炭灰1kg当たり、好ましくは6.0mg/kg以上、更に好ましくは8.0mg/kg以上であるものが用いられる。石炭灰中のセシウムの含有量の上限値に特に制限はないが、セシウム含有量が10.0mg/kg程度であれば、本発明の効果は十分に奏される。このような石炭灰は、例えば石炭火力発電所等の石炭を燃焼する設備から排出されるものを選定して得ることができる。
セメントの製造に通常用いられるセメントクリンカを製造しつつ、安定的にセシウムを回収する観点から、セメント原料における石灰石の含有量は40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上75質量%以下であることが更に好ましい。同様の観点から、セメント原料における石炭灰の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
<第二工程>
本工程では、第一工程で選定した石灰石及び石炭灰を含むセメント原料を焼成し、それによって発生した排ガスを抽気して、次いで抽気した該排ガスに含まれる抽気ダストを捕集する。セメント原料の焼成、排ガスの抽気及び抽気ダストの捕集は、上述の設備を有するセメント製造設備によって行うことができる。
セメントの製造に通常用いられるセメントクリンカを製造しつつ、安定的にセシウムを回収する観点から、セメント原料として、所定の範囲の水硬率(HM)、ケイ酸率(SM)及び鉄率(IM)を有するものを用いることが好ましい。詳細には、セメント原料の水硬率は、好ましくは1.8以上2.4以下であり、より好ましくは1.9以上2.4以下であり、更に好ましくは2.0以上2.4以下である。セメント原料のケイ酸率は、好ましくは2.0以上3.8以下であり、より好ましくは2.0以上3.0以下であり、更に好ましくは2.1以上2.6以下である。セメント原料の鉄率は、好ましくは0.6以上2.3以下であり、より好ましくは0.6以上2.2以下であり、更に好ましくは1.4以上2.2以下である。水硬率、ケイ酸率及び鉄率は、セメント原料に含まれる酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)及び酸化鉄(Fe)の含有質量%から算出することができる。水硬率、ケイ酸率及び鉄率は、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)及び酸化鉄(Fe)の含有質量%がそれぞれ上述の割合を満たすようにセメント原料を混合することで調整することができる。
次いで、セメント原料を焼成する。セメント原料の焼成は、セメントクリンカの製造に一般的に用いられる回転式のセメントキルンを用いることができる。セメントキルンとしては、例えば予熱装置を有するキルン(SPキルン)や、予熱装置及び仮焼炉を有するキルン(NSPキルン)等が挙げられる。
セメントの製造に通常用いられるセメントクリンカを製造しつつ、セメント原料に含まれるセシウムを気化させて、安定的にセシウムを回収する観点から、セメント原料の焼成温度は、1200℃以上1600℃以下であることが好ましく、1350℃以上1600℃以下であることが更に好ましい。同様の観点から、セメント原料の焼成時間は、0.1時間以上2.0時間以下であることが好ましく、0.3時間以上1.0時間以下であることが更に好ましい。
セメント原料がセメントキルン内で焼成されることによって、セメントクリンカが製造され、それとともに排ガスが発生する。この排ガスは、セメント原料中の原材料である石灰石、石炭灰及び汚泥等に由来するセシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、塩素、硫黄及びこれらの化合物を含んでいる。
続いて、上述したバイパス設備で前記成分を含む排ガスを抽気して、排ガスに含まれる抽気ダストを捕集する。バイパス設備によって抽気された排ガスは、冷却されるにつれて抽気ダストが発生する。この抽気ダストには、排ガスと同様に、セシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄及びこれらの化合物が固体として含まれている。
