JP2004211114A - ルビジウムの製造方法 - Google Patents

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正治 石渡
Masayasu Yamazaki
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Abstract

【課題】ルビジウムを大量にかつ安価に製造することにある。
【解決手段】塩化ルビジウムが含まれるダスト(含有物)Dを中性または酸性の水に浸出させて、少なくとも上記ルビジウムが溶解する浸出液から未溶解物を除去する工程と、浸出液をPH8〜PH10にして、重金属類を水酸化物として沈澱させて除去する工程と、浸出液にルビジウムの抽出溶媒を混合することにより、浸出液から抽出溶媒にルビジウムを抽出する工程と、抽出溶媒に逆抽出液を混合して、抽出溶媒から逆抽出液にルビジウムを逆抽出する工程とを備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化物を主体とするルビジウムの含有物から上記ルビジウムを精製するルビジウムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、ルビジウムは、セシウム製造の際の副産物として製造されている。
この製造方法は、ポルサイト鉱石を硫酸浸出後、硫酸アルミニウムを添加し、硫酸セシウムアルミニウム化合物および硫酸ルビジウムアルミニウム化合物の溶解度差を利用して回収される(例えば、非特許文献1参照)。硫酸ルビジウムアルミニウムからは、当該硫酸ルビジウムアルミニウムにBa(OH)2 を加えることによって、Al(OH)3 およびBaSO4 を沈澱させてフィルタで除去することにより、ルビジウムの溶液を製造する。そして、このルビジウムの溶液からイオン交換や溶媒抽出法により、ルビジウムを回収することになる(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
Canadian Metallurgical Quartary Vol.2,No.1,pp1-13,1963
【非特許文献2】
KIRK-OTHMER Encyclopedia of chemical technology third editionvol.20,p493
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ルビジウムの製造方法においては、セシウム製造の副産物として少量のものしか製造することができず、また高価でもあるという問題があった。
一方、ルビジウムは、極めて安定した周波数基準源として利用することが可能であることから、電子機器等への需要が広がりつつある。
そこで、本発明者等は、大量にかつ安価にルビジウムを製造することが可能な製造方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、塩化ルビジウム(RbCl)含有物から精製することが有効であることを見出し、本発明に至った。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ルビジウムを大量にかつ安価に製造することのできるルビジウムの製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のルビジウムの製造方法は、セメント原料および廃棄物をキルン内に投入して上記セメント原料および/または廃棄物中に含まれるルビジウムと上記廃棄物中に含まれる塩素とをキルン内で反応させる工程と、上記ルビジウムと上記塩素との反応物を1390℃以上に加熱して気化させる工程と、上記気化した物質を冷却し、これによって析出した塩化ルビジウムの含有物を得る工程と、上記含有物を中性または酸性の水または温水に浸出させて、少なくとも上記ルビジウムが溶解する浸出液から未溶解物を除去する工程と、上記浸出液をPH8〜PH10にして、重金属類を水酸化物として沈澱させて除去する工程と、上記浸出液にルビジウムの抽出溶媒を混合して、上記浸出液から上記抽出溶媒にルビジウムを抽出する工程と、上記抽出溶媒に酸の逆抽出液を混合して、上記抽出溶媒から上記逆抽出液にルビジウムを逆抽出する工程とを備えてなり、上記逆抽出液からルビジウムを回収することを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