下記の実施形態1〜2において説明する各図は、模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態1)
以下では、本実施形態の発光装置1aについて、図1〜4、5A及び5Bに基づいて説明する。なお、図1は、図2のX−X断面に対応する模式的な概略断面図である。
発光装置1aは、実装基板2aと、実装基板2aに実装された紫外線発光素子3と、実装基板2a上に配置され紫外線発光素子3を収納する凹部663が形成されたキャップ6aと、を備える。キャップ6aは、表面661及び裏面662を有し裏面662に凹部663が形成されたキャップ本体660を備える。キャップ本体660は、紫外線発光素子3から放射される紫外線を透過するガラスにより形成されている。発光装置1aは、凹部663の内底面664を覆う樹脂部80を更に備える。樹脂部80を形成している樹脂材料は、紫外線発光素子3から放射される紫外線に対して耐紫外線性を有し、かつ紫外線発光素子3から放射される紫外線を透過する材料である。以上説明した構成の発光装置1aでは、光取り出し効率の向上を図ることが可能となる。より詳細には、発光装置1aは、樹脂部80を備えているので、紫外線発光素子3から凹部663の内底面664へ向かって放射される紫外線がキャップ本体660を透過しやすくなる。これにより、発光装置1aでは、紫外線発光素子3から放射された紫外線をキャップ6aの表面661から効率良く出射させることが可能となる。
実装基板2aは、支持体20aと、支持体20aに支持された第1接合用金属層23と、を備えるのが好ましい。キャップ6aは、キャップ本体660の裏面662における凹部663の周部で第1接合用金属層23に対向して配置された第2接合用金属層43を備えるのが好ましい。発光装置1aでは、第1接合用金属層23と第2接合用金属層43とが、AuSnにより形成された接合部63により接合されているのが好ましい。これにより、発光装置1aでは、製造時に、キャップ6aと実装基板2aとの接合温度を低減することが可能となり、樹脂部80の熱ダメージを低減することが可能となる。接合部63は、キャップ本体660の裏面662における外周縁の全周に沿って形成されているのが好ましい。これにより、発光装置1aでは、紫外線発光素子3を気密封止することが可能となる。よって、発光装置1aでは、外気、水分等が紫外線発光素子3に到達するのを抑制することが可能となり、信頼性の向上を図ることが可能となる。
実装基板2aは、支持体20aに支持された第1導体部21及び第2導体部22を備えるのが好ましい。第1導体部21及び第2導体部22は、支持体20aの表面201側においてキャップ6aの凹部663の内底面664に臨むように配置されている。
第1導体部21と第2導体部22と第1接合用金属層23とは、支持体20aの表面201側に同じ材料でかつ、同じ厚さで構成された積層膜であるのが好ましい。第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23それぞれにおける支持体20aから最も離れた最上層はAuにより形成されているのが好ましい。
紫外線発光素子3は、第1電極31と、第2電極32と、を備える。紫外線発光素子3は、紫外線発光素子3の厚さ方向の一面側に第1電極31及び第2電極32が配置されている。
発光装置1aでは、第1電極31と第1導体部21とが接合部61(以下、「第1接合部61」ともいう。)により接合されている。また、発光装置1aでは、第2電極32と第2導体部22とが接合部62(以下、「第2接合部62」ともいう。)により接合されている。また、発光装置aでは、上述のように第1接合用金属層23と第2接合用金属層43とが接合部63(以下、「第3接合部63」ともいう。)により接合されている。
発光装置1aは、実装基板2aとキャップ6aと第3接合部63とで、紫外線発光素子3を収納するパッケージ7aを構成している。
発光装置1aの各構成要素については、以下に詳細に説明する。
実装基板2aは、紫外線発光素子3を実装する基板である。「実装する」とは、紫外線発光素子3を配置して機械的に接続すること及び電気的に接続することを含む概念である。
実装基板2aは、一例として、1個の紫外線発光素子3を実装できるように構成されている。
実装基板2aは、実装基板2aの厚さ方向に沿った方向から見た平面視において紫外線発光素子3よりも大きいのが好ましい。
支持体20aは、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23を支持する機能を有する。また、支持体20aは、第1導体部21と第2導体部22と第1接合用金属層23とを電気的に絶縁する機能を有する。また、支持体20aは、紫外線発光素子3で発生する熱を効率良く外部に伝えるためのヒートシンク(heat sink)としての機能を備えているのが好ましい。
実装基板2aは、支持体20aが平板状に形成されており、支持体20aの厚さ方向に直交する表面201上に第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23が形成されている。
支持体20aの外周形状は、矩形(直角四辺形)状としてある。支持体20aの外周形状は、矩形状に限らず、例えば、矩形以外の多角形状や、円形状等でもよい。
第1導体部21は、紫外線発光素子3の第1電極31が電気的に接続される導電層である。第2導体部22は、紫外線発光素子3の第2電極32が電気的に接続される導電層である。
第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23の各々は、例えば、Ti膜とPt膜とAu膜との積層膜により構成することができる。第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23の各々は、例えば、Al膜とNi膜とPd膜とAu膜との積層膜、Ni膜とAu膜との積層膜、Cu膜とNi膜とAu膜との積層膜等により構成してもよい。第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23の各々は、積層膜により構成する場合、支持体20aから最も離れた最上層がAuにより形成され、支持体20aに最も近い最下層が支持体20aとの密着性の高い材料により形成されているのが好ましい。第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23は、積層膜に限らず、単層膜により構成してもよい。
実装基板2aは、第1導体部21と第2導体部22と第1接合用金属層23とが空間的に分離されるように、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23が配置されている。実装基板2aは、第1導体部21と第2導体部22との間に溝203が形成されている。溝203の内面は、支持体20aの表面201の一部と、第1導体部21及び第2導体部22の互いの対向面と、で構成される。実装基板2aは、第1導体部21と第2導体部22と第1接合用金属層23とが、支持体20aの表面201上に同じ厚さで形成されている。これにより、実装基板2aは、第1導体部21の表面211と第2導体部22の表面212と第1接合用金属層23の表面231(図5B参照)とが一平面上に揃うように構成されている。
