以下、本発明の実施の形態に係るワーク処理装置1及びボール搭載装置2,3,4,5について、図1~図13を参照しながら説明する。
[ワーク処理装置1の構成]
図1は、ワーク処理装置1の構成を示す平面図である。図2は、図1の矢印方向から見た正面図を拡大して示す図、図3は、図1を図示右方側から見た側面図である。なお、以下に説明する図は、図1において、図示左右方向をX方向、Xに対して直交する方向をY方向、X-Y平面に対して鉛直方向をZ方向又は上下方向と記載して説明する。ワーク処理装置1は、ベース基盤10の上面10aの中央部に配置されるワーク処理ユニット11と、ワーク処理ユニット11の図示左方側にワーク搬送時の中継位置となる第1ワーク置台12が配置され、ワーク処理ユニット11の図示右方側にワーク搬送時の中継位置となる第2ワーク置台13が配置されている。第1ワーク置台12の中心と第2ワーク置台13の中心を結ぶ一点鎖線で表す直線がワークWの搬送軌跡Lである。第1ワーク置台12と第2ワーク置台13を結ぶ直線上の中間位置には、ワークWの処理を行う際にワークWを吸着保持するワークステージ14が配置されている。
図1に示すように、ワーク処理装置1には、ワーク処理ユニット11の図示下方側に第1ワーク搬送ユニット15が配置され、第2ワーク置台13の図示上方側には第2ワーク搬送ユニット16が配置されている。
第1ワーク置台12は、3本からなるワーク保持ピン17を有している。ワーク保持ピン17は、第1ワーク置台12に搬送されたワークWを下面側から保持するものであり、ベース基盤上面10aに対して保持ピン上下動アクチュエータ18(図2参照)によって上下動可能な構成であり、ワークWの高さを調整する。第2ワーク置台13は、第1ワーク置台12と同じ構成であり、3本のワーク保持ピン17を有し、保持ピン上下動アクチュエータ18(図3参照)によって上昇させたり降下させたりしてワークWの高さを調整する。なお、ワーク保持ピン17は、3本構成に限らず4本又は5本構成としてもよい。第2ワーク置台13は、ワーク処理ユニット11で処理されたワークWの下面側を保持する。ワークステージ14には、ワークステージ14の上面から突出したり、引っ込んだりするワーク保持ピン19が設けられている。ワーク保持ピン19は、上下動アクチュエータ(図示は省略)によってワークWを上昇させたり降下させたりする。ワーク保持ピン19が降下する際にワークWはワークステージ14によって吸着される。
図1及び図2に示すように、第1ワーク搬送ユニット15は、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21とを有している。第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21は、ワーク搬送軌跡Lに対して平行に、かつY方向に離間して並列されている。第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21各々は、保持ブロック22に対して第1ワーク搬送アーム軸23に回動可能に軸支され、第2ワーク搬送アーム軸24に回動可能に軸支されている。保持ブロック22は、X移動用アクチュエータ25(図2参照)によってX軸スライダ26上をX方向に往復移動可能となっている。すなわち、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21は共に、同時にX方向に往復移動することが可能となっている。
第1ワーク搬送アーム20は、第1ワーク搬送アーム軸23に対して先端側がワークWの下面側を保持する略U字形状のワーク保持部27を有する。第1ワーク搬送アーム20は、回転用アクチュエータ31(図2参照)によって回動される。又、第1ワーク搬送アーム20は、Y移動用アクチュエータ28によってY方向に往復移動可能である。ワーク保持部27には、3か所の突起部29(図4参照)が形成されている。
第2ワーク搬送アーム21は、第2ワーク搬送アーム軸24に対して先端側がワークWの下面側を保持する略馬蹄形状のワーク保持部30を有する。ワーク保持部30は、第1ワーク搬送アーム2のワーク保持部27に対して方向反対側を向くように配置されている。第2ワーク搬送アーム21は、回転用アクチュエータ32(図2参照)によって回動する。ワーク保持部30には、3か所に突起部33が形成されており、回転用アクチュエータ32によって回動し、突起部33によってワークWの下面側を吸着する。第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21の構成及びワーク搬送動作については、図5、図6を参照して詳しく説明する。
次に、第2ワーク置台13及び第2ワーク搬送ユニットの構成について図1、図3を参照して説明する。第2ワーク置台13は、第1ワーク置台12と同じ構成であるから詳しい説明は省略するが、3本のワーク保持ピン17を有している。ワーク保持ピン17は、第2ワーク置台13に搬送されたワークWを下面側から保持するものであり、保持ピン上下動アクチュエータ18(図3参照)によって上昇させたり降下させたりしてワークWの高さを調整する。
図1、図3に示すように、第2ワーク搬送ユニット16は、第3ワーク搬送アーム35を有している。第3ワーク搬送アーム35は、略U字形状のワーク保持部36を有し、ワーク保持部36の開口側が第2ワーク置台13に向くように配置される。ワーク保持部36の上面には3か所に突起部37が設けられており、突起部37がワークWの下面側を吸着する。第3ワーク搬送アーム35は、第1ワーク搬送アーム20と共通にしてもよい。図3に示すように、第3ワーク搬送アーム35は、保持ブロック38を介してX移動用アクチュエータ39によってX軸スライダ40上をX方向に往復移動する。又、保持ブロック38の上部には、Y移動用アクチュエータ41が配置されており、第3ワーク搬送アーム35をY方向に往復移動する。すなわち、第3ワーク搬送アーム35を第2ワーク置台13上に保持されているワークWの下方側に移動させてワークWを吸着し、さらに、X軸スライダ40上を図示右方にワークWを搬送する。図示は省略するが、ワーク処理装置1の右方に隣接して第2のワーク処理装置を配置した場合において、第2ワーク置台13から第2のワーク処理装置の第1ワーク置台(第1ワーク置台12に相当する)にワークWを搬送することが可能となる。又、その逆も可能である。
第1ワーク搬送ユニット15の構成は、図2において説明したので説明を省略するが、図3には図2と対比できるように同じ符号を付している。
