JP7052726B2 - 粘着シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)端縁幅領域における粘着シートのゲル分率が、中央領域における粘着シートのゲル分率より大きい。
(2)粘着シートの厚さをd[mm]とした時、30d<w<100dを満たす。
前記粘着シートは、光硬化性を有し、かつ、短手方向両側シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]の領域(「端縁幅領域」と称する)と、当該端縁幅領域よりシート中央の領域(「中央領域」と称する)とが、以下の条件(1)及び(2)を満たし、
更に、端縁幅領域におけるゲル分率の標準偏差が3%以下であることを特徴とする、離型フィルム付粘着シート捲回体を提案する。
(1)端縁幅領域における粘着シートのゲル分率が、中央領域における粘着シートのゲル分率より大きい。
(2)粘着シートの厚さをd[mm]とした時、30d<w<100dを満たす。
本発明の実施形態の一例に係る粘着シート(「本粘着シート」と称する)は、光硬化性を有する粘着シートであって、シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]の領域、言い換えれば、シート面におけるシート端縁に沿った幅w[mm]の領域(「端縁幅領域」と称する)における粘着シートのゲル分率が、当該端縁幅領域よりシート中央の領域(「中央領域」と称する)における粘着シートのゲル分率より大きいという特徴を有する粘着シートである。
本粘着シートは、矩形状の粘着シートであっても、長尺な粘着シートであっても、ロール状に捲回された粘着シート捲回体であっても、その他の形態であってもよい。
また、本粘着シートは、表裏一側又は両側に離型フィルムが積層された状態で存在してもよい。
この際、「長尺」とは、長さ寸法が幅寸法よりも大きいことを意味する。具体的には、前記長さ寸法が、5m以上、好ましくは10mm以上を意味する。上限値は限定するものではない。あえて規定するならば、当該上限値は500m以下であるのが好ましい。
また、通常の粘着シート捲回体においては、ロール幅が広いほど、粘着剤の食み出しが顕著なる。これに対し、本捲回体であれば、広幅のロールであっても粘着剤の食み出しを効果的に抑制することができる。したがって、本捲回体における前記ロール幅は20mm~2000mmであることが好ましく、中でも50mm以上或いは1500mm以下であることがより好ましい。
本発明者らの検討によれば、ロール端面から粘着剤が食み出す現象は、離型フィルムに挟まれた粘着シートの厚さによって挙動が異なることが見出された。すなわち、本粘着シートにおいて、端縁幅領域すなわちゲル分率が高い部分の幅w[mm]が粘着シートの厚さdに対して小さいと、端縁幅領域のゲル分率を高めたとしても、例えば粘着シートをロール状に巻き取った粘着シート捲回体として保管すると、巻圧によって次第に粘着剤がロール端面から食み出してくることが確認されている。
また、粘着剤の食み出しの挙動は、端縁幅領域の幅と粘着シートの厚さとの間に一定の関係性があることが見出された。すなわち、ゲル分率が高い部分の幅w[mm]を粘着シートの厚さd[mm]に対して、30d<wの比率で設定すれば、通常の粘着シートの場合はもちろん、粘着シート捲回体として保管した場合であっても、端縁幅領域のゲル分率を適宜高めることにより、粘着剤がロール端面から食み出すのを効果的に抑制することができる。
かかる観点から、端縁幅領域すなわちゲル分率が高い部分の幅w[mm]と粘着シートの厚さd[mm]との関係は、30d<wであるのが好ましく、中でも35d<w、その中でも40d<w、その中でも45d<wであるのがさらに好ましい。
かかる観点から、w<100dであるのが好ましく、中でもw<80d、その中でもw<70d、その中でもw<60dであるのがさらに好ましい。
以上を総合すると、端縁幅領域のゲル分率は、15%以上100%未満又は15%以上99%以下であることが好ましく、20%以上100%未満又は20%以上99%以下であることがより好ましく、25%以上100%未満、又は、25%以上99%以下であることがさらに好ましく、30%以上100%未満、又は、30%以上99%以下であることが最も好ましい。
なお、中央領域においても、ゲル分率の標準偏差が3%以下、中でも2.5%以下、その中でも2%以下であるのが好ましい。
上述のように、端縁幅領域におけるゲル分率の標準偏差が3%以下であるということは、端縁幅領域におけるゲル分率が均一であることを意味しており、このように端縁幅領域のゲル分率が均一に高いことにより、粘着剤が端面から食み出すのをより一層確実に防ぐことができる。
なお、上述のように、端縁幅領域におけるゲル分率の標準偏差は小さいほど均一性が良いことから、その下限値は、例えば0%以上又は1%以上であるのが好ましい。但し、当該下限値に特に限定されるものではない。
