下記の実施形態等において説明する各図は、模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態)
(1)電子デバイスの全体構成
以下、実施形態に係る電子デバイス1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る電子デバイス1は、図1及び2に示すように、実装基板2と、素子3と、パッケージ用カバー部材6と、を備える。素子3は、実装基板2の一面上に配置されている。パッケージ用カバー部材6は、実装基板2の一面上に配置され素子3を覆っている。
パッケージ用カバー部材6は、貫通孔45を有するスペーサ4と、スペーサ4の貫通孔45を塞ぐようにスペーサ4上に配置されているカバー5と、を備えている。スペーサ4は、カバー5に対向する第1面41と、カバー5とは反対側の第2面42と、を含む。パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4とカバー5とが接合されている。電子デバイス1は、実装基板2とパッケージ用カバー部材6とを含むパッケージ7を備えている。電子デバイス1は、実装基板2とスペーサ4とカバー5とで囲まれた空間8を不活性ガス雰囲気としてある。不活性ガス雰囲気は、例えば、N2ガス雰囲気である。
本実施形態に係る電子デバイス1は、発光装置である。また、実装基板2は、素子3が実装される実装基板であり、第1導体部21及び第2導体部22を有する。また、実装基板2は、パッケージ用カバー部材6と接合するための第1接合用金属層23を有する。素子3は、発光素子である。素子3は、第1導体部21に電気的に接続された第1電極31と第2導体部22に電気的に接続された第2電極32と、を有する。素子3は、実装基板2にフリップチップ実装されている。
電子デバイス1では、第1電極31と第1導体部21とが、第1接合部61により接合され、第2電極32と第2導体部22とが、第2接合部62により接合されている。また、電子デバイス1では、スペーサ4の第2面42に設けられた第2接合用金属層43と実装基板2の第1接合用金属層23とが、第3接合部63により接合されている。第1接合用金属層23、第2接合用金属層43及び第3接合部63は、スペーサ4の第2面42の外周縁に沿って全周に亘って形成されている。これにより、電子デバイス1では、スペーサ4が全周に亘って第3接合部63を介して実装基板2と接合されている。電子デバイス1では、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63の各々がAuSnにより形成されている。
電子デバイス1は、例えば、配線基板に実装して用いることができる。配線基板は、マザー基板である。配線基板は、例えば、金属ベースプリント配線板により形成することができる。
(2)電子デバイスの各構成要素
次に、電子デバイス1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
(2.1)実装基板
実装基板2は、素子3を実装する基板である。電子デバイス1では、実装基板2に1つの素子3が実装されている。実装基板2は、平面視において素子3よりも大きい。
実装基板2は、支持体20と、支持体20に支持された第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と、を含んでいる。
支持体20は、平板状であり、厚さ方向において互いに反対側にある表面201及び裏面202を有する。支持体20の外周形状は、正方形状である。支持体20は、AlNセラミックにより形成されている。支持体20は、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23を支持する機能を有する。
第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23は、支持体20の表面201上に形成されている。
第1導体部21は、素子3の第1電極31が電気的に接続される導電層である。第2導体部22は、素子3の第2電極32が電気的に接続される導電層である。
第1接合用金属層23は、平面視において第1導体部21及び第2導体部22を囲んでいる。第1接合用金属層23は、支持体20の外周に沿って形成されている。第1接合用金属層23の平面視形状は、矩形枠状である。
第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23の各々は、例えば、支持体20の表面201上のTi膜と、このTi膜上のPt膜と、このPt膜上のAu膜と、の積層膜により構成されている。
実装基板2は、第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25と、支持体20の厚さ方向に貫通して形成された第1貫通配線26及び第2貫通配線27と、を更に含んでいる。第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25は、支持体20の裏面202に形成されている。第1外部接続電極24は、第1貫通配線26を介して第1導体部21と電気的に接続されている。第2外部接続電極25は、第2貫通配線27を介して第2導体部22と電気的に接続されている。第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25の各々は、例えば、支持体20の裏面202上のTi膜と、このTi膜上のPt膜と、このPt膜上のAu膜と、の積層膜により構成することができる。第1貫通配線26及び第2貫通配線27は、例えば、W、Cu等により形成することができる。
(2.2)素子
素子3として用いる発光素子は、UV-Cの波長域の紫外線を放射する紫外線LEDチップである。紫外線LEDチップの発光ピーク波長は、例えば、275nmである。紫外線LEDチップのチップサイズは、例えば、400μm□(400μm×400μm)である。
素子3は、図3に示すように、基板30と、半導体多層膜39と、第1電極31と、第2電極32と、を備える。
基板30は、その厚さ方向において互いに反対側にある第1面301及び第2面302を有する。基板30の外周形状は、正方形状である。基板30は、半導体多層膜39を支持している。
半導体多層膜39は、基板30の第1面301上に形成されている。半導体多層膜39は、第1導電型半導体層33と、発光層34と、第2導電型半導体層35と、を含んでいる。半導体多層膜39では、基板30側から第1導電型半導体層33、発光層34及び第2導電型半導体層35が、この順に並んでいる。第1導電型半導体層33の外周形は、基板30の外周形と大きさが同じである。発光層34及び第2導電型半導体層35それぞれの外周形は、第1導電型半導体層33の外周形よりも小さい。
