JP7038270B2 - マンガン、鉄、ケイ素、リン、及び窒素を含む磁気熱量材料 - Google Patents

マンガン、鉄、ケイ素、リン、及び窒素を含む磁気熱量材料 Download PDF

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Description

本発明は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素を含む磁気熱量材料、磁気熱量材料を製造する方法、冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置における磁気熱量材料の使用、及び、本発明による少なくとも1種の磁気熱量材料を含む上記に対応する装置に関する。
磁気熱量材料は、磁気熱量効果、すなわち変動する外部磁場に当該材料を曝すことによって生じる温度変化を示す材料である。磁気熱量材料のキュリー温度の近傍の周囲温度で、磁気熱量材料へ外部磁場を印加すると、磁気熱量材料のランダムに配向していた磁気モーメントの整列が起こり、したがって磁気相転移が生じる。これは、当該材料のキュリー温度が該周囲温度を超えて誘発的に上昇するものとして説明することもできる。この磁気相転移は、磁気エントロピーの損失を意味し、また、断熱条件下で、フォノン生成による磁気熱量材料の結晶格子のエントロピー寄与の増加につながる。したがって、外部磁場を印加する結果として、磁気熱量材料の加熱が起こる。
磁気熱量効果の技術的応用例では、発生した熱が、例えば、水などの熱伝達媒体の形態のヒートシンクへ熱移動することにより磁気熱量材料から除去される。その後における外部磁場の除去は、キュリー温度が周囲温度未満に戻って低下すると説明することができ、したがって磁気モーメントをランダムな配置に戻すことができる。このことは、磁気エントロピーの増加と、磁気熱量材料自体の結晶格子のエントロピー寄与の減少とを引き起こし、したがって、断熱プロセス条件で、周囲温度よりも低く磁気熱量材料が冷却されることになる。上述したプロセスサイクルは、磁化及び減磁を含むものであって、典型的には、技術的応用領域で周期的に行われている。
重要な部類の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、及びリンを含む化合物である。当該材料及びその調製方法は、一般的に、WO2004/068512に記載されている。US2011/0167837及びUS2011/0220838には、マンガン、鉄、ケイ素、及びリンからなる磁気熱量材料が開示されている。また、WO2015/018610、WO2015/018705及びWO2015/018678は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、及びホウ素からなる磁気熱量材料について開示している。
WO2009/133047A2には、とりわけ、式(I)の化合物から選択される磁気熱量材料が開示されている。
(A1-y2+δ (I)
式中、
AはMn又はCoであり、
BはFe、Cr又はNiであり、
C、D、及びEは、ゼロになることのない(non-vanishing)濃度を有し、P、B、Se、Ge、Ga、Si、Sn、N、As、及びSbからなる群から選択され、C、D、及びEの少なくとも2つは異なっており、C、D、及びEの少なくとも1つはGe又はSiであり、
δは-0.1~0.1の範囲の数であり、
w、x、y、zは0~1の範囲の数であり、ここでw+x+z=1である。
関連する文献には、また下記のものがある。
- W.B.Cuiら:「Mn(As、Si)における相転移及び磁気熱量効果に対する格子間窒素効果(招待)」(“Interstitial-nitrogen effect on phase transition and magnetocaloric effect in Mn (As, Si) (invited)”)、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、vol.107、no.9、2010年5月3日、9A938-9A938頁;
- F.Guillouら:「巨大磁気熱量材料における一次転移の調和」(“Taming the First-Order Transition in Giant Magnetocaloric Materials”)、ADVANCED MATERIALS、vol.26、no.17、2014年5月22日、2671~2675頁;
- F.Guillouら:「MnFe(P、Si)磁気熱量材料中のホウ素添加:格子間対置換の概要」(“Boron addition in MnFe (P, Si) magnetocaloric material: interstitial vs. substitutional scenarii”)、PHYSICA STATUS SOLIDI C、vol.11、no.5-6、2014年5月27日、1007~1010頁;
- M.Balliら:「LaFe11.2Si1.3化合物の磁気及びエントロピー変化に及ぼす格子間窒素の影響」(“Effect of interstitial nitrogen on magnetism and entropy change of LaFe11.2Si1.3 compound”)、JOURNAL OF MAGNETISM AND MAGNETIC MATERIALS、vol.321、no.2、2009年1月1日、123~125頁。
WO2004/068512 US2011/0167837 US2011/0220838 WO2015/018610 WO2015/018705 WO2015/018678 WO2009/133047A2
W.B.Cuiら:「Mn(As、Si)における相転移及び磁気熱量効果に対する格子間窒素効果(招待)」("Interstitial-nitrogen effect on phase transition and magnetocaloric effect in Mn (As, Si) (invited)")、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、vol.107、no.9、2010年5月3日、9A938-9A938頁 F.Guillouら:「巨大磁気熱量材料における一次転移の調和」("Taming the First-Order Transition in Giant Magnetocaloric Materials")、ADVANCED MATERIALS、vol.26、no.17、2014年5月22日、2671~2675頁 F.Guillouら:「MnFe(P、Si)磁気熱量材料中のホウ素添加:格子間対置換の概要」("Boron addition in MnFe (P, Si) magnetocaloric material: interstitial vs. substitutional scenarii")、PHYSICA STATUS SOLIDI C、vol.11、no.5-6、2014年5月27日、1007~1010頁 M.Balliら:「LaFe11.2Si1.3化合物の磁気及びエントロピー変化に及ぼす格子間窒素の影響」("Effect of interstitial nitrogen on magnetism and entropy change of LaFe11.2Si1.3 compound")、JOURNAL OF MAGNETISM AND MAGNETIC MATERIALS、vol.321、no.2、2009年1月1日、123~125頁
本発明の目的は、磁気熱量効果の技術的応用を促進する有利な特性をもつ新しい磁気熱量材料を提供することであった。
したがって、本発明によれば、
- マンガン、及び
- 鉄、及び
- ケイ素、及び
- リン、及び
- 窒素
を含む磁気熱量材料が提供される。
