本開示に係る半導体ワーク搬送装置の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本開示に係る半導体ワーク搬送装置の一実施例の平面図である。
本実施例の半導体ワーク搬送装置100は、ワーク格納容器300と処理装置400との間で半導体ワーク200を搬送するワーク搬送ロボット110と、半導体ワーク200の基板向きの予備的調整を行うプリアライメントユニット120と、搬送装置各部を制御するコントローラユニット130とを備えている。
半導体ワーク搬送装置100には、ワーク格納容器300と処理装置400との間で半導体ワーク200がワーク搬送ロボット110によって搬送されるワーク搬送空間101が必要とされる。ワーク搬送空間101は、半導体ワーク搬送装置100や処理装置400が設置された室内において仕切り壁102で画成され、空間外部の雰囲気、すなわち半導体ワーク搬送装置100等が設置された室内雰囲気と区別された局所空間になっている。ワーク搬送ロボット110及びプリアライメントユニット120は、このワーク搬送空間101に設けられる。ワーク搬送空間101の仕切り壁102は、半導体ワーク搬送装置100の装置筐体に相当する。
これら仕切り壁102のうちの一対の仕切り壁102の一方には、装置側ワーク搬送口104が形成されている。ワーク搬送空間101は、この装置側ワーク搬送口104を介して、処理装置400の処理装置搬送ポイント410と連通される。処理装置400の処理装置搬送ポイント410としては、例えば、処理装置400に備えられているロードロック機構のワーク交換用チャンバー等が該当する。
これに対し、一対の仕切り壁102の他方には、容器側ワーク搬送口103が形成されている。ワーク搬送空間101は、この容器側ワーク搬送口103を介して、空間外部に配置されたワーク格納容器300と連通される。図示の例では、容器側ワーク搬送口103は、ワーク搬送ロボット110のワーク搬送空間101での移動方向(矢印±y方向)に沿って、3つの容器側ワーク搬送口103が設けられている。そして、3つの容器側ワーク搬送口103それぞれに対応させて、3つのワーク格納容器300が配置できるようになっている。
また、図示の例では、各容器側ワーク搬送口103には、それぞれ格納容器開閉装置140が設けられている。各格納容器開閉装置140は、配置されたワーク格納容器300の容器開閉動作を行う機構の他に、ワーク格納容器300内を不活性ガスで充満させる機構(図示省略)を備えている。
なお、半導体ワーク搬送装置100は、上記説明した構成以外にも、一時的に半導体ワーク200を保持するバッファ位置を備える場合や、その他用途に合わせたユニットを備える場合もある。
図2は、図1に示した半導体ワーク搬送装置における搬送ロボットの概略構成図である。図2Aは、搬送ロボットの平面図であり、図2Bは、搬送ロボットの正面図である。
図2において、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送空間101を画成する装置筐体内に設けられ、ワーク搬送用可動アーム150と、ガス放出用可動アーム160と、ガス放出機構180とを備え、さらに旋回機構部、昇降機構部、走行機構部(いずれも図示省略)を有する。
旋回機構部は、ワーク搬送用可動アーム150の基端側及びガス放出用可動アーム160の基端側がそれぞれ回動可能に連結されたアーム取付ベース部171を、装置基台172に対して回動させ、ワーク搬送用可動アーム150及びガス放出用可動アーム160を、アーム取付ベース部171ごと一体的に水平方向(図1,図2中、矢印±θ方向)に旋回させる。
昇降機構部は、ワーク搬送用可動アーム150の基端側及びガス放出用可動アーム160の基端側がそれぞれ回動可能に連結されたアーム取付ベース部171を、装置基台172に対して昇降させ、ワーク搬送用可動アーム150及びガス放出用可動アーム160を、アーム取付ベース部171ごと一体的に垂直方向(すなわち、図1,図2中、±z方向)に昇降させる。
走行機構部は、装置基台172を含めたワーク搬送ロボット110全体を、容器側ワーク搬送口の並設方向(図1,図2中、矢印±y方向)に沿って、ワーク搬送空間101内を移動させる。
プリアライメントユニット120は、本実施例では、図1に示すように、ワーク搬送空間101内の、容器側ワーク搬送口103の並び方向(図1中、矢印y方向)に沿った一側に配置されている。
プリアライメントユニット120は、ワーク搭載面を備えた回動可能なアライメント機構121と、アライメント機構121のワーク搭載面122に搭載された半導体ワーク200の基板向きを検出するセンサ123とを有し、ワーク格納容器300から搬出された半導体ワーク200を処理装置400に搬入するに当たり、事前に、搬入される半導体ワーク200の基板向きの位置合わせ、すなわち基板向きの予備的調整を行う。
アライメント機構121のワーク搭載面122には、搭載された半導体ワーク200の裏面を把持するための真空吸着孔(図示省略)が設けられている。真空吸着孔は、図示せぬ吸引路を介して、図示せぬ真空吸引源に連通接続されている。そして、吸引路には、吸引路を連通/遮断する制御弁が設けられ、任意のタイミングで開閉することで、真空吸着口からの吸引/吸引停止を制御できる。
センサ123は、半導体ワーク200の基板向きを合わせるため、ワーク周縁部に予め形成されているVノッチやオリフラと称するワーク切り欠きを、アライメント機構121によりワーク搭載面122に搭載された半導体ワーク200を回動させながら検出する。
プリアライメントユニット120は、センサ123によるワーク切り欠き検出時のワーク搭載面122の回動位置を基に、ワーク搭載面122に搭載されたときの半導体ワーク200の基板向きが、処理装置400での処理時における半導体ワーク200の基板向きと合っていない場合に、プリアライメントユニット120からのワーク取り出し時における、ワーク搭載面122に搭載されている半導体ワーク200の基板向きを、処理装置400での処理時の基板向きに対応させて合わせる。
次に、ワーク搬送ロボット110のワーク搬送用可動アーム150、ガス放出用可動アーム160の中、ワーク搬送用可動アーム150の構成及び作用について、図3~図5を参照しながら説明する。
図3は、搬送ロボットのワーク搬送用可動アームの構成説明図である。なお、図3では、ワーク搬送用可動アームの理解容易のため、ガス放出用可動アームについては、図示省略してある。図3Aは、後退状態のワーク搬送用可動アームの平面図を示し、図3Bは、進行状態(前進状態)のワーク搬送用可動アームの平面図を示す。
図3に示すように、ワーク搬送用可動アーム150は、ハンド151とハンドリングアーム155とを連結して構成されている。
ハンド151は、先端側にワーク下方側に進入可能なU字状の搭載部152を有する。ハンド151は、このU字状の搭載部152を含む平坦状のワーク搭載面が半導体ワーク200の被処理側とは反対側の基板面に当接させられ、半導体ワーク200を把持する。ハンド151の、U字状の搭載部152を含むワーク搭載面には、半導体ワーク200の被処理側とは反対側の基板面を把持するための真空吸着孔(図示省略)が設けられている。真空吸着孔は、図示せぬ吸引路を介して、図示せぬ真空吸引源に連通接続されている。また、吸引路には、吸引路を連通/遮断する制御弁が設けられ、任意のタイミングで開閉することで真空吸着孔からの吸引/吸引停止を制御でき、ワークの把持/解放を制御できる。
ハンドリングアーム155は、基端側がアーム取付ベース部171に回動可能に連結されている。ハンドリングアーム155は、屈曲・伸張自在な関節構造を有し、アーム先端側に連結されたハンド151を、その間接構造の屈曲・伸張に応じて、水平方向(図3A、3B中、矢印±r方向)に沿って直線的に進退移動させる構造になっている。さらに、ハンド151は、ハンドリングアーム155の関節構造の屈曲・伸張具合にかかわらず、搭載部152の向きを常にハンド151の進行方向(図3A,3B中、矢印+r方向)に保つ方向維持機構156を介して、ハンドリングアーム155の先端側アームと接続されている。
