{実施形態}
以下、実施形態に係る支持部材付配線部材について説明する。図1は、実施形態に係る支持部材付配線部材1を示す斜視図である。
支持部材付配線部材1は、車両に設けられた棒状部材100に組付けられる。この棒状部材100について先に説明する。
係る棒状部材100が、リインフォースメントであるものとして説明する。特に棒状部材100がインストルメントパネルの裏側に設けられるインパネリインフォースメントであるものとして説明する。もっとも棒状部材100は、車両に設けられる棒状の部材であればよく、例えば、ピラーなど、リインフォースメント以外の部材であってもよい。また図1に示す例では、棒状部材100が円筒状に形成されているが、このことは必須の構成ではない。棒状部材100は、角筒状、円柱状、角柱状などであってもよい。
支持部材付配線部材1は、配線部材10と、支持部材30とを備える。配線部材10は、支持部材30に支持されている。支持部材30は、棒状部材100に取付け可能である。従って、支持部材付配線部材1における支持部材30を棒状部材100に取付けることによって、配線部材10を簡易に棒状部材100に組付けることが可能とされる。
配線部材10について、図1に加えて図2を参照しつつ説明する。図2は、配線部材10を示す平面図である。
配線部材10は、車両に搭載された部品につながれて、当該部品に及び/又は当該部品から電気又は光を伝送する車両用の配線部材である。従って、配線部材10は、電気又は光を伝送する伝送部材を含む。配線部材10は、偏平に形成されている。以下では、配線部材10がシート材付配線体12であるものとして説明する。シート材付配線体12は、複数の線状伝送部材14と、シート材20とを含む。
線状伝送部材14は、電気又は光を伝送する線状の部材であればよい。例えば、線状伝送部材14は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材14としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。
ここでは線状伝送部材14は、電気又は光を伝送する伝送線本体と、伝送線本体を覆う外皮とを有する。以下では、線状伝送部材14が一般電線14(以下、単に電線14と呼ぶ)であるものとして説明する。つまり電線14は、伝送線本体としての芯線と、伝送線本体を覆う外皮としての絶縁被覆とを有する。
芯線は、1本又は複数本の素線で構成される。素線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体で形成される。芯線が複数本の素線で構成される場合、複数本の素線は撚られていることが好ましい。絶縁被覆は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)などの樹脂材料が芯線の周囲に押出成形されるなどして形成される。ここでは電線14は、横断面が円形のいわゆる丸電線である。
ここでは電線14の端部にはコネクタCが設けられている。このコネクタCが、例えば電気部品などに設けられた相手側コネクタに接続される。ここでは、配線部材10の一側方部にコネクタCが設けられている。係るコネクタCは、電線14の端部がハウジングHの電線収容部に収容されて形成されている。このハウジングHは、シート材20に直接固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。ハウジングHには、カセット部Hcが設けられている。支持部材30に設けられた留部(第2留部60)がカセット部Hcに挿し込まれて留められることによって、配線部材10の一側方部が支持部材30に固定される。
ここでは配線部材10の一側方部に複数(図2に示す例では2つ)のコネクタCが設けられている。複数のコネクタCは、棒状部材100の長手方向に間隔をあけて設けられる。複数のコネクタCは、同じ向きに接続可能に設けられているが、異なる向きに接続されるものであってもよい。
シート材20は、複数の電線14を偏平な状態に保つ。ここでは、シート材20上に電線14が配設される。シート材20を後述する貫通部44が貫通している。このときシート材20には、貫通部44を通す挿通孔26が予め形成されている。またシート材20は、その一部が支持部材30に挟持される。シート材20は、電線14が配設される配設本体部22と、シート材20に挟持される固定片24とを含む。固定片24に挿通孔26が形成されている。
