JP2006327307A - 車室内温度制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】煩雑な操作をすることなく乗員の空調快適性を高める。
【解決手段】乗員の空調快適性に悪影響を及ぼす複数の異なる要素の温度Ta,Tsを検出する温度検出手段31,35と、検出された異なる要素の温度Ta,Tsをそれぞれ調整する温度調節手段1Aと、予め定められた複数の温度Ta,Tsを変数としたときに乗員が感じる温感レベルの特性に基づき、温度検出手段31,35により検出された各温度に対応した温感レベルの最適値Ta*,Ts*からの乖離の程度(温冷感の悪化代)ΔTSa,ΔTSsをそれぞれ設定する悪化代設定手段20と、悪化代設定手段20により設定された温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsに基づき、温度調節手段1Aを制御する温度制御手段20とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、乗員の温感レベルに応じて車室内の各部の温度を制御する車室内温度制御装置に関する。
従来より、乗員の感じる温感が手動設定された温感レベルとなるように車室内の空調を制御するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置によれば、空調を開始するに際して、乗員が温感レベル設定スイッチを操作して温感レベルを設定し、この設定された温感レベルとなるように空調ユニットの動作を制御する。
特開平6−234318号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、温感レベルを手動で設定するため、乗員の最適な温感を得るには時間がかかり煩わしい。
本発明による車室内温度制御装置は、乗員の空調快適性に悪影響を及ぼす複数の異なる要素の温度を検出する温度検出手段と、検出された異なる要素の温度をそれぞれ調整する温度調節手段と、予め定められた複数の温度を変数としたときに乗員が感じる温感レベルの特性に基づき、温度検出手段により検出された各温度に対応した温感レベルの最適値からの乖離の程度(温冷感の悪化代)をそれぞれ設定する悪化代設定手段と、悪化代設定手段により設定された温冷感の悪化代が減少するように温度調節手段を制御する温度制御手段とを備えるものである。
本発明によれば、予め定められた乗員の温感レベルの特性に基づき、異なる要素の温度についてそれぞれ温冷感の悪化代を設定し、この設定された温冷感の悪化代に基づき、各要素の温度を制御するようにしたので、温感レベルを手動で設定する必要がなく、乗員の最適な温感を容易に得ることができる。
−第1の実施の形態−
図1〜図11を参照して本発明による車室内温度制御装置の第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態は、1つの温度制御装置(空調ユニット1A)が乗員の快適性に影響を及ぼす2つの要素(車室内温度とシート表面温度)を同時に制御するものである。すなわち空調ユニット1Aを室温制御装置およびシート温度制御装置として用いる。なお、制御対象としての要素は、インストルメントパネルやドアトリム等の部材の表面温度(放射温度と呼ぶ)であってもよい。
図1は、第1の実施の形態に係る車室内温度制御装置の概略構成を示す図である。ブロアモータ2Aの駆動によりブロアファン3が回転すると内外気切換ドア4を介して空調ユニット1A内に内気または外気が吸い込まれ、吸い込まれた空気はエバポレータ5を通過して冷却される。エバポレータ通過後の空気はエアミックスドア6の開度に応じた割合でヒータコア7を通過して加熱され、または冷却空気のままヒータコア7をバイパスする。
ヒータコア7を通過またはバイパスした空気はヒータコア7の下流のエアミックスチャンバで混合されて空調風が生成される。この空調風は、吹出口モードに応じて開閉するベントドア8,デフロストドア9,フットドア10を介し、図示しないベント吹出口,デフロスト吹出口,フット吹出口からそれぞれ送風される。すなわち、ベントモード時にはベントドア8が開放し、ベント吹出口から乗員の上半身に向けて空調風が送風される。デフロストモード時にはデフロストドア9が開放し、デフロスト吹出口からウインドの表面に向けて空調風が送風される。フットモード時にはフットドア10が開放し、フット吹出口から乗員に足下に向けて空調風が送風される。
空調ユニット1Aからの空調風は各吹出口から送風されるだけでなくシート表面からも送風される。すなわち、シート15の内部には送風通路16が形成され、送風通路16はダクト17を介して空調ユニット1Aのエアミックスチャンバに接続されている。これにより空調ユニット1Aからの空調風は開閉ドア11を介して送風通路16内に導かれ、シートから吹き出される。
図2は第1の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図である。コントローラ20には空調制御用のセンサ群30と乗員が空調指令を入力する操作パネル40が接続されている。センサ群30は、車室内の温度Taを検出する内気温センサ31,外気温度を検出する外気温センサ32,日射量を検出する日射センサ33,エバポレータ通過後の空気温度を検出する吸込温度センサ34,シート表面の温度Tsを検出するシート温センサ35等の各種センサを含む。操作パネル40にはオートエアコン運転を指令するオートスイッチ41,吹出口モードを手動設定するモード設定スイッチ42,ファン風量を手動設定するファンスイッチ43,車室内の目標温度を入力する温度調節スイッチ44等を含む。
コントローラ20はこれらからの入力信号に基づき所定の処理を実行し、ブロアモータ2Aと、エアミックスドア6を駆動するためのエアミックスドア駆動用アクチュエータ21Aと、吹出口ドア(ベントドア8,デフロストドア9,フットドア10,開閉ドア11)を駆動するための吹出口ドア駆動用アクチュエータ22Aにそれぞれ制御信号を出力する。
図3はコントローラ20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは例えばオートスイッチ41の操作によりオートエアコン運転が指令されるとスタートし、オートエアコン運転以外が指令されると終了する。このオートエアコン運転により車室内温度Taとシート表面温度Tsが以下のように制御される。
まず、ステップS1でセンサ群30および操作部40からの信号を読み込み、ステップS2で目標エアミックスドア開度を演算する。目標エアミックスドア開度は、内気温センサ31,外気温センサ32,日射センサ33,吸込温度センサ34,および温度調節スイッチ44からの信号に基づき周知の演算式により求めることができる。
ステップS3では、目標エアミックスドア開度に基づき冷房運転を行うか暖房運転を行うかを判定する。なお、外気温に応じて冷房運転と暖房運転の有無を判定するようにしてもよい。冷房運転を行うと判定されるとステップS4に進み、車室内温度Tinについての温冷感の悪化代ΔTSaとシート表面温度Tsについての温冷感の悪化代ΔTSsを共に0にできるか否かを判定する。
ここで、「温冷感の悪化代」ΔTSについて説明する。本実施の形態では、予め、空調ユニット1Aからの送風により温度制御される室温Taとシート温度Ts、および空調ユニット1Aからの送風により冷却または加熱される車室内の部材の温度(放射温度Tr)をさまざまに組み合わせた空間に被験者を暴露し、被験者が感じる全身の温冷感(全身温冷感)の申告実験を行った。
この申告実験は図5に示すように、被験者が快適状態と感じると申告値を0,暑いと感じれば申告値をプラス,寒いと感じれば申告値をマイナスとし、暑さまたは寒さの不快感が大きいほど申告値をプラス側またはマイナス側に大きくするものである。この実験データを用いて、室温Taとシート温度Tsと放射温度Trを説明変数(独立変数)とし、全身温冷感を目的変数(従属変数)とした重回帰分析を行うと、次式(I)のような全身温冷感予測式を作成することができる。
全身温冷感=αTa+βTs+γTr+δ (I)
同様の温冷感の申告実験は、全身についてだけでなく体の各部位(例えば背中と胸)についても行うことができ、これにより全身だけでなくなく各部位についても上式(I)と同様の温冷感予測式を作成することができる。そして、上式(I)と2つの部位の温冷感予測式を連立方程式として解くことにより、全身温冷感に加え、各部位の温冷感がいずれも中立となる温度、すなわち全身が一様に快適となる温度Ta*,Ts*,Tr*(これらを快適温度と呼ぶ)を求めることができる。この値を用いると上式(I)を次式(II)のように変形することができる。