素子3では、第1電極31が第1導電型半導体層33と電気的に接続され、第2電極32が第2導電型半導体層35と電気的に接続されている。第1電極31は、第1オーミック電極層31Aと、第1パッド電極層31Bと、を含む。
第1オーミック電極層31Aは、第1導電型半導体層33とオーミック接触を得るために、第1導電型半導体層33の表面331上に形成されている。第1パッド電極層31Bは、例えばAuSnからなる第1接合部61を介して実装基板2と接合するために、第1オーミック電極層31Aを覆うように形成されている。
第2電極32は、第2オーミック電極層32Aと、第2パッド電極層32Bと、を含む。第2オーミック電極層32Aは、第2導電型半導体層35とオーミック接触を得るために、第2導電型半導体層35の表面351上に形成されている。第2パッド電極層32Bは、例えばAuSnからなる第2接合部62を介して実装基板2と接合するために、第2オーミック電極層32Aを覆うように形成されている。
素子3では、基板30は、例えば、サファイア基板である。第1導電型半導体層33は、例えば、n型Al0.60Ga0.40N層である。発光層34は、例えば、基板30の厚さ方向において、複数(例えば、4つ)の障壁層と複数(例えば、4つ)の井戸層とが交互に並んでいる多重量子井戸構造を有する。複数の井戸層の各々は、例えば、Al0.45Ga0.55N層である。複数の障壁層の各々は、例えば、Al0.60Ga0.40N層である。第2導電型半導体層35は、例えば、p型Al0.80Ga0.20N層と、p型GaN層と、を含む。半導体多層膜39は、基板30と第1導電型半導体層33との間に介在するバッファ層(例えば、AlN層)を含んでいる。素子3の光取り出し面は、基板30の第2面302を含む。
(2.3)パッケージ用カバー部材
パッケージ用カバー部材6は、上述のように、スペーサ4と、カバー5と、を含む。
スペーサ4は、カバー5に対向する第1面41と、カバー5とは反対側の第2面42と、を含む。電子デバイス1においては、スペーサ4は、実装基板2とカバー5との間に介在する部材である。したがって、スペーサ4の第2面42は、実装基板2に対向する。電子デバイス1では、スペーサ4の貫通孔45内に素子3が配置されている。スペーサ4の厚さ(高さ)は、素子3の厚さよりも大きい。
スペーサ4は、平面視で、中央に貫通孔45を有する。スペーサ4の平面視での外周形状(スペーサ4の厚さ方向から見たスペーサ4の外周形状)は、正方形状である。スペーサ4は、平面視において実装基板2よりも小さい。より詳細には、スペーサ4の平面視における外周形は、実装基板2の平面視における外周形よりも小さい。言い換えれば、スペーサ4の平面視における外周線は、実装基板2の平面視における外周線よりも内側にある。
スペーサ4は、シリコンにより形成されている。スペーサ4の貫通孔45は、四角錐台状の孔である。貫通孔45は、スペーサ4の厚さ方向(貫通孔45の貫通方向)において第2面42から離れて第1面41に近づくにつれて開口面積が漸次増加している。要するに、貫通孔45は、実装基板2の厚さ方向において実装基板2から離れるにつれて開口面積が漸次増加している。電子デバイス1では、スペーサ4における貫通孔45の内側面が、素子3である紫外線LEDチップから放射された紫外線を反射する反射面の機能を有する。
電子デバイス1は、スペーサ4の第2面42と第2接合用金属層43との間に介在するシリコン酸化膜44を含んでいる。第2接合用金属層43は、例えば、Al膜431とAu膜432との積層膜により構成されている。
カバー5は、平板状である。カバー5の平面視での外周形状(カバー5の厚さ方向から見たカバー5の外周形状)は、正方形状である。カバー5は、平面視において実装基板2よりも小さく、かつ、スペーサ4よりも小さい。より詳細には、カバー5の平面視における外周形は、スペーサ4の平面視における外周形よりも小さい。言い換えれば、カバー5の平面視における外周線は、スペーサ4の平面視における外周線よりも内側にある。
カバー5は、ガラスにより形成されている。より詳細には、カバー5は、素子3である紫外線LEDチップから放射される紫外線を透過するガラスにより形成されている。
カバー5を形成するガラスは、アルカリ成分を含んでいる。アルカリ成分は、例えば、Na、K、Na2O、K2O等である。ここにおいて、カバー5を形成するガラスは、硼珪酸ガラスである。
パッケージ用カバー部材6では、上述のようにスペーサ4がシリコンにより形成され、カバー5がガラスにより形成されているから、スペーサ4とカバー5とが互いに異なる材料により形成されている。また、パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の線膨張係数とカバー5の線膨張係数とが異なる。電子デバイス1では、カバー5とスペーサ4との線膨張係数差に起因してカバー5等に発生する応力を低減する観点から、カバー5とスペーサ4との線膨張係数差がより小さいのが好ましい。パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4とカバー5とが直接接合されている。「直接接合されている」とは、接合材等を用いることなく接合されていることを意味する。スペーサ4とカバー5とは、陽極接合によって直接接合されている。スペーサ4とカバー5とが陽極接合によって直接接合されていることは、例えば、断面TEM像(Cross-Sectional Transmission Electron Microscope Image)の観察結果、EDX法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)による組成分析の結果、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)によって測定した元素の深さプロファイル等によって確認することができる。
パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第2面42の外周形は、第1面41の、スペーサ4の厚さ方向における投影領域の外周形に沿っている。ここにおいて、パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第2面42の外周形は、第1面41の外周形と大きさが異なっている。本実施形態におけるパッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第1面41の外周形が、第2面42の外周形よりも小さい。ここで、スペーサ4は、その厚さ方向において外周形の大きさが漸次変化(本実施形態では、第1面41から第2面42に向かって漸次増加)する領域46を含んでいる。スペーサ4の領域46の外周縁460は、4つの傾斜面461を含んでいる。各傾斜面461それぞれの傾きは、略一定である。したがって、スペーサ4の領域46は、四角錐台状の形状である。また、スペーサ4は、その厚さ方向において第1面41から所定範囲(第1面41と領域46との間)では同一形状の断面を有する。パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第1面41の外周形の大きさとカバー5の外周形の大きさとが略同じである。