次に、第1ワーク置台12、第2ワーク置台13及びワークステージ14と、第1ワーク搬送アーム20、第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35の位置関係について図1を参照して説明する。第1ワーク置台12とワークステージ14と第2ワーク置台13とは、ワーク搬送軌跡L上に等間隔で配置されている。第1ワーク置台12とワークステージ14との距離(ピッチP1)とワークステージ14と第2ワーク置台13との距離(ピッチP2)は同じである。第1ワーク搬送アーム軸23と第2ワーク搬送アーム軸24とのワーク搬送軌跡Lに平行な距離(ピッチP3)は、ピッチP1=ピッチP2=ピッチP3の関係にある。
従って、保持ブロック22を図示左方側に移動し、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21を各々のワーク保持部27とワーク保持部36をワーク搬送軌跡Lに直交するように回動することによって、第1ワーク搬送アーム20は第1ワーク置台12上のワークWを吸着し、第2ワーク搬送アーム21は、ワークステージ14上のワークWを吸着することが可能となる。そして、ワークWを吸着した状態で、保持ブロック22をピッチP1(ピッチP2)だけ図示右方側に移動すれば、第1ワーク搬送アーム20は、ワークWをワークステージ14の位置に搬送し、第2ワーク時搬送アーム21は、ワークWを第2ワーク置台13の位置に同時に搬送することができる。
逆に、図1に示す保持ブロック22の位置で、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21でワークWを吸着し、ピッチP1(ピッチP2)だけ図示左方側に移動すれば、第1ワーク搬送アーム20は、ワークWをワークステージ14から第1ワーク置台12位置に搬送し、第2ワーク搬送アーム21は、ワークWを第2ワーク置台13からワークステージ14に搬送することができる。
一方、第3ワーク搬送アーム35は、第2ワーク置台13の中心を通り、ワーク搬送軌跡Lに直交する直線L2上に配置されており、第3ワーク搬送アーム35は、直線L2上を第2ワーク置台13に向かって移動しワークWを吸着することが可能となっている。ワークWを吸着した後、第3ワーク搬送アーム35は一旦図示上方側に移動し、さらに図示右方に移動すれば、ワークWを第2ワーク置台13から搬送(除材)することができる。その逆に、例えば、ワーク処理装置1に連結される他のワーク処理装置からワークWを第2ワーク置台13に搬送することも可能である。なお、ワーク搬送動作については、図5を参照して説明する。
第1ワーク搬送アーム20、第2アーム搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35は、着脱可能な構成を有している。このことについて図4を参照して説明する。なお、第1ワーク搬送アーム20、第2アーム搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35は、それぞれのワーク保持部の形状は異なるものの構成は同じなので、第1ワーク搬送アーム20を例示して説明する。
図4は、第1ワーク搬送アーム20の構成を示す図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は、図4(a)のA-A切断線で切断した切断面を示す断面図である。第1ワーク搬送アーム20は、棹部45と、棹部45の先端部に設けられる略U字形状に二又に分かれたワーク保持部27を有している。ワーク保持部27には、上面(ワーク吸着側の面)の3か所に突起部29が形成されている。図4に示す例では、3か所の突起部29の高さは同じである。突起部29の中央には、頂面から吸引穴46が穿設されている。吸引穴46は、下面側には貫通しない。第1ワーク搬送アーム20は、アームホルダ47に着脱可能に固定される。
アームホルダ47の第1ワーク搬送アーム20が取り付けられる端部には溝48が形成されている。第1ワーク搬送アーム20は、この溝48内に棹部45を挿し入れ、上方側からアーム固定ブロック49を介して4本の固定ネジ50によってアームホルダ47に固定される。第1ワーク搬送アーム20は、アームホルダ48を介して回転用アクチュエータ31に取付けられる。第1ワーク搬送アーム20には、3か所の吸引穴46に連通する中空の吸引路51が形成され、アームホルダ47には吸引路52が形成されている。第1ワーク搬送アーム20をアームホルダ47に装着したときに、吸引路51と吸引路52とが連通する。吸引路52は、図示しない真空装置に接続される。第2ワーク搬送アーム21は、第1ワーク搬送アーム20と同じ構成であるが、アームホルダ47を介して回転用アクチュエータ32に取付けられる。第3ワーク搬送アーム35は、アームホルダ47とは形状が異なるが、同じ構成のアームホルダ47を介してY移動用アクチュエータ41に取付けられる(図3参照)。
第1ワーク搬送アーム20を交換する際には、まず、固定ネジ50を緩めてアーム固定ブロック49を浮かせ、第1ワーク搬送アーム20をアームホルダ47から図示右方に引き抜く。そして、他の形状のワーク保持部を有するワーク搬送アームを、アームホルダ47の溝48とアーム固定ブロック49の隙間に差し込み固定ネジ50を締め付ければ、ワーク搬送アームを取り付けることができる。第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送装置35においても、第1ワーク搬送アーム20と同様な方法で取り外したり、取り付けたりすることができる。
なお、前述した第1ワーク搬送アーム20、第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35においては、ワークWを真空吸着する例を説明したが、ベルヌーイチャックの原理による吸着とすることが可能である。この場合には、吸引穴46から圧空を噴出させる。従って、図4に示す吸引路51及び吸引路52は、圧空経路であり、圧空装置が接続される。
[ワーク処理装置の動作]
図5は、ワーク処理装置1の動作を示す説明図である。図5は、図5(a)~図5(f)において第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21の動作を簡略化して表している。ここでは、ワーク処理装置1の構成の説明は省略するが、図1と対比できるように主要部には図1と同じ符号を付している。又、説明を分かり易くするために、重なるワークWなどの一部を透視した状態で記載している。図5(a)は、ワーク処理装置1の稼働時の一状態を表しており、図1で説明した状態と同じであるから詳しい説明は省略するが、第1ワーク置台12及びワークステージ14にワークWが搬送されているものとする。まず、保持ブロック22を図示左方に移動する。