式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5(z=0.00、0.01、0.03、0.05及び0.07)の材料の、150K及び500K(それぞれ強磁性及び常磁性状態)で測定した粉末X線回折(XRD)パターンを示す。 式Mn1.25Fe0.700.5-zSi0.5(z=0.00、0.01、0.03及び0.07)の材料の粉末X線回折(XRD)パターン(上側)及び式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5-z(z=0.00、0.01、0.03及び0.05)の材料の粉末X線回折(XRD)パターン(下側)を示す。 式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5(z=0.00、0.01、0.03、0.05及び0.07)の材料の、磁場1Tにおける冷却及び加熱(掃引速度2k/min)時に記録された磁化の温度依存性(磁化曲線)を示す。 式Mn1.25Fe0.700.5-zSi0.5(z=0.00、0.01、0.03及び0.07)の材料(図4A)、及び式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5-z(z=0.00、0.01、0.03及び0.05)の材料(図4B)に関する、1Tの磁場中の冷却及び加熱(掃引速度2k/min)時に記録された磁化の温度依存性(磁化曲線)を示す。 マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料を熱サイクル試験に供した場合、その材料の機械的安定性に及ぼす窒素原子の影響を示す。
驚くべきことに、マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料にあっては、窒素原子の存在が、窒素原子を含まない、マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料と比較して、機械的安定性を高めることが見出された。このことは、本発明に係る初期状態の磁気熱量材料を液体窒素中で冷却してバージン効果を取り除くときの元の磁気熱量材料の挙動から明らかである。液体窒素中で冷却すると、本発明に係る磁気熱量材料は、容易に断片化されるような、鉄、マンガン、ケイ素及びリンからなる(すなわち、窒素を含有しない)初期状態の磁気熱量材料と比較して、物理的な形態で存続する。
磁気熱量材料の機械的安定性は、以下の理由から重要な問題である。すなわち、磁気熱量効果は、対応する磁気相転移が一次性(first order nature)である場合に最も顕著である。これは、磁気転移が一次であるときに起こる磁化の不連続な変化に起因する。他方、一次磁気転移は、結晶構造を有する磁気熱量材料の場合、基本セル(elementary cell)のパラメータを含む、その材料の他の物理的パラメータの不連続をもたらす。これにより、対称性破壊、基本セルの体積変化、セルのパラメータの異方性変化などが引き起こされる。熱サイクル又は磁場サイクルの間、基本セルの体積変化によって生成される歪みは、磁気熱量材料のバルク片の破砕又は破壊にまで発展することがあり、このようなことは技術的応用面では許容できない。したがって、一次性の磁気相転移を示し、かつ、磁気相転移中の基本セルの体積変化が非常に小さい磁気熱量材料が望ましい。
さらに、キュリー温度Tc、磁気エントロピー変化ΔSm及び熱ヒステリシスΔThysのような磁気熱量挙動の重要なパラメータは、窒素(及び任意にホウ素)の量を変えることによって調整することが可能であることが見出された。
本発明の特定の好適な磁気熱量材料はさらにホウ素を含む。したがって、本発明の特定の好適な磁気熱量材料は、
- マンガン、及び
- 鉄、及び
- ケイ素、及び
- リン、及び
- 窒素、及び
- ホウ素
を含む。
本発明の特に好適な磁気熱量材料は
- マンガン、及び
- 鉄、及び
- ケイ素、及び
- リン、及び
- 窒素
からなる。
本発明のその他の特に好適な磁気熱量材料は
- マンガン、及び
- 鉄、及び
- ケイ素、及び
- リン、及び
- 窒素、及び
- ホウ素
からなる。
典型的には、本発明に係る磁気熱量材料は、空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP構造を示す。対応する構造については、M.Bacmannらにより、MnFeP1-yAs組成の磁気熱量材料に関するJournal of Magnetism and Magnetic Materials 134(1994)59-67で記載されている。
空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP構造を示す材料は、ここでは、その材料の体積の90体積%以上を占める主相を含む材料と理解される。該主相は、空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP-構造を有する。空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP-構造の存在は、X線回折パターンによって確認される。
好ましくは、本発明に係る磁気熱量材料は、空間群P-62mを示す結晶格子を有するFeP型の六方晶構造を示し、ここで窒素原子が該結晶格子の結晶位置(crystal sites)及び/又は格子間位置(interstitial sites)を占める。該好適な磁気熱量材料にホウ素原子が存在する場合、そのホウ素原子は空間群P-62mの該結晶格子の結晶位置を専ら占める。すなわち、該結晶格子の格子間位置にホウ素原子は存在しない。
形式的には、本発明の特定の好適な磁気熱量材料は、空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP構造を有し、かつ、鉄、マンガン、リン及びケイ素からなる(すなわち、窒素もホウ素も含まない)対応する母材(親材料)に由来するものと考えることができる。本発明の前記好適な磁気熱量材料にあっては、空間群P-62mを示す結晶格子を有する六方晶FeP構造の結晶位置を占める窒素原子が、対応する母材のリン原子又はケイ素原子と置き換わり、また、格子間位置を占める窒素原子が、対応する母材のリン原子及びケイ素原子に加えて、存在する。対応する母材の鉄原子及びマンガン原子の比は変化しないままである。上記の好適な磁気熱量材料中にホウ素原子が存在する場合には、そのホウ素原子は結晶位置を専ら占有し、それにより、鉄、マンガン、リン及びケイ素からなる対応する母材のさらなるリン原子又はケイ素原子を置換する。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第1の群(グループ)では、窒素原子が空間群P-62mを有する空間格子の結晶位置を占める。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第1の群では、窒素原子が、結晶格子の1b位置及び2c位置からなる群から選択される結晶位置を占める。本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第1の群にあっては、格子間位置は窒素原子に占有されることはない。本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第1の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなることが好ましい。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第2の群では、窒素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位置を占める。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第2の群では、窒素原子が、結晶格子の6k位置及び6j位置からなる群から選択される格子間位置を占める。