以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態の制御装置は、車両用のヒータ装置の作動を制御する。本実施形態のヒータ装置には、運転席のヒータと、助手席のヒータとが含まれる。
図1に示すように、制御装置10の出力側には、運転席のヒータ20として、運転席天井ヒータ21と、運転席シートヒータ22と、運転席インパネ下ヒータ23とが、信号線を介して接続されている。また、制御装置10の出力側には、助手席側のヒータ30として、助手席天井ヒータ31と、助手席シートヒータ32と、助手席インパネ下ヒータ33とが、信号線を介して接続されている。これらのヒータ21、22、23、31、32、33は、いずれも、発熱して輻射熱を放出する輻射式のヒータである。これらのヒータ21、22、23、31、32、33は、通電により発熱する発熱体を有する。発熱体が発熱することによって、輻射熱が放出される。
図2に示すように、運転席のヒータ20は、車室内空間1のうち運転席2のシート3に着座する乗員4の周りに設置される。換言すると、運転席のヒータ20は、運転席2のシート3および車室内空間1のうち運転席2のシート3の周りに設置される。シート3は、乗員4の背中を支持する背もたれ部3aと、乗員4の臀部を支持する座部3bとを有する。
運転席天井ヒータ21は、車室の天井5のうち運転席2の上方側の部分に設置される。運転席天井ヒータ21には、前方部ヒータ21a、中央部ヒータ21b、後方部ヒータ21cが含まれる。前方部ヒータ21a、中央部ヒータ21bおよび後方部ヒータ21cは、この記載順に、車両前方から後方に向かって互いに間をあけて配置されている。
運転席天井ヒータ21の各ヒータ21a、21b、21cには、1つのヒータに1つの温度センサが対応するように、温度センサ41a、41b、41cが設けられている。運転席天井ヒータ21の各温度センサ41a、41b、41cは、対応する各ヒータ21a、21b、21cの温度を検出する。運転席天井ヒータ21の各温度センサ41a、41b、41cは、運転席天井ヒータ21の各ヒータ21a、21b、21cの表面に設けられている。なお、運転席天井ヒータ21の各温度センサ41a、41b、41cは、運転席天井ヒータ21の各ヒータ21a、21b、21cの内部に設けられてもよい。
運転席シートヒータ22は、運転席2のシート3の内部に設置される。運転席シートヒータ22には、上部ヒータ22a、中央部ヒータ22b、下部ヒータ22c、座部ヒータ22dが含まれる。上部ヒータ22a、中央部ヒータ22bおよび下部ヒータ22cは、この記載順に、上側から下側に向かって互いに間をあけて背もたれ部3aに配置されている。座部ヒータ22dは、座部3bに配置されている。なお、運転席シートヒータ22は、運転席2のシート3の表面に設置されてもよい。
運転席シートヒータ22の各ヒータ22a、22b、22c、22dには、1つのヒータに1つの温度センサが対応するように、温度センサ42a、42b、42c、42dが設けられている。運転席シートヒータ22の各温度センサ42a、42b、42c、42dは、運転席シートヒータ22の各ヒータ22a、22b、22c、22dの温度を検出する。運転席シートヒータ22の各温度センサ42a、42b、42c、42dは、運転席シートヒータ22の各ヒータ22a、22b、22c、22dの表面に設けられている。なお、運転席シートヒータ22の各温度センサ42a、42b、42c、42dは、運転席シートヒータ22の各ヒータ22a、22b、22c、22dの内部に設けられてもよい。
運転席インパネ下ヒータ23は、インストルメントパネル6の下部のうち運転席2のシート3の前方側の部分に設置される。インストルメントパネル6は、計器類が配置されている部分だけでなく、オーディオやエアコンを収納する部分を含む、車室内の前席正面に配置されたパネル全体である。運転席インパネ下ヒータ23には、温度センサ43が設けられている。運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43は、運転席インパネ下ヒータ23の温度を検出する。運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43は、運転席インパネ下ヒータ23の表面に設けられている。なお、運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43は、運転席インパネ下ヒータ23の内部に設けられてもよい。
図3に示すように、助手席のヒータ30は、車室内空間1のうち助手席7のシート3に着座する乗員8の周りに設置される。換言すると、助手席のヒータ30は、助手席7のシート3および車室内空間1のうち助手席7のシート3の周りに設置される。
助手席天井ヒータ31は、車室の天井5のうち助手席7のシート3の上方側の部分に設置される。助手席天井ヒータ31には、前方部ヒータ31a、中央部ヒータ31b、後方部ヒータ31cが含まれる。前方部ヒータ31a、中央部ヒータ31bおよび後方部ヒータ31cは、この記載順に、車両前方から後方に向かって互いに間をあけて配置されている。
助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a、31b、31cには、1つのヒータに1つの温度センサが対応するように、温度センサ51a、51b、51cが設けられている。助手席天井ヒータ31の各温度センサ51a、51b、51cは、助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a、31b、31cの温度を検出する。助手席天井ヒータ31の各温度センサ51a、51b、51cは、助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a、31b、31cの表面に設けられている。なお、助手席天井ヒータ31の各温度センサ51a、51b、51cは、助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a、31b、31cの内部に設けられてもよい。
助手席シートヒータ32は、助手席7のシート3の内部に設置される。助手席シートヒータ32には、上部ヒータ32a、中央部ヒータ32b、下部ヒータ32c、座部ヒータ32dが含まれる。助手席シートヒータ32の上部ヒータ32a、中央部ヒータ32bおよび下部ヒータ32cは、この記載順に、上側から下側に向かって互いに間をあけて背もたれ部3aに配置されている。座部ヒータ32dは、座部3bに配置されている。助手席シートヒータ32は、助手席7のシート3の表面に設置されてもよい。
助手席シートヒータ32の各ヒータ32a、32b、32c、32dには、1つのヒータに1つの温度センサが対応するように、温度センサ52a、52b、52c、52dが設けられている。助手席シートヒータ32の各温度センサ52a、52b、52c、52dは、助手席シートヒータ32の各ヒータ32a、32b、32c、32dの温度を検出する。助手席シートヒータ32の各温度センサ52a、52b、52c、52dは、助手席シートヒータ32の各ヒータ32a、32b、32c、32dの表面に設けられている。なお、助手席シートヒータ32の各温度センサ52a、52b、52c、52dは、助手席シートヒータ32の各ヒータ32a、32b、32c、32dの内部に設けられてもよい。