図5(b)は、保持ブロック22を図示左方側に移動した状態を表している。第1ワーク搬送アーム軸23が第1ワーク置台12の中心からワーク搬送軌跡Lに対して直交する直線上となる位置まで保持ブロック22を移動する。第2ワーク搬送アーム軸24は、ワークステージ14の中心からワーク搬送軌跡Lに対して直交する直線上に移動する。次に、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21を回動する。
図5(c)は、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21を回動した状態を表している。図5(b)で示した状態から保持ブロック22を移動させずに、ワーク保持部27の開口側が第1ワーク置台12に向く位置まで第1ワーク搬送アーム軸23を中心に第1ワーク搬送アーム20を回動する。このとき、第1ワーク搬送アーム20は、ワークWから離間した位置にある。次いで、第2ワーク搬送アーム軸24を中心に第2ワーク搬送アーム21を時計回りに回動する。ワーク保持部30の回動先側が開口されているために、ワーク保持部30はワークWとワークステージ14との間に入り込む(図2参照)。第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21の回動順番は、同時であっても、どちらか一方から回動するようにしてもよい。又、第1ワーク搬送アーム20の回動方向は時計回りにしてもよく、反時計回りにしてもよい。次いで、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21によってワークWを吸着する。
図5(d)は、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21とが、ワークWを吸着した状態を表している。まず、第1ワーク搬送アーム20をY移動用アクチュエータ28によって図5(c)の位置から第1ワーク置台12に向かって移動する。ワーク保持部27は、第1ワーク置台12側が開口しているのでワークWの下面側に入り込む(図2参照)。そして、ワーク保持ピン17,19を降下させて第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21にワークWを吸着する。吸着後、ワーク保持ピン17,19を第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21に交差しない位置まで降下させてワークWを図示右方側に搬送する。
図5(e)は、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21によってワークWを搬送した状態を表している。まず、保持ブロック22を図示右方側にXスライダ26上を移動させる。具体的には、第1ワーク搬送アーム20のワーク保持部27が、ワークステージ14の位置に、そして、第2ワーク搬送アーム21のワーク保持部30が第2ワーク置台13の位置に達するまで保持ブロック22を移動させる。ワーク保持部27,30が所定位置に移動したところで吸着を解除し、ワークステージ14のワーク保持ピン19と、第2ワーク置台13側のワーク保持ピン17を上昇させてワークWを第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21から離間させる。ワークWは、ワークステージ14のワーク保持ピン19と、第2ワーク置台13側のワーク保持ピン17上に保持される。すなわち、第1ワーク置台12上のワークWをワークステージ14に搬送し、ワークステージ14上のワークWを第2ワーク置台13に搬送することになる。ワークWを搬送した後、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21とを搬送開始位置に戻す。
図5(f)は、ワークWを搬送した後の第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21とを搬送開始位置(図5(a)に示す位置)に戻した状態を示す図である。まず、第2ワーク搬送アーム軸24を中心に第1ワーク搬送アーム21を反時計回りに回動させる。そして、第1ワーク搬送アーム20を図示下方側に移動し、第1ワーク搬送アーム軸を中心に第1ワーク搬送アーム20を時計回り又は反時計回りに回動させ、搬送開始状態に戻す。ワークステージ14及び第2ワーク置台13には、ワークWが搬送された状態で待機する。第1ワーク置台12は、図示しないワーク給材装置(例えば、搬送用ロボット装置)からのワークWの給材待ちの状態であり、連続稼働する場合には、第1ワーク置台12にワークWが給材されている。第2ワーク置台13にワークWが搬送された後、ワークWは、第2ワーク搬送ユニット16によってワーク処理装置1から除材されるか、連結される他のワーク処理装置に搬送される。
図6は、第2ワーク搬送ユニット16によるワーク搬送動作を示す説明図である。図6は、図6(a)、図6(b)において動作順に第3ワーク搬送アーム35のワーク搬送動作を簡略化して表している。又、説明を分かり易くするために、重なるワークWなどの一部を透視して記載している。図6(a)は、第2ワーク搬送アーム21によってワークWが第2ワーク置台13に搬送された後、第3ワーク搬送アーム35がワークWを吸着した状態を表している。従って、第3ワーク搬送アーム35は起動開始前には、図5(e)に示す第3ワーク搬送アーム35の位置にあって、第2ワーク搬送アーム35は、第2ワーク置台13から離間した位置にある。図6(a)に示すように、第3ワーク搬送アーム35は、その位置からY移動用アクチュエータ41によって第2ワーク置台13に向かって移動し、ワークWの下方に入り込む(図3参照)。そして、ワーク保持ピン17を降下させてワークWをワーク保持部36で吸着する。吸着後、ワーク保持ピン17をワーク保持部36に交差しない位置までさらに降下させ、第3ワーク搬送アーム35によってワークWを搬送可能な状態にする。
図6(b)は、ワークWを吸着して図示右方に連結された他のワーク処理部1に搬送した例を表す図である。他のワーク処理部1の図示は省略するが、ワーク搬送に関わる要素は図1に示したものと共通であり、第1ワーク置台12に相当するワーク置台53が配置されているものとする。ワーク置台53は、ワーク搬送軌跡Lの延長線上に配置されている。ワーク吸着後、第3ワーク搬送アーム35はX軸スライダ40上を図示右方側に移動しワークWをワーク置台53に搬送する。この際、ワーク保持ピン17は、ワーク保持部36に交差しない位置まで降下している。第3ワーク搬送アームによってワークWをワーク置台53の上方に搬送した後、ワークWの真空吸着を解除し、ワーク保持ピン17を上昇させて、ワーク保持ピン17によってワークWを保持する。その後、Y移動用アクチュエータ41によって図示上方に第3ワーク搬送アーム35をワーク置台53から離間する位置まで移動させる。そして、X軸スライダ40上を図示左方側に第3ワーク搬送アーム35を図5(a)に示す位置まで移動させることで第2ワーク搬送ユニットによるワーク搬送の1サイクルが終了する。