本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第2の群では、結晶位置は窒素原子によって占有されない。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第2の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなる。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第3の群では、窒素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置(好ましくは、1b位置及び2c位置からなる群から選択される結晶位置)、及び、空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位置(好ましくは、6k位置及び6j位置からなる群から選択された格子間位置)を占める。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第3の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなる。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第4の群では、窒素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置を占め、また、ホウ素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置を占める。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第4の群では、窒素原子が、結晶格子の1b位置及び2c位置からなる群から選択される結晶位置を占め、及び/又は、ホウ素原子は該結晶格子の1b結晶位置を占める。本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第4の群では、格子間位置は窒素及びホウ素のいずれかの原子によっても占有されない。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第4の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素及びホウ素からなる。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第5の群では、窒素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位置を占め、また、ホウ素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置を占める。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第5の群では、窒素原子が、結晶格子の6k位置及び6j位置からなる群から選択される格子間位置を占め、及び/又は、ホウ素原子が該結晶格子の1b結晶位置を占める。本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第5の群では、結晶位置は窒素原子によって占有されず、また、格子間位置はホウ素原子によって占有されない。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第5の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素及びホウ素からなる。
本発明に係る好適な磁気熱量材料の第6の群では、窒素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置(好ましくは、1b位置及び2c位置からなる群から選択される結晶位置)、及び、空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位置(好ましくは、6k位置及び6j位置からなる群から選択される格子間位置)を占め、また、ホウ素原子が、空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置(好ましくは、1b結晶位置)を占める。格子間位置はホウ素原子によって占有されない。好ましくは、本発明に係る好適な磁気熱量材料の上記第6の群の磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素及びホウ素からなる。
本発明に係る好適な磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素からなり、一般式(I)の組成を有する。
(MnFe1-x2+uSi (I)
式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.25≦v≦0.7、好ましくは0.3≦v≦0.6、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04、
0≦w≦0.1、好ましくは0.04≦w≦0.08、
y+v+w≦1
y+v+z+w≧1である。
ホウ素が存在せず(w=0)、窒素原子が結晶位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が格子間位置上に存在しない場合)、y+v<1及びy+v+z=1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第1の群に属する。
ホウ素が存在せず(w=0)、窒素原子が格子間位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が結晶位置上に存在しない場合)、y+v=1及びy+v+z>1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第2の群に属する。
ホウ素が存在せず(w=0)、窒素原子が結晶位置及び格子間位置上に存在する場合、y+v<1及びy+v+z>1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第3の群に属する。
ホウ素が存在する場合(w>0)、そのホウ素原子は専ら結晶位置を占める。
ホウ素が存在し(w>0)、窒素原子が結晶位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が格子間位置上に存在しない場合)、y+v+w<1及びy+v+z+w=1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第4の群に属する。
ホウ素が存在し(w>0)、窒素原子が格子間位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が結晶位置上に存在しない場合)、y+v+w=1及びy+v+z+w>1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第5の群に属する。
ホウ素が存在し(w>0)、窒素原子が結晶位置上及び格子間位置上に存在する場合、y+v+w<1及びy+v+z+w>1である。そのような式(I)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第6の群に属する。
ある場合には、本発明に係る好適な磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなり、一般式(II)に従う組成を有する。
(MnFe1-x2+uSi (II)
式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.25≦v≦0.7、好ましくは0.3≦v≦0.6、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04、