助手席インパネ下ヒータ33は、インストルメントパネル6の下部のうち助手席7のシート3の前方側の部分に設置される。助手席インパネ下ヒータ33には、温度センサ53が設けられている。助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53は、助手席インパネ下ヒータ33の温度を検出する。助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53は、助手席インパネ下ヒータ33の表面に設けられている。なお、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53は、助手席インパネ下ヒータ33の内部に設けられてもよい。
図4に示すように、本実施形態では、運転席シートヒータ22の各温度センサ42a、42b、42c、42dと、助手席シートヒータ32の各温度センサ52a、52b、52c、52dとは、車両中心線CLを対象軸とした左右対称の位置に配置されている。例えば、運転席側の座部ヒータ22dの温度センサ42dと、助手席側の座部ヒータ32dの温度センサ52dとは、車両中心線CLを対象軸とした左右対称の位置に配置されている。同様に、運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43と、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53とは、車両中心線CLを対象軸とした左右対称の位置に配置されている。また、図示しないが、運転席天井ヒータ21の各温度センサ41a、41b、41cと、助手席天井ヒータ31の各温度センサ51a、51b、51cとは、車両中心線CLを対象軸とした左右対称の位置に配置されている。
また、上記した各温度センサ41a-41c、42a-42d、43、51a―51c、52a-52d、53としては、いずれも、温度の変化により抵抗値が変化するサーミスタが用いられる。
図1に示すように、制御装置10の入力側には、運転席天井ヒータ21の各温度センサ41a、41b、41cと、運転席シートヒータ22の各温度センサ42a、42b、42c、42dと、運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43とが、信号線を介して接続されている。また、制御装置10の入力側には、助手席天井ヒータ31の各温度センサ51a、51b、51cと、助手席シートヒータ32の各温度センサ52a、52b、52c、52dと、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53とが、信号線を介して接続されている。
これらの温度センサは、各ヒータの実際の温度が目標温度になっていることを制御装置10が確かめるために設置されている。例えば、制御装置10は、運転席インパネ下ヒータ23を作動させるとき、運転席インパネ下ヒータ23の実際の温度を温度センサ43で検出し、運転席インパネ下ヒータ23の実際の温度が目標温度に近づくように、運転席インパネ下ヒータ23の温度を制御する。
また、図1に示すように、制御装置10の入力側には、ヒータ操作部61が接続されている。ヒータ操作部61は、各ヒータの作動状態を設定するために、乗員によって操作される。ヒータ操作部61には、各ヒータの作動と停止を設定する作動スイッチが含まれる。
制御装置10は、プロセッサ、メモリを含むマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。メモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。非遷移的実体的記録媒体は、一時的でない有形の記憶媒体(すなわち、non-transitory tangible storage media)である。制御装置10は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。制御装置10は、ヒータ操作部61から入力された各ヒータ部の設定情報および各温度センサが検出した温度情報に基づいて、上記したヒータ装置の作動を制御する。
ここで、図5を用いて、制御装置10が実行するヒータ装置の作動の制御処理について説明する。図中に示したステップは、各種機能を実現する機能部に対応するものである。このことは、他の図においても同様である。
この制御処理は、内気温度センサによって内気温度を検出できない場合に実行される。この場合としては、車両に搭載されている空調装置の制御方式がマニュアル方式であるために、内気温度を検出する内気温度センサが車両に搭載されていない場合が挙げられる。また、この場合としては、空調装置の制御のために内気温度センサが車両に搭載されているが、車両に搭載されている空調装置が停止され、内気温度センサによる内気温度の検出が行われない場合が挙げられる。
以下では、ヒータ操作部61の運転席のヒータ20の作動スイッチがオンの状態であり、制御装置10が運転席のヒータ20の作動を制御する場合について説明する。制御装置10が助手席のヒータ30の作動を制御する場合も同様である。
ステップS1では、制御装置10は、他の席のヒータが停止の状態であるか否かを判定する。本実施形態では、他の席のヒータは、助手席のヒータ30である。この判定では、ヒータ操作部61から入力される助手席のヒータ30の設定情報に基づいて判断される。助手席のヒータ30が停止の状態の場合、制御装置10は、YES判定して、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御装置10は、停止のヒータの温度センサの検出温度を取得する。すなわち、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した検出温度を取得する。
ステップS3では、制御装置10は、ステップS2で取得した検出温度を内気温度として用いて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。
このとき、目標温度は、ヒータ21a-21c、22a-22d、23毎に決定される。各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度は、計算式と、内気温度とを用いて算出される。各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度の算出において、助手席のヒータ30の各ヒータ31a-31c、32a-32d、33のうち、目標温度を決定するヒータに対して車両中心線CLを対称軸とした左右対称の位置関係があるヒータの温度センサの検出温度が、内気温度として用いられる。