以上説明したワーク処理装置1は、ワークWに各種の処理を行い、複数台を連結することが可能なワーク処理装置1であって、ベース基盤10の上面中央部に配設され、ワークWを保持するワークステージ14を備えるワーク処理ユニット11と、ワークステージ14を挟んでワークWの搬送軌跡L上の一方側に配置される第1ワーク置台12と、ワークステージ14を挟んで第1ワーク置台12に対して対称位置に配置される第2ワーク置台13と、ワークWの下面を複数の突起部29で吸着し、第1ワーク置台12からワークステージ14にワークWを搬送し、又はワークステージ14から第1ワーク置台12にワークWを搬送する第1ワーク搬送アーム20と、ワークの下面を複数の突起部で吸着し、ワークステージ14から第2ワーク置台13にワークWを搬送し、又は第2ワーク置台13からワークステージ14にワークWを搬送する第2ワーク搬送アーム21とを有する。さらに、ワーク処理装置1は、ワークWの搬送軌跡Lに対して直交方向に第2ワーク置台13から離間して配置されており、ワークWの下面を複数の突起部29で吸着し、第2ワーク置台13からベース基盤10の外側に搬送し、又はベース基盤10の外側にあるワークWを第2ワーク置台13に搬送する第3ワーク搬送アーム35を有している。
ワーク処理装置1は、各種のワーク処理に対応するワーク処理ユニット11と、ワークWをワークステージ14と第1ワーク置台12の間でワークWを搬送する第1ワーク搬送アーム20と、ワークステージ14と第2ワーク置台13との間でワークWを搬送する第2ワーク搬送アーム21と、第2ワーク置台13と、外部装置(連結される他のワーク処理装置1)との間にワークWを搬送する第3ワーク搬送アーム35を有している。又、第1ワーク搬送アーム、第2ワーク搬送アーム及び第3ワーク搬送アームは、ワークWの下面側を複数のそれぞれの突起部29,33,37で吸着し搬送する。従って、ワークWの処理の種類に対応して複数台を任意の順番で配列することが可能であり、ワークの材質や形態に関わらずワーク搬送が可能となる。
又、ワーク処理装置1は、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21は、ワークWの搬送軌跡Lに平行、かつワークの搬送軌跡Lから各々が離間して並列されており、ワークWの搬送方向に同時に同期して移動する。第1ワーク搬送アーム20は、第1ワーク搬送アーム軸23を中心にワークWの搬送軌跡Lに直交するように回動可能であり、第2ワーク搬送アーム21は、第2ワーク搬送アーム軸24を中心にワークWの搬送軌跡Lに直交するように回動可能である。第1ワーク置台12とワークステージ14とのワークWの搬送方向距離(ピッチP1)と、ワークステージ14と第2ワーク置台13とのワークWの搬送方向距離(ピッチP2)と、第1ワーク搬送アーム軸23と第2ワーク搬送アーム軸24とのワークWの搬送方向距離(ピッチP3)とが同じである。
ワーク処理装置1においては、ワークの搬送軌跡に対して並列配置された第1ワーク搬送アームと第2ワーク搬送アームは、回動させることでワークを吸着できる姿勢となる。そして、第1ワーク置台12とワークステージ14との距離(ピッチP1)と、ワークステージ14と第2ワーク置台13との距離(ピッチP2)とを同じとし、第1ワーク搬送アーム軸23と第2ワーク搬送アーム軸24との距離(ピッチP3)をピッチP1及びピッチP2と同じとしている。このようにすれば、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21によるワーク搬送を同じタイミングで行うことが可能となり、前述した従来技術がバッファユニットを介して第1移動ワークステージと第2移動ワークステージを移動しワーク搬送を行う構成よりも搬送に関わるタクトタイムを短縮することが可能となる。又、ワーク搬送に関わる制御プログラムを簡素化できる。
又、ワーク処理装置1においては、第3ワーク搬送アーム35は、ワークの搬送軌跡Lに直交する方向に移動しワークWを吸着した後、ワークWをワークWの搬送軌跡Lに沿って移動し、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21によるワークの搬送に同期してワークWを搬送するよう制御される。
第2ワーク搬送アーム21がワークステージ14上のワークWを吸着するタイミングと、第3ワーク搬送アーム35がワークWを吸着するタイミグを合わせ、さらに、第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21がワークWを搬送開始するタイミングで第3ワーク搬送アーム35によるワークWの搬送を開始すれば、各搬送工程におけるワーク搬送時間のロスを抑制することが可能となり、搬送に関わるタクトタイムを短縮でき、生産性を高めることが可能となる。
又、ワーク処理装置1において、ワークステージ14、第1ワーク置台12及び第2ワーク置台13それぞれは、各々ワークWの受け渡し時にワークWを保持しつつ昇降可能な複数本からなるワーク保持ピン17を有し、各ワーク保持ピン17から第1ワーク搬送アーム20或いは第2ワーク搬送アーム21又は第3ワーク搬送アーム35の各々にワークWを受け渡す際に、各ワーク保持ピン17を降下させる上下動アクチュエータ18をさらに有している。
ワーク搬送を開始する際、第1ワーク搬送アーム20、第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35は、ワークWの下面側に移動し、3本からなるワーク保持ピン17を駆動してワークWを降下させることによってワークWを各ワーク搬送アームの複数の突起部29,33,37上に載置した後に吸着する。このようにすれば、ワークWの処理面に接触することなく吸着可能であり、突起部29,33,37でワークWを吸着するため、ワークWに反りなどがあったり、凹凸があったりしても確実に吸着することが可能となる。本実施の形態では、突起部29,33,37を各3か所とし、頂面高さを同じにしているが、突起部29,33,37の数はさらに増やしてもよく、ワークWの形態に対応して頂面高さを変えるようにしてもよい。
又、ワーク処理装置1においては、第1ワーク搬送アーム20、第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35は、アームホルダ47にアーム固定ブロック49によって着脱可能に固定される。このようにすれば、各ワーク搬送アームの形状をワークWの材質や形態に適合するように選択し交換することが可能であり、しかも短時間で交換することが可能となる、なお、各ワーク搬送アームの形状としては、略U字形状や略馬蹄形状などに限らず、厚さ方向の形状や、突起部29,30,37の数及び高さなども含む。