(3)電子デバイスの製造方法
以下では、電子デバイス1の製造方法について図4に基づいて簡単に説明する。
電子デバイス1の製造方法では、パッケージ用カバー部材6と、実装基板2と、を接合する前に、図4に示すように、予め、スペーサ4の第2面42にシリコン酸化膜44と第2接合用金属層43との積層構造を設ける一方で、実装基板2の第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23上に第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63それぞれの元になる第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73を設ける。ここにおいて、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73との間に、第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83を設ける。第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83の材料は、例えば、Ptである。また、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73上に、第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93をそれぞれ設ける。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93は、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73のSnの酸化を抑制するために設ける層である。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93の厚さは、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73が溶融したときに、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73へAuが熱拡散され、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と第1電極31、第2電極32及び第2接合用金属層43との接合が行われるように決められている。以下では、第1バリア層81と第1AuSn層71と第1Au層91との積層膜を第1接合用層101と称し、第2バリア層82と第2AuSn層72と第2Au層92との積層膜を第2接合用層102と称する。また、以下では、第3バリア層83と第3AuSn層73と第3Au層93との積層膜を第3接合用層103と称する。第1接合用層101は、少なくとも第1AuSn層71を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。第2接合用層102は、少なくとも第2AuSn層72を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。第3接合用層103は、少なくとも第3AuSn層73を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。
また、電子デバイス1の製造方法では、パッケージ用カバー部材6と実装基板2とを接合する前に素子3を実装基板2に実装し、引き続き、パッケージ用カバー部材6と実装基板2とを接合する。
素子3を実装基板2に実装する際には、素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2上の第1接合用層101、第2接合用層102とが接触するように重ね合わせた状態で、適宜の加熱及び加圧を行いながら第1AuSn層71及び第2AuSn層72を溶融させてから、冷却凝固させることで第1接合部61及び第2接合部62を形成する。ここにおいて、第1AuSn層71が溶融すると、溶融したAuSnに、第1Au層91からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。また、第2AuSn層72が溶融すると、溶融したAuSnに、第2Au層92からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。
パッケージ用カバー部材6と実装基板2とを接合する際には、パッケージ用カバー部材6に設けた第2接合用金属層43と実装基板2上の第3接合用層103とが接触するように重ね合わせた状態で、適宜の加熱及び加圧を行いながら第3AuSn層73を溶融させてから、冷却凝固させることで第3接合部63を形成する。第3AuSn層73が溶融すると、溶融したAuSnに、第3Au層93からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。
(4)パッケージ用カバー部材の製造方法
以下では、パッケージ用カバー部材6の製造方法について図5A~5Dに基づいて簡単に説明する。
パッケージ用カバー部材6の製造方法では、例えば、下記の接合工程、分割工程を順次行う。
接合工程では、図5Aに示すように、スペーサ4(図5D参照)を複数形成可能なスペーサ形成用ウェハ400とカバー5(図5D参照)を複数形成可能なカバー形成用ウェハ500とを接合することでウェハ積層体600を形成する。スペーサ形成用ウェハ400は、シリコンにより形成されている。要するに、スペーサ形成用ウェハ400は、シリコンウェハである。より詳細には、スペーサ形成用ウェハ400は、複数のスペーサ4の第1面41の元になる表面が(100)面のシリコンウェハである。カバー形成用ウェハ500は、ガラスにより形成されている。要するに、カバー形成用ウェハ500は、ガラスウェハである。本実施形態では、スペーサ形成用ウェハ400は、接合工程よりも前に複数のスペーサ4の各々の貫通孔45を形成している。複数の貫通孔45を形成する際には、シリコンウェハの表面及び裏面それぞれに適宜のエッチングマスクを形成した後に、シリコンウェハを表面からTMAH水溶液によってエッチングする。また、本実施形態では、接合工程よりも前において、スペーサ形成用ウェハ400に対して複数の貫通孔45を形成するよりも前に、シリコン酸化膜44と第2接合用金属層43との積層構造を複数形成しているが、図5A~5Dでは、これらの図示を省略している。