実装基板2aは、第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25と、支持体20aの厚さ方向に貫通して形成された第1貫通配線26及び第2貫通配線27と、を備える。第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25は、支持体20aの裏面202に形成されている。第1外部接続電極24は、第1貫通配線26を介して第1導体部21と電気的に接続されている。第2外部接続電極25は、第2貫通配線27を介して第2導体部22と電気的に接続されている。
第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25の各々は、例えば、Ti膜とPt膜とAu膜との積層膜により構成することができる。第1導体部21及び第2導体部22の各々は、例えば、Al膜とNi膜とPd膜とAu膜との積層膜、Ni膜とAu膜との積層膜、Cu膜とNi膜とAu膜との積層膜等により構成してもよい。第1導体部21及び第2導体部22の各々は、積層膜により構成する場合、支持体20aから最も離れた最上層がAuにより形成され、支持体20aに最も近い最下層が支持体20aとの密着性の高い材料により形成されているのが好ましい。第1外部接続電極24及び第2外部接続電極25は、積層膜に限らず、単層膜により構成してもよい。
第1貫通配線26及び第2貫通配線27は、例えば、W、Cu等により形成することができる。第1貫通配線26及び第2貫通配線27は、紫外線発光素子3の厚さ方向において紫外線発光素子3に重ならないように配置されているのが好ましい。
支持体20aは、AlNセラミックにより形成されているのが好ましい。これにより、発光装置1aは、支持体20aが樹脂基板により構成されている場合に比べて、紫外線発光素子3で発生した熱を支持体20aから効率良く放熱させることが可能となる。よって、発光装置1aは、放熱性を向上させることが可能となる。AlNセラミックは、電気絶縁性を有するが、熱伝導率が比較的高く、Siよりも熱伝導率が高い。
発光装置1aは、例えば、配線基板に表面実装することができる。配線基板は、例えば、金属ベースプリント配線板により形成することができる。発光装置1aは、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63の各々がAuSnにより形成されているので、AuSn以外の鉛フリーはんだの一種であるSnCuAgにより形成されている場合に比べて、耐熱性の向上が可能となる。これにより、発光装置1aでは、例えば、配線基板等に2次実装する際に第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63が再溶融するのを抑制することが可能となる。
紫外線発光素子3は、紫外線LEDチップである。紫外線発光素子3のチップサイズは、例えば、400μm×400μmである。紫外線発光素子3の平面形状は、正方形状に限らず、例えば、長方形状等でもよい。
紫外線発光素子3は、実装基板2aにフリップチップ実装されている。
紫外線発光素子3は、図3に示すように、基板30を備え、基板30の第1面301側において、第1面301に近い側から順に、第1導電型半導体層33、第2導電型半導体層35が形成されている。要するに、紫外線発光素子3は、第1導電型半導体層33及び第2導電型半導体層35を有する半導体多層膜39を備えている。紫外線発光素子3は、第1導電型半導体層33がn型半導体層により構成され、第2導電型半導体層35がp型半導体層により構成されている。紫外線発光素子3は、第1導電型半導体層33がp型半導体層により構成され、第2導電型半導体層35がn型半導体層により構成されていてもよい。
基板30は、半導体多層膜39を支持する機能を備える。半導体多層膜39は、例えば、MOVPE(metal organic vapor phase epitaxy)法により形成することができる。
紫外線発光素子3は、AlGaN系紫外線LEDチップにより構成する場合、基板30がサファイア基板により構成されているのが好ましい。基板30は、半導体多層膜39から放射される紫外線を効率良く透過できる材料により形成された基板であればよく、サファイア基板に限らず、例えば、単結晶AlN基板等を採用することもできる。基板30は、半導体多層膜39から放射される紫外線に対して透明であるのが好ましい。紫外線発光素子3は、基板30の第1面301とは反対の第2面302が光取り出し面304の少なくとも一部を構成しているのが好ましい。紫外線発光素子3は、半導体多層膜39が、基板30と第1導電型半導体層33との間にバッファ層(buffer layer)を備えているのが好ましい。バッファ層は、例えば、AlN層により構成されているのが好ましい。
半導体多層膜39が、第1導電型半導体層33と第2導電型半導体層35との間に発光層34を備えているのが好ましい。この場合、半導体多層膜39から放射される紫外線は、発光層34から放射される紫外線であり、発光層34の材料により発光ピーク波長が規定される。発光層34は、多重量子井戸構造を有するのが好ましい。
第1導電型半導体層33は、例えば、n型AlGaN層により構成することができる。第1導電型半導体層33は、単層構造に限らず多層構造でもよい。
第2導電型半導体層35は、単層構造に限らず、多層構造でもよい。第2導電型半導体層35は、例えば、p型電子ブロック層とp型半導体層とp型コンタクト層とで構成される多層構造とすることができる。この場合、p型半導体層は、発光層34へ正孔を輸送するための層である。p型電子ブロック層は、発光層34で正孔と再結合されなかった電子がp型半導体層側へ漏れる(オーバーフローする)のを抑制するための層である。p型電子ブロック層は、p型半導体層及び発光層34よりもバンドギャップエネルギが高くなるように組成を設定するのが好ましい。p型コンタクト層は、第2電極32との接触抵抗を下げ、第2電極32との良好なオーミック接触を得るために設ける層である。p型電子ブロック層及びp型半導体層は、例えば、互いに組成の異なるAlGaN層により構成することができる。また、p型コンタクト層は、例えば、p型GaN層により構成することができる。
紫外線発光素子3は、半導体多層膜39の一部を半導体多層膜39の表面391側から第1導電型半導体層33の途中までエッチングすることで形成されたメサ構造(mesa structure)37を有している。これにより、紫外線発光素子3は、第2導電型半導体層35の表面351と第1導電型半導体層33の表面331との間に段差が形成されている。紫外線発光素子3は、第2導電型半導体層35の表面351の面積が、第1導電型半導体層33の露出させた表面331の面積よりも大きいのが好ましい。