[ボール搭載装置2の構成(第1の実施の形態)]
続いて、第1の実施の形態に係るボール搭載装置2について図7~図11を参照して説明する。以下の実施の形態で説明するワークWは、電子部品を固定して配線するための板状またはフィルム状の部材であり、例えば、プリント配線基板やシリコンウエハなどであって、ワークの形状としては円形や四角形、それ以外の形状などを含む。そこで、以下に説明するワークWをウエハとしウエハWと記載する。又、以下の実施の形態で説明する導電性ボールは、例えば、半田ボール、金属ボール、導電性プラスチックボール、導電性セラミックボールなど導電性を有し直径が30μm~300μmの球体を、導電性ボール8或いは導電性ボール9と記載して説明する。
図7は、ボール搭載装置2の概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、図7において、図示左右方向をX軸、X軸に直交する方向をY軸、X-Y平面に対して鉛直方向をZ軸又は上下方向と表し説明する。ボール搭載装置2は、ウエハWの給材装置である搬送用ロボット装置55と、ウエハWにフラックスFを印刷するフラックス印刷装置56と、フラックスFが印刷されたウエハWに導電性ボール8(図10参照)を振り込むボール振込装置57と、導電性ボール8が振り込まれたウエハWの除材装置である搬送用ロボット装置58とを有している。搬送用ロボット装置55、フラックス印刷装置56、ボール振込装置57及び搬送用ロボット装置58は、X方向に直線的に連結されている。フラックス印刷装置56とボール振込装置57は、前述したワーク処理装置1のワーク処理ユニット11として各々にフラックス印刷機能又はボール振込機能を備えた装置である。
搬送用ロボット装置55は、第1ロードポート59と第2ロードポート60の各々に配置されるFOUP(Front-Opening-Unified-Pod)73に収容されているウエハWをフラックス印刷装置56に給材するロボットアーム61を有する。ロボットアーム61は、第1ロードポート59及び第2ロードポート60のいずれからウエハWをピックアップしてプレアライナ62に搬送し、プレアライナ62においてウエハWの位置補正をした後、フラックス印刷装置56に設けられる第1ワーク置台12に搬送する。
フラックス印刷装置56は、前述したワーク処理装置1にワーク処理ユニット11としてフラックス印刷ユニット63を装備したものである。図7には、図1に示したワーク処理装置1との共通部分に図1と同じ符号を付している。フラックス印刷装置56は、フラックス印刷時にウエハWを吸着保持するワークステージ14と、ワークステージ14を挟んで図示左方側に第1ワーク置台12が配置され、図示右方側に第2ワーク置台13が配置されている。ワークステージ14の図示下方側には、第1ワーク搬送ユニット15が配置され、第1ワーク搬送ユニット15は第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21を有している。ワークステージ14のZ軸上方側にフラックス印刷用マスク64が配置されており、印刷用スキージ72(図9参照)によってウエハWにフラックスFを印刷する。フラックス印刷装置56におけるウエハWの搬送方法は、図5で説明しているのでここでの説明は省略する。又、フラックス印刷方法は図9を参照して説明する。フラックスFが印刷されたウエハWは、第2ワーク置台13に搬送された後、第2ワーク搬送ユニット16の第3ワーク搬送アーム35によってボール振込装置57の第1ワーク置台12に搬送される。
ボール振込装置57は、前述したワーク処理装置1にワーク処理ユニット11としてボール振込ユニット65を装備したものである。図7には、図1に示したワーク処理装置1との共通部分に図1と同じ符号を付している。ボール振込装置57は、ボール振込時にウエハWを吸着保持するワークステージ14と、ワークステージ14を挟んで図示左方側に第1ワーク置台12が配置され、右方側に第3ワーク置台13が配置されている。ワークステージ14の図示下方側には、第1ワーク搬送ユニット15が配置され、第1ワーク搬送ユニット15は、第1ワーク搬送アーム20及び第2ワーク搬送アーム21を有している。ワークステージ14のZ軸上方側にボール振込用マスク66が配置されており、ブラシスキージ67(図10参照)によってウエハWに導電性ボール8が振り込まれる。ボール振込装置57におけるウエハWの搬送方法は、図5及び図6で説明しているのでここでの説明は省略する。又、ボール振込方法は図10を参照して説明する。導電性ボール8が振り込まれたウエハWは、ボール振込装置57の第2ワーク置台13に搬送された後、第2ワーク搬送ユニット16の第3ワーク搬送アーム35によって搬送用ロボット装置58の検査部68に搬送される。
搬送用ロボット装置58は、導電性ボール8が振り込まれたウエハWにおいて導電性ボール8の過不足を検査する検査部68と、導電性ボール8が振り込まれたウエハWを第3ロードポート69又は第4ボールポート70に搬送するロボットアーム71とを有している。第3ロードポート69及び第2ロードポート70には、ロボットアーム71によって検査部68から除材されるウエハWを収容するFOUP74が配置されている。図示は省略するが、検査部68は、ウエハWの導電性ボール8の過不足を検査する検査用カメラユニットを有している。検査部68は、ボール振込装置57における第1ワーク置台12と同じ位置に配置されており、検査用カメラをX方向及びY方向に走査しながらウエハW上のボール過不足を検査する。検査用カメラを固定し、ウエハWを移動させるようにしてもよい。なお、ロボットアーム61及びロボットアーム71は、共通構成のものを使用し、プログラムによって給材用と除材用とに駆動制御される。次に、ボール振込対象のウエハWの構成について図8を参照して説明する。
図8は、ワークとしてのウエハWの構成の1例を示す平面図である。図8(a)は、ウエハWの全体を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)に示す点線Aで囲まれた電極形成領域(半導体集積回路76の形成領域)75の一部を拡大して示す図である。半導体集積回路76は、電極77の群の間に設けられたスクライブライン81で切断することにより個片化された半導体集積回路チップとなる。半導体集積回路76の切断は、導電性ボール8を搭載したウエハWをリフロー装置でリフローした後や、実装工程の最後に行なわれる。電極77は再配線された電極である。電極77のピッチは、大略50μm~400μmである。図8は、ウエハWに形成された電極77と、電極77が形成されている電極形成領域75の配置とを説明するためのものであり、電極の大きさ、分布や電極形成領域35の形状は実物とは異なる。