載のルビジウムの製造方法は、請求項1に記載の発明において、上記キルンは、セメント原料をセメントクリンカに焼成するロータリーキルンであり、上記塩化ルビジウムの含有物は、上記ロータリーキルンにおいて上記セメント原料とともに上記廃棄物を投入してセメントクリンカを焼成した後の排ガス中から回収したものであることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載のルビジウムの製造方法は、請求項1または2に記載の発明において、上記抽出溶媒は、2エチルヘキシル燐酸および4クロロ2ベンジルフェノールの少なくとも一方の溶媒を用いていることを特徴としている。
【0009】
請求項1〜3に記載の発明においては、含有物を水に浸出させると、少なくともルビジウムは容易に溶解してルビジウムイオン(Rb+ )となる。したがって、この浸出液をフィルタで濾過することにより、未溶解物を容易に除去することができる。
そして、上記浸出液をPH8〜PH10にすることによって、鉛(Pb)やカドミウム(Cd)等の重金属類を、水酸化鉛(Pb(OH)2 )や水酸化カドミウム(Cd(OH)2 )等の水酸化物として沈澱させて除去する。
【0010】
次に、上記重金属等が除去された浸出液にルビジウムの抽出溶媒を混合することにより、浸出液内のルビジウムを抽出溶媒に移行させ、これによりルビジウムの純度を上げる。そしてさらに、抽出溶媒に酸の逆抽出液(例えば、塩酸(HCl)、硫酸(H2 SO4 )、硫酸アルミニウム(Al2 (SO4 )3 )含有硫酸溶液等の水溶液)を混合することにより、抽出溶媒から逆抽出液にルビジウムを逆抽出する。
以上により、逆抽出液に純度の高いルビジウムが溶解した状態になるので、この逆抽出液から純度の高いルビジウムを回収することができる。
【0011】
また、上記塩化物を主体とするルビジウムの含有物は、例えばセメント工場において、大量に回収することが可能である。すなわち、セメント工場においては、粘土等を含むセメント原料がロータリーキルンに投入されるとともに、廃タイヤ、廃プラスチック、電気機器、汚泥等の廃棄物がロータリーキルンに投入されることにより、当該ロータリーキルンにおいてセメントクリンカを焼成することになる。上記粘土、電気機器、汚泥等にはルビジウムがわずかに含まれていることから、廃棄物として塩素(Cl)を含むものをある程度積極的に供給することにより、塩化ルビジウム(RbCl)を大量に生成することができる。
したがって、塩化物を主体とするルビジウムの含有物からルビジウムを精製することにより、純度の高いルビジウムを大量にかつ安価に製造することができる。
また、ルビジウムは雲母成分の多い粘土等に多く含まれていることから、雲母成分の多い粘度等や汚泥等をロータリーキルンに供給したり、ルビジウムの使用量の多い電気機器をロータリーキルンに供給することにより、塩化ルビジウムの収率を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、ロータリーキルンにおいてセメントクリンカの焼成のために使われた排ガス中から塩化ルビジウム含有物を回収しているので、当該塩化ルビジウムを大量にかつ安価に回収することができる。
すなわち、ロータリーキルンにおいては、上記セメント原料や廃棄物中に含まれるルビジウムと、同じく廃棄物中に含まれる塩素とが反応することによって、塩化ルビジウムが生成されることになる。この塩化ルビジウムは、融点が約817℃、沸点が約1390℃であることから、1450℃以上となるロータリーキルン内において、完全に気化した状態になる。
【0013】
このため、気化した塩化ルビジウムは、セメントクリンカの焼成に使われた燃焼後の排ガスの流れに乗ってロータリーキルンから排出されることになる。したがって、この排ガスの温度を上記融点以下に冷却することにより、塩化ルビジウムが排ガスに含まれる微粒子の表面に付着して析出することになる。したがって、冷却後に排ガス中の粉塵を例えばサイクロンで捕捉することにより、塩化物を主体とするルビジウムの含有物を連続して大量に回収することができる。そして、この含有物に含まれるルビジウムの量は、表1に示したように、約1.5質量%存在することから、上述した塩化ルビジウムからの精製により当該ルビジウムを大量にかつ安価に回収することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、2エチルヘキシル燐酸(D2EHPA)のみの抽出溶媒、4クロロ2ベンジルフェノールのみの抽出溶媒、またはこれらの2エチルヘキシル燐酸と4クロロ2ベンジルフェノールとの混合抽出溶媒を用いることができる。そして、これらの抽出溶媒を用いた場合には、仮にセシウム(Cs)が浸出液に溶解していれば、当該セシウムもルビジウムとともに抽出することになる。ただし、カリウム(K)やナトリウム(Na)は、浸出液に溶解していても、上記各溶媒にほとんど抽出されることがないので、この溶媒抽出の段階で除去されることになる。