端縁幅領域及び中央領域から約0.05gの粘着剤を採取し、予め質量(X)を測定したステンレスメッシュ(#200)で袋状に包み、袋の口を折って閉じて、この包みの質量(Y)を測定した後、100mlの酢酸エチルに浸漬させ、23℃で24時間暗所保管する。次に、包みを取り出して、70℃で4.5時間加熱し、付着している酢酸エチルを蒸発させ、乾燥した包みの質量(Z)を測定し、求めた質量を下記式に代入して求めることができる。
ゲル分率[%]=[(Z-X)/(Y-X)]×100
この際、中央領域のゲル分率は上述したように0%以上15%未満であるのが好ましく、端縁幅領域におけるゲル分率は15%以上100%未満であるのが好ましい。
したがって、本粘着シートの厚さdは0.05mm~1mmであるのが好ましく、中でも0.075mm以上或いは0.8mm以下、その中でも0.1mm以上或いは0.5mm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本粘着シートの厚さdには、離型フィルムの厚さは含まない。
本粘着シートは、粘着剤組成物からなる粘着材層の単層であってもよいし、二層、三層などの複数層の粘着剤層を備えたものでもよい。
また、本粘着シートは、芯層として基材層(粘着性を有さない層)を有し、該基材層の両側に、粘着材からなる層が積層してなる構成であってもよい。このような構成の場合、芯層としての基材層は粘着シート積層体が加熱成形可能となるような材質や特性を有することが好ましい。
具体的には、周波数1Hz、温度80℃において、本粘着シートの損失正接(Tanδ=損失せん断弾性率G'’/貯蔵せん断弾性率G’)の値が1を超えるような場合、本発明の効果が特に顕著に表れる。すなわち、前記条件下で、粘着シートのTanδが1を超えるということは、弾性よりも粘性の寄与が大きいことを意味し、粘着剤がより流れやすい傾向にある。よって、Tanδが1を超える粘着シートに本発明の技術を用いれば、粘着剤の食み出し防止効果が特に顕著に表れることになる。
以上から、本粘着シートのTanδは1を超えることが好ましい。なお、上限値は必ずしも設定する必要はない。あえて当該上限値を設定するとすれば、10以下である。
<条件>
・治具:Φ20mmパラレルプレート
・温度:-50~200℃(昇温速度3℃/minで測定)
・周波数:1Hz
・歪角:0.1%
本粘着シートの粘着剤層は、光硬化性を有していれば、従来公知の粘着材料から形成することができる。
ここで、上記光硬化性としては、電子線以外の波長、具体的には、波長200nm~780nmの波長領域の光で硬化可能な硬化性を有するのが好ましい。
2)ブタジエン又はイソプレン系(共)重合体をベース樹脂として用い、これに架橋モノマー、必要に応じて架橋開始剤や反応触媒などを配合してなる粘着剤組成物や、
3)シリコーン系重合体をベース樹脂と用い、これに架橋モノマー、必要に応じて架橋開始剤や反応触媒などを配合してなる粘着剤組成物や、
4)ポリウレタン系重合体をベース樹脂として用いたポリウレタン系粘着剤組成物などを挙げることができる。
(メタ)アクリル系(共)重合体(a)は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
アクリル酸エステル(共)重合体の中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体が特に好ましい。
アクリル酸エステル共重合体の重合形態は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
さらにまた、前記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルキルビニルモノマー等の各種ビニルモノマーも適宜用いることができる。
よって、ベースポリマーとしてアクリル系共重合体(a1)を使用すれば、未架橋状態であっても、室温(20℃)において粘着性を示し、且つ、50~100℃、より好ましくは60℃以上或いは90℃以下の温度に加熱すると軟化乃至流動化する性質を備えることができる。
但し、当該共重合体成分のガラス転移温度が同じ温度であったとしても、分子量を調整することにより粘弾性を調整することができる。例えば共重合体成分の分子量を小さくすることにより、より柔軟化させることができる。
マクロモノマーとは、末端の重合性官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体である。
具体的には、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、本粘着シートの加熱溶融温度(ホットメルト温度)に影響するため、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は30℃~120℃であるのが好ましく、中でも40℃以上或いは110℃以下、その中でも50℃以上或いは100℃以下であるのがさらに好ましい。