具体的には、運転席天井ヒータ21の前方部ヒータ21aの目標温度の決定では、助手席天井ヒータ31の前方部ヒータ31aの温度センサ51aが検出した前方部ヒータ31aの温度が、内気温度として用いられる。運転席天井ヒータ21の中央部ヒータ21bの目標温度の決定では、助手席天井ヒータ31の中央部ヒータ31bの温度センサ51bが検出した中央部ヒータ31bの温度が内気温度として用いられる。運転席天井ヒータ21の後方部ヒータ21cの目標温度の決定では、助手席天井ヒータ31の後方部ヒータ31cの温度センサ51cが検出した後方部ヒータ31cの温度が、内気温度として用いられる。
同様に、運転席シートヒータ22の上部ヒータ22aの目標温度の決定では、助手席シートヒータ32の上部ヒータ32aの温度センサ52aが検出した上部ヒータ32aの温度が、内気温度として用いられる。運転席シートヒータ22の中央部ヒータ22bの目標温度の決定では、内気温度として、助手席シートヒータ32の中央部ヒータ32bの温度センサ52bが検出した中央部ヒータ32bの温度が用いられる。運転席シートヒータ22の下部ヒータ22cの目標温度の決定では、助手席シートヒータ32の下部ヒータ32cの温度センサ52cが検出した下部ヒータ32cの温度が内気温度として用いられる。運転席シートヒータ22の座部ヒータ22dの目標温度の決定では、助手席シートヒータ32の座部ヒータ32dの温度センサ52dが検出した座部ヒータ32dの温度が、内気温度として用いられる。
同様に、運転席インパネ下ヒータ23の目標温度の決定では、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53が検出した助手席インパネ下ヒータ33の温度が、内気温度として用いられる。
このとき、ステップS2で取得した検出温度が低いほど、制御装置10は、目標温度を高い温度に決定する。ステップS2で取得した検出温度が高いほど、制御装置10は、目標温度を低い温度に決定する。
その後、制御装置10は、ステップS5に進む。ステップS5では、制御装置10は、温度センサ43が検出した運転席インパネ下ヒータ23の実際の温度と目標温度とを比較し、運転席のヒータ30の各ヒータの実際の温度が決定された目標温度に近づくように、運転席のヒータ30の各ヒータの温度を制御する。
一方、ステップS1において、助手席のヒータ30が停止の状態ではない場合、制御装置10は、NO判定して、ステップS4に進む。ステップS4では、制御装置10は、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を、予め定められた温度に決定する。予め定められた温度は、制御装置10のメモリに記憶されている。その後、制御装置10は、ステップS5を実行する。
このように、制御装置10は、助手席のヒータ30が停止した状態で、運転席のヒータ20を作動させる場合に、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。このとき、制御装置10は、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度を、内気温度として用いる。すなわち、制御装置10は、非作動の助手席のヒータ30が有する各温度センサ51a-51c、52a-52d、53を内気温度センサとして使用する。
停止している助手席のヒータ30の各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度は、各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の周辺の空気温度と同じ、または、それに近い温度である。このため、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した検出温度を、内気温度として用いることができる。すなわち、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53を用いて、内気温度を推定することができる。よって、本実施形態によれば、内気温度センサによって内気温度を検出できない場合でも、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定することができる。これにより、内気温度に応じて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の温度が制御される。このため、目標温度が一定の場合と比較して、乗員の快適性を向上させることができる。
本実施形態では、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23が、第1ヒータ部に相当する。運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43が、第1ヒータ部の温度を検出する第1温度センサに相当する。助手席のヒータ30の各ヒータ31a-31c、32a-32d、33が、第2ヒータ部に相当する。助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が、第2ヒータ部の温度を検出する第2温度センサに相当する。
また、ステップS3の説明の通り、制御装置10は、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度をヒータ毎に決定する。このとき、制御装置10は、助手席のヒータ30の各ヒータ31a-31c、32a-32d、33のうち、目標温度を決定するヒータに対して、車両中心線CLを対称軸とした左右対称の位置関係があるヒータの温度センサの検出温度を、内気温度として用いる。
車室内の温度は、車室内のうち車両中心線CLを対称軸とした左右対称の位置で同じである場合が多い。このため、左右対称の一方側の位置での温度は、左右対称の他方側の位置での温度であると推定することができる。
また、制御装置10は、ステップS2において、車室内の下部に位置する助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53が検出した温度と、このヒータ33よりも上側に位置する助手席天井ヒータ31a-31cの温度センサ51a-51cが検出した温度とを取得する。これによれば、上下方向で異なる位置で車室内の温度を取得することができる。そして、取得したこれらの温度に基づいて、運転席インパネ下ヒータ23の目標温度と、運転席天井ヒータ21a-21cの目標温度とを決定できる。よって、上下方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、運転席のヒータ20の各ヒータを適切に作動させることができる。