全身温冷感=α(Ta−Ta*)+β(Ts−Ts*)+γ(Tr−Tr*) (II)
上式(II)の各項を、室温Ta,シート温度Ts,放射温度Trの各要素についての「温冷感の悪化代」としてそれぞれ次式(III)〜(V)で定義する。
ΔTSa=α(Ta−Ta*) (III)
ΔTSs=β(Ts−Ts*) (IV)
ΔTSr=γ(Tr−Tr*) (V)
ここで、各要素の温冷感の悪化代の和ΣΔTS(=ΔTSa+ΔTSs+ΔTSr)が0であることは、全身温冷感が中立(快適)であることを意味し、各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSs,ΔTSrがすべて0であることは全身一様に快適であることを意味する。
図4に、ΣΔTS=0となる関数のグラフ「快適平面」の例を示し、図5に、予め行った乗員の快適性評価実験の結果を示す。なお、本実施の形態では室温Taとシート温度Tsを検出することにより2つの要素(室温Taとシート温度Ts)を制御する場合を説明するが、これに加えて部材の放射温度Trを検出することで図4の「快適平面」上に乗るように3つの要素(室温Tsとシート温度Tsと放射温度Tr)を制御することもできる。
このようにして求められたα,β,Ta*,Ts*は、温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを求めるための設定値として予めメモリに記憶されている。ステップS4では、この設定値と温度検出値Ta,Tsを用いて上式(III),(IV)から2つの要素Ta,Tsについての温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを算出する。そして、空調ユニット1Aからの空調風によりこれら温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを共に0にできるか否かを予測する。すなわち各要素についての熱負荷が大きい場合には、空調ユニット1Aを最大出力で運転しても、いずれか一方または双方の要素の温冷感の悪化代を0とすることができない場合があるので、ステップS4では全ての悪化代ΔTSa,ΔTSsを0にできるか否かを判定する。
ここで、空調装置を最大出力で運転した場合に単位時間当たりに改善可能な各要素の悪化代の量をEa,Esと定義する。Eaは、ある悪化代ΔTSaの下での室温Ta0を測定し、さらに測定開始から一分後の室温Ta1を測定し、その測定値Ta0,Ta1を次式(VI)に代入することで求めることができる。また、Esは、ある悪化代ΔTSsの下でのシート温度Ts0を測定し、さらに測定開始から一分後のシート温度Ts1を測定し、その測定値Ts0,Ts1を次式(VII)に代入することで求めることができる。
Ea=α(Ta1−Ta0) (VI)
Es=α(Ts1−Ts0) (VII)
このようにして求められたEaとEsの特性は予め要素Ta,Ts毎にメモリに記憶されている。特性Eaの一例を図6に示す。図6は種々の負荷レベルの下でTa0とTa1を測定して得られた特性であり、コントローラ20は図6の特性に基づき悪化代ΔTSaを0にできるか否かを判定する。
ステップS4で全ての悪化代ΔTSa,ΔTSsを0にできると判定されるとステップS5に進み、ΔTSaとΔTSsのいずれか一つが0以下か否か、すなわち室温Taとシート温度Tsのいずれかが快適温度Ta*,Ts*よりも低いか否かを判定する。室温TaがTa*より高く、かつシート温度TsがTs*よりも高い場合、ステップS5が否定されてステップS6に進む。ステップS6では、以下のような選択冷房運転モードで空調運転を実行する。
−選択冷房運転モード−
選択冷房運転モードの処理の一例を図8に示す。選択冷房運転モードでは、まず、ステップS6Aで室温Taの低下を目的として空調ユニット1Aを最大出力で冷房運転する場合(Taに対する最大出力運転)と、シート温度Tsの低下を目的として最大出力で冷房運転する場合(Tsに対する最大出力運転)とで、どちらの方がより効率的に(短時間で)全身温冷感の悪化ΣΔTS(=ΔTSa+ΔTSs)を改善できるか否かを判定する。この判定は予め定めたEaの特性(図6)とEsの特性に基づき行う。
Taに対する最大出力運転の方が効率的と判定されるとステップS6Bに進み、Taに対して最大出力運転を行う。この状態では、要素Taについての悪化代ΔTSaを改善するために空調ユニット1Aからのエネルギを出力する。例えばファン3を最大回転数で回転させ、エアミックスドア6をフルクール位置に回動し、デフロストドア9とフットドア10と開閉ドア11を閉鎖し、ベントドア8を開放する。これによりベント吹出口から車室内に最大風量の冷却空気が送風され、車室内が急速に冷却される。
一方、ステップS6AでTsに対する最大出力運転の方が効率的と判定されるとステップS6Cに進み、Tsに対して最大出力運転を行う。この状態では、要素Tsについての悪化代ΔTSsを改善するために空調ユニット1Aからのエネルギを出力する。例えばファン3を最大回転数で回転させ、エアミックスドア6をフルクール位置に回動し、ベントドア8とデフロストドア9とフットドア10を閉鎖し、開閉ドア11を開放する。これによりシート表面から最大風量の冷却空気が送風され、シート表面が急速に冷却される。
図3のステップS5で、Ta,Tsのいずれかが快適温度Ta*,Ts*以下になった、すなわち悪化代ΔTSa,ΔTSsのいずれかが0以下になったと判定されるとステップS7に進む。ステップS7では以下のような配分調節冷房運転モードで空調運転を実行する。配分調節冷房運転モードでは、2つの要素Ta,Tsについての悪化代ΔTSa,ΔTSsを同時に改善するために、空調ユニット1Aからのエネルギを各要素に対して分配して出力する。
−配分調節冷房運転モード−
配分調節冷房運転モードの処理の一例を図9に示す。配分調節冷房運転モードでは、まず、ステップS7Aで要素Tsについての悪化代ΔTSsが0以下か否かを判定し、否定されるとステップS7Cに進む。この場合、要素Taについての悪化代ΔTSaのみが0以下ということであり、ステップS7Cでは、空調ユニット1Aからのエネルギーのうち、一部をΔTSa=0を維持するような必要最小限のエネルギーとして要素Taについて出力し、残りをシート温度Tsを低下するために要素Tsについて出力する。
具体的にはファン3を最大回転数で回転させ、エアミックスドア6をフルクール位置に回動した状態で、ドア8〜11の回動を制御して、吹出口とシート表面からの配風比を調整する。すなわちドア8〜10の回動を制御することで要素Taについての出力(吹出口からの送風量)を調整し、ドア11の回動を制御することで要素Tsについての出力(シート表面からの送風量)を調整する。これにより車室内にΔTSa=0を維持するような必要最小限の風量のみが送風され、残りがシート表面から送風される。なお、ファン3の回転数を最大回転数よりも低くし、エアミックスドア6をフルクール位置以外とした状態で配風比を調整してもよい。
ここで、ΔTSa=0を維持するのに必要な出力(Ea=0とするのに必要な出力)は例えば図7に示すようになり、負荷レベルに応じて異なったものとなる。この特性は各要素毎に予め記憶されており、この特性に基づきコントローラ20はΔTSa=0を維持するためにどの程度の出力が必要か(配風比をどのように制御すればよいのか)を推定する。
ステップS7AでΔTSsが0以下と判定されるとステップS7Bに進み、ΔTSaが0以下か否かを判定する。ステップS7Bが否定されるとステップS7Dに進む。この場合、要素Tsについての悪化代ΔTSsのみが0以下ということであり、ステップS7Dでは、空調ユニット1Aからのエネルギのうち、一部をΔTSs=0を維持するような必要最小限のエネルギーとして要素Tsについて出力し、残りを室温Taを低下するために要素Tsについて出力する。
例えばファン3を最大回転数で回転させ、エアミックスドア6をフルクール位置に回動した状態で、ドア8〜11の回動を制御して、吹出口とシート表面からの配風比を調整する。これによりシート表面からΔTSs=0を維持するような必要最小限の風量のみが送風され、残りが吹出口から車室内に送風される。なお、ファン3の回転数を最大回転数よりも低くし、エアミックスドア6をフルクール位置以外とした状態で配風比を調整してもよい。