y+v≦1、
y+v+z≧1である。
窒素原子が結晶位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が格子間位置上に存在しない場合)、y+v<1及びy+v+z=1である。そのような式(II)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第1の群に属する。
窒素原子が格子間位置上にのみ存在する場合(すなわち、窒素原子が結晶位置上に存在しない場合)、y+v=1及びy+v+z>1である。そのような式(II)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第2の群に属する。
窒素原子が結晶位置上及び格子間位置上に存在する場合、y+v<1及びy+v+z>1である。そのような式(II)に従う好適な磁気熱量材料は、上述した、本発明に係る好適な磁気熱量材料の第3の群に属する。
本発明に係る特に好適な磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなり、一般式(III)に従う組成を有する。
(MnFe1-x2+uSi1-y (III)
式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04である。
式(III)に従う磁気熱量材料において、窒素原子は格子間位置上にのみ存在する(すなわち、窒素原子は結晶位置上にはない)。
本発明に係る他の特に好適な磁気熱量材料は、マンガン、鉄、ケイ素、リン及び窒素からなり、一般式(IV)に従う組成を有する。
(MnFe1-x2+uSi1-yーz (IV)
式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04である。
式(IV)に従う磁気熱量材料において、窒素原子は結晶位置上にのみ存在する(すなわち、窒素原子は格子間位置上にはない)。
本発明の特に好適な磁気熱量材料は
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.01
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.03
Mn1.25Fe0.70.49Si0.50.01
Mn1.25Fe0.70.5Si0.490.01
Mn1.25 Fe0.70.5Si0.50.05
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.07
Mn1.25Fe0.70.47Si0.50.03
Mn1.25Fe0.70.43Si0.50.07
MnFe0.950.45Si0.550.02
MnFe0.950.44Si0.500.060.02
Mn1.25Fe0.700.47Si0.530.01
からなる群から選択されるものである。
本発明に係る好適な磁気熱量材料は、
- 80K~500Kの範囲、好ましくは230K~340Kの範囲にあるキュリー温度Tc、
及び/又は
- 6J kg-1-1以上、好ましくは9J kg-1-1以上、より好ましくは12J kg-1-1以上の磁気エントロピー変化ΔSm(いずれの場合も1テスラの磁場変化で)
及び/又は
- 10K以下、好ましくは5K以下、より好ましくは3K以下の熱ヒステリシスΔThys(いずれの場合もゼロ磁場中、2K/minの掃引速度で)
及び/又は
- 1%以下、好ましくは0.2%以下の、磁気相転移中の基本セル(elementary cell)の体積変化
を示す。
本発明に係る好適な磁気熱量材料は、上記の2つ以上の好ましい特徴を組み合わせて示すものである。本発明に係る特に好ましい磁気熱量材料は、
- 80K~500Kの範囲、好ましくは230K~340Kの範囲にあるキュリー温度Tc、
及び
- 6J kg-1-1以上、好ましくは9J kg-1-1以上、より好ましくは12J kg-1-1以上の磁気エントロピー変化ΔS(いずれの場合も1テスラの磁場変化で)
及び
- 10K以下、好ましくは5K以下、より好ましくは3K以下の熱ヒステリシスΔThys(いずれの場合もゼロ磁場中、2K/minの掃引速度で)
及び
- 1%以下、好ましくは0.2%以下の、磁気相転移中の基本セルの体積変化
を示す。
キュリー温度Tc及び熱ヒステリシスΔThysは、示差走査熱量測定(DSC)ゼロ磁場測定から決定される。磁気エントロピー変化ΔSは、マクスウェルの関係式を用いた等磁場磁化測定から導かれる。磁気相転移中の基本セルの体積変化は、ゼロ磁場中のT付近の温度範囲における温度の関数としてのX線回折パターンから決定される。
本発明の好適な磁気熱量材料は、一次性の磁気相転移を示す。磁気相転移の一次性は、キュリー温度Tc近傍の外部磁場を印加したときの磁化の線形以上の(more than linear)変化により明らかである。
更なる態様において、本発明は、本発明に係る磁気熱量材料を製造する方法を提供する。該方法は下記の工程:
(a)マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素の元素の原子を含む前駆体の混合物を用意する工程、ここで該前駆体の混合物中における元素の原子の総数の化学量論比は、この方法で製造される磁気熱量材料中の元素の原子数の化学量論比に相当するものであり、
(b)工程(a)で用意した混合物を固相及び/又は液相で反応させ、固体又は液体の反応生成物を得る工程、また、反応生成物が液体反応生成物である場合には、液体反応生成物を固相に変換して固体反応生成物を得る工程、
(c)工程(b)で得た固体反応生成物を所望により成形して、成形した固体反応生成物を得る工程、
(d)工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を熱処理して、熱処理した生成物を得る工程、
(e)工程(d)で得た熱処理した生成物を冷却して、冷却した生成物を得る工程、及び
(f)任意に、工程(e)で得た冷却した生成物を成形する工程
を含む。
工程(a)で用意する前駆体の混合物にあっては、マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素の元素の原子の総量の化学量論比を、その化学量論比が、この方法で製造する磁気熱量材料中の該元素の原子の化学量論比に相当するように調整する。該前駆体混合物中の元素の原子の総量は、当該元素を含有する該混合物中に存在するすべての前駆体中の当該元素の原子の量の合計である。
前駆体の混合物にあっては、マンガン、鉄、ケイ素、リン、及び任意にホウ素は、それぞれ元素の形態で及び/又は当該元素の1種以上を含む化合物の形態で、好ましくは当該元素の2種以上からなる化合物又は当該元素の1種と窒素とからなる化合物の形態で、存在する。前駆体の混合物において、窒素は、好ましくは、窒素が負の酸化数を有する1種以上の化合物の形態で存在する。
工程(a)で用意する前駆体の混合物は、好ましくは、元素マンガン、元素鉄、元素ケイ素、元素リン、元素ホウ素、鉄の窒化物、鉄のホウ化物、マンガンのホウ化物、鉄のリン化物、マンガンのリン化物、アンモニアガス、及び窒素ガスからなる群から選択される1種以上の物質を含む。
前駆体の特に好ましい混合物は、マンガン、鉄、赤リン、ケイ素、及び鉄窒化物を含むか又はそれらからなるものである。
工程(a)は、任意の適切な方法によって実施する。好ましくは、前駆体は粉末であり、及び/又は、前駆体の混合物は粉末混合物である。必要であれば、その混合物を粉砕して、微結晶性粉末混合物を得る。混合する作業にはボールミル処理期間を含めてもよく、これにより後続の工程(b)(下記参照)で固体状態の前駆体混合物を反応させるのに適した条件を整える。