[フラックス印刷方法]
図9は、フラックスFをウエハWに印刷するフラックス印刷ユニット63の動作を示す説明図であり、図9(a)はフラックス印刷動作を模式的に示す断面図、図9(b)は、図9(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す図である。フラックス印刷は、ウエハWをワークステージ14に真空吸着孔80によって真空吸着した状態で、フラックス印刷用マスク64及び印刷用スキージ72を使用して行う。印刷用スキージ72は、フラックス印刷用マスク64を傷つけないように柔軟性を有する樹脂製とする。ウエハWは、フラックス印刷用マスク64に対して所定の隙間を有するように、不図示のステージ上下駆動アクチュエータによって調整される。
印刷用スキージ72は、フラックス印刷用マスク64をウエハWに接触する位置まで押圧しつつ図示矢印方向に移動しながらフラックスFをウエハWの電極77上に印刷する。図9(b)において、左側のマスク開口部78の位置を位置(1)、中間のマスク開口部78の位置を位置(2)、右側のマスク開口部78の位置を位置(3)とする。ウエハWには、導電性ボール8を振り込む位置に凹部79が形成されており、凹部79の底部には電極77が形成されている。位置(1)は、印刷用スキージ72がマスク開口部78を通過した直後のフラックスFを表しており、フラックスFはフラックス印刷用マスク64の表面からはみ出ない。そして、フラックスFは、凹部79内において電極77に接触するように収まる。位置(2)は、印刷用スキージ72がマスク開口部78からウエハWにフラックスFを印刷する直前を表している。位置(3)は、次に印刷するマスク開口部78を表している。スキージ動作終了後にフラックス印刷用マスク64を版離れさせると、フラックスFが電極77に転写されフラックス印刷が完了する。フラックスが印刷されたウエハWは、第2ワーク搬送ユニット16によってボール振り込み装置57に搬送され、ボール振込ユニット65によってボール振込が行われる。
[ボール振込方法]
図10は、導電性ボール8をウエハWに振り込むボール振込ユニット65の動作を示す図であり、図10(a)はボール振込動作を模式的に示す断面図、図10(b)は、図10(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す図である。ボール振込ユニット65において、ボール振込はフラックスFが印刷されたウエハWをワークステージ14に真空吸着した状態でボール振込用マスク66及びブラシスキージ67を使用して行う。ブラシスキージ67は、ボール振込部85下方のブラシ取付け部86に端部が埋め込まれた結束線状部材で構成されている。ボール振込用マスク66は、ワークステージ14に設けられ真空吸着孔80とクランプリング87に設けられた真空吸着孔88によって真空吸着され、ボール振込用マスク66はウエハW及びクランプリング87の両上面に密接し、ウエハWの外周付近においてもボール振込が可能となっている。
ブラシスキージ67は、回転しつつX方向及びY方向に移動し、ボール振込部85からブラシスキージ67の回転軌跡内に供給された導電性ボール8をボール振込用マスク66のボール振込用孔89(図10(b)参照)に振り込む。
図10(b)に示すように、ボール振込用マスク66上に供給された導電性ボール8は、ブラシスキージ67によってボール振込用孔89に1個ずつ振り込まれる。ウエハWの電極77上にはフラックスFが塗布されている。導電性ボール8は、ブラシスキージ67によってフラックスFに軽く押しつけられることによって、フラックスFの粘着性によって仮固定され、その後のウエハ搬送において仮固定された状態が維持される。続いて、ボール搭載方法(ウエハ給材、フラックス印刷、ボール振込、検査及びウエハ除材の一連の工程)について図11を参照して説明する。
[ボール搭載方法]
図11は、ボール搭載装置2によるボール搭載方法の主要工程を示す工程フロー図である。図5~図10を参照しながら説明する。まず、ロボットアーム61によってウエハWを第1ロードポート59又は第2ロードポート60からプレアライナ62に搬送する(ステップS1)。プレアライナ62では、ウエハWの位置を補正する(ステップS2)。次いで、位置補正されたウエハWをロボットアーム61によってフラックス印刷装置56に搬送する(ステップS3)。具体的には、ロボットアーム61は、プレアライナ62からフラックス印刷装置56の第1ワーク置台12にウエハWを搬送し、第1ワーク搬送アーム20によって第1ワーク置台12からワークステージ14にウエハWを搬送する。
次に、フラックス印刷ユニット63を駆動しウエハWにフラックスFを印刷する(ステップS4)。具体的には、フラックス印刷ユニット63において、フラックス印刷用マスク64上に印刷用スキージ72を走査してウエハWの電極77上にフラックスFを印刷する。フラックスが印刷されたウエハWは、第2ワーク搬送アーム21によってフラックス印刷装置56上の第2ワーク置台13に搬送される。
次に、第3ワーク搬送アーム35によってウエハWをボール振込装置57に搬送する(ステップS5)。具体的には、フラックスFが印刷されたウエハWを第3ワーク搬送アーム35によってボール振込装置57に配置される第1ワーク置台12にウエハWを搬送する。ボール振込装置57においては、第1ワーク搬送アーム20によって第1ワーク置台12からワークステージ14にウエハWを搬送し、ブラシスキージ67を回転しつつ移動させることによってボール振込用マスク66上に供給された導電性ボール8をウエハW上に振り込む(ステップS6)。
次に、ボール振込装置57に配置される第3ワーク搬送アーム35によって導電性ボール8が振り込まれたウエハWを搬送用ロボット装置58の検査部68に搬送する(ステップS7)。検査部68は、ウエハW上に導電性ボール8が過不足なく振り込まれているかを検査する(ステップS8)。ボール過剰又はボール不足が規定値以上の場合には、ウエハWにマーキングしたり、図示しない制御装置に対象ウエハWの不良個所のアドレスを記憶させたりする。検査後、ロボットアーム71によって検査部68から第3ロードポート69又は第4ロードポート70に除材する(ステップ9)。なお、検査部68で良品判定されたウエハWを第3ロードポート69に除材し、不良判定されたウエハWを第4ロードポート70に除材するようにしてもよい。