紫外線発光素子3は、第1導電型半導体層33の露出した表面331上に第1電極31が形成され、第2導電型半導体層35の表面351上に第2電極32が形成されている。紫外線発光素子3は、第1導電型半導体層33の導電型(第1導電型)がn型であり、第2導電型半導体層35の導電型(第2導電型)がp型である場合、第1電極31、第2電極32が、負電極、正電極を、それぞれ構成する。また、紫外線発光素子3は、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合、第1電極31、第2電極32が、正電極、負電極を、それぞれ構成する。
紫外線発光素子3は、絶縁膜38を備えているのが好ましい。絶縁膜38は、電気絶縁性を有する膜である。絶縁膜38は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁膜38は、メサ構造37の表面371とメサ構造37の側面372と第1導電型半導体層33の表面331とに跨って形成されているのが好ましい。メサ構造37の表面371は、第2導電型半導体層35の表面351である。絶縁膜38のうち第1導電型半導体層33の表面331上に形成される部位は、第1電極31における第1導電型半導体層33との接触領域を囲むようなパターンに形成されているのが好ましい。絶縁膜38は、第2電極32における第2導電型半導体層35との接触領域を囲むように第2導電型半導体層35の表面351上に形成されているのが好ましい。
紫外線発光素子3では、第2電極32が第2導電型半導体層35の表面351と絶縁膜38の表面とに跨って形成されている。紫外線発光素子3では、第2電極32のうち中央部よりも第2導電型半導体層35から離れる向きに突出した外周部が、突起構造部36を構成している。突起構造部36は、紫外線発光素子3の第2導電型半導体層35の表面351側から第2導体部22の表面212側へ突出して第2導体部22の表面212に接するのが好ましい。また、突起構造部36は、第2電極32の外周に沿って位置するのが好ましい。
第1電極31は、第1オーミック電極層31Aと、第1パッド電極層31Bと、を備えているのが好ましい。第1オーミック電極層31Aは、第1導電型半導体層33とオーミック接触を得るために、第1導電型半導体層33の表面331上に形成されている。第1パッド電極層31Bは、第1接合部61を介して実装基板2aと接合するために、第1オーミック電極層31Aを覆うように形成されている。第1オーミック電極層31Aは、例えば、Al膜とNi膜とAl膜とNi膜とAu膜との第1積層膜を第1導電型半導体層33の表面331上に形成してから、アニール処理を行い、徐冷を行うことにより形成することができる。第1パッド電極層31Bは、例えば、Ti膜とAu膜との積層膜により構成することができる。第1パッド電極層31Bは、最表面側がAu膜であれば、他の積層膜を採用することもできる。
第2電極32は、第2オーミック電極層32Aと、第2パッド電極層32Bと、を備えているのが好ましい。第2オーミック電極層32Aは、第2導電型半導体層35とオーミック接触を得るために、第2導電型半導体層35の表面351上に形成されている。第2パッド電極層32Bは、第2接合部62を介して実装基板2aと接合するために、第2オーミック電極層32Aを覆うように形成されている。第2オーミック電極層32Aは、例えば、Ni膜とAu膜との第2積層膜を第2導電型半導体層35の表面351上に形成してから、アニール処理を行うことにより形成することができる。第2パッド電極層32Bは、例えば、Ti膜とAu膜との積層膜により構成することができる。第2パッド電極層32Bは、最表面側がAu膜であれば、他の積層膜を採用することもできる。
発光装置1aは、例えば、高効率白色照明、殺菌、医療、環境汚染物質を高速で処理する用途等の分野で利用する場合、紫外線発光素子3が、210nm〜280nmの波長域に発光ピーク波長を有するのが好ましい。つまり、紫外線発光素子3は、UV−Cの波長域に発光ピーク波長を有するのが好ましい。これにより、発光装置1aは、例えば、殺菌の用途に好適に用いることが可能となる。「UV−Cの波長域」とは、例えば国際照明委員会(CIE)における紫外線の波長による分類によれば、100nm〜280nmである。発光装置1aは、殺菌の用途で利用する場合、紫外線発光素子3が、240nm〜280nmの波長域に発光ピーク波長を有するのが、より好ましい。紫外線発光素子3は、一例として、発光ピーク波長を265nmに設定してある。紫外線発光素子3は、紫外線の波長域に発光ピーク波長を有していればよく、UV−Cの波長域に限らず、UV−Bの波長域あるいはUV−Aの波長域に発光ピーク波長を有していてもよい。「UV−Bの波長域」とは、例えば国際照明委員会における紫外線の波長による分類によれば、280nm〜315nmである。「UV−Aの波長域」とは、例えば国際照明委員会における紫外線の波長による分類によれば、315nm〜400nmである。
発光装置1aでは、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63が、AuSnにより形成されている。
発光装置1aは、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63との間にそれぞれ、第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83が形成されているのが好ましい。第1バリア層81と第2バリア層82と第3バリア層83とは同じ材料でかつ、同じ厚さで形成されているのが好ましい。これにより、発光装置1aでは、製造時に、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63との間それぞれでの金属の拡散を抑制することが可能となる。また、発光装置1aでは、製造時に、第1バリア層81と第2バリア層82と第3バリア層83とでそれぞれのバリア性を略同じとすることが可能となる。よって、発光装置1aでは、製造時に、実装基板2aに対する紫外線発光素子3及びキャップ6aの接合性を向上させることが可能となる。接合性は、例えば、ダイシェア強度(die shear strength)により評価することができる。ダイシェア強度は、実装基板2aに接合された紫外線発光素子3及びキャップ6aそれぞれを接合面に平行に押し剥がすために必要な力である。ダイシェア強度は、例えば、ダイシェアテスタ(die shear tester)等により測定することができる。