また、制御装置10は、ステップS2において、助手席天井ヒータ31の前方部ヒータ31aの温度センサ51aが検出した温度と、このヒータ31aよりも車両後方側に位置する後方部ヒータ31cの温度センサ51cが検出した温度とを取得する。これによれば、前後方向で異なる位置で車室内の温度を取得することができる。そして、取得したこれらの温度に基づいて運転席天井ヒータ21の前方部ヒータ21aの目標温度と、後方部ヒータ21cの目標温度を決定できる。よって、前後方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、運転席のヒータ20の各ヒータを適切に作動させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して、ステップS3の目標温度の決定方法を変更したものである。それ以外の制御装置10の制御内容およびヒータ装置の構成、配置については、第1実施形態と同じである。
ステップS3において、制御装置10は、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した検出温度の平均温度を内気温度として用いる。これによっても、内気温度センサによって内気温度を検出できない場合であっても、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の目標温度を決定することができる。この場合、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度は、同じであってもよい。
なお、ステップS3において、制御装置10は、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53のいずれか1つの温度センサが検出した検出温度を内気温度して用いてもよい。
(第3実施形態)
本実施形態のヒータ装置には、第1実施形態で説明した運転席のヒータ20および助手席のヒータ30に加えて、図示しない後席のヒータが含まれる。後席のヒータは、後席に着座する乗員の周辺に設置されるヒータである。換言すると、後席のヒータは、後席のシートおよび車室内空間1のうち後席のシートの周りに設置される。後席のヒータとしては、例えば、後席シートヒータが挙げられる。後席シートヒータは、後席のシートの内部に設置される。後席シートヒータは、輻射式のヒータである。後席のヒータは、制御装置10の出力側に接続されている。後席のヒータには、温度センサが設けられている。後席のヒータの温度センサは、後席のヒータの温度を検出する。後席のヒータの温度センサは、制御装置10の入力側に接続されている。
制御装置10は、第1実施形態で説明した図5に示す制御処理を行う。本実施形態では、ステップS1の他の席のヒータは、助手席のヒータ30と、後席のヒータである。制御装置10は、助手席のヒータ30と後席のヒータの一方または両方のヒータが停止の状態の場合、制御装置10は、YES判定して、ステップS2に進む。
助手席のヒータ30が停止の状態の場合、ステップS2、S3の内容は、第1実施形態と同じである。
助手席のヒータおよび後席のヒータのうち後席のヒータのみが停止の状態の場合、ステップS2で、制御装置10は、後席のヒータの温度センサの検出温度を取得する。ステップS3で、制御装置10は、内気温度として、後席のヒータの温度センサが検出した検出温度を用いて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。このとき、後席のヒータの温度センサが複数の場合、複数の温度センサが検出した温度の平均温度を内気温度として用いる。または、後席の複数の温度センサのいずれか1つの温度センサが検出した検出温度を内気温度として用いる。
ステップS1において、助手席のヒータ30と後席のヒータの両方が停止の状態ではない場合、制御装置10は、NO判定して、ステップS4に進む。
このように、本実施形態では、制御装置10は、後席のヒータが停止した状態で、運転席のヒータを作動させる場合に、後席のヒータの温度センサが検出した温度を内気温度として用いる。制御装置10は、この内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。これによっても、第1実施形態と同様に、内気温度センサによって内気温度を検出できない場合であっても、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定することができる。
本実施形態では、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23が、第1ヒータに相当する。運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43が、第1ヒータ部の温度を検出する第1温度センサに相当する。後席のヒータが、第2ヒータに相当する。後席のヒータの温度センサが、第2ヒータの温度を検出する第2温度センサに相当する。本実施形態および第1実施形態のように、運転席2のシート3または車室内のうち運転席2のシート3の周りに設置されるヒータが、第1ヒータである。運転席以外の席のシートまたは車室内のうち運転席以外の席のシートの周りに設置されるヒータが、第2ヒータである。
(第4実施形態)
本実施形態の制御装置は、車両用のヒータ装置および空調装置の作動を制御する。ヒータ装置および空調装置は、乗員を温める温熱デバイスである。換言すると、ヒータ装置および空調装置は、乗員を冷やし、乗員を温める装置である。本実施形態の空調装置には、室内空調装置と、シート空調装置とが含まれる。シート空調装置には、運転席シート空調装置と、助手席シート空調装置とが含まれる。
図6に示すように、制御装置10の出力側には、第1実施形態と同様に、運転席のヒータ20の各ヒータ21、22、23と、助手席のヒータ30の各ヒータ31、32、33とが接続されている。制御装置10の入力側には、第1実施形態と同様に、運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43と、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53と、ヒータ操作部61とが接続されている。
運転席のヒータ20の各ヒータ21、22、23および各温度センサ41a-41c、42a-42d、43は、第1実施形態と同様に、図7、9に示すように設置される。助手席のヒータ30の各ヒータ31、32、33および各温度センサ51a-51c、52a-52d、53は、第1実施形態と同様に、図8、9に示すように設置される。
さらに、本実施形態では、図6に示すように、制御装置10の出力側には、室内空調装置71と、運転席シート空調装置72と、助手席シート空調装置73とが接続されている。制御装置10の入力側には、空調操作部62と、内気温度センサ81とが接続されている。
室内空調装置71は、図9に示すように、車室内空間1のうち前席2、7よりも前方側であって、インストルメントパネル6の内側の空間に配置されている。前席2、7は、運転席2および助手席7である。室内空調装置71は、車室内の部材のうちシートを除く部分に設けられた吹出口から車室内へ空調風を吹き出す。車室内の部材のうちシートを除く部分は、インストルメントパネル6、天井5である。空調風は、温度が調整された空気である。