このように得られた抽気ダストは、石灰石及び石炭灰に含まれるセシウムが濃縮されて1000mg/kg程度となっているものであり、またセメント原料の焼成後長期間にわたってセシウムが濃縮された抽気ダストを捕集できるので、長期的且つ安定的にセシウムを回収できる。この抽気ダストは、その用途に応じてそのまま使用してもよく、溶媒抽出等の処理によってセシウムを濃縮してもよい。抽気ダスト中のセシウムを簡便かつ高濃度に抽出して、以後のセシウムの精製を首尾よく行う観点から、上述した第一工程及び第二工程に加えて、以下の第三工程を備えることが好ましい。
<第三工程>
本工程では、第二工程で捕集した抽気ダスト及び水を混合して、セシウム含有分散液を得る。
抽気ダストの分散に用いられる水としては、例えば水道水(上水)、工業用水、雨水、イオン交換水、超純水などを用いることができる。セシウム含有分散液の調製に水を用いることによって、水溶性が高いセシウム等のアルカリ金属化合物を水へ効率的に移行することができる。なお、本発明者は、抽気ダストから水へのセシウムの移行率は70~90質量%であることを見出している。
抽気ダストに含まれるセシウムを効率的に液相へ移行させる観点から、抽気ダストと水との混合比は、その質量比として、抽気ダスト:水=1:0.5~1:20であることが好ましく、抽気ダスト:水=1:3~1:10であることが更に好ましい。抽気ダスト及び水の混合条件は、セシウムを液相へ移行できる条件であれば特に制限はなく、例えば混合装置(シックナー)に抽気ダスト及び水を投入し、回転数:50rpm、pH:12、温度:20℃、混合時間:2時間混合して分散液とすることができる。
以上の工程を経て、セシウムが高濃度に含有したセシウム含有分散液を得ることができる。セシウム含有分散液には、セシウムのほかに、抽気ダストに由来するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の化合物や、セレン、鉛及びヒ素等の重金属類が含まれている。セシウム含有分散液は、その用途に応じて、そのまま使用してもよく、更に溶媒除去等の処理を行って、セシウムが含有した水溶液を分離してもよい。このような分離方法としては、例えば遠心分離法、ろ過法及び沈降分離法等といった固液分離法を行うことができる。
以上のとおり、本発明によれば、通常のセメント製造設備を利用し、一般的な条件でセメントクリンカを製造するとともに、長期的且つ安定的にセシウムを回収することができる。これによって、社会的な課題となっているレアメタル資源確保へ貢献することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されない。
<第一工程>
〔石灰石及び石炭灰の選定〕
セメント原料に用いる石灰石及び石炭灰について、セシウム含有量に基づく採取場所の選定を行った。石灰石は鉱区1~9から採取し、石炭灰は8カ所の石炭火力発電所において石炭の燃焼によって発生した石炭灰をそれぞれ採取して用いた(以下、これらを石炭灰A~Hともいう。)。これらの石灰石及び石炭灰のセシウム含有量をそれぞれICP-MS(アジレント・テクノロジー社製、型番:Agilent8800型)を用いて以下の条件で測定した。石灰石及び石炭灰の前処理条件及び測定条件は以下のとおりである。結果を以下の表1に示す。
(前処理条件)
分析試料及び酸を容器中で混合した分散液にマイクロ波を照射して加熱分解後、超純水で定容して試料溶液を調製した。
(測定条件)
得られた試料溶液を、以下の条件で測定した。
・測定質量数:133Cs及び115Inを使用した内部標準法を用いて測定
・積分時間 :1質量数あたり0.1秒
・キャリアガス:高純度アルゴンガス
・ネプライザーガス流量:0.7L/min
・RF出力:1500W
・チャンバー温度:2℃
・トーチ:石英製
次いで、石灰石のセシウム含有量X(mg/kg)及び石炭灰のセシウム含有量Y(mg/kg)に基づいて、以下の式(a)を満たす組み合わせを選定した。選定結果を以下の表1に示す。
7.5X+Y≧10.5 ・・・式(a)
X:石灰石のセシウム含有量(mg/kg)
Y:石炭灰のセシウム含有量(mg/kg)
Figure 0007085409000001
表1に示すとおり、石灰石及び石炭灰のセシウム含有量は、採取場所によってばらつきがあることが判る。また、セシウム含有量に関するこれらの結果から、前記式(a)を満たす組み合わせは、表1のとおり、ハッチングで示す枠内の組み合わせに限られており、本発明に用いる石灰石及び石炭灰を事前に選定しておく必要があることも判る。