接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを直接接合することによってウェハ積層体600を形成する。より詳細には、接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを陽極接合によって直接接合している。陽極接合を行う際には、例えば、真空雰囲気中において、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを直接接触させ、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500との積層体に対し、スペーサ形成用ウェハ400を高電位側、カバー形成用ウェハ500を低電位側として、所定の直流電圧を印加する。所定の直流電圧は、例えば、600Vである。陽極接合を行う際には、例えば、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500との積層体を所定の接合温度に加熱した状態で、所定の直流電圧を所定の時間だけ印加した後に、積層体の温度を降温させる。接合温度は、例えば、400℃である。
ウェハ積層体600は、第1面601と、第2面602と、を有する。第1面601は、カバー形成用ウェハ500におけるスペーサ形成用ウェハ400側とは反対の面である。第2面602は、スペーサ形成用ウェハ400におけるカバー形成用ウェハ500側とは反対の面である。
分割工程では、ウェハ積層体600を分割することにより、図5Dに示すようなパッケージ用カバー部材6を複数得ることができる。分割工程は、第1工程と、第2工程と、を含む。本実施形態における分割工程では、第1工程、第2工程を、この順に行う。
第1工程では、ウェハ積層体600を第1のダイシング方法で第1面601からスペーサ形成用ウェハ400の途中までダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第1溝603を形成する(図5B参照)。第1工程では、第1のダイシングテープによってウェハ積層体600を保持した状態でダイシングを行う。第1のダイシング方法では、例えば、第1のダイシングブレード(ダイシングソー)を用いる。第1のダイシングブレードの厚みは、例えば、50μm~100μmである。第1のダイシング方法では、第1のダイシングブレードの回転数は、例えば、30000rpmである。
第2工程では、ウェハ積層体600を第2のダイシング方法で第2面602からスペーサ形成用ウェハ400の厚み寸法内でダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第2溝604を形成する(図5C参照)。第2工程では、第2のダイシングテープによってウェハ積層体600を保持した状態でダイシングを行う。分割工程では、第1工程と第2工程とを行うことにより、ウェハ積層体600を複数のパッケージ用カバー部材6に分割する。第2のダイシング方法では、例えば、第1のダイシングブレードとは厚みの異なる第2のダイシングブレードを用いる。第2のダイシングブレードの厚みは、例えば、20μm~35μmである。第2のダイシング方法では、第2のダイシングブレードの回転数は、例えば、35000rpmである。
分割工程では、第1工程と第2工程との両方を行うことによって複数の第1溝603と複数の第1溝603に一対一に対応する複数の第2溝604とを繋げる。本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6の製造方法では、一対一に対応する第1溝603と第2溝604とはウェハ積層体600の厚さ方向に沿った互いの中心線が一直線上に揃うように第1溝603及び第2溝604を形成する。ただし、第1溝603に対する第2溝604のアライメント精度は、例えば、±10μm程度である。
本実施形態のパッケージ用カバー部材6の製造方法では、分割工程を行うことにより、ウェハ積層体600を複数のパッケージ用カバー部材6(図5Dでは1つのパッケージ用カバー部材6のみ図示してある)に分割することができる。
分割工程では、スペーサ形成用ウェハ400の材料(シリコン)よりも硬い材料(ガラス)により形成されたカバー形成用ウェハ500をダイシングするために、第1工程において、第2のダイシングブレードよりも厚い第1のダイシングブレードを用いている。これにより、スペーサ形成用ウェハ400をダイシングするときよりも大きなパワーが必要なカバー形成用ウェハ500のダイシング時に、そのパワーに耐え得る厚みの第1のダイシングブレードを用いることができ、また、チッピング、クラック等が、より発生しにくくなる。ここにおいて、第1のダイシングブレードによって第1のダイシングブレードの厚さと第2のダイシングブレードの厚さとの差に応じてスペーサ4の第1面41の外周形の大きさと第2面42の外周形の大きさとの相対的な関係が略決まる。
また、分割工程では、スペーサ形成用ウェハ400の材料(シリコン)よりも脆性材料(ガラス)により形成されたカバー形成用ウェハ500をダイシングするために、第1のダイシングブレードの回転数を第2のダイシングブレードの回転数よりも遅くしている。これにより、カバー形成用ウェハ500をダイシングする際に、チッピング、クラック等が、より発生しにくくなる。
(5)効果