第2接合部62は、図1に示すように、第2電極32と突起構造部36と第2導体部22とで囲まれた空間9を満たすように形成されているのが好ましい。突起構造部36は、平面視において、第2電極32の外周に沿って配置され、第2接合部62を囲んでいる。「突起構造部36は、平面視において」とは、紫外線発光素子3の厚さ方向に沿った突起構造部36の厚さ方向から突起構造部36を見た形状において、を意味する。実装基板2aは、平面視において突起構造部36が重なる部分が、第2導体部22において第2接合部62と接合される部位と同じ高さ又はそれより低い高さとなっているのが好ましい。これにより、発光装置1aは、第1接合部61及び第2接合部62それぞれをより薄くすることが可能となり、かつ、第1接合部61及び第2接合部62それぞれと第1導体部21及び第2導体部22それぞれとの接合面積をより大きくすることが可能となる。よって、発光装置1aは、紫外線発光素子3と実装基板2aとの間の熱抵抗の低減を図ることが可能となる。更に、発光装置1aは、突起構造部36による第2接合部62の厚さ管理が可能なため、第2接合部62の厚さ及びサイズの精度を高めることが可能となり、熱抵抗の低減及び熱抵抗のばらつきを小さくすることが可能となる。「突起構造部36による第2接合部62の厚さ管理が可能」とは、紫外線発光素子3の厚さ方向に沿った突起構造部36の突出量H1(図3参照)により、第2接合部62の厚さを規定できることを意味する。したがって、発光装置1aは、放熱性の向上及び信頼性の向上を図ることが可能となる。
紫外線発光素子3は、第2電極32が第1電極31よりも大きく、突起構造部36が、第2電極32の外周の全周に亘って形成されていることが好ましい。これにより、発光装置1aは、製造時に、第2接合部62を形成するAuSnによる第2電極32と第1電極31との短絡が発生するのを、より抑制することが可能となる。しかも、発光装置1aは、紫外線発光素子3を実装基板2aに実装するときに、第2接合部62の形状の再現性を高めることが可能となり、熱抵抗のばらつきを低減することが可能となる。また、発光装置1aは、第1接合部61の厚さの影響を受けずに、突起構造部36による第2接合部62の厚さ管理が可能である。よって、発光装置1aは、放熱面積の大きい第2電極32と第2導体部22とを接合する第2接合部62の厚さ及びサイズの精度を高めることが可能となる。これにより、発光装置1aは、熱抵抗の低減及び熱抵抗のばらつきの低減を図ることが可能となる。
キャップ6aを形成するガラスは、紫外線発光素子3が放射する紫外線に対する透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。紫外線発光素子3がUV−Cの波長域に発光ピーク波長を有する場合には、キャップ6aを形成するガラスとして、例えば、硼珪酸ガラスを採用することができる。キャップ6aでは、硼珪酸ガラスとして、例えば、SCHOTT社製の8347やSCHOTT社製の8337B、等を採用することにより、波長265nmの紫外線に対する透過率を80%以上とすることができる。
キャップ6aの平面視における外周形状は、矩形状であるのが好ましい。これにより、発光装置1aの製造時において、キャップ6aの取り扱いが容易になる。キャップ6aは、平面視において実装基板2aよりも小さいのが好ましい。これにより、発光装置1aでは、製造時にキャップ6aの位置ずれが発生した場合でもキャップ6aが実装基板2aからはみ出すのを抑制することが可能となる。
キャップ6aは、キャップ本体660の表面661と凹部663の内底面664との間の紫外線透過部666が平板状に形成されているが、平板状に限らず、例えば、レンズが一体に形成された形状でもよい。要するに、発光装置1aは、キャップ6aの一部がレンズを構成してもよい。発光装置1aでは、紫外線発光素子3から放射された紫外線がキャップ6aにおける紫外線透過部666以外の部分を透過してもよい。
凹部663は、キャップ6aの元になるガラス板に対してドリル加工を行うことによって形成されている。凹部663の開口形状は、例えば、矩形の四隅それぞれにアールを設けた矩形状である。キャップ6aは、キャップ本体660の裏面662における凹部663の大きさと、内底面664付近における凹部663の大きさとが略同じであるのが好ましい。言い換えれば、キャップ6aは、キャップ本体660の裏面662における凹部663の開口面積と、凹部663の内底面664の面積とが略同じであるのが好ましい。これにより、発光装置1aでは、キャップ6aの平面サイズの小型化を図ることが可能となり、実装基板2aの平面サイズの小型化も図ることが可能となる。凹部663の深さは、紫外線発光素子3の厚さと樹脂部80の厚さとの合計厚さよりも大きい。ここで、「樹脂部80の厚さ」とは、紫外線発光素子3の厚さ方向において紫外線発光素子3における基板30の第2面302の中心に立てた法線上の樹脂部80の厚さである。発光装置1aでは、一例として、紫外線発光素子3の厚さを略150μm、樹脂部80の厚さを略70μm、凹部663の深さを略300μmとしてある。凹部663の開口形状は、上述の例に限らず、例えば、円形状、楕円形状等でもよい。
樹脂部80は、凹部663の内底面664と内側面665とに跨って形成されている。要するに、樹脂部80は、凹部663の内底面664と内側面665とを覆うように形成されている。ここで、樹脂部80は、実装基板2a側が開放された形状となっている。この場合、樹脂部80は、キャップ本体660の内底面664から離れるにつれて開口面積が漸次増加しているのが好ましい。要するに、樹脂部80は、実装基板2aの厚さ方向に沿った方向において実装基板2aに近づくにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。樹脂部80は、凹部663の内側面665に直交する方向の厚さで見れば、凹部663の内底面から離れるにつれて厚さが薄くなっている。これにより、発光装置1aは、紫外線発光素子3から側方へ放射された紫外線を効率良く取り出すことが可能となる。樹脂部80は、キャップ6aの凹部663の内底面664上において厚さが略一定となるように形成されていてもよい。
樹脂部80を形成している樹脂材料は、電気絶縁性を有するのが好ましい。また、樹脂部80を形成している樹脂材料は、紫外線発光素子3から放射される紫外線に対して耐紫外線性を有し、かつ紫外線発光素子3から放射される紫外線を透過する材料である。「紫外線発光素子3から放射される紫外線に対して耐紫外線性を有し」とは、例えば、紫外線発光素子3を定格電流で2000時間だけ、連続して通電し、通電開始前後の透過率の低下率が30%以下であることを意味する。樹脂部80の屈折率は、不活性ガスの屈折率よりも高い。
樹脂材料としては、例えば、主骨格がSi−O結合からなり、紫外線の透過率が90%以上であるシリコーン樹脂や、主骨格がC−F結合からなり、紫外線の透過率が90%以上であるフッ素系樹脂(例えば、アモルファスフッ素樹脂)等が好ましい。樹脂材料の屈折率は、気体の屈折率よりも高い。樹脂材料の屈折率は、キャップ6aの屈折率以下であるのが好ましい。