ステップS7Bが肯定されるとステップS7Eに進む。この場合、温冷感の悪化代ΔTSaとΔTSsがともに0ということであり、ステップS7Eでは、要素TaについてΔTSaを維持するような必要最小限のエネルギーを出力し、要素TsについてΔTSsを維持するような必要最小限のエネルギーを出力する。例えばエネルギー消費量が最も少なくなるようにファン風量(ファン回転数)と空調風温度(エアミックスドア6の開度)と吹出口およびシート表面からの配風比(ドア8〜11の回動)とをそれぞれ制御する。これにより各要素を快適温度Ta*,Ts*に制御することができ、乗員の全身温冷感と各部位の温冷感が快適となるだけでなく、燃費も向上する。なお、目標エアミックスドア開度に応じてファン風量(ファン回転数)と空調風温度(エアミックスドア6の開度)と吹出口モード(ドア8〜10の回動)を制御した上で、ΔTSaとΔTSsがともに0となるように配風比(ドア8〜11の回動)を調整してもよい。
図3のステップS4で悪化代ΔTSaとΔTSsのいずれか一方または両方を0にできないと判定されるとステップS8に進む。ステップS8では以下のような修正冷房運転モードで空調運転を実行する。
−修正冷房運転モード−
修正冷房運転モードの処理の一例を図10に示す。修正冷房運転モードでは、まず、ステップS8Aでシート温度Tsについての悪化代ΔTSsを0とすることが可能か否かを判定する。ステップS8Aが肯定されると、つまり室温Taについての悪化代ΔTSaのみ0とすることが不可能と判定されるとステップS8Bに進む。ステップS8BではΔTSsが0になったか否かを判定し、否定されるとステップS8Cに進み、上述したステップS6Cの処理と同様、Tsにつき最大出力運転を行う。これにより要素Tsについての悪化代ΔTSsが0に近づく。一方、ステップS8Bが肯定されるとステップS8Dに進み、各要素の悪化代の和ΣΔTS(=ΔTSa+ΔTSs)が0となるように空調ユニット1Aの出力(配風比等)を調節する。この場合、ΔTSaが0より大きいので、ΔTSsをマイナスにしてΣΔTSを0にする。これにより乗員の全身温冷感が快適になる。
一方、ステップS8Aが否定されるとステップS8Eに進み、要素Taについての悪化代ΔTSaを0とすることが可能か否かを判定する。ステップS8Eが肯定されると、つまりシート温度Tsについての悪化代ΔTSsのみ0とすることが不可能と判定されるとステップS8Fに進む。ステップS8FではΔTSaが0になったか否かを判定し、否定されるとステップS8Gに進み、上述した処理(ステップS6B)と同様、Taにつき最大出力運転を行なう。これにより要素Taについての悪化代ΔTSaが0に近づく。一方、ステップS8Fが肯定されるとステップS8Hに進み、各要素の悪化代の和ΣΔTSが0となるように空調ユニット1Aの出力を調節する。この場合、ΔTSsが0より大きいので、ΔTSaをマイナスにしてΣΔTSを0にする。これにより乗員の全身温冷感が快適になる。
ステップS8Eが否定されると、つまり温冷感の悪化代ΔTSsとΔTSaを両方とも0とすることができないと判定されるとステップS8Iに進む。ステップS8Iでは各要素の悪化代の和ΣΔTSが最小となるように空調ユニット1Aの出力を調節して運転する。これにより乗員の全身温冷感が最大限に改善される。
以上では、ステップS3で空調運転が冷房と判断された場合の処理について説明した。これに対し空調運転が暖房と判断されると、温冷感の悪化代がマイナスとなる(寒く感じる)。このため、図3のステップS10ではΔTSa,ΔTSsが0以上か否かを判定し、ステップS9〜ステップS13ではそれぞれステップS4〜ステップS8に対応した処理が行われる。この場合、エアミックスドア6をホット側に回動させるとともに、吹出口モードを暖房に適したモード(例えばフットモード)に変更する点で冷房運転時の制御とは異なるが、他の基本的な制御は上述したものと同様であるため、ここではステップS9〜ステップS13についての説明は省略する。
第1の実施の形態に係る温度制御装置の特徴的な動作を説明する。
図11は室温Taとシート温度Tsの変化の一例を示すタイムチャートである。図中、実線は空調ユニット1Aにより2つの要素Ta,Tsについて温度制御を行った場合の特性であり、点線は1つの要素Taのみについて温度制御を行った場合の特性である。制御開始時(時点t0)の室温Ta,シート温度TsをそれぞれTa0,Ts0とする。この場合、初期状態では各温度Ta,Tsとも快適温度Ta*,Ts*よりも高く、各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsはそれぞれ0より大きく、乗員は全身で暑さを感じる。このため、選択冷房運転モードで空調ユニット1Aが運転される(ステップS6)。
選択冷房運転モードでは、悪化代の和ΣΔTSを効率的に改善できるようにTaまたはTsのいずれか一方に対して最大出力で冷房運転が行われる。図11の例ではTaについて最大出力運転を行っている(ステップS6B)。これにより空調ユニット1Aからの冷却風が全てベント吹出口から車室内に送風される。このため、図示のように室温Taが急速に低下し、短時間で乗員の空調快適性を高めることができる。このとき室温Taの低下に伴いシート温度Tsも低下する。
時点t1で室温TSaについての悪化代ΔTSaが0以下になると、配分調節冷房運転モードに移行する(ステップS7)。これにより吹出口からはΔTSa=0を維持するような空調風のみが送風され、シート表面から残りが送風される(ステップS7C)。その結果、実線に示すようにシート温度Tsが低下し、シート温度Tsが快適温度Ts*に接近する。また、室温Taは快適温度Ta*に維持される。
時点t2でΔTSs=0になると、室温Taおよびシート温度Tsをそれぞれ快適温度Ta*,Ts*に維持する必要最小限の出力で空調ユニット1Aが運転される(ステップS7E)。これにより乗員にとっての全身温冷感と各部位の温冷感は全て快適となり、良好な空調空間が得られる。これに対し、要素Taのみについて空調運転を行って全身温冷感の悪化を改善する場合(ΣΔTSを0にする場合)には、点線で示すようにシート温度Tsが快適温度Ts*よりも高く、室温Taが快適温度Ta*よりも低くなる。そのため、乗員の全身温冷感は満たされても、各部位についての温冷感は満たされず、十分な空調快適性が得られない。
一方、外気温が高い等、熱負荷が高いことにより、空調ユニット1Aを運転してもΔTSaとΔTSsのいずれかまたは双方を0にできない場合には、修正冷房運転モードが行われる(ステップS8)。例えば、室温Taの悪化代ΔTSaのみ0にできる場合には、Taにつき最大出力運転を行ってΔTSaを0にした後、悪化代の和ΣΔTSが0になるように出力が調節される(ステップS8D)。これにより早期に快適な全身温冷感が得られる。また、ΔTSaとΔTSsのいずれも0にできない場合には、空調ユニット1Aは悪化代の和ΣΔTSが最小となるように出力を調節して運転される(ステップS8I)。これにより乗員の空調快適性を最大限に改善することができる。
第1の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)2つの要素Ta,Tsの温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsに基づき空調ユニット1Aを制御するので、乗員に及ぼす快適性の度合いの異なる2つの要素Ta,Tsを同一の指標により評価して空調制御することができ、最適な空調環境を得ることができる。
(2)各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを求めるために必要な定数α,β,Ta*,Ts*を予め設定し、室温とシート温度の検出値Ta,Tsを用いて悪化代を算出するので、乗員が温感レベルを手動設定する必要がなく、容易に空調快適性を高めることができる。
(3)全身の温冷感予測式(I)と各部位(背中や胸など)の温冷感予測式を満たす温度を快適温度Ta*,Ts*として設定したので、全身一様の空調快適性が得られる。すなわち全身温冷感のみを快適としたのでは、全身が平均的に快適であっても各部位では局所的に不快感を感じることがあるが、本実施の形態では全身だけでなく各部位も一様に快適とすることができる。