したがって、水平面に沿って直線的に進退移動するハンド151の向き(図3A、3B中、矢印r方向)は、旋回機構によって、ハンドリングアーム155の基端側が連結されたアーム取付ベース部171を装置基台172に対して回動させ、ワーク搬送ロボット110全体を水平方向に回動(図3A、3B中、矢印±θ方向)し、その回動量に応じて調整する。これにより、ハンド151を、図1において、ワーク搬送空間101内でハンド151が容器側ワーク搬送口103を介してワーク格納容器300と対向する向き(図1Aにおける+x方向)、ワーク搬送空間101内でハンド151が装置側ワーク搬送口を介して処理装置400の処理装置搬送ポイント410と対向する向き(図1Aにおける-x方向(+x方向の反対向き))、ワーク搬送空間101内でプリアライメントユニット120と対向する向き(図1Aにおける+y方向)に規定できる。
また、水平面に沿って直線的に進退移動するハンド151の高さ位置(z方向に沿った位置)は、昇降機構によって、ハンドリングアーム155の基端側が連結されたアーム取付ベース部171を装置基台172に対して昇降させて所定高さ位置に規定できる。
また、装置基台172を含めたワーク搬送ロボット110全体は、走行機構によって、その水平方向移動位置(x方向,y方向に沿った移動位置)を、各容器側ワーク搬送口103、処理装置400の処理装置搬送ポイント410、プリアライメントユニット120の中のいずれかの配置位置に規定できる。
次に、ワーク搬送用可動アーム150による半導体ワーク200の搬入/搬出動作について、プリアライメントユニット120に対する搬入/搬出を例に、図面に基づいて説明する。
図4は、ワーク搬送用可動アームによる半導体ワークの搬入時の動作説明図である。図4Aは、半導体ワークの搬入時における搬送ロボットの正面図であり、図4Bは、半導体ワークの搬入時における搬送ロボットの平面図である。
図4に示すように、半導体ワーク200をプリアライメントユニット120に搬入する場合、ワーク搬送用可動アーム150は、半導体ワーク200を把持しているハンド151の向き(r方向)とプリアライメントユニット120に対する半導体ワーク200の搬入向きとを一致させ、ハンド151の高さ位置をプリアライメントユニット120のアライメント機構121のワーク搭載面122の高さ位置よりも上方に保持した状態で、ハンドリングアーム155を前方側へ伸長し、ハンド151及び半導体ワーク200をアライメント機構121のワーク搭載面122の上方へ進行(前進)させる。そして、半導体ワーク200の中心とアライメント機構121のワーク搭載面122の中心とが同軸になるように、ハンド151をアライメント機構121に対して配置する(図4A,4Bそれぞれの(a)参照)。
この状態で、ワーク搬送ロボット110は、昇降機構によって装置基台172に対してアーム取付ベース部171を下降させ、ハンド151のU字状の搭載部152の高さ位置をアライメント機構121のワーク搭載面122よりも下方に位置させるようにして、ハンド151の搭載面を半導体ワーク200の下面から離間させ、アライメント機構121のワーク搭載面122に半導体ワーク200を載置する。そして、このアーム取付ベース部171の下降状態で、ワーク搬送用可動アーム150は、ハンドリングアーム155を後方側へ伸長し、ハンド151及びハンドリングアーム155を後退させてプリアライメントユニット120から退出させる(図4A,4Bそれぞれの(b)参照)。
図5は、ワーク搬送用可動アームによる半導体ワークの搬出時の動作説明図である。図5Aは、半導体ワークの搬出時における搬送ロボットの正面図であり、図5Bは、半導体ワークの搬出時における搬送ロボットの平面図である。
図5に示すように、半導体ワーク200をプリアライメントユニット120から搬出する場合、ワーク搬送用可動アーム150の動作手順は、上述した搬入の場合と逆になる。すなわち、ワーク搬送用可動アーム150は、半導体ワーク200を把持しているハンド151の向き(r方向)とプリアライメントユニット120に対する半導体ワーク200の搬出向きとを一致させ、ハンド151の高さ位置をプリアライメントユニット120のアライメント機構121のワーク搭載面122の高さ位置よりも下方に保持した状態で、ハンドリングアーム155を前方側へ伸長し、ハンド151をアライメント機構121のワーク搭載面122の下方へ進行させ、半導体ワーク200の中心すなわちアライメント機構121のワーク搭載面122の中心がハンド151の搭載面の所定位値になるように、ハンド151をアライメント機構121に対して配置する(図5A,5Bそれぞれの(a)参照)。
この状態で、ワーク搬送ロボット110は、昇降機構によって装置基台172に対してアーム取付ベース部171を上昇させ、ハンド151のU字状の搭載部152の高さ位置をアライメント機構121のワーク搭載面122の高さ位置よりも上方に位置させるようにして、半導体ワーク200の下面をアライメント機構121のワーク搭載面122から離間させ、ハンド151で半導体ワーク200を把持する。そして、このアーム取付ベース部171の上昇状態で、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送用可動アーム150のハンドリングアーム155を後方側へ伸長し、半導体ワーク200を把持したハンド151及び半導体ワーク200を後退させてプリアライメントユニット120から退出させる(図5A,5Bそれぞれの(b)参照)。
なお、これらワーク搬送ロボット110による半導体ワーク200の搬入/搬出時において、ハンド151のワーク搭載面に設けられた真空吸着孔による半導体ワーク200の吸引、及びプリアライメントユニット120のアライメント機構121のワーク搭載面に設けられた真空吸着孔による半導体ワーク200の吸引は、上記搬入/搬出動作において支障をきたさない適宜タイミングで、それぞれの吸引/停止が制御される。
次に、ワーク搬送ロボット110のワーク搬送用可動アーム150、ガス放出用可動アーム160の中、ガス放出用可動アーム160の構成及び作用について、図6~図8を参照しながら説明する。
図6は、搬送ロボットのガス放出用可動アームの構成説明図である。なお、図6では、ガス放出用可動アームの理解容易のため、ワーク搬送用可動アームについては、図示省略してある。図6Aは、後退状態のガス放出用可動アームの平面図を示し、図6Bは、前進状態のガス放出用可動アームの平面図を示す。
図6に示すように、ガス放出用可動アーム160は、ガス放出ノズル161とノズル移動アーム165とを連結して構成されている。
ガス放出ノズル161は、盤状噴出部162と、この盤状噴出部162から突出して延びる接続部163とが一体的に形成された構成になっている。盤状噴出部162の盤面は、半導体ワーク200の基板面と略等しく、又は基板面よりも大きく構成され、半導体ワーク200と重ねた場合に半導体ワーク200の基板面を覆い隠せるようになっているとともに、容器側ワーク搬送口103、装置側ワーク搬送口104といった搬送口を通過できるようになっている。これに伴い、図示の例では、盤状噴出部162は、直径が半導体ワーク200の直径以上の大きさの円盤状になっている。また、接続部163は、盤状噴出部162の径方向に突出した構成になっている。なお、盤状噴出部162の盤形状は、半導体ワーク200の基板面を覆い隠せるものであれば円形に限られるものではなく、円形以外の盤形状(例えば、正方形、ANDゲート記号形状、等)を採用することも可能である。そして、ガス放出ノズル161は、盤状噴出部162の一方側の盤面に、一乃至複数のガス噴出孔164が形成されている。
図7は、ガス放出ノズルの、ガス噴出孔が形成された盤状ノズル部の一実施例である。
図示の例では、複数(多数)のガス噴出孔164が盤状噴出部162の盤面全域にわたって配置され、ガス放出ノズル161は、盤状噴出部162の盤面全域からガスを噴出できるようになっている。これにより、盤状噴出部162のガス噴出孔164が形成されている盤面を、半導体ワーク200の被処理側の基板面に対して対向配置すれば、盤状噴出部162の盤面全域から半導体ワーク200の被処理側の基板面全域に向けてガスを噴出することができる。