図示しないが、室内空調装置71は、空調ケースを有する。空調ケースの内部に送風機、冷却器、加熱器、エアミックスドアなどが配置される。送風機は、車室内に向かう空気流れを形成する。冷却器は、車室内に向かう空気を冷却する。加熱器は、冷却器から流出した空気を加熱する。エアミックスドアは、冷却器から流出する冷風と、加熱器から流出する温風との混合比を調整する。これによって、車室内に向かう空気の温度が調整される。
運転席シート空調装置72は、図7に示すように、運転席2のシート3に設けられている。運転席シート空調装置72は、シート3から乗員4またはその周辺の空間に向けて、空調風を吹き出す。本実施形態では、運転席シート空調装置72は、背もたれ部3aから空調風を吹き出す。また、運転席シート空調装置72は、背もたれ部3aから吹き出す空調風の風向を上下方向で変更することができる。運転席シート空調装置72は、室内空調装置71よりも小型の空調装置である。図示しないが、運転席シート空調装置72は、空調ケースを有する。空調ケースの内部に送風機、冷却器、加熱器などが配置される。送風機は、車室内に向かう空気流れを形成する。冷却器は、車室内に向かう空気を冷却する。加熱器は、冷却器から流出した空気を加熱する。冷却器および加熱器によって、車室内に向かう空気の温度が調整される。
助手席シート空調装置73は、図8に示すように、助手席7のシート3の内部に設けられている。助手席シート空調装置73は、シート3から乗員8またはその周辺の空間に向けて、空調風を吹き出す。助手席シート空調装置73は、運転席シート空調装置72と同じ構成のものである。
空調操作部62は、室内空調装置71、運転席シート空調装置72、助手席シート空調装置73の作動状態を設定するために、乗員4、8によって操作される。空調操作部62には、室内空調装置71、運転席シート空調装置72、助手席シート空調装置73のそれぞれの作動と停止とを設定するための作動スイッチと、車室内の希望温度を設定するための温度設定スイッチとが含まれる。
内気温度センサ81は、図9に示すように、インストルメントパネル6に設けられている。内気温度センサ81は、内気温度を検出する。内気温度センサ81としては、温度の変化により抵抗値が変化するサーミスタが用いられる。
また、制御装置10の入力側には、内気温度センサ81の他に、図示しない各種センサが接続されている。各種センサは、車室の内外の環境状態を検出する。各種センサには、日射量を検出する日射センサ、外気温度を検出する外気温度センサ等が含まれる。
制御装置10は、乗員による空調装置の設定と、車室の内外の環境状態とに基づいて、空調装置の作動を制御する。図10を用いて、制御装置10が実行する空調装置用の制御処理について説明する。この制御処理は、空調操作部62の作動スイッチのうち少なくとも室内空調装置71の作動スイッチがオンのときに実行される。以下では、乗員が運転席のみに着座している場合であって、室内空調装置71、運転席シート空調装置72の作動スイッチがオン、助手席シート空調装置73の作動スイッチがオフの場合について説明する。
ステップS11では、制御装置10は、空調操作部62から入力される空調装置の設定情報を取得する。この設定情報には、乗員が希望する室内温度である設定温度と、運転席シート空調装置72および助手席シート空調装置73のオン、オフの情報とが含まれる。
続いて、ステップS12では、制御装置10は、各種センサが検出した車室内外状態の情報を取得する。この車室内外状態の情報には、内気温度センサ81が検出した検出温度、日射センサが検出した日射量、外気温度センサが検出した外気温度等が含まれる。
続いて、ステップS13では、制御装置10は、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23および助手席のヒータ30の各ヒータ31a-31c、32a-32d、33のうち1つ以上のヒータが停止の状態であるか否かを判定する。この判定では、ヒータ操作部61から入力される各ヒータの設定情報に基づいて判断される。1つ以上のヒータが停止の状態の場合、制御装置10は、YES判定して、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御装置10は、停止のヒータの温度センサの検出温度を取得する。その後、制御装置10は、ステップS14に進む。
ステップS14では、制御装置10は、空調装置の設定情報と、車室の内外の環境情報とに基づいて、室内空調装置71および運転席シート空調装置72の目標作動状態を決定する。室内空調装置71の目標作動状態としては、吹出口から吹き出される吹出風の温度、吹出風の風量、吹出口の場所、吹出風の風向がある。運転席シート空調装置72の目標作動状態としては、シートから吹き出される吹出風の温度、吹出風の風量、吹出風の風向がある。
このとき、制御装置10は、内気温度として、ステップS2で取得した停止のヒータの温度センサの検出温度と、ステップS12で取得した内気温度センサ81の検出温度とを用いる。これらの検出温度に応じて、室内空調装置71および運転席シート空調装置72の目標作動状態が決定される。その後、制御装置10は、ステップS16に進む。
ステップS13において、全部のヒータが作動の状態の場合、制御装置10は、NO判定して、ステップS15に進む。ステップS15では、制御装置10は、空調装置の設定情報と、車室の内外の環境情報とに基づいて、室内空調装置71および運転席シート空調装置72の目標作動状態を決定する。このとき、制御装置10は、内気温度として、内気温度センサ81の検出温度のみを用いる。この検出温度に応じて、室内空調装置71および運転席シート空調装置72の目標作動状態が決定される。その後、制御装置10は、ステップS16に進む。
ステップS16では、決定された目標作動状態になるように、制御装置10は、室内空調装置71、運転席シート空調装置72へ制御信号を出力する。これにより、車室内温度が設定温度に維持されるように、室内空調装置71、運転席シート空調装置72が作動する。
例えば、季節が夏であって、車室内の温度分布が、車室内の上部での温度が高く、車室内の下部での温度が低いという温度分布である場合を想定する。この場合、乗員の操作当によって運転席のヒータ20、助手席のヒータ30が停止の状態とされる。このため、制御装置10は、運転席のヒータ20および助手席のヒータ30が停止した状態で、室内空調装置71および運転席シート空調装置72を作動させる。
室内空調装置71および運転席シート空調装置72を作動させるために、制御装置10は、図10のステップS14において、内気温度に基づいて、室内空調装置71、運転席シート空調装置72の目標作動状態を決定する。このとき、制御装置10は、運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43の検出温度と、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53の検出温度と、内気温度センサ81の検出温度とを用いる。