(4)空調ユニット1Aからの空調風を吹出口とシート表面からそれぞれ送風するようにしたので、室温Taについての空調制御とシート温度Tsについての空調制御を単一の空調装置を用いて行うことができ、コストを低減できる。
(5)複数の要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0となるように空調制御するので、各要素の温度Ta,Tsを快適温度Ta*,Ts*に制御することができ、各部位の温冷感を含めて全身一様な快適性を得ることができる。この点、例えば1つの要素Taのみを快適温度Ta*とするように空調制御した場合、Taを快適温度Ta*に制御してもシート温度Tsは快適温度Ts*とは限らず、全身一様な快適性を得ることは困難である。
(6)悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0になった後は、各要素につきその状態を維持するのに必要最小限の出力で空調ユニット1Aを制御するので、燃費も向上する。
(7)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを全て0とすることができないときは、悪化代の和ΣΔTSが0となるように空調制御するので、全身温冷感の悪化を改善することができる。
(8)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsが0より大きい場合(暖房運転では0より小さい場合)に、効率的に悪化代を改善できる要素について最大出力運転するようにしたので、短時間で効率よく不快感を解消することできる。
−第2の実施の形態−
図12〜図17を参照して本発明による車室内温度制御装置の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、2つの温度制御装置(例えば空調ユニット1Bと1C)が乗員の快適性に影響を与える2つの要素(例えば車室内温度とシート温度)をそれぞれ独立して制御するものである。すなわち空調ユニット1Bを室温制御装置として用い、空調ユニット1Cをシート温度制御装置として用いる。
図12は、第2の実施の形態に係る車室内温度制御装置の概略構成を示す図である。図中(a)は車室内に空調風を送風する空調ユニット1Bであり、上述した空調ユニット1Aと共通の箇所には同一の符号を付している。空調ユニット1Bは空調ユニット1Aと異なり、吹出口のみから空調風を送風するように構成されている。このため、空調ユニット1Bからは開閉ドア11が省略されている。
図中(b)は空調ユニット1Cが設けられたシート15である。シートクッション15aの下部にはファン51と、ファン51から送風された空気を加熱または冷却する冷温風発生装置52が配設されている。冷温風発生装置52はペルチェ素子52aを有し、ペルチェ素子52aを流れる電流の方向を変更することでファン51からの空気を加熱または冷却し、温風または冷風とする。冷温風発生装置52を通過した空気は、シート内の送風通路53を介してシート表面から吹き出される。
図13は第2の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図である。図中、図2と同一の箇所には同一の符号を付している。コントローラ50には図2と同様、センサ群30と操作パネル40が接続されている。コントローラ50はこれらからの入力信号に基づき所定の処理を実行し、空調ユニット1Bのブロアモータ2B,エアミックスドア駆動用アクチュエータ21B,および吹出口ドア駆動用アクチュエータ22Bにそれぞれ制御信号を出力するとともに、空調ユニット1Cのペルチェ素子52aに制御信号を出力する。なお、メモリには空調ユニット1B,1Cをそれぞれ最大出力運転した場合のEa,Esの特性(例えば図6のような特性)が予め記憶されている。
図14はコントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様に各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを算出し、この悪化代に基づいて空調制御を行う。なお、図3と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。
ステップS3で冷房運転と判定され、ステップS4で温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを0にできない要素があると判定されると、ステップS51に進む。ステップS51では悪化代の和ΣΔTSが所定値以下(例えば1以下)か否かを判定する。これは全身に与える不快感が一定レベル以下になっているか否か、つまり大きな不快感が取り除かれているか否かの判定であり、ステップS51が否定されるとステップS52に進む。この場合、乗員の不快感が大きいため、ステップS52で以下のような最大冷房運転モードで空調運転を実行する。
−最大冷房運転モード−
最大冷房運転モードの処理の一例を図15に示す。最大冷房運転モードでは、まず、ステップS52Aで、ΔTSaが0より小さいか否か、すなわち室温Taが快適温度Ta*より低いか否かを判定する。ステップS52Aが否定されるとステップS52Bに進み、空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転する。例えばファン3を最大回転数で回転させ、エアミックスドア6をフルクール位置に回動し、デフロストドア9とフットドア10を閉鎖し、ベントドア8を開放する。これによりベント吹出口から車室内に冷却空気が送風され、車室内が急速に冷却される。一方、ステップS52Aが肯定されるとステップS52Cに進み、空調ユニット1Bの冷房運転を停止する。
ステップS52Dでは、ΔTSsが0より小さいか否か、すなわちシート温度Tsが快適温度Ts*より低いか否かを判定する。ステップS52Dが否定されるとステップS52Eに進み、空調ユニット1Cを最大出力で冷房運転する。例えばファン51を最大回転数で回転させるとともに、ペルチェ素子52aによる冷却効果を最大とする。これによりシート表面から冷却空気が送風され、シート表面が急速に冷却される。一方、ステップS52Dが肯定されるとステップS52Fに進み、空調ユニット1Cの冷房運転を停止する。
以上が最大冷房運転モードの処理である。これに対し、図14のステップS51で、悪化代の和が1以下と判定されるとステップS53に進む。この場合、乗員の大きな不快感は取り除かれているため、以下のように省エネを考慮した省エネ冷房運転モードで空調運転を行う。
−省エネ冷房運転モード−
省エネ冷房運転モードの処理の一例を図16に示す。省エネ冷房運転モードでは、まず、ステップS53Aで要素Taについての悪化代ΔTSaが0より小さいか否かを判定し、ステップS53Bで要素Tsについての悪化代ΔTSsが0より小さいか否かを判定する。ステップS53A,ステップS53Bのいずれも否定されるとステップS53Cに進み、空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転する場合と空調ユニット1Cを最大出力で冷房運転する場合とで、どちらの方が効率的に(短時間で)悪化代ΔTSを0にできるか否かを、予め定められたEa,Esの特性を用いて判定する。
空調ユニット1Cを最大出力運転した方が効率的、すなわち空調ユニット1Bを最大出力運転してΔTSaを0とするよりも、空調ユニット1Cを最大出力運転してΔTSsを0とする方が時間がかからないと判定されるとステップS53Dに進む。ステップS53Dでは、全ての要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsが0になったか否かを判定し、否定されるとステップS53Eに進む。ステップS53Eでは空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転してΔTSaを0に近づけるとともに、ΔTSaとΔTSsが同時に0になるように空調ユニット1Cの出力(ファン51の駆動とペルチェ素子52aへの通電)を調節する。
ステップS53DでΔTSaとΔTSsがともに0になったと判定されるとステップ53Fに進む。ステップS53Fでは、悪化代ΔTSa,ΔTSsが0の状態を維持するように空調ユニット1Bの出力(ファン3の回転数、エアミックスドア6の開度、ドア8〜10の開閉)および空調ユニット1Cの出力をそれぞれ調節する。