以上説明したボール搭載装置2は、ワークであるウエハWに導電性ボール8を搭載するボール搭載装置であって、前述したワーク処理装置1を複数台直線的に連結し、複数台のワーク処理装置1のうちの一つはフラックスFをウエハWに印刷するフラックス印刷ユニット63を有するフラックス印刷装置56であり、他の一つはフラックスFが印刷されたウエハWに導電性ボール8を振り込むボール振込ユニット65を有するボール振込装置57である。ボール搭載装置2は、フラックス印刷装置56にウエハWを給材する搬送用ロボット装置55と、導電性ボール8が振り込まれたウエハWの導電性ボール8の過不足を検査する検査部68を有し、ウエハWを除材する搬送用ロボット装置58とを有している。
ボール搭載装置2は、ウエハWの搬送に関わる構成を標準化し、フラックス印刷装置56及びボール振込装置57は、各々が第1ワーク搬送ユニット15及び第2ワーク搬送ユニット16を備えている。従って、ウエハWの搬送方向を左方から右方へ、逆に右方から左方にと選択して連結することが可能となる他、例えば、第1ワーク搬送ユニット15と第2ワーク搬送ユニット16の間に他のワーク処理装置を連結したり、前段又は後段に他のワーク処理装置を連結したりすることが可能となる。従って、前述した従来技術がバッファユニットを介して第1移動ワークステージと第2移動ワークステージを移動しワーク搬送を行う構成よりも装置の全長を短くでき、ワーク搬送にかかるタクトタイムを短縮することが可能となる。又、ワーク搬送に関わる制御プログラムを簡素化できる。さらに、バッファユニットによる中間処理がないシンプルな装置構成としていることから安定したワーク搬送動作を可能にする。
又、前述した従来技術では、第1の移動ワークステージ及び第2の移動ワークステージの移動はリニアエンコーダによって位置管理される。リニアエンコーダは、基板の給材側から除材側まで延長されていることから全長が長くなり、温度変化によって伸縮する量が大きくなり位置精度が低下することが考えられる。ボール搭載装置2では、ワーク処理装置ごと(フラックス印刷装置56、ボール振込装置57ごと)に位置管理をすればよいのでリニアエンコーダを短くでき、温度変化による伸縮の影響を抑制でき、ウエハWの位置精度を高めることが可能となる。
従って、ウエハWの搬送方向や各種複数種類のワーク処理装置を任意に組み合わせてボール搭載装置を構成することが可能であり、タクトタイムの短縮化と、小型化及びワークの位置精度を高めることが可能となる。
[ボール搭載装置3の構成(第2の実施の形態)]
図12は、第2の実施の形態に係るボール搭載装置3の構成を示す平面図である。前述したボール搭載装置2が、1台のボール振込装置57を連結して構成されることに対して、第2の実施の形態に係るボール搭載装置3は、2台のボール振込装置57,90を連結していることを特徴としている。ここでは、ボール搭載装置2との相違個所を中心に説明する。又、図12において、ボール搭載装置2との共通箇所には、図7と同じ符号を付している。
ボール搭載装置3は、ウエハWの給材装置である搬送用ロボット装置55と、ウエハWにフラックスFを印刷するフラックス印刷装置56と、フラックスFが印刷されたウエハWに導電性ボール8を振り込むボール振込装置57と、導電性ボール8よりも直径が大きい導電性ボール9を振り込むボール振込装置90と、導電性ボール8,9が振り込まれたウエハWを除材する除材装置としての搬送用ロボット装置58とを有している。搬送用ロボット装置55、フラックス印刷装置56、ボール振込装置57、ボール振込装置90及び搬送用ロボット装置58は、X方向に直線的に連結されている。搬送用ロボット装置55、フラックス印刷装置56、ボール振込装置57及び搬送用ロボット装置58は、図7で示した構成と同じなので説明を省略する。ボール振込装置90は、ボール振込装置57に対してボール振込ユニット91が大径の導電性ボール9に対応していること以外は同じ構成である。
図示は省略するが、フラックス印刷において使用するフラックス印刷用マスク66には、大径用のマスク開口部の配列パターンと小径用のマスク開口部の配列パターンとが形成されており、フラックスFは一回で印刷される。フラックスFが印刷されたウエハWは、第3ワーク搬送アーム35によってボール振込装置57の第1ワーク置台12に搬送され、第1ワーク搬送アーム20によってボール振込ユニット57のワークステージ14に搬送される。ボール振込ユニット65は、小径用のボール振込用マスク66を使用して導電性ボール8をウエハWに振り込む。小径の導電性ボール8が振り込まれたウエハWは第2ワーク搬送アーム21によって第2ワーク置台13に搬送され、さらに、ボール振込装置57の第3ワーク搬送アーム35によって、ボール振込装置90の第1ワーク置台12に搬送される。
ボール振込装置90において、小径の導電性ボール8が振り込まれたウエハWは、第1ワーク搬送アーム20によってワークステージ14に搬送される。ボール振込ユニット91は、大径用のボール振込用マスク92を使用して導電性ボール9をウエハWに振り込む。大径の導電性ボール9が振り込まれたウエハWは、第2ワーク搬送アーム21によって第2ワーク置台13に搬送され、さらに、ボール振込装置90の第3ワーク搬送アーム35によって、搬送用ロボット装置58の検査部68に搬送される。検査部68によるボール過不足の検査終了後、ウエハWはロボットアーム71によって、第3ロードポート69又は第4ロードポートに搬送(除材)される。
ボール振込の順番としては、ボール振込装置57で小径の導電性ボール8を振り込み、次いで、ボール振込装置90で大径の導電性ボール9を振り込む。例えば、3種類以上の直径が異なる導電性ボールをウエハWに振り込む場合には、フラックス印刷装置56と搬送用ロボット装置58の間に3台又はそれ以上の複数種類の直径の導電性ボールに対応するボール振込ユニットを装備するボール振込装置を連結することが可能である。ボール振込装置を3台連結する場合には、小径ボール用のボール振込ユニット、中径ボール用のボール振込ユニット、大径用のボール振込用ユニットというような順番で配列される。
以上説明したボール搭載装置3は、フラックス印刷装置56とボール振込装置57,90とが直線的に連結され、ボール振込装置57,90それぞれは、直径が異なる導電性ボール8,9を振り込むボール振込ユニット65,91を有する構成である。このようにすれば、ボール搭載装置1システムで直径が異なる複数種類の導電性ボールをウエハWに振り込むことが可能となる。また、各ボール振込装置が、第1ワーク搬送ユニット15及び第2ワーク搬送ユニット16を備え同期駆動すれば、例えば複数種類の導電性ボールを振り込む構成としても導電性ボールが1種類の場合に対してタクトタイムが長くなることはない。
[ボール搭載装置4(第3の実施の形態)]
前述したボール搭載装置3は、直径が異なる2種類の導電性ボール8,9が搭載可能な例を説明したが、フラックス印刷ユニット63やボール振込ユニット65、91以外のワーク処理機能を有するワーク処理ユニットを装備したワーク処理装置を連結することが可能である。例えば、ボール振込装置57又はボール振込装置90の後段にリペア装置を連結することが可能である。