本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6は、スペーサ4と、カバー5と、を備える。スペーサ4は、貫通孔45を有する。カバー5は、スペーサ4の貫通孔45を塞ぐようにスペーサ4上に配置されている。スペーサ4は、カバー5に対向する第1面41と、カバー5とは反対側の第2面42と、を含む。第2面42の外周形は、第1面41の、スペーサ4の厚さ方向における投影領域の外周形に沿っている。第2面42の外周形は、第1面41の外周形と大きさが異なっている。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、信頼性をより高めることが可能となる。ここにおいて、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、その製造時に、スペーサ4を複数形成可能なスペーサ形成用ウェハ400とカバー5を複数形成可能なカバー形成用ウェハ500とを接合してから、スペーサ形成用ウェハ400及びカバー形成用ウェハ500をそれぞれの形状、材料等に適したダイシング方法でダイシングする製造方法を採用することが可能となる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、スペーサ4とカバー5とは互いに異なる材料により形成されている。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、スペーサ4とカバー5とが同じ材料により形成されている場合と比べて、スペーサ4及びカバー5それぞれに必要な特性を得やすい。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、第1面41の外周形が、第2面42の外周形よりも小さい。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、例えば、第2面42の外周形を第1面41の外周形と同じとした場合と比べて、スペーサ4とカバー5との接合面積を小さくすることが可能となる。よって、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、残留応力、熱応力等を緩和することが可能となり、信頼性をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、スペーサ4は、厚さ方向において外周形の大きさが漸次変化する領域46を含む。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、応力を緩和することが可能となる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、スペーサ4は、厚さ方向において第1面41から所定範囲では同一形状の断面を有する。これにより、パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第1面41が露出するのを防止することが可能となり、ハンドリング時等にスペーサ4の第1面41に外部物体が接触するのを防止することが可能となる。また、パッケージ用カバー部材6では、上述の製造方法を採用することができる。すなわち、パッケージ用カバー部材6では、ウェハ積層体600を第1のダイシングブレードによってカバー形成用ウェハ500側からスペーサ形成用ウェハ400の途中までダイシングする一方で、ウェハ積層体600を第2のダイシングブレードによってスペーサ形成用ウェハ400側からスペーサ形成用ウェハ400の厚み寸法内でダイシングする、という製造方法を採用できる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、カバー5は、ガラスにより形成され、スペーサ4は、シリコンにより形成されている。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6は、例えば、カバー5の材料としてガラスが適し、スペーサ4の材料としてシリコンが適している電子デバイス1(発光装置)に用いることができる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、カバー5とスペーサ4とが直接接合されている。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、製造プロセスの簡略化を図れ、製造が容易になる。また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6では、例えばカバー5とスペーサ4とが樹脂によって接合されている場合と比べて、耐湿性及び耐紫外線性をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係る電子デバイス1は、実装基板2と、素子3と、パッケージ用カバー部材6と、を備える。素子3は、実装基板2上に配置されている。パッケージ用カバー部材6は、実装基板2上に配置され素子3を覆っている。したがって、本実施形態に係る電子デバイス1では、信頼性をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係る電子デバイス1では、素子3は、発光素子である。これにより、本実施形態に係る電子デバイス1は、素子3として発光素子を備える発光装置の信頼性をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材の製造方法は、貫通孔45を有するスペーサ4とスペーサ4の貫通孔45を塞ぐようにスペーサ4上に配置されたカバー5とを備えるパッケージ用カバー部材の製造方法である。パッケージ用カバー部材の製造方法は、接合工程と、分割工程と、を含む。接合工程では、スペーサ4を複数形成可能なスペーサ形成用ウェハ400とカバー5を複数形成可能なカバー形成用ウェハ500とを接合することでウェハ積層体600を形成する。ウェハ積層体600は、カバー形成用ウェハ500におけるスペーサ形成用ウェハ400側とは反対の面である第1面601と、スペーサ形成用ウェハ400におけるカバー形成用ウェハ500側とは反対の面である第2面602と、を有する。分割工程は、第1工程と、第2工程と、を含む。第1工程では、ウェハ積層体600を第1のダイシング方法で第1面601からスペーサ形成用ウェハ400の途中までダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第1溝603を形成する。第2工程では、ウェハ積層体600を第2のダイシング方法で第2面602からスペーサ形成用ウェハ400の厚み寸法内でダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第2溝604を形成する。分割工程では、第1工程と第2工程との両方を行うことによって複数の第1溝603と複数の第1溝603に一対一に対応する複数の第2溝604とを繋げる。したがって、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6の製造方法では、パッケージ用カバー部材6の信頼性をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6の製造方法では、スペーサ形成用ウェハ400は、シリコンにより形成されており、カバー形成用ウェハ500は、ガラスにより形成されている。これにより、本実施形態に係るパッケージ用カバー部材6の製造方法では、シリコンにより形成されたスペーサ4とガラスにより形成されたカバー5とを含むパッケージ用カバー部材6を製造することが可能となる。