なお、盤状噴出部162の盤面におけるガス噴出孔164の配置については、対向配置された半導体ワーク200の被処理側の基板面全域を噴出したガスで覆うことができる配置であれば、図示の例ような全域配置でなくてもよい。例えば、盤状噴出部162の盤面中央部にガス噴出孔を形成し、盤状噴出部162の盤面と半導体ワーク200の被処理側の基板面との間の空間をガス噴出孔164から噴出して拡散するガスで満たすようにしてもよい。また、ガス噴出孔164からのガス噴出方向についても、半導体ワーク200の被処理側の基板面に垂直な方向に限らず、ガス噴出孔164から噴出したガスが、盤状噴出部162の盤面と半導体ワーク200の被処理側の基板面との間の空間を満たしやすいガス噴出方向であればよい。さらには、半導体ワーク200の被処理側の基板面を覆っているガスが、半導体ワーク200の搬送中も、ワーク搬送空間101内の雰囲気(盤状噴出部162の盤面と半導体ワーク200の被処理側の基板面との間の空間外の雰囲気)と入れ替わりにくい向きであればよい。
ガス放出ノズル161の接続部163の内部には、盤状噴出部162のガス噴出孔164それぞれと連通するガス供給通路(図示省略)が設けられている。ガス供給通路は、接続部163において、一端側が不活性ガスの供給源に接続されたガス供給路168の他端と連通接続されている。ガス供給路168には、ガス放出ノズル161からの不活性ガスの放出を制御するための制御弁169が設けられている。制御弁169は、コントローラユニット130からの制御信号に基づいてガス放出ノズル161に対する不活性ガスの供給を制御し、ガス放出ノズル161からの不活性ガスの放出を制御する。ガス放出ノズル161に不活性ガスを供給するガス供給路168、制御弁169は、ガス放出ノズル161とともにガス放出機構180を構成する。
ノズル移動アーム165は、本実施例では、基端側がワーク搬送用可動アーム150のハンドリングアーム155と一緒のアーム取付ベース部171に回動可能に連結されている。ノズル移動アーム165は、屈曲・伸張自在な関節構造を有し、アーム先端側に連結されたガス放出ノズル161を、その関節構造の屈曲・伸張に応じて、水平方向(図6A、6B中、矢印±r方向)に沿って直線的に進退移動できる構造になっている。さらに、ガス放出ノズル161は、ノズル移動アーム165の関節構造の屈曲・伸張具合にかかわらず、その向きを常にガス放出ノズル161の進退方向(図6A、6B中、矢印+r方向)に保つ方向維持機構166を介して、ノズル移動アーム165の先端側アームと接続されている。
そして、ガス放出用可動アーム160では、ノズル移動アーム165の関節構造の屈曲・伸張に応じてガス放出ノズル161が直線的に進退移動する水平面の高さ位置(図6A、6B中の、z軸方向の位置)が、ワーク搬送用可動アーム150におけるハンドリングアーム155の関節構造の屈曲・伸張に応じてハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置(図3A、3B中の、z軸方向の位置)よりも高くなるように、ノズル移動アーム165は構成されている。例えば、ガス噴出孔164が形成されたガス放出ノズル161の一方側の盤面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置は、ワーク搬送用可動アーム150において半導体ワーク200の搭載面となるハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置よりも、図2Bに示すように、少なくとも半導体ワーク200の厚さ(基板厚さ)分よりも大きい、所定量h分だけ高くなるように構成されている。
また、ガス放出用可動アーム160は、そのノズル移動アーム165を、ワーク搬送用可動アーム150のハンドリングアーム155と一緒のアーム取付ベース部171に回動可能に連結されている。このノズル移動アーム165のアーム取付ベース部171に対する連結では、ノズル移動アーム165の屈曲・伸張によって直線的に進退移動するガス放出ノズル161の進退方向(図6A、6B中、矢印±r方向)が、図3に示したワーク搬送用可動アーム150におけるハンドリングアーム155の屈曲・伸張によって直線的に進退移動するハンド151の進退方向(図3A、3B中、矢印±r方向)と一致するようにアーム取付ベース部171に連結されている。
これにより、図2Aに示すように、水平面に沿って直線的に進退移動するガス放出ノズル161の向き(図6A、6B中、矢印r方向)は、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151と同じ、旋回機構による装置基台172に対するアーム取付ベース部171の回動量で調整されるので、ワーク搬送空間101内においてワーク搬送用可動アーム150のハンド151の向きが変わっても、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161の向きはハンド151の向きに追従し、常に、ハンド151の向きとガス放出ノズル161の向き、及び、ハンドリングアーム155によるハンド151の直線的な進退移動方向とノズル移動アーム165によるガス放出ノズル161の直線的な進退移動方向とを常に一致させることができる。
さらに、図2Bに示すように、ガス放出ノズル161の一方側の盤面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置は、ワーク搬送用可動アーム150において半導体ワーク200の搭載面となるハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置よりも所定量h分だけ高くなっているので、ハンドリングアーム155によるハンド151の進退移動位置とノズル移動アーム165によるガス放出ノズル161の進退移動位置との関係に応じて、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面の一部及び全部を、ガス放出用可動アーム160の盤状噴出部162で覆い隠したり、露出させたりすることができる。
具体的に、ワーク搬送用可動アーム150のハンドリングアーム155を進退方向の後方側又は前方側へ伸長状態にする一方、ガス放出用可動アーム160のノズル移動アーム165を同じく進退方向の後方側又は前方側へ伸長状態することによって、ハンドリングアーム155及びノズル移動アーム165の進退方向の後方側位置又は前方側位置で、半導体ワーク200が搭載されるハンド151をガス放出ノズル161の盤状噴出部162で覆い隠すことができる。また、ワーク搬送用可動アーム150のハンドリングアーム155を進退方向の後方側又は前方側へ伸長状態にする一方、ガス放出用可動アーム160のノズル移動アーム165を逆に進退方向の前方側又は後方側へ伸長状態することによって、ハンドリングアーム155の進退方向の後方側位置又は前方側位置で、半導体ワーク200が搭載されるハンド151をガス放出ノズル161の盤状噴出部162から露出させることができ、対応的に、ガス放出ノズル161の盤状噴出部162は、ガス放出用可動アーム160の進退方向の前方側位置又は後方側位置でハンド151との対向状態が解放される。
加えて、本実施例の場合は、ワーク搬送用可動アーム150におけるハンド151のワーク搭載面とガス放出用可動アーム160における盤状噴出部162のガス噴出孔164が形成された盤面との距離を常にhで一定に保持することができるので、ガス放出用可動アーム160は、ワーク搬送用可動アーム150によるハンド151の移動軌道に対してこの所定距離hだけ離間した並行軌道上で、ガス放出ノズル161をハンド151に追従させるように移動させることもできる。
本実施例の半導体ワーク搬送装置100において、ワーク格納容器300と処理装置400との間での半導体ワーク200の搬送、及びガス放出機構180による不活性ガスの噴出/停止は、コントローラユニット130によって、例えば、図8に示す手順で実施される。
図8は、本実施例の半導体ワーク搬送装置による半導体ワークの搬送処理を示したフローチャートである。
まず、ワーク格納容器300が格納容器開閉装置140に載置されると、格納容器開閉装置140は、ワーク格納容器300内を不活性ガスで充満させ、ワーク格納容器300の開口を行い、ワーク搬送ロボット110が半導体ワーク200を取り出せるようにする。
そして、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送用可動アーム150がハンド151をワーク格納容器300内に進行させて半導体ワーク200をハンド151に搭載し、それから、半導体ワーク200を搭載ハンド151を後退させて、ワーク格納容器300内から半導体ワーク200をワーク搬送空間101に取り出す(ステップS020)。