このようなガラス転移温度(Tg)であれば、分子量を調整することにより、優れた加工性や保管安定性を保持できると共に、80℃付近でホットメルトするように調整することができる。
マクロモノマーのガラス転移温度とは、当該マクロモノマー自体のガラス転移温度をさし、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
かかる観点から、マクロモノマーは、アクリル系共重合体(a1)中に5質量%~30質量%の割合で含有することが好ましく、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも8質量%以上或いは20質量%以下であるのが好ましい。
また、マクロモノマーの数平均分子量は500以上8000未満であることが好ましく、中でも800以上或いは7500未満、その中でも1000以上或いは7000未満であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
前記マクロモノマーの末端重合性官能基としては、例えばメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基などを挙げることができる。
架橋剤(b)は、アクリル酸エステル重合体を架橋する際に用いる架橋モノマーを使用することができる。例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、前記架橋性官能基は、脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
アクリル酸エステル重合体を架橋する際には、架橋開始剤(過酸化開始剤、光重合開始剤)や反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜添加すると効果的である。
光重合開始剤(c)は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光重合性開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光重合開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光重合開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、可視光線域に吸収波長をもつ光重合開始剤として該分子内開裂型を用いると、水素引抜型を用いる場合に比べて、光線照射によって粘着シートを架橋した後、光線反応性の光重合性開始剤が本粘着剤組成物中に未反応残渣として残り、粘着シートの予期せぬ経時変化や架橋の促進を招く可能性が低いため好ましい。また、光重合性開始剤特有の着色についても、反応分解物となることで、可視光線域の吸収がなくなり、消色するものを適宜選択することができるため好ましい。
他方、水素引抜型の光重合開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光重合開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる。
光重合開始剤(c)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本粘着シートは、上記以外の成分として、通常の粘着組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、増感剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を、必要に応じて適宜含有してもよい。
本粘着シートは、光硬化性を有する粘着シートの表裏一側又は両側に離型フィルムを積層してなる離型フィルム付粘着シートを作製し、当該離型フィルム付粘着シートの端縁幅領域に光を照射することで、端縁幅領域における粘着シートのゲル分率を高めることにより製造することができる。
なお、この際、当該粘着シートのゲル分率は0~10%であることが好ましく、中でも0~5%、その中でも0~3%であれば、より一層本発明の効果を享受することができる。
次に、本粘着シートの一例としての、長尺な粘着シートをロール状に巻き上げてなる粘着シート捲回体すなわちロール状粘着シートの製造方法について詳述する。
光照射前の離型フィルム付粘着シート1は、粘着シート10の表裏両側に離型フィルム11、12を積層してなる長尺な積層シートであり、その粘着シート10は、光硬化性を有し、且つ、粘着シート10の何れの部分においてもゲル分率が0~15%の範囲内であるのが好ましく、中でも12%以下、その中でも10%以下であるのがさらに好ましい。但し、本粘着シート10の表裏一側にのみ離型フィルムを積層してなる構成としてもよい。