(6)変形例
上記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(6.1)変形例1
実施形態の変形例1に係るパッケージ用カバー部材6aは、図6に示すように、スペーサ4aの形状が実施形態のパッケージ用カバー部材6におけるスペーサ4と相違する。パッケージ用カバー部材6aのカバー5aは、実施形態のパッケージ用カバー部材6におけるカバー5と同じである。
スペーサ4aは、その厚さ方向において外周形の大きさが漸次変化(本変形例では漸次増加)する領域46aを含んでいる。スペーサ4aでは、領域46aの外周縁460aが4つの傾斜面461aを有している。各傾斜面461aは、凹曲面である。
パッケージ用カバー部材6aの製造方法は、実施形態のパッケージ用カバー部材6の製造方法と略同じであり、分割工程における第1工程でのダイシングの条件を適宜変えればよい。
変形例1に係るパッケージ用カバー部材6aは、実施形態に係る電子デバイス1のパッケージ用カバー部材6に代えて用いることができる。
(6.2)変形例2
実施形態の変形例2に係るパッケージ用カバー部材6bは、図7に示すように、スペーサ4bの形状が実施形態のパッケージ用カバー部材6におけるスペーサ4と相違する。パッケージ用カバー部材6bのカバー5bは、実施形態のパッケージ用カバー部材6におけるカバー5と同じである。
スペーサ4bは、厚さ方向において第1面41よりも第2面42側へ後退した段差462が形成されており、厚さ方向において外周形の大きさが大きくなっている。スペーサ4bは、その厚さ方向において第1面41から所定範囲では同一形状の断面を有する。パッケージ用カバー部材6bでは、スペーサ4bの第1面41の外周形の大きさとカバー5の外周形の大きさとが略同じである。
パッケージ用カバー部材6bの製造方法は、実施形態のパッケージ用カバー部材6の製造方法と略同じであり、分割工程における第1工程でのダイシングの条件を適宜変えればよい。
変形例2に係るパッケージ用カバー部材6bは、実施形態に係る電子デバイス1のパッケージ用カバー部材6に代えて用いることができる。
(6.3)変形例3
実施形態の変形例3に係るパッケージ用カバー部材6cは、図8に示すように、スペーサ4の第1面41の外周形が、第2面42の外周形よりも大きい点で実施形態のパッケージ用カバー部材6と相違する。パッケージ用カバー部材6cのカバー5cは、実施形態のパッケージ用カバー部材6におけるカバー5と同じである。
スペーサ4cは、その厚さ方向において外周形の大きさが漸次変化(本変形例では、第1面41から第2面42に向かって漸次減少)する領域46cを含んでいる。スペーサ4cの領域46cの外周縁460cは、4つの傾斜面461cを含んでいる。各傾斜面461cそれぞれの傾きは、略一定である。また、スペーサ4cは、その厚さ方向において第1面41から所定範囲(第1面41と領域46cとの間)では同一形状の断面を有する。パッケージ用カバー部材6では、スペーサ4の第1面41の外周形の大きさとカバー5の外周形の大きさとが略同じである。
パッケージ用カバー部材6bの製造方法は、実施形態のパッケージ用カバー部材6の製造方法と略同じであり、例えば、分割工程における第2工程で用いる第2のダイシングブレードの厚さを第1工程で用いる第1のダイシングブレードの厚さよりも大きくすればよい。
変形例3に係るパッケージ用カバー部材6cは、実施形態に係る電子デバイス1のパッケージ用カバー部材6に代えて用いることができる。変形例3に係るパッケージ用カバー部材6cでは、例えば、第2面42の外周形を第1面41の外周形と同じとした場合と比べて、スペーサ4と実装基板2との接合面積を小さくすることが可能となり、実装基板2からの応力を緩和することが可能となる。
(6.4)その他の変形例
また、パッケージ用カバー部材6では、カバー5がアルカリ成分を含むガラスに限らず、例えば、石英ガラス等によって形成されていてもよい。この場合、スペーサ4とカバー5とが、例えば、低融点ガラスにより形成された第4接合部により接合されていてもよい。低融点ガラスは、軟化点が600℃以下のガラスであり、軟化点が500℃以下のガラスが好ましく、軟化点が400℃以下のガラスが更に好ましい。低融点ガラスは、例えば、主成分として酸化鉛(PbO)と無水ほう酸(B2O3)とを含むガラスである。
また、ガラスは、硼珪酸ガラス、石英ガラスに限らず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等であってもよい。
また、パッケージ用カバー部材6は、電子デバイス1の種類によってはスペーサ4とカバー5とが互いに同じ材料により形成されていてもよい。例えば、スペーサ4とカバー5との両方がシリコンにより形成されていてもよいし、スペーサ4とカバー5との両方がガラスにより形成されていてもよい。また、スペーサ4及びカバー5の材料は、ガラス、シリコンに限らず、例えば、セラミック、サファイア等であってもよい。
また、カバー5は、平板状に限らず、例えば、レンズが一体に形成された形状でもよい。要するに、電子デバイス1である発光装置では、カバー5の一部がレンズを構成してもよい。
また、素子3としての発光素子は、紫外線LEDチップに限らず、可視光LEDチップ、赤外線LEDチップ、紫外線レーザダイオードチップ、可視光レーザダイオードチップ等であってもよい。
また、実装基板2上においてスペーサ4の貫通孔45内に配置される素子3の数は、1つに限らず、複数であってもよい。また、電子デバイス1では、スペーサ4の貫通孔45内に配置される複数の素子3を備えている場合、複数の素子3が同じ種類の素子でもよいし、複数の素子3のうちの少なくとも1つの素子3が残りの素子3と異なる種類の素子であってもよい。例えば、電子デバイス1は、4つの素子3として、1つの青色LEDチップと2つの緑色LEDチップと1つの赤色LEDチップとを備えていてもよい。
また、素子3は、発光素子に限らず、例えば、受光素子、赤外線検出素子、圧電素子、加速度センサ、ジャイロセンサ、MEMSミラー(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)等であってもよい。
また、電子デバイス1に関し、素子3は、実装基板2に対して導電性バンプによって接合されていてもよい。
また、電子デバイス1は、実装基板2とパッケージ用カバー部材6とで囲まれる空間8において素子3を覆う封止部を更に備えていてもよい。
また、電子デバイス1の素子3の種類によっては(例えば、エアダンピング効果を利用するMEMS素子等の場合)、スペーサ4は、貫通孔45の周辺が一部切れていてもよい。