その際、ワーク搬送ロボット110は、ガス放出用可動アーム160が、ワーク格納容器300内から半導体ワーク200を取り出したワーク搬送用可動アーム150のハンド151の後退位置にガス放出ノズル161を予め移動配置し、ワーク格納容器300内から取り出された半導体ワーク200と重なるようになっている。
その上で、ワーク搬送用可動アーム150がハンド151をワーク格納容器300内に進行開始すると、その進行開始のタイミング、或いは、半導体ワーク200がハンド151に搭載されてワーク搬送空間101に現れるまでの間の適宜タイミングで、コントローラユニット130は、制御弁169を開弁して、ガス放出ノズル161の盤状噴出部162に形成したガス噴出孔164からの不活性ガスの噴出を開始させる(ステップS010)。
これにより、ワーク格納容器300内から取り出された半導体ワーク200が位置することになる、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161直下の雰囲気は、不活性ガスで満たされた雰囲気に置き換えられる。そして、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載されて取り出された半導体ワーク200がワーク搬送空間101に現れると、半導体ワーク200の被処理側の基板面は、その全域に亘ってガス放出ノズル161の盤面全域からの不活性ガスの噴出を受けることになる。この結果、半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161下面との間の空間は、ガス噴出孔164から噴出された不活性ガスで充満されることになり、低湿度環境が保持される。
それから、ワーク搬送ロボット110は、半導体ワーク200をハンド151に搭載して把持した状態で、プリアライメントユニット120へ搬送する(ステップS030)。その搬送中も、ワーク搬送ロボット110では、ガス放出用可動アーム160が、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠し、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面へ不活性ガスを噴出させながら、ワーク搬送用可動アーム150に追従する。これにより、ワーク搬送用可動アーム150による半導体ワーク200の搬送中も、半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161下面との間の空間は、ガス噴出孔164から噴出された不活性ガスで充満されていることになる。この結果、ワーク搬送空間101全体を不活性ガスで充満させることなく、半導体ワーク200の被処理側の基板面の大気暴露を防いで低湿度環境にすることができ、酸化や水分付着を抑止できる。
その後、ワーク搬送ロボット110は、プリアライメントユニット120のアライメント機構121の搭載面122に半導体ワーク200を搭載して収納する。搭載後、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151をプリアライメントユニット120の半導体ワーク200が搭載されたアライメント機構121の搭載面122から退避させる。この状態で、プリアライメントユニット120では、半導体ワーク200の位置合わせが実施される(ステップS040)。
図9は、プリアライメントユニットに対する半導体ワークの搬入時における、ガス放出用可動アームの動作説明図である。図9Aは、半導体ワークの搬入時における搬送ロボットの正面図であり、図9Bは、半導体ワークの搬入時における搬送ロボットの平面図である。
図9に示すように、半導体ワーク200をプリアライメントユニット120に搬入する際、ワーク搬送用可動アーム150は、半導体ワーク200を把持しているハンド151の向き(r方向)とプリアライメントユニット120に対する半導体ワーク200の搬入向きとを一致させ、ハンド151の高さ位置をプリアライメントユニット120のアライメント機構121のワーク搭載面122の高さ位置よりも上方に保持した状態で、ハンドリングアーム155を前進し、ハンド151及び半導体ワーク200をアライメント機構121のワーク搭載面122の上方へ進行させる。そして、半導体ワーク200の中心とアライメント機構121のワーク搭載面122の中心とが同軸になるように、ハンド151をアライメント機構121に対して配置する(図9A,9Bそれぞれの(a)参照)。
ここで、ワーク搬送用可動アーム150が半導体ワーク200を把持しているハンド151の向き(r方向)とプリアライメントユニット120に対する半導体ワーク200の搬入向きとを一致させると、それまで、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠し、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面へ不活性ガスを噴出させているガス放出用可動アーム160も、ガス放出ノズル161の直線的な進退移動方向が半導体ワーク200の搬入向きと一致することになる。
そのため、ワーク搬送用可動アーム150が、ハンドリングアーム155を前進し、ハンド151及び半導体ワーク200をアライメント機構121のワーク搭載面122の上方へ進行させると、ガス放出用可動アーム160も、ワーク搬送用可動アーム150に同期して、半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠した状態のまま、ガス放出ノズル161がアライメント機構121のワーク搭載面122の上方へ進行する(図9A,9Bそれぞれの(a)参照)。
したがって、ガス放出用可動アーム160は、プリアライメントユニット120に対する半導体ワーク200の搬入時も、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠し、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面へ不活性ガスが噴出されているので、半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161下面との間の空間は、不活性ガスで充満している。
それから、ワーク搬送ロボット110では、昇降機構によって装置基台172に対してアーム取付ベース部171を下降させ、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151のU字状の搭載部152の高さ位置をアライメント機構121のワーク搭載面122よりも下方に位置させるようにして、半導体ワーク200をアライメント機構121のワーク搭載面122に載置する。その際、昇降機構によって装置基台172に対してアーム取付ベース部171を下降させられると、ガス放出用可動アーム160の、ガス噴出孔164が形成されたガス放出ノズル161の一方側の盤面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置も、低下することになる。
ところが、ガス噴出孔164が形成されたガス放出ノズル161の一方側の盤面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置は、ワーク搬送用可動アーム150において半導体ワーク200の搭載面となるハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置よりも、図2Bに示すように、少なくとも半導体ワーク200の厚さ(基板厚さ)よりも大きい、所定量h分だけ高くなるように構成されている。そのため、半導体ワーク200がアライメント機構121のワーク搭載面122に載置され、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151が、半導体ワーク200の基板面が離間するような高さ位置状態になっても、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161は、ガス噴出孔164が形成された盤面が半導体ワーク200に当接することなく離間したままの状態を維持できるようになっている。その結果、半導体ワーク200がアライメント機構121のワーク搭載面122に載置された後も、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面への不活性ガスの噴出が継続可能になっている。