波長265nmの紫外線に対するキャップ6aの屈折率は、1.5程度である。また、波長265nmの紫外線に対する基板30の屈折率は、1.8程度である。これに対して、波長265nmの紫外線に対する樹脂部80の屈折率は、例えば、1.3〜1.5程度である。
発光装置1aは、実装基板2aとキャップ6aとで囲まれた空間8内で凹部663の内底面664を覆っている樹脂部80を備えることにより、光取り出し効率を向上させることが可能となり、高出力化を図ることが可能となる。より詳細には、発光装置1aでは、キャップ6aにおける凹部663の内底面664が荒れており、例えば図4に示すように複数のばり(突起)が存在して複数のばりのなかには他のばりにオーバーハングしているばりがある。しかし、発光装置1aでは、樹脂部80を備えており、ばり同士の間に気体に比べて屈折率の大きな樹脂部80の一部が入り込んでいる。これにより、発光装置1aでは、ばり同士の間に気体が存在する場合に比べて、凹部663の内底面664での紫外線の反射が抑制され、光取り出し効率を向上させることが可能となり、高出力化を図ることが可能となる。
第2接合用金属層43は、例えば、下地膜431とAu膜432との積層膜により構成されているのが好ましい。下地膜431は、例えば、キャップ本体660の裏面662上に形成されたCr膜とCr膜上に形成されたPt膜との積層膜により構成することができる。発光装置1aでは、第2接合用金属層43における下地膜431がCr膜を備えることにより、ガラスにより形成されたキャップ本体660と第2接合用金属層43との密着性を向上させることが可能となる。第2接合用金属層43は、例えば、蒸着法、スパッタ法、めっき法等の膜形成技術と、フォトリソグラフィ技術と、エッチング技術と、を利用して形成することができる。発光装置1aでは、樹脂部80を備えているので、製造時において、凹部663をドリル加工によって形成した後にフッ酸溶液(hydrofluoric acid)等による内底面664の円滑化処理を行う必要がない。これにより、発光装置1aでは、製造時において、円滑化処理によって第2接合用金属層43が侵食されることがないので、凹部663の形成前に第2接合用金属層43を形成することが可能となる。
発光装置1aは、実装基板2aとキャップ6aとで囲まれた空間8を不活性ガス雰囲気としてあるのが好ましい。これにより、発光装置1aは、紫外線発光素子3、第1導体部21及び第2導体部22の酸化、樹脂部80の劣化それぞれを抑制することが可能となり、信頼性の更なる向上を図ることが可能となる。「実装基板2aとキャップ6aとで囲まれた空間8」とは、実装基板2aとキャップ6aと第3接合部63と樹脂部80とで囲まれた空間を意味する。
不活性ガス雰囲気は、N2ガス雰囲気であるのが好ましい。不活性ガス雰囲気は、不活性ガスの純度が高いのが好ましいが、100%の純度を必須としない。例えば、不活性ガス雰囲気は、不活性ガスとしてN2ガスを採用する場合、例えば、不可避的に混入される100〜200ppm程度のO2を含んでいてもよい。不活性ガスは、N2ガスに限らず、例えば、Arガス、N2ガスとArガスとの混合ガス等でもよい。
以下では、発光装置1aの製造方法について説明する。
発光装置1aの製造方法では、例えば、下記の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を順次行う。
第1工程では、キャップ6aを形成する。第1工程では、まず、キャップ本体660の元になる平板状のガラス板に対して第2接合用金属層43を形成し、その後、凹部663をドリル加工により形成する。第1工程は、ウェハレベルで行うことが好ましい。より詳細には、第1工程では、複数個のキャップ6aを形成できる大きさのガラス板(ガラスウェハ)に複数のキャップ6aを形成してから、複数のキャップ6aに分割するのが好ましい。
第2工程では、実装基板2aに対して、第1接合部61、第2接合部62及び第3接合部63それぞれの元になる第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73(図5B参照)を形成する。より詳細には、第2工程では、実装基板2aの第1導体部21の表面211側、第2導体部22の表面212側、第1接合用金属層23の表面231側に、それぞれ、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73を形成する。第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73は、例えば、蒸着法、めっき法等により形成することができる。
第2工程では、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73の厚さを同じ値に設定してある。第1AuSn層71の表面の面積は、第1電極31の表面311(図3参照)の面積よりも小さく設定してある。また、第2AuSn層72の表面の面積は、第2電極32の表面321(図3参照)の面積よりも小さく設定してある。また、第3AuSn層73の表面の面積は、第1接合用金属層23の表面231(図5B参照)の面積よりも小さく設定してある。
第1AuSn層71及び第2AuSn層72の厚さは、紫外線発光素子3の突起構造部36の突出量H1(図3参照)と、紫外線発光素子3の厚さ方向における第2電極32と第1電極31との段差の高さH2(図3参照)と、の合計(H1+H2)よりも所定厚さ(α)だけ大きくなるように設定する。つまり、第1AuSn層71及び第2AuSn層72の厚さは、H1+H2+αとする。例えば、H1=1μm、H2=1μmの場合、第1AuSn層71及び第2AuSn層72の厚さは、3μm程度に設定すればよい。この場合、αは、1μmである。これらの数値は、一例であり、紫外線発光素子3の構造等に基づいて適宜設定すればよい。第1AuSn層71、第2AuSn層72は、実装基板2aのうち第1電極31、第2電極32それぞれに対向させる領域の中央部に形成するのが好ましい。第2AuSn層72は、突起構造部36の垂直投影領域よりも内側で、この垂直投影領域から離れて位置するように、第2導体部22の表面212上に配置する。突起構造部36の垂直投影領域とは、突起構造部36の厚さ方向への投影領域を意味する。すなわち、突起構造部36の垂直投影領域とは、突起構造部36の厚さ方向に投影方向が沿った垂直投影領域を意味する。言い換えれば、突起構造部36の垂直投影領域とは、突起構造部36の厚さ方向に直交する面への垂直投影領域を意味する。
第1AuSn層71及び第2AuSn層72は、共晶組成(70at%Au、30at%Sn)よりもAuの組成比が小さく例えば300℃以上400℃未満の温度で溶融する組成(例えば、60at%Au、40at%Sn)のAuSnが好ましい。