工程(b)では、工程(a)で用意する混合物を固体及び/又は液相で反応させる。すなわち、工程(b)の全期間にわたって固相で行って個体反応生成物を得るように反応を行うか、又は工程(b)の全期間にわたって液相で反応させて液体反応生成物を得るように反応を行う。あるいは、工程(b)による反応には、固相で反応を行う1つ以上の期間と、液相で反応を行う1つ以上の期間とを含む。好ましい場合にあっては、工程(b)での反応操作は、反応操作を固相で行う第1の期間と、それに続いて、工程(b)で得られる反応生成物が液体の反応生成物となるように、反応操作を液相で行う第2の期間とからなる。工程(b)は保護ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
本発明に係る好適な方法にあっては、工程(b)において、混合物の反応が、ボールミル粉砕により固相の混合物を反応させて粉末形態の反応生成物を得ることを含む。
本発明に係る別の好適な方法では、工程(b)において、混合物を反応させることが、前駆体の混合物を一緒に溶融することにより液相の混合物を反応させることを含む。例えば、誘導炉中で、好ましくは保護ガス(例えばアルゴン)雰囲気下及び/又は密閉容器内で行うことができる。
工程(b)で得られた反応生成物が液体反応生成物である場合、工程(b)は、また、該液体反応生成物を固相に変換して固体反応生成物を得る工程を含む。該液体反応生成物を固相に変換するには、任意の適切な方法、例えば、急冷、溶融紡糸又は噴霧化により行うことができる。
急冷とは、当該液体反応生成物が静止状態の空気と接触する状態でその温度が低下する場合よりも速く低下するように、工程(b)で得られた液体反応生成物を冷却することを意味する。
溶融紡糸では、工程(b)で得た液体反応生成物を冷却金属製回転ロール又はドラム上に噴射(スプレー)する。典型的にはドラム又はロールは銅製である。スプレーノズルの上流を高圧に、スプレーノズルの下流を減圧にしてスプレー処理を行うことができる。典型的には、回転ドラム又はロールを冷却する。ドラム又はロールは、好ましくは10~40m/s、特に20~30m/sの表面速度で回転する。ドラム又はロール上で、液体組成物は、好ましくは10~10K/sの速度、より好ましくは少なくとも10K/sの速度、特に0.5~2×10K/sの速度で冷却される。なお、保護ガス(例えば、アルゴン)雰囲気下で、溶融紡糸を行うのが好ましい。
噴霧化(atomization)は、工程(b)で得られた液体反応生成物を機械的に小さな液滴になるよう崩壊・解体させるものに相当する。例えば、ウォータージェット、オイルジェット、ガスジェット、遠心力又は超音波エネルギーを用いて行うことができる。液滴は固化し、基材上に集める。
本発明の好ましい方法では、工程(b)において混合物を反応させることには、液相の混合物を反応させること(例えば、前駆体の混合物を一緒に溶融すること)を含み、得られた液体反応生成物の固相への変換は、急冷、溶融紡糸又は噴霧化によって実施される。
工程(c)は、任意の適切な方法によって実施する。例えば、工程(b)で得られた反応生成物が粉末である場合、工程(c)において、工程(b)で得られた当該粉末を、プレス成形、モールド成形、圧延加工、押出し(特に熱間押出し)成形、又は金属射出成形により成形する。
工程(d)は、任意の適切な方法によって実施する。工程(d)において、工程(b)で得られた固体反応生成物又は工程(c)で得られた成形した固体反応生成物が曝す最高温度は、工程(b)で得られた固体反応生成物又は工程(c)で得られた成形した固体反応生成物の融点より低い温度である。工程(d)は、構造的欠陥を修復し、工程(b)で得られた反応生成物を熱力学的に安定化させ、及び/又は工程(c)で得られた成形した固体反応生成物を強化及び圧縮するために、材料の粒子を一緒に融合させることで実施する。
好ましくは、工程(d)において、その熱処理は、工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を、好ましくは保護ガス雰囲気下で焼結(sintering)することからなる。
本発明に係る特に好適な方法では、工程(d)において、その熱処理は、
- 工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を1000℃~1200℃の範囲の温度で焼結すること、
- 任意に、750℃~950℃の範囲の温度で焼結生成物を焼きなます(annealing)こと、
- 焼結し、また、任意に焼きなました生成物を最高100K/sまでの冷却速度で室温に冷却すること、
- 任意に、冷却した生成物を再加熱すること、及び1000℃~1200℃の範囲の温度で再焼結すること
を包含する。
さらに、工程(d)において、その熱処理は、
- 工程(c)で得た成形した固体反応生成物を1000℃~1200℃の範囲の温度で焼結すること、
- 750℃~950℃の範囲の温度で焼結生成物を焼きなしすること、
- 焼結し、また、焼きなました生成物を最高100K/sまでの冷却速度で室温に冷却すること、
- 冷却した生成物を再加熱すること、及び1000℃~1200℃の範囲の温度で再焼結すること
を包含する。
この工程(d)を実施する好適な態様では、焼結の段階中、材料粒子が一緒に融合され、成形した固体反応生成物の材料粒子間の凝集が増大し、気孔率が低減し、焼きなましの段階中で、結晶構造が均質化され、結晶欠陥が修復される。
工程(d)内で、焼結し、また任意に、焼きなました生成物の冷却は、オーブン(「オーブン冷却」としての専門家に知られている)の電源を切ることによって実施することができる。
工程(e)は、任意の適切な方法によって実施する。本発明に係る好適な方法において、工程(e)は、工程(d)で得た熱処理生成物を、好ましくは200K/s以下、好ましくは100K/s以下(≦)、最も好ましくは25K/s以下(≦)の急冷速度で、液体又は気体媒体と接触させることを含む。
特に好ましくは、急冷は、工程(d)で得た熱処理生成物を水又は水性液体、例えば冷却水又は氷/水混合物と接触させることによって実施する。例えば、工程(d)で得た熱処理生成物を氷冷した水中に入れる。また、工程(d)で得た熱処理生成物を液体窒素のような過冷却ガスで急冷することも可能である。
液体窒素中で冷却することにより、初期状態の磁気熱量材料のバージン効果が除去される。本発明に係る初期状態の磁気熱量材料は、容易に断片化される、鉄、マンガン、ケイ素及びリンからなる(すなわち、窒素を含有しない)初期状態の磁気熱量材料と比較して、液体窒素中で冷却するとき、その材料の物理的形態に留まることに留意することが重要である。言い換えれば、窒素を存在させることで、鉄、マンガン、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料の機械的安定性の向上がもたらされるものと思われる。
工程(f)は、任意の適切な方法によって実施する。例えば、工程(e)で得た冷却生成物が、所望の技術的応用面に適さない形状(例えば粉末の形態)である場合、工程(f)において、工程(e)で得た当該冷却生成物を成形体に変換する。これは、プレス成形、モールド成形、圧延、押出(特に熱間押出)成形又は金属射出成形によって行うことができる。このようにする代わりに、工程(e)で得た、粉末の形態にある、又は粉末の形態に変換された冷却生成物を結合剤と混合し、この混合物を工程(f)で成形体に変換する。適切な結合剤はオリゴマー結合系及びポリマー結合系であるが、低分子量の有機化合物、例えば糖類を使用することも可能である。この混合物の成形は、鋳造、射出成形によって、又は押出成形によって行うことが好ましい。結合剤は成形体中に残存するか、あるいは、その結合剤を触媒的又は熱的に除去してモノリス構造の多孔質体を形成する。
本発明に係る好適な方法は、上記の2つ以上の好ましい特徴を組み合わせて示す方法である。
更なる態様において、本発明は、冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器、及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置における、本発明に係る磁気熱量材料の使用に関する。好ましくは、該磁気熱量材料は上述の好適な磁気熱量材料の1つである。