この場合、内気温度センサ81の検出温度は例えば28度よりも高い。このため、制御装置10は、室内空調装置71の吹出風の温度を「28度」、吹出風の風量を「Hi」、吹出口を「フェイス吹出口」に決定する。制御装置10は、運転席シート空調装置72の吹出風の温度を「28度」、吹出風の風量を「Hi」に決定する。
さらに、この場合、運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43の検出温度と比較して、運転席天井ヒータ21の温度センサ41a-41cの検出温度は高い。助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53の検出温度と比較して、助手席天井ヒータ31の温度センサ51a-51cの検出温度は高い。このため、制御装置10は、室内空調装置71の風向を「上部方向」に決定する。制御装置10は、運転席シート空調装置72の風向を「上部方向」に決定する。
これにより、室内空調装置71は、フェイス吹出口から車室内の上部に向けて冷風を吹き出す。運転席シート空調装置72は、シートの吹出口から車室内の上部に向けて冷風を吹き出す。すなわち、室内空調装置71および運転席シート空調装置72は、車室内の上部の温度がより下がるように作動する。
また、他の例として、季節が冬であって、車室内の温度分布が、車室内の上部での温度が高く、車室内の下部での温度が低いという温度分布である場合を想定する。さらに、乗員が運転席のみであり、ヒータ操作部61の運転席のヒータ20の作動スイッチがオンの状態であり、助手席のヒータ30の作動スイッチがオフの状態である場合を想定する。
この場合、制御装置10は、図10のステップS14において、内気温度に基づいて、室内空調装置71、運転席シート空調装置72の目標作動状態を決定する。このとき、制御装置10は、ステップS2で取得した助手席のヒータ30の各温度センサの検出温度と、ステップS12で取得した内気温度センサ81の検出温度とを用いる。
この場合、内気温度センサ81の検出温度は例えば20度よりも低い。このため、制御装置10は、室内空調装置71の吹出風の温度を「20度」、吹出風の風量を「Hi」、吹出口を「フット吹出口」に決定する。制御装置10は、運転席シート空調装置72の吹出風の温度を「20度」、吹出風の風量を「Hi」に決定する。
さらに、この場合、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53の検出温度と比較して、助手席天井ヒータ31の温度センサ51a-51cの検出温度は高い。このため、制御装置10は、運転席シート空調装置72の風向を「下部方向」に決定する。
これにより、室内空調装置71は、フット吹出口から車室内に向けて温風を吹き出す。運転席シート空調装置72は、シートの吹出口から車室内の下部に向けて温風を吹き出す。このように、運転席シート空調装置72は、車室内の下部の温度がより上がるように作動する。
また、制御装置10は、乗員によるヒータ装置の設定と、車室の内外の環境状態とに基づいて、ヒータ装置の作動を制御する。図11を用いて、制御装置10が実行するヒータ装置用の制御処理について説明する。図11に示すフローチャートでは、図5に示すフローチャートのステップS1の前に、ステップS21が追加されている。また、図11に示すフローチャートでは、図5に示すフローチャートのステップS3、S4が、ステップS3-1、ステップS4-1に変更されている。図11の各ステップのうちステップS21、S3-1、ステップS4-1を除くステップは、図5のフローチャートと同じである。
以下では、第1実施形態と同様に、ヒータ操作部61の運転席のヒータ20の作動スイッチがオンの状態であり、助手席のヒータ30の作動スイッチがオフの状態である場合について説明する。
ステップS21では、制御装置10は、内気温度センサ81の検出温度を取得する。その後、制御装置10は、ステップS1を行う。
ステップS3-1では、制御装置10は、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。このとき、内気温度として、ステップS21で取得した内気温度センサ81の検出温度と、ステップS2で取得した検出温度とを用いる。
ステップS4-1では、制御装置10は、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。このとき、内気温度として、ステップS21で取得した内気温度センサ81の検出温度を用いる。
例えば、季節が冬であって、車室内の温度分布が、車室内の上部での温度が高く、車室内の下部での温度が低いという温度分布である場合を想定する。この場合、制御装置10は、図11のステップS3-1において、内気温度として、内気温度センサ81の検出温度と、助手席のヒータ30の各温度センサ51a―51c、52a-52d、53の検出温度とを用いて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。
この場合、助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53の検出温度と比較して、助手席天井ヒータ31の温度センサ51a-51cの検出温度は高い。このため、制御装置10は、運転席天井ヒータ21の各ヒータ1a-21cの出力を「Low」、すなわち、目標温度を低い第1温度に決定する。制御装置10は、運転席インパネ下ヒータ23および運転席シートヒータ22の下部ヒータ22c、座部ヒータ22dの出力を「Hi」、すなわち、目標温度を第1温度よりも高い第2温度に決定する。制御装置10は、運転席シートヒータ22の上部ヒータ22a、中央部ヒータ22bの出力を「Mid」、すなわち、目標温度を第1温度と第2温度の間の第3温度に決定する。
これにより、上側に位置するヒータの温度と比較して、下側に位置するヒータの温度が高くなるように、運転席のヒータ20が作動する。このように、運転席のヒータ20は、車室内の下部の温度がより上がるように作動する。
以上の説明の通り、本実施形態によれば、制御装置10は、室内空調装置71、運転席シート空調装置72を作動させる場合に、内気温度に基づいて、室内空調装置71、運転席シート空調装置72の目標作動状態を決定する。運転席のヒータ20と助手席のヒータ30の両方が停止のとき、制御装置10は、運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43が検出した各ヒータ21a―21c、22a-22d、23の温度と、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度と、内気温度センサ81が検出した温度とを、内気温度として用いる。また、運転席のヒータ20と助手席のヒータ30のうち助手席のヒータ30のみが停止のとき、制御装置10は、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度と、内気温度センサ81が検出した温度とを、内気温度として用いる。