【0015】
また、例えば上述した硫酸アルミニウム含有硫酸溶液の逆抽出液で逆抽出する場合には、硫酸ルビジウムアルミニウムが50℃で十分高い溶解度となるのに対して、硫酸セシウムアルミニウム(CsAl(SO4 )2 )は50℃を超えなければ十分高い溶解度とならないことから、共存するCs量より、硫酸セシウムアルミニウムが溶解する温度域約70〜80℃にて逆抽出を行い、その後、逆抽出液を約50℃まで冷却することによって、ルビジウムとセシウムとを分離することができる。すなわち、50℃以下に冷却することにより、逆抽出液にはほぼルビジウムのみが抽出された状態になるので、当該逆抽出液から純度の高いルビジウムを回収することができる。
なお、逆抽出液として上記塩酸や硫酸等の水溶液を用いる場合は、逆抽出液のPHを制御することにより、ルビジウムとセシウムとを分離することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、セメント工場におけるセメントクリンカの焼成設備の要部を示す図である。この図において、1はセメント原料Gを予熱するためのプレヒータであり、2はセメント原料GをセメントクリンカCに焼成するためのロータリーキルンである。
【0018】
セメント原料Gは、石灰石、粘土、珪石、鉄等の原料をミルで粉砕したものであり、プレヒータ1の上部から投入された後、ロータリーキルン2に投入されてセメントクリンカCとなる。
【0019】
プレヒータ1は、下方から上方に向けて複数のサイクロン1a、1b…を多段に接続した多段サイクロン式のもので構成されており、セメント原料Gをロータリーキルン2からの排ガスを利用して、所定温度(例えば700〜1100℃)に予熱するようになっている。
ロータリーキルン2は、若干下流側へ下方傾斜した横向き円筒状のキルンシェルを有し、このキルンシェルをその中心軸線回りに回転させながら、重油や微粉石炭の燃料をバーナー(図示せず)で燃焼させることで、プレヒータ1から供給されるセメント原料Gを温度1450℃以上に昇温して焼成反応させて、セメントクリンカCを生成するようになっている。なお、図においてFはバーナーから噴出する火炎を示している。このようにして焼成されたセメントクリンカCは、ロータリーキルン2の下流側に位置する窯前部(図示せず)に連結されたクーラー(図示せず)により冷却されて、仕上げ工程へ送られるようになっている。
【0020】
そして、この焼成設備には、廃タイヤ、廃プラスチック、電子機器、汚泥等の廃棄物Hを、ロータリーキルン2の上流側に位置する窯尻部21に投入する設備が設けられている。廃棄物Hは、セメント原料Gとともに、ロータリーキルン2内に供給されて、セメントクリンカCを焼成するための原料となる。
【0021】
燃焼によって高温となった排ガスは、ロータリーキルン2から窯尻部21を通り、排ガス導出管11を通ってプレヒータ1の各サイクロン1a、1b…を順次上方に移動して、セメント原料Gを予熱することになる。なお、図においては、実線の矢印でセメント原料Gの流れを示し、破線の矢印で排ガスの流れを示している。
【0022】
また、排ガス導出管11には、ロータリーキルン2から排出された直後の排ガスの一部を抽気する分岐管3が接続されている。分岐管3は、冷却手段4を介して高性能サイクロン5に接続されている。冷却手段4は、排ガス導出管11から抽気された約1100℃の排ガスに、ファン6からの冷空気を混合して、排ガス温度を700〜800℃にまで降温させるようになっている。高性能サイクロン5は、降温後の排ガス中のダスト(含有物)Dを回収するようになっている。高性能サイクロン5でダストDが回収された後の排ガスは、戻り管7を介して再びプレヒータ1に戻されるようになっている。この場合、戻り管7からの排ガスは、当該排ガスの温度(700〜800℃)と同程度の温度まで排ガスの温度が低下したプレヒータ1の領域に戻すことが好ましい。