更なる態様において、本発明は、冷却システム、熱交換器、熱ポンプ、熱電対発生器及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置であって、本発明に係る少なくとも1種の磁気熱量材料を含む装置に関する。好ましくは、該磁気熱量材料は上述の好適な磁気熱量材料の1つである。
本発明について、以下の実施例によってさらに説明する。
磁気熱量材料の調製
工程(a)
表1に記載の本発明に係る磁気熱量材料を調製するために、各場合において、表1に示す量(グラム)の、元素状マンガン、元素状鉄、窒化鉄(公称組成は大体FeN)、元素状赤リン、元素状ケイ素及び任意に元素状ホウ素(それぞれ粉末の形態である)の前駆体からなる混合物15gを用意した。本発明に従っていない比較用材料を調製するために、表1に示すように、元素状マンガン、元素状鉄、元素状赤リン及び元素状ケイ素(それぞれ粉末の形態である)の前駆体からなる混合物を準備した。前駆体混合物においては、鉄、マンガン、リン、ケイ素、窒素(存在する場合)及びホウ素(存在する場合)の原子の総量の化学量論比が、製造する磁気熱量材料(表1の「組成」欄の式)中の、鉄、マンガン、リン、ケイ素、窒素(存在する場合)及びホウ素(存在する場合)の原子の化学量論比に対応するように、前駆体の割合を調整する。
工程(b)
本発明に係る磁気熱量材料を、4つの粉砕ボール締結具を備えた遊星型ボールミル(Fritsch Pulverisette)を用いて、工程(a)で用意した混合物を固相で反応させることにより調製した。各粉砕ボウル(80ml容積)には、炭化タングステン製の7つのボール(直径10mm)と工程(a)で調製した前駆体混合物15gとが含まれている。混合物を、アルゴン雰囲気下、380rpmの一定回転速度で10時間ボールミル粉砕した。(ボールミルでの合計時間は16.5時間であり、当該機械は15分間のミル粉砕ごとに10分間ミル粉砕を停止する。)
工程(c)
ボールミル処理した後、このようにして得た粉末形態の反応生成物を、圧力1.47kPa(150kgf・cm-2)の液圧プレス装置内で小粒径の錠剤(直径12mm、高さ5~10mm)に圧縮した。
工程(d)
プレスした後、錠剤を20kPa(200mbar)のアルゴン雰囲気中で石英アンプル内に密封した。次に、その試料を1100℃で2時間焼結し、850℃で20時間焼きなましし、次いで、オーブンをオフにして室温までゆっくりと冷却して(「オーブン冷却」として専門家に知られている)から、1100℃で20時間再焼結して均質な組成物を得た。
工程(e)
工程(d)の熱処理を、そのアンプルを水と接触させることによって終了させた。
上記の方法で調製した磁気熱量材料の組成及び対応する前駆体混合物の組成を下記の表1に示す。
Figure 0007038270000001
磁気熱量材料の試料調製及び特性評価
上述したように調製した磁気熱量材料を液体窒素中で冷却してバージン効果を取り除いた。次に、磁気熱量材料を、乳鉢を用いて手動で粉砕し、測定用の粉末を調製した。最も興味深いことに、本発明に係る初期状態の磁気熱量材料は、容易に断片化されるような、鉄、マンガン、ケイ素及びリンからなる(すなわち、窒素を含有しない)初期状態の磁気熱量材料と比較して、液体窒素中で冷却するときそれ自体の物理的な形態で存続する。言い換えれば、窒素を存在させることで、鉄、マンガン、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料の機械的安定性の向上がもたらされるものと思われる。
すべての試料の結晶構造について、Cu-Kα線を有するPANalytical X-pert Pro回折計を用いるX線粉末回折によって特徴付けを行った。精密化は、Fullprofプログラムを使用して行った。
液体窒素冷却装置を備えた示差走査熱量計(DSC)を用いて比熱を測定した。測定は10K/minの掃引速度で行った。キュリー温度Tcは、DSCゼロ磁場測定(加熱曲線)から決定した。
磁気測定を、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)マグネットメーター(Quantum Design MPMS 5XL)の往復サンプルオプション(RSO)モードを使用して実施した。磁気エントロピー変化ΔSmは、マクスウェル関係式を用いる等磁場磁化測定から導かれる。
結果
結晶構造
図1は、式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5(z=0.00、0.01、0.03、0.05及び0.07)の材料の、150K及び500K(それぞれ強磁性及び常磁性状態)で測定した粉末X線回折(XRD)パターンを示す。全ての試料が、六方晶FeP型結晶構造を示し、この物質群でしばしば観察されるように、少量の(Mn、Fe)Si及びMnOを不純物相として示す。窒素含有量が増加すると、X線パターンは徐々に変化する。付加的な反射は観察されず、これは窒素がFeP型構造に完全に収容されていることを示している。
図2は、式Mn1.25Fe0.700.5-zSi0.5(z=0.00、0.01、0.03及び0.07)の材料の粉末X線回折(XRD)パターン(上側)及び式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5-z(z=0.00、0.01、0.03及び0.05)の材料の粉末X線回折(XRD)パターン(下側)を示す。これらの材料では、対応する母材Mn1.25Fe0.700.5Si0.5(z=0)のリン原子又はケイ素原子が窒素原子で置換されている。窒素原子によるリン原子及びケイ素原子の置換は、z=0.01の場合、対応する母材(z=0)に対して構造変化をもたらさない。しかしながら、z≧0.03では、FeN不純物相が観察される。
図1及び2において、記号「a.u.」は「任意の単位」を意味する。
磁気熱量挙動
図3は、式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5(z=0.00、0.01、0.03、0.05及び0.07)の材料の、磁場1Tにおける冷却及び加熱(掃引速度2k/min)時に記録された磁化の温度依存性(磁化曲線)を示す。キュリー温度Tcは、窒素含有量が増加するにつれて減少する。一方、窒素含有量が増加すると、自発磁化が徐々に減少し、また、熱ヒステリシスがわずかに増加するようになる。しかし、すべての材料についてヒステリシスは比較的小さく、したがって、磁気転移の一次性が明らかである。これは、通常、大きな磁気熱量効果をもたらすものである。
図4A及び図4Bは、式Mn1.25Fe0.700.5-zSi0.5(z=0.00、0.01、0.03及び0.07)の材料(図4A)、及び式Mn1.25Fe0.700.5Si0.5-z(z=0.00、0.01、0.03及び0.05)の材料(図4B)に関する、1Tの磁場中の冷却及び加熱(掃引速度2k/min)時に記録された磁化の温度依存性(磁化曲線)を示す。キュリー温度Tc及び自発磁化は、図3に示す結果と比較して、窒素含有量が増加するにつれてより速く減少している。また、窒素含有量が増加すると、熱ヒステリシスがわずかに増加する。
本発明に係る材料及び比較用材料(Mn1.25Fe0.70.5Si0.5及びMn1.25Fe0.700.47Si0.53)に関する、キュリー温度Tc、熱ヒステリシスΔThys及び磁気エントロピー変化ΔSmのパラメータを下記の表2に列挙する。
Figure 0007038270000002
表2の最後に列記した2つの試料から、場合によってはホウ素の存在が熱ヒステリシスを減少させることが明らかである。
機械的安定性