停止しているヒータの温度は、ヒータの周辺の空気温度と同じ、または、それに近い温度である。このため、運転席のヒータ20の各温度センサ41a-41c、42a-42d、43が検出した各ヒータ21a―21c、22a-22d、23の温度と、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度とを、内気温度として用いることができる。
そして、本実施形態によれば、内気温度センサ81のみによって内気温度を検出する場合と比較して、車室内の温度の検出箇所を増やすことができる。このため、室内空調装置71、運転席シート空調装置72の作動時に、常に、車室内の温度状態をより正確に把握することができる。よって、内気温度センサ81のみによって内気温度を検出する場合と比較して、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、室内空調装置71および運転席シート空調装置72を適切に作動させることができる。
また、本実施形態によれば、制御装置10は、助手席のヒータ30が停止した状態で、運転席のヒータ20を作動させる場合に、内気温度に基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。このとき、内気温度センサ81によって内気温度を検出できる場合、制御装置10は、内気温度センサ81が検出した温度に加えて、助手席のヒータ30の各温度センサ51a-51c、52a-52d、53が検出した各ヒータ31a-31c、32a-32d、33の温度を、内気温度として用いる。
これにより、内気温度センサ81のみによって内気温度を検出する場合と比較して、車室内の温度の検出箇所を増やすことができる。このため、車室内の温度状態をより正確に把握することができる。よって、車室内の温度状態に応じて運転席のヒータ20をより適切に作動させることができる。
また、制御装置10は、ステップS2において、車室内の下部に位置するインパネ下ヒータ23、33の温度センサ43、53が検出した温度と、これらのヒータ23、33よりも上側に位置する天井ヒータ21a-21c、31a-31cの温度センサ41a-41c、51a-51cが検出した温度とを取得する。これによれば、上下方向で異なる位置で車室内の内気温度を取得することができる。このため、上下方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、室内空調装置71、運転席シート空調装置72、運転席のヒータ20を適切に作動させることができる。
本実施形態では、運転席インパネ下ヒータ23が、下側ヒータ、第1下側ヒータに相当する。運転席天井ヒータ21の各ヒータ21a-21cが、上側ヒータ、第1上側ヒータに相当する。助手席インパネ下ヒータ33が、下側ヒータ、第2下側ヒータに相当する。助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a-31cが、上側ヒータ、第2上側ヒータに相当する。運転席インパネ下ヒータ23の温度センサ43が、下側センサ、第1下側センサに相当する。運転席天井ヒータ21の各ヒータ21a-21cの各温度センサ41a-41cが、上側センサ、第1上側センサに相当する。助手席インパネ下ヒータ33の温度センサ53が、下側センサ、第2下側センサに相当する。助手席天井ヒータ31の各ヒータ31a-31cの温度センサ51a-51cが、上側センサ、第2上側センサに相当する。
なお、制御装置10は、内気温度センサ81が検出した温度と、各ヒータの温度センサが検出した各ヒータの温度との平均値を、内気温度として用いてもよい。この場合、制御装置10は、この平均値を用いて目標吹出温度を決定し、この目標吹出温度に基づいて、目標作動状態を決定する。この場合であっても、内気温度センサ81のみによって内気温度を検出する場合と比較して、乗員の快適性の向上のために、室内空調装置71、運転席シート空調装置72、運転席のヒータ20を適切に作動させることができる。
(他の実施形態)
(1)第4実施形態では、図11のステップS3-1で、制御装置10は、ステップS21で取得した内気温度センサ81の検出温度と、ステップS2で取得した検出温度とに基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定する。しかしながら、第1実施形態と同様に、制御装置10は、内気温度センサ81の検出温度を用いずに、ステップS2で取得した検出温度とに基づいて、運転席のヒータ20の各ヒータ21a-21c、22a-22d、23の目標温度を決定してもよい。
(2)上記した各実施形態では、運転席のヒータ20および助手席のヒータ30として、天井ヒータ21、31と、シートヒータ22、32と、インパネ下ヒータ23、33とが車室内に設けられていた。しかしながら、運転席のヒータ20および助手席のヒータ30として、シート3のヘッドレストに設けられる首ヒータ、肩ヒータが、車室内に設けられていてもよい。
(3)上記した各実施形態では、各ヒータ、各温度センサ、室内空調装置71等が信号線を介して制御装置10に接続されていた。しかしながら、これらは、制御装置10に無線で接続されてもよい。
(4)上記した各実施形態では、各ヒータは、輻射式のヒータであったが、輻射式のヒータでなくてもよい。
(5)上記した各実施形態では、制御装置10は、ヒータ装置の制御と、空調装置の制御とを行う1つの制御部で構成されていた。しかしながら、制御装置10は、ヒータ装置の制御を行うヒータ制御部と、空調装置の制御を行うヒータ制御部とは別体の空調制御部とによって構成されてもよい。
(6)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、制御装置は、車室内に設置された車両用のヒータ装置の作動を制御する。ヒータ装置には、発熱する第1ヒータ部と、発熱する第2ヒータ部とが含まれる。第1ヒータ部には、第1ヒータ部の温度を検出する第1温度センサが設けられる。第2ヒータ部には、第2ヒータ部の温度を検出する第2温度センサが設けられる。制御装置は、第2ヒータ部が停止した状態の場合に、第2温度センサが検出した第2ヒータ部の温度を取得するヒータ温度取得部と、ヒータ温度取得部が取得した温度に基づいて、第1ヒータ部の目標温度を決定する目標温度決定部とを有する。
また、第2の観点によれば、目標温度決定部は、第1決定部である。車室内には、車室内の温度である内気温度を検出する内気温度センサ(81)が設けられる。制御装置は、内気温度センサが検出した温度を取得する内気温度取得部(S21)と、ヒータ温度取得部が取得した温度と、内気温度取得部が取得した温度とに基づいて、第1ヒータ部の目標温度を決定する第2決定部(S3―1)とを有する。