そして、ワーク搬送ロボット110は、ガス放出ノズル161をアライメント機構121のワーク搭載面122に載置され半導体ワーク200の被処理側の基板面を覆い隠すように保持したまま、のハンドリングアーム155だけがハンド151を後退させ、アライメント機構121のワーク搭載面122の下方から退避して待機させる(図9A,9Bそれぞれの(b)参照)。すなわち、この場合は、ガス放出用可動アーム160は、ワーク搬送用可動アーム150と独立に作動し、ガス放出ノズル161をワーク搬送用可動アーム150のハンド151に追従させないで、ガス放出ノズル161をアライメント機構121のワーク搭載面122に載置された半導体ワーク200と相対向する状態に保持している。
したがって、半導体ワーク200の位置合わせがプリアライメントユニット120によって実施されている間も、半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161下面との間の空間は、ガス噴出孔164から噴出された不活性ガスで充満されていることになる。この結果、プリアライメントユニット120内全体を不活性ガスで充満させることなく、半導体ワーク200の被処理側の基板面の大気暴露を防いで低湿度環境にすることができ、酸化や水分付着を抑止できる。
図8に戻り、このようにして、プリアライメントユニット120で、半導体ワーク200の位置合わせが実施されると(ステップS040)、ワーク搬送ロボット110により半導体ワーク200がプリアライメントユニット120から取り出される(ステップS050)。この取り出しは、プリアライメントユニット120での位置合わせ中、図9A,9Bそれぞれの(b)に示すように、まず、ハンド151がアライメント機構121のワーク搭載面122の下方から退避して待機しているワーク搬送用可動アーム150が、ハンド151を前進させて、ハンド151をアライメント機構121のワーク搭載面122の下方に復帰させる。それから、昇降機構によって装置基台172に対してアーム取付ベース部171を上昇させて、半導体ワーク200をアライメント機構121のワーク搭載面122からワーク搬送用可動アーム150のハンド151の搭載面に移載する。その後、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151及びガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161を同期をとりながら後退させて行われる。
そして、半導体ワーク200をプリアライメントユニット120から取り出し後は、半導体ワーク200をハンド151に把持した状態で、処理装置400へ搬送する(ステップS060)。その搬送中も、ワーク搬送ロボット110では、ガス放出用可動アーム160が、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠し、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面へ不活性ガスを噴出させながら、ワーク搬送用可動アーム150に追従する。これにより、処理装置400への半導体ワーク200の搬送中も、半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161下面との間の空間は、ガス噴出孔164から噴出された不活性ガスで充満されていることになる。この結果、ワーク搬送空間101全体を不活性ガスで充満させることなく、半導体ワーク200の被処理側の基板面の大気暴露を防いで低湿度環境にすることができ、酸化や水分付着を抑止できる。
その後、ワーク搬送ロボット110は、処理装置400の処理装置搬送ポイント410に半導体ワーク200を搭載して収納する。例えば、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送用可動アーム150が、プリアライメントが実施された半導体ワーク200が搭載されているハンド151を処理装置400内の処理装置搬送ポイント410まで進行させて、処理装置搬送ポイント410に搭載する。それから、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送用可動アーム150が、ハンド151を後退させて、処理装置400内からハンド151を退出させる。その間、本実施例では、ガス放出用可動アーム160は、ガス放出ノズル161を、プリアライメントユニット120から半導体ワーク200を取り出し後の後退移動位置に保持している。
その上で、ワーク搬送用可動アーム150が、半導体ワーク200が搭載されているハンド151をワーク格納容器300内に進行開始すると、半導体ワーク200が処理装置400内に収容されたタイミング、或いは、半導体ワーク200の処理装置搬送ポイント410への移載後、半導体ワーク200が搭載されていないハンド151がワーク搬送空間101に現れたタイミングで(ステップS070)、コントローラユニット130は、制御弁169を閉弁して、ガス放出ノズル161の盤状噴出部162に形成したガス噴出孔164からの不活性ガスの噴出を停止させる(ステップS080)。
一方、上述したワーク格納容器300から処理装置400への未処理の半導体ワーク200の搬送に対し、処理装置400からワーク格納容器300への処理済の半導体ワーク200の搬送も、同様にして、半導体ワーク200の被処理側の基板面を低湿度環境に維持しながら、例えばステップS090~S130に示すように行われる。
すなわち、処理装置400から処理済の半導体ワーク200を取り出すに当たっても、ワーク格納容器300から半導体ワーク200を取り出す場合と同様に、まず、処理装置400から、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載されて取り出された半導体ワーク200がワーク搬送空間101に現れる前に(ステップS100)、コントローラユニット130は、制御弁169を開弁して、ガス放出ノズル161の盤状噴出部162に形成したガス噴出孔164からの不活性ガスの噴出を開始させる(ステップS090)。
そして、ワーク搬送ロボット110は、処理装置400から取り出した半導体ワーク200をハンド151に搭載して把持した状態で、ワーク格納容器300へ搬送する(ステップS110)。その搬送中も、ワーク搬送ロボット110では、ガス放出用可動アーム160が、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200の被処理側の基板面をガス放出ノズル161で覆い隠し、ガス噴出孔164から半導体ワーク200の被処理側の基板面へ不活性ガスを噴出させながら、ワーク搬送用可動アーム150に追従する。この結果、ワーク搬送空間101全体を不活性ガスで充満させることなく、半導体ワーク200の被処理側の基板面の大気暴露を防いで低湿度環境にすることができ、酸化や水分付着を抑止できる。
その後、ワーク搬送ロボット110は、処理装置400内の処理装置搬送ポイント410に半導体ワーク200を搭載する場合と同様にして、ワーク格納容器300に処理済みの半導体ワーク200を搭載して収納し、コントローラユニット130は、制御弁169を閉弁して、ガス放出ノズル161の盤状噴出部162に形成したガス噴出孔164からの不活性ガスの噴出を停止させる(ステップS120,S130)。
以上の動作により、本実施例の半導体ワーク搬送装置100では、不活性ガスの使用量を抑制した局所的な低湿度環境における半導体ワーク200の搬送、搬出/搬入動作が可能となる。その際も、ワーク格納容器300若しくは処理装置400とワーク搬送空間101との間で、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151を用いて半導体ワーク200を搬入/搬出する際も、ハンド151に搭載された半導体ワーク200がワーク搬送空間101に現れる前から又はワーク搬送空間101から完全に隠れるまで、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161から不活性ガスが噴出されているので、搬入中/搬出中における酸化や水分付着の抑止効果もさらに向上する。