【0023】
次に、セメントクリンカの焼成設備の作用を説明する。
セメント原料Gは、プレヒータ1の各サイクロン1a、1b…を流下する途中で排ガスによって予熱された後、窯尻部21を介してロータリーキルン2に供給され、1450℃以上の高温で焼成されてセメントクリンカCになる。一方、廃棄物Hは、窯尻部21を介して直接的にロータリーキルン2に投入されてセメントクリンカCに焼成されることになる。
【0024】
そして、特にルビジウム元素に注目して考察すると、セメント原料Gの粘土成分等に含まれていたルビジウムや、廃棄物Hの電気機器等に含まれていたルビジウムが、同じく廃棄物Hに含まれていた塩素成分と高温雰囲気において反応して、塩化ルビジウムを生成することになる。なお、廃棄物Hとしては、ルビジウムを有するものや、塩素成分を有するものを積極的に投入することが好ましい。塩化ルビジウムは、その融点が約817℃であり、沸点が約1390℃であることから、ロータリーキルン2内で1450℃以上に加熱されることにより、完全に気化した状態になる。
【0025】
このため、気化した塩化ルビジウムは、排ガスの流れに乗ってロータリーキルン2からプレヒータ1側に排出され、分岐管3を介して冷却手段4から高性能サイクロン5に供給されることになる。冷却手段4においては、排ガスがファン6からの冷空気により、塩化ルビジウムの融点以下の700〜800℃にまで冷却されることになることから、揮発した塩化ルビジウムは排ガス中に含まれる微粒子の表面に付着し、他の粉塵とともにダストDとして回収されることになる。
【0026】
このダストDの成分を分析した結果を表1に示す。この表に示すように、ダストDの金属成分の主たるものはK等のアルカリ成分であり、Rbも1.5質量%ほど含有されている。この他、セメントの主成分であるCaが7質量%程度、塩素および硫酸根(SO4 )がそれぞれ23質量%、17質量%ほど含有されている。なお、表には示していないが、この他、Zn、Cs、Cu、Cd、Ti等の金属元素が0.05〜0.7質量%程度含有されている。また、表2には、表1の各金属元素につき酸化物、塩化物を想定した場合のそれぞれの含有量を示した。いずれにしろ、ダストD中に十分多くのルビジウムが存在していることが確認できた。
【0027】
【表1】
Figure 2004211114
【0028】
【表2】
Figure 2004211114
【0029】
上記塩化物を主体とするルビジウムを含むダストDからルビジウムを精製するルビジウムの製造方法について図2を参照して説明する。
第1工程として、上記ダストDを中性または酸性の水または温水に浸出させ(SP1)、少なくともルビジウムが溶解する浸出液から未溶解物をフィルタで濾過することにより除去する(SP2)。
【0030】
第2工程として、上記浸出液を加熱することにより(SP3)、当該浸出液に溶解したルビジウムを含む物質を濃縮し濃縮液とする(SP4)。そして、その濃縮液に水酸化アンモニウム(NH4 OH)の水溶液を添加し、この水溶液をPH8〜10に調整する(SP5)。これにより、鉛、カドミウム、亜鉛(Zn)等の重金属類がそれぞれ、水酸化鉛、水酸化カドミウム、水酸化亜鉛(Zn(OH)2 )等となって沈澱することになる。したがって、この沈澱をフィルタで濾過することにより、鉛、カドミウム、亜鉛等の重金属類を、水酸化鉛、水酸化カドミウム、水酸化亜鉛等の沈澱として除去する(SP6)。
【0031】
第3工程として、上記重金属類を除去した後の濾液(浸出液)に、2エチルヘキシル燐酸をケロシンで希釈した抽出溶媒、4クロロ2ベンジルフェノールをケロシンで希釈した抽出溶媒または2エチルヘキシル燐酸と4クロロ2ベンジルフェノールとの混合物をケロシンで希釈した混合抽出溶媒を加えてかき混ぜた後、静置する(SP7)。この際、最終的に浸出液側の水相と、溶媒側の有機相とが分離した後、すなわち抽出操作終了後の状態において、水相のPHが所定の範囲となるように調整する。これにより、少なくともルビジウムが上記いずれかの抽出溶媒に溶解された状態になる。この際、仮にセシウム(Cs)が上記重金属を除去した後の浸出液に溶解していれば、当該セシウムもルビジウムとともに抽出されることになる。
【0032】