また、離型フィルム11、12には、前記した粘着剤組成物に配合することが可能な成分を、同様に配合することもできる。
なお、端縁幅領域を硬化する方法として、後述する通り、離型フィルム越しに光を照射する方法により行う場合は、離型フィルムは、当該照射光を吸収又は反射しない特性を有することが好ましい。
また、同じ厚さであっても、異なる厚さであってもよい。また、剥離力の異なる離型フィルムや厚さの異なる離型フィルムを本粘着シート10の両側に積層することができる。
端縁幅領域1Aに光を照射して硬化させる方法としては、図1に示すように、離型フィルム付粘着シート1のシート上面に対して上方から、又は、そのシート下面に対して下方から、又は、シート上下両面に対してそれぞれ上下両方から、光を照射するのが好ましい。
中でも、離型フィルム付粘着シート1のシート上面に対して上方から光を照射する際には、離型フィルム付粘着シート1における短手方向(TD方向)両側の端縁幅領域1A、1Aの上方に光源3を設置し、シート上面に対して垂直上方向、又は斜め60~90°上方、中でも70~90°上方、その中でも80~90°上方から光を照射するのが好ましい。このような角度で照射を行うことにより、端縁幅領域と中央領域とのゲル分率の差(境界)が明確となるため、より効率的に粘着剤の食み出しを抑制することができる。
離型フィルム付粘着シート1のシート下面に対して下方から光を照射する際には、上記と同様の理由により、離型フィルム付粘着シート1における短手方向(TD方向)両側の端縁幅領域1A、1Aの下方に光源を設置し、シート下面に対して垂直下方向、又は斜め60~90°下方、中でも70~90°下方、その中でも80~90°下方から光を照射するのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、離型フィルム付粘着シート1のシート面延長方向(図の水平方向横側)に光源3を設置し、離型フィルム付粘着シート1のシート幅方向(TD方向)両端面に対して水平方向横から光を照射する方法を挙げることができる。
これらの方法を比較すると、離型フィルム付粘着シート1のシート幅方向(TD方向)両端面に対してシート面の延長方向から、すなわち図3(B)のように水平方向横側から光を照射する方法では、シート幅方向両端面の表面部分しか硬化することができないため、ロール状態で掛かる巻圧によって次第に粘着剤が食み出してくることが判明した。これに対し、離型フィルム付粘着シート1に対して上方向又は下方向又は上下両方向から光を照射する方法によれば、光を照射する幅を調整することにより、ロール状態で掛かる巻圧によって粘着剤が次第に食み出してくるのを効果的に防ぐことができることが確認されている。
本離型フィルム付粘着シート捲回体を製造する手段としては、図3(B)のように水平方向横側から光を照射する方法を排除するものではない。但し、この方法に比べて、図3(A)に示すような垂直方向から光を照射する方法の方が極めて効率的に製造することが可能である。
また、光を照射する光源3は、光の指向性が高いという観点から、光拡散角度が50°以下、中でも40°以下、その中でも30°以下である光源を使用するのが好ましい。このような光拡散角度の光源を使用することにより、端縁幅領域と中央領域とのゲル分率の差(境界)が明確となるため、より効率的に粘着剤の食み出しを抑制することができる。
さらに、光を照射する際、粘着剤の食み出しを抑制するのに十分なゲル分率が得られる観点から、単位面積当たり1000mJ/cm2~10000mJ/cm2、中でも1500mJ/cm2以上或いは9000mJ/cm2以下、その中でも2000mJ/cm2以上或いは8000mJ/cm2以下の積算光線量の光を、端縁幅領域のそれぞれの側に照射するのが好ましい。
なお、単位時間当たりの積算光線量は、光源の出力、光源と離型フィルム付粘着シートとの距離、離型フィルム付粘着シートの搬送速度などにより調整することができる。一例として、好ましい条件を以下に挙げる。
端縁幅領域1A、1Aを光硬化させた離型フィルム付粘着シート1をロール状に巻き取る際、フィルム幅1m当たりの巻き取り張力すなわち巻張力は20~200N/m巾であるのが好ましい。
巻き取り張力が20~200N/m巾であれば、巻きずれ、巻き膨れ、さらには巻きじわを生じさせることがなく、張力に伴うフィルムの配向による位相差増大を低減できるため、好ましい。
かかる観点から、巻張力は30~150N/m巾であるのが好ましく、中でも50N/m巾以上或いは100N/m巾以下であるのがさらに好ましい。
また、端縁幅領域の光硬化方法も、上記離型フィルム付粘着シート1と同様であればよい。
また、本粘着シートは、それ自体が光硬化性を有していれば足り、必ずしも端縁幅領域の硬化を光照射によって施す必要は無い。具体的には、端縁幅領域の硬化を熱によって行ってもよい。
本粘着シートは、ゲル分率の高い端縁幅領域を切除した後、粘着シートとして使用することができる。