一方、ステップS53Cで空調ユニット1Bを最大出力運転した方が効率的と判定されるとステップS53Gに進む。ステップS53Gでは、全ての要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsが0になったか否かを判定し、否定されるとステップS53Hに進む。ステップS53Hでは空調ユニット1Cを最大出力で冷房運転してΔTSsを0に近づけるとともに、ΔTSaとΔTSsが同時に0になるように空調ユニット1Bの出力を調節する。ステップS53GでΔTSaとΔTSsがともに0になったと判定されるとステップ53Iに進み、ΔTSa,ΔTSsが0の状態を維持するように空調ユニット1Bの出力と空調ユニット1Cの出力をそれぞれ調節する。
一方、ステップS53Aで要素Taについての悪化代ΔTSaが0より小さいと判定されると、ステップS53Jに進む。ステップS53Jでは悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ステップS53Jが否定されるとステップS53Kに進み、空調ユニット1Bの冷房運転を停止するとともに、空調ユニット1Cを最大出力で冷房運転する。これによりΣΔTSが0に近づく。ステップS53JでΣΔTS=0と判定されるとステップ53Lに進み、ΣΔTS=0を維持するように空調ユニット1Cの出力を調整する。
また、ステップS53Bで要素Tsについての悪化代ΔTSsが0より小さいと判定されると、ステップS53Mに進む。ステップS53Mでは悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ステップS53Mが否定されるとステップS53Nに進み、空調ユニット1Cの冷房運転を停止するとともに、空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転する。ステップS53MでΣΔTS=0と判定されるとステップ53Pに進み、ΣΔTS=0を維持するように空調ユニット1Bの出力を調整する。
以上が省エネ冷房運転モードの処理である。これに対し、図14のステップS4で、全ての要素の悪化代ΔTSa、ΔTSsを0にできないと判定されるとステップS54に進む。この場合、以下のように修正冷房運転モードで空調運転を行う。
−修正冷房運転モード−
修正冷房運転モードの処理の一例を図17に示す。修正冷房運転モードでは、まず、ステップS54Aで要素Taについての悪化代ΔTSaを0にできるか否かを判定し、否定されるとステップS54Bに進み、悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ΣΔTSが0になる前は、ステップS54Bが否定されてステップS54Cに進み、空調ユニット1B,1Cをともに最大出力で冷房運転する。これにより室温Taとシート温度Tsが早期に低下する。ΣΔTSが0になるとステップS54Bが肯定されてステップS54Dに進む。ステップS54Dでは空調ユニット1Bを最大出力運転したまま、ΣΔTSが0となるように空調ユニット1Cの出力を調節する。
一方、ステップS54Aが肯定されるとステップS54Eに進む。ステップS54Eでは、要素Tsについての悪化代ΔTSsを0にできるか否かを判定し、否定されるとステップS54Fに進み、悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ΣΔTSが0になる前は、ステップS54Fが否定されてステップS54Gに進み、空調ユニット1B,1Cをともに最大出力で冷房運転する。ΣΔTSが0になるとステップS54Fが肯定されてステップS54Hに進む。ステップS54Hでは空調ユニット1Cを最大出力運転したまま、ΣΔTSが0となるように空調ユニット1Bの出力を調節する。
以上では、ステップS3で空調運転が冷房と判断された場合の処理について説明した。これに対し空調運転が暖房と判断されると、温冷感の悪化代がマイナスとなる(寒く感じる)。このため、図14のステップS55ではΣΔTSが−1以上か否かを判定し、ステップS56〜ステップS58ではそれぞれステップS52〜ステップS54に対応した処理が行われる。この場合、エアミックスドア6をホット側に回動させるとともに、吹出口モードを暖房に適したモード(例えばフットモード)に変更する点、およびペルチェ素子52aに冷房時とは逆の電流を流してペルチェ素子52aを加熱源として機能させる点が冷房運転時の制御とは異なるが、他の基本的な制御は上述したものと同様であるため、ここではステップS55〜ステップS58についての説明は省略する。
第2の実施の形態に係る温度制御装置の特徴的な動作を説明する。
室温Taおよびシート温度Tsがいずれも快適温度Ta*,Ts*よりも高く、悪化代の和ΣΔTSが1より大きい場合には、コントローラ50は空調ユニット1B,1Cを最大冷房運転モードで運転する(ステップS52)。すなわち、空調ユニット1B,1Cをそれぞれ最大出力で冷房運転する。これによりベント吹出口およびシート表面からは低温の空気が最大風量で送風され、早期に乗員の空調快適性を改善することができる。
最大冷房運転モードにより快適性がある程度改善されると(ΣΔTS≦1)、省エネ冷房運転モードに移行する(ステップS53)。省エネ冷房運転モードでは、ΔTSaとΔTSsのどちらの方を早く0にできるかを判定し、ΔTSaの方を早く0にできる場合には、空調ユニット1Cを最大出力で運転したまま、空調ユニット1Bは出力を絞った運転をする(ステップS53H)。このように不快感が一定レベル以下の状態において、悪化代の改善に時間がかかる方の要素Tsに対応した空調ユニット1Cを最大出力で運転するとともに、他方の空調ユニット1Bの出力を抑えることで、各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsをできるだけ早く0にすることができるとともに、省エネ化も図られ、燃費の向上を実現できる。
各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0になると、空調ユニット1Cの最大出力運転を停止し、以降、ΔTSa,ΔTSsが0の状態を維持した必要最小限の出力となるように空調ユニット1B,1Cの出力を調整する(ステップS53I)。これにより乗員は全身の平均的な温冷感だけでなく各部位の温冷感も快適と感じ、良好な空調環境を得ることができる。また、必要最小限の出力でΔTS=0の状態を維持するので、燃費も向上する。
第2の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)2つの要素Ta,Tsの温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsに基づき空調ユニット1B,1Cを制御するので、乗員に及ぼす快適性の度合いの異なる2つの要素Ta,Tsを同一の指標により評価して空調制御することができ、最適な空調環境を得ることができる。
(2)各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを求めるために必要な定数α,β,Ta*,Ts*を予め設定し、室温とシート温度の検出値Ta,Tsを用いて悪化代を算出するので、乗員が温感レベルを手動設定する必要がなく、容易に空調快適性を高めることができる。
(3)空調ユニット1Bにより要素Taの悪化代ΔTSaを改善し、空調ユニット1Cにより要素Tsの悪化代ΔTSsを改善するようにしたので、つまり各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsをそれぞれ独立した装置により改善するようにしたので、悪化代が0の快適な空調環境が容易に得られる。
(4)空調ユニット1B,1Cからの吹出風の温度を異なった値に制御することができるため、室温はとても暑いがシートは少し暑いといった状況でも各要素Ta,Tsを容易に最適な値に制御することができる。
(5)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0となるように空調制御するので、各部位の温冷感を含めて全身一様な快適性を得ることができる。
(6)悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0になった後は、各要素につきその状態を維持するのに必要最小限の出力で空調ユニット1B,1Cを制御するので、燃費も向上する。