<第二工程>
〔セメント原料の焼成〕
上述の各設備を有するセメント製造設備を利用して、セメント原料を最高温度1200~1500℃、0.1~2時間焼成して、普通ポルトランドセメントクリンカを製造した。本設備では、鉱区9から採取された石灰石(セシウム含有量0.80mg/kg)及び石炭灰A(セシウム含有量6.3mg/kg)を含む以下の原材料からなるセメント原料を焼成した。セメント原料の諸率は、水硬率2.10、ケイ酸率2.35、鉄率1.76とした。
普通ポルトランドセメントクリンカの製造中(上述のセメント原料の焼成中)に発生した排ガス、焼成20日後の排ガス及び焼成30日後の排ガスを同一のセメント製造設備におけるバイパス設備からそれぞれ抽気して、抽気ダストを捕集した。捕集した抽気ダストを上述の前処理条件で処理したあと、各抽気ダストに含まれるセシウム含有量をICP-MSにて上述の測定条件で測定した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0007085409000002
表2に示すとおり、本発明によって得られる抽気ダストは、セメント原料に含まれる石灰石及び石炭灰のセシウム含有量と比べて、高濃度に濃縮されていることが判る。また、抽気ダストに含まれるセシウム含有量が長期間安定していることも判る。
<第3工程>
次に、焼成直後の抽気ダストに、質量比で抽気ダスト:水=1:3となるよう水道水を加え、ビーカー内で0.5時間攪拌し、セシウム含有分散液を調製した。このセシウム含有分散液をろ過してろ液を採取し、以下の前処理条件でろ液を前処理して、ろ液中のセシウム含有量をICP-MSで上述の測定条件で測定した。結果を以下の表3に示す。
(前処理条件)
ろ液を超純水で希釈し、酸を添加して試料溶液を調製した。
Figure 0007085409000003
表3に示すように、抽気ダストと水とを所定の質量比で混合することによって、抽気ダスト中のセシウムを高濃度に抽出することができるセシウム含有分散液を簡便に得られることが判る。
以上のとおり、本発明によれば、セメント原料である石灰石及び石炭灰の選定を行うことで、通常のセメント製造設備を利用し、定常的な焼成条件でセメントクリンカを製造しながら、セシウムを長期的且つ安定的に回収することができる。また、本発明によって得られた抽気ダストは、セシウムが高濃度に濃縮されているので、水等の溶媒と更に混合することによって、セシウム含有分散液を簡便に得ることができる。この分散液は、セシウムの含有濃度が高いので、セシウムの濃縮精製を更に行って、セシウムを簡便に回収することができるものである。その結果、社会的な課題となっているレアメタル資源確保へ貢献することができる。

Claims (3)

  1. 石灰石及び石炭灰を含むセメント原料を焼成してセメントクリンカを製造するセメント製造設備を用いたセシウムの回収方法であって、
    下記式(a)を満たす石灰石及び石炭灰を選定する第一工程と、
    7.5X+Y≧10.5 ・・・式(a)
    X:石灰石のセシウム含有量(mg/kg)
    Y:石炭灰のセシウム含有量(mg/kg)
    前記第一工程で選定した石灰石及び石炭灰を含むセメント原料をセメント製造設備で焼成し、それによって発生した排ガスを抽気し、次いで抽気した該排ガスに含まれる抽気ダストを捕集する第二工程とを備え、
    セメント原料における石灰石の含有量は40質量%以上80質量%以下であり、セメント原料における石炭灰の含有量は、5質量%以上30質量%以下であって、
    セシウム含有量が石灰石1kg当たり0.2mg/kg以上であり、かつ、石炭灰1kg当たり6.0mg/kg以上である、セシウムの回収方法。
  2. 前記抽気ダストと水とを混合してセシウム含有分散液を得る第三工程を更に備える、請求項1に記載のセシウムの回収方法。
  3. 前記セメント原料として、その水硬率が1.8以上2.4以下であり、ケイ酸率が2.0以上3.8以下であり、鉄率が0.6以上2.3以下であるものを用いる、請求項1又は2に記載のセシウムの回収方法。
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