なお、ステップS040で述べた、半導体ワーク200の位置合わせがプリアライメントユニット120によって実施されている間も、ガス放出ノズル161のガス噴出孔164から不活性ガスを放出し、半導体ワーク200の被処理側の基板面との間の空間を不活性ガスで充満させている処理に係り、プリアライメントユニット120のセンサ123とガス放出ノズル161が干渉する場合、ガス放出ノズル161を、図10に示すようなセンサ干渉逃げ167を有する構成にしたり、図11に示すように、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151を後退させた後、アーム取付ベース部171を装置基台172に対して小量だけ回動し、ワーク搬送ロボット110を水平旋回させることで、センサ123の干渉を防ぐことができる。
図10は、ガス放出用可動アームのガス放出噴出ノズルの変形例を示した図である。
図11は、ワーク搬送用可動アームにおけるガス放出ノズルのセンサ干渉逃げ動作を示した図である。
次に、本開示に係る半導体ワーク搬送装置の別の実施例について、図面に基づき説明する。前述した実施例の半導体ワーク搬送装置100では、ワーク搬送ロボット110は、1つのガス放出用可動アームに対し、1つのワーク搬送用可動アーム150が備えられた構成になっていた。本実施例の半導体ワーク搬送装置100では、ワーク搬送ロボット110は、1つのガス放出用可動アームに対し、複数のワーク搬送用可動アーム150が備えられた構成になっている。
半導体の製造工程や検査工程では、通常、連続して半導体ワーク200の搬入・搬出が行われる。この場合、半導体ワーク搬送装置100は、1枚目の半導体ワーク200を処理装置400へ搬送後、処理装置400が1枚目の半導体ワーク200を処理している間に、2枚目の半導体ワーク200の搬送時間を短縮するため、2枚目の半導体ワーク200の搬送準備をしておくことが好ましい。その際、1枚の半導体ワーク200に対する処理装置400の処理時間は、1枚の半導体ワーク200に対するプリアライメントユニット120の処理時間よりも長いので、搬送準備の内容として、2枚目の半導体ワーク200はプリアライメントユニット120での位置合わせ動作まで完了した状態で待機していることが好ましい。
この場合、1つのガス放出用可動アーム160に対し、1つのワーク搬送用可動アーム150が備えられたワーク搬送ロボット110では、処理装置400での1枚目の半導体ワーク200に対する処理完了後、処理装置400から処理済の1枚目の半導体ワーク200を取り出し、ワーク格納容器300へ格納することになる。それから、プリアライメントユニット120での位置合わせが既に済んでいる2枚目の半導体ワーク200をプリアライメントユニット120から取り出し、処理装置105へ収納することになる。しかしながら、処理済の1枚目の半導体ワーク200を処理装置400からワーク格納容器300へ搬送している間、プリアライメントユニット120で待機している2枚目の半導体ワーク200は、大気暴露状態になってしまう。
そこで、本実施例の半導体ワーク搬送装置100では、ワーク搬送ロボット110に既存のワーク搬送用可動アーム150(以下では、第1のワーク搬送用可動アーム150-1)に加えて、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-2)を追加し、連続して半導体ワーク200の搬入・搬出が行われる場合に、1枚目の半導体ワーク200を処理装置400へ搬送後、2枚目の半導体ワーク200の搬送時間短縮のため、処理装置400が1枚目の半導体ワーク200を処理している間に、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面を大気暴露させることなく、処理装置400への搬送準備が行えるようになっている。
以下、本実施例の半導体ワーク搬送装置100について、図面に基づき説明する。本実施例の半導体ワーク搬送装置100は、図1に示した半導体ワーク搬送装置100と、ワーク搬送ロボット110の構成が異なり、これに伴い、コントローラユニット130による各部の制御手順が一部相違する以外は、図1に示した半導体ワーク搬送装置100と同一又は同様な構成なので、これら図1に示した半導体ワーク搬送装置100と同一又は同様な構成部については、同一符号を用い、繰り返しの詳細な説明は省略する。
図12は、本開示に係る半導体ワーク搬送装置の別の実施例における搬送ロボットの概略構成図である。図12Aは、搬送ロボットの正面図であり、図12Bは、搬送ロボットの平面図である。
図12において、ワーク搬送ロボット110は、ワーク搬送空間101を画成する装置筐体内に設けられ、第1のワーク搬送用可動アーム150-1と、第2のワーク搬送用可動アーム150-2と、ガス放出用可動アーム160と、ガス放出機構180とを備え、さらに旋回機構部、昇降機構部、走行機構部(いずれも図示省略)を有する。
第2のワーク搬送用可動アーム150-2は、第1のワーク搬送用可動アーム150-1すなわち図2に示したワーク搬送用可動アーム150と同様に、搭載部152を有するハンド151、ハンド151を進退移動させるハンドリングアーム155を備えている。第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1,2)とも、各ハンドリングアーム155は、屈曲・伸張自在な関節構造を有し、基端側が一緒のアーム取付ベース部171にそれぞれ回動可能に連結されている。各ハンドリングアーム155は、アーム先端側に連結されたハンド151を、その間接構造の屈曲・伸張に応じて、水平方向に沿って同じ方向(図12A、12B中、矢印±r方向)に直線的に進退移動できる構造になっている。
第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1,2)とも、各ハンド151は、ハンドリングアーム155の関節構造の屈曲・伸張具合にかかわらず、搭載部152の向きを常にハンド151の進行方向(図12A、12B中、矢印+r方向)に保つ方向維持機構156を介して、ハンドリングアーム155の先端側アームと接続されている。
その上で、第1のワーク搬送用可動アーム150-1と、第2のワーク搬送用可動アーム150-2との間では、搭載部152を有するハンド151が配置される高さ位置(図12A、12B中の、z軸方向の位置)が異なっている。例えば、第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151の下面(搭載面の裏面)が直線的に進退移動する水平面の高さ位置は、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151の搭載面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置よりも、図2Bに示すように、少なくとも半導体ワーク200の厚さ(基板厚さ)分よりも大きい、所定量h分だけ高くなるように構成されている。これにより、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1,2)は、ハンド151の同じ進退移動方向上で、ハンド151同士を重なるように位置させることや、重ならないように位置させることができる。
一方、ガス放出用可動アーム160は、前述した図2に示した搬送ロボットのガス放出用可動アーム160と同様に、ガス放出ノズル161とノズル移動アーム165とを連結して構成されている。
ノズル移動アーム165は、屈曲・伸張自在な関節構造を有し、ノズル移動アーム165の基端側が、ワーク搬送用可動アーム150の屈曲・伸張するハンドリングアーム155と干渉しないように、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150-1,2それぞれのハンドリングアーム155の基端側が一緒に連結されているアーム取付ベース部171と一体のアーム取付部173に、回動可能に連結されている。ノズル移動アーム16は、アーム先端側に連結されたガス放出ノズル161を、その間接構造の屈曲・伸張に応じて、水平方向沿って第1,第2のワーク搬送用可動アーム150-1,2それぞれのハンド151の進退方向と同じ方向(図12A、12B中、矢印±r方向)に直線的に進退移動できる構造になっている。