電線14とシート材20とは、固定手段によって固定されている。電線14とシート材20との固定手段として、ここでは溶着が採用されている。つまり、電線14とシート材20とのうち少なくとも一方が樹脂材料を有し、この樹脂材料が溶けて相手側に接合される。
係る溶着手段としては、特に限定されるものではなく、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。
シート材20は電線14を固定できればよく、シート材20を構成する材料は、特に限定されるものではない。シート材20を構成する材料は、例えば、PVC、PE、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含むものであってもよいし、アルミニウム又は銅などの金属を含むものであってもよい。
シート材20を構成する材料は、固定手段に応じて設定されるとよい。例えば、シート材20と電線14の絶縁被覆とが溶着される場合、シート材20の配設本体部22が樹脂を含むことが好ましく、シート材20の配設本体部22と電線14の絶縁被覆とは同じ樹脂を含むことがより好ましい。これにより、電線14の絶縁被覆と、樹脂製のシート材20とが共に溶けて相互に接合され、もって溶着強度を高めることができる。
シート材20は、織布、編布、不織布などの繊維を有するものであってもよいし、押出成形または射出成形などによって繊維を有さずに結合されて形成されたものであってもよい。後者の場合、シート材20は、発泡成形された発泡体であってもよいし、発泡成形されずに一様断面を有するように成形されたものであってもよい。
またシート材20は、1層構造を有するものであってもよいし、複数層構造を有するものであってもよい。後者の場合、シート材20は、電線14の固定(ここでは溶着)に向いた第1層と、保護機能、防音機能、シールド機能など他の機能に向いた第2層とを有することが考えられる。また後者の場合、繊維を有する層同士又は繊維を有しない層同士が重ねられてもよいし、繊維を有する層と繊維を有しない層とが重ねられてもよい。
シート材20が複数層構造を有するものである場合、別々に成形された基材を貼り合わせてシート材20が成形されてもよいし、一の押出成形または射出成形などによってシート材20が成形されてもよい。
複数の電線14は、シート材20上に並設されている。シート材20上における電線14の経路は、直線状に配設されていてもよいし、曲がって配設されていてもよいし、適宜設定されていればよい。図2に示す例では、電線14の経路は、直線状に配設される部分と、曲がって配設される部分とを有する。ここでは、各電線14が配線部材10の一側方部において離れて設けられた2つのコネクタCを接続するようにシート材20上に配設されている。
シート材20のうちコネクタC側とは反対側の側方部に固定片24が設けられている。図2に示す例では、2つの固定片24が、配設本体部22の側縁の中間部分から突出している。また各固定片24は、方形状に形成されている。もっとも、固定片24の位置、形状等はこれに限られない。固定片24は、この部分を挟持する支持部材30の留部(第1留部40)の位置、形状等に応じて形成されているとよい。
配線部材10は、可撓性を有している。この可撓性により、配線部材10は、支持部材30の曲がっている部分に追従するように曲がって配設されている。
より詳細には、ここでは支持部材30がリインフォースメントなどの棒状部材100に嵌合する部材であり、その外面に周方向に沿って曲がっている部分を有する。配線部材10は、支持部材30の周方向に沿って配設される方向に、可撓性を有する。より具体的には、ここではシート材20が可撓性を有している。このときシート材20に対して電線14が配設されていても、シート材20の可撓性を阻害しない。これにより、シート材付配線体12は、可撓性を有しており、周方向に曲がる部分を有する支持部材30に対してもその周方向に沿ってシート材付配線体12を曲げて配設することができる。
図1に加えて図3乃至図5を参照しつつ、支持部材30について説明する。図3は、支持部材30を示す斜視図である。図4は、支持部材30を示す正面図である。図5は、支持部材30を示す側面図である。
支持部材30は、嵌合部32、載置本体部36、連結部38を含む。ここでは、支持部材30は、留部をさらに含む。