図5は、マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料を熱サイクル試験に供した場合、その材料の機械的安定性に及ぼす窒素原子の影響を示す。熱サイクリングの前(図5の左側)及び熱サイクリングの後(図5の右側)に、材料試料のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を撮影した。いずれの場合も-50℃~+50℃の3回の熱サイクルを加熱速度、冷却速度それぞれ0.5K/minで実施した。
図5の上側部分は、組成Mn1.25Fe0.700.47Si0.530.01を有する本発明に係る材料の試料のSEM画像(左側-熱サイクリングの前、右側-上記のように定義した3回の熱サイクルの後)を示す。図5の下側部分は、組成Mn1.25Fe0.700.47Si0.53を有する比較用材料の試料のSEM画像(左側-熱サイクリングの前、右側-上記のように定義した3回の熱サイクルの後)を示す。
比較用材料の試料のSEM画像は、熱サイクリング中に広い深い亀裂が形成されたことを示しているが、本発明に係る材料の試料のSEM画像は、熱サイクリング後にそのような亀裂を示していない。これは、マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料においては、窒素原子の存在が、窒素原子を含まない、マンガン、鉄、ケイ素及びリンを含む磁気熱量材料と比較して、機械的安定性を増強することを示す更なる証拠である。
実施形態:
1.磁気熱量材料であって、
- マンガン、及び
- 鉄、及び
- ケイ素、及び
- リン、及び
- 窒素、及び
- 任意に、ホウ素
を含む磁気熱量材料。
2.磁気熱量材料が、空間群P-62mを有する結晶格子を有するFeP型の六方晶構造を示すものであり、
窒素原子が該結晶格子の結晶位置及び/又は格子間位置を占め、
ホウ素原子が存在する場合には、ホウ素原子は空間群P-62mを有する六方晶系に従う該結晶格子の結晶位置を、好ましくは1b位置を占める
実施態様1に記載の磁気熱量材料。
3.窒素原子が
-空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置、好ましくは1b及び2c位置からなる群から選択される結晶位置、
及び/又は
-空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位置、好ましくは6k及び6j位置からなる群から選択される格子間位置
を占める実施態様2に記載の磁気熱量材料。
4.磁気熱量材料が、一般式(I)
(MnFe1-x2+uSi (I)
(式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.25≦v≦0.7、好ましくは0.3≦v≦0.6、
0≦w≦0.1、好ましくは0.04≦w≦0.08、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04、
y+v+w≦1、
y+v+z+w≧1である)
に従う組成を有する前記実施態様のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
5.磁気熱量材料が、一般式(II)
(MnFe1-x2+uSi (II)
(式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.25≦v≦0.7、好ましくは0.3≦v≦0.6、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04、
y+v≦1、
y+v+z≧1
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04である)
に従う組成を有する実施態様1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
6.磁気熱量材料が、一般式(III)
(MnFe1-x2+uSi1-y (III)
(式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04である)
に従う組成を有する実施態様1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
7.磁気熱量材料が、一般式(IV)
(MnFe1-x2+uSi1-yーz (IV)
(式中、
-0.1≦u≦0.1、好ましくは-0.05≦u≦0.05、
0.2≦x≦0.8、好ましくは0.3≦x≦0.7、より好ましくは0.35≦x≦0.65、
0.3≦y≦0.75、好ましくは0.4≦y≦0.7、
0.001≦z≦0.1、好ましくは0.005≦z≦0.07、より好ましくは0.01≦z≦0.04である)
に従う組成を有する実施態様1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
8.磁気熱量材料が、下記
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.01
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.03
Mn1.25Fe0.70.49Si0.50.01
Mn1.25Fe0.70.5Si0.490.01
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.05
Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.07
Mn1.25Fe0.70.47Si0.50.03
Mn1.25Fe0.70.43Si0.50.07
MnFe0.950.45Si0.550.02
MnFe0.950.44Si0.500.060.02
からなる群から選択されるものである前記実施態様のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
9.実施態様1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料を製造する方法であって、下記の工程:
(a)マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素の元素の原子を含む前駆体の混合物を用意する工程、ここで該前駆体の混合物において、該元素の原子の総量の化学量論比は、この方法で製造される磁気熱量材料の該元素の原子の化学量論比に相当するものであり、
(b)工程(a)で用意した混合物を固相及び/又は液相で反応させ、固体又は液体の反応生成物を得る工程、また、反応生成物が液体反応生成物である場合には、液体反応生成物を固相に変換して固体反応生成物を得る工程、
(c)任意で、工程(b)で得た固体反応生成物を成形して、成形した固体反応生成物を得る工程、
(d)工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を熱処理して、熱処理した生成物を得る工程、
(e)工程(d)で得た熱処理した生成物を冷却して、冷却した生成物を得る工程、
(f)任意に、工程(e)で得た冷却した生成物を成形する工程
を含む方法。
10.前記前駆体の混合物が、元素マンガン、元素鉄、元素ケイ素、元素リン、元素ホウ素、鉄の窒化物、鉄のホウ化物、マンガンのホウ化物、鉄のリン化物、マンガンのリン化物、アンモニアガス、及び窒素ガスからなる群から選択される1種以上の物質を含む実施態様9に記載の方法。
11.工程(b)において、混合物の反応が、ボールミル粉砕により固相の混合物を反応させて粉末形態の反応生成物を得ることを含む実施態様9又は10に記載の方法。
12.工程(b)において、混合物の反応が、液相の混合物を反応させることを含み、また、得た液体反応生成物の固相への変換を急冷、溶融紡糸又は噴霧化(atomization)によって実施する実施態様9又は11に記載の方法。
13.工程(d)において、熱処理が、工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を焼結することを含む実施態様9~12のいずれか一項に記載の方法。