ガス放出ノズル161は、ハンドリングアーム155の関節構造の屈曲・伸張具合にかかわらず、その向きを常にガス放出ノズル161の進退方向(図6A、6B中、矢印+r方向)に保つ方向維持機構166を介して、ノズル移動アーム165の先端側アームと接続されている。
その上で、ガス放出用可動アーム160は、ガス放出ノズル161を、第1,第2のワーク搬送用可動アーム150-1,2それぞれのハンド151よりも高い高さ位置(図12A、12B中の、z軸方向の位置)に常にガス放出ノズル161を保持している。例えば、ガス噴出孔164が形成されたガス放出ノズル161の一方側の盤面が直線的に進退移動する水平面の高さ位置は、上方側の第2のワーク搬送用可動アーム150-2において半導体ワーク200の搭載面となるハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置よりも、図12Bに示すように、少なくとも半導体ワーク200の厚さ(基板厚さ)分よりも大きい、所定量h分だけ高くなるように構成されている。これにより、ガス放出ノズル161を、進退移動方向上で、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151と第2のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151とが重なっている場合は、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1,2)両方のハンド151と重なるもしくは重ならないように選択的に位置させることができる。また、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151と第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151とが重なっていない場合は、いずれか一方のワーク搬送用可動アーム150とだけ重なるように選択的に位置させることができる。
次に、上記構成からなるワーク搬送ロボット110を備えた本実施例の半導体ワーク搬送装置100の作用について、連続して半導体ワーク200の搬入・搬出が行われる場合を例に説明する。
ワーク搬送ロボット110は、1枚目の半導体ワーク200を処理装置400へ搬送後、1枚目の半導体ワーク200の処理装置400での処理中に、2枚目の半導体ワーク200をワーク格納容器300から取り出し、プリアライメントユニット120へ搬送する。この2枚目の半導体ワーク200のワーク格納容器300からプリアライメントユニット120への搬送には、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1,2)の中の何れか一方のワーク搬送用可動アーム150が使用可能である。好ましくは、後述する処理装置400から処理済の半導体ワーク200をワーク格納容器300に搬送する際に処理済の半導体ワーク200を搭載するワーク搬送用可動アーム150の関係から、第2のワーク搬送用可動アーム150-2を使用する方が、ワーク搬送用可動アームの高さ位置の調整を省略できる。
このワーク格納容器300からプリアライメントユニット120への搬送中は、ガス放出ノズル161をこの一方のワーク搬送用可動アーム150のハンド151と重なるように位置させることにより、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161が一方のワーク搬送用可動アーム150のハンド151に追従する。これにより、搬送中、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスによって充満状態になっている。
プリアライメントユニット120で2枚目の半導体ワーク200の位置合わせ中は、ガス放出用可動アーム160は、ガス放出ノズル161を位置合わせ中の2枚目の半導体ワーク200に重ねている。これにより、2枚目の半導体ワーク200の位置合わせ中も、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスによって充満状態になっている。
プリアライメントユニット120での2枚目の半導体ワーク200についての位置合わせ動作完了後、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150(150-1、2)の中、好ましくは第2のワーク搬送用可動アーム150-2よりも高さ位置が低い第1のワーク搬送用可動アーム150-1の第1のハンド151を使用して、プリアライメントユニット120から2枚目の半導体ワーク200を取り出し、処理装置400へ搬送する。
このワーク格納容器300から処理装置400への搬送中も、ガス放出ノズル161をこの一方のワーク搬送用可動アーム150のハンド151と重なるように位置させることにより、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161が第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151に追従する。
これにより、搬送中、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスによって充満状態になっている。この場合、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間には、上方側の第2のワーク搬送用可動アーム150-2において半導体ワーク200の搭載面となるハンド151が直線的に進退移動する水平面の高さ位置も含まれることになる。
それから、2枚目の半導体ワーク200は、好ましくは装置側ワーク搬送口104まで移動させた上で、第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151の進退移動方向の高さ位置を、処理装置400の処理装置搬送ポイント410に対する半遊/搬出高さ位置に合わせ、第1、第2のワーク搬送用可動アーム150のハンド151を処理装置400の搬入方向に向けた状態で、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151に搭載された状態で待機させておく。
これにより、この待機中の間も、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスによって充満状態になっている。
そして、処理装置105での1枚目の半導体ワーク200の処理完了後、処理装置105の処理装置搬送ポイント410からから1枚目の半導体ワーク200を、2枚目の半導体ワーク200がハンド151に搭載されている第1の搬送用可動アーム150-1よりも高さ位置が上方側の第2のワーク搬送用可動アーム150-2を用いて、そのハンドに処理済の1枚目の半導体ワーク200を搭載して処理装置400の処理装置搬送ポイント410からワーク搬送空間101に取り出し、続けて、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151の進退移動方向の高さ位置を、処理装置400の処理装置搬送ポイント410に対する半遊/搬出高さ位置に合わせ、第1のワーク搬送用可動アーム150-1の第1のハンド151で把持している、プリアライメントユニット120による位置合わせが済んでいる2枚目の半導体ワークを処理装置400の処理装置搬送ポイント410へ収納する。