第2工程では、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73との間に、第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83をそれぞれ形成するのが好ましい。第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83は、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73と第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23との間での金属(例えば、Sn等)の拡散に起因してAuSnの組成が変動するのを抑制する拡散バリアの機能を有する層である。第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83の材料としては、例えば、Ptを採用することができるが、これに限らず、Pd等を採用することもできる。第2工程では、第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83の厚さを同じ値に設定してある。第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83の厚さは、例えば、0.2μm程度に設定するのが好ましい。第1バリア層81、第2バリア層82及び第3バリア層83は、例えば、蒸着法、めっき法等により形成することができる。
また、第2工程では、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73上に、第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93をそれぞれ形成するのが好ましい。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93は、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73のSnの酸化を抑制するために設ける層である。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93の厚さは、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73の厚さに比べて十分に薄いのが好ましく、例えば、0.15μm以下が好ましい。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93の厚さは、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73が溶融したときに、第1AuSn層71、第2AuSn層72及び第3AuSn層73へAuが熱拡散され、第1導体部21、第2導体部22及び第1接合用金属層23と第1電極31、第2電極32及び第2接合用金属層43との接合が行われるように設定する必要がある。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93の厚さは、例えば、0.05μm〜0.15μm程度の範囲で設定するのが好ましい。第1Au層91、第2Au層92及び第3Au層93は、例えば、蒸着法やめっき法等により形成することができる。以下では、第1バリア層81と第1AuSn層71と第1Au層91との積層膜を第1接合用層101と称し、第2バリア層82と第2AuSn層72と第2Au層92との積層膜を第2接合用層102と称する。また、以下では、第3バリア層83と第3AuSn層73と第3Au層93との積層膜を第3接合用層103と称する。第1接合用層101は、少なくとも第1AuSn層71を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。第2接合用層102は、少なくとも第2AuSn層72を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。第3接合用層103は、少なくとも第3AuSn層73を備えていればよく、積層膜に限らず、単層膜でもよい。
第3工程では、キャップ6aの凹部663の内底面664に樹脂部80の元になるペースト状の樹脂を塗布してから、樹脂を熱硬化させることで樹脂部80を形成する(図5A)。樹脂の塗布は、例えば、ディスペンサシステム(dispenser system)により行うのが好ましい。ディスペンサシステムは、ノズルからの樹脂の吐出量を制御するコントローラを備えているのが好ましい。これにより、ディスペンサシステムは、樹脂の塗布形状の再現性を向上させることが可能とる。コントローラは、例えば、マイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現することができる。樹脂を熱硬化させるプロセス条件は、例えば、加熱温度が150℃、加熱時間が2時間である。樹脂部80の形状は、例えば、樹脂の粘度等を調整することで制御することも可能である。樹脂部80の形状は、樹脂の粘度、樹脂の表面張力等によって変えることが可能である。樹脂の粘度は、例えば、0.1〜50Pa・s程度の範囲に設定するのが好ましい。なお、粘度の値は、例えば、円錐平板型回転粘度計を用いて常温下で測定した値を採用することができる。
第4工程では、第1ステップ、第2ステップを行うことで紫外線発光素子3を実装基板2aに実装し、引き続き、第3ステップ及び第4ステップを順次行うことでキャップ6aを実装基板2aに接合する。第4工程では、ボンディング装置を利用する。より詳細には、第4工程では、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ及び第4ステップを、1台のボンディング装置で連続して行う。キャップ6aを紫外線発光素子3とは大きさの異なるダイとみなせば、ボンディング装置は、ダイボンディング装置、フリップチップボンディング装置とみなすことができる。
ボンディング装置は、例えば、第1吸着保持具と、第2吸着保持具と、ステージと、第1ヒータと、第2ヒータと、接合室と、を備える。第1吸着保持具は、紫外線発光素子3を吸着保持する第1コレット(collet)である。第2吸着保持具は、キャップ6aを吸着保持する第2コレットである。ステージは、実装基板2aが載せ置かれる。第1ヒータは、ステージに設けられ実装基板2aを加熱できるように構成されている。第2ヒータは、第1吸着保持具と第2吸着保持具とを択一的に保持するホルダに装着されダイを加熱できるように構成されている。ボンディング装置は、ホルダが第2ヒータを備える代わりに、第1コレット及び第2コレットの各々が第2ヒータを備えた構成でもよい。ダイは、第1吸着保持具に吸着保持された紫外線発光素子3又は第2吸着保持具に吸着保持されたキャップ6aである。ボンディング室は、ステージが収納配置されており、ステージ上の実装基板2aに対して紫外線発光素子3及びキャップ6aそれぞれの接合処理が行われる処理室である。ボンディング室内の雰囲気は、パッケージ7a内の所定の雰囲気に合わせて適宜調整すればよい。本実施形態の発光装置1aの製造方法では、一例として、ボンディング室内の雰囲気をN2ガス雰囲気とする。ボンディング装置は、ボンディング室における出入口を開放しており、ボンディング室の外側から出入口を通してボンディング室内にN2ガスを供給した状態で、実装基板2a、第1吸着保持具、第2吸着保持具等を出入口から入れたり出したりするようにしている。これにより、ボンディング装置は、真空チャンバ内で接合処理を行うように構成されている場合に比べて、低コスト化を図ることが可能となる。