例えば、4クロロ2ベンジルフェノールをケロシンで希釈した抽出溶媒を使用した場合には、図3に示すように、最終的に水相のPHを11〜13.3に調整することにより、セシウムおよびルビジウムが抽出されることになる。ただし、カリウムやナトリウムは、浸出液に浸出していても、上記抽出溶媒にほとんど抽出されることがないので、この溶媒抽出の段階で除去されることになる。なお、図3において、抽出率E(%)は、溶媒抽出の効率を表す尺度であり、浸出液に存在した目的物質の何%が抽出溶媒に抽出されたかを示すものである。すなわち、浸出液の体積と、その中の目的物質の濃度をそれぞれVaq、[M]aqとし、抽出溶媒の体積と、その中に抽出される目的物質の濃度をそれぞれVorg、[M]orgとすると、抽出率E(%)は、次のように表される。
E(%)=(Vorg[M]org/(Vaq[M]aq+Vorg[M]org))×100
【0033】
因みに、上記図3は、「I & EC PROCESS DESIGN AND DEVELOPMENT」より転記したものである。
また、抽出溶媒としては、上記4クロロ2ベンジルフェノールをケロシンで希釈した抽出溶媒に代えて、上述した2エチルヘキシル燐酸をケロシンで希釈した抽出溶媒、2エチルヘキシル燐酸と4クロロ2ベンジルフェノールとの混合物をケロシンで希釈した混合抽出溶媒を用いた場合も、PHと抽出率の値は異なるものの、溶媒への抽出されやすさは上記図3と同様の傾向を示す。
【0034】
そして、溶媒の希釈剤としては、上記ケロシンの他に、シェルゾールD70(商品名)、モノ−クロロベンゼン、O−ジクロロベンゼン、ソルベック(商品名)、イソプロピルベンゼンなどを用いてもよい。ただし、ケロシンは、引火点が他の希釈剤よりも高く安全であり、かつ安価であることから、抽出溶媒の希釈剤として使用することが好ましい。
また、抽出前のルビジウム等を含有する浸出液は、上記水を水酸化アンモニウムで処理した水溶液の他に、硫酸酸性水溶液、塩酸酸性水溶液、炭酸酸性水溶液等をアルカリ性水溶液で処理したもの、その他のアルカリ性水溶液の何れを用いたものであってもよい。ただし、抽出操作の終了後において、その水溶液のpHを例えば図2に示すような範囲に調整する必要がある。
【0035】
第4工程として、上記ルビジウムを抽出した抽出溶媒に、逆抽出液として硫酸アルミニウム含有硫酸水溶液を加えてかき混ぜた後、静置することにより、逆抽出液側の水相と、抽出溶媒側の有機相とが分離する(SP8)。この逆抽出操作により、ルビジウムが抽出溶媒から逆抽出液に逆抽出されて、ルビジウムが当該逆抽出液に溶解された状態になる(SP9)。そして、上述のように、抽出溶媒にセシウムが存在していれば、逆抽出液にはセシウムも溶解することになる。
【0036】
しかし、上記逆抽出の場合には、図4に示すように、硫酸ルビジウムアルミニウムが50℃で十分高い溶解度となるのに対して、硫酸セシウムアルミニウムは50℃を超えなければ十分高い溶解度とならないことから、共存するCs量より、硫酸セシウムアルミニウムが溶解する温度域約70〜80℃にて逆抽出を行い、その後、逆抽出液を約50℃まで冷却することによって、ルビジウムとセシウムとを分離することができる。すなわち、50℃以下に冷却することにより、逆抽出液にはほぼ硫酸ルビジウムアルミニウムのみが溶解した状態になる。
なお、逆抽出液として上記塩酸や硫酸等の水溶液を用いる場合は、逆抽出液のPHを制御することにより、ルビジウムとセシウムとを分離することができる。
【0037】
第5工程として、上記逆抽出液を加熱濃縮した後(SP10)、冷却(SP11)することにより、ルビジウムを硫酸ルビジウムアルミニウムの結晶として回収することができる。そして、このように硫酸ルビジウムアルミニウムが回収された後は、通常の方法により当該硫酸ルビジウムアルミニウムから純度の高いルビジウムを回収することができる。
なお、逆抽出液として、塩酸および硫酸の水溶液を使用した場合には、上記硫酸ルビジウムアルミニウムの代わりに、ぞれぞれ塩化ルビジウムおよび硫酸ルビジウムの結晶として回収することができる。
【0038】
以上、上記のように構成されたルビジウムの製造方法によれば、塩化ルビジウムを含むダストDをセメント工場から大量に回収することが可能であり、このダストDに含まれるルビジウムを上記第1工程から第5工程で処理することにより、純度の高い硫酸ルビジウムアルミニウムとして回収することができる。したがって、この硫酸ルビジウムアルミニウムから純度の高いルビジウムを大量にかつ安価に製造することができる。
【0039】