14.冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器、及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置での、実施態様1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料の使用。
15.冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器、及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置であって実施態様1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料を少なくとも1種含むことを特徴とする装置。

Claims (15)

  1. 一般式(I)
    (MnFe1-x2+uSi (I)
    (式中、
    -0.1≦u≦0.1、
    0.2≦x≦0.8、
    0.3≦y≦0.75、
    0.25≦v≦0.7、
    0≦w≦0.1、
    0.001≦z≦0.1、
    y+v+w≦1、
    y+v+z+w≧1である)
    に従う組成を有することを特徴とする磁気熱量材料。
  2. 磁気熱量材料が、空間群P-62mを有する結晶格子を有するFeP型の六方晶構造を示すものであり、
    窒素原子が該結晶格子の結晶位置及び/又は格子間位置を占め、
    ホウ素原子が存在する場合には、ホウ素原子は空間群P-62mを有する六方晶系に従う該結晶格子の結晶位置を占める
    請求項1に記載の磁気熱量材料。
  3. 窒素原子が、
    - 空間群P-62mを有する該結晶格子の結晶位置、
    及び/又は
    - 空間群P-62mを有する該結晶格子の格子間位
    を占める請求項2に記載の磁気熱量材料。
  4. 前記磁気熱量材料が、一般式(I)
    (MnFe1-x2+uSi (I)
    (式中、
    -0.05≦u≦0.05、
    0.3≦x≦0.7
    0.4≦y≦0.7、
    0.3≦v≦0.6、
    0.04≦w≦0.08、
    0.005≦z≦0.07
    y+v+w≦1、
    y+v+z+w≧1である)
    に従う組成を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
  5. 前記磁気熱量材料が、一般式(II)
    (MnFe1-x2+uSi (II)
    (式中、
    -0.1≦u≦0.1
    0.2≦x≦0.8
    0.3≦y≦0.75
    0.25≦v≦0.7
    0.001≦z≦0.1
    y+v≦1、
    y+v+z≧1
    0.001≦z≦0.1ある)
    に従う組成を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
  6. 前記磁気熱量材料が、一般式(III)
    (MnFe1-x2+uSi1-y (III)
    (式中、
    -0.1≦u≦0.1
    0.2≦x≦0.8
    0.3≦y≦0.75
    0.001≦z≦0.1ある)
    に従う組成を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
  7. 前記磁気熱量材料が、一般式(IV)
    (MnFe1-x2+uSi1-yーz (IV)
    (式中、
    -0.1≦u≦0.1
    0.2≦x≦0.8
    0.3≦y≦0.75
    0.001≦z≦0.1ある)
    に従う組成を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
  8. 前記磁気熱量材料が、
    Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.01
    Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.03
    Mn1.25Fe0.70.49Si0.50.01
    Mn1.25Fe0.70.5Si0.490.01
    Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.05
    Mn1.25Fe0.70.5Si0.50.07
    Mn1.25Fe0.70.47Si0.50.03
    Mn1.25Fe0.70.43Si0.50.07
    MnFe0.950.45Si0.550.02
    MnFe0.950.44Si0.500.060.02
    Mn1.25Fe0.700.47Si0.530.01
    からなる群から選択される請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気熱量材料。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料を製造する方法であって、下記の工程:
    (a)マンガン、鉄、ケイ素、リン、窒素、及び任意にホウ素の元素の原子を含む前駆体の混合物を用意する工程、ここで該前駆体の混合物において、該元素の原子の総量の化学量論比は、この方法で製造される磁気熱量材料の該元素の原子の化学量論比に相当するものであり、
    (b)工程(a)で用意した混合物を固相及び/又は液相で反応させ、固体又は液体の反応生成物を得る工程、また、反応生成物が液体反応生成物である場合には、液体反応生成物を固相に変換して固体反応生成物を得る工程、
    (c)任意で、工程(b)で得た固体反応生成物を成形して、成形した固体反応生成物を得る工程、
    (d)工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を熱処理して、熱処理した生成物を得る工程、
    (e)工程(d)で得た熱処理した生成物を冷却して、冷却した生成物を得る工程、
    (f)任意に、工程(e)で得た冷却した生成物を成形する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  10. 前記前駆体の混合物が、元素マンガン、元素鉄、元素ケイ素、元素リン、元素ホウ素、鉄の窒化物、鉄のホウ化物、マンガンのホウ化物、鉄のリン化物、マンガンのリン化物、アンモニアガス、及び窒素ガスからなる群から選択される1種以上の物質を含む請求項9に記載の方法。
  11. 工程(b)において、混合物の反応が、ボールミル粉砕により固相の混合物を反応させて粉末形態の反応生成物を得ることを含む請求項9又は10に記載の方法。
  12. 工程(b)において、混合物の反応が、液相の混合物を反応させることを含み、また、得た液体反応生成物の固相への変換を急冷、溶融紡糸、又は噴霧化によって実施する請求項9又は10に記載の方法。
  13. 工程(d)において、熱処理が、工程(b)で得た固体反応生成物又は工程(c)で得た成形した固体反応生成物を焼結することを含む請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器、及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置での、請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料の使用。
  15. 冷却システム、熱交換器、ヒートポンプ、熱磁気発生器、及び熱磁気スイッチからなる群から選択される装置であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気熱量材料を少なくとも1種含むことを特徴とする装置。
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