ここで、被着体としての画像表示装置構成部材としては、例えば表面保護パネル、タッチパネル、画像表示パネルなどを挙げることができる。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートをそれぞれ包括する意味である。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルムを包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
後述する実施例1~4及び比較例1及び4では、光硬化させた端縁幅領域の幅w[mm]が分かっているため、実施例で得た粘着シートにおいて、短手方向両側シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]の領域の中から任意に約0.05g分採取して、これを端縁幅領域の測定サンプルとする一方、光硬化させていない中央領域から任意に約0.05g分採取して、これを中央領域の測定サンプルとした。
他方、比較例2及び3では、短手方向両側シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]=0.5mm毎に順に切出し、各領域の中から任意に約0.05g分採取して、これを端縁幅領域の測定サンプルとする一方、光硬化させていない中央領域から任意に約0.05g分採取して、これを中央領域の測定サンプルとした。
なお、比較例2及び3については、短手方向両側シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]=1~1.5mmの領域のゲル分率も測定したところ、いずれも0%であったので、前記幅w[mm]=1mmを端縁幅領域とした。
ゲル分率[%]=[(Z-X)/(Y-X)]×100
実施例及び比較例で作製したロール状粘着シートを30℃×90%(RH)の恒温高湿環境下で100時間晒した後、その試験片の端面を顕微鏡で観察した。
端面状態が変化しなかったものを「○(good)」、粘着剤が食み出して端面が変形したものを「×(poor)」と評価した。
実施例及び比較例で照射したUVの積算照射量は、積算光量計として紫外線積算光量計「UIT-250」(ウシオ電機社製)を用い、365nm波長の受光部を取り付け、2回計測してその平均値を有効数字2ケタで求め、それぞれの積算照射量とした。
(メタ)アクリル系共重合体(a)として、数平均分子量2400のポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg:105℃)15質量部(18mol%)とブチルアクリレート(Tg:-55℃)81質量部(75mol%)とアクリル酸(Tg:106℃)4質量部(7mol%)とがランダム共重合してなるアクリル系共重合体(a-1)(重量平均分子量23万)1kgと、架橋剤(b)として、グリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)(b-1)90gと、光重合開始剤(c)として、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンと4-メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)(c-1)15gを均一混合し、粘着材層に用いる樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は-5℃であった。
離型フィルム付粘着シート1における粘着シート10、すなわち硬化前の粘着シート10のゲル分率は0%であった。
光源3には、出力7W/cm2、照射波長365nm、光拡散角度30°、MD方向長さ(表の光源長)44mmのLEDを使用した。また、光源3とロール状粘着シート2の距離(表の光源距離)を10mmとし、単位時間当たりの積算光線量が1600mJとなるように光照射した。
搬送速度(ラインスピード)及び単位時間当たりの積算光線量を表に示すように変更した以外、実施例1と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
硬化幅を変更した以外、実施例2と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
硬化幅を変更した以外、実施例2と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
光を照射する方向を、図3(B)に示すように、離型フィルム付粘着シート1のシート面延長方向すなわち側面方向に変更し、硬化幅を変更した以外、実施例2と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