第1ステップでは、図5Bに示すように、紫外線発光素子3と実装基板2aとを対向させる。「紫外線発光素子3と実装基板2aとを対向させる」とは、紫外線発光素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2aの第1導体部21、第2導体部22とがそれぞれ対向するように、紫外線発光素子3と実装基板2aとを対向させることを意味する。
第1ステップでは、第1吸着保持具により吸着保持した紫外線発光素子3における第1電極31、第2電極32と実装基板2aの第1導体部21、第2導体部22とを対向させる。より詳細には、第1ステップでは、第1電極31と第1導体部21の表面211上の第1AuSn層71とを対向させ、かつ、第2電極32と第2導体部22の表面212上の第2AuSn層72とを対向させる。
第2ステップでは、紫外線発光素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2aの第1導体部21、第2導体部22とを、それぞれ、第1AuSn層71、第2AuSn層72により接合する。
第2ステップでは、紫外線発光素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2a上の第1接合用層101、第2接合用層102とが接触するように重ね合わせた状態で、適宜の加熱及び加圧を行いながら第1AuSn層71及び第2AuSn層72を溶融させる。第1AuSn層71が溶融すると、溶融したAuSnに、第1Au層91からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。また、第2AuSn層72が溶融すると、溶融したAuSnに、第2Au層92からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。
第2ステップでは、第1AuSn層71及び第2AuSn層72を溶融させてから、突起構造部36が第2導体部22に接するように、紫外線発光素子3側から加圧することで、溶融したAuSnを押し下げて横方向に広げることで空間9にAuSnを満たしてから、冷却凝固させる。
第2ステップでは、第1ヒータによる実装基板2aの加熱だけでもよいし、第2ヒータによる紫外線発光素子3の加熱を行うようにしてもよい。第2ステップでは、実装基板2aと紫外線発光素子3との接合性を考えると、第1ヒータ及び第2ヒータ両方からの加熱を行うのが好ましい。また、第2ステップでは、適宜の荷重を印加することで加圧を行う。荷重は、例えば、1個の紫外線発光素子3に対して、0.1〜1kg/cm2程度の範囲で設定するのが好ましい。また、荷重を印加する時間は、例えば、0.1〜1秒程度の範囲で設定するのが好ましい。第2ステップは、N2ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
第1AuSn層71及び第2AuSn層72の溶融温度は、紫外線発光素子3の耐熱温度よりも低いのが好ましい。第1AuSn層71及び第2AuSn層72は、例えば、共晶組成(70at%Au、30at%Sn)よりもAuの組成比が小さく300℃以上400℃未満の温度で溶融する組成(例えば、60at%Au、40at%Sn)のAuSnが好ましい。
ところで、第2工程で形成する第2接合用層102の体積は、第2接合部62を形成するAuSnが空間9から出ないように、空間9の容積と等しくなるように設定するのが好ましい。
第4工程の第2ステップでは、第1AuSn層71及び第2AuSn層72それぞれが溶融した状態で紫外線発光素子3の突起構造部36が第2導体部22の表面212に接するように、溶融したAuSnを押し下げて紫外線発光素子3と実装基板2aとを接合する。よって、第4工程の第2ステップでは、第1電極31と第1導体部21とが未接合となるのを抑制することが可能となる。
第4工程の第2ステップでは、第1電極31と第1導体部21とが、AuSnにより形成された第1接合部61により接合され、第2電極32と第2導体部22とが、AuSnにより形成された第2接合部62により接合される。これにより、発光装置1aの製造方法では、第2接合部62が、第2電極32と突起構造部36と第2導体部22とで囲まれた空間9を満たすように形成された構成、とすることが可能となる。発光装置1aの製造方法では、第2接合用層102の溶融したAuSnを押し下げて横方向に広げたときに、突起構造部36が、溶融したAuSnの、紫外線発光素子3の表面に沿った流動を抑制する。これにより、第4工程の第2ステップでは、第1電極31と第2電極32とのAuSnによる短絡の発生を抑制可能となる。
第4工程の第3ステップでは、第2吸着保持具により吸着保持したキャップ6aにおける第2接合用金属層43と実装基板2aの第1接合用金属層23とを対向させる。より詳細には、第3ステップでは、第2接合用金属層43と第1接合用金属層23の表面231上の第3AuSn層73とを対向させる。
第4ステップでは、キャップ6aにおける第2接合用金属層43と実装基板2aの第1接合用金属層23とを、第3AuSn層73により接合する。
上述の第4ステップでは、キャップ6aにおける第2接合用金属層43と実装基板2a上の第3接合用層103とが接触するように重ね合わせた状態で、適宜の加熱及び加圧を行いながら第3AuSn層73を溶融させる。第3AuSn層73が溶融すると、溶融したAuSnに、第3Au層93からAuが拡散し、溶融したAuSnにおけるAuの組成比が増加する。第4ステップでは、第3AuSn層73を溶融させてから、キャップ6a側から加圧することで、溶融したAuSnを押し下げて横方向に広げてから、冷却凝固させる。
第4ステップでは、第1ヒータによる実装基板2aの加熱だけでもよいし、第2ヒータによるキャップ6aの加熱を行うようにしてもよい。第4ステップでは、実装基板2aとキャップ6aとの接合性を考えると、第1ヒータ及び第2ヒータ両方からの加熱を行うのが好ましい。また、第4ステップでは、適宜の荷重を印加することで加圧を行う。荷重は、例えば、1個のキャップ6aに対して、0.1〜1kg/cm2程度の範囲で設定するのが好ましい。また、荷重を印加する時間は、例えば、0.1〜1秒程度の範囲で設定するのが好ましい。第4ステップは、N2ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