嵌合部32は、棒状部材100の外周部に対して嵌合可能に周方向一部分で開口した筒状に形成されている。例えば嵌合部32は、円形状の棒状部材100に対して180度より大きい部分筒状に形成される。ここでは嵌合部32は、240度の部分筒状に形成されている。支持部材30が棒状部材100に取付けられる際、嵌合部32の開口を通じて棒状部材100が嵌合部32内に挿通される。この際、嵌合部32は、開口が広がるように弾性変形可能であり、これにより、嵌合部32の内部に棒状部材100が収められる。
嵌合部32の周方向端部には、棒状部材100の外周面に形成された凹部(図示省略)に嵌まる突起34が形成されている。嵌合部32内に棒状部材100が収められた状態で、突起34が凹部に嵌まることによって、支持部材30が棒状部材100に対して、長手方向及び周方向に位置ずれすることを抑制できる。
ここでは、棒状部材100の長手方向に間隔をあけて複数(図1に示す例では2つ)の嵌合部32が設けられている。そして、複数の嵌合部32の間に載置本体部36が設けられている。
載置本体部36は、棒状部材100の周囲のうち嵌合部32よりも小さい領域を覆うように形成されている。例えば載置本体部36は、円形状の棒状部材100に対して180度以下の部分筒状に形成される。ここでは載置本体部36は、180度の部分筒状に形成されている。
嵌合部32と載置本体部36とは、連結部38を介して繋がっている。連結部38は、嵌合部32よりも小さい領域を覆う。また連結部38は載置本体部36よりも小さい領域を覆う。これにより、支持部材30が棒状部材100に取付けられるときに嵌合部32がその開口を広げるように弾性変形する際に、載置本体部36が嵌合部32の弾性変形を阻害しにくくなっている。図3に示す例では、連結部38は、円形状の棒状部材100に対して60度分を覆う。
ここでは嵌合部32の開口の中心と載置本体部36の開口の中心とが一致している。その開口の中心の反対側で連結部38は、嵌合部32と載置本体部36とを繋げている。もちろん連結部38は、これ以外の箇所で嵌合部32と載置本体部36とを繋げている場合もあり得る。例えば、連結部38は、嵌合部32の一方端部寄りの部分で嵌合部32と載置本体部36とを繋げていることなども考えられる。
支持部材付配線部材1は、貫通部44と、抜止部48とを備える。貫通部44及び抜止部48は、配線部材10を、支持部材30に位置決めしつつ留めるための部分である。貫通部44は、配線部材10が支持部材30の外側(ここでは載置本体部36の外側)に配設された状態で、配線部材10を貫通する部分である。抜止部48は、配線部材10を貫通せずに配線部材10に対して外側に設けられる。抜止部48は、貫通部44の抜け止めを図る部分である。ここでは、貫通部44及び抜止部48が支持部材30に設けられている。つまり貫通部44及び抜止部48が支持部材30と一体成形されている。貫通部44及び抜止部48は、留部の一部を構成している。
留部は、配線部材10を留める部分である。留部としてここでは、第1留部40と第2留部60とが設けられている。貫通部44及び抜止部48は、第1留部40に設けられている。
第1留部40は、配線部材10のシート材20を留める。ここでは第1留部40が複数設けられている。複数の第1留部40は支持部材30の長手方向に沿って離れて設けられている。第1留部40は延出片42と、貫通部44と、ヒンジ46と、抜止部48と、係止部54とを含む。
延出片42は、載置本体部36の周方向端部から延出する。ここでは、載置本体部36の中間部分の周方向端部から延出片42が延出している。延出片42は、載置本体部36の周方向端部から接線方向に延出している。
貫通部44は、延出片42の外面に外向きに延出するように突設されている。貫通部44の形状は特に限定されるものではない。例えば貫通部44は、柱状又は錐台形状等に形成される。また貫通部44の横断面は、円形状又は角形状等に形成される。ここでは貫通部44は円柱形状に形成されている。貫通部44の突出寸法は特に限定されないが、貫通部44の先端側部分が抜止部48に形成された貫通孔51に収まることが可能に設定されているとよい。さらに、貫通部44の先端側部分が抜止部48に形成された貫通孔51より外方に突出しないように設定されているとよい。
ヒンジ46は、延出片42と抜止部48とを回動可能につなぐ部分である。ここでは、延出片42のうち棒状部材100の長手方向端縁部にヒンジ46が設けられている。これにより、載置本体部36からの延出片42の延出方向(載置本体部36の端部の接線方向)に沿った軸周りに抜止部48が回動可能とされる。もちろんヒンジ46の位置は上記したものに限られない。例えばヒンジ46は、延出片42の先端縁部(載置本体部36に連なる端部とは反対側の端部の縁部)に設けられていてもよい。