(7)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを全て0とすることができないときは、悪化代の和ΣΔTSが0となるように空調制御するので(図17)、全身温冷感の悪化を改善することができる。
(8)空調開始時にある程度不快感が取り除かれるまでは空調ユニット1B,1Cをそれぞれ最大出力で運転し(最大出力運転モード)、その後、全ての要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsが同時刻に0になるように、一方の空調ユニット1Bを最大出力で運転し、他方の空調ユニット1Cを出力を絞って運転するので(省エネ冷房運転モード)、快適温度Ta*,Ts*に至るまでの時間を最短にしつつ、燃費も改善できる。
(9)最大出力運転モード時に悪化代ΔTSaが0より小さい場合に、その要素Taに対応した空調ユニット1Bの冷房運転を停止し、他方の要素Tsに対応した空調ユニット1Cを最大出力運転するようにしたので、各要素Ta,Tsの冷却しすぎによる不快感を解消することができる。
−第3の実施の形態−
図18〜図21を参照して本発明による車室内温度制御装置の第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、1つの温度制御装置(空調ユニット1A)が乗員の快適性に影響を与える2つの要素(車室内温度とシート温度)をそれぞれ制御し、そのうちの1つの要素(車室内温度)を別の温度制御装置(空調ユニット1B)が制御する。すなわち第3の実施の形態では一対の空調ユニット1A,1Bが並列に設置されており、空調ユニット1Aを室温制御装置およびシート温度制御装置として用い、空調ユニット1Bを室温制御装置として用いる。なお、空調ユニット1A,1Bの構成は上述したのと同様であり、説明を省略する。
図18、は第3の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図である。図中、図2,13と同一の箇所には同一の符号を付している。コントローラ60には図2,13と同様、センサ群30と操作パネル40が接続されている。コントローラ60はこれらからの入力信号に基づき所定の処理を実行し、空調ユニット1Aのブロアモータ2A,エアミックスドア駆動用アクチュエータ21A,吹出口ドア駆動用アクチュエータ22Aにそれぞれ制御信号を出力するとともに、空調ユニット1Bのブロアモータ2B,エアミックスドア駆動用アクチュエータ21B,吹出口ドア駆動用アクチュエータ22Bにそれぞれ制御信号を出力する。
コントローラ60で行われる処理について説明する。なお、第3の実施の形態に係るコントローラ60における処理が第2の実施の形態に係るコントローラ50における処理と異なるのは、各運転モードにおける処理(ステップS52〜ステップS54,ステップS56〜ステップS58)であり、以下ではこの点について説明する。
−最大冷房運転モード−
最大冷房運転モードの処理の一例を図19に示す。最大冷房運転モードでは、まず、ステップS520Aで、ΔTSaが0より小さいか否か、すなわちTaが快適温度Ta*より低いか否かを判定する。ステップS520Aが否定されるとステップS520Bに進み、ΔTSsが0より小さいか否か、すなわちTsが快適温度Ts*より低いか否かを判定する。ステップS520Bが否定されるとステップS520Cに進み、空調ユニットAを要素Taに対し最大出力運転し、かつ空調ユニット1Bを最大出力運転する場合(ケース1)と、空調ユニット1Aを要素Tsに対し最大出力運転し、かつ空調ユニット1Bを最大出力運転する場合(ケース2)とで、どちらの方がより効率的に悪化代の和ΣΔTSを改善することができるか否かを判定する。この判定は、予め定められた空調ユニット1AのEa,Esに対する特性(例えば図6のような特性)と空調ユニット1BのEaに対する特性に基づき行うことができる。
ケース1の方が効率的と判定されるとステップS520Dに進み、室温Taについての悪化代ΔTSaが0になったか否かを判定する。ステップS520Dが否定されるとステップS520Eに進み、ΣΔTSを効率的に改善するように空調ユニットAを要素Taに対し最大出力で冷房運転し、かつ空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転する。空調ユニット1A,1Bの最大出力運転によりΔTSaが0になるとステップS520Fに進む。ステップS520FではΔTSa=0を維持するような最小限のエネルギーを空調ユニット1A,1Bから要素Taに対して出力し、空調ユニット1Aの残りのエネルギーを要素Tsに対して出力するように空調ユニット1A,1Bの冷房運転の出力を調節する。この場合、空調ユニット1Bからの出力のみでΔTSa=0を維持できる場合には、空調ユニット1Aからのエネルギーを要素Taに対して出力せずに、要素Tsに対してのみ出力する。これによりΔTSaを0に保ったままΔTSsが改善される。
一方、ステップS520Cでケース2の方が効率的と判定されるとステップS520Gに進み、要素Taについての悪化代ΔTSaが0になったか否かを判定する。ステップS520Gが否定されるとステップS520Hに進み、ΣΔTSを効率的に改善するように空調ユニット1Bを最大出力で冷房運転する。ステップS520GでΔTSaが0と判定されるとステップS520Iに進み、ΔTSa=0を維持するように空調ユニット1Bの冷房運転の出力を調節する。
ステップS520Jでは要素Tsについての悪化代ΔTSsが0になったか否かを判定する。ステップS520Jが否定されるとステップS520Kに進み、ΣΔTSを効率的に改善するように空調ユニット1Aを要素Tsに対し最大出力で冷房運転する。ステップS520JでΔTSsが0と判定されるとステップS520Lに進み、ΔTSs=0を維持するように最小限のエネルギーを要素Tsに対して出力し、残りのエネルギーを要素Taに対して出力するように空調ユニット1Aの冷房運転の出力を調節する。
ステップS520AでΔTSa<0と判定されるとステップS520Mに進む。ステップS520Mでは、室温Taの低下を防ぐために空調ユニット1Aを要素Tsに対し最大出力運転し、空調ユニット1Bの冷房運転を停止する。ステップS520BでΔTSs<0と判定されるとステップS520Nに進む。ステップS520Nでは、シート温度Tsの低下を防ぐために空調ユニット1Aを要素Taに対し最大出力運転し、空調ユニット1Bを最大出力運転する。
−省エネ冷房運転モード−
次いで、省エネ冷房運転モードの処理の一例を図20に示す。省エネ冷房運転モードでは、まずステップS530Aで、ΔTSaが0より小さいか否かを判定する。ステップS530Aが否定されるとステップS530Bに進み、ΔTSsが0より小さいか否かを判定する。ステップS530Bが否定されるとステップS530Cに進み、空調ユニット1Aを要素Tsに対し最大出力運転かつ空調ユニット1Bを要素Taに対し最大出力運転した場合に、ΔTSaを0とするのとΔTSsを0とするのとでどちらが効率的か(時間がかからないか)を判定する。
ΔTSaを0とする方が時間がかからないと判定されるとステップS530Dに進み、ΔTSaとΔTSsが0か否かを判定する。ステップS530Dが否定されるとステップS530Eに進み、空調ユニット1Aを要素Tsに対し最大出力運転し、ΔTSsとΔTSaが同時に0になるように空調ユニット1Bの要素Taに対する出力を調節する。ステップS530DでΔTSaとΔTSsが0になったと判定されるとステップS530Fに進み、最小限の出力によりΔTSa=0およびΔTSs=0の状態を維持するように空調ユニット1A,1Bの冷房運転の出力を調節する。
一方、ステップS530CでΔTSsを0とする方が時間がかからないと判定されるとステップS530Gに進み、ΔTSaとΔTSsが0か否かを判定する。ステップS530Gが否定されるとステップS530Hに進み、空調ユニット1Bを要素Taに対し最大出力運転し、ΔTSsとΔTSaが同時に0になるように空調ユニット1Aの要素Taおよび要素Tsに対する出力を調節する。この場合、空調ユニット1Aを最大出力運転した状態で、そのエネルギの一部を要素Taに対して出力することで早期にΔTSaとΔTSsを0にすることができる。ステップS530GでΔTSaとΔTSsが0になったと判定されるとステップS530Iに進み、最小限の出力によりΔTSa=0およびΔTSs=0の状態を維持するように空調ユニット1A,1Bの冷房運転の出力を調節する。