第4工程の第4ステップが終了することにより、発光装置1aの製造方法では、発光装置1aを得ることができる。
以上説明した本実施形態の発光装置1aの製造方法では、キャップ6aの元になるガラス基板にドリル加工によって凹部663を形成してから、キャップ6aの凹部663の内底面664に樹脂部80の元になるペースト状の樹脂を塗布し、続いて、樹脂を熱硬化させることで樹脂部80を形成する。その後、発光装置1aの製造方法では、紫外線発光素子3を実装基板2aに実装し、キャップ6aを実装基板2aに接合する。よって、発光装置1aの製造方法では、光取り出し効率の向上を図ることが可能な発光装置1aを提供することができる。
(実施形態2)
以下では、本実施形態の発光装置1bについて図6、7A及び7Bに基づいて説明する。
発光装置1bは、実施形態1の発光装置1aと基本構成が同じであり、第1接合部61及び第2接合部62の各々がAuバンプにより形成されている点が発光装置1aとは相違する。また、発光装置1bでは、第3バリア層83がキャップ6aの第2接合用金属層43と第3接合部63との間にある点が発光装置1aと相違する。また、発光装置1bは、発光装置1aとは樹脂部80の形状が相違する。なお、発光装置1bにおいて、発光装置1aと同様の構成要素については、発光装置1aと同一の符号を付して説明を省略する。
発光装置1bは、紫外線発光素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2aの第1導体部21、第2導体部22とが、それぞれ、Auバンプからなる第1接合部61、Auバンプからなる第2接合部62により接合されている。
Auバンプは、実装基板2aに対してスタッドバンプ法(ボールバンプ法とも呼ばれている)によって形成されたスタッドバンプにより構成されているのが好ましい。発光装置1bでは、第1電極31の平面サイズよりも第2電極32の平面サイズが大きいので、第2電極32に対して第2接合部62を複数設けてあるのが好ましい。これにより、発光装置1bでは、第2接合部62が1つの場合に比べて、放熱性の向上を図ることが可能となる。
発光装置1bでは、紫外線発光素子3が、実装基板2aにフリップチップ実装されており、樹脂部80が、紫外線発光素子3の光取り出し面304及びキャップ6aにおける光入射面667それぞれと接している。これにより、発光装置1bは、発光装置1aと比べて、光取り出し効率を更に向上させることが可能となる。紫外線発光素子3の光取り出し面304は、図3に示す基板30の第2面302及び側面303を含んでいるが、第2面302のみにより構成されていてもよい。キャップ6aにおける光入射面667は、凹部663の内底面664及び内側面665を含んでいるが、凹部663の内底面664のみにより構成されていてもよい。
以下では、発光装置1bの製造方法について簡単に説明する。なお、発光装置1aの製造方法と同様の工程については説明を適宜省略する。
発光装置1bの製造方法では、例えば、下記の第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を順次行う。
第1工程では、まず、キャップ本体660の元になる平板状のガラス板に対して第2接合用金属層43、バリア層83、AuSn層73、Au層93を形成し、続いて、凹部663をドリル加工により形成する。第1工程は、ウェハレベルで行うことが好ましい。より詳細には、第1工程では、複数個のキャップ6aを形成できる大きさのガラス板(ガラスウェハ)に複数のキャップ6aを形成してから、複数のキャップ6aに分割するのが好ましい。バリア層83とAuSn層73とAu層93との積層膜を接合用層103と称する。
第2工程では、紫外線発光素子3の第1電極31、第2電極32と実装基板2aの第1導体部21、第2導体部22とを、それぞれ、Auバンプからなる接合部61、Auバンプからなる接合部62により接合する。第3工程では、紫外線発光素子3を実装基板2aに実装するフリップチップ実装を行う。Auバンプは、例えば、超音波熱併用ワイヤボンダを利用して形成することができる。本実施形態の発光装置1bの製造方法では、キャップ6aに接合用層103を形成しているので、Auバンプの加熱時に接合用層103が加熱されるのを防止することができ、接合用層103の酸化を防止することができる。
第3工程では、キャップ6aの凹部663の内底面664に樹脂部80の元になるペースト状の樹脂800を塗布する(図7A)。
第4工程では、第1ステップ、第2ステップを順次行うことにより、キャップ6aを実装基板2aに接合する。第4工程の第1ステップでは、第2吸着保持具により吸着保持したキャップ6aにおける第2接合用金属層43と実装基板2aの第1接合用金属層23とを対向させる。より詳細には、第1ステップでは、第2接合用金属層43に積層されている接合用層103と第1接合用金属層23とを対向させる。第4工程の第2ステップでは、キャップ6aにおける第2接合用金属層43と実装基板2aの第1接合用金属層23とを、AuSn層73により接合する。第2ステップでは、第1ヒータにより実装基板2aをAuSn層73の融点以上の温度に加熱し、かつ、キャップ6aをAuSn層73の融点未満の温度にした状態で、キャップ6aにおける接合用層103と実装基板2aの第1接合用金属層23とが接触するように重ね合わせる。そして、第2ステップでは、キャップ6aに対して加圧を行いながらAuSn層73を溶融させてから、冷却凝固させることにより接合部63を形成する。第2ステップは、N2ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
第5工程では、樹脂800を熱硬化させることで樹脂部80を形成する。これにより、発光装置1bの製造方法では、発光装置1bを得ることができる。
発光装置1bの製造方法では、キャップ6aの元になるガラス基板にドリル加工によって凹部663を形成してから、凹部663の内底面664に樹脂部80の元になるペースト状の樹脂800を塗布する。その後、発光装置1bの製造方法では、紫外線発光素子3を実装基板2aに実装し、キャップ6aを実装基板2aに接合してから、樹脂800を熱硬化させることで樹脂部80を形成する。よって、発光装置1bの製造方法では、光取り出し効率の向上を図ることが可能な発光装置1aを提供することができる。
実施形態1〜2に記載した材料、数値等は、好ましい例を示しているだけであり、それに限定する主旨ではない。更に、本願発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。
例えば、発光装置1a及び1bは、紫外線発光素子3として紫外線LEDチップを採用しているが、これに限らず、紫外線発光素子3として、例えば、紫外線LD(laser diode)チップを採用してもよい。
また、キャップ6aの凹部663は、ドリル加工に限らず、例えば、サンドブラスト加工によって形成してもよい。