抜止部48は、ヒンジ46を介して延出片42に対して回動可能に支持部材30と一体成形されている。抜止部48は、延出片42に対して回動することによって開閉可能とされる。抜止部48は、開状態で、図3に示すように延出片42の設けられなかった載置本体部36の端部側に位置する。また抜止部48は、閉状態で、図1に示すように延出片42の外側に重なる。抜止部48は、抜止片50と、被係止部52とを含む。
抜止片50はヒンジ46を介して延出片42と繋がる部分である。抜止片50は、閉状態で、延出片42と対向する。抜止片50は、例えば方形状に形成されている。そして方形状の抜止片50の一辺がヒンジ46と繋がり、その反対の一辺に被係止部52が設けられている。また方形状の抜止部48の中間に貫通孔51が形成されている。貫通孔51は、貫通部44のうち配線部材10より外方に突出する突出部が収まる凹部である。もっとも貫通部44が収まる凹部として貫通孔51ではなく有底穴が形成されていてもよい。
被係止部52は、係止部54と係止可能に形成されている。被係止部52については係止部54と共に説明する。
係止部54は、被係止部52と係止可能である。ここでは係止部54は、貫通部44と別に設けられている。特にここでは係止部54は、貫通部44に対してヒンジ46とは反対側に設けられている。ここでは、係止部54として係止突起が形成され、被係止部52として係止凹部が形成されている。
係止部54としての係止突起は、延出片42の外面に外向きに突設された柱部55と、柱部55の先端に設けられた羽部56とを含む。羽部56は、柱部55の先端から柱部55の側方に向けて延びる。
被係止部52としての係止凹部は、貫通孔状に形成されている。そして、係止突起が係止凹部を通過する際に、係止突起と係止凹部の周縁部とのうち少なくとも一方が弾性変形して通過可能とされる。そして、係止突起が係止凹部を通過した後、弾性復帰して係止突起が係止凹部の周縁部に引っ掛かって係止する。係止突起の先端及び係止凹部の周縁部の少なくとも一方には係止突起を係止凹部にガイドするガイド面が形成されている。ここでは、係止突起の先端及び係止凹部の周縁部の両方に係止突起を係止凹部にガイドするガイド面が形成されている。
支持部材30における延出片42と抜止部48との間に配線部材10が挟持されている。ここでは支持部材30における延出片42と抜止部48との間にシート材20の固定片24が挟持されている。
第2留部60は、支持部材30において第1留部40とは周方向に沿った反対側に設けられている。ここでは第2留部60が複数設けられている。複数の第2留部60は支持部材30の長手方向に沿って離れて設けられている。第2留部60は、配線部材10のコネクタCを留める。より詳細には、第2留部60は、コネクタCのカセット部Hcを留める。第2留部60は、留片62を含む。留片62に留凹部63と留孔64が形成されている。
留片62は、載置本体部36のうち第1留部40の延出片42が延びる周方向端部とは反対側の周方向端部から延出するように設けられている。留片62は、載置本体部36の長手方向端部の位置で載置本体部36の周方向端部からその接線方向に延出するように設けられている。留片62と延出片42とは例えば平行である。留片62は、開状態の抜止部48と対向している。留片62は、コネクタCのカセット部Hcに挿し込み可能とされる。
留凹部63は、留片62の先端に設けられている。留凹部63は、留片62の先端縁部が基端部側に凹むように形成されている。留孔64は、留凹部63に対して留片62の基端部側に離れた位置に設けられている。留孔64は留片62を貫通するように形成された貫通孔51である。留片62がコネクタCのカセット部Hcに挿し込まれた状態で、留孔64にコネクタCのカセット部Hcに設けられた係止片が係止することによって、コネクタが第2留部60に留められた状態となる。
<取付方法>
図6及び図7を参照しつつ、配線部材10を支持部材30に取付ける方法について説明する。図6及び図7は、配線部材10を支持部材30に取付ける様子を示す説明図である。
まず支持部材30に対して図6に示すようにコネクタCのカセット部Hcを第2留部60に留める。この状態で、シート材付配線体12を載置本体部36の外周部に沿って支持部材30に巻付ける。その後、シート材20の固定片24に形成された挿通孔26に貫通部44を貫通させる。これにより、図7に示すような状態となる。