ステップS530AでΔTSaが0より小さいと判定されるとステップS530Jに進む。ステップS530Jでは悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定し、否定されるとステップS530Kに進む。ステップS530KではΣΔTSが0となるように空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転し、空調ユニット1Bの冷房運転の出力を停止する。ステップS530JでΣΔTSが0と判定されるとステップS530Lに進み、空調ユニット1Bの出力を停止したまま、最小限の出力でΣΔTS=0を維持するように空調ユニット1Aの要素Tsに対する出力を調節する。
ステップS530BでΔTSsが0より小さいと判定されるとステップS530Mに進む。ステップS530Mでは悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定し、否定されるとステップS530Nに進む。ステップS530NではΣΔTSが0となるように空調ユニット1Aを要素Taに対して最大出力運転するとともに、空調ユニット1Bを最大出力運転する。ステップS530MでΣΔTSが0と判定されるとステップS530Pに進み、最小限の出力でΣΔTS=0を維持するように空調ユニット1A,1Bの要素Taに対する出力を調節する。
−修正冷房運転モード−
次いで、修正冷房運転モードの処理の一例を図21に示す。修正冷房運転モードでは、まずステップS540Aで、空調ユニット1A,1Bを要素Taに対して最大出力運転した場合にΔTSaを0にすることができるか否かを判定し、肯定されるとステップS540Bに進む。ステップS540Bでは空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転した場合にΔTSsを0にすることができるか否かを判定する。
ステップS540Bが否定されるとステップS540Cに進み、悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ステップS540Cが否定されるとステップS540Dに進み、ΣΔTSが0となるように空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転し、空調ユニット1Bを要素Taに対し最大出力運転する。ステップS540CでΣΔTSが0と判定されるとステップS540Eに進み、空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転したまま、ΣΔTS=0の状態を維持するように空調ユニット1Bの要素Taに対する出力を調節する。
一方、ステップS540Aで、空調ユニットA,Bを要素Taに対して最大出力運転した場合にΔTSaを0にすることができないと判定されるとステップS540Fに進む。ステップS540Fでは、悪化代の和ΣΔTSが0か否かを判定する。ステップS540Fが否定されるとステップS540Gに進み、ΣΔTSが0となるように空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転し、空調ユニット1Bを要素Taに対し最大出力運転する。ステップS540FでΣΔTSが0と判定されるとステップS540Hに進み、空調ユニット1Bを最大出力運転したまま、ΣΔTS=0の状態を維持するように空調ユニット1Aの要素Tsに対する出力を調節する。
第3の実施の形態に係る温度制御装置の特徴的な動作を説明する。
室温Taおよびシート温度Tsがいずれも快適温度Ta*,Ts*よりも高く、悪化代の和ΣΔTSが1より大きい場合には、コントローラ50は空調ユニット1B,1Cを最大冷房運転モードで運転する(ステップS52)。このとき、空調ユニット1A,1Bを要素Taに対して最大出力運転した方がΣΔTSが効率的に改善される場合には、要素Taについての悪化代ΔTSaが0になるまで空調ユニット1A,1BをTaに対し最大出力運転する。そして、ΔTSa=0となった後は、その状態を維持するように要素Taに対する空調ユニット1A,1Bの出力を調節するとともに、空調ユニット1Aの余剰のエネルギーを要素Tsに対して出力する(ステップS520D〜ステップS520F)。これにより要素Taについての悪化代ΔTSaを早期に改善できるとともに、要素Tsについての悪化代ΔTSsも改善できる。
一方、空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転し、空調ユニット1Bを要素Taに対して最大出力運転した方がΣΔTSが効率的に改善される場合には、要素Taについての悪化代ΔTSaが0になるまで空調ユニット1Bを最大出力運転するとともに、要素Tsについての悪化代ΔTSsが0になるまで空調ユニット1Aを最大出力運転する(ステップS520G〜ステップS520L)。このようにΣΔTS>1の場合に、ΣΔTSを効率的に改善するような空調ユニット1A,1Bの運転を選択することで、乗員の不快感を短時間で低減することができる。
最大冷房運転モードにより快適性がある程度改善されると(ΣΔTS≦1)、省エネ冷房運転モードに移行する(ステップS53)。省エネ冷房運転モードでは、ΔTSaとΔTSsのどちらの方を早く0にできるかを判定し、ΔTSaの方を早く0にできる場合には、空調ユニット1Aを要素Tsに対して最大出力運転し、ΔTSaとΔTSsが同時に0となるように空調ユニット1Bを出力を絞って運転する(ステップS530D〜ステップS530F)。これにより各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを0にするだけでなく、省エネ化も図られ、燃費の向上を実現できる。
省エネ冷房運転モードで、ΔTSsの方を早く0にできる場合には、空調ユニット1Bを最大出力運転し、ΔTSaとΔTSsが同時に0となるように空調ユニット1Aのエネルギーの一部を要素Tsに対して出力し、残りを要素Taに対して出力する。これにより空調ユニット1A,1Bからの出力が効率よく最大限に利用され、各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを短時間で0にすることができる。
第3の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)2つの要素Ta,Tsの温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsに基づき空調ユニット1A,1Bを制御するので、乗員に及ぼす快適性の度合いの異なる2つの要素Ta,Tsを同一の指標により評価して空調制御することができ、最適な空調環境を得ることができる。
(2)各要素の悪化代ΔTSa,ΔTSsを求めるために必要な定数α,β,Ta*,Ts*を予め設定し、室温とシート温度の検出値Ta,Tsを用いて悪化代を算出するので、乗員が温感レベルを手動設定する必要がなく、容易に空調快適性を高めることができる。
(3)空調ユニット1Aにより要素Ta,Tsの悪化代ΔTSa,ΔTSsを改善し、空調ユニット1Bにより要素Taの悪化代ΔTSaを改善するようにしたので、空調ユニット1Aからの出力を要素Ta,Tsに対して分配することができ、効率よく温冷感の悪化を改善することができる。
(4)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0となるように空調制御するので、各部位の温冷感を含めて全身一様な快適性を得ることができる。
(5)省エネ運転モードにおいて、悪化代ΔTSa,ΔTSsが全て0になった後は、各要素につきその状態を維持するのに必要最小限の出力で空調ユニット1A,1Bを制御するので、燃費も向上する。
(6)各要素の温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsを全て0とすることができないときは、悪化代の和ΣΔTSが0となるように空調制御するので(図21)、全身温冷感の悪化を改善することができる。