これによれば、内気温度センサによって内気温度を検出できる場合、制御装置は、内気温度センサが検出した温度に加えて、第2温度センサが検出した停止した状態の第2ヒータ部の温度を内気温度として用いて、第1ヒータ部の目標温度を決定する。これにより、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、内気温度の検出箇所を増やすことができる。このため、車室内の温度状態をより正確に把握することができる。よって、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じてヒータ装置を適切に作動させることができる。
また、第3の観点によれば、車室内には、車室内の温度である内気温度を検出する内気温度センサ(81)が設けられる。制御装置は、内気温度センサが検出した温度を取得する内気温度取得部(S12)と、ヒータ温度取得部が取得した温度と、内気温度取得部が取得した温度とに基づいて、車室内へ空調風を吹き出す空調装置(71、72)の目標の作動状態を決定する目標状態決定部(S13)とを有する。
これによれば、制御装置は、空調装置の作動を制御する際に、内気温度センサが検出した温度に加えて、第2温度センサが検出した停止した状態の第2ヒータ部の温度を内気温度として用いて、空調装置の目標の作動状態を決定する。これにより、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、内気温度の検出箇所を増やすことができる。このため、車室内の温度状態をより正確に把握することができる。よって、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて空調装置を適切に作動させることができる。
また、第4の観点によれば、第2ヒータ部は、下側ヒータ部(33)と、下側ヒータ部よりも上側に設置された上側ヒータ部(31a-31c)とを含む。第2温度センサは、下側ヒータ部の温度を検出する下側センサ(53)と、上側ヒータ部の温度を検出する上側センサ(51a-51c)とを含む。ヒータ温度取得部は、下側センサが検出した温度と、上側センサが検出した温度とを取得する。
これによれば、上下方向で異なる位置で車室内の内気温度を取得することができる。このため、上下方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、空調装置またはヒータ装置を適切に作動させることができる。
また、第5の観点によれば、車室内には、車室内の温度である内気温度を検出する内気温度センサ(81)が設けられる。ヒータ温度取得部は、第1ヒータ部および第2ヒータ部が停止した状態の場合に、第1温度センサが検出した第1ヒータ部の温度および第2温度センサが検出した第2ヒータ部の温度を取得する。制御装置は、内気温度センサが検出した温度を取得する内気温度取得部(S12)と、第1ヒータ部および第2ヒータ部が停止した状態の場合に、ヒータ温度取得部が取得した第1ヒータ部の温度および第2ヒータ部の温度と、内気温度取得部が取得した温度とに基づいて、車室内へ空調風を吹き出す空調装置(71、72)の目標の作動状態を決定する目標状態決定部(S13)とを有する。
これによれば、制御装置は、空調装置の作動を制御する際に、内気温度センサが検出した温度に加えて、第1、第2温度センサが検出した停止した状態の第1、第2ヒータ部の温度を内気温度として用いて、空調装置の目標の作動状態を決定する。停止している第1ヒータ部の温度は、第1ヒータ部の周辺の空気温度と同じ、または、それに近い温度である。このため、第1温度センサが検出した第1ヒータ部の温度と、第2温度センサが検出した第2ヒータ部の温度とを、内気温度として用いることができる。
そして、この制御装置によれば、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、内気温度の検出箇所を増やすことができる。このため、車室内の温度状態をより正確に把握することができる。よって、内気温度センサのみによって内気温度を検出する場合と比較して、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて空調装置を適切に作動させることができる。
また、第6の観点によれば、第1ヒータ部は、第1下側ヒータ部(23)と、第1下側ヒータ部よりも上側に設置された第1上側ヒータ部(21a-21c)とを含む。第1温度センサは、第1下側ヒータ部の温度を検出する第1下側センサ(43)と、第1上側ヒータ部の温度を検出する第1上側センサ(41a-41c)とを含む。第2ヒータ部は、第2下側ヒータ部(33)と、第2下側ヒータ部よりも上側に設置された第2上側ヒータ部(31a-31c)とを含む。第2温度センサは、第2下側ヒータ部の温度を検出する第2下側センサ(53)と、第2上側ヒータ部の温度を検出する第2上側センサ(51a-51c)とを含む。ヒータ温度取得部は、第2ヒータ部が停止した状態の場合に、第2下側センサが検出した温度と、第2上側センサが検出した温度とを取得し、第1ヒータ部および第2ヒータ部が停止した状態の場合に、第1下側センサが検出した温度と、第2下側センサが検出した温度と、第1上側センサが検出した温度と、第2上側センサが検出した温度とを取得する。
これによれば、上下方向で異なる位置で車室内の内気温度を取得することができる。このため、上下方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、空調装置を適切に作動させることができる。
また、第7の観点によれば、制御装置は、車室内へ空調風を吹き出す車両用の空調装置(71、72)の作動を制御する。車室内には、発熱するヒータ部(21a-21c、22a-22d、23、31a-31c、32a-32d、33)と、ヒータ部の温度を検出する温度センサ(41a-41c、42a-42d、43、51a-51c、52a-52d、53)と、車室内の温度である内気温度を検出する内気温度センサ(81)とが設けられる。制御装置は、内気温度センサが検出した温度を取得する内気温度取得部(S12)と、ヒータ部が停止した状態の場合に、温度センサが検出したヒータ部の温度を取得するヒータ温度取得部(S2)と、内気温度取得部が取得した温度と、ヒータ温度取得部が取得した温度とに基づいて、空調装置の目標の作動状態を決定する目標状態決定部(S13)とを有する。
また、第8の観点によれば、ヒータ部は、下側ヒータ部(23、33)と、下側ヒータ部よりも上側に設置された上側ヒータ部(21a-21c、31a-31c)とを含む。温度センサは、下側ヒータ部の温度を検出する下側センサ(43、53)と、上側ヒータ部の温度を検出する上側センサ(41a-41c、51a-51c)とを含む。ヒータ温度取得部は、下側センサが検出した温度と、上側センサが検出した温度とを取得する。
これによれば、上下方向で異なる位置で車室内の内気温度を取得することができる。このため、上下方向の異なる位置で車室内の温度が異なる場合であっても、乗員の快適性の向上のために、車室内の温度状態に応じて、空調装置を適切に作動させることができる。