この後、図7の矢印に示すように、第1留部40の抜止部48を開状態から閉状態へ回動させ、被係止部52としての係止凹部に係止部54としての係止突起を挿通係止させる。
以上より、配線部材10が支持部材30に支持された状態となり、支持部材付配線部材1が完成となる。この支持部材30への配線部材10の取付工程は、例えば、支持部材付配線部材1を車両に組付ける組付工場とは別の工場で製造されて、支持部材付配線部材1が組付工場に搬送されることが考えられる。これにより、組付工場においては、支持部材付配線部材1における支持部材30を棒状部材100へ嵌合させるとの簡易な作業によって配線部材10を棒状部材100に組み付けることができる。
以上のように構成された支持部材付配線部材1によると、抜止部48によって貫通部44の抜け止めがなされることによって配線部材10が支持部材30に支持された状態となる。このとき貫通部44が配線部材10を貫通していることによって、配線部材10を支持部材30に位置決めすることができる。配線部材10を支持するこの支持部材30を棒状部材100に支持させることによって、棒状部材100に偏平な配線部材10を支持させることができる。
また貫通部44が支持部材30と一体成形されているため、貫通部44が支持部材30と別体の場合に比べて貫通部44が配線部材10の外周側に抜けにくい。より詳細には、貫通部44が配線部材10の外周側に抜けようとした場合に、支持部材30の延出片が配線部材10に干渉し、抜けにくくなっている。
また抜止部48がヒンジ46を介して回動可能に支持部材30と一体成形されているため、抜止部48が支持部材30と別の場合に比べて部品点数を削減できる。
また支持部材30は、抜止部48の被係止部52と係止する係止部54をさらに含むため、抜止部48を係止させることができる。このとき、係止部54は貫通部44と別に設けられているため、一定の係止状態を得やすい。
また配線部材10は、複数の電線14と、複数の電線14を偏平な状態に保つと共に、貫通部44が貫通するシート材20とを含むため、汎用の電線14を用いて偏平な配線部材10を形成することができる。
また配線部材10は支持部材30と抜止部48との間に挟持されているため、配線部材10ががたつき難くなる。
{変形例}
実施形態において、支持部材30、貫通部44、抜止部48が一体成形されているものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、貫通部44、抜止部48が一体成形され、支持部材30がこれとは別体に成形されている場合も考えられる。この事例について図8及び図9を参照にしつつ説明する。
図8は、第1変形例に係る支持部材付配線部材101を示す正面図である。
ここでは貫通部、抜止部が一体成形された部品が、ピン部材である事例である。ピン部材として、第1ピン部材70と第2ピン部材80とが設けられている。
第1ピン部材70は、貫通部としての軸部72と抜止部としての支持板74と係止羽部76とを含む。軸部72の一端に支持板74が設けられ、他端に係止羽部76が設けられている。係止羽部76は、支持板74側に行くにつれて徐々に軸部72から離れるように形成されている。係止羽部76は、その先端が軸部72に近づくように弾性変形可能である。
支持部材130は、支持部材30から留部40、60を除いた形状に形成されている。このとき支持部材130、配線部材110には、軸部72が挿通される挿通孔が形成されているとよい。例えば支持部材130において載置本体部36に挿通孔が形成される。係止羽部76は、弾性変形することによってこの挿通孔を挿通可能とされる。一方、支持板74は例えば係止羽部76よりも大きい平板状に形成され、挿通孔を挿通不可に形成される。
第1ピン部材70は、配線部材110側から挿通孔に挿通される。つまり係止羽部76がまず配線部材110の挿通孔に挿通され、弾性変形を伴いつつ支持部材130側に挿通されて行く。この後、軸部72も係止羽部76に続いて挿通孔に挿通される。そして、係止羽部76が支持部材130に形成された挿通孔を抜けて弾性復帰し、挿通孔の周縁に係止することによって第1ピン部材70が支持部材130に配線部材110を留めた状態となる。
第2ピン部材80は、一対の係止片82を棒状連結部84が繋いだ形状に形成されている。第2ピン部材80は、いわゆるタグピン状に形成されている。第2ピン部材80のうち棒状連結部84が貫通部を成す。第2ピン部材80のうち抜止部となる部分は、留め方によって変わる。