また、ルビジウムは雲母成分の多い粘土等に多く含まれていることから、雲母成分の多い粘度を有するセメント原料Gや、同じく雲母成分の多い汚泥等を含む廃棄物Hをロータリーキルン2に供給したり、ルビジウムが多く使われている電気機器をロータリーキルン2に供給することにより、また、塩素を多く含む廃棄物Hを積極的にロータリーキルン2に投入することにより、塩化ルビジウムの収率を向上させることができる。
なお、塩素成分の多い廃棄物Hは、約1100℃の窯尻部21に投入されることになるので、ダイオキシン類が発生するのを完全に防止することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、塩化物を主体とするルビジウムの含有物からルビジウムを精製することにより、純度の高いルビジウムを大量にかつ安価に製造することができる。
【0041】
請求項2に記載の発明によれば、ロータリーキルンにおけるセメントクリンカの焼成のために使われた排ガス中から塩化ルビジウム含有物を回収しているので、純度の高いルビジウムを大量にかつ安価に回収することができる。
【0042】
請求項3に記載の発明によれば、2エチルヘキシル燐酸のみの抽出溶媒、4クロロ2ベンジルフェノールのみの抽出溶媒、またはこれらの2エチルヘキシル燐酸と4クロロ2ベンジルフェノールとの混合抽出溶媒を用いることができる。そして、これらのうちいずれかの抽出溶媒を用いた場合には、仮にセシウムが浸出液に溶解していれば、当該セシウムもルビジウムとともに抽出されることになる。ただし、カリウムやナトリウムは、浸出液に浸出していても、上記各溶媒にほとんど抽出されることがないので、この溶媒抽出の段階で除去することができる。
【0043】
また、逆抽出時において、その逆抽出時の温度を制御することにより、ルビジウムとセシウムとを分離することができるので、最終的には純度の高いルビジウムを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態として示したルビジウムの製造方法で使用する塩化ルビジウムを回収するためのセメントクリンカ焼成設備の要部を示す説明図である。
【図2】同ルビジウムの製造方法を示すフロー図である。
【図3】抽出溶媒として、4クロロ2ベンジルフェノールをケロシンで希釈した抽出溶媒を使用した場合の抽出率を示すグラフである。
【図4】逆抽出液として、硫酸ルビジウムアルミニウムの水溶液を用いた場合の溶解度を示すグラフである。
【符号の説明】
1 プレヒータ
2 ロータリーキルン
4 冷却手段
5 高性能サイクロン
C セメントクリンカ
D ダスト(含有物)
G セメント原料

Claims (3)

  1. セメント原料および廃棄物をキルン内に投入して上記セメント原料および/または廃棄物中に含まれるルビジウムと上記廃棄物中に含まれる塩素とをキルン内で反応させる工程と、
    上記ルビジウムと上記塩素との反応物を1390℃以上に加熱して気化させる工程と、
    上記気化した物質を冷却し、これによって析出した塩化ルビジウムの含有物を得る工程と、
    上記含有物を中性または酸性の水または温水に浸出させて、少なくとも上記ルビジウムが溶解する浸出液から未溶解物を除去する工程と、
    上記浸出液をPH8〜PH10にして、重金属類を水酸化物として沈澱させて除去する工程と、
    上記浸出液にルビジウムの抽出溶媒を混合して、上記浸出液から上記抽出溶媒にルビジウムを抽出する工程と、
    上記抽出溶媒に酸の逆抽出液を混合して、上記抽出溶媒から上記逆抽出液にルビジウムを逆抽出する工程とを備えてなり、
    上記逆抽出液からルビジウムを回収することを特徴とするルビジウムの製造方法。
  2. 上記キルンは、セメント原料をセメントクリンカに焼成するロータリーキルンであり、
    上記塩化ルビジウムの含有物は、上記ロータリーキルンにおいて上記セメント原料とともに上記廃棄物を投入してセメントクリンカを焼成した後の排ガス中から回収したものであることを特徴とする請求項1に記載のルビジウムの製造方法。
  3. 上記抽出溶媒は、2エチルヘキシル燐酸および4クロロ2ベンジルフェノールの少なくとも一方の溶媒を用いていることを特徴とする請求項1または2に記載のルビジウムの製造方法。
JP2002378815A 2002-12-27 2002-12-27 ルビジウムの製造方法 Withdrawn JP2004211114A (ja)

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