これにより、処理装置400の処理装置搬送ポイント410からワーク搬送空間101に搬出される1枚目の半導体ワーク200は、不活性ガスによって充満状態になっている2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間内に取り出され、かつ取り出された1枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面には、新たにガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスが吹き付けられるようになる。また、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面には、1枚目の半導体ワーク200のワーク搬送空間101への搬出が完了するまで、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスが吹き付けられるようになっており、1枚目の半導体ワーク200のワーク搬送空間101への搬出が完了した後も、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面と1枚目の半導体ワーク200との間の空間は、2枚目の半導体ワーク200のプリアライメントユニット120からの取り出し時から、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスが吹き付けられ、不活性ガスで充満した状態になっているため、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面も、2枚目の半導体ワーク200がワーク搬送空間101から処理装置400の処理装置搬送ポイント410への搬入が完了するまで、大気暴露を防止できる。
その後、第2のワーク搬送用可動アーム150-2の第2のハンド151で把持している処理済の1枚目の半導体ワーク200を格納容器102へ収納する。この処理装置400からワーク格納容器300への搬送中は、ガス放出ノズル161を第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151と重なるように位置させることにより、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161が第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151に追従する。これにより、搬送中、1枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面とガス放出ノズル161との間の空間は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスによって充満状態になっている。
同様に、3枚目以降の半導体ワーク200に対しても、2枚目の半導体ワーク200及び1枚目の半導体ワーク200に対しての場合と同じ動作を行うことにより、低湿度環境での連続したワークの搬送、搬出動作が可能となる。
したがって、本実施例の半導体ワーク搬送装置100では、連続して半導体ワーク200の搬入・搬出が行われる場合に、1枚目の半導体ワーク200を処理装置400での処理中に、2枚目の半導体ワーク200の被処理側の基板面を大気暴露させることなく、処理装置400への搬送準備が行えるので、半導体ワーク200の搬送時間を短縮できる。また、処理装置400から1枚目の処理済の半導体ワーク200を搬出して代わりに処理装置400に2枚目の未処理の半導体ワーク200を搬入する間も、1枚目及び2枚目の半導体ワーク200いずれとも被処理側の基板面側は不活性ガスによって充満状態になっているので、基板面の大気暴露させることもない。
前述した両実施例では、不活性ガスの噴出開始及び噴出停止は、コントローラユニット130によって、ガス供給管路168の制御弁169の開弁状態及び閉弁状態によって行われるが、不活性ガスの噴出時におけるガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量については、コントローラユニット130によって、格納容器と処理装置との間での半導体ワーク200の搬送状況に応じて制御することが可能である。
具体的には、ハンド151で半導体ワーク200を把持したワーク搬送用可動アーム150がワーク搬送空間101を移動する場合は、コントローラユニット130は、搬送中の半導体ワーク200の被処理側の基板面側の低湿度環境を保持するために、制御弁169を全開状態にして不活性ガスを噴出させる。一方、待機中やプリアライメントユニット120での位置合わせ動作中等、半導体ワーク200がワーク搬送空間101内を移動していない場合は、コントローラユニット130は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量を、例えば制御弁169の弁開度を全開の状態から適宜絞った流量(例えば50%の流量)に制御する。すなわち、半導体ワーク200を把持したワーク搬送用可動アーム150のワーク搬送空間101内での移動速度に応じてガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量を調整する。
また、例えばワーク搬送用可動アーム150が第1,第2のワーク搬送用可動アーム150-1,2を備えている場合のように、同じ半導体ワーク200の搬送中であっても、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161とハンド151に搭載された半導体ワーク200との間の空間が第1のワーク搬送用可動アーム150-1の場合よりも狭くなる第2のワーク搬送用可動アーム150-2のハンド151に半導体ワーク200を把持して搬送する場合は、ガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量を、第1のワーク搬送用可動アーム150-1のハンド151に半導体ワーク200を把持して搬送する場合よりも適宜絞った流量に制御する。すなわち、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161とハンド151に搭載された半導体ワーク200との間の空間量や距離に応じてガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量を調整する。
また、半導体ワーク200のワーク格納容器300や処理装置400に対する搬入時と搬出時とで、搬入時の場合は、それまでにガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161とハンド151に搭載された半導体ワーク200との間の空間が不活性ガスで充満しているので、搬出時よりも適宜絞った流量に制御する。すなわち、搬送工程の違いに応じてガス放出ノズル161から噴出する不活性ガスの流量を調整する。
このように、上述した具体例に限られることなく、ガス放出ノズル161から放出される不活性ガスの流量を、搬送ロボット106の動作状況に応じて制御することで、更なる不活性ガス使用量の低減が可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、ワーク搬送ロボット110の構成については、上記説明した実施例では、ワーク搬送用可動アーム150及びガス放出用可動アーム160を旋回、昇降、走行可能な共通の取付ベース部に設けたことによって、ワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200にガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161を予め搬送前に重ねて保持しておけば、ワーク搬送空間101内での搬送中は、ガス放出用可動アーム160をワーク搬送用可動アーム150とは独立に動かす必要なく、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161がワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200を追従する構成を採用したが、ワーク搬送用可動アーム150及びガス放出用可動アーム160をそれぞれ独立した旋回、昇降、走行機構を備えた構成として、ガス放出用可動アーム160のガス放出ノズル161がワーク搬送用可動アーム150のハンド151に搭載された半導体ワーク200を追従するように独立に動く構成とすることも可能である。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。