より詳細には、図8に示す例では、棒状連結部84が配線部材110及び支持部材130を貫通した状態で、一方の係止片82が配線部材110の外方に位置し、他方の係止片82が支持部材130の外方に位置する。この場合、配線部材110の外方に位置する係止片82が抜止部となる。
例えば第2ピン部材80は、いわゆるタグガンで打ち込むことができる。このとき、一方の係止片82のみを打ち込むことによって図8に示すような状態となる。
これに対して、一対の係止片82を両方打ち込む場合もあり得る。この場合、一対の係止片82が共に支持部材130の外方に位置する。そして棒状連結部84のうち一対の係止片82に連なる部分が、それぞれ離れた位置で支持部材130及び配線部材110を貫通し、その間の部分が配線部材110の外方に位置する。従って、この場合、棒状連結部84が貫通部を成す部分と、抜止部を成す部分とを有する。
なお、タグガンによって第2ピン部材80を打ち込むに当たり、支持部材130にタグガンの針を挿通可能な挿通孔が予めあけられている場合もあり得るし、あけられていない場合もあり得る。
図9は、第2変形例に係る支持部材付配線部材201を示す正面図である。
ここでは貫通部、抜止部が一体成形された部品が、ステープル90である事例である。かかるステープル90は、例えば支持部材130においてピン部材70、80を設ける位置に打ち込むことができる。ステープル90は、一の細棒状部が抜止部92と貫通部94と係止部96とを含む形状に曲げられて形成されている。より詳細には、一の細棒状部の中間部が配線部材110の外方に留まる抜止部92とされる。抜止部92の両側に連なる部分が曲げられて配線部材110及び支持部材130を貫通する貫通部94とされる。貫通部94より先端が曲げられて支持部材130の外方に係止する係止部96とされる。ステープル90は、いわゆるステープラ―などで打ち込むことができる。このとき、支持部材130にステープル90を通す挿通孔が予めあけられていてもよいし、あけられていなくてもよい。
なお、支持部材130にピン部材70、80、ステープル90が設けられるに当たり、ピン部材70、80、ステープル90が棒状部材100と当接しないようにされていることが好ましい。例えば、支持部材130の載置本体部36など棒状部材100に沿う部分に、ピン部材70、80、ステープル90が設けられる場合、支持部材130のこの部分の棒状部材100側の面、又はこの部分に対向する棒状部材100の外面が凹んで形成されているとよい。また例えば、支持部材130に上記延出片42などの棒状部材100から離れる部分が設けられ、この部分にピン部材70、80、ステープル90が設けられていてもよい。
上記のほかに例えば、支持部材、貫通部が一体成形され、抜止部がこれとは別体に成形されている場合もあり得る。この場合の事例として例えば、上記支持部材30において、ヒンジ46の部分で抜止部48が支持部材30から離されていることが考えられる。この場合、例えば抜止部48及び支持部材30に、ヒンジ46の代わりとして係止部54及び被係止部52がもう一組設けられていることが考えられる。またこの場合、例えば、2つの抜止部48が連なって一の部材とされていることが考えられる。この場合、2つの係止部54の間に貫通部44が設けられているとよい。
また例えば、支持部材、抜止部が一体成形され、貫通部がこれとは別体に成形されている場合もあり得る。この場合の事例として例えば、上記支持部材30において、貫通部44の位置に貫通孔51が形成され、貫通部として上記第1ピン部材70が、支持部材30側から支持部材30と配線部材10とを貫通しており、その係止羽部76が抜止部48の貫通孔51に挿通係止していることが考えられる。
また例えば、支持部材、貫通部、抜止部がそれぞれ別体に成形されている場合もあり得る。この場合の事例として例えば、支持部材130において第1ピン部材70が図8に示す例とは逆向きに挿し込まれ、配線部材110の外側で平板に貫通孔が形成された形状を有する抜止部が、第1ピン部材70の係止羽部76に係止していることが考えられる。
上記支持部材、貫通部、抜止部がそれぞれ別体に成形されている事例において、第1ピン部材70の係止羽部76が、係止部54として機能する。この場合のように、係止部54が貫通部と一体であることも考えられる。つまり、これまで係止部が貫通部と別に設けられているものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではなく、係止部が貫通部と一体であることも考えられる。上記事例のほか、例えば、支持部材30において、貫通部44の先端に係止部54が設けられて、抜止部48の貫通孔51に係止するように構成されていることも考えられる。