光を照射する方向を、図3(B)に示すように、離型フィルム付粘着シート1のシート面延長方向すなわち側面方向に変更すると共に、光源の種類を変更し、搬送速度(ラインスピード)、単位時間当たりの積算光線量及びその他の条件を表に示すように変更した以外、実施例2と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
粘着シートの厚さを100μmに変更し、硬化幅を35dに変更した以外、実施例2と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
硬化幅を25dに変更した以外、実施例4と同様に、ロール状粘着シート2を得た。
Claims (14)
- 粘着シートの表裏一側又は両側に離型フィルムを積層してなる離型フィルム付粘着シートを、ロール状に捲回した離型フィルム付粘着シート捲回体であって、
前記粘着シートは、光硬化性を有し、かつ、短手方向両側シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]の領域(「端縁幅領域」と称する)と、当該端縁幅領域よりシート中央の領域(「中央領域」と称する)とが、以下の条件(1)及び(2)を満たし、
更に、端縁幅領域におけるゲル分率の標準偏差が3%以下であることを特徴とする、離型フィルム付粘着シート捲回体。
(1)端縁幅領域における粘着シートのゲル分率が、中央領域における粘着シートのゲル分率より大きい。
(2)粘着シートの厚さをd[mm]とした時、30d<w<100dを満たす。 - 前記端縁幅領域のゲル分率が15%以上100%以下であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム付粘着シート捲回体。
- 前記中央領域のゲル分率が0%以上15%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の離型フィルム付粘着シート捲回体。
- 前記粘着シートの厚さdが0.05mm~1mmであることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体。
- 請求項1~4の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法であって、
光硬化性を有する粘着シートの表裏一側又は両側に離型フィルムを積層してなる離型フィルム付粘着シートの端縁幅領域に光を照射することで、端縁幅領域における粘着シートのゲル分率を、中央領域の粘着シートのゲル分率よりも大きくすることを特徴とする、離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。 - 光を照射した後、離型フィルム付粘着シートをロール状に巻き取ることを特徴とする、請求項5に記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 前記離型フィルム付粘着シートのシート上面に対して上方から、又は、そのシート下面に対して下方から、又は、シート上下両面に対してそれぞれ上下両方から、光を照射することを特徴とする、請求項5又は6に記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 光を照射する光源の光拡散角度が50°以下であることを特徴とする、請求項5~7の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 光を照射する光源としてLEDを使用することを特徴とする、請求項5~8の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 光を照射する際、少なくとも200nm~450nmの波長の光を照射することを特徴とする、請求項5~9の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 単位面積当たり1000mJ/cm2~10000mJ/cm2の積算光線量の光を照射することを特徴とする、請求項5~10の何れかに記載の離型フィルム付粘着シート捲回体の製造方法。
- 光硬化性を有する粘着シートであって、シート端縁からシート中央に向かって幅w[mm]の領域(「端縁幅領域」と称する)と、当該端縁幅領域よりシート中央の領域(「中央領域」と称する)とが、以下の条件(1)及び(2)を満たし、更に、端縁幅領域におけるゲル分率の標準偏差が3%以下であることを特徴とする粘着シート。
(1)端縁幅領域における粘着シートのゲル分率が、中央領域における粘着シートのゲル分率より大きい。
(2)粘着シートの厚さをd[mm]とした時、30d<w<100dを満たす。 - 長尺な粘着シートであることを特徴とする請求項12に記載の粘着シート。
- 前記端縁幅領域のゲル分率が15~100%であることを特徴とする請求項13に記載の粘着シート。
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