また、パッケージ用カバー部材6の製造方法では、接合工程において、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを陽極接合によって直接接合しているが、陽極接合に限らない。例えば、接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを表面活性化接合法によって直接接合してもよい。表面活性化接合法では、真空中において、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500との接合前に互いの接合表面へアルゴンイオンビーム等を照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500との接合表面同士を接触させた積層体を加圧して直接接合する。
また、接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを共晶接合法によって接合してもよい。また、接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400及びカバー形成用ウェハ500の互いの対向面に予め形成した金属層同士を、表面活性化接合法によって接合してもよい。また、例えば発光素子が上記の紫外線LEDチップではなくて可視光LEDチップ等の場合には、接合工程では、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを樹脂接合法によって接合してもよい。
また、パッケージ用カバー部材6の製造方法では、スペーサ形成用ウェハ400に貫通孔45を形成した後で、スペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを接合しているが、これに限らない。例えば、パッケージ用カバー部材の製造方法では、複数の貫通孔45を形成していないスペーサ形成用ウェハ400とカバー形成用ウェハ500とを接合した後に、スペーサ形成用ウェハ400に複数の貫通孔45を形成してもよい。
第1のダイシング方法及び第2ダイシング方法は、互いに厚さの異なるダイシングブレードを用いる方法に限らず、例えば、互いに波長の異なるレーザを用いるレーザダイシングでもよい。第1のダイシング方法で用いるレーザは、例えば、CO2レーザである。第2のダイシング方法で用いるレーザは、例えば、Ti:サファイアレーザ、YVO4レーザ、SHG-YAGレーザ、THG-YAGレーザ、FHG-YAGレーザ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等である。
また、第1ダイシング方法と第2ダイシング方法との一方でダイシングブレードを用い、他方でレーザを用いてもよい。
また、パッケージ用カバー部材6の製造方法の分割工程における第1工程と第2工程との順序は、第1工程、第2工程の順に限らず、例えば、第2工程、第1工程の順であってもよい。この場合のパッケージ用カバー部材6の製造方法について図9A~9Dに基づいて簡単に説明するが、実施形態に係るパッケージ用カバー部材6の製造方法と同様の点については説明を適宜省略する。
接合工程では、図9Aに示すように、スペーサ4(図9D参照)を複数形成可能なスペーサ形成用ウェハ400とカバー5(図9D参照)を複数形成可能なカバー形成用ウェハ500とを接合することでウェハ積層体600を形成する。
分割工程では、第2工程、第1工程を順次行う。
第2工程では、ウェハ積層体600を第2のダイシング方法で第2面602からスペーサ形成用ウェハ400の厚み寸法内でダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第2溝605を形成する(図9B参照)。
第1工程では、ウェハ積層体600を第1のダイシング方法で第1面601からスペーサ形成用ウェハ400の途中までダイシングすることでウェハ積層体600に複数の第1溝606を形成する(図9B参照)。
分割工程では、第2工程と第1工程との両方を行うことによって複数の第2溝605と複数の第2溝605に一対一に対応する複数の第1溝606とを繋げる。よって、パッケージ用カバー部材6の製造方法では、ウェハ積層体600を複数のパッケージ用カバー部材6に分割することができる。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から以下の態様が開示されていることは明らかである。
第1の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)は、スペーサ(4)と、カバー(5)と、を備える。スペーサ(4;4a;4b;4c)は、貫通孔(45)を有する。カバー(5)は、スペーサ(4;4a;4b;4c)の貫通孔(45)を塞ぐようにスペーサ(4;4a;4b;4c)上に配置されている。スペーサ(4;4a;4b;4c)は、カバー(5;5a;5b;5c)に対向する第1面(41)と、カバー(5;5a;5b;5c)とは反対側の第2面(42)と、を含む。第2面(42)の外周形は、第1面(41)の、スペーサ(4;4a;4b;4c)の厚さ方向における投影領域の外周形に沿っている。第2面(42)の外周形は、第1面(41)の外周形と大きさが異なっている。
第1の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、信頼性をより高めることが可能となる。
第2の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)は、第1の態様において、スペーサ(4;4a;4b;4c)とカバー(5;5a;5b;5c)とは互いに異なる材料により形成されている。
第2の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、スペーサ(4;4a;4b;4c)とカバー(5;5a;5b;5c)とが同じ材料により形成されている場合と比べて、スペーサ(4;4a;4b;4c)及びカバー(5;5a;5b;5c)それぞれに必要な特性を得やすい。
第3の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b)は、第1又は2の態様において、第1面(41)の外周形が、第2面(42)の外周形よりも小さい。
第3の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b)では、例えば、第2面(42)の外周形を第1面(41)の外周形と同じとした場合と比べて、スペーサ(4;4a;4b)とカバー(5;5a;5c)との接合面積を小さくすることが可能となり、残留応力、熱応力等を緩和することが可能となり、信頼性をより高めることが可能となる。