またこれまで係止部54として係止突起が形成され、被係止部52として係止凹部が形成されているものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、係止部54として係止凹部が形成され、被係止部52として係止突起が形成されていてもよい。また例えば、係止部54及び被係止部52として共に係止突起が形成されていてもよい。
またこれまで配線部材10がシート材付配線体12であるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。配線部材10は、複数の芯線が一の被覆で一括被覆されたいわゆるFFC(フレキシブルフラットケーブル)、又はベースとなる絶縁フィルムに貼り合わされた導体箔に回路が形成されたいわゆるFPC(フレキシブルプリント基板)などであってもよい。
また配線部材10がシート材付配線体12である場合でも、その構成は上記したものに限られない。線状伝送部材14の形状に関し、例えば、線状伝送部材14の外形が断面角形状に形成されていてもよい。この場合、シート材20と線状伝送部材14との接触面積を容易に増やすことができる。また線状伝送部材14とシート材20との固定手段に関し、例えば、線状伝送部材14とシート材20とが、接着剤、粘着テープ等によって接合されていてもよい。また例えば、線状伝送部材14が縫糸によってシート材20に縫い付けられていてもよい。またシート材付配線体12が、上記シート材20とは反対側から線状伝送部材14を覆うカバーを有していてもよい。
またこれまで配線部材10における伝送経路が支持部材30に支持される領域で完結していたが、このことは必須の構成ではない。より詳細には、電線14の両端部が支持部材30に支持されるコネクタCに接続されていたが、このことは必須の構成ではない。支持部材30に支持されないコネクタCに電線14の少なくとも一方の端部が接続されることも考えられる。この場合、シート材20が電線14と共に延出することも考えられるし、電線14がシート材20から外方に延出することも考えられる。また、この場合、電線14は、棒状部材100に沿って延出するものであってもよいし、棒状部材100から離れるように延出するものであってもよい。
またこれまで一の配線部材10が一の支持部材30に支持されていたが、このことは必須の構成ではない。例えば、一の配線部材10が複数の支持部材30に支持されていることも考えられる。より詳細には、棒状部材100の長手方向に沿って間隔をあけて複数の支持部材30が取付けられる際、一の配線部材10がこの複数の支持部材30に跨って支持されることなどが考えられる。また例えば、複数の配線部材10の少なくとも一部が一の支持部材30に支持されていることも考えられる。より詳細には、支持部材30において、長手方向一端側の第1留部40、第2留部60を用いて一の配線部材10を支持部材30に支持し、長手方向他端側の第1留部40、第2留部60を用いて別の配線部材10を支持部材30に支持することなどが考えられる。
またこれまで支持部材30が載置本体部36を含むものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、支持部材が嵌合部32のみ又は嵌合部32と突起34のみで構成される場合もあり得る。この場合、嵌合部32に配線部材10が留められるとよい。
また実施形態において係止部54と被係止部52との係止によって抜止部48が閉状態に維持されるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。例えば抜止部48が配線部材10又は支持部材30の一部に接合されて抜止部48が閉状態に維持されることも考えられる。
また実施形態において配線部材10は支持部材30と抜止部48との間に挟持されているものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。配線部材10が支持部材30と抜止部48との間に挟持されていない場合もあり得る。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。