例えば、図7で示したボール搭載装置2にリペア装置を連結した構成について説明する。図示は省略するが、この例を第3の実施の形態、ボール搭載装置4とする。リペア装置は、ボール振込装置57と搬送用ロボット装置58の間に配置され両者に連結されるものである。リペア装置の1例としては、ウエハWに振り込まれた導電性ボール8の過不足を検出する検査部(検査カメラユニット)と、ボール不足の位置に導電性ボール8を振り込むリペアヘッド及び過剰ボールを除去する過剰ボール除去ユニットを備えるリペア処理ユニットを有する。さらに、他のワーク処理装置と同じように、第1ワーク置台12、第2ワーク置台13、第1ワーク搬送ユニット15及び第2ワーク搬送ユニット16とを有して構成される。
リペアが終了したウエハWは、リペア装置側の第2ワーク搬送ユニット16によって搬送用ロボット装置58に搬送される。なお、搬送用ロボット装置58には、従来の検査部58(図7、図12参照)に替えて第1ワーク置台12相当の中継部を配置する。又は、検査部68をそのままの位置に配置し、リペア後のウエハWのボール配列状態を再検査するようにしてもよい。そして、ロボットアーム71でウエハWを第3ロードポート69又は第4ロードポート70に搬送(除材)する。なお、リペア装置にウエハWを除材するための除材装置を装備するようにしてもよい。
このように、ボール振込装置57と除材用の搬送用ロボット装置58との間に、ウエハWに振り込まれた導電性ボール8の過不足を検出した後、不足分の導電性ボール8を振り込み、過剰の導電性ボール8を除去するリペア処理ユニットを有するリペア装置をさらに連結することが可能である。このようにリペア装置を連結することによって、ボール振込に加えリペア作業が可能なボール搭載装置4を実現できる。リペア時間が長くなるような場合には、リペア装置を複数連結するようにしてもよく、そうすれば、リペア装置を追加してもタクトタイムが長くなることを抑制できる。
[ボール搭載装置5の構成(第4の実施の形態)]
図13は、ボール搭載装置5の構成を示す平面図である。前述したボール搭載装置2,3,4が、給材用の搬送用ロボット装置55と除材用の搬送用ロボット装置58を有していることに対して、ボール搭載装置5は、給材機能及び除材機能を有する搬送用ロボット装置95を有して構成されることに特徴を有する。ここでは、ボール搭載装置2と対比して相違個所を中心に説明する。又、図13において、ボール搭載装置2との共通箇所には、図7と同じ符号を付している。ボール搭載装置5は、フラックス印刷装置56と搬送用ロボット装置95とボール振込装置57とが直線的に連結されている。
ボール振込装置56及びフラックス印刷装置57の構成は、第1の実施の形態(図7参照)と同じ構成であるから詳細な説明は省略する。搬送用ロボット装置95は、図示下方側にロボットアーム61を配置し、図示上方のフラックス印刷装置56側にプレアライナ62、図示上方のボール振込装置57側に検査部68が配置されている。ロボットアーム61の図示下方側に給材側の第1ロードポート59と除材側の第3ロードポート69とが配置されている。第1ロードポート59にはウエハWをストックする給材側のFOUP73が配置され、第3ロードポート69には検査部68から搬送されるウエハWを収容する除材側のFOUP74が配置されている。ロボットアーム61自体は、第1の実施の形態に記載のロボットアーム61,71と同じ構成であるが、プログラムによって給材、搬送及び除材を実行するように制御される。
ボール搭載装置5の動作をウエハWの搬送経路に沿って説明する。まず、ロボットアーム61が、第1ロードポート59からウエハWをピックアップしてプレアライナ62に搬送する。プレアライナ62においてウエハWの位置補正をした後、ロボットアーム61はウエハWをフラックス印刷装置56の第1ワーク基台12に搬送する。第1ワーク基台12に搬送されたウエハWは、第1ワーク搬送アーム20によってワークステージ14に搬送され、フラックス印刷装置56において、フラックス印刷ユニット63を駆動しウエハWにフラックスFを印刷する。フラックス印刷後、ウエハWは、第1ワーク搬送アーム20によってワークステージ14から第1ワーク置台12に搬送する。
フラックス印刷装置56において、第1ワーク置台12に搬送されたウエハWは、ロボットアーム61によってボール振込装置57の第2ワーク置台13に搬送される。ボール振込装置57において、第2ワーク置台13に搬送されたウエハWは、第2ワーク搬送アーム21によってワークステージ14に搬送される。次に、ボール振込ユニット65を駆動してウエハWに導電性ボール8を振り込む。ボール振込後、ウエハWは、第2ワーク搬送アーム21によって、第2ワーク置台13に搬送される。第2ワーク置台13に搬送されたウエハWは、ボール振込装置57に装備される第2ワーク搬送ユニット16の第3ワーク搬送アーム35によって搬送用ロボット装置95の検査部68に搬送される。ボール過不足を検査した後、ロボットアーム61は、ウエハWを第3ロードポート69に搬送(除材)する。
以上説明したボール搭載装置5における第1ワーク搬送アーム20、第2ワーク搬送アーム21及び第3ワーク搬送アーム35のワーク搬送動作は、図5に示すワーク処理装置1の動作に準じているため、ここでは詳細な説明を省略する。第1ワーク搬送アーム20と第2ワーク搬送アーム21は、それぞれ単独で駆動される。但し、どちらか一方が空振りすることがあるが連動させてもよい。又、ボール搭載装置5においては、装備されているワーク搬送ユニットやワーク搬送アームのうち幾つかは動作しないものがあるが、そのまま残しておいてもよく、取り外してもよい。
以上説明したボール搭載装置5は、フラックス印刷装置56とボール振込装置57の間に、ウエハWをフラックス印刷装置56に搬送する機能と、フラックスFが印刷されたウエハWを導電性ボール振込装置57に搬送する機能と、導電性ボール8が振り込まれたウエハWを搬送(除材)する機能と、を併せ持つ搬送用ロボット装置95が連結されている。
給材側の搬送用ロボット装置55は、駆動プログラムによって除材側の搬送用ロボット装置58とすることができ、その逆も可能である。そこで、給材用の搬送ロボット装置55又は除材用の搬送ロボット装置58のいずれかに給材側の機能(プレアライナ機能含む)及び除材側の機能(検査部機能)の両方を有するプログラムによって搬送用ロボット装置95とすることができる。フラックス印刷装置56とボール振込装置57の間に、この搬送用ロボット装置95を配置すれば、第1実施の形態~第3の実施の形態に比べ若干タクトタイムが長くなるが、搬送用ロボット装置が1台でよいので、さらに小型化が可能となる。