第4の態様に係るパッケージ用カバー部材(6c)は、第1又は2の態様において、第1面(41)の外周形が、第2面(42)の外周形よりも大きい。
第4の態様に係るパッケージ用カバー部材(6c)では、例えば、第2面(42)の外周形を第1面(41)の外周形と同じとした場合と比べて、パッケージ用カバー部材(6c)とともにパッケージ(7)を構成する実装基板(2)と、スペーサ(4)と、の接合面積を小さくすることが可能となり、実装基板(2)からの応力を緩和することが可能となる。
第5の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6c)は、第1乃至4の態様のいずれか一つにおいて、スペーサ(4;4a;4c)は、厚さ方向において外周形の大きさが漸次変化する領域(46;46a;46c)を含む。
第5の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6c)では、応力を緩和することが可能となる。
第6の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、第1乃至5の態様のいずれか一つにおいて、スペーサ(4;4a;4b;4c)は、厚さ方向において第1面(41)から所定範囲では同一形状の断面を有する。
第6の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、スペーサ(4;4a;4b;4c)の第1面(41)が露出するのを防止することが可能となり、ハンドリング時等にスペーサ(4)の第1面(41)に外部物体が接触するのを防止することが可能となる。これにより、パッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、信頼性をより高めることが可能となる。
第7の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、第1乃至6の態様のいずれか一つにおいて、カバー(5;5a;5b;5c)は、ガラスにより形成され、スペーサ(4;4a;4b;4c)は、シリコンにより形成されている。
第7の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、例えば、カバー(5;5a;5b;5c)の材料としてガラスが適し、スペーサ(4;4a;4b;4c)の材料としてシリコンが適している電子デバイス(1)に用いることができる。
第8の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、第7の態様において、カバー(5;5a;5b;5c)とスペーサ(4;4a;4b;4c)とが直接接合されている。
第8の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、製造プロセスの簡略化を図れ、製造が容易になる。また、第8の態様に係るパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)では、例えばカバー(5;5a;5b;5c)とスペーサ(4;4a;4b;4c)とが樹脂によって接合されている場合と比べて、耐紫外線性をより高めることが可能となる。
第9の態様に係る電子デバイス(1)は、実装基板(2)と、素子(3)と、第1乃至8の態様のいずれか一つのパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)と、を備える。素子(3)は、実装基板(2)上に配置されている。パッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)は、実装基板(2)上に配置され素子(3)を覆っている。
第9の態様に係る電子デバイス(1)では、信頼性をより高めることが可能となる。
第10の態様に係る電子デバイス(1)では、第9の態様において、素子(3)は、発光素子である。
第10の態様に係る電子デバイス(1)では、素子(3)として発光素子を備える電子デバイス(1)の信頼性をより高めることが可能となる。
第11の態様に係るパッケージ用カバー部材の製造方法は、貫通孔(45)を有するスペーサ(4;4a;4b;4c)とスペーサ(4;4a;4b;4c)の貫通孔(45)を塞ぐようにスペーサ(4;4a;4b;4c)上に配置されたカバー(5;5a;5b;5c)とを備えるパッケージ用カバー部材の製造方法である。パッケージ用カバー部材の製造方法は、接合工程と、分割工程と、を含む。接合工程では、スペーサ(4;4a;4b;4c)を複数形成可能なスペーサ形成用ウェハ(400)とカバー(5;5a;5b;5c)を複数形成可能なカバー形成用ウェハ(500)とを接合することでウェハ積層体(600)を形成する。ウェハ積層体(600)は、カバー形成用ウェハ(500)におけるスペーサ形成用ウェハ(400)側とは反対の面である第1面(601)と、スペーサ形成用ウェハ(400)におけるカバー形成用ウェハ(500)側とは反対の面である第2面(602)と、を有する。分割工程は、第1工程と、第2工程と、を含む。第1工程では、ウェハ積層体(600)を第1のダイシング方法で第1面(601)からスペーサ形成用ウェハ(400)の途中までダイシングすることでウェハ積層体(600)に複数の第1溝(603;606)を形成する。第2工程では、ウェハ積層体(600)を第2のダイシング方法で第2面(602)からスペーサ形成用ウェハ(400)の厚み寸法内でダイシングすることでウェハ積層体(600)に複数の第2溝(604;605)を形成する。分割工程では、第1工程と第2工程との両方を行うことによって複数の第1溝(603;606)と複数の第1溝(603;606)に一対一に対応する複数の第2溝(604;605)とを繋げる。
第11の態様に係るパッケージ用カバー部材の製造方法では、パッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)の信頼性をより高めることが可能となる。
第12の態様に係るパッケージ用カバー部材の製造方法では、第11の態様において、スペーサ形成用ウェハ(400)は、シリコンにより形成されており、カバー形成用ウェハ(500)は、ガラスにより形成されている。
第12の態様に係るパッケージ用カバー部材の製造方法では、シリコンにより形成されたスペーサ(4;4a;4b;4c)とガラスにより形成されたカバー(5;5a;5b;5c)とを含むパッケージ用カバー部材(6;6a;6b;6c)を製造することが可能となる。