(7)空調ユニット1A,1Bをそれぞれ要素Taに対して最大出力運転する場合と、空調ユニット1Aを要素Taに対し最大出力運転し、空調ユニット1Bを要素Tsに対し最大出力運転する場合とで、どちらの方が効率的に悪化代ΣΔTSを改善できるかを判定し、より効率的な運転を行うようにしたので(図19)、短時間で悪化代ΣΔTSを改善することができる。
なお、上記実施の形態では、空調ユニット1A〜1Cにより室温Taまたはシート温度Tsを制御するようにしたが、温度制御装置により制御される温度要素はこれに限らない。例えば室温Taまたはシート温度Tsの代わりに放射温度Trを制御してもよく、室温Taとシート温度Tsに加えて放射温度Trを制御するようにしてもい。したがって、内気温センサ31やシート温センサ35以外の温度検出手段を用いてもよい。
空調ユニット1A〜1Cにより温度Ta,Tsを調整するようにしたが、温度調節手段はこれに限らない。例えばシート温度Taを制御する他の例として、ファンでシート内部を換気する,ファンでシート表面から空気を吸い込む,シート内に温調した水を循環させる,シート内に冷媒を循環させる,シート内にヒータを内蔵して加熱する等,種々のものが考えられる。また部材の放射温度Trを制御する例として、空調ユニットからの吹出風を部材にあてて部材を冷却/加熱する,部材内をファンで換気する,部材にファンで風をあてる,部材の中に温調した水を循環させる,部材の中に冷媒を循環させる,ヒータにより部材を加熱する,ペルチェ素子により熱交換を行う,ヒートパイプで熱交換を行う等、種々のものが考えられる。
予め行った申告実験により温感レベルの特性(図4,5)を定め、この特性に基づき、各要素Ta,Tsについての最適値Ta*,Ts*からの乖離の程度を温冷感の悪化代ΔTSa,ΔTSsとして設定したが、悪化代設定手段はこれに限らない。温冷感の悪化代が減少するように空調ユニット1A〜1Cを制御するのであれば、温度制御手段としてのコントローラ20,50,60における処理は上述したものに限らない。
すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の車室内温度制御装置に限定されない。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
本発明の第1の実施の形態に係る車室内温度制御装置の概略構成を示す図。 第1の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図。 図2のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。 快適平面を示すグラフ。 予め行った乗員の快適性評価実験の結果を示す図。 最大出力運転時に単位時間当たりに改善可能な悪化代の量を示す図。 中立状態を維持するのに必要な出力を示す図。 図3の選択冷房運転モードの処理の一例を示す図。 図3の配分調節冷房運転モードの処理の一例を示す図。 図3の修正冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第1の実施の形態に係る温度制御装置の動作の一例を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る車室内温度制御装置の概略構成を示す図。 第2の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図。 図2のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。 第2の実施の形態に係る最大冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第2の実施の形態に係る省エネ冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第2の実施の形態に係る修正冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第3の実施の形態に係る温度制御装置の制御構成を示すブロック図。 第3の実施の形態に係る最大冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第3の実施の形態に係る省エネ冷房運転モードの処理の一例を示す図。 第3の実施の形態に係る修正冷房運転モードの処理の一例を示す図。
符号の説明
1A〜1C 空調ユニット
20,50,60 コントローラ
31 内気温センサ
35 シート温センサ
Ta 室温
Ts シート温度
Tr 放射温度
ΔTSa,ΔTSs,ΔTSr 温冷感の悪化代
ΣΔTS 悪化代の和(全身温冷感)

Claims (8)

  1. 乗員の空調快適性に悪影響を及ぼす複数の異なる要素の温度を検出する温度検出手段と、
    前記検出された異なる要素の温度をそれぞれ調節する温度調節手段と、
    予め定められた前記複数の温度を変数としたときに乗員が感じる温感レベルの特性に基づき、前記温度検出手段により検出された各温度に対応した温感レベルの最適値からの乖離の程度(以下、温冷感の悪化代と呼ぶ)をそれぞれ設定する悪化代設定手段と、
    前記悪化代設定手段により設定された温冷感の悪化代が減少するように前記温度調節手段を制御する温度制御手段とを備えることを特徴とする車室内温度制御装置。
  2. 乗員の空調快適性に悪影響を及ぼす複数の異なる要素の温度を検出する温度検出手段と、
    前記検出された異なる要素の温度をそれぞれ調節する温度調節手段と、
    予め定められた前記複数の温度を変数としたときに乗員が感じる温感レベルの特性に基づき、前記温度検出手段により検出された各温度に対応した温感レベルの最適値からの乖離の程度(以下、温冷感の悪化代と呼ぶ)をそれぞれ設定する悪化代設定手段と、
    前記悪化代設定手段により設定された温冷感の悪化代に基づき、前記温度調節手段を制御する温度制御手段とを備えることを特徴とする車室内温度制御装置。
  3. 請求項2に記載の車室内温度制御装置において、
    前記温度調節手段は、車室内の空気温度,シートの表面温度,車室内に面した部材の表面温度のうち、少なくとも2つの温度を調節する単一の温度調整装置であることを特徴とする車室内温度制御装置。
  4. 請求項2に記載の車室内温度制御装置において、
    前記温度調節手段は、車室内の空気温度,シートの表面温度,車室内に面した部材の表面温度のうち、少なくとも2つの温度をそれぞれ独立に調節する複数の温度調整装置であることを特徴とする車室内温度制御装置。
  5. 請求項2に記載の車室内温度制御装置において、
    前記温度調節手段は、車室内の空気温度,シートの表面温度,車室内に面した部材の表面温度のうち、少なくとも2つの温度を調節可能な第1の温度調整装置と、この調節可能な温度のうちの1つを調節する第2の温度調整装置であることを特徴とする車室内温度制御装置。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の車室内温度制御装置において、
    前記最適値は、全身および身体の複数の部位が同時に最適となるような温度に設定されることを特徴とする車室内温度制御装置。
  7. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の車室内温度制御装置において、
    前記温冷感の悪化代は、快適状態を0とし、快適状態より暑いほどプラス側に大きく、快適状態より寒いほどマイナス側に大きく設定され、
    前記温度制御手段は、各要素毎に設定された温冷感の悪化代がそれぞれ0となるように前記温度調節手段を制御することを特徴とする車室内温度制御装置。
  8. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の車室内温度制御装置において、
    前記温冷感の悪化代は、快適状態を0とし、快適状態より暑いほどプラス側に大きく、快適状態より寒いほどマイナス側に大きく設定され、
    前記温度制御手段は、各要素毎に設定された温冷感の悪化代を全て0にできるか否かを判定し、全て0にできると判定されると各要素毎の温冷感の悪化代がそれぞれ0となるように前記温度調節手段を制御し、全てを0にはできないと判定されると各要素毎の温冷感の悪化代の合計値が0となるように前記温度調節手段を制御することを特徴とする車室